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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】植物油けん化物組成物の製造法
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/158 20160101AFI20221006BHJP
   A23K 20/24 20160101ALI20221006BHJP
   A23K 20/189 20160101ALI20221006BHJP
   A23K 50/10 20160101ALI20221006BHJP
   C11C 1/04 20060101ALI20221006BHJP
   C11C 3/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A23K20/158
A23K20/24
A23K20/189
A23K50/10
C11C1/04
C11C3/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017253286
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2018108076
(43)【公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2016255479
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040144
【氏名又は名称】太陽油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】村山 誠之
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-204823(JP,A)
【文献】特開2014-138564(JP,A)
【文献】特開平07-147910(JP,A)
【文献】特開平06-315350(JP,A)
【文献】米国特許第09126921(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)不飽和脂肪酸を70質量%以上含むトリグリセリド、
(b)水酸化カルシウム、
(c)水、
(d)抗酸化性を有するカラメル、
(e)リパーゼ、
を混合する工程、及び
前記混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程、
を含み、
前記(a)不飽和脂肪酸を70質量%以上含むトリグリセリドに対する(b)水酸化カルシウムのモル比が1.6~2.0であり、抗酸化性を有するカラメルのDPPH抗酸化性が3000nmolTrorox当量/ml以上であることを特徴とする、
反芻動物飼料用植物油けん化物組成物の製造方法。
【請求項2】
(a)不飽和脂肪酸を70質量%以上含むトリグリセリド、
(b)(a)~(d)合計質量に対し、5~15質量%の水酸化カルシウム、
(c)(a)~(d)合計質量に対し、10質量%以下の水
(d)(a)~(d)合計質量に対し、1~10質量%の抗酸化性を有するカラメル、
(e)(a)~(d)合計100質量部に対し、0.001~0.5質量部のリパーゼ、を混合する工程及び
前記混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程、
を含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
(a)不飽和脂肪酸を70質量%以上含むトリグリセリドの質量に対する、(c)添加する水の質量比が、0.05以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
生成した脂肪酸カルシウムを含む組成物をさらに粉末状あるいは粒子状に粉砕する工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
(a)不飽和脂肪酸を70質量%以上含むトリグリセリドが、不飽和脂肪酸を70質量%以上含みかつα-リノレン酸を50質量%以上含むトリグリセリドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程後、前記反応液を容器内で室温にて静置する工程を含み、前記静置工程において、前記反応液の流し込み重量あたりの表面積(m2/kg)が0.013m2/kg以上となるようなサイズの容器を用いる、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
