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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221006BHJP
【FI】
G05D1/02 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017243039
(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公開番号】P2019109775
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】阪下 英知
(72)【発明者】
【氏名】坂原 洋人
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120551(JP,A)
【文献】特開2017-009462(JP,A)
【文献】特開平06-035538(JP,A)
【文献】特開2015-020551(JP,A)
【文献】特開2015-055969(JP,A)
【文献】特開2005-016979(JP,A)
【文献】特開2016-082441(JP,A)
【文献】特開2008-178959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的に移動する移動体であって、
マーカの撮影画像を取得する撮影部と、
前記撮影画像において認識したマーカを用いて、前記移動体の位置を取得する位置取得部と、
前記移動体を移動させる移動機構と、
前記マーカを用いて取得された位置を用いて、前記移動機構を制御する移動制御部と、
前記移動体に着脱可能な治具に固定されている基準マーカの撮影画像を用いて、前記移動体における前記撮影部の取り付けに関する情報である取付情報を取得する取付情報取得部と、を備え、
前記基準マーカの撮影画像は、前記治具が前記移動体に装着されている際に取得され、
前記位置取得部は、前記取付情報を用いて前記移動体の位置を取得し、
前記移動制御部は、マーカと前記移動体との位置関係が、前記基準マーカと前記移動体とのあらかじめ決められた相対的な位置関係となるように制御する、移動体。
【請求項2】
前記治具には、2以上の前記基準マーカが固定されており、
前記取付情報取得部は、各前記基準マーカを用いて取付情報を取得する、請求項1記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律的に移動する移動体、及びその移動体で用いられる治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動体において、移動環境に配置されたマーカを撮影し、その撮影したマーカを用いることによって、マーカに対する位置決めを行うことがあった。そのようなマーカを用いた位置の制御を行う場合には、マーカを撮影する撮影部の取り付けに関する調整が必要であった。なぜなら、移動体における撮影部の取付位置や取付角度にずれに応じて、マーカを用いて取得した移動体の位置が変動し、マーカに対する適切な位置の制御を行うことができなくなるからである。したがって、例えば、組み立て担当者が移動体に対して撮影部を正確に取り付けたり、または、その撮影部の取付誤差に応じたオフセット量を移動体に設定することを手動で行ったりしていた。
【0003】
なお、関連した技術として、ラインカメラから得られた画像を二値化することによって、路面上の車線を検出し、車線からの逸脱を検知する装置において、ラインカメラの取付誤差を吸収するように、マーカを用いて車両の左右側端位置をあらかじめ記憶し、その記憶した位置を用いて車線からの逸脱を検知するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-202974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、車線からの逸脱を検知することはできるが、マーカに対する位置決めを行うことはできなかった。なぜなら、マーカに対する位置決めを行うためには、移動体における撮影部の取付位置等が分かっている必要があるからである。
【0006】
また、従来のように、組み立て担当者が移動体に対して撮影部を正確に取り付けたり、または、その撮影部の取付誤差に応じたオフセット量の設定を手動で行ったりした場合には、煩雑な作業が要求されることになり、担当者の負荷が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、マーカを撮影することによって位置の制御を行う移動体において、撮影部の移動体に対する取付誤差を考慮した位置の取得を自動的に行うことができる移動体等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明による移動体は、自律的に移動する移動体であって、マーカの撮影画像を取得する撮影部と、撮影画像において認識したマーカを用いて、移動体の位置を取得する位置取得部と、移動体を移動させる移動機構と、マーカを用いて取得された位置を用いて、移動機構を制御する移動制御部と、移動体とあらかじめ決められた相対的な位置関係にある基準マーカの撮影画像を用いて、移動体における撮影部の取り付けに関する情報である取付情報を取得する取付情報取得部と、を備え、位置取得部は、取付情報を用いて移動体の位置を取得する、ものである。
