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特許7153452吸収性物品用シート部材および吸収性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】吸収性物品用シート部材および吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/512 20060101AFI20221006BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20221006BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20221006BHJP
   B32B 7/02 20190101ALI20221006BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20221006BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61F13/512 100
A61F13/535 100
A61F13/535 200
B32B3/24 Z
B32B7/02
A61F13/532 100
A61F13/534 110
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018028215
(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公開番号】P2019141304
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中岡 健次
(72)【発明者】
【氏名】丸畠 和也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】池内 昌俊
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-355271(JP,A)
【文献】特開2016-112046(JP,A)
【文献】特開2016-019566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/512
A61F 13/535
A61F 13/511
B32B 3/24
B32B 7/02
A61F 13/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品用シート部材であって、
不織布であり、長手方向に延びる第1シートと、
複数の通水孔が分散して形成されたフィルムであり、前記第1シートに接合される第2シートと、
前記第1シートと前記第2シートとの間に配置され、前記第1シートおよび前記第2シートの少なくとも一方に固定される高吸収性材料と、
を備え、
前記吸収性物品用シート部材が吸収性物品において使用される際に、前記第2シートが前記第1シートよりも着用者側に配置され、
前記第2シートの前記複数の通水孔のそれぞれにおける孔縁部が、前記第1シートに向かって突出し、
前記第1シートと前記第2シートとの間において、前記高吸収性材料の密度が周囲に比べて低い、または、前記高吸収性材料が存在しない低密度領域が、前記長手方向に沿って広がり、
前記低密度領域において、前記孔縁部が押し潰された状態で、前記第1シートと前記第2シートとが接合されていることを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品用シート部材であって、
前記孔縁部において、先端部における孔の大きさが根元部よりも小さいことを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品用シート部材であって、
前記複数の通水孔の直径が、0.1ミリメートル以上、かつ、3ミリメートル以下であることを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材であって、
前記第1シートとは反対側にて、前記第2シートに接合される第3シートと、
前記第2シートと前記第3シートとの間に配置され、前記第2シートおよび前記第3シートの少なくとも一方に固定される他の高吸収性材料と、
をさらに備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項5】
吸収性物品用シート部材であって、
不織布であり、長手方向に延びる第1シートと、
複数の通水孔が分散して形成されたフィルムであり、前記第1シートに接合される第2シートと、
前記第1シートと前記第2シートとの間に配置され、前記第1シートおよび前記第2シートの少なくとも一方に固定される高吸収性材料と、
前記第1シートとは反対側にて、前記第2シートに接合される第3シートと、
前記第2シートと前記第3シートとの間に配置され、前記第2シートおよび前記第3シートの少なくとも一方に固定される他の高吸収性材料と、
を備え、
前記吸収性物品用シート部材が吸収性物品において使用される際に、前記第2シートが前記第1シートよりも着用者側に配置され、
前記第2シートの前記複数の通水孔のそれぞれにおける孔縁部が、前記第1シートに向かって突出することを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性物品用シート部材であって、
