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▶ ラッセル エナジー コーポレーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】圧力ブーストを伴う内燃機関/発電機
(51)【国際特許分類】
   F02B 75/32 20060101AFI20221006BHJP
   F02B 75/10 20060101ALI20221006BHJP
   F02D 19/12 20060101ALI20221006BHJP
   F02B 63/04 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
F02B75/32 E
F02B75/10 Z
F02D19/12 A
F02B63/04 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017568231
(86)(22)【出願日】2016-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-19
(86)【国際出願番号】 US2016033701
(87)【国際公開番号】W WO2017003578
(87)【国際公開日】2017-01-05
【審査請求日】2019-05-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】14/754,060
(32)【優先日】2015-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511199088
【氏名又は名称】ラッセル エナジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル,ロバート エル
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】水野 治彦
【審判官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-138661(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/55984(US,A1)
【文献】特開2013-24094(JP,A)
【文献】特許第3994133(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B75/28
F02B75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮ストローク及びパワーストロークを行う間のカム軌道構造式内燃機関の性能及び効率を改善する方法であって、
少なくとも1個のシリンダー内で軸線方向に可動なピストンを前記シリンダーに設けるステップと、
前記圧縮ストロークの中で前記シリンダー内で前記ピストンを移動させるステップと、
前記シリンダー内の前記ピストンのストロークの頂部の所定位置で前記ピストンの直線運動を停止させるステップと、
空気と燃料との混合物を燃焼させることで、前記シリンダー内で圧力を上昇させるステップと、
前記空気と前記燃料との前記混合物の前記燃焼の前、前記燃焼中及び前記燃焼の後に前記シリンダー内に、液体の水を含む急膨張する媒体を導入するステップであって、前記急膨張する媒体は、前記空気と前記燃料との前記混合物の前記燃焼中及び前記燃焼の後に体積が増加した気体になり、これにより、前記シリンダー内の前記圧力をさらに上昇させ、前記シリンダー内の温度を低下させ、前記パワーストロークに追加のパワーを提供するステップと
前記所定位置の前記ピストンを解放するステップを備え、これにより前記ピストンが前記パワーストロークを開始する、ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
早期の点火に伴う負の回転力を除去するために、前記ピストンが前記ピストンのストロークの前記頂部の位置で停止される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ピストンが、無端のカム軌道構造を用いて前記ピストンのストロークの前記頂部で停止される請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ピストンの加速及び減速の値は、独立的に制御され、エネルギー生成を増大させる請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ピストンの前記加速及び減速の値が、燃料タイプに基づいて予め定められている請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記空気と前記燃料との前記混合物の完全な燃焼の前に、前記ピストンが前記パワーストロークを開始する請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記パワーストロークの利用可能な長さが延ばされる請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記シリンダー内の前記温度が、NOxの生成を除去するために低下される請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記急膨張する媒体が、単一のバースト噴射又は複数回のバースト噴射で前記シリンダー内に導入される請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ピストンを解放した後に、前記単一又は複数回のバースト噴射の少なくとも一部が導入される請求項9記載の方法。
【請求項11】
圧縮ストローク及びパワーストロークを有する改良されたカム軌道構造式内燃機関であって、
少なくとも1個のシリンダーと、
前記シリンダー内で軸線方向に可動であり、少なくとも1個のカム軸受を有するピストンと、
前記少なくとも1個のカ軸受によって駆動され又は前記少なくとも1個のカム軸受を駆動し、前記圧縮ストローク及び前記パワーストロークを行う間に前記ピストンの独立的移動及び加速又は減速を許容するように構成されている無端のカム軌道と、
空気及び燃料を前記シリンダーに導入し、前記圧縮ストロークの間に前記空気及び燃料を圧縮する手段と、
前記空気及び燃料を燃焼して前記パワーストロークを開始し、前記空気及び燃料の燃焼によって前記ピストン及び前記カム軸受を駆動する手段と、
前記燃焼の前、前記燃焼中及び前記燃焼の後に前記シリンダー内に液体の水を含む急膨張する媒体を導入する手段とを備え、前記媒体は、体積が増加した気体になり、前記シリンダー内の圧力を上昇させ、前記シリンダー内の温度を低下させ、さらに前記ピストンを駆動する、改良されたカム軌道構造式内燃機関。
【請求項12】
前記カム軌道は、前記ピストンのストロークの頂部における少なくとも1回の停止で、前記ピストンの前記独立的移動及び前記加速又は減速を許容する請求項11記載の改良されたカム軌道構造式内燃機関。
【請求項13】
前記ピストンのストロークの前記頂部における前記少なくとも1回の停止は、前記燃焼の少なくとも一部のために前記ピストンのストロークの前記頂部に前記ピストンの位置を固定する請求項12記載の改良されたカム軌道構造式内燃機関。
【請求項14】
前記ピストンのストロークの前記頂部における前記少なくとも1回の停止は、前記ピストンの前記移動と前記加速との間の時間を制御する請求項12記載の改良されたカム軌道構造式内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、内燃機関の性能及び効率を改善する方法、及び内燃機関の燃料効率を改善する方法に関する。
【0002】
近年では世界の人口がますます増加し、エネルギーへの需要も絶えず大きくなっている。化石燃料を消費してエネルギーを生成することは物理的には容易であり、個人にとって簡便であり、現在は比較的安価であるが、空気には変化が起きている。今日では以前よりも化石燃料は多く消費され、需要は常に上昇しているが、その一方、人間にとって残された資源は減り続けている。また、化石燃料の使用に関して引き起こされた、今では周知のものとなった意図されない現象、例えば大気汚染、地球温暖化などが起きている。人間が必要とするものだけを使用し、使用できるもの全てを将来の世代のために節約することは、地球の管理者としての人間の責任である。
【背景技術】
【0003】
1876年のオットーサイクルエンジンの発明以来、内燃機関(IC engine)の構成は、多くの開発と進歩を経ている。しかし一般の自動車に用いられる内燃機関は、その139年にわたる絶え間ない発展の後にさえ、約20%の効率しか得られていない。熱エネルギーの相当の量が、無駄に廃棄されてしまう。この無駄になった熱エネルギーを使用可能なエネルギーに変換することが、本発明の主要な着眼点の一つである。
【0004】
今日の内燃機関の基本構成は、それほどは変わっていない。よく知られている内燃機関は、2,4,8,さらに16気筒のものがある。しかしこれらの一般的な内燃機関は、同じ基本構成を有している。ピストンは、燃焼室内で空気・燃料燃焼の圧力によってシリンダー内で下方向に(前述の燃焼室から遠ざかって)押し下げられ、接続ロッドが、偏心での力を(ピストンとクランク軸との両方に取り付けられた)クランク軸に加えてこれを回転させる。エンジンの外部で仕事をするのに必要な、エンジンの外部での機械的回転力を与えるために、回転するクランク軸は直接に(プロペラ、ポンプ、発電機などに)又は間接に(まずクラッチ又はトランスミッションに、次に車輪、ホイスト、掘削装置などに)結合されている。
【0005】
最も一般的に用いられるエンジン(自動車、小型飛行機、バス、トラックなどに使用されるもの)は、ガソリン又はディーゼル駆動であって4,6,8気筒、4サイクルのエンジンである。この(エンジンの最も広く用いられるグループに該当する)動作と問題点を説明する目的のために、ここでは、標準的なガソリン燃料を使い、スパーク点火を用いた4サイクル自動車エンジンに注目することとする。
【発明の概要】
【0006】
このタイプのエンジンの典型的な問題は、下記のいくつかのものがある。
【0007】
1.作動速度がある。すべての内燃機関の特徴的機能は、(エンジンのクランク軸への取り付けによって)エンジンの外へ回転の機械的エネルギーを与えることである。大多数の自動車の構造は、内燃機関を要し、また内燃機関の作動速度の大きな変化を要する。(例えば、通常の自動車の構造で用いられるエンジンは、600~6000rpmで作動する。)内燃機関の低速作動及び高速作動の両方が、出力パワーと燃料効率とのレベルを大きく減少させ、汚染レベルを大きくするので、内燃機関の作動速度を変化させることは、明らかに望ましくないものである。
【0008】
a.これと対照的に、本発明のエンジンは、相対的に固定した速度で作動するように特に構成したものであり、その構造パラメーターが燃焼効率、出力パワー、燃料効率を最大化させ、作動中に常に汚染物質の生成を削減又は除去する。
【0009】
2.クランク軸である。従来の内燃機関(特に多気筒への適用例)でのクランク軸の使用は、ピストン移動の全ての様相が同じであることを必要とする。クランク軸は、各種の条件が動作の各サイクル中に、同じであり続けることを必要とする。この条件は即ち、動作の各サイクル中のピストンストロークの全長、動作の各サイクル中のピストン加速、減速の率、また動作の各サイクル中にかかる時間である。
【0010】
a.これと対照的に、本発明の好ましい実施形態のカム軌道構造は、本構造で与えられる動作の4(+)サイクルの各サイクル中に独立的に、ピストンの移動・非移動の多様な種類を許容するように、特に構成したものである。
【0011】