水酸化カルシウムと不飽和脂肪酸を70質量%以上含むトリグリセリドから製造された脂肪酸カルシウムと、抗酸化性を有するカラメルとを含み、さらにリパーゼにより処理された組成物を含み、不飽和脂肪酸を70質量%以上含む前記トリグリセリドに対する前記水酸化カルシウムのモル比が1.6~2.0であり、抗酸化性を有するカラメルのDPPH抗酸化性が3000nmolTrorox当量/ml以上である、反芻動物飼料用植物油けん化物組成物。
【請求項8】
組成物が粉末状あるいは粒子状である、請求項7記載の反芻動物飼料用植物油けん化物組成物。
【請求項9】
0.25~4mmの直径を有する粒子を80質量%以上含む、請求項7記載の反芻動物飼料用植物油けん化物組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飼料用植物油けん化物組成物ならびにその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
畜産用飼料に、エネルギー源としてトリグリセリド、脂肪酸などの油脂を混合して用いることは広く行われているが、その中でも脂肪酸の金属塩、特に脂肪酸カルシウムをエネルギー源として供給すると効率的であることが報告されている。
しかしながら、動物、特に畜産動物、更には畜産動物の中でもウシ、ヤギ、ヒツジのような反芻動物では、油脂類を多く取りすぎると消化機能が低下して肥育成績が悪化するという問題がある。そのため、反芻動物の飼料に油脂を添加するにあたり、油脂量の微調整や、飼料に対する油脂の均一性を高めることが重要である。しかし、油脂を飼料に添加する方法として、通常ミキサーなどで混合することが一般的であるが(特許文献1)、ミキサー混合では、油脂類を均一に飼料に混合することは困難である。
また、脂肪酸の金属塩を含む顆粒状粒子の製造については特許文献2に報告があるが、この文献に記載される方法で作成された脂肪酸金属塩の顆粒状粒子は、匂い及び嗜好性に劣るという問題がある。
一方、多価不飽和脂肪酸を含む油脂は栄養機能に優れているが、多価不飽和脂肪酸は酸化安定性が悪く、酸化劣化が起こりやすいという問題もある。
その為、飼料においては、エトキシキンなどの合成酸化防止剤が使用されている。
脂肪酸カルシウムを含む飼料としては、養殖魚介類の生存率を向上させるもの(特許文献3)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-125377号
【文献】特表2002-543806号
【文献】特開平11-266793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は上記従来技術の問題点を解決することである。すなわち、本発明の目的は、飼料において、油脂量の微調整において、油脂の均一性を高めることができる粒子状の不飽和脂肪酸の二価金属塩を含む植物油けん化物組成物であって、毒性の強いエトキシキンなどの合成酸化防止剤を含有せずとも酸化安定性が高く、飼料としての匂い及び嗜好性が高い飼料用植物油けん化物組成物及びその製造方法を提供することである。本発明はまた、反芻動物のような油脂量の調整が重要な動物の飼料用植物油けん化物組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドに対し、水酸化カルシウム、水、抗酸化性を有するカラメル及びリパーゼを加えて、所定温度で反応を行うことにより、上記課題を達成する脂肪酸カルシウムを含む飼料用植物油けん化物組成物を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下を提供する。
<1>
(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリド、
(b)水酸化カルシウム、
(c)水、
(d)抗酸化性を有するカラメル、
(e)リパーゼ、
を混合する工程、及び
前記混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程、
を含み、
前記(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドに対する(b)水酸化カルシウムのモル比が1.2以上であることを特徴とする、
飼料用植物油けん化物組成物の製造方法。
<2>
(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリド
(b)(a)~(d)合計質量に対し、5~15質量%の水酸化カルシウム、
(c)(a)~(d)合計質量に対し、10質量%以下の水
(d)(a)~(d)合計質量に対し、1~10質量%の抗酸化性を有するカラメル、
(e)(a)~(d)合計100質量部に対し、0.001~0.5質量部のリパーゼ、を混合する工程及び
前記混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程、
を含む、<1>記載の飼料用植物油けん化物組成物の製造方法。
<3>
