(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】駆動装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20221006BHJP
F16B 9/02 20060101ALI20221006BHJP
B60S 1/56 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60S1/62 120C
F16B9/02 Z
B60S1/56 120B
B60S1/62 110A
(21)【出願番号】P 2018073811
(22)【出願日】2018-04-06
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2017148564
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肥田 昌志
(72)【発明者】
【氏名】古石 朋久
(72)【発明者】
【氏名】大富 將司
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第03932519(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/002688(WO,A1)
【文献】特開2005-153878(JP,A)
【文献】特開2008-236981(JP,A)
【文献】実公昭53-14043(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00
F16B 9/02
F16F 15/00
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置に設けられる取付部と、
被取付部材に立設するブラケットと、
前記取付部と、前記ブラケットとの間に少なくとも一部が配置され、かつ前記被取付部材側の端部が前記被取付部材に接触する弾性部材と
を備え
、
前記弾性部材は、
前記被取付部材と前記ブラケットとの間で弾性圧縮されて、前記被取付部材に接触する
ことを特徴とする駆動装置の取付構造。
【請求項2】
前記弾性部材は、
前記取付部と、前記ブラケットの前記被取付部材に接する側とは反対側とを締結する
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項3】
前記弾性部材は、
略棒状であり、前記取付部と前記ブラケットとを貫通して前記取付部と前記ブラケットとを締結し、前記端部側が前記被取付部材側に延伸して前記被取付部材に接触する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、
前記被取付部材から立ち上がる脚部と、
前記脚部に連続し、前記被取付部材に対して略平行である受け部と
を備え、
前記弾性部材は、
前記取付部と前記受け部とを貫通して前記取付部と前記ブラケットとを締結する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の駆動装置の取付構造。
【請求項5】
前記弾性部材は、
前記受け部と前記被取付部材との間で弾性圧縮されて、前記被取付部材に接触する
ことを特徴とする請求項4に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項6】
前記弾性部材は、
前記取付部と前記ブラケットとを離間させた状態で締結すること
を特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の駆動装置の取付構造。
【請求項7】
前記弾性部材は、
前記取付部と前記ブラケットとの間にスペーサ部を備えること
を特徴とする請求項6に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項8】
前記取付部は、
前記弾性部材が貫通する第1孔を備え、
前記ブラケットは、
前記弾性部材が貫通する第2孔を備え、
前記弾性部材は、
前記第1孔および前記第2孔の軸方向において、前記取付部と前記ブラケットとを挟持する挟持部を備えること
を特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の駆動装置の取付構造。
【請求項9】
前記取付部は、
前記第1孔に連通する第1切欠溝を備え、
前記ブラケットは、
前記第2孔に連通し、向かい合う前記第1切欠溝と同一方向に向けて延設される第2切欠溝を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項10】
前記第1切欠溝の幅は、
前記第1孔に挿通される前記弾性部材の直径よりも小さい
ことを特徴とする請求項9に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項11】
前記第2切欠溝の幅は、
前記第2孔に挿通される前記弾性部材の直径よりも小さい
ことを特徴とする請求項9または10に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項12】
前記弾性部材に挿入され、前記弾性部材を前記取付部に向けて押圧する押圧部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項13】
前記押圧部は、
前記ブラケットとともに前記弾性部材を挟持するフランジ
を備えることを特徴とする請求項12に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項14】
前記押圧部が挿入される前記弾性部材の孔の内周壁には、径方向内側に向けて突出する突出部が形成され、
前記押圧部は、
前記弾性部材に対する前記押圧部の抜け方向において、前記突出部に係合可能な爪部を備える