前記第1シートと前記第2シートとの間において、前記高吸収性材料の密度が周囲に比べて低い、または、前記高吸収性材料が存在しない低密度領域が、前記長手方向に沿って広がることを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項7】
請求項4ないしのいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材であって、
前記吸収性物品用シート部材が吸収性物品において使用される際に、前記第3シートが前記第1シートよりも着用者側に配置され、
前記第1シートと前記第2シートとの間に配置される前記高吸収性材料により下側吸収層が形成され、
前記第2シートと前記第3シートとの間に配置される前記他の高吸収性材料により上側吸収層が形成され、
前記下側吸収層における前記高吸収性材料の吸収速度が、前記上側吸収層における前記他の高吸収性材料よりも大きいことを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項8】
請求項4ないしのいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材であって、
前記第3シートが、複数の通水孔が分散して形成されたフィルムであることを特徴とする吸収性物品用シート部材。
【請求項9】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
請求項1ないし8のいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材と、
前記吸収性物品用シート部材の着用者側の主面を覆うトップシートと、
前記吸収性物品用シート部材のもう一方の主面を覆うバックシートと、
を備えることを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品用シート部材および吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品が利用されている。このような吸収性物品において、着用者からの尿等を受ける部分に、高吸収性材料を含む吸収コアを配置することにより、吸収量の向上等が図られている。例えば、吸収コアでは、高吸収性材料を不織布で挟み込んだ構造が一般的である(このような吸収コアとして、例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5746686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高吸収性材料を不織布で挟み込んだ構造では、不織布における液体の拡散性が低いため、着用者から排泄された尿等の液体が高吸収性材料の一部分に集中して付与されてしまう。この場合、液体を吸収した高吸収性材料の当該部分が膨潤して密集し、吸収コア内部への液体の浸透が妨げられる現象(ブロッキングとも呼ばれる。)が生じやすくなる。その結果、吸収コアにおいて、高吸収性材料を有効に(すなわち、無駄を少なく)利用することができなくなる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、高吸収性材料を有効に利用することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、吸収性物品用シート部材であって、不織布であり、長手方向に延びる第1シートと、複数の通水孔が分散して形成されたフィルムであり、前記第1シートに接合される第2シートと、前記第1シートと前記第2シートとの間に配置され、前記第1シートおよび前記第2シートの少なくとも一方に固定される高吸収性材料とを備え、前記吸収性物品用シート部材が吸収性物品において使用される際に、前記第2シートが前記第1シートよりも着用者側に配置され、前記第2シートの前記複数の通水孔のそれぞれにおける孔縁部が、前記第1シートに向かって突出し、前記第1シートと前記第2シートとの間において、前記高吸収性材料の密度が周囲に比べて低い、または、前記高吸収性材料が存在しない低密度領域が、前記長手方向に沿って広がり、前記低密度領域において、前記孔縁部が押し潰された状態で、前記第1シートと前記第2シートとが接合されている。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の吸収性物品用シート部材であって、前記孔縁部において、先端部における孔の大きさが根元部よりも小さい。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品用シート部材であって、前記複数の通水孔の直径が、0.1ミリメートル以上、かつ、3ミリメートル以下である。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材であって、前記第1シートとは反対側にて、前記第2シートに接合される第3シートと、前記第2シートと前記第3シートとの間に配置され、前記第2シートおよび前記第3シートの少なくとも一方に固定される他の高吸収性材料とをさらに備える。