3.作動のサイクルである。4サイクルエンジン(最も一般的な構造)は、完全な1回の燃焼の事象の間に要する4個の異なる個別の機能を与える。この4サイクルとは、吸気サイクル(燃焼室から遠ざかるピストンの外向きの移動)、圧縮サイクル(燃焼室に向かうピストンの内向きの移動)、燃焼サイクル(これは唯一のパワーを発生させるストロークであり、燃焼室から遠ざかるピストンの外向きの移動である)、排気サイクル(燃焼室に向かうピストンの内向きの移動)を含む。前述の各サイクルは、シリンダー内で、4回の別々であって同一のピストン移動で(シリンダー内でのピストン移動の方向は例外であるが)決定付けられる。ピストンの前述の各サイクルは、クランク軸の180度の回転を要する。従って、一つの燃焼の事象を完了させるために、クランク軸は全部で720度の回転、即ち2回転しなければならない。
【0012】
a.これと対照的に、本発明の好ましい実施形態のエンジンは、追加されたシリンダーパージ・冷却サイクル、シリンダーの前圧縮及び圧力ブーストのプロセスと組み合わせて、4個の通常の独立の動作サイクル(吸気、圧縮、燃焼及び排気)をそれぞれ実行することができる。その一方で、圧縮サイクル中はピストンを燃焼室に向けて内向き方向に1回だけ動かし、燃焼・圧力ブーストサイクル又はパワーストローク中はピストンを燃焼室から外向き方向に1回だけ動かす。さらに、圧縮サイクル中のピストンの内向きの移動は、独立して設定することができ、圧縮プロセスにわたって、最も効率のよい速度と加速度とを与えることができる。同様に、燃焼・圧力ブーストサイクル又はパワーストロークの間のピストンの外向きの移動は、独立して設定することができ、燃焼、圧力ブースト及びパワーストロークのプロセスの間に最も効率のよい速度と加速度とを与えることができる。さらに、上述した完全な燃焼サイクルのそれぞれが、本発明のエンジンで実行可能である。即ち、エンジンのただ1回転の間に最低2回、従って、同じ気筒数の従来のオットーサイクルエンジンと同じ速度で走行したときに、シリンダー当たりの燃焼と圧力ブーストとの事象数の(少なくとも)4倍だけ実行可能である。
【0013】
4.動作のサイクルについてさらに述べる。上記の項目3で触れたように、従来の4サイクルエンジンの動作に関しては、各サイクルは、シリンダー内のピストンの4回の別々であって同一の動きで規定される。これは回転するクランク軸とのピストンの相互作用に依存して行われる。残念ながら、互いに完全一致するような形で、動作のサイクルのそれぞれを構成することは望ましくない。この問題をよりよく理解するのに、燃焼サイクルに着目することにする。これは実際に作動用のパワーを発生させる唯一のサイクルである。ピストン移動は、常にクランク軸に依存して行われ、ピストン方向の反転は常に180度あるものであるが、燃焼サイクルは180度より大きくなりうる。燃焼サイクルの下向きのピストンストローク中に、シリンダー内で最大の作動用の圧力を作用させるためには、クランク軸の上死点位置(TDC)にピストンが達する約12度だけ前に、燃焼プロセスを開始することが必要である。エンジン速度が大きくなるにつれて、燃焼サイクル中で燃料を十分に燃焼させるのに十分な時間を与えることを考えると、TDCよりもっと前であってもスパークを生じさせる必要がある。通常のエンジンでは、ピストンの移動が非常に速いため、ピストンがTDCを約20度越えた位置に達するまでは、燃料は完全に消費されない。エンジンの高速動作の間には、ピストン移動が非常に速いため、燃料は決して完全に消費されない。この一連の事象に伴う最も明らかな問題は、もしスパークがTDCより12度手前で(高速動作の間はさらに初期に)開始された場合は、シリンダー内の空気・燃料混合体の燃焼が、まだ圧縮サイクル中であっても、ピストンの上昇の間に開始されることを意味することである。従って、空気・燃料混合物の初期の燃焼による圧力(燃焼サイクルの終わりの間にシリンダー内で既に高くなった圧力に加えられるもの)は、TDC位置に向けてなお上昇しようとする間に、ピストンの面に対する一層大きな下向きの圧力をさらに増し続ける。これは負の回転力であり、エンジン速度を低くし、エンジン出力パワーを小さくし、追加燃料の消費を必要とする。
【0014】
a.これと対照的に、本発明の好ましい実施形態のエンジンは、TDC、即ち圧縮サイクルの完了の前に空気・燃料混合物を点火する必要をなくしている。カム軌道構造で得られる構造上の大きな柔軟性のために、ピストンは、最初にTDC位置に自由に達することが許容される。これによりプロセス中に負の回転力を発生させることはない。TDCで点火が開始すると、ピストンの下降運動がもっとも望ましく効果的であるレベルで、空気・燃料混合物の燃焼が完了した時点、あるいは部分的に完了した時点まで、ピストンは、シリンダー内で相対移動が停止される。上述した普通のクランク軸エンジンと違って、カム軌道は、ピストンが下降することを許容された直後、及び使用可能なストロークの終端までの下降の間に、正方向の回転力を与える。前述の普通のクランク軸エンジンと違って、本発明の好ましい実施形態のカム軌道の構造は、エンジン速度を上げ、出力パワーを上げ、燃料消費を下げる。
【0015】
5.過去にクランク軸スタイルのレシプロピストンエンジンと同様、回転式エンジンもいくつかあった。これは、水噴射システムを用いて、生成されるパワーの増大、エンジン温度の低温化、NOx排出の削減を目指して試みられたものである。しかしこれらの改良は、クランク軸内燃機関の他のタイプと同じ限界をきたしてしまう。
【0016】
a.本発明のエンジンの好ましい実施形態において、効果的な動作と燃焼効率との鍵となる特徴は、持続性にある。動作の各サイクルの全ての時点でシリンダー内でのピストン移動の、常に可変で完全に独立的な制御を備えている、相対的に固定速度であるカムスタイルの特有なエンジンの組み合わせによれば、燃焼プロセスが完全に独立で予想可能な制御となることを可能にし、持続性をもって熱エネルギーの生成を最適化する。さらに、このカムスタイルの特有なエンジン構造は、パワー変換プロセスから完全に独立した制御を与え、回転力の生成をさらに最適化し、出力パワーの生成を最大限にする。上述した特徴の組み合わせは、別々に予想可能であって独立して制御可能な直接の水(又は急膨張する媒体)の噴射の特徴と、さらに組み合わせられ、下記の動作を効果的に行う手段を提供する。
【0017】
i.空気・燃料混合物の点火中にシリンダー内でストロークの頂点でピストンの直線移動を停止させることができ、燃焼室に対してピストンが出入りすることを許容する前に、気体の許容最高温度が達成される時間まで、その位置を保持し、これによりエネルギー生成を最大にすることができる。
【0018】
ii.水(又は他の急膨張する媒体)の噴射で燃焼プロセスの間と後とにシリンダー内の気体の許容最高温度を制限することができるので、シリンダー内のNOxガスの生成を制御、又は除去できる。
【0019】
iii.熱を生成する燃焼プロセスの間と後に、シリンダー内で2次的な蒸気(又は他の急膨張する媒体)の発生事象を付加することで、燃焼プロセスの間と後にシリンダー内の圧力を高めることができるので、より多くの利用可能な出力パワーを得ることができる。
【0020】
iv.2次的な蒸気(又は他の急膨張する媒体)の発生事象及び燃焼ガスの気体体積の増加と、圧力の組み合わせの間接的結果として、燃焼・パワーストロークの間にシリンダー内でピストンストロークを大きくすることができるので、より多くの利用可能な出力パワーを得ることができる。
【0021】
v.延長されたピストンストロークにわたってピストン速度の独立制御により燃焼の事象の間と後に、熱エネルギーの利用可能な仕事への変換を最大化できるので、より多くの利用可能な出力パワーを得ることができる。
【0022】
vi.従来のクランク軸エンジンで必要とされる燃焼サイクル中のシリンダー内の空気・燃料混合物の早期の点火で引き起こされる、無駄になる燃料やパワーをなくすことができる。
【0023】
vii.従来のクランク軸エンジンの高速動作の間に、シリンダー内の空気・燃料混合物の不完全な燃焼に起因する、無駄になる燃料やパワーをなくすことができる。
【0024】
viii.従来のクランク軸エンジンの低速動作の間には普通に起きる、空気・燃料混合物の乏しい燃焼特性に起因する、無駄になる燃料やパワーをなくすことができる。
【0025】
ix.(環境友好的な膨張の副産物、又は蒸気に、水、又は他の急膨張する媒体を変換する熱エネルギーを用いることで)エンジンの作動温度を下げるので、さらなる冷却システムの必要性を小さくしたり、なくしたりすることができる。
【0026】
x.適切な急膨張する媒体、又は水を、膨張に起因する環境友好的な副産物、又は蒸気に変換するために、燃焼プロセスからの通常は使用しない熱エネルギーを使用することで、利用可能な出力パワーと作動効率とを上昇させる一方で、燃料消費を削減することができる。
【0027】
本発明は、ピストン移動が制御可能な、ピストン作動式の無端の(endless)回転式カム軌道組立体を備えている(米国特許8113165号の変形に類似した)固定ブロック回転式エンジンを用いた、改良した内燃機関及び改良した燃焼プロセスに関し、燃焼プロセスを最適化し、また、機械的な出力パワー又は機械エネルギーの高いレベルに、燃焼プロセス中に生成された熱エネルギーを変換することを最適化するものである。
【0028】
また本発明は、燃焼の事象中にシリンダー内で過剰な熱エネルギーが生成されたエンジン、又はエンジン/発電機の内側で2次的な共生関係のプロセスに関連するものである。この過剰な熱エネルギーは、排出ガスとともにエンジンから通常は排出され、さらに燃焼ガスの温度を下げる化学反応を促進する役割をするものである。これによりNOxガスの生成を削減又は除去する。その一方でシリンダー内の気体の圧力と体積とをさらに増加させ、燃料の必要な消費を削減し、これにより引き伸ばしたピストンストローク長を与え、出力パワーの生成を増加させ、内部シリンダーの冷却を行い、排気パイプからの熱汚染を減少させる。
【0029】
より詳しく述べると、本発明の一つ以上の好ましい実施形態は、2サイクルエンジンと全体的に類似したエンジン内で、新しい多相的な燃焼プロセスを提供するものである。ここでの事象の連鎖は、下記の機能と特徴とを一つ以上含んでいる。
【0030】
1.ピストンがシリンダー内でストロークの頂点に達するまでは、ピストンと無端の(endless)カム軌道組立体との相互作用で決定付けられるシリンダー内の移動中のピストンの内向きの動作によって、気体(通常は空気)がシリンダー内で圧縮される。
【0031】
2.ピストンがシリンダー内でストロークの頂点に達する前、又は達したときに、液体又は気体のスパーク点火燃料がシリンダー内に噴射される。
【0032】
3.ピストンがシリンダー内でストロークの頂点に達したとき、又は達した後に、液体又は気体の圧力点火燃料がシリンダー内に噴射される。
【0033】
4.シリンダー内の空気・燃料混合物は、出力パワーの生成と効率とを上昇させるピストンストロークの頂点にピストンが達した後にのみ、スパーク点火又は圧力点火がなされる。(従来のエンジンでは、ピストンストロークの「上死点」にピストンが達する前に点火が開始されたので、負の回転力を発生させ、出力パワー生成と効率とを低くし、燃料消費を大きくしていた。しかしこの従来のものとは異なる。)
【0034】
5.点火の後に、延長された期間の間シリンダー内の所定位置に対して、ピストンは停止したままにされる。その後に、燃焼プロセスの全部又は一部の間に、(用いられる特定の燃料の特定の燃焼特性に最も依存して決定される)ある期間の間シリンダー内で外向きの移動をゆっくり進行させる。従って、シリンダー内で空気・燃料混合物の完全な燃焼を確実にし、ピストンが迅速に外に移動して燃焼の事象を終えることが許容される前に、シリンダー内で燃焼の事象の間に生成される熱エネルギー又は使用可能な効果を最大化する。
【0035】
6.上述した(#5)燃焼プロセスの間にシリンダー内で生成された大きくなった熱エネルギーによって、シリンダー内の許容圧力を最大化した後に、ピストンは、無端のカム軌道組立体を回転させるように外向きに動かされ、これにより、熱エネルギーを出力パワーの一層利用可能な形態に変換する。
【0036】