このような構成により、基準マーカの撮影によって、自動的に取付情報を取得することができ、その取付情報を用いることによって、撮影部の取付位置の誤差を考慮した、マーカに対する移動体の位置の取得を自動的に行うことができるようになる。その結果、例えば、マーカに対する移動体の位置決めを高い精度で行うことができるようになる。
【0009】
また、本発明による移動体では、移動制御部は、マーカと移動体との位置関係が、基準マーカと移動体とのあらかじめ決められた相対的な位置関係となるように制御してもよい。
このような構成により、精度の高い位置決めを行うことができるようになる。
【0010】
また、本発明による移動体では、基準マーカは、移動体に着脱可能な治具に固定されており、基準マーカの撮影画像は、治具が移動体に装着されている際に取得されてもよい。
このような構成により、基準マーカの設定を簡単にまた精度高く行うことができるようになる。
【0011】
また、本発明による移動体では、治具には、2以上の基準マーカが固定されており、取付情報取得部は、各基準マーカを用いて取付情報を取得してもよい。
このような構成により、より精度の高い取付情報の取得を実現することができるようになる。
【0012】
また、本発明による治具は、マーカを撮影して撮影画像を取得し、撮影画像において認識したマーカを用いて移動する移動体に着脱可能な治具であって、移動体に着脱可能な治具本体と、治具本体が移動体に装着された場合に、移動体とあらかじめ決められた相対的な位置関係となるように治具本体に固定された基準マーカと、を備えたものである。
このような構成により、移動体に対して、あらかじめ決められた相対的な位置関係となる基準マーカを、容易に装着することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による移動体等によれば、マーカに対する移動体の位置の取得を、撮影部の取付誤差を考慮して自動的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態による移動体の構成を示すブロック図
図2】同実施の形態による移動体の動作を示すフローチャート
図3】同実施の形態における移動体とマーカとを示す模式図
図4】同実施の形態における治具の装着された移動体を示す上面図
図5】同実施の形態における治具の装着された移動体を示す側面図
図6】同実施の形態における治具の他の一例を示す図
図7】同実施の形態における取付情報の取得等について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による移動体について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による移動体は、移動体の有する撮影部の取り付けに関する較正(キャリブレーション)を自動的に行うことができるものである。
【0016】
図1は、本実施の形態による移動体1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による移動体1は、自律的に移動するものであり、移動機構11と、撮影部12と、取付情報取得部13と、位置取得部14と、現在位置取得部15と、移動制御部16とを備える。なお、移動体1が自律的に移動するとは、移動体1がユーザ等から受け付ける操作指示に応じて移動するのではなく、自らの判断によって目的地に移動することであってもよい。その目的地は、例えば、手動で決められたものであってもよく、または、自動的に決定されたものであってもよい。また、その目的地までの移動は、例えば、移動経路に沿って行われてもよく、または、そうでなくてもよい。また、自らの判断によって目的地に移動するとは、例えば、進行方向、移動や停止などを移動体1が自ら判断することによって、目的地まで移動することであってもよい。また、例えば、移動体1が、障害物に衝突しないように移動することであってもよい。移動体1は、例えば、台車であってもよく、移動するロボットであってもよい。ロボットは、例えば、エンターテインメントロボットであってもよく、監視ロボットであってもよく、搬送ロボットであってもよく、清掃ロボットであってもよく、動画や静止画を撮影するロボットであってもよく、その他のロボットであってもよい。
【0017】
移動機構11は、移動体1を移動させる。移動機構11は、例えば、移動体1を全方向に移動できるものであってもよく、または、そうでなくてもよい。全方向に移動できるとは、任意の方向に移動できることである。移動機構11は、例えば、走行部(例えば、車輪など)と、その走行部を駆動する駆動手段(例えば、モータやエンジンなど)とを有していてもよい。なお、移動機構11が、移動体1を全方向に移動できるものである場合には、その走行部は、全方向移動車輪(例えば、オムニホイール、メカナムホイールなど)であってもよい。全方向移動車輪を有し、全方向に移動可能な移動体については、例えば、特開2017-128187号公報を参照されたい。この移動機構11としては、公知のものを用いることができるため、その詳細な説明を省略する。