(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドの質量に対する、(c)添加する水の質量比が、0.05以上である、<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>
生成した脂肪酸カルシウムを含む組成物をさらに粉末状あるいは粒子状に粉砕する工程を含む、<1>~<3>のいずれか一に記載の製造方法。
<5>
抗酸化性を有するカラメルのDPPH抗酸化性が3000nmolTrorox当量/ml以上である、<1>~<4>のいずれか一に記載の製造方法。
<6>
混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程後、前記反応液を容器内で室温にて静置する工程を含み、前記静置工程において、前記反応液の流し込み重量あたりの表面積(m2/kg)が0.013m2/kg以上となるようなサイズの容器を用いる、<1>~<5>のいずれか一に記載の製造方法。
<7>
水酸化カルシウムと不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドから製造された脂肪酸カルシウムと、抗酸化性を有するカラメルとを含む、リパーゼにより処理された組成物を含み、不飽和脂肪酸を主成分とする前記トリグリセリドに対する前記水酸化カルシウムのモル比が1.2以上である、飼料用植物油けん化物組成物。
<8>
組成物が粉末状あるいは粒子状である、<7>記載の飼料用植物油けん化物組成物。
<9>
抗酸化性を有するカラメルのDPPH抗酸化性が3000nmolTrorox当量/ml以上である、<7>または<8>記載の飼料用植物油けん化物組成物。
<10>
0.25~4mmの直径を有する粒子を80質量%以上含む、<7>~<9>のいずれか一に記載の飼料用植物油けん化物組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、酸化安定性、匂い、嗜好性に優れた飼料用植物油けん化物組成物を提供することができる。更に、本発明の飼料用植物油けん化物組成物は、成型性に優れるため、飼料用植物油けん化物組成物の用途に適した形状に成型することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の飼料用植物油けん化物組成物の製造方法は以下のとおりである。
(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリド、
(b)水酸化カルシウム、
(c)水、
(d)抗酸化性を有するカラメル、
(e)リパーゼ、
を混合する工程、及び
前記混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程、
を含み、
前記(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドに対する(b)水酸化カルシウムのモル比が1.2以上であることを特徴とする、
飼料用植物油けん化物組成物の製造方法。
【0008】
本明細書において、「飼料用植物油けん化物組成物」とは、動物用飼料に添加して用いる植物油けん化物を含む組成物である。本発明の飼料用植物油けん化物組成物は、動物類全般、例えば畜産動物に用いることができ、特に、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの反芻動物用飼料に用いられることが好ましい。反芻動物では、油脂類を多く取りすぎると消化機能が低下して肥育成績が悪化するという問題などがあるが、本発明の植物油けん化物組成物は、酸化安定性に優れているため、匂い、嗜好性に関して優れた消化機能を低下させる事がない飼料、特に反芻動物用飼料を提供することができる。
本発明の植物油けん化物組成物は、原料として配合し、飼料を製造してもよく、あるいは、家畜に給餌する際、飼料に、直接添加して使用してもよい。飼料用植物油けん化物組成物は、固形状であっても、液体状であっても、またゲル状のものであってもよいが、油脂量の微調整がし易く、飼料に対する油脂の均一性を高めることができるという観点から、粒子状あるいは粉末状であることが好ましい。
動物用飼料の原料や他の添加剤は一般に使用されているものであれば特に制限はない。
【0009】
本明細書において(a)「不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリド」とは、少なくとも一種の不飽和脂肪酸を主たる構成脂肪酸として含むトリグリセリドを意味する。
「主成分とする」あるいは「主たる構成脂肪酸として含む」とは、全構成脂肪酸質量に対して50質量%以上であることを意味する。不飽和脂肪酸を含むトリグリセリドの質量に対して、不飽和脂肪酸量は、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