請求項5に記載の発明は、吸収性物品用シート部材であって、不織布であり、長手方向に延びる第1シートと、複数の通水孔が分散して形成されたフィルムであり、前記第1シートに接合される第2シートと、前記第1シートと前記第2シートとの間に配置され、前記第1シートおよび前記第2シートの少なくとも一方に固定される高吸収性材料と、前記第1シートとは反対側にて、前記第2シートに接合される第3シートと、前記第2シートと前記第3シートとの間に配置され、前記第2シートおよび前記第3シートの少なくとも一方に固定される他の高吸収性材料とを備え、前記吸収性物品用シート部材が吸収性物品において使用される際に、前記第2シートが前記第1シートよりも着用者側に配置され、前記第2シートの前記複数の通水孔のそれぞれにおける孔縁部が、前記第1シートに向かって突出する。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の吸収性物品用シート部材であって、前記第1シートと前記第2シートとの間において、前記高吸収性材料の密度が周囲に比べて低い、または、前記高吸収性材料が存在しない低密度領域が、前記長手方向に沿って広がる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項4ないしのいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材であって、前記吸収性物品用シート部材が吸収性物品において使用される際に、前記第3シートが前記第1シートよりも着用者側に配置され、前記第1シートと前記第2シートとの間に配置される前記高吸収性材料により下側吸収層が形成され、前記第2シートと前記第3シートとの間に配置される前記他の高吸収性材料により上側吸収層が形成され、前記下側吸収層における前記高吸収性材料の吸収速度が、前記上側吸収層における前記他の高吸収性材料よりも大きい。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項4ないしのいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材であって、前記第3シートが、複数の通水孔が分散して形成されたフィルムである。
【0016】
請求項に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、請求項1ないしのいずれか1つに記載の吸収性物品用シート部材と、前記吸収性物品用シート部材の着用者側の主面を覆うトップシートと、前記吸収性物品用シート部材のもう一方の主面を覆うバックシートとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第2シートにより排泄物の液体を適切に拡散させることができ、高吸収性材料を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】吸収性物品を示す平面図である。
図2】吸収性物品を示す断面図である。
図3】吸収コアを示す平面図である。
図4】吸収コアの断面を拡大して示す図である。
図5】吸収コアの他の例を示す図である。
図6】吸収コアの断面を拡大して示す図である。
図7】吸収コアの他の例を示す図である。
図8】吸収コアの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一の形態に係る吸収性物品1を広げた状態で示す平面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの尿等の排泄物を受ける補助吸収パッドである。図1では、着用時に着用者に接する側の面を手前にして吸収性物品1を描いている。
【0020】
図2は、吸収性物品1を図1中に示すII-IIの位置で長手方向(すなわち、図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図1および図2に示すように、吸収性物品1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な幅方向の両側)上に配置されて本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
【0021】
図1および図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21と、撥水性または不透液性のバックシート23と、トップシート21とバックシート23との間に配置された略シート状の吸収コア22とを備える。吸収コア22は、吸収性物品1にて利用される吸収性物品用シート部材であり、ポリマーシートとも呼ばれる。図2では、図示の都合上、吸収性物品1の各構成を厚さ方向に離して描いている(後述の図4ないし図8において同様)。また、図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太い破線にて描いている。図1に示すように、吸収コア22および本体部2のそれぞれは、平面視において長手方向に長い略長方形である。本体部2は吸収コア22より一回り大きく、吸収コア22の全体が本体部2の外周縁の内側に位置する。
【0022】
トップシート21およびバックシート23の長手方向の長さおよび幅方向の幅(以下、単に「長さ」および「幅」という。)は、吸収コア22の長さおよび幅よりも大きい。図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の着用者側の主面を覆う。バックシート23は、吸収コア22のもう一方の主面、すなわち、着用者とは反対側の主面を覆う。トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤等を介してバックシート23に接合される。