【0018】
撮影部12は、移動環境に存在するマーカを撮影して撮影画像を取得する。撮影部12は、例えば、CCDやCMOSなどのイメージセンサによって実現することができる。また、撮影部12は、撮影対象からの光をイメージセンサの受光面に結像させるための光学系を含んでいてもよい。また、撮影画像のデータ形式等は問わない。撮影部12は、移動体1に固定されているため、移動体1の移動に応じて撮影対象が異なることになる。したがって、撮影部12は、連続的に撮影を行い、撮影範囲にマーカが含まれる場合に、そのマーカを含む撮影画像が取付情報取得部13や位置取得部14によって用いられてもよい。なお、撮影範囲にマーカが含まれるかどうかは、例えば、マーカのパターンマッチングによって行ってもよく、その他の方法によって行ってもよい。図3は、移動体1の撮影部12によってマーカ5が撮影されている状況を示す模式図である。図3で示されるように、撮影部12の撮影範囲にマーカ5が存在することにより、撮影部12は、マーカ5の撮影画像を取得することができる。
【0019】
マーカは、視覚的に認識可能な2次元の図形であり、移動体1の位置決めのために移動環境に配置されている。例えば、移動体1が給電位置や、搬送対象の積み降ろし位置に正確に移動できるようにするため、マーカが配置されていてもよい。マーカの形状(図形の形状)は問わないが、例えば、正方形状や、長方形状、その他の多角形状、円形状、楕円形状、また、それらの組み合わせであってもよい。なお、その形状は、特定可能な3以上の特徴点を有していることが好適である。また、その特徴点の少なくとも3点については、特徴点間のサイズが既知であることが好適である。そのサイズは、マーカと、撮影部12との相対的な位置関係を取得するのに必要であるため、移動体1の図示しない記録媒体において保持されており、位置取得部14等がアクセス可能になっていることが好適である。マーカは、例えば、紙やフィルム等に印刷され、移動環境に配置される。移動体1の移動環境に配置されるマーカのワールド座標系における位置(例えば、ワールド座標系とマーカの座標系との相対的な関係(平行移動、回転に関する情報)であってもよい。)は分かっていてもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、マーカの撮影画像を用いることによって、移動体1のワールド座標系における位置を取得することができるようになり、後者の場合には、マーカの撮影画像を用いることによって、移動体1のマーカに対する相対的な位置を取得することができるようになる。したがって、マーカのワールド座標系における位置が分からない場合には、移動環境に配置されているマーカに対する相対的な位置によって、位置決めを行うことになるため、移動体1の目的とする位置決め場所に対して、あらかじめ決められた相対的な位置となるように、そのマーカが配置されることが好適である。
【0020】
なお、そのマーカのうち、後述する取付情報の取得のために用いられるマーカを基準マーカと呼ぶ。その基準マーカが、移動体1とあらかじめ決められた相対的な位置関係となるように配置されている際に、その基準マーカの撮影が行われる。そして、その撮影画像を用いた取付情報の取得が行われることになる。したがって、基準マーカの撮影の際には、基準マーカは、移動体1と正確な位置関係となっていることが必要である。そのため、後述する治具が用いられてもよく、または、所定の場所(例えば、壁など)にあらかじめ配置されている基準マーカに対して、その基準マーカとの位置関係があらかじめ決められたものとなるように、移動体1を配置してもよい。本実施の形態では、治具を用いる場合について主に説明する。なお、移動体1の位置決めのために用いられるマーカと、基準マーカとは、マーカ(図形)としては、同じ形状のものであることが好適であり、サイズも同じであることが好適である。ただし、基準マーカは、位置決めのために用いられるマーカと、異なる形状やサイズであってもよい。
【0021】
取付情報取得部13は、移動体1とあらかじめ決められた相対的な位置関係にある基準マーカの撮影画像を用いて、移動体1における撮影部12の取り付けに関する情報である取付情報を取得する。異なる位置に配置された複数の基準マーカが存在する場合には、取付情報取得部13は、各基準マーカを用いて取付情報を取得してもよい。この場合には、取付情報取得部13は、例えば、それぞれの基準マーカに対応する取付情報を取得し、その複数の取付情報の代表値を、最終的な取付情報としてもよい。代表値は、例えば、平均値や中間値などであってもよい。取付情報が、例えば、座標値と、角度とを有する場合には、取付情報取得部13は、その座標値と、角度とについて、それぞれ代表値を取得することによって、最終的な取付情報を取得してもよい。取付情報は、移動体1のローカル座標系と、撮影部12のローカル座標系との相対的な関係を示すものである。上記のように、基準マーカと移動体1とはあらかじめ決められた相対的な位置関係にあるため、基準マーカのローカル座標系と、移動体1のローカル座標系との関係は既知である。また、撮影部12によって基準マーカを撮影し、基準マーカの少なくとも3個の特徴点を用いることによって、撮影部12のローカル座標系と基準マーカのローカル座標系との関係を取得できる。