7.燃焼プロセスの間の時点、又は燃焼プロセスの完了の後の時点で、圧力ブーストの事象が1回以上ある。急膨張する媒体又は気体媒体(通常は水)がシリンダー内の高温の燃焼ガス内に直接噴射されるので、NOxガスの生成に必要なレベルより低いレベルに燃焼ガスの最高温度を制限するように制御する。
【0037】
8.燃焼プロセスの間の時点、又は燃焼プロセスの完了の後の時点で、圧力ブーストの事象が1回以上ある。急膨張する媒体又は気体媒体(通常は水)がシリンダー内の高温の燃焼ガス内に直接噴射されるので、シリンダー内で媒体の急膨張を生じさせ、気体の体積とピストンに対する圧力とをさらに増加させ、これにより無端のカム軌道組立体への回転力を増加させ、また、利用可能な出力パワーをさらに増加させる。
【0038】
9.燃焼プロセスの間の時点、又は燃焼プロセスの完了の後の時点で、圧力ブーストの事象が1回以上ある。急膨張する媒体又は気体媒体(通常は水)がシリンダー内の高温の燃焼ガス内に直接噴射されるので、シリンダー内で媒体の急膨張を生じさせ、気体の体積とピストンに対する圧力とをさらに増加させ、これにより利用可能なピストンストローク長を大きくし、無端のカム軌道組立体への回転力の持続時間を長くし、また、利用可能な出力パワーをさらに増加させる。
【0039】
10.シリンダー内の高温の燃焼ガスに直接に噴射される、急膨張する媒体又は気体の媒体(例えば水)は、過熱蒸気又は乾燥蒸気に水が変換されるため、シリンダー内で媒体の急膨張を引き起こす。(この現象はシリンダー内の気体の体積と圧力とを増加させ、上記#8,#9で述べた、一層生産的で引き伸ばされたピストンストローク長を与える。)より重要なこととして、さらに多くの使用可能な出力パワーに変換する燃焼プロセス中に生成された熱エネルギーをより多く、この動作は捕捉する。これにより、普通であれば、エンジンから排気パイプを介して大気中に出される無駄になる熱エネルギーの量を減少させるようにする。
【0040】
11.上述した(#10)、急膨張する媒体を液体から蒸気に転移させることは、シリンダー内で冷却プロセスとして現れ、これはシリンダーとエンジン全体との作動温度を下げるので、さらに付加的で補助的な冷却システムの必要性を小さくし、又はサイズを小さくし、その一方で大気中への排出ガスの温度を下げる。
【0041】
本発明の少なくとも一つの実施形態の目的は、ピストンの移動と燃焼の事象のタイミングとに関して独立して無限に可変な制御を備えた、一層効率的な内燃機関を提供することであり、ピストンがストロークの頂点又は終点に達する前に空気・燃料混合体の必要な初期の点火に起因する負の回転力を、燃焼の事象が発生させないことを確実にする。
【0042】
本発明の少なくとも一つの実施形態の他の目的は、非常に可変なピストンの移動制御を利用して、燃焼の事象の間にシリンダー内でピストンの移動を停止又は減速させることで燃焼プロセス中に熱エネルギーの生成を最大化することであり、燃焼プロセスを完了させるため、また排気サイクルの開始の前に燃焼効果を完全に最適化させるために、延長した期間(用いられる特定の燃料の燃焼特性によって決定される)を設ける。
【0043】
本発明の少なくとも一つの実施形態のさらにもう一つの目的は、1回以上の追加的で独立した圧力ブーストの事象を組み合わせた一層効率的な内燃機関を提供することであり、圧力ブーストの事象では、急膨張する媒体又は気体媒体が、燃焼の事象の間又は後の時点でシリンダー内に高温の燃焼ガス中に直接に噴射されるので、シリンダー内の気体の利用可能な体積と圧力とを増加させる。
【0044】
本発明の少なくとも一つの実施形態のさらに他の目的は、圧力ブーストの一つ又は複数の事象の組み合わせによって得られる追加の優れた利点に、燃焼の事象の間中ピストン移動への独立的で無限に可変な制御を組み合わせることであり、シリンダー内の環境を作り、両事象の組み合わせを十分に最適化されたものとし、利用可能なパワーを可能な限り大きく生成することを達成する。
【0045】
本発明の少なくとも一つの実施形態の他の目的は、圧力ブーストの一つ又は複数の事象の組み合わせによって得られる追加の優れた利点に、燃焼サイクルの間中ピストン移動への独立的で無限に可変な制御を組み合わせることであり、シリンダー内の燃焼ガスの温度を制限し、燃焼プロセスの間中NOxガスの生成を制御又は除去する。
【0046】
本発明の少なくとも一つの実施形態のさらに他の目的は、圧力ブーストの一つ又は複数の事象の組み合わせによって得られる追加の優れた利点に、燃焼サイクルの間中ピストン移動への独立的で無限に可変な制御を組み合わせることであり、シリンダー内の熱エネルギーの最大量を利用可能なパワーに変換し、シリンダー、エンジンブロック、排気システム内の多大な冷却効果を供することである。
【0047】
本発明の少なくとも一つの実施形態のさらにもう一つの目的は、圧力ブーストの一つ又は複数の事象の組み合わせによって得られる追加の優れた利点に、燃焼サイクルの間中ピストン移動への独立的で無限に可変な制御を組み合わせることであり、追加の外部冷却システムを減らしたり、なくしたりすることである。
【0048】
本発明の少なくとも一つの実施形態の一つの目的は、圧力ブーストの一つ又は複数の事象の組み合わせによって得られる追加の利点の全てを有する、単一ユニットのエンジン/発電機構造を提供することであり、燃料消費の削減とともに利用可能な電気出力パワーの量をさらに増加させることである。
【0049】
本発明の少なくとも一つの実施形態の他の目的は、圧力ブーストの一つ又は複数の事象の組み合わせによって得られる追加の利点の全てを有する、単一ユニットのエンジン/発電機構造を提供することであり、大気中に放出される熱汚染を減少させることである。
【0050】
本発明の少なくとも一つの実施形態のさらに他の目的は、現行のエンジン又は従来のエンジン/発電機構造よりも小さく、軽量であり、効率密度が高く、熱効率が高いエンジン、又はエンジン/発電機の組み合わせを提供することである。
【0051】
本発明の少なくとも一つの実施形態のこれ以外の意図は、NOxガスの生成を削減又は除去しつつ、内部の燃焼、ピストン、シリンダーエンジンの利用可能なエネルギーの生成を増加させる方法を提供することである。
【0052】
本発明の少なくとも一つの実施形態の他の目的は、ピストンの独立制御された移動と連動して用いられる延長されたスカートを有する改変したピストンを備えた単一ユニットのエンジン/発電機構造を提供することであり、シリンダーパージ・冷却・前圧縮の空気のシリンダー内への導入とタイミングとを制御し、追加的な内外の弁手段を必要なくすることである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】固定ブロックエンジン/発電機を示す分解図である側断面立面図であり、本発明の説明に後に参照されるエンジン/発電機の主要部品を示す。
図1A】改良されたピストン組立体の拡大した上断面図であり、上カム軸受とともに、構成部品の中心線を全体的に通って組立体の上面の状態を示す。
図1B】改良されたピストン組立体の拡大した側断面図であり、構成部品の中心線を全体的に通って示す。
図2】回転するカム軌道/電機子組立体に付随した部品を示す分解図である側断面立面図、及び上面図又は底面図である。
図3図2に示した組み立てられた回転するカム軌道/電機子部品の上面図であり、カム軌道面を明確化のために実線でハイライトを付して示す。
図3A図3中の3A-3A断面線にほぼ沿って見た全体横断面であり、中の部品の組み立てられた側面の構造を示す。
図3B】米国特許8113165号中に示されたカム軌道の好ましい実施形態を図式的に示し、カム関連のピストン機能を示す(本図は単に参照用にのみ示す)。
図3C】本発明のカム軌道の好ましい実施形態を図式的に示し、カム関連の圧力ブースト機能とともに、カム関連のピストン機能を示す。
図4】固定エンジンブロックの上面図である。
図4A図4中の4A-4A断面線にほぼ沿って見た、固定エンジンブロックの全体断面図であって、固定エンジンブロックの内部構造の側面を明瞭に示す。
図5図3中の3A-3A断面線で用いられたものと同様な断面線にほぼ沿って見た全体を拡大した組立体の横断面図であって、好ましい作動姿勢での図1で参照したエンジン/発電機の主要要素の全てを組み立てたものを明瞭に示す。
図6図6A中の6B-6B断面線にほぼ沿って見た上横断面図であって、中の固定部品及び回転部品の組み立てた構成を示すが、ただし、その明確化の目的のために、エンジンブロックと外側下ケースは断面図には示していない。
図6A図6中の6A-6A断面線にほぼ沿って見た全体横断面図であって、図6中の取り外した上ケースを含んで組み立てて示し、全部品の組み立てた構成を示す。
図7図7A中の7B-7B断面線にほぼ沿って見た全体横断面図であって、図6と同様であるが、ただし、明確化のために、図示されていない上ケースに存在するカム軌道の配置を含み、シリンダーでの径方向のボール軸受を取り除いている。
図7A図6Aと同様で、7A-7A視点線にほぼ沿って見た、組み立てられた上ケースの全体横断面図であり、矢線の方向に見ている。
図8図8A中の8B-8B断面線にほぼ沿って見た全体横断面図であって、図7と同様であるが、ただし、図3に示す回転のカム軌道組立体と、図1Aの付随するピストン組立体は、カム軌道組立体の部分的回転の後の状態で示している。
図8A図7Aと同様で、図8中の8A-8A視点線にほぼ沿って見た、組み立てられた上ケースの全体横断面図であり、矢線の方向に見たものであり、図1の弁組立体に対してのみならず、図1Bのピストン組立体に対する図3のカム軌道組立体の回転の効果を示す。
図9図9A中の9B-9B断面線にほぼ沿って見た上横断面図であって、図8と同様であるが、ただし、図3に示す回転中のカム軌道組立体と、図1Aの付随するピストン組立体は、カム軌道組立体がさらに回転した状態で示している。
図9A図8Aと同様で、図9中の9A-9A視点線にほぼ沿って見た、組み立てられた上ケースの全体横断面図であり、矢線の方向に見たものであり、図1の弁組立体に対してのみならず、図1Bのピストン組立体に対する図3のカム軌道組立体のさらなる回転の効果を示す。
図10図9Aと同様で、図9中の9A-9A視点線にほぼ沿って見た、組み立てられた上ケースの全体横断面図であり、矢線の方向に見たものであり、図11,12,13,14,15,16,17,18,19の拡大図への参照として断面窓10Aを示す。
図11図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Aで見られる燃焼サイクルの位置Aにある場合のピストン組立体を示す。
図12図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Bで見られる燃焼サイクルの位置Bにある場合のピストン組立体を示す。
図13図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Cで見られる燃焼サイクルの位置Cにある場合のピストン組立体を示す。
図14図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Dで見られる燃焼サイクルの位置Dにある場合のピストン組立体を示す。
図15図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Eで見られる燃焼サイクルの位置Eにある場合のピストン組立体を示す。
図16図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Fで見られる燃焼サイクルの位置Fにある場合のピストン組立体を示す。
図17図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Gで見られる燃焼サイクルの位置Gにある場合のピストン組立体を示す。
図18図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Hで見られる燃焼サイクルの位置Hにある場合のピストン組立体を示す。
図19図10中の断面窓10Aでの拡大した横断面図であって、図3Cの文字Iで見られる燃焼サイクルの位置Iにある場合のピストン組立体を示す。