【0010】
少なくとも一種の不飽和脂肪酸は、炭素数16以上、更に好ましくは炭素数18以上の長鎖不飽和脂肪酸であることが好ましい。また、不飽和結合の数は2以上であることが好ましい。より好ましくは、不飽和結合の数は3以上である。最も好ましくはn-3系脂肪酸である。具体的なn-3系脂肪酸の例としては、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。構成脂肪酸として上述した不飽和脂肪酸を含む油脂としては、アマニ油、エゴマ油、ナタネ油、大豆油、魚油、チアシード油、グリーンナッツ油等あるいはこれらの混合物、具体的には例えば、ナタネ油とあまに油の混合油、パーム油硬質部、ナタネ油及び大豆油の混合油等が挙げられる。
また、原料油脂の脂肪酸組成中のn-6/n-3質量比が30以下、好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、1以下のものが最も好ましい。
【0011】
原料油脂としては、上述した不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として有する油脂を含むものであれば良い。例えば、原料油脂は、不飽和脂肪酸を20~95質量%含むもの、好ましくは50~95質量%含むものを用いることができる。また好ましい例として、n-3系脂肪酸を好ましくは1~70質量%、より好ましくは5~70質量%、更に好ましくは10~70質量%、最も好ましくは50~70質量%含むものが挙げられる。
原料油脂には更に飽和脂肪酸を含んでいてもよい。飽和脂肪酸量は特に限定されないが、5~80質量%、好ましくは5~50質量%の範囲程度が好ましい。
【0012】
原料油脂として、動物、植物、または他の起源の油脂を含んでいてもよい。例えば、ラード、獣脂、キャノーラ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、綿実油、キャノーラ油、オリーブ油、コーン油などの植物油が挙げられる。
【0013】
(a)「不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリド」は、上述の(a)~(d)成分の合計質量に対し、65~85質量%であることが好ましく、70~80質量%であることがさらに好ましい。
【0014】
(b)「水酸化カルシウム」(Ca(OH)2)(消石灰)を上記(a)トリグリセリドに対し添加する。「酸化カルシウム」は水の存在により水酸化カルシウムになるため、「水酸化カルシウム」の代わりに「酸化カルシウム」(生石灰)を加えてもよい。
上述の(a)~(d)成分の合計質量に対し、好ましくは5~15質量%の(b)「水酸化カルシウム」を添加する。より好ましくは7~13質量%であり、更に好ましくは8~12質量%である。「水酸化カルシウム」の代わりに「酸化カルシウム」を加える場合には、分子量から「水酸化カルシウム」(分子量74)に換算して上記量となるように「酸化カルシウム」(分子量56)を加えることが好ましい。
【0015】
(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドに対する(b)水酸化カルシウムのモル比は、反応効率、得られた組成物の成形性その他の性状に影響を及ぼすことから、一定の範囲内であることが好ましい。具体的には、(a)不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドに対する(b)水酸化カルシウムのモル比は、1.2以上であり、1.3~2.3であることが好ましく、1.5~2.0であることがさらに好ましい。
なお、モル比の計算において使用する油脂の分子量は、油脂中の脂肪酸組成の分析値を基に、各脂肪酸分子量とそれぞれの質量%を掛けたものを平均脂肪酸分子量として計算し、平均脂肪酸分子量を有する脂肪酸がトリグリセリドになったと仮定して分子量を算出する。例えば、パルミチン酸(C16:0)とステアリン酸(C18:0)が50質量%ずつ脂肪酸として含まれる油脂の平均脂肪酸分子量は、270(256×0.5+284×0.5)であるから、分子量は、そのトリグリセリドとして計算して、848(270×3-92-(18×3))である。
【0016】
本明細書において(c)「水」(添加水)は、反応溶媒としての役割も果たす。また、酸化カルシウムを使用した場合には、酸化カルシウムと反応して水酸化カルシウムを提供するものである。「水」は蒸留水、脱イオン水、水道水など適宜使用することができる。上述の(a)~(d)成分の合計質量に対し、10質量%以下の水を添加することが好ましく、9質量%以下の水を添加することがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。また、水の量の下限値は1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、6質量%以上であることがさらにより好ましい。