【0023】
図2に示すように、吸収コア22は、透液性の下側シート221と、透液性の上側シート222と、高吸収性材料226とを備える。下側シート221および上側シート222は、互いに重ねられてホットメルト接着剤等により接合される。これにより、複数のシート部材が積層されたシート積層体が形成される。高吸収性材料226は、下側シート221と上側シート222との間に配置される。本実施の形態における高吸収性材料226は、多数の粒子を含む。本明細書において、「上側」および「下側」は便宜的なものであり、必ずしも重力方向を意味するものではない。吸収コア22の構造の詳細については後述する。
【0024】
トップシート21は透液性のシート部材であり、着用者からの排泄物の液体を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、トップシート21を透過した液体を吸収して迅速に固定する。バックシート23は、バックシート23に到達した排泄物の液体等が、本体部2の外側にしみ出すことを防止する。
【0025】
図1および図2に示すように、各サイドシート3は、サイドシート本体31と、サイドシート本体31にホットメルト接着剤等により接合されて長手方向に延びる側壁部弾性部材32とを備える。図2に示すように、サイドシート本体31は、長手方向の全長に亘る折り曲げ線39にて2つ折りにされる。サイドシート本体31のうち、折り曲げ線39の一方側の帯状の部位を「側壁固定部33」といい、折り曲げ線39の他方側の帯状の部位を「側壁部34」という。
【0026】
側壁固定部33は、本体部2の側方エッジ近傍において長手方向のおよそ全長に亘って本体部2の着用者側の面にホットメルト接着剤等を用いて接合される。側壁部34は、折り曲げ線39にて側壁固定部33から連続する部位であり、本体部2の両側部上において本体部2の長手方向のおよそ全長に亘って延びる。側壁部34は、長手方向の両端部において本体部2上に重ねられ、ホットメルト接着剤等により固定される。側壁部34の自由端には側壁部弾性部材32が接合される。側壁部弾性部材32が収縮することにより、側壁部34の長手方向の中央部が、本体部2から着用者に向かって起立し、着用者の脚の付け根近傍に当接する一対の立体ギャザーとなる。これにより、吸収性物品1では、脚周りからの尿等の漏出抑制が図られている。
【0027】
上述のホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。トップシート21とバックシート23との接合、および、サイドシート3と本体部2との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0028】
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0029】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、バックシート23にて利用されるプラスチックフィルムは、透湿性(通気性)を有するものが好ましい。
【0030】
サイドシート本体31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。側壁部弾性部材32としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、図1に示す吸収性物品1では、ポリウレタン糸が弾性部材として利用される。
【0031】
図3は、吸収コア22を示す平面図である。既述のように、吸収コア22は、長手方向に長い略長方形であり、下側シート221および上側シート222は、共に長手方向に延びた形状である。吸収コア22では、複数の材料存在領域28と、複数の材料非存在領域29とが設けられる。図3中に平行斜線を付して示す複数の材料存在領域28は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状であって幅方向に互いに離間しつつ配列される。すなわち、吸収コア22では、長手方向に延びるストライプ状に配置された複数の材料存在領域28が設けられる。図3の例では、複数の材料存在領域28の幅は、互いにおよそ等しい。
【0032】
材料存在領域28では、下側シート221および上側シート222の一方または両方に対して、例えば、スパイラル塗工またはカーテン塗工によりホットメルト接着剤等が塗布され、高吸収性材料226が固定される。すなわち、材料存在領域28では、高吸収性材料226が下側シート221と上側シート222との間で挟持される。高吸収性材料226としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。本実施の形態における高吸収性材料226は、粒状の高吸収性ポリマーである。
【0033】
複数の材料非存在領域29は、吸収コア22における、複数の材料存在領域28を除く領域である。各材料非存在領域29は、長手方向に沿って延びる帯状である。例えば、材料非存在領域29の幅は、材料存在領域28の幅よりも小さい。図3の例では、複数の材料非存在領域29の幅は、互いに等しい。複数の材料非存在領域29と複数の材料存在領域28とは、幅方向に交互に配列される。
【0034】