図20図6,7,8,9に示したものと同様な他の実施形態を示す上横断面図であるが、ただし、シリンダーが径方向に外向きに延びる方向はわずかにずれている。
図21図6,7,8,9に示したものと同様な他の実施形態を示す上横断面図であるが、ただし、シリンダーが径方向に外向きに延びる方向はわずかにずれている。
図22】他の実施形態を示す上横断面図であり、中心に対する径方向外向きに関して、シリンダーが90度ずれている。
図23】他の実施形態を示す上横断面図であり、中心に対する径方向外向きに関して、シリンダーが90度ずれている。
【発明を実施するための形態】
【0054】
後に掲げる本件の説明では、本発明のいくつかの好ましい実施形態の特徴を述べ、より詳しくは、米国特許8113165号と同様の改良されたエンジン/発電機の特徴と、同時にかつ独立して作動する特有の圧力ブーストシステムとを述べることとする。さらに、生成される熱エネルギーを取り出すことと、相対的に固定した速度の燃焼プロセスとを最適化するものである。エンジン/発電機は、本発明の特有の圧力ブーストの特徴を利用する目的のために、改変した回転する二重のカム軌道構造、延長されたピストンスカートを有する改変したピストン、改変し延長されたピストン移動と二流体の燃料・水噴射システムを有する。こうしてさらに燃焼とパワー取り出しのプロセスを改善して最適化する。その一方で、出力パワーを大きくし、燃料消費を小さくし、燃焼プロセス中にNOxガスの生成を削減又は除去し、無駄になる熱エネルギーを減少させるとともに、排出ガスからの熱汚染を大きく減少させる。エンジン/発電機は、スパーク点火、圧力点火のいずれであっても、液体又は気体の燃料の燃焼を最適化するように改変することが可能であり、その一方、圧力ブーストシステムは適切な急膨張する媒体の使用を最適化し、燃焼プロセスの効果と効率とを大きくする。後に述べる好ましい実施形態の例は、選択された燃料として天然ガス、選択された急膨張する媒体として水を用いるものとして図示されている。これは、本発明の圧力ブーストを用いるエンジン/発電機が取りうる唯一の形態ではない。また本発明は、使用気筒数、1回転当たりの燃焼回数によって限定されるものではない。しかし、本発明のここで説明され例示された形態は、本発明を実施することを当業者に可能にすることを現時点で意図する最良の態様となっている。
【0055】
上記のように述べたが、図1は、本発明のエンジン/発電機の分解された側断面立面図であり、その主要な各部を示し、下記に述べる本発明の説明中で、時折り参照して用いられる。
【0056】
なお、図1に示すエンジン/発電機の要素部分は、番号を付して示され、以下の図面全体にわたってそのような特定された部分を容易に追跡するものであることは、注意するべきことである。
【0057】
これらの各部は図示したように、後述する符号の説明に掲げるような参照符号で指示されている。
【0058】
また、上に挙げた各部から構成された、ある種の組立体への参照も存在する。これらの組立体と、個々に特定する参照符号を後述する符号の説明に挙げておく。
【0059】
図1A,1Bを初めに参照する。ピストン組立体39の拡大した上断面図(図1A)及び側断面図(図1B)に、シリンダー用の筒部15,ピストン16,リストピン17の中心線を全体的に通ってそれぞれ上面図及び側面図として示す。リストピン17は、ピストン16をシリンダー用の筒部15に固定位置で接続することに用いられる。ピストン組立体39の全部品は、カムフォロワーの一例であるカムローラー組立体18及び外カム軌道45の相互作用によって、単一ユニットとして一緒に移動する。外カム軌道45は、本明細書で後に詳細に図示して説明する。図示したピストン16は、大きく張り出したピストンスカート16A(piston apron)を備え、これは、シリンダーパージ・冷却、及び前圧縮の事象の間に(図1の)シリンダー14への空気の導入を制御する弁手段として用いられる。本明細書で後により詳細に説明する。
【0060】
図面のうち図2は、回転するカム軌道/電機子組立体に付随した部品の分解図であって側断面立面図、及び上面図又は底面図である。カム軌道/電機子組立体の回転によって、補助的な機器(図示せず)、例えば燃料ポンプ、オイルポンプ、空気ポンプなどを作動させることができる手段として、リングギヤ5が設けられてもよい。リングギヤ5は、標準的な位置決め片とファスナーとを用いて、上カム軌道板9の上面に取り付けられている。こうして取り付けることで、2個の主要な径方向のボール軸受7のうち1個の外レースのための挟み付けた入れ子としている。2個の主要な径方向のボール軸受7は、カム軌道/電機子組立体の正確で低摩擦な回転を与え、これを支持する。また上カム軌道板9は、外周壁の近傍に溝を備えていてもよい。電機子リング10が、標準的な位置決め片とファスナーとを用いて、この溝に正確に位置決めして取り付け可能である。電機子リング10は、上カム軌道板9と下カム軌道板28との間に正確なサイズを与えるように働く。下カム軌道板28は、外周壁の近傍に溝を備えていてもよい。電機子リング10が、標準的な位置決め片とファスナーとを用いて、この溝に正確に位置決めして取り付け可能である。また電機子リング10は、電機子クランプ12によって挟み付けられた電機子磁石11が位置する同心円の外周を規定するように働く。電機子クランプ12は、電機子磁石11の角度位置にある端に対して相補的な、角度位置にある端を備えている。電機子クランプ12は、標準的ファスナーを受け入れる形の装着孔を備えてもよい。このファスナーは、電機子クランプ12を電機子リング10に螺合可能に接続してよく、これにより、電機子磁石11のための正確にスペースを保つ挟み付け手段を提供する。また電機子磁石11及び電機子クランプ12は、組立体を示した図3Aで分かるように、上カム軌道板9及び下カム軌道板28に設けられた相補的な角度範囲の面との相互作用によって、中央に位置され、揃えられ、挟み付けられてもよい。また下カム軌道板28は、2個の主要な径方向のボール軸受7のうち第2のもの、好ましくはボール軸受又はローラー軸受を備えている。これは、カム軌道/電機子組立体を支持し、その回転を正確で低摩擦なものとする。下方の主要な径方向のボール軸受7は、下カム軌道板28中に入れ子でフィットされていてもよい。標準の位置決め片とファスナーを介した、排気弁作動用のカムリングの保持部29の下カム軌道板28内への取り付けによって、軸受の外レースを挟み込んでもよい。排気弁作動用のカムリング30は、2個の立ち上がりカム山47と2個の低いカム山48とを備え、加工されたポケットを介してカムリングの保持部29内に配置され、標準の位置決め片とファスナーを用いてしっかりと取り付けられている。エンジン/発電機の作動中に2個の立ち上がりカム山47に加えられた力によって生じた圧力と、回転組立体の全体の重量とは、スラスト軸受31、好ましくは、ボール軸受タイプのスラスト軸受に与えられる。スラスト軸受31は、カムリング30に全面的に接触する。カムリング30は任意の特徴である。弁は、任意の現行の機械手段や、電気機械手段によって作動されてよい。
【0061】
弁は、ある好適な実施形態では、独立の電気・磁気アクチュエーター、又は類似の装置によって作動されたり、コンピュータープロセサーによって制御されたりしてもよい。これは、さまざま異なる燃料の使用が望ましいことがある実施形態で、特に有用である。燃焼室内の圧力、またさらに言えば、空気・燃料混合物の比率は、作動中(on-the-fly)に規制や変更が可能であり、排気弁の閉鎖タイミングを制御することで、複数の燃料タイプの燃焼特性を最適化することができる。
【0062】
例えば、重い負荷の期間の間エンジンが作動したときには、相当大きなシリンダー圧力を必要とするディーゼル燃料などの高エネルギー燃料が、一層望ましい場合がある。本例の排気弁は、早期に閉鎖され、内部のシリンダー冷却サイクルを短縮し、新しい空気でシリンダーを前もって加圧するためのピストンの内向きの移動の前に、前圧縮モードに多くの時間を使うようにする。この動作は、圧縮サイクルの後に大きなシリンダー圧力を与えることとなる。逆に、エンジンの負荷が低く出力の必要条件が小さい期間の間には、パワーが一層小さく、一層清浄で、一層安価な燃料、例えば天然ガスなどが、より望ましいものでありうる。これらの期間の間は、シリンダーの圧縮比は、圧縮サイクル中でピストンの内向きの移動が始まった後であっても、遅く排気弁を閉じることで減少される。これによりシリンダー内の新しい空気を排気弁の外へ逃がし、シリンダー内で圧縮するべき空気の体積を減少させる。この動作はまた、エンジン内の作動負荷を低減し、動作の効率をさらに大きくする。
【0063】
ここで注意するべきことは、使用される燃料が単一の場合でも、負荷に基づいてシリンダー内に供給される新しい空気の量と、シリンダー圧力とを制御することに利点があることである。作動負荷としてシリンダー内の圧縮空気の量を独立して増加させること、及び、さらに言えば、追加の燃料への需要は、一層最適化された燃焼プロセスと大きな効率とを確実なものとする。逆に、負荷の量と燃料への需要とが同時に減少することに伴って、バルブは、シリンダー内の新しい空気の体積とシリンダー圧力とを下げるために、同期させてもよい。
【0064】
上述のコンピュータープロセサーは、燃料タイプと負荷の値との入力に基づいてバルブの動作を同期させるように前もってプログラミング可能である。これに代えて、あるいは上記のものに加えて、エンジンは燃焼センサー、エンジン熱センサー、及び排出ガスセンサーを備えていてもよい。これらのセンサーからのフィードバックは、コンピュータープロセサーに入力され、現在の条件に基づいて自動的にバルブ同期を最適化してよい。
【0065】
ここでさらに注意するべきことは、上記のコンピュータープロセサーは、本発明の好ましい実施形態の主要な特徴である、圧力ブーストプロセスを独立して監視して制御するために、用いられることである。(本明細書で後に詳しく説明するが)圧力ブーストの特徴は、独立したバルブ制御と組み合わせられるか否かに関わらず、燃焼プロセスをより最適化し、燃焼プロセスからの熱エネルギーをより多く捕捉して変換し、これにより出力パワーを上昇させる。その一方で、エンジン温度、燃料消費、Noxガスの生成を低くし、及び大気中に未使用の熱エネルギーの相当大きな量が、無駄にまた汚染源として排出されることを低減させる。
【0066】
上カム軌道板9,下カム軌道板28を示す二つの反対向きの上面図、底面図を参照する。これらには、外カム軌道面45,内カム軌道面46が示されている。明らかに、上カム軌道板9,下カム軌道板28のカム軌道構造は、互いに鏡像の形になっている。また注意するべきことは、これらのカム軌道板の正確な位置合わせが、電機子リング10に組み付けられたときの標準的な位置合わせ片とファスナーとを用いて確実にされていてよい。
【0067】
図3は、図2に示した回転するカム軌道/電機子の部品の組み立てた状態の上面図である。ここで明確化のために実線でハイライトを付して外カム軌道面45,内カム軌道面46を示している。図3Aは、図3中の3A-3A断面線にほぼ沿って見た全体横断面図であり、回転するカム軌道/電機子の部品で組み立てた状態の側面図の配置を例示している。図3,3Aの両方とも、組み立てた部品の配置と相互作用とを示す。リングギヤ5は、図3,3Aに明瞭に示されている。図3において、リングギヤ5は、標準的な位置合わせ片とファスナーとを用いて上カム軌道板9に取り付けられているのが明瞭に分かる。また主要な径方向のボール軸受7が、図3に明確に分かるように示されている。上下の主要な径方向のボール軸受7の外側軸受レースの入れ子で挟み付けられた配置が、図3Aに明示されている。
【0068】