【0017】
本発明において(c)「水」と、(a)「不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリド」の質量比は、脂肪酸の二価金属塩への反応効率、得られた組成物の成形性その他の性状に影響を及ぼすことがある。特に型枠に入れる際に、油とカラメルを含む水相部が分離しやすいため、(a)「不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリド」に対する(c)「水」の質量比は、0.05以上であることが好ましく、0.05~0.50程度であることが更に好ましく、0.07~0.30がより好ましく、0.08~0.20が更になお好ましく、0.08~0.15が更により好ましい。
【0018】
本発明において(d)「抗酸化性を有するカラメル」とは、糖類を加熱処理することにより得られる抗酸化性を有するカラメルであり、特開平8-312224号に記載されるカラメルを代表的なものとして挙げることができる。
(d)「抗酸化性を有するカラメル」は、上述の(a)~(d)成分の合計質量に対し、1~10質量%であることが好ましく、2~7質量%であることがさらに好ましい。
【0019】
本明細書において、カラメルの抗酸化性は、カラメルと1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)との反応性により評価したものをいう。すなわち、適量のカラメルをエタノール4mlに溶解し、これに0.5mM DPPHエタノール溶液1mlを加え、37℃で30分間保持した後、517nmの吸光度を測定し、カラメル1mg当たりの吸光度の減少量を求めた。また、同様にTroroxを溶液のDPPH抗酸化性を測定し、カラメル1mg当たりのTrorox当量を求めた。脂肪酸カルシウムを含む組成物中の不飽和脂肪酸の酸化に対する安定性の観点から、3000nmolTrorox当量/ml以上であることが好ましく、4000nmolTrorox当量/ml以上であることがより好ましく、5000nmolTrorox当量/ml以上であることがさらに好ましい。3000nmolTorox当量未満の抗酸化性の低いカラメルでは、脂肪酸カルシウムを含む組成物へ多く添加する事が必要となり、粉状成型可能な脂肪酸カルシウムを製造する事が困難となるからである。
【0020】
「抗酸化性を有するカラメル」は、グルコースの高濃度水溶液を、塩基性化合物の存在下、好ましくは100℃以上、より好ましくは120~150℃で加熱することにより得られる。加熱時間は、好ましくは1~10時間、より好ましくは2~8時間程度であることが好ましい。
得られたカラメルのpHは、5以下であることが好ましい。
【0021】
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸やクエン酸等の有機酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)またはアンモニウム塩、及び水酸化アンモニウムが挙げられる。
【0022】
この際、加熱処理前の水溶液のpHは、好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上、最も好ましくは9以上である。反応温度(加熱処理温度)が120℃より低いと反応が充分に進行しない。また150℃より高いと反応系が固化・炭化するおそれが大きくなるだけでなく、得られたカラメルの抗酸化性が低くなるので好ましくない。好ましい反応温度は125~135℃であり、最も好ましい反応温度は130℃前後である。また、塩基性化合物の量が1質量部より少ないと反応が充分に進行しない。すなわち、抗酸化性を有するカラメルが得られない。また10質量部より多いと、反応が激しく進行し、気泡が多量にしかも短時間に発生し、反応容器からふきこぼれる恐れがあるなど危険性が生じる。反応時間が1時間未満では反応が充分に進行しない場合がある。また反応時間が長くなるにつれて、反応が進行して徐々に粘性が増加する傾向にある。
【0023】
本発明の製造方法では、上記(a)~(d)成分を混合した後、その後ケン化反応を行う。このとき、(a)~(d)成分の合計100質量部に対し、0.001~0.5質量部のリパーゼを添加することが好ましい。反応条件あるいはリパーゼの活性等により異なるがより好ましくは0.01~0.1質量部である。
ケン化工程は60℃以下で行う事ができ、好ましくは、30℃~45℃に加温しながら均一に混合、攪拌して反応させる。