したがって、そのローカル座標系に関する2個の関係を用いることによって、移動体1のローカル座標系と、撮影部12のローカル座標系との関係を示す取付情報を取得できることになる。なお、取付情報は、例えば、移動体1に対する撮影部12(カメラ)の取付位置に関する情報であってもよく、移動体1に対する撮影部12の取付角度に関する情報であってもよく、両者を含んでいてもよい。その位置や角度を示すものとして、例えば、移動体1のローカル座標系から、撮影部12のローカル座標系への変換を行う同次変換行列、または、その逆の変換を行う同次変換行列がある。したがって、取付情報は、両座標系の間での変換に関する同次変換行列であってもよい。なお、同次変換行列は、一方の座標系に対する他方の座標系に関する位置や角度を用いて記述されるため、撮影部12の取付位置及び取付角度である取付情報と、同次変換行列である取付情報とは実質的に同じであるといえる。本実施の形態では、取付情報が同次変換行列である場合について主に説明する。
【0022】
なお、取付情報の取得は、移動体1の製造後であって、マーカを用いた移動制御が開始されるまでに行われることが好適である。例えば、工場出荷時などに行われてもよい。また、その取付情報に変更が生じた場合、例えば、撮影部12の取り替えや取付位置の調整などが行われた場合には、再度、取付情報の取得が行われ、その新たに取得された取付情報が移動体1において用いられることが好適である。また、取付情報の具体的な取得方法については後述する。
【0023】
位置取得部14は、撮影画像において認識したマーカを用いて、移動体1の位置を取得する。その位置は、マーカに対する相対的な位置であってもよく、ワールド座標系における位置であってもよい。ここで、位置取得部14がマーカの撮影画像を用いて直接的に得ることができるのは、移動体1のマーカに対する相対的な位置(例えば、マーカ座標系での移動体1の位置など)である。具体的には、マーカの撮影画像を用いて、マーカと、撮影部12との相対的な関係を取得できる。また、取付情報は、移動体1と撮影部12との相対的な関係を示すものであるため、その取付情報を用いることにより、マーカと、移動体1との相対的な関係を取得することができる。一方、マーカのワールド座標系における位置が既知である場合には、位置取得部14は、マーカと移動体1との相対的な関係と、ワールド座標系におけるマーカの位置とを用いて、移動体1のワールド座標系における位置をも取得できることになる。上記のように、その移動体1の位置の取得において、位置取得部14は、取付情報取得部13によって取得された取付情報を用いることになる。マーカに対する相対的な位置は、角度(姿勢)を含まないものであってもよく、または角度を含んでいてもよい。その角度とは、マーカの面に対する相対的な角度であってもよく、ワールド座標系における角度であってもよい。本実施の形態では、位置取得部14によって取得される位置に、角度も含まれる場合について主に説明する。
【0024】
現在位置取得部15は、マーカの撮影以外の方法によって、移動体1の現在位置を取得する。現在位置の取得は、例えば、無線通信を用いて行われてもよく、周囲の物体までの距離の測定結果を用いて行われてもよく、周囲の画像を撮影することによって行われてもよく、現在位置を取得できるその他の手段を用いてなされてもよい。無線通信を用いて現在位置を取得する方法としては、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いる方法や、屋内GPSを用いる方法、最寄りの無線基地局を用いる方法などが知られている。また、例えば、周囲の物体までの距離の測定結果を用いたり、周囲の画像を撮影したりすることによって現在位置を取得する方法としては、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などによって知られている方法を用いてもよい。また、あらかじめ作成された地図(例えば、周囲の物体までの距離の測定結果や撮影画像を有する地図など)が記憶されている場合には、現在位置取得部15は、周囲の物体までの距離を測定し、地図を用いて、その測定結果に対応する位置を特定することによって現在位置を取得してもよく、周囲の画像を撮影し、地図を用いて、その撮影結果に対応する位置を特定することによって現在位置を取得してもよい。また、現在位置取得部15は、例えば、自律航法装置を用いて現在位置を取得してもよい。また、現在位置取得部15は、移動体1の向き(方向)を含む現在位置を取得することが好適である。その方向は、例えば、北を0度として、時計回りに測定された方位角によって示されてもよく、その他の方向を示す情報によって示されてもよい。その向きは、電子コンパスや地磁気センサによって取得されてもよい。
【0025】
なお、位置取得部14は、撮影部12によってマーカが撮影された際にのみ、位置を取得できるものである。したがって、移動体1がマーカの存在しない箇所を移動している場合には、位置取得部14による位置の取得を行うことはできないため、移動体1は、マーカの撮影以外の方法によって移動体1の現在位置を取得する現在位置取得部15を備えていることが好適である。
【0026】