図3に、位置合わせ片50,標準的ファスナー51とともに電機子リング10がはっきりと示されている。位置合わせ片50,標準的ファスナー51は、電機子リング10に対して上カム軌道板9の正確な位置決めを確実にするのに用いられる。その同じ正確に位置させて固着する手段が、電機子リング10を下カム軌道板28に取り付けるのに使用可能であることは理解されることである。精密な施工孔49を、上カム軌道板9,下カム軌道板28の両方に形成してもよい。この孔は、加工の間に上カム軌道板9,下カム軌道板28を正確に位置させることを確実にするのみならず、通気口又は逃がし孔として働くことが可能であり、作動中に回転するカム軌道組立体の中の潤滑油の集積を防止する。図3Aにおいて、上カム軌道板9及び下カム軌道板28の外周壁の近傍の溝が、明瞭に分かるように示されている。ここに電機子リング10を正確に位置して取り付けることが可能である。また、上カム軌道板9及び下カム軌道板28が電機子磁石11をその角度位置で挟み込む構造も、図3Aに明らかに示されている。図3において、角度位置にある端を有する電機子磁石11は、電機子クランプ12の角度位置にある端と相互作用を行うように明示されている。電機子クランプ12は、カム軌道/電機子組立体の外周壁に電機子磁石11を正確かつ確実に位置させる複数の標準的ファスナー52によって、電機子リング10に螺合可能に取り付けられていてよい。
【0069】
図3Aに、下カム軌道板28のアンダーカット部に、排気弁作動用のカムリングの保持部29が位置するのを示している。これは標準的な位置合わせ片とファスナーとで位置決めされ、しっかりと所定位置に保持されている。作動用のカムリングの保持部29を下カム軌道板28に取り付けているので、下方の主要な径方向のボール軸受7の外側軸受レースが入れ子に挟まれた配置も、やはり明示されている。また、排気弁作動用のカムリング30も、排気弁作動用のカムリングの保持部29のアンダーカット部に位置してもよい。ここで標準的な位置合わせ片とファスナーとで位置決めされ、しっかりと所定位置に保持されている。図3,3Aに、排気弁作動用のカムリング30、及びその2個の立ち上がりカム山47の好ましい配置方向を分かりやすく示している。
【0070】
図3,3Aに示す、カム軌道及び発電機・電機子の部品の全体の組立体を、さらに本明細書の下記の説明では、カム軌道/電機子組立体75と呼ぶことにする。図3Aで、カム軌道/電機子組立体75は、その下部で水平面上に位置するようにしたスラスト軸受31の上に設置されているのを分かりやすく示している。スラスト軸受31は、カム軌道/電機子組立体75の中心線と同じ中心線の上であって立ち上がりカム山47の真下にあり、排気弁作動用のカムリング30の下面と全体的に面接触している。スラスト軸受31は、ケースハーフ33の下部のポケットに収容されている(図5参照)。これは後により詳しく説明する。
【0071】
図3Bは、米国特許8113165号中に示されたカム軌道の好ましい実施形態を図式的に示し、カム関連のピストン機能を示す。図3Bは、単に参照用にのみ示す。ただし、図3Bにおいて、圧縮ストロークの終わりにも、点火と記した時点となっている燃焼ストロークの初めにも滞留期間がないことは、注意されることである。さらに、図3Bのシリンダー径(単に例示の目的でのみ示す)は、図3Cに示したシリンダー径(単に例示の目的でのみ示す)と同じであるが、図3Cに示した比例的であって、パワーを生成するピストンのストローク長(文字Lで示す)は、図3Bの場合よりも明確に長くなっている。この圧力ブーストシステムに関する改良は、本明細書で後により詳細に述べる。
【0072】
図3Cに、本発明のカム軌道の好ましい実施形態を図式的に示し、カム関連のピストン機能を数字1~10で表示し、カムに関連した圧力ブースト機能を文字A~Lで表示する。この好ましい実施形態では、カム軌道の構造は、カム軌道/電機子組立体75が360度だけ1回転する間に、延べ2回の完全な燃焼の事象をエンジン/発電機の各シリンダーが行うように構成されている。従って、図示した4気筒のエンジン/発電機は、カム軌道/電機子組立体75が1回転する間に、延べ8回の完全な燃焼の事象を行うことになる。なお、1回転当たりの燃焼の事象数とともに、気筒数が、特定のエンジン/発電機の構造での出力の必要条件と物理的サイズとのみによって限定されることは、理解されることである。この好ましい実施形態に含まれるうちで、気筒数、磁石・電磁石の数、1回転当たりの燃焼の事象数には、特に制限はない。また図3Cが、この構成で与えられる構造上の特徴とオプションとの大きな柔軟性を明瞭に表現するためにのみ示していることは、注意するべきことである。
【0073】
なお、ここでのエンジンは、次の文献と同様の多数の特徴を有している。即ち、本出願人の先願である、発明の名称を「回転式エンジン」として1987年3月31日に発行された米国特許4653438号に述べた、4気筒のエンジンの技術及び開示内容、本出願人の先願である、発明の名称を「エンジン発電機」として2001年5月15日に発行された米国特許6230670号に述べた、6気筒のエンジン/発電機の開示内容、また、本出願人の先願である、発明の名称を「固定ブロック回転式エンジン/発電機」として2012年2月14日に発行された米国特許8113165号に述べた、4気筒のエンジン/発電機の開示内容である。これらは全て、参照により全文が本明細書に組み込まれるものである。ただし、その第3の特許の「固定ブロック回転式エンジン/発電機」でいくつかの点が例外である。即ち、燃焼の事象の間にシリンダー内でピストンの直線運動が停止される点火の時点に開始し、使用される特定の燃料に関して最も望ましいと考えられる程度まで、液体又は気体であって、スパーク点火又は圧力点火の特定の燃料のための燃焼プロセスが完了する時点までとなる、圧縮ストロークの終わりと燃焼ストロークの始まりとの間の引き延ばされた滞留、これは例外である。ここで、特定の燃料とは、ピストン組立体39の外向きの移動と、シリンダー14内のピストン16の外向きの直線運動をカム軌道/電機子組立体75の回転運動に変換することとを許容する前に使用された特定の燃料である。また他に、圧力ブーストの特徴で使用される二流体の燃料/水の噴射器2、回転するカム軌道/電機子組立体75のカム軌道45,46の構成、本発明の圧力ブーストの特徴を付加することで可能となった引き延ばしたピストンストローク長、本発明の圧力ブーストの特徴の付加で実現された、高められた出力パワー、本発明の圧力ブーストの特徴の付加で実現された、熱の捕捉の改善された能力、本発明の圧力ブーストの特徴の付加で実現された、NOxガスの低減又は除去、本発明の圧力ブーストの特徴の結果としての大気中に放出される熱汚染の減少、及び、シリンダーのパージ・冷却の事象と前圧縮の事象との間に、シリンダー14内への空気の導入を制御するための弁手段として用いられる、大きく張り出したピストンスカート16Aを備えた本発明の改良型のピストン16、これらが例外である。また、本発明で用いられるシリンダーが、次の文献に基づいて変形されていることも注意されるべきことである。即ち、本出願人の先願である、発明の名称を「シリンダー組立体」として1997年6月10日に発行された米国特許5636599号である。また、本発明で用いられる弁組立体は、次の文献に基づいて変形されている。即ち、本出願人の先願である、発明の名称を「モジュラー弁組立体」として1997年12月30日に発行された米国特許5701930号である。これらは全文が、参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0074】
図4,4Aを再び参照して説明する。全体として、エンジン/発電機のエンジン部が固定配置のエンジンブロック13からなることは理解されることである。固定配置のエンジンブロック13は、中心ハブを備えたホイールと同様な形状を有していてもよく、燃焼室60,ボア59,排気用ボア62を備えている。ボア59は、(図1中の)排気弁組立体20を受け入れて、これをねじ止めで取り付ける。排気用ボア62は、排出ガスを(図1中の)ねじ付き排気パイプ26に流れるようにする。固定配置のエンジンブロック13には径方向の溝63が形成され、これは、(図1中の)排気弁カム25の適正な揃えを確実にするために使用可能な(図1中の)排気弁カム用の揃え用の軸受(alignment bearing)27を受け入れる。(図1中の)2個の主要な径方向のボール軸受7は、表面55に、抵抗の軽いフィット状態で設けられてもよい。これは、固定配置のエンジンブロック13のスナップリングスロット56内にはまる(図1中の)スナップリング6で固着されていてもよい。
【0075】
動作中には、シリンダーパージ・冷却空気は、パージ空気ポート57から、(図1中の)シリンダー14を囲む逃がし溝58を通ってシリンダー14へ送られてよい。この空気は、(図8A中の)キャストポート71を通ってシリンダーに向けて送られてよい。キャストポート71はシリンダー(14)の外周壁に形成可能である。またこの空気は、(図8A中の)キャストポート72でシリンダーに向けて送られてよい。キャストポート72はシリンダー14の内周壁に形成可能である。二流体噴射のための燃料/水の噴射用ボア61は、カウンターボア付きの部位(seat)を有するが、半球形の燃焼室60の最内周の四半分で各燃焼室の端に設けられてもよい(又は、最も望ましいと思われる燃焼室の他の位置での端に設けられてもよい)。二流体噴射のための燃料/水の噴射用ボア61は、(図1で)二流体の燃料/水の噴射器2を受け入れることに使用でき、燃焼の事象の前、間又は後の適切な時点で、同時に、又は独立に、燃料を送ることができる。この図で、8個の冷媒用の孔64が示されている。これらは、固定配置のエンジンブロック13のハブの部分にキャストされている。このキャスト孔は、(図1中の20を付した)排気弁組立体を受け入れるのに用いられるボア59とともに、燃焼室60の近傍に配置されてもよく、燃焼熱を集中させるこれらの領域で冷却を行ってもよい。ここで注意することは、上述した冷媒用の孔64の使用は、本発明の圧力ブーストの特徴で提供される冷却効果に起因して、必要ないこともあり得る。さて固定配置のエンジンブロック13の外周壁に着目すると、8枚の湾曲を含んだ平行な補強壁で画定される4個の開放窓が、任意であるが、固定配置のエンジンブロック13に設けられる。これらの補強壁(図4において符号54)はさらに、横断面図中に現れるものである。隣り合った補強壁の間のウェブ部分は、ウェブ中に孔53を備えてよく、これは重量を減らし、潤滑油が自由に排出されることを導く。このウェブと補強壁との目的は、固定配置のエンジンブロック13の最外周のリングに堅固な支持を与えることであり、固定配置のエンジンブロック13は、(図1の)シリンダー14の最外周の端を支持するに用いられる。(図1の)シリンダー14は、(図4,4Aにおいて符号66)ねじ部を用いるシリンダーの両端で、固定配置のエンジンブロック13にねじ止めで取り付けられていてもよい。ここで理解されることは、固定配置のエンジンブロック13の2個のねじ部66は等しいねじピッチとねじタイミングを有しているが、固定配置のエンジンブロック13の最外周壁でのねじ部は、最内周のねじ部よりも大きな径を有し、シリンダー14が緊密かつ容易な挿入を行うことを可能にすることである。
【0076】
図5は、ドーナツ型の上マニフォールド82の追加を含めて、図1で述べた全部品を合わせた組立体を示す。ドーナツ型の上マニフォールド82は、上ケース4を介して潤滑孔を通って径方向のキャストポート84からエンジンに与えられる潤滑油を送るのに用いられる。これとともに、上ケース4の孔と連通して径方向のキャストポート83を通って(必要に応じて)冷媒も送られる。その孔は、固定配置のエンジンブロック13内の(図4中の)冷媒用の孔64と連通する。ドーナツ型の上マニフォールド82中のキャスト孔85は、上ケース4にねじ止めによる空気供給パイプ(図示せず)の取り付けのためにアクセスを可能にする。これにより、固定配置のエンジンブロック13のパージ空気ポート57に空気を送り、シリンダー14の内周壁を通って延びる(図8Aの)キャストポート72を介してシリンダー・燃焼室に最終的に入れる。また、追加のドーナツ型の下マニフォールド80が(必要に応じて)用いられ、下ケース33を介して冷媒をエンジンに送り、固定配置のエンジンブロック13中の(図4中の)冷媒用の孔64と連通する。この図は、好適な作動位置であって水平な姿勢になったエンジン/発電機の好ましい実施形態を示し、その作動中に排気パイプ26は下部に位置する。4個の排気弁組立体20のうち2個、及び4個のピストン組立体39のうち2個が、回転するカム軌道/電機子組立体75とともに図に現れている。またシリンダー14は、固定配置のエンジンブロック13にねじ止めで取り付けられているのが現れている。ピストン組立体39の(図1A,1B中の)ピストン16はシリンダー14内に見ることができ、(図1A,1Bの)シリンダー用の筒部15に取り付けることができる。シリンダー用の筒部15は、シリンダー14の外周壁に滑り嵌め構造で位置し、(図1A,1Bの)リストピン17によってピストン16に接続されている。こうしてピストン組立体39が完成される。