ことを特徴とする請求項12または13に記載の駆動装置の取付構造。
【請求項15】
前記駆動装置は、
車両に搭載されたカメラのレンズに付着した付着物を除去する圧縮空気を供給するポンプであること
を特徴とする請求項1~14のいずれか一つに記載の駆動装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、駆動装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータが取り付けられたハウジングを、ゴムを挟んでブラケットに取り付ける駆動装置の取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記駆動装置の取付構造では、モータの振動がブラケットに伝達されることを抑制する点で改善の余地がある。モータの振動がブラケットに伝達されると、ブラケットの振動により、異音が発生するおそれがある。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、異音の発生を抑制する駆動装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る駆動装置の取付構造は、取付部と、ブラケットと、弾性部材とを備える。取付部は、駆動装置に設けられる。ブラケットは、被取付部材に立設する。弾性部材は、取付部と、ブラケットとの間に少なくとも一部が配置され、かつ被取付部材側の端部が被取付部材に接触する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、バックドアの内側の一部を前方から見た概略図である。
【
図4】
図4は、変形例に係る駆動装置の取付構造の一部を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る駆動装置の取付構造の一部を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る駆動装置の取付構造の一部を示す概略図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る駆動装置の取付構造におけるブラケットの概略斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る駆動装置の断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る駆動装置の取付構造の一部を拡大した断面図である。
【
図11】
図11は、変形例に係る駆動装置の取付構造の断面図である。
【
図12】
図12は、変形例に係る駆動装置の取付構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する駆動装置の取付構造を説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る駆動装置の取付構造は、
図1に示すように、駆動装置であるポンプ1を車両100のバックドア101、具体的には、バックドア101のアウターパネルの内側に取り付ける取付構造である。
図1は、車両100の後側の概略図である。ポンプ1は、圧縮空気を、ホース102などを介してバックカメラ103のレンズに向けて吹き付ける。これにより、バックカメラ103に付着した雨滴などの付着物を圧縮空気によって除去する。
【0011】
なお、駆動装置の取付構造は、駆動装置をバックドア101に取り付ける取付構造に限定されるものではなく、また、駆動装置は、ポンプ1に限られることはなくモータなどでもよい。
【0012】
ポンプ1は、
図2および
図3に示すように、取付装置2によってバックドア101に取り付けられる。
図2は、バックドア101の内側の一部を前方から見た概略図である。
図3は、
図2のIII-III断面図である。
【0013】
なお、以下では、前進時の車両100の運転席から見て左手側を「左」とし、右手側を「右」とする。また、鉛直方向を「下」とし、鉛直方向とは逆方向を「上」とする。
【0014】
取付装置2は、取付部3と、ブラケット4と、弾性部材5とを備える。
【0015】
取付部3は、ポンプ1の左右方向の端部に設けられる。なお、取付部3は、ポンプ1と一体的に設けられてもよく、ポンプ1と別に設けられてもよい。
【0016】
取付部3には、弾性部材5の第1貫通部32が貫通する第1孔10と、第1孔10に連通し、左右方向に延設された第1切欠溝11とが形成される。第1切欠溝11の幅(上下方向の長さ)は、第1孔10の直径および第1孔10を貫通する第1貫通部32の直径よりも小さい。
【0017】
ポンプ1の左側に設けられた取付部3(以下、「左取付部3」と称する場合がある。)に形成された第1切欠溝11は、第1孔10から左方向に向けて延設される。
【0018】
ポンプ1の右側に設けられた取付部3(以下、「右取付部3」と称する場合がある。)に形成された第1切欠溝11は、第1孔10から右方向に向けて延設される。
【0019】
ブラケット4は、バックドア101に立設する。ブラケット4は、
図3に示すように、平面視において略U字状に形成される。ブラケット4は、底部20と、底部20の左右方向の端部から前方に向けて延設され、バックドア101から立ち上がる脚部21と、脚部21の前方の端部から左右方向に向けて延設される受け部22とを備える。
【0020】
底部20は、接着部材である両面テープ6によってバックドア101に取り付けられる。すなわち、取付装置2(ポンプ1)は、両面テープ6によってバックドア101に取り付けられる。なお、底部20は、接着剤などの接着部材によってバックドア101に取り付けられてもよい。
【0021】