移動制御部16は、移動機構11を制御することによって、移動体1の移動を制御する。移動の制御は、移動体1の移動の向きや、移動の開始・停止などの制御であってもよい。例えば、移動経路が設定されている場合には、移動制御部16は、移動体1がその移動経路に沿って移動するように、移動機構11を制御してもよい。より具体的には、移動制御部16は、現在位置取得部15によって取得される現在位置が、その移動経路に沿ったものになるように、移動機構11を制御してもよい。また、移動制御部16は、地図を用いて、移動の制御を行ってもよい。その場合には、移動体1は、地図が記憶される記憶部を備えていてもよい。
【0027】
また、移動制御部16は、マーカを用いて取得された位置、すなわち位置取得部14によって取得された位置を用いて、移動機構11を制御する。通常、現在位置取得部15によって取得された現在位置よりも、マーカを用いて取得された位置の方が、より精度が高いものとなる。したがって、高い精度が要求される移動や位置決めにおいては、移動制御部16は、マーカを用いて取得された位置を用いて移動制御を行うことが好適である。例えば、移動制御部16は、給電位置や搬送対象の積み降ろし位置の近くに行くまでは、現在位置取得部15によって取得された現在位置を用いた移動制御を行い、給電位置での位置決めや、搬送対象の積み降ろし位置での位置決めの際には、マーカを用いて取得された位置を用いて移動制御を行ってもよい。そうすることによって、高い精度で位置決めを行うことができるようになる。
【0028】
また、例えば、移動体1と基準マーカとのあらかじめ決められた相対的な位置関係が、位置決めを行う位置(例えば、給電位置や、搬送対象の積み降ろし位置など)における移動体1とマーカとの位置関係となっている場合には、移動制御部16は、移動体1とマーカとの位置関係が、移動体1と基準マーカとのあらかじめ決められた相対的な位置関係となるように移動機構11を制御してもよい。また、例えば、移動体1と基準マーカとのあらかじめ決められた相対的な位置関係に対して所定のオフセット(その位置関係に対して、例えば、右に20センチメートル、後方に30センチメートル、時計回りに30度など)だけずれた位置が、位置決めを行う位置における移動体1とマーカとの位置関係となっている場合には、移動制御部16は、移動体1とマーカとの位置関係が、移動体1と基準マーカとのあらかじめ決められた相対的な位置関係に対して所定のオフセットだけずれた位置となるように移動機構11を制御してもよい。また、移動制御部15は、位置取得部14によって取得された位置と、移動先の目的地の位置との差を取得し、その取得した差に応じた移動を行うことによって目的地に到達するようにしてもよい。なお、マーカを用いた移動制御は、すでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0029】
次に、基準マーカを用いた取付情報の取得や、マーカを用いた位置の取得、また、マーカを用いた移動制御について具体的に説明する。
まず、図4図5を用いて、基準マーカ23の撮影時に用いられる、移動体1に着脱可能な治具20について説明する。図4は、治具20の装着された移動体1の上面図であり、図5は、治具20の装着された移動体1の側面図である。治具20は、移動体1に着脱可能な治具本体21と、治具本体21の移動体1から突出した先端側に固定されたマーカ表示板22と、マーカ表示板22の撮影部12側に表示されている基準マーカ23とを有する。このような構成によって、基準マーカ23が、治具本体21に固定されることになる。なお、治具本体21が移動体1に装着された場合に、基準マーカ23は、移動体1とあらかじめ決められた相対的な位置関係となるように治具本体21に固定されているものとする。また、これに限定されるものではないが、治具本体21は、2以上の箇所において移動体1に取り付けられることが好適である。基準マーカ23と移動体1とがあらかじめ決められた相対的な位置関係となるように、基準マーカ23を高い精度で配置するためである。治具本体21は、例えば、ネジ等によって、移動体1に着脱可能に取り付けられてもよい。治具20は、基準マーカ23の撮影時に移動体1に装着される。そして、治具20が移動体1に装着されている際に、基準マーカ23の撮影画像が取得される。なお、その撮影画像を用いた取付情報の取得は、治具20の装着されている時点に行われてもよく、または、治具20が取り外された後に行われてもよい。また、移動体1が移動を開始する際には、治具20は移動体1から取り外されていることが好適である。
【0030】
なお、治具20には、2以上の基準マーカが固定されていてもよい。図6は、複数の基準マーカ23A~23Cの固定されている治具20の装着された移動体1の一例を示す上面図である。図6において、治具本体21の一端は、三つ叉に分かれており、それぞれにマーカ表示板22A,22B,22Cが取り付けられており、そのマーカ表示板22A,22B,22Cの撮影部12側に、それぞれ基準マーカ23A,23B,23Cが表示されている。なお、図6で示される状況において、移動体1と3個の基準マーカ23A,23B,23Cとは、それぞれあらかじめ決められた相対的な位置関係であるとする。このようにすることで、取付情報取得部13は、3つの基準マーカ23A~23Cに対応した3個の取付情報を取得することができる。そして、取付情報取得部13は、その3個の取付情報の代表値を、最終的な取付情報としてもよい。そのようにすることで、より精度の高い取付情報を取得することができると考えられる。