各材料非存在領域29では、下側シート221と上側シート222との間に、いずれの高吸収性材料も存在しない。材料非存在領域29では、下側シート221と上側シート222とが、熱融着接合や、エンボス加工による接合等、接着剤を用いない接合により互いに接合されることが好ましい。材料非存在領域29では、下側シート221と上側シート222とが部分的に非接合状態であってもよい。また、材料非存在領域29が、高吸収性材料を僅かに含む領域であってもよい。すなわち、材料非存在領域29は、高吸収性材料226の密度が周囲(ここでは、材料存在領域28)に比べて低い、または、高吸収性材料226が存在しない低密度領域であればよい。
【0035】
図2に示すように、吸収性物品1において、下側シート221は、上側シート222とバックシート23との間に配置される。すなわち、吸収性物品1では、下側シート221が、上側シート222および高吸収性材料226の外側に配置される。下側シート221としては、例えば、トップシート21と同様に、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。また、下側シート221として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。さらに、下側シート221として、ティッシュやプラスチックフィルム等が利用されてもよい。
【0036】
図4は、材料存在領域28における吸収コア22の断面を拡大して示す図である。図4では、高吸収性材料226の粒子を、内部に平行斜線を付す丸にて示している。既述のように、高吸収性材料226の粒子は、ホットメルト接着剤等により下側シート221および上側シート222の少なくとも一方に固定される。
【0037】
図2に示すように、上側シート222は、下側シート221とトップシート21との間に配置される。すなわち、吸収性物品1において、上側シート222は、下側シート221よりも着用者側に配置される。上側シート222は、有孔フィルムであり、図4に示すように、材料存在領域28において、上側シート222には複数の通水孔26が分散して形成される。当該フィルムは、例えばプラスチックフィルムであり、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等の樹脂により形成される。当該フィルムは、例えば撥水性を有する。吸収コア22の厚さ方向に沿って見た場合に、各通水孔26は、略円形であり、環状の孔縁部261により囲まれる。すなわち、通水孔26は、孔縁部261の内部である。通水孔26の形状は、三角形等の多角形であってもよい。なお、上側シート222に付与される接着剤の量が調整されることにより、当該接着剤が、通水孔26を埋めることが防止または抑制される。
【0038】
各孔縁部261は、下側シート221に向かって突出する。孔縁部261は、根元部262と、先端部263とを有する。先端部263は、孔縁部261における下側シート221側の部位である。根元部262は、孔縁部261における下側シート221とは反対側の部位である。孔縁部261では、孔の大きさが根元部262から先端部263に向かって漸次小さくなる。したがって、先端部263における孔の大きさは、根元部262よりも小さい。ここで、孔の大きさとは、厚さ方向の各位置において通水孔26を円で近似した場合に得られる直径である。図4では、一の通水孔26において先端部263における最小の孔の大きさを矢印D1にて示し、根元部262における最大の孔の大きさを矢印D2にて示している。孔縁部261では、例えば、先端部263の一部が欠けていてもよい。
【0039】
各通水孔26において、厚さ方向の全ての位置にて得られる孔の大きさのうち最小のものを、当該通水孔26の直径とすると、上側シート222の材料存在領域28における通水孔26の直径(の平均値)は、例えば0.1mm(ミリメートル)以上である。通水孔26では、排泄物の液体が通過可能である。液体の通過をより容易にするには、通水孔26の直径は、0.3mm以上であることが好ましい。通水孔26の直径が過度に大きい場合には、高吸収性材料226の粒子(例えば、粒径0.3~0.5mm)が、通水孔26から吸収コア22の外部に漏れ出しやすくなるため、通水孔26の直径は、例えば3mm以下である。高吸収性材料226の粒子の漏れ出しをさらに抑制するには、通水孔26の直径は、2.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがより好ましい。
【0040】
上側シート222に用いられるフィルムの製造では、例えば、孔が形成されていないフィルムに対して、加熱した複数の針が貫通される。これにより、複数の通水孔26が、均一に分散した有孔フィルムが形成され、吸収コア22における上側シート222として用いられる。上側シート222において、材料存在領域28における通水孔26の面積(通水孔26の直径から導かれる面積)の比率、すなわち、有孔フィルムにおける通水孔26の面積比率は、例えば10%以上、かつ、90%以下である。液体の通過をより容易にするには、通水孔26の面積の比率は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。上側シート222においてある程度の強度を確保するには、通水孔26の面積の比率は、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。有孔フィルムにおいて1cm当たりの通水孔26の個数は、例えば、7個以上であり、80個以下である。
【0041】