受け部22は、脚部21に連続して形成される。受け部22は、バックドア101に対して略平行である。受け部22には、弾性部材5が貫通する第2孔23と、第2孔23に連通し、左右方向に延設された第2切欠溝24とが形成される。第2切欠溝24の幅(上下方向の長さ)は、第2孔23の直径および第2孔23を貫通する弾性部材5の第2貫通部33の直径よりも小さい。
【0022】
左側の脚部21に設けられた受け部22(以下、「左受け部22」と称する場合がある。)は、脚部21から左方向に向けて延設され、左取付部3と向かい合う。左受け部22に形成された第2切欠溝24は、第2孔23から左方向に向けて延設される。
【0023】
右側の脚部21に設けられた受け部22(以下、「右受け部22」と称する場合がある。)は、脚部21から右方向に向けて延設され、右取付部3と向かい合う。右受け部22に形成された第2切欠溝24は、第2孔23から右方向に向けて延設される。
【0024】
第2孔23は、取付部3とブラケット4とが位置合わせされた場合に、第1孔10と同軸となるように形成される。また、第2切欠溝24は、取付部3とブラケット4とが位置合わせされた場合に、弾性部材5を左右方向から挿入できるように、向かい合う第1切欠溝11の形状に合わせて形成され、向かい合う第1切欠溝11と同一方向に向けて延設される。
【0025】
ブラケット4は、弾性部材5によって取付部3と締結され、ポンプ1を支持する。ブラケット4は、略U字状に形成されており、ポンプ1と底部20との間に空間が形成され、駆動装置の取付構造は、中空状となっている。
【0026】
弾性部材5は、ゴムなどの弾性素材によって構成される。弾性部材5は、前後方向に対して垂直な断面が円形状となる略棒状の部材である。弾性部材5は、前後方向に延設される。弾性部材5は、弾性部材5の後方側の端部側がバックドア101側に延伸し、後方側の端部がバックドア101に接触する。弾性部材5は、受け部22と、バックドア101との間で弾性圧縮される。また、弾性部材5は、取付部3の第1孔10とブラケット4の第2孔23とを貫通して取付部3とブラケット4とを締結する。具体的には、弾性部材5は、取付部3と、バックドア101に接する側とは反対側のブラケット4である受け部22とを締結する。なお、ここでは、4つの弾性部材5によって取付部3とブラケット4とを締結する取付装置2を一例としているが、これに限られることはない。
【0027】
弾性部材5は、挟持部30と、スペーサ部31と、第1貫通部32と、第2貫通部33とを備える。
【0028】
挟持部30は、取付部3よりも前方に設けられ、取付部3の前面に当接する第1挟持部30Aと、受け部22よりも後方に設けられ、受け部22の後面に当接する第2挟持部30Bとを備える。すなわち、弾性部材5は、第1挟持部30Aと第2挟持部30Bとによって取付部3と受け部22とを挟持し、取付部3(ポンプ1)とブラケット4とを締結する。
【0029】
第1挟持部30Aは、前方から後方に向けて、すなわち取付部3側となるにつれて拡径するように形成される。第1挟持部30Aの後面は、取付部3の前面に当接する。
【0030】
第2挟持部30Bは、後方から前方に向けて、すなわち受け部22側となるにつれて拡径するように形成される。第2挟持部30Bの前面は、受け部22の後面に当接する。
【0031】
スペーサ部31は、取付部3と受け部22との間に設けられる。すなわち、弾性部材5は、取付部3と受け部22とを離間させる。スペーサ部31の径は、第1孔10の径および第2孔23の径よりも大きい。スペーサ部31の前面は、取付部3の後面に当接する。スペーサ部31の後面は、受け部22の前面に当接する。
【0032】
第1貫通部32は、第1挟持部30Aとスペーサ部31との間に形成される。第1貫通部32は、第1孔10を貫通する。第1貫通部32の径は、第1孔10よりも若干大きい。そのため、第1貫通部32が第1孔10を貫通すると、第1貫通部32は、弾性変形し、第1孔10に密着する。
【0033】
第1貫通部32の前後方向の長さは、第1孔10の前後方向の長さよりも若干短い。これにより、第1挟持部30Aとスペーサ部31とは、取付部3に密着する。
【0034】
第2貫通部33は、第2挟持部30Bとスペーサ部31との間に形成される。第2貫通部33は、第2孔23を貫通する。第2貫通部33の径は、第2孔23よりも若干大きい。そのため、第2貫通部33が第2孔23を貫通すると、第2貫通部33は、弾性変形し、第2孔23に密着する。
【0035】
第2貫通部33の前後方向の長さは、受け部22の前後方向の長さよりも若干短い。これにより、第2挟持部30Bとスペーサ部31とは、受け部22に密着する。
【0036】
取付部3とブラケット4とを締結する場合には、取付部3の第1孔10と受け部22の第2孔23とが略同軸上となるように位置合わせを行った後に、弾性部材5を左右方向から弾性変形させながら第1切欠溝11および第2切欠溝24に挿入する。そして、弾性部材5を第1孔10および第2孔23まで挿入する。これにより、弾性部材5は、後方側の端部がバックドア101に当接した状態で、取付部3とブラケット4とを締結する。
【0037】
次に、本実施形態に係る駆動装置の取付構造における作用および効果について説明する。
【0038】
駆動装置を駆動させた際には、駆動装置の駆動に伴い振動が発生する。特に、圧縮空気をバックカメラ103のレンズに向けて吹き付けるポンプ1を駆動させた際には、打撃的な振動が発生する。
【0039】
ポンプ1によって発生した振動は、取付部3に伝達される。駆動装置の取付構造は、取付部3とブラケット4との間に、弾性部材5の少なくとも一部を配置し、弾性部材5の端部をバックドア101に接触させる。これにより、取付部3からブラケット4へ振動が伝達されることを抑制することができる。すなわち、ブラケット4およびバックドア101へ伝達される振動を減衰させることができる。
【0040】