本明細書において「リパーゼ」とは、動物、植物、微生物起源、何れのリパーゼを使用することができ、限定されないが、アルカリ性において油脂分解力の強く、耐熱性の高いものが好ましい。微生物起源のリパーゼとして、天野エンザイム リパーゼAY「アマノ」30SD、リパーゼR「アマノ」、リパーゼA「アマノ」6、リパーゼMER「アマノ」、リパーゼDF「アマノ」15、リパーゼG「アマノ」50、名糖産業 リパーゼMY、リパーゼOF、リパーゼPL,リパーゼPLC、リパーゼQLM,リパーゼQLC、ノボザイム社 リポザイムTL 100L、リポザイムCALB L、Palatase2000Lなどが挙げられ、リパーゼの添加量は油脂分解力により添加量を調整する事が可能である。
【0024】
リパーゼにより処理された組成物とは、製造方法について述べたとおり、リパーゼによりケン化工程を行ったものを指すが、ケン化の条件(リパーゼの有無)により、得られる組成物の成型性(成型の可否)、あるいは匂いや(反芻動物による)嗜好性が異なる(下記実施例参照)。このような成型性、匂い、あるいは(反芻動物による)嗜好性などは、処理により得られた組成物中の成分等の違いによるものと思われるが、その成分は複雑であり、その分析は困難である。
【0025】
本発明の飼料用植物油けん化物組成物は、水酸化カルシウムと不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドから製造される脂肪酸カルシウムと、抗酸化性を有するカラメルとを含む、リパーゼにより処理された組成物を含み、前記水酸化カルシウムと不飽和脂肪酸を主成分とする前記トリグリセリドのモル比が1.2以上である飼料用植物油けん化物組成物である。
【0026】
本発明において、組成物中に含まれる全ての「水」の量((c)として添加する水に加えて、(b)及び(d)などその他の成分にも含まれる水の量を合計した量、以下、「換算水量」とも呼ぶ)と、(b)「水酸化カルシウム」の質量比は、反応効率、得られた組成物の成形性その他の性状に影響を及ぼすことから、0.5~2.0程度であることが好ましく、0.7~1.7がより好ましく、0.8~1.3が更に好ましく、0.9~1.2が更により好ましい。
【0027】
本発明の飼料用植物油けん化物組成物は、好ましくは粉末状あるいは粒子状である。好ましくは、0.25~4mmの直径を有する粒子を80質量%以上含み、更に好ましくは、0.25~2mmの直径を有する粒子を80質量%以上含む。粒子径がかかる範囲にあると、ルーメンバイパス性が良く、第4胃での消化性も良好である。
脂肪酸カルシウムを含む組成物を作成するに当たり、ブロック状に成型し、更に係る粒子径の粒子を得るためには、脂肪酸カルシウムを含み組成物を生成する工程での組成物の硬度が10000以上であり、表記硬度の組成物は、ハンマ-クラッシャーなどの粗砕機による粉砕が好ましい。
また、他の実施態様において、本発明の飼料用植物油けん化物組成物は、好ましくは粒子状であり、更に好ましくは、0.25~2mmの直径を有する粒子を80質量%以上90質量%以下の範囲で含み、2~4mmの直径を有する粒子を10質量%以上20質量%以下の範囲で含む。
【0028】
本発明の飼料用植物油けん化物組成物は、混合物を60℃以下の温度で反応させて脂肪酸カルシウムを含む組成物を生成する工程後、前記反応物を容器内に流し込んで、室温にて静置する工程を含んでいてもよい。
前記静置工程において、前記容器のサイズと流し込む反応液の重量は、変色なくきれいに固化するような条件において行うことが好ましい。例えば、反応液を容器(素材:ステンレス(熱伝導率16.7W/(m/k))に流し込み、室温で30時間静置して、固化した混合物を容器から取り出す場合、反応液の流し込み重量あたりの表面積(m2/kg)が0.013m2/kg以上となった場合には固形物の状態が良好になるため好ましい。反応液の流し込み重量あたりの表面積(m2/kg)は、より好ましくは0.013m2/kg~1m2/kg、さらにより好ましくは0.013m2/kg~0.5m2/kgである。
【実施例
【0029】
[カラメル製造例1]
25質量部の水、80質量部の糖類(グルコース)、5質量部の塩基性化合物(クエン酸ナトリウム)を混合し、130℃で3時間反応させ、最後に水40質量部を加えカラメル1 120質量部を得た。
[カラメル製造例2]
25質量部の水、80質量部の糖類(キシロース)、5質量部の塩基性化合物(クエン酸ナトリウム)を混合し、130℃で3時間反応させ、最後に水40質量部を加えカラメル2 120質量部を得た。
[カラメル製造例3]
25質量部の水、80質量部の糖類(グルコース)、5質量部の塩基性化合物(クエン酸ナトリウム)を混合し、130℃で2時間反応させ、最後に水40質量部を加えカラメル3 120質量部を得た。
[カラメル製造例4]
25質量部の水、80質量部の糖類(グルコース)、5質量部の塩基性化合物(炭酸ナトリウム)を混合し、130℃で3時間反応させ、最後に水40質量部を加えカラメル4 120質量部を得た。
【0030】
[実施例1]