【0077】
図6,6Aは対をなすものであり、2個の関連する好都合な視点から固定ブロックエンジン/発電機の動作を示す。図6は、図6A中の6B-6B断面線にほぼ沿って見た上横断面図であり、中にある固定部品及び回転部品の組み合わせた配置を示す。ただし明確化のために、エンジンブロック13,下ケースハーフ33は直接図示せず、断面図としてはハッチングで示している。カムローラー組立体(図1A中の18)は、その後に続く作動の事象の説明を明確化する助けのために図示している。図6Aは、図6中の6A-6A断面線にほぼ沿って見た全体横断面図であるが、全ての内部部品の組み立て配置を図示するために、取り去った上ケースハーフ4と図6中の関連部品の全てとを含めて、一緒に示している。
【0078】
図6は、この組立体のいくつかの特徴を示している。下ケースハーフ33の最外周壁を図に示す。また、組立体内の2個のケースハーフを緊密に取り付けるために、標準の位置決め片とファスナーが用いられたフランジを図示している。固定の電気コイル32,コイル出力ワイヤ67が、回転するカム軌道/電機子組立体75の回転する電機子磁石11の相互作用で生成される電気エネルギーを伝達するのに用いられる。このときこれらは、燃焼プロセスの間と後に燃焼室60に噴射された急膨張する媒体(水)の膨張と、燃料の点火とに応答して、固定の電気コイル32のコイル巻き線を通過することで、生成を行う。シリンダー14は、上面図において、固定配置のエンジンブロック13にねじ止めで取り付けられることが分かる。ピストン組立体39のピストン16はシリンダー14内に見ることができ、(図1A,1Bの)シリンダー用の筒部15に取り付けることができる。シリンダー用の筒部15は、シリンダー14の外周壁に滑り嵌め構造で位置し、(図1A,1Bの)リストピン17によってピストン16に接続されている。こうしてピストン組立体39が完成される。図6に現れているように、主要な径方向のボール軸受7には特別な配慮を払う必要がある。この図では、下部の主要な径方向のボール軸受7が全体的に示されているが、エンジン/発電機の後述する上面図の全てにおいて、明確化の目的のために、主要な径方向のボール軸受7は単に部分的にのみ示すこととする。下部の主要な径方向のボール軸受7は、後述するいずれの上面図でもシリンダー14の外周壁に画定された領域内に現れない。最後に、この図では8個の冷媒用の孔64が燃焼室60から至近距離の位置に、明示されている。
【0079】
関連する図面である図6,6Aは両方とも、追加的な冷却の構造を示す。冷却の構造は、固定配置の両ケースハーフ4,33中の封入された固定の電気コイル32の冷却を意図するものである。好ましくは、径方向のアンダーカット69が、固定配置の上ケースハーフ4,下ケースハーフ33の両方に形成されていてよい。ただし、アンダーカット69の数は何個であってもよい。図示したようにこのアンダーカットは、固定の電気コイル32と2個のケースハーフ(4,33)との間に、二つの空間、チャンネル、即ち冷却流体通路70を設けている。冷却流体通路70は、封入された固定の電気コイル32の最外周面を通って、任意の適合した冷却流体、例えば空気、水、冷媒、又は油を、流すように意図されている。好ましくは、この冷却流体は、冷却流体通路70を通って複数の反対方向に、封入された固定の電気コイル32の周りで循環されることとする。これにより、封入された固定の電気コイル32の全外周部の周りで一層均一な冷却を行う。このことは、高エネルギーの出力、又は継続的な定常利用の動作の各回の間に、特に、非常に望ましい特徴である。冷却用の流体は、(図4の)冷媒用の孔64を通ってエンジンブロック13の他の各部に循環されてもよい。燃焼室60,ピストン16,シリンダー14,排気弁組立体20,排気用ボア62の追加的な冷却、また排気パイプ26から排出される排出ガスの追加的な冷却(図5参照)は、圧力ブーストの特徴によって与えられた追加的な冷却の効果で得られることがあり得る。これは本明細書で後により詳しく述べる。
【0080】
図7,7Aは、図6,6Aと同様の図であるが、エンジン/発電機の動作に関してより一層明確化して示している。外カム軌道45,内カム軌道46は、カム軌道/電機子組立体75で図では見えない頂部に位置する。つまり詳しく言うと、上カム軌道板9が現れていない図はあるが、これらは上カム軌道板9の内部に図示されている。外カム軌道45,内カム軌道46は後述する全ての図に現れている。ここで理解されることは、動作中にカムローラー組立体18は外カム軌道45と常時継続的に接触し、これにより、動作中にカムローラー組立体18が常時継続的にその回転方向に確実に保たれるということである。カムローラー組立体18と内カム軌道46との間に隙間があけられ、通常の走行動作の間に接触しないことを確実にする。なお、カムローラー組立体18の内カム軌道46への接触は、エンジン/発電機の始動と停止との短い時間だけ行われる。この点で、上述したように、下部の主要な径方向のボール軸受7は、シリンダー14内の該当部分から、図面の明確化のために省略して示している。
【0081】
図7,7Aに示す固定配置のブロックエンジン/発電機の動作を述べる。ピストン組立体39の位置は2個の対向するシリンダー14A内に見える。ピストン組立体39はそのストロークの頂部に位置し、排気弁棒21は排気弁組立体20内で閉じ、燃料はシリンダー14Aに関連した2個の燃焼室60内に噴射され、高エネルギーの点火スパークが燃焼室60内でスパークプラグ3から出される。好ましい実施形態におけるカム軌道/電機子組立体75の回転方向は時計回りであるので、燃焼室内の燃料の燃焼(及び、後に詳述する圧力ブーストの特徴の中で用いられる水の膨張)によってピストン組立体39に働く圧力は、外カム軌道45と常に継続的に接触するカムローラー組立体18に伝達される。外カム軌道45,内カム軌道46を備えたカム軌道/電機子組立体75の回転運動によって、角度をなす二つの下り面45Aは加圧されるカムローラー組立体18と接触し、これによりカム軌道/電機子組立体75を回転させ、さらに、カム軌道/電機子組立体75内の磁石と固定の電気コイル32との相互作用によって電気を発生させる。
【0082】
図8,8Aは、図7,7Aと大部分同様な図面であるが、ただし、外カム軌道45,内カム軌道46を備えたカム軌道/電機子組立体75が、図7,7Aに示した燃焼の事象の直接的結果として、時計方向に(図7,7Aからは(図3C中で)全部で33.1度だけ)回転したものであることが異なる。このときピストン組立体39はストロークの底部にあり、排気弁棒21は、排気弁組立体20の排気弁カム25と、排気弁作動用のカムリング30の立ち上がりカム山47との間の相互作用の結果で、全開で開かれる。ここで燃焼の事象は完了し、圧縮された排出ガスは、開いた排気弁棒21を通ってシリンダー14Aから流出し、固定配置のエンジンブロック13中の排気用ボア62を通って排気パイプ26から出る。現時点ではピストン組立体39の移動はないので、従来のエンジンのように、固定ブロックエンジン/発電機の排気サイクル中に失われる燃焼エネルギーはない。つまり、従来のエンジンでは、ピストンがすぐに内向きに、かつピストンストロークの頂点に向けてもどり、大きな圧力でシリンダーから排出ガスを出すため、結果的に、多大の非効率と使用エネルギーの損失とを引き起こしてしまう。
【0083】
固定ブロックエンジン/発電機の動作の次の事象は、シリンダーのパージと冷却のサイクルである。これは、ピストン組立体39の相対移動なしで実現され、燃焼の事象の間に生成された利用可能なエネルギーの量を大幅に増加させる。開いている排気弁棒21を介してシリンダー14Aが減圧されたら、シリンダーのパージと冷却の空気は、上ケースハーフ4中のねじ付きのパージ空気ポート57からシリンダー14Aを囲む逃がし溝58への経路で圧力のもとにあるシリンダーに入れられる。また、シリンダー14Aの外周壁に貫通して形成された(図8Aの)吸気ポート71を介してシリンダー内に導かれ、シリンダー14Aの内周壁に貫通して形成された(図8Aの)空気パージ・冷却・前圧縮ポート72を介してシリンダー内に導かれる。空気パージ・冷却・前圧縮ポート72は、ピストン組立体39の最も延びている位置で内部シリンダー中で全開で露呈する。ここにおいて、図1A,1Bに示す改良型の張り出したピストンスカート16Aを用いる機能的な理由が、最もよく理解されることとなる。空気パージ・冷却・前圧縮ポート72からの空気がシリンダー14の内周壁中に流される唯一の期間は、ピストン組立体39が最も外向きに延ばされた位置(燃焼室から最も遠い)にあるときである。他の期間は、張り出したピストンスカート16Aを備えたピストン16は、空気パージ・冷却・前圧縮ポート72をカバーして空気の流れを遮断する。この動作は、ねじ付きのパージ空気ポート57を介して空気の流れを起こしたり止めたりし、キャストポート72から最終的に排気するための複雑な内部バルブシステム、又は外部の補助的バルブシステムを、必要なくさせる。キャストポート72がシリンダー中で露呈し、パージと冷却の空気がシリンダー及び燃焼室の全長にわたって循環し、まだ開いている排気弁棒21から逃げ、シリンダー、燃焼室、排気弁、排気弁組立体、固定ブロック及び排気パイプを冷却する。このプロセスは、前回の燃焼からシリンダー及び燃焼室の中で使用した気体が、次回の燃焼の前に一層十分に除去されることを確実にし、次回の燃焼の効率を改善し、燃焼エネルギーを増加させ、汚染を減少させ、その一方全体の効率と使用可能なエネルギーの生成を大きくする。シリンダー14の使用可能な全長が内側で冷却されるので、内面温度は、新しい燃焼空気がシリンダーに最後にはいったときに、一層低くなる。シリンダーの内面温度が低くなるので、次回の燃焼の事象の前にシリンダー内の空気の前膨張は小さくなり、その燃焼の事象の間と後に、その気体の膨張をより大きくする。言い換えれば、燃焼が開始された後にシリンダー内の気体のより大きな膨張の結果として、燃焼の事象からのエネルギーの生成が大きくなる。これは、ピストン組立体39に働くシリンダー圧力をより高くする。これにより、燃焼の事象ごとのパワーを大きくし、一層利用可能な出力エネルギーを得るので、全体の効率を高くし、燃料消費を小さいものとすることになる。
【0084】
パージ・冷却の事象は、従来のエンジンでは効果的に行うことはできない。なぜならば、往復するピストンは一杯に延びた位置であって、相対的な静止位置となる時間が、実質的にないからである。本発明では、より一層長い所定時間の間、燃焼の各事象に続いて、一杯に延びた位置又はその近傍位置にピストンがとどまりうるので、シリンダーの一端で空気パージポートを通してシリンダーに空気を導入する空気にタイミングを与え、その後に、開いた排気弁を介してシリンダーの他端からその空気を相当量流出させ、これにより、シリンダーを冷却しつつ使用した気体を一層効果的に排出する。
【0085】
図9,9Aは、図8,8Aと大部分同様な図面であるが、ただし、内包されたカム軌道45,46を伴うカム軌道/電機子組立体75が、図7,7Aに示す燃焼の事象の直接的結果として、時計方向に(図7,7Aからは合計で90度だけ)さらに回転したものであることが異なっている。この時点では、シリンダーのパージと冷却のサイクルは、まだ進行中である。シリンダーのパージと冷却のサイクルが完了する前は、シリンダー14A中の空気の総体積が、複数回だけ入れ替えられ、次回の燃焼の事象を最大化するために、冷たくクリーンな環境を確実なものとする。これらの図面では排気弁棒21はまだ開放され、次回の圧縮サイクルの直前まで開き状態のままとなる。このとき、符号45Bに示すように、カム軌道45のカムリング角度が次第に増加することと、カムフォロワーの一例であるカムローラー組立体18の相互作用とに起因して、ピストン組立体39は緩やかに内向きに動き始める。このピストン組立体の緩やかな加速は、エンジン/発電機組立体の発電機部によって、利用可能な出力エネルギーに直接に変換可能なエネルギーを、保存することとなり、これは、全体の効率をさらに高める。