一方、材料非存在領域29では、有孔フィルムにおける孔縁部261が押し潰された状態で、下側シート221と上側シート222とが接合される。したがって、材料非存在領域29では、孔縁部261は明確には下側シート221に向かって突出しない。孔縁部261が押し潰されることにより、材料非存在領域29における多くの通水孔26は、部分的または全体的に閉塞される。典型的には、材料非存在領域29における通水孔26の面積比率は、材料存在領域28よりも低くなる。
【0042】
吸収性物品1の着用者から尿等の排泄物が排泄されると、排泄物の液体が、トップシート21を透過し、上側シート222における着用者側の面に付着する。上側シート222の当該面上において、材料存在領域28では、液体が長手方向および幅方向に拡散しつつ、通水孔26を介して高吸収性材料226に導かれる。また、長手方向に延びる材料非存在領域29では、液体が長手方向に拡散しつつ幅方向にも広がり、材料存在領域28における高吸収性材料226に導かれる。このようにして、長手方向および幅方向の広範囲に亘って高吸収性材料226が有効に利用される。
【0043】
ここで、下側シートおよび上側シートの両方が不織布にて形成される比較例の吸収コアを想定する。比較例の吸収コアでは、不織布である上側シートの液透過性が高いため、上側シートにおける着用者側の面に付着した液体が上側シートにおいてあまり拡散することなく、高吸収性材料の一部分に集中して付与される。この場合、液体を吸収した高吸収性材料の当該部分が膨潤して密集し、吸収コア内部への液体の浸透が妨げられる現象(ブロッキングとも呼ばれる。)が生じやすくなる。また、高吸収性材料の表面にて浸透が妨げられた液体が上側シートを介して着用者側に戻り、着用者の肌に付着する現象(ウェットバックとも呼ばれる。)が生じることもある。さらに、不織布である上側シートでは、繊維の隙間に保持された液体(液残り)が着用者に対して不快感を生じさせる場合がある。
【0044】
これに対し、図4の吸収コア22では、複数の通水孔26が分散して形成されたフィルムが上側シート222として用いられる。上側シート222では、液体を適切に拡散させることができ、比較例の吸収コアのように、高吸収性材料226の一部分に対して液体が集中して付与されることが防止または抑制される。これにより、吸収コア22における高吸収性材料226の大部分を有効に(すなわち、無駄を少なく)利用することができ、ブロッキングの発生も抑制することができる。また、フィルムである上側シート222は、不透液性を有するため、高吸収性材料226の表面に到達した液体が着用者側に戻ること(ウェットバック)を抑制することができる。さらに、繊維を含まない上側シート222では、液体が保持されないため、比較例の吸収コアのように、上側シートで保持された液体が着用者に対して不快感を生じさせることもない。
【0045】
上側シート222では、各通水孔26における孔縁部261が、下側シート221に向かって突出する。これにより、上側シート222と下側シート221との間に液体を適切に導くとともに、通水孔26を通過した液体が上側シート222の表面に戻ることを抑制することができる。また、孔縁部261において、先端部263における孔の大きさが根元部262よりも小さいことにより、通水孔26を通過した液体が上側シート222の表面に戻ることをさらに抑制することができる。なお、吸収コア22の設計によっては、通水孔26の孔縁部261が突出していないフィルムを用いることも可能である。
【0046】
吸収コア22では、材料非存在領域29が、長手方向に沿って広がる。これにより、材料非存在領域29を利用して、液体を長手方向に適切に拡散させることができる。また、材料非存在領域29において、孔縁部261が押し潰された状態で、下側シート221と上側シート222とが接合される。これにより、材料非存在領域29において、上側シート222の通水孔26を部分的または全体的に閉塞して、上側シート222の表面において、液体の長手方向への拡散をさらに促進させることができる。
【0047】
図5は、吸収コアの他の例を示す図であり、長手方向に垂直な吸収コア22aの断面を示している。図5の吸収コア22aでは、上側シート222と下側シート221との間に中間シート223が追加される。中間シート223における一方側の面には、下側シート221が接合され、中間シート223における下側シート221とは反対側の面には、上側シート222が接合される。また、下側シート221と中間シート223との間に第1高吸収性材料226aが配置され、中間シート223と上側シート222との間に第2高吸収性材料226bが配置される。
【0048】
吸収コア22aにおいても、図2の吸収コア22と同様に、複数の材料存在領域28と、複数の材料非存在領域29とが設けられる。各材料存在領域28では、第1高吸収性材料226aの粒子が、下側シート221および中間シート223の少なくとも一方に固定される。また、第2高吸収性材料226bの粒子が、中間シート223および上側シート222の少なくとも一方に固定される。このように、第1高吸収性材料226aおよび第2高吸収性材料226bは、材料存在領域28に固定される。各材料存在領域28では、下側シート221と中間シート223との間に配置される第1高吸収性材料226aにより下側吸収層227が形成され、中間シート223と上側シート222との間に配置される第2高吸収性材料226bにより上側吸収層228が形成される。
【0049】