【0031】
また、基準マーカが、移動体1に着脱可能な治具20に固定される方法は、図4図6とは異なっていてもよい。すなわち、基準マーカは、治具20に対して、種々の方法で固定されてもよい。
【0032】
図7は、移動体1と基準マーカ23との位置関係、及び移動体1とマーカ5との位置関係を示す模式図である。図7において、実線で示される移動体1と基準マーカ23との位置関係は、あらかじめ決められた相対的な位置関係であるとする。その位置関係において、移動体1のローカル座標系をCとし、撮影部12のローカル座標系をCとし、基準マーカ23のローカル座標系をCとしている。また、ある点に関して、撮影部12の座標系Cにおける座標値を(x,y,z)=(p,p,p)とし、基準マーカ23の座標系Cにおける座標値を(x1,y1,z1)=(px1,py1,pz1)とすると、両座標値は、両座標系間で座標値を変換する同次変換行列PCMを用いて次式のように関連づけられることになる。なお、Tは、転置を示している。
(p,p,p,1)=PCM(px1,py1,pz1,1)
【0033】
上式の同次変換行列PCMには、引数q,q,q,θ,φ,ψが含まれており、それらは、撮影部12の座標系Cに対する基準マーカ23の座標系Cの平行移動(q,q,q)と回転(θ,φ,ψ)とを示すものである。なお、上記のように、基準マーカの3点の特徴点間のサイズが既知であるとすると、そのサイズ(特徴点間の距離)を用いることによって、同次変換行列PCMに含まれる各引数を求められることが知られており、同次変換行列PCMを特定することができる。このようにして、基準マーカ23を撮影することにより、同次変換行列PCMを算出できる。
【0034】
なお、基準マーカ23と移動体1との相対的な位置関係はあらかじめ決められたものであるため、移動体1の座標系Cと、基準マーカ23の座標系Cとの間の同次変換行列PRMは、既知である。そのため、移動体1の座標系Cと、撮影部12の座標系Cとの間の同次変換行列PRCは、次式のように、算出された同次変換行列PCMと、既知の同次変換行列PRMとを用いて算出することができる。
RC=PRMMC=PRMCM -1
【0035】
このようにして、移動体1と撮影部12との相対的な位置関係(PRC)を取得することができる。したがって、取付情報取得部13は、この同次変換行列PRCである取付情報を取得してもよく、または、その同次変換行列PRCに含まれる移動体1の座標系Cと、撮影部12の座標系Cとの平行移動や回転に関する値(同次変換行列PRCの各引数)を取付情報として取得してもよく、それらに関係する他の情報(例えば、同次変換行列PCR等)を取付情報として取得してもよい。なお、座標系Cをx0y0z0直交座標系とし、座標系Cをxyz直交座標系とし、移動体1の走行面が座標系Cと座標系Cとのx0y0平面、xy平面となり、上方に向けてz0軸、z軸が設定されている場合には、取付情報は、x0y0平面(xy平面)における2次元の平行移動と、z0軸(z軸)周りの回転とを示す情報であってもよい。取付情報を取得することは、移動体1に対する撮影部12の位置関係を取得することを意味している。その結果、例えば、撮影部12の標準的な取付状態が存在する場合に、その標準的な取付状態と、実際の取付状態との誤差を知ることができるようになる。したがって、取付情報を取得することは、実質的に撮影部12の取り付けに関する誤差を取得していること、すなわち較正を行っていることに等しいと考えることもできる。
【0036】
次に、その取付情報を用いたマーカ5に対する移動体1の位置の取得について説明する。ここでは、図7で示されるように、位置決めのためのマーカ5が配置されていたとする。そのマーカ5のローカル座標系をCM1とする。また、図7における移動体1の座標系Cの位置において、マーカ5を撮影することができたとする。マーカ5に対する移動体1の相対的な位置は、移動体1の座標系Cと、マーカ5の座標系CM1との間の同次変換行列PRM1を算出することに対応している。また、その同次変換行列PRM1を変形すると、次式のようになる。
RM1=PRCCM1
【0037】
上式の右辺のうち、PRCは取付情報そのもの、または、取付情報から算出できる情報であり、PCM1はマーカ5を撮影することによって取得できる情報である。したがって、位置取得部14は、取付情報や、マーカ5の撮影画像を用いることによって、同次変換行列PRM1を算出でき、マーカ5に対する移動体1の相対的な位置を取得することができる。ここでは、説明の便宜上、基準マーカ23の撮影位置においてマーカ5を撮影する場合について説明したが、任意の位置において撮影されたマーカ5の撮影画像を用いて、そのマーカ5に対する移動体1の相対的な位置を取得できることは言うまでもない。なお、位置取得部14は、同次変換行列PRM1に含まれる平行移動や回転の引数を、移動体1の位置として取得してもよい。また、上記のように、マーカ5のワールド座標系における位置が既知である場合には、位置取得部14は、それを用いて、移動体1のワールド座標系における位置を取得することもできる。また、位置取得部14によって取得された位置を用いることによって、移動制御部16は、例えば、マーカ5に対する任意の位置に移動することが可能となる。なお、例えば、移動体1が、マーカ5に対してあらかじめ決められた相対的な位置関係となる位置に向かって移動している際には、位置取得部14によって取得された、移動体1のローカル座標系とマーカ5のローカル座標系との間の同次変換行列が、あらかじめ決められた相対的な位置関係に対応する同次変換行列PRMと一致したかどうかを判断することにより、目的地に到達したかどうかを判断することもできる。そのようにして、精度の高い位置決めを実現することができる。