【0086】
図9,9Aでは、図7,7Aでシリンダー14Aが置かれていた点火位置と同じ点火位置に、シリンダー14Bが置かれている。排気弁棒21がなお開いたままで、図9,9Aのシリンダー14Aはパージと冷却のサイクルの中にある。排気弁棒21は、カム軌道/電機子組立体75が時計方向にさらに25.6度だけ回転する間に、開いたままであり、シリンダーのパージと冷却のサイクルは、カム軌道/電機子組立体75が時計方向にさらに36.6度だけ回転する間に、継続する。この好ましい実施形態では、排気弁棒21は、パージ・冷却サイクルの終わりよりも11度だけ手前で、閉じる。従って、ピストン組立体39の内向きの移動の前にシリンダー14にはいってくるパージ・冷却空気によって、シリンダーを前もって加圧することをこの構成は可能にする。これは、カムローラー組立体18と外カム軌道45との相互作用によって引き起こされる。この動作は、燃焼の前にシリンダー圧力をより大きくする。もし燃焼の前に大きな、又は小さなシリンダー圧力が望ましいと判断される場合は、排気弁棒21の閉鎖のタイミングは、パージ・冷却サイクルが完了する前か後の任意の時点で生じるように単純に調節することができる。これにより、前圧縮のシリンダー圧力を、増加、減少、又は除去することができる。弁棒の閉鎖は、圧縮サイクルの間に外カム軌道45上でのピストン組立体39の部分的な上昇の後まで生じないように、さらに遅らせてもよい。所望に応じて、燃焼前に内部のシリンダー圧力を低減させることが可能である。
【0087】
このとき図7,7Aにおいて、シリンダー14Bは、上述したように、シリンダー14Aを位置させたのと同じ点火位置にセットされている。固定ブロックエンジン/発電機のカム軌道/電機子組立体75は、2個の対向するシリンダー14とその燃焼室とが燃焼を行った前回の燃焼の事象以来、90度回転しただけである。またここで明らかなように、各シリンダーは180度ごとの各回転の間に、1回の燃焼の事象を行い、従って、360度のちょうど1回の回転の間に2回の燃焼の事象を行う。従って、図示した4気筒の固定ブロックエンジン/発電機は、360度の1回転の間に延べ8回の燃焼の事象を生じさせる。これと比較して、従来の4気筒エンジンは、360度の1回転の間に2回の完全な燃焼の事象しか生じさせない。従って、本明細書で述べた4気筒の固定ブロックエンジン/発電機は、燃焼の事象を1回転当たり4倍の回数だけ生じさせる。
【0088】
図10は、図8中の8A-8A断面線にほぼ沿って得られた全体横断面図であるが、図8の関連部品の全てと取り外された上ケースハーフ4とを含んで、組み合わせて図示している。図10は、断面窓、即ち10A断面を示す。これは、次に説明する図11,12,13,14,15,16,17,18,19の拡大断面図に対して基本として用いられる。
【0089】
図11は、本発明の好ましい実施形態の圧力ブーストの特徴に付随した、一連の事象と特徴とを規定し、明確に表すための、一連の拡大した側面の横断面図のうち第1の図である。図11は、図3C中の文字Aに該当して、位置Aと表示してある。これは、ピストンストロークのピストン組立体39が達する燃焼室から最も遠い点、即ちピストンストロークの底部を意味する。図11では、ピストン組立体39がピストンストロークの底部にあることが明確に分かる。パージ・冷却空気は、上ケースハーフ4中のパージ空気ポート57からシリンダー14内の領域に導入され、シリンダー14を囲んでキャストポート71と連通する逃がし溝58に入れられる。シリンダー14の内外の壁の間に形成されたキャストチャンネル71Aを介して、パージ・冷却空気がシリンダー内に流れ続けるシリンダー14の外周壁に、キャストポート71は延びている。パージ・冷却空気は、シリンダー14の内壁を介して延びるキャストポート72において、シリンダー14内の領域へ出る。シリンダー壁の内部に一旦はいったら、パージ・冷却空気がシリンダー壁の周りを循環し続け、冷却を行い、前回の燃焼で生じた使用済みの気体と蒸気とを、排気弁組立体20の開いた排気弁棒21から、排気用ボア62を介して、排気パイプ26の外へ強制的に出す。明確化のために、シリンダー壁の中のキャストポート71,キャストチャンネル71Aは、図19を除くこれ以降の図面では図示していない。
【0090】
図12は、図3C中の文字Bに該当して、位置Bと表示してある。これは排気弁組立体20の排気弁棒21が完全に閉じた点を意味する。この点で、(図3Cの数字5の)前圧縮が開始している。空気がパージ空気ポート57を流れ続け、最後は(上述した)キャストポート72を通ってシリンダー14内の領域に入れられ、シリンダー14,燃焼室60を前もって加圧する。これは燃焼室60に向けて内向き・上向きに緩やかに動くピストン組立体39が、完全にキャストポート72を覆って空気の流れを断つまで行われる。
【0091】
図13は、図3Cに示した文字Cに該当して、位置Cと表示してある。これは、内向き・上向きに動くピストン組立体39がシリンダー14内でキャストポート72を覆うことによってシリンダーを完全に封止したときの、前圧縮の動作の完了の後の時点(図3C中の数字6参照)を表している。この時点では、液体又は気体のスパーク点火燃料が、通常の、容易に利用可能な、低圧燃料噴射システム(図示せず)を利用して、シリンダー14内の領域に噴射可能である。燃料のこの初期の噴射は、シリンダー内にはいっている空気中に、噴射された燃料が一層均一に拡散されるように、一層十分な時間の余裕を与えるので、望ましいものでありうる。本発明の好ましい実施形態では、天然ガスが、燃料の好ましい選択肢である。天然ガス90は、二流体の燃料/水の噴射器2にはいるように図示している。最終的には、シリンダー14内の領域に噴射される。
【0092】
図14は、図3Cに示した文字Dに該当して、位置Dと表示してある。これは、シリンダー14内の領域に低圧噴射天然ガス(又は、他の適切な、液体又は気体のスパーク点火燃料)が噴射された後であって、また天然ガスが内向き・上向きに動くピストン組立体39の継続した動きによって圧縮された(図3C中の数字6,7参照)後の任意の点を表している。
【0093】
図15は、図3Cに示した文字Eに該当して、位置Eと表示してある。これは、内向きのストロークの頂部又は終点にピストン組立体39が達した点を表している。ピストンストロークの頂部又は終点にピストン組立体39が達すると直ちにスパークプラグ3が通電され、燃焼室60内でスパークを発生させ、燃焼室60内で空気・燃料混合物の燃焼91を引き起こす。そして、使用される特定の燃料の特定の特性で決定付けられた条件で、シリンダー内の空気・燃料混合物の燃焼が一部又は全部終わるときまで、ピストン組立体39は静止位置(面E1に沿う。図3C中の数字9参照)に保持される。
【0094】
上記の特徴は非常に重要なものである。なぜならば、典型的なクランク軸のエンジンはピストンの動きを止めることができず、圧縮サイクル中でピストンがまだ上昇している間に空気・燃料混合物の燃焼を開始する必要があるからである。空気・燃料混合物の完全な燃焼を行うのに必要な時間の長さとピストンの大きな動作速度に起因して、従来のエンジンではその動作を必要とする。従来のエンジンで必要な早い時点での点火の結果として、出力パワーの損失がある。なぜならば、クランク軸(この条件では負の回転力が生じる)の位置で決定付けられる上死点(TDC)に向けて上向きに移動する間に、早い時点での燃焼の事象で大きくされる圧力にピストンは打ち勝たなければならないからである。負の回転力は、全体の効率を損ない、内在的なエネルギー損失を補完するための燃料消費での増加を生じさせる。エンジンの速度が上昇するにつれて、点火の事象は通常は一層早い時点で開始されるため、上記の条件は、従来のエンジンではさらに深刻なものとなる。本発明の好ましい実施形態の相対的に固定したスピードのエンジンは、上述した問題を完全に解決する。なぜならば、ピストン組立体39は点火の際にシリンダー内で頂部位置に達することが許容され、ピストン組立体39は、いずれの特定の燃料が使用されても、その燃料が必要とするどのような長さの時間にも、シリンダー内の頂部位置で静止位置のまま(図3C中の数字9参照)であることが許容されるからである。これにより、燃焼の事象の間に空気・燃料混合物が完全に燃焼されること、また燃焼の事象で生成された出力パワーを最適化することを確実にする。
【0095】
ここで注意することは、図13,15に関する上記の説明は、好ましい実施形態で選択される燃料であるスパーク点火燃料、例えばガソリン、プロパン、又は天然ガスに特有のものであるということである。圧力点火燃料(ディーゼル、JP-8など)の場合には、図13に示す位置Cでシリンダーには噴射されず、図15に示す位置Eで噴射される。図13を参照して述べた、初期の低圧の噴射能力を例外として、上述した全ての利点は、任意の又は全ての圧力点火燃料の利用にやはり適用される。
【0096】
図16は、図3Cに示した文字Fに該当して、位置Fと表示してある。これは、及ぼされる圧力の結果として外向きにピストン組立体39が移動を開始する移行領域を表している。この及ぼされる圧力は、燃焼室内の燃料の燃焼によって働く圧力であり、外カム軌道45で、角度をなす外側の下り面と常に継続的に接触するカムローラー組立体18に伝達される。これによりカム軌道/電機子組立体75を回転させ、さらに、回転するカム軌道/電機子組立体75内の電機子磁石11と、外ケースハーフに取り付けられた固定の電気コイル32との相互作用によって電気を発生させる。
【0097】
ここで図3Cを参照して述べる。図3Cで数字9を付した滞留の後の移行期間において、本発明の圧力ブーストの特徴に初めて立ち入る。数字9で示す滞留に関しては、明確に理解するべきことは、滞留9の期間が固定された長さだとしても、使用される特定の燃料の燃焼特性で予め定められるということである。ディーゼル燃料に用いられる滞留の長さは、ガソリン、天然ガスなどを使用するために割り当てられた滞留の長さと異なってもよい。図3C、またより詳しくは文字Fで示した現在の状態図をもう一度参照して述べると、ピストン組立体39は、シリンダー内の空気・燃料混合物の燃焼が一部又は全部終了されたときまで、静止位置(面E1に沿う)に保持されている。ここで文字Fではっきり分かるように、外カム軌道45の下降する半径にカムローラー組立体18が従うため、ピストン組立体39は、いまや外向きに加速を始める。本発明のエンジン/発電機は、相対的に固定したスピードでの動作を意図したものであるが、ピストンの加速度は、文字Fで示した半径の長さを単に調整するだけで、用いられる特定の燃料に最も適合するために容易に調節可能である。面E1と下降する角度のカム軌道面Gとの間の移行半径が大きいほど、ピストン組立体39の加速度は小さくなる。
【0098】
図16を再び参照すると、スパークプラグ3はもう通電されず、燃焼室内の天然ガス・空気・燃料混合物91の燃焼は、この時点では完了することも完了しないこともあることが理解できる。水92は、二流体の燃料/水の噴射器2を介して燃焼室60にはいりつつある。圧力ブーストの特徴の主要な特徴の一つは、NOxガスの生成を低減又は防止することであり、天然ガス燃焼の事象の間に容易に到達可能な、摂氏1200度(ほぼ華氏2200度)を越える温度で、熱NOxガスは通常生成されるので、本発明の好ましい実施形態の圧力ブーストの特徴は、燃焼の事象の間又は後(又は前)のいずれの時点に開始してもよい。これにより、シリンダー内の燃焼ガスの温度を制限し、燃焼サイクルの間を通して、NOxガスの生成に必要な温度よりも低い温度を維持する。燃焼の事象の間の二流体の燃料/水の噴射器2を介しての燃焼室60への水92の噴射は、1回の短いバースト噴射(burst)、又は複数回の短いバースト噴射、又は、二流体の燃料/水の噴射器2を介して燃焼室60に供給される水の制御された水流によって行われてよい。圧力ブーストの特徴の別の機能は、ピストン組立体39に与えられた圧力を上昇させ、燃焼プロセスからより多くのエネルギーを取り出すことである。極度に高温の燃焼室に水92が噴射されると、瞬時に過熱蒸気又は乾燥蒸気に変換される。それはシリンダーで格段に大きな体積を必要とする。これはシリンダー内の圧力を相当増加させ、完全な固定ブロック回転式エンジン/発電機ユニットで得ることが可能な出力パワーを増加させる。