図5の例では、第1高吸収性材料226aおよび第2高吸収性材料226bは、互いに種類が異なる。図5では、第1高吸収性材料226aと、第2高吸収性材料226bとに異なる平行斜線を付している(後述の図6において同様)。第1高吸収性材料226aの吸収速度は、第2高吸収性材料226bよりも大きい。すなわち、下側吸収層227を構成する高吸収性材料の吸収速度が、上側吸収層228を構成する高吸収性材料よりも大きい。本実施の形態における吸収速度は、所定量の高吸収性材料が所定量の液体を吸収するのに要する時間の逆数に基づく値である。下側吸収層227を構成する高吸収性材料の吸収速度が、上側吸収層228を構成する高吸収性材料よりも大きい状態が維持される範囲内で、下側吸収層227が第2高吸収性材料226bを含んでもよく、上側吸収層228が第1高吸収性材料226aを含んでもよい。換言すると、下側吸収層227は、少なくとも第1高吸収性材料226aを含み、上側吸収層228は、少なくとも第2高吸収性材料226bを含む。吸収コア22では、3種類以上の高吸収性材料が含まれてもよい。吸収速度の測定方法については後述する。
【0050】
図6は、材料存在領域28における吸収コア22aの断面を拡大して示す図である。上側シート222の構造は、図4の吸収コア22における上側シート222と同様である。中間シート223の構造は、上側シート222と同様であり、中間シート223は、複数の通水孔26が分散して形成されたフィルムである。上側シート222および中間シート223のそれぞれにおいて、各通水孔26の孔縁部261は、下側シート221に向かって突出する。また、孔縁部261において、先端部263における孔の大きさが根元部262よりも小さい。材料存在領域28では、中間シート223は、下側吸収層227を介して下側シート221に接合され、上側吸収層228を介して上側シート222に接合される。図6の例では、上側シート222の通水孔26の直径が、中間シート223と同じであるが、上側シート222の通水孔26の直径は、中間シート223よりも大きくてもよく、小さくてもよい(通水孔26の面積比率において同様)。
【0051】
図5の各材料非存在領域29では、下側シート221と中間シート223との間、および、中間シート223と上側シート222との間には、いずれの高吸収性材料も存在しない。したがって、下側シート221と中間シート223とが直接接合され、中間シート223と上側シート222とが直接接合される。材料非存在領域29は、高吸収性材料を僅かに含む領域であってもよく、既述の低密度領域であればよい。材料非存在領域29では、孔縁部261が押し潰された状態で、下側シート221と中間シート223とが接合され、中間シート223と上側シート222とが接合される。
【0052】
吸収性物品1では、上側シート222がトップシート21と接し、下側シート221がバックシート23と接する。すなわち、上側シート222が下側シート221よりも着用者側に配置される。吸収性物品1の着用者から尿等の排泄物が排泄されると、排泄物の液体が、トップシート21を透過し、上側シート222における着用者側の面に付着する。上側シート222の当該面上において、材料存在領域28では、液体が長手方向および幅方向に拡散しつつ、上側シート222の通水孔26を介して上側吸収層228に導かれる。また、長手方向に延びる材料非存在領域29では、液体が長手方向に拡散しつつ幅方向にも広がり、材料存在領域28における上側吸収層228に導かれる。
【0053】
上側吸収層228を構成する高吸収性材料(主として第2高吸収性材料226b)の吸収速度は比較的小さいため、排泄物の液体の大部分は上側吸収層228では直ぐには吸収されず、中間シート223に向かってさらに浸透する。液体は、中間シート223における着用者側の面に到達し、長手方向および幅方向に拡散しつつ、中間シート223の通水孔26を介して下側吸収層227に導かれる。下側吸収層227を構成する高吸収性材料(主として第1高吸収性材料226a)の吸収速度は比較的大きいため、下側吸収層227が液体を短時間に吸収する。下側吸収層227の高吸収性材料により、ある程度の量の液体が吸収されると、膨潤した当該高吸収性材料により、中間シート223における通水孔26の先端部263が部分的または全体的に閉塞される。その後、排泄物の液体は、上側吸収層228の高吸収性材料により緩やかに吸収される。吸収コア22aでは、下側吸収層227および上側吸収層228の高吸収性材料が有効に利用されるため、吸収性物品1において多量の液体を受けることが可能である。
【0054】
以上のように、図6の吸収コア22aでは、上側吸収層228および下側吸収層227が設けられ、上側吸収層228と下側吸収層227との間に、複数の通水孔26を有する中間シート223が設けられる。中間シート223では、排泄物の液体を適切に拡散させることができ、下側吸収層227における高吸収性材料の大部分を有効に利用することができる。
【0055】
また、下側吸収層227における高吸収性材料の吸収速度が、上側吸収層228における高吸収性材料よりも大きい。換言すると、上側吸収層228の吸収速度が小さい。これにより、液体をより確実に下側吸収層227へと導くことができる。また、下側吸収層227の高吸収性材料が膨潤することにより、中間シート223の通水孔26が閉塞される。これにより、下側吸収層227から上側吸収層228に液体が戻ることを抑制することができる。さらに、吸収性物品1において中間シート223よりも着用者側に配置される上側シート222も、複数の通水孔26が分散して形成されたフィルムである。その結果、中間シート223および上側シート222の両方により液体を適切に拡散させることができ、吸収コア22aにおける高吸収性材料の大部分をより有効に利用することができる。