あまに種子から抽出したオイルを脱酸、脱色して精製したアマニ油78質量部に、消石灰(水酸化カルシウム)10.6質量部を加え、混合槽内で混合撹拌した。
前記混合物に、抗酸化性を有するカラメル(製造例1で製造したカラメル1)4質量部、水7.4質量部、リパーゼ(アマノAK)0.02質量部を加えた混合物11.42部を混合し、液温を40℃に加温し、さらに30分間撹拌し、混合槽タンクよりブロック状の固体物を容器に取りだした。
容器は、室温で30時間静置し、固化した混合物を容器から取り出し、ハンマーミル粉砕装置を用い、細かく粒状化して、粒状の植物油けん化物組成物を得た。得られた粒状物の粒子径を篩分け法により測定したところ、表4の粒径分布を示した。
【0031】
[実施例2~5](実施例35は参照例である。)
表1の原料配合を用いた以外は、実施例1と同様にして粒状物を作成した(表1参照)。
【0032】
[比較例1]
水酸化カルシウム、水、及び抗酸化性カラメルの量を表1に記載のとおり変えた以外は、実施例1と同様にして、粒状物を作成した(表1参照)。
【0033】
[比較例2]
水酸化カルシウム、水、及び抗酸化性カラメルの量を表1に記載のとおり変えた以外は、実施例1と同様にして、粒状物を作成した。
【0034】
[比較例3]
あまに油脂肪酸51.3重量部に、レシチン7.7重量部を加え、よく撹拌して、溶解分散させ、酸化カルシウム15.4重量部を加え、混合し、水25.6重量部を加え、撹拌しながら反応させた。得られた反応液は、80℃で3時間乾燥し、組成物を調製した。
【0035】
[比較例4]
水酸化カルシウム、水、及び抗酸化性カラメルの量を表1に記載のとおり変え、リパーゼを加えない点を除いて、実施例1と同様にして、粒状物を作成した(表1参照)。
取り出した混合物は、液状であり、50時間経過後も、固化せず、粉砕できなかった。
【0036】
[比較例5]
パーム油由来の脂肪酸PPFD 56.9重量部とアマニ油14.6重量部をよく撹拌して、混合し、酸化カルシウム14.6重量部を加え、混合し、水25.6重量部を加え、撹拌し混合した。得られた混合液を、エクストルーダー中で、150℃で加熱し、反応させた、アマニ油とパーム油脂肪酸混合脂肪酸のカルシウム塩組成物を調製した。
【0037】
[比較例6]
アマニ油脂肪酸70重量部をよく撹拌して、混合し、酸化カルシウム15.0重量部を加え、混合し、水15.0重量部を加え、撹拌し、混合した得られた混合液を、エクストルーダー中で、60℃で加熱し、反応させた、アマニ油脂肪酸のカルシウム塩組成物を調製した。
【0038】
[比較例7]
アマニ油脂肪酸77重量部をよく撹拌して、混合し、酸化カルシウム11.5重量部を加え、混合し、水11.5重量部を加え、撹拌し、混合した得られた混合液を、エクストルーダー中で、150℃で加熱し、反応させた、アマニ油脂肪酸のカルシウム塩組成物を調製した。
【0039】
実施例1~5及び比較例1~7の植物油けん化物組成物について以下の評価を行った。
<脂肪酸のカルシウムとの反応割合の評価>
植物油けん化物組成物の脂肪酸カルシウムの生成割合は、カルシウムと反応しなかったトリグリセリドを、ガスクロマトグラフによる総炭素数分析の結果より求めた。
より具体的には、植物油けん化物組成物の反応前の状態のトリグリセリド質量に対する、植物油けん化物組成物の原料由来のトリグリセリド質量を求め、反応前の状態のトリグリセリド質量と原料由来のトリグリセリド質量が同じ場合には、反応率0%とした。また、植物油けん化物組成物の原料由来のトリグリセリドが、検出されない場合を反応率100%として計算した。
【0040】
<ブロック硬度>
高さ3センチ半径センチの円柱状の容器内で固化した混合物を、30時間静置後、1センチの円柱状治具を、1mm侵入させ、その際の応力を硬度としてレオメータにより、評価した。
【0041】
<成形可否>
成型の可否は、容器に流し込んだ固化物の粉砕機の処理状態を評価した。
○:粉砕機で粉砕できた。
×:粉砕機で粉砕できなかった。
【0042】
<匂い>
脂肪酸カルシウムを含む組成物は、其々室温に保管し、官能評価した。
○:カラメル様の香ばしい風味がする。
×:鼻を衝く刺激臭がする。
【0043】
<嗜好性>
10頭の牛に給餌した際、残飼なく食したかどうかにより評価した。
○:残さず食した
×:半分以上残した
【0044】
上記評価結果を表3に記載した。
水酸化カルシウムと不飽和脂肪酸を主成分とするトリグリセリドから製造された脂肪酸カルシウムと、抗酸化性を有するカラメルとを含み、さらにリパーゼにより処理された組成物を含み、前記水酸化カルシウムと不飽和脂肪酸を主成分とする前記トリグリセリドのモル比が1.2以上である、本発明の飼料用植物油けん化物組成物は、成型可能であり、匂い、嗜好性、酸化安定性において優れたものであった。