【0038】
次に、図7において、移動体1が、実線で示されるローカル座標系Cの位置から、破線で示されるローカル座標系CR1の位置に移動する際の相対的な移動量を取得する方法について説明する。図7において、マーカ5に対して、あらかじめ決められた相対的な位置関係となった移動体1のローカル座標系をCR1とし、その移動体1における撮影部12のローカル座標系をCC1としている。すると、座標系Cと座標系CR1との位置関係、すなわち両座標系に関する同次変換行列PRR1を求めることによって、移動制御部16は、図7における実線の位置から破線の位置に移動する際の移動量を取得することができる。その同次変換行列PRR1は、次式のように変換できる。
RR1=PRCCM1M1R1=PRCCM1R1M1 -1=PRCCM1RM -1
【0039】
なお、上式の変換において、PR1M1=PRMを用いている。座標系Cと座標系Cとの関係は、座標系CR1と座標系CM1との関係と等しいため、そのようになる。また、上式の右辺において、PRCは取付情報そのもの、または、取付情報から算出できる情報であり、PCM1はマーカ5を撮影することによって取得できる情報であり、PRMは既知の情報である。したがって、移動制御部16は、取付情報取得部13によって取得された取付情報を用いることによって、同次変換行列PRR1を算出できる。その同次変換行列PRR1には、現在の位置から、マーカ5に対して位置決めを行う位置までの移動量(すなわち、平行移動の程度と、回転の角度)が含まれているため、移動制御部16は、それに応じて移動機構11を制御すればよいことになる。なお、このような任意の方向への平行移動と回転とを行うことができるためには、移動機構11が、全方向移動車輪を有していることが好適である。このようにして、マーカ5を用いた移動制御を行うことができる。なお、上式の右辺のうち、PRCCM1の部分は、マーカ5に対する移動体1の相対的な位置を示す情報に対応している。したがって、位置取得部14によって取得される位置が、そのPRCCM1であると考えることもできる。そのため、移動制御部16は、位置取得部14によって取得された移動体1の位置を用いて、移動体1の移動制御を行うものであるということができる。
【0040】
また、移動体1が、マーカ5に対して、あらかじめ決められた相対的な位置関係となる位置に移動するのではなく、その位置をオフセットした位置に移動する際には、移動制御部16は、上記のようにして算出した移動量に対してオフセット量を加算することによって、最終的な移動量を算出し、その移動量に応じた移動を行うようにしてもよい。
【0041】
次に、移動体1の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)取付情報取得部13は、取付情報を取得するかどうか判断する。そして、取付情報を取得する場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、取付情報を取得すると判断するまでステップS101の処理を繰り返す。なお、取付情報取得部13は、例えば、移動体1が、取付情報の取得を行う旨の指示を操作者等から受け付けた場合に、取付情報の取得を行うと判断してもよい。
【0042】
(ステップS102)撮影部12は、基準マーカを撮影する。この撮影は、例えば、自動的に行われてもよく、または、操作者等からの指示に応じて行われてもよい。なお、治具20を用いて、移動体1に対して所定の位置となるように基準マーカを配置する場合には、この時点までに治具20が移動体1に装着されているものとする。
【0043】
(ステップS103)取付情報取得部13は、ステップS102で撮影された基準マーカの撮影画像を用いて、上記のように、取付情報を取得する。取得された取付情報は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。なお、基準マーカの撮影のために移動体1に治具20が装着されていた場合には、基準マーカの撮影が終了した後であり、移動体1の移動が開始されるまでに、治具20が移動体1から取り外されることが好適である。
【0044】
(ステップS104)移動制御部16は、移動を開始するかどうか判断する。そして、移動を開始する場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、移動を開始するまでステップS104の処理を繰り返す。なお、移動制御部16は、例えば、移動経路に沿った自律的な移動を開始する場合に、移動を開始すると判断してもよい。
【0045】
(ステップS105)移動制御部16は、移動体1の移動の制御を行う。この移動の制御は、例えば、目的地に向かう自律的な移動の制御である。このステップS105の移動の制御が繰り返して行われることによって、移動体1は、出発地から目的地に到達することになる。