【0056】
ここで、高吸収性材料の吸収速度の測定方法について述べる。吸収速度は、例えば、JIS K7224に準拠した測定方法(ボルテックス法)により測定される。当該測定方法では、50[g]の脱イオン水または食塩水を試験液として、試験液およびスターラーチップ(中央部の直径が8[mm]、両端の直径が7[mm]、長さが30[mm]であり、フッ素樹脂でコーティングされたもの)をビーカーに入れ、ビーカーをマグネチックスターラーに載せる。マグネチックスターラーの回転数を、毎分600±60回に合わせ、試験液が安定した渦を生成することを確認する。また、0.50[g]の高吸収性材料の試料(試験液が食塩水の場合は2.00[g])を内壁面付近に均一になるように入れた後、タイマーを始動する。試験の終点は、スターラーチップが試験液に覆われる時点(例えば、渦が消えて平らな液面となった時点)までとし、その時間tを吸収速度に係る時間として取得する。吸収速度は、吸収速度に係る時間tの逆数に基づく値であり、吸収速度に係る時間tが短いほど吸収速度が大きい。
【0057】
上記吸収性物品1では、例えば、上側吸収層228を構成する高吸収性材料の吸収速度に係る時間tが41秒以上であり、下側吸収層227を構成する高吸収性材料の吸収速度に係る時間tが40秒以下である。下側吸収層227の吸収速度に係る時間は、上側吸収層228の吸収速度に係る時間の0.95倍以下であることが好ましく、0.90倍以下であることがより好ましい。
【0058】
上記吸収性物品1および吸収コア22,22aでは様々な変形が可能である。
【0059】
図4の吸収コア22では、下側シート221と上側シート222との間において、接着剤を除き、高吸収性材料226のみが設けられるが(吸収コア22aにおける下側吸収層227および上側吸収層228において同様。)、下側シート221と上側シート222との間において、高吸収性材料226と共に繊維材料が設けられてもよい。図7の例では、下側シート221と上側シート222との間において、高吸収性材料226と繊維材料229aとが混在している。繊維材料229aは、例えば、セルロースやレーヨン、コットン等の再生親水性繊維、合成繊維、パルプ繊維等である。繊維材料229aは、高吸収性材料226が主材料とみなせる程度の割合(例えば、高吸収性材料226の重量比が50%以上)で混合されることが好ましい。また、図8の例では、高吸収性材料226と上側シート222との間に、薄い繊維層229bが設けられ、高吸収性材料226が繊維層229bを介して上側シート222に間接的に接合される。この場合も、繊維層229bは、高吸収性材料226が主材料とみなせる程度の目付量であることが好ましい。
【0060】
図6の吸収コア22aでは、上側シート222および中間シート223の一方のみが、通水孔26を有するフィルムとされ、他方が、下側シート221と同様の不織布とされてもよい。また、吸収コア22,22aが設けられる吸収性物品1の設計によっては、下側シート221が、通水孔26を有するフィルムとされてもよい。この場合、例えば、下側シート221に到達した排泄物の液体が、通水孔26を通過してバックシート23へと導かれ、バックシート23上で拡散した液体が、下側シート221の通水孔26を介して高吸収性材料に戻される。このように、吸収コア22,22aでは、高吸収性材料を挟持する複数のシートのうち少なくとも1つが、通水孔26を有するフィルムであればよい。一方、吸収コア22,22aが吸収性物品1において使用される際に、排泄物の液体を迅速に拡散させるという観点では、通水孔26を有するシートが、下側シート221よりも着用者側に配置されることが好ましい。
【0061】
吸収コア22,22aに設けられる材料存在領域28の数や形状は様々に変更されてよい。材料非存在領域29は、線状以外であってもよく、例えば、長手方向に沿って網目状に連続して広がってもよい。吸収コア22,22aでは、必ずしも複数の材料存在領域28が設けられる必要はなく、1つの材料存在領域28のみが設けられてもよい。この場合でも、複数の通水孔26が分散して形成されたフィルムを用いることにより、排泄物の液体を長手方向および幅方向に適切に拡散させて、高吸収性材料の大部分を有効に利用することが可能となる。
【0062】
上述の吸収性物品1および吸収コア22,22aは、略長方形状には限定されず、例えば、長手方向の両端部の幅が中央部の幅よりも大きい略砂時計型であってもよい。また、吸収性物品1からサイドシート3が省略されてもよい。
【0063】
上述の吸収コア22,22aは、補助吸収パッド以外の吸収性物品、例えば、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつ等に利用されてもよい。
【0064】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0065】
1 吸収性物品
21 トップシート
22,22a 吸収コア
23 バックシート
26 通水孔
28 材料存在領域
29 材料非存在領域
221 下側シート
222 上側シート
223 中間シート
226,226a,226b 高吸収性材料
227 下側吸収層
228 上側吸収層
261 孔縁部
262 根元部
263 先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8