一方、抗酸化性を有するカラメルを用いても、油脂に対する水酸化カルシウムのモル比が1.2未満であるか、あるいは、リパーゼにより処理されていない組成物は、液状で固化できなかった(比較例1、2及び4)。また、抗酸化性を有するカラメルを用いない場合、成型は可能であったが、保管中に過酸化物価が上昇し、匂い、嗜好性において許容できないものであった(比較例3,5~7)。
【0045】
上記実施例で使用したアマニ油、及び、ナタネ油、大豆油、油脂A(ナタネ油・あまに油の混合油)、油脂B(パーム油硬質部・ナタネ油・大豆油の混合油)、パーム油硬質部の脂肪酸組成を表2に示した。
【0046】
[実施例12~15及び比較例12]
実施例1において使用したアマニ油を、表2に記載した、ナタネ油、大豆油、油脂A(ナタネ油・あまに油の混合油)、油脂B(パーム油硬質部・ナタネ油・大豆油の混合油)、またはパーム油硬質部に変えた以外は、実施例1と同じ方法により、植物油けん化物組成物を製造した(実施例12~15及び比較例12)。
【0047】
各組成物の「反応液の容器への流し込み評価」として、実施例1と同様に、混合液を40℃に加温し、30分間撹拌し、混合槽タンクより、(ブロック状)容器に取りだす際の状態を評価した(表2)。
○:混合槽タンク内の混合液を容器に取り出す事ができた。
△:混合槽タンク内の混合液の粘度が高く、混合液すべてを型枠へ流し込むのに時間がかかった。
×:混合槽タンク内で、塊が生じ、混合液すべてを型枠へ流し込みする事が困難であった。
【0048】
<飼料添加物を給餌した牛の肉の官能評価の変化>
次に、各植物油けん化物組成物を26ヶ月齢まで4ヶ月間一日200g給餌した肥育牛から採取したロース部位の焼成牛肉の嗜好評価を行った。評価は5人のパネラーにより以下の基準に基づき行った(表2)。
○:パネラーの60%以上が給餌により肉の味が変化したと評価
×:味が変化したと評価したパネラーが30%以下
【0049】
[実施例16~18及び比較例13~16]
実施例1のカラメル1に代えて、カラメル2~4を表5に記載の量において用いて実施例1と同様に植物油けん化物組成物を製造した(実施例16~18)。また比較例として、カラメル無添加(比較例13)、あるいは、糖蜜のみ(比較例14)、市販のカラメルKH(比較例15)及びカラメルDY-50(比較例16)を表5に記載の量において用いて実施例1と同様に植物油けん化物組成物を製造した。
実施例1、16~18及び比較例13~16の植物油けん化物組成物について以下の表かを行った。
【0050】
<抗酸化性測定>
抗酸化性測定は、カラメルと1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)との反応性により評価した。すなわち、カラメルをエタノール4mlに溶解し、これに0.5mM DPPHエタノール溶液1mlを加え、37℃で30分間保持した後、517nmの吸光度を測定し、吸光度の減少量を求め、カラメルの濃度と吸光度の減少率が直線となる濃度範囲を求め、その濃度範囲でカラメル1mg当たりのトロロックス当量をカラメルの抗酸化性の評価基準とした。具体的には、例えばカラメル1については、0.003mg/ml~0.015mg/mlの範囲で吸光度の減少率が直線となるのでこの範囲で測定した。この数値が大きいほど、抗酸化性が優れている(表5)。
【0051】
<酸化安定性試験 過酸化物価(POV)>
40℃の恒温槽に、アルミパウチ袋に充填した及びクラフト紙に充填したカラメル組成物を保存し、調製直後に充填し、製造直後、2週間後、1ケ月後、2ケ月後、4ケ月後、6ケ月後のPOV(過酸化物価)をそれぞれ測定した。測定は、日本油化学協会編、基準油脂分析試験法に準じた。
各POV値を指標として酸化安定性を以下のように評価した(表5)。
○:POV値が6~10の範囲
◎:POV値が0~55の範囲
【0052】
[製造例1A~1E]
さらに、実施例1の混合液を40℃に加温し、30分間撹拌し、混合槽タンクより取りだす際、異なる容量の容器(素材:ステンレス(熱伝導率16.7W/(m/k))に流し込み(製造例1A~1E)、室温で30時間静置して、固化した混合物を、容器から取り出した際の固形物の状態を以下の指標に基づいて評価した(表6)。
【0053】
<固形物の状態>
○ 流し込んだ反応液の固化物は、変色なくきれいに固化した。
△ 流し込んだ反応液の固化物は、一部変色が見られた。
× 流し込んだ反応液の固化物は、変色が著しく、匂いが変化した。
容器のサイズに対して容器への流し込み重量が多い場合(流し込み重量あたりの表面積(m2/kg)が小さい場合)、固形物の変色が著しく、匂いが変化し、粉砕した植物油けん化物組成物は嗜好性の劣るものであった(製造例1D及び1E)。流し込み重量あたりの表面積(m2/kg)が0.013m2/kgより大きくなると固形物の状態が良好になった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】