【0046】
(ステップS106)撮影部12は、撮影を行い、撮影画像を取得する。
【0047】
(ステップS107)位置取得部14は、ステップS106で取得された撮影画像にマーカが存在するかどうか判断する。そして、マーカが存在する場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS109に進む。
【0048】
(ステップS108)位置取得部14は、ステップS106で取得された撮影画像に含まれるマーカを用いて、位置を取得する。その位置の取得は、上記のように、例えば、移動体1のローカル座標系とマーカの座標系との間の同次変換行列(例えば、PRM1等)の算出によって行われてもよい。
【0049】
(ステップS109)移動制御部16は、目的地に到達したかどうか判断する。そして、目的地に到達した場合には、ステップS104に戻り、そうでない場合には、ステップS105に戻る。なお、移動体1とマーカとの位置関係が、移動体1と基準マーカとのあらかじめ決められた相対的な位置関係となることによって目的地に到達したことになる場合には、例えば、移動体1のローカル座標系とマーカの座標系との間の同次変換行列が、あらかじめ決められた相対的な位置関係に対応する同次変換行列PRMと一致したかどうかを判断することにより、目的地に到達したかどうかを判断してもよい。
【0050】
なお、図2のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図2のフローチャートには含まれていないが、現在位置取得部15による現在位置の取得は、マーカが撮影されるまでは繰り返して行われているものとする。また、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0051】
また、本実施の形態では、マーカに対する位置(例えば、同次変換行列PRM1など)を算出する際に、取付情報(例えば、同次変換行列PRCなど)と、マーカの撮影画像から得られた情報(例えば、同次変換行列PCM1など)とを用いる場合について説明したが、それ以外の方法によってマーカに対する位置を算出してもよい。例えば、通常、移動体1における撮影部12の理想的な取付状況(標準的な取付状況)は決まっている。その理想的な取付状況に対応する取付情報を、理想的な取付情報と呼ぶことにする。その理想的な取付情報は、取付誤差を考慮しない、設計上の取付情報である。そして、位置取得部14は、その理想的な取付情報と、マーカの撮影画像から得られた情報とを用いて、移動体1のマーカに対する位置(この位置は、誤差を含む位置である。)を算出し、その位置について、取付情報取得部13によって取得された実際の取付情報を用いた補正を行うことによって、移動体1のマーカに対する実際の位置を取得してもよい。このように、移動体1のマーカに対する実際の位置を取得する方法には、種々の方法が存在する。
【0052】
また、本実施の形態では、取付情報の取得や、マーカを用いた位置の取得に同次変換行列を用いる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。同次変換行列を用いない方法によっても、取付情報の取得や、マーカを用いた位置の取得を行うことができることは言うまでもない。
【0053】
以上のように、本実施の形態による移動体1によれば、撮影部12の取り付けに関する取付情報の取得などを自動的に行うことができる。したがって、撮影部12の取付誤差等に関する調整を手動で行わなくても、撮影部12の取付誤差を考慮した、マーカを用いた位置の取得を自動的に行うことができるようになり、利便性が向上することになる。また、本実施の形態による治具20を用いることによって、移動体1に対して、あらかじめ決められた相対的な位置関係となる基準マーカを容易に装着することができるようになる。
【0054】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0057】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0058】
また、上記実施の形態において、移動体1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0059】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0060】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上より、本発明による移動体等によれば、撮影部の取り付けに関する較正を自動的に行うことができるという効果が得られ、自律的に移動する移動体等として有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 移動体
11 移動機構
12 撮影部
13 取付情報取得部
14 位置取得部
15 現在位置取得部
16 移動制御部
20 治具
21 治具本体
23 基準マーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7