【0099】
図17は、図3Cに示した文字Gに該当して、位置Gと表示してある。これは、外カム軌道45中で、角度をなす下り面を表している。(図3C中の参照用文字Gで示される)外カム軌道45の急な角度から明らかなように、ピストン組立体39の外向きの移動は、カム軌道/電機子組立体75に大きな回転力を与えることとなる。図17を参照すると、ピストン組立体39の外向きの移動と、外カム軌道45へのカムローラー組立体18の相互作用は、明瞭に分かる。この時点でシリンダー内の空気・天然ガス燃料混合物の燃焼は、完了することがありうる。追加の水92は、二流体の燃料/水の噴射器2を介して高温の燃焼室・シリンダーに送られてよい。本発明の圧力ブーストの特徴のさらに他の言及される目標は、ピストンストローク長を延ばし、燃焼熱をより完全に利用することであり、一層多くの仕事を遂行することができる手段を提供することである。また、燃焼室・シリンダー内の温度は、さらに多くの過熱蒸気又は乾燥蒸気に水92を変換するのに十分な高温になりうる。従って、圧力ブーストプロセスはさらに継続できる。
【0100】
本発明の圧力ブーストの特徴の別の言及される目標は、別体の補助的な冷却システムの必要性を減少させる、又は必要なくさせることである。過熱蒸気又は乾燥蒸気に水を変換することは、冷却プロセスである。この蒸気の生成はシリンダー圧力の上昇と、ピストンストローク長の増加と、より多くの出力パワーを利用可能にすることとをもたらすので、それが実用的でなくなったり有利でなくなったりするまでは、このプロセスが燃焼サイクルを通して継続することを意図している。圧力ブーストの特徴は、固定ブロック回転式エンジン/発電機の動作から完全に独立しているから、エンジン/発電機ユニットの現在の負荷の要件を満たすように消費される燃料の量をさらに減少させるように、その利用を最大限にすることが可能である。
【0101】
排気パイプ26から排出される排出ガスの温度とともに、エンジンブロック13のコア温度をモニターするのに必要な全ての所要のセンサーと、コンピュータープロセサーとを備えた独立した圧力ブーストシステムの一部分が、上記の説明に記載した圧力ブーストの特徴となっている。エンジン/発電機に与えられる現在の負荷に関する情報とともに、このような情報(さらに他の情報)に基づいて、コンピュータープロセサーは、燃焼の前にシリンダーに噴射するべき燃料の最も適切な量を決定し、燃焼の事象の間と後にシリンダーに噴射するべき水のタイミング、頻度と体積を求めることとなるので、負荷及び熱の変動に関する常に変わりつつある変動の間に最大となる燃料効率を確実なものとする。例えば、低温時の始動では、追加の燃料がシリンダーに供給可能であり、燃焼の事象の間に限って、燃焼室には、わずかな水のみを噴射するか、まったく噴射しないということが起こりうる。しかし、エンジン/発電機のコア温度が上昇するため、燃焼室へ噴射される燃料の量を減らすことに効果がある。その一方で、燃焼の事象の終了の後まで延長して行われる噴射の頻度とともに、燃焼室へ噴射される水の体積を上昇させる。最大の負荷を与える数回の間、特に継続した定常利用の動作の間に、燃焼室へ噴射される燃料の量を上昇させることは、やはり効果がある。また燃焼サイクルの全てを通して燃焼室/シリンダーに行われる水の噴射の体積と頻度を最大化するので、長く信頼性のある有用寿命を確実にするのに必要となる適切な量の内部冷却を行って、エネルギー生成を最大化することとなる。(図5の)リングギヤ5によって、機械的な噴射ポンプを駆動してもよい。また、コンピュータープロセサーと連動して、通常の電子制御ユニット噴射器を用いてもよい。
【0102】
この圧力ブーストプロセスで用いられた水は、エンジン/発電機から出た後に標準的な凝縮器を用いて排出ガスから再利用されてもよい。また必要に応じて濾過や処理がなされ、利用可能である間は再利用される。
【0103】
図18は、図3Cに示した文字Hに該当して、位置Hと表示してある。これは、(図19に示される)キャストポート72が露呈する前に、外に動くピストン組立体39が到達できる最外位置を表している。図18に示す点にピストン組立体39が達する直前に、排気弁組立体20の排気弁棒21は開き、全ての加圧された燃焼ガスと蒸気とを排気用ボア62から逃がし、最後には排気パイプ26から出す。排気弁棒21が開くと、燃焼ストローク(図3C参照)中のパワー発生の期間は終了する。
【0104】
図19は、図3Cに示した文字Iに該当して、位置Iと表示してある。これは、ピストン組立体39が到達できる底部又は最外位置を表している。図11を参照して述べる特徴と動作の全ては、図19の状態図と同様である。図3Cから明らかなように、(図11の)位置Aは(図19の)位置Iから180度になっている。従って、上述した事象の流れは、何度も繰り返されるものとなることが理解される。中心から径方向に外向きに延びる各シリンダー14を図示して、上記の好ましい実施形態を説明したが、シリンダーは多くの異なる手法で構成することが可能である。
【0105】
図20,21は、シリンダー構造の他の変形例を示す上横断面図である。参照符号は明確化のために省いてあるが、各図中の構成要素は、上述の図6,7,8,9のいずれかでただちに特定できる。図20,21は、シリンダーの姿勢が、中心から直接に径方向外向きに延びて、左右のいずれかにわずかにずれている実施形態をそれぞれ示している。
【0106】
図22,23はそれぞれ上横断面図であり、シリンダー構造は、中心に対する径方向外向きに関して、さらにずれて90度延びているものである。これらの図から、ずれのある構造は、さまざまな用途で望ましいものとされる、一層コンパクトな構成をもたらすことが分かる。ただし、よりコンパクトにした、ずれのあるシリンダー構造は、動作中にエンジンの要素に対する負荷を上昇させることがある。
【0107】
図1~9Aに付随した上記の説明は、固定ブロック回転式エンジン/発電機のカム軌道/電機子組立体75の1回転の1/4(90度)で生じる事象の後に続くものである。図11~19に付随した上記の説明は、圧力ブーストを伴った固定ブロック回転式エンジン/発電機のカム軌道/電機子組立体75の1回転の1/2(180度)で生じる事象の後に続くものである。本件で開示した、固定ブロック回転式エンジン/発電機というエンジンと発電機の組み合わせは、固定式の電力発電の用途とともに、いずれか又は全ての仮想的に携帯型である発電の用途に役立つ、極度に小さなパッケージに収容された、非常に効率密度が高く、軽量で、経済的で、信用度が高く、信頼性が高い電力源の探求の中で大きな飛躍となるものであることを、通常のエンジンの内部加工に習熟した者であれば認識できるであろう。さらに認識するべきことは、圧力ブーストの特徴を加えることが、さらに上述した利点の全てを発展させることである。またこれに加えて認識するべきことは、圧力ブーストを伴う固定ブロック回転式エンジン/発電機の圧力ブーストの特徴を備えている、本件で開示したエンジンが、スパーク点火、圧力点火のいずれでも、内燃機関の作動に同様に用いられる液体燃料及び/又は気体燃料の、組み合わせ、又はそのうちの単一の燃料を用いて作動することが可能であることである。さらに認識するべきことは、圧力ブーストを伴う固定ブロック回転式エンジン/発電機の圧力ブーストの特徴の使用が、出力パワーの上昇を生じ、燃焼プロセス中のNOxガスの生成を減少又は除去し、排出ガスの温度を大幅に下げ、有毒ガス汚染の大幅な削減、また大気中に放出される熱汚染の大幅な減少を実現するということである。さらに認識するべきことは、新しい圧力ブーストの特徴から得られる大きな効率密度と全体的な効率とに起因して、圧力ブーストを伴う固定ブロック回転式エンジン/発電機の本件で開示したエンジンが、より一層利用可能な出力エネルギーを生成することができ、燃料の消費量をかなり削減できることである。
【0108】
本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明によって表される新しく優れた利点は、容易に認識し理解されることである。また、添付図面に図示して説明した実施形態は好ましいものであるが、本発明は、上述の記載に限定されないものとして意図されるのであり、添付の請求項に記載されている場合を除いて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同等な発明対象の修正、変形及び置換を施すことができる。
【0109】
さらに、以下の実施態様項を開示する。
(実施態様項1)
圧縮ストローク及びパワーストロークを有する改良された内燃機関であって、
少なくとも1個のシリンダーと、
シリンダー内で軸線方向に可動であり、少なくとも1個のカムフォロワーを有するピストンと、
少なくとも1個のカムフォロワーで駆動され、少なくとも1個のパラメーターに基づいて圧縮ストローク及びパワーストロークを行う間にピストンの独立的移動と加速とを許容するように構成されている無端のカム軌道と、
空気及び燃料をシリンダーに導入し、圧縮ストロークの間に空気及び燃料を圧縮する手段と、
空気及び燃料を燃焼してパワーストロークを開始し、空気及び燃料の燃焼によってピストン及びカムフォロワーを駆動する手段と、
燃焼の開始後にシリンダー内に急膨張する媒体を導入する手段とを備え、媒体は、体積が増加した気体になり、シリンダー内の圧力を上昇させ、シリンダー内の温度を低下させ、さらにピストンを駆動する、改良された内燃機関。
(実施態様項2)
カム軌道は、少なくとも1回の滞留で、ピストンの独立的移動と加速とを許容する実施態様項1記載の改良された内燃機関。
(実施態様項3)
少なくとも1回の滞留は、ピストンの移動と加速との間の時間を制御する実施態様項2記載の改良された内燃機関。
(実施態様項4)
ピストンの加速及び減速の値は、独立的に制御され、エネルギー生成を増大させる実施態様項1記載の改良された内燃機関。
(実施態様項5)
ピストンの加速及び減速の値が、燃料タイプに基づいて予め定められている実施態様項4記載の改良された内燃機関。
【符号の説明】
【0110】
1 燃料の噴射器のクランプ
2 二流体の燃料/水の噴射器
3 スパークプラグ
4 エンジン/発電機の囲いの一方の半分を構成する上ケースハーフ
5 リングギヤ
6 主要な径方向の軸受を保持するのに用いるスナップリング
7 主要な径方向のボール軸受
8 不使用
9 上カム軌道板
10 電機子リング
11 電機子磁石
12 電機子クランプ
13 固定配置のエンジンブロック
14 シリンダー
15 シリンダー用の筒部
16 ピストン
17 リストピン
18 カムローラー組立体
19 位置決めの止めねじ
20 排気弁組立体
21 排気弁棒(排気弁組立体に対して1本)
22 弁体(排気弁組立体に対して1個)
23 弁ガイド(排気弁組立体に対して1個)
24 弁ばね(排気弁組立体に対して1個)
25 排気弁カム(排気弁組立体に対して1個)
26 排気パイプ
27 排気弁カム揃え用の軸受
28 下カム軌道板
29 排気弁作動用のカムリングの保持部
30 排気弁作動用のカムリング
31 スラスト軸受
32 固定の電気コイル
33 下ケースハーフ
39 ピストン組立体
75 カム軌道/電機子組立体
図1
図1A
図1B
図2
図3
図3A
図3B
図3C
図4
図4A
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図8A
図9
図9A
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23