また、駆動装置の取付構造では、ネジや、ボルトおよびナットを用いずに、弾性部材5によって取付部3とブラケット4とを締結している。具体的には、弾性部材5は、取付部3と受け部22とを離間させて、取付部3と受け部22との間にスペーサ部31を設けて、挟持部30によって取付部3と受け部22とを挟持し、締結している。これにより、取付部3からブラケット4へ振動が伝達されることを抑制し、ブラケット4およびバックドア101へ伝達される振動を減衰させることができる。
【0041】
また、ブラケット4は、脚部21と、受け部22とを備え、略U字状に形成される。これにより、ブラケット4を介してポンプ1をバックドア101に取り付けた場合に、ポンプ1とブラケット4の底部20との間に空間が形成される。そのため、ポンプ1の振動がバックドア101へ直接伝わることを防止し、バックドア101へ振動が伝達されることを抑制することができる。
【0042】
さらに、駆動装置の取付構造では、略棒状である弾性部材5の後方の端部が、バックドア101側に延伸され、バックドア101に当接する。また、弾性部材5は、受け部22とバックドア101との間で弾性圧縮されている。これにより、減衰された振動がブラケット4を介してバックドア101まで伝達された場合でも、バックドア101に伝達された振動をバックドア101に当接する弾性部材5によって減衰させることができ、バックドア101の振動を抑制することができる。
【0043】
このように、駆動装置の取付構造は、バックドア101の振動に起因する異音の発生を抑制することができる。
【0044】
また、駆動装置の取付構造では、弾性部材5によって取付部3と受け部22とを締結し、スペーサ部31によってブラケット4に伝達される振動を減衰させることができ、バックドア101に伝達された振動を抑制することができる。これにより、部品数を少なくし、コストを削減することができる。
【0045】
また、駆動装置の取付構造では、第1孔10に連通する第1切欠溝11を取付部3に形成し、第2孔23に連通し、向かい合う第1切欠溝11と同一方向に向けて延設される第2切欠溝24を受け部22に形成する。これにより、弾性部材5を第1孔10および第2孔23に容易に貫通させることができ、組み立てを容易にし、作業性を向上させることができる。
【0046】
また、駆動装置の取付構造では、第1切欠溝11の幅を、弾性部材5の第1貫通部32の直径よりも小さくする。これにより、第1孔10を貫通する第1貫通部32が第1孔10から抜けることを抑制することができる。また、第2切欠溝24の幅を、弾性部材5の第2貫通部33の直径よりも小さくする。これにより、第2孔23を貫通する第2貫通部33が第2孔23から抜けることを抑制することができる。
【0047】
次に、第1実施形態に係る駆動装置の取付構造の変形例について説明する。
【0048】
変形例に係る駆動装置の取付構造は、
図4に示すように、弾性部材5に中空部34を設ける。
図4は、変形例に係る駆動装置の取付構造の一部を示す概略断面図である。これにより、ポンプ1によって発生した振動がバックドア101に伝達されることをさらに抑制し、異音の発生を抑制することができる。
【0049】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、
図5に示すように、バックドア101に当接する箇所の面積が大きくなるように弾性部材5の後方側を前方から後方に向けて拡径してもよい。
図5は、変形例に係る駆動装置の取付構造の一部を示す概略断面図である。なお、これに限られず、バックドア101との接触面積が大きくなればよく、例えば、上下方向に配置した2つの弾性部材5の後方の端部を接続部によって接続してもよい。これにより、バックドア101の振動をさらに抑制することができ、異音の発生を抑制することができる。
【0050】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、
図6に示すように、第1切欠溝11と第2切欠溝24とを上下方向にずらして形成してもよい。
図6は、変形例に係る駆動装置の取付構造の一部を示す概略図である。変形例に係る駆動装置の取付構造においては、例えば、まず、第1切欠溝11の開口部と第2切欠溝24の開口部とを一致させた状態で弾性部材5(
図3参照)を挿入する。そして、取付部3および受け部22を相対的に上下方向にスライドさせながら、弾性部材5を第1孔10および第2孔23まで貫通させる。これにより、取付部3と受け部22とを弾性部材5によって締結した後、弾性部材5が第1孔10または第2孔23から外れることを抑制することができる。
【0051】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、第1切欠溝11および第2切欠溝24を設けずに、第1孔10および第2孔23のみを設けてもよい。この場合、前後方向に弾性部材5を引っ張ることで、弾性部材5の第1挟持部30Aおよび第2挟持部30Bを径方向に弾性変形させながら、第1孔10または第2孔23を通過させて、弾性部材5によって取付部3と受け部22とを締結する。これにより、取付部3と受け部22とを弾性部材5によって締結した後、弾性部材5が第1孔10または第2孔23から外れることを抑制することができる。
【0052】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、第1挟持部30Aを、例えば、後方から前方に向けて拡径して形成し、第2挟持部30Bを、例えば、前方から後方に向けて拡径して形成してもよい。すなわち、挟持部30は、上記実施形態の形状に限られることはなく、取付部3と受け部22とを挟持できればよい。
【0053】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、
図7および
図8に示すように、ブラケット40をバックドア101と一体的に設けてもよい。
図7は、変形例に係る駆動装置の取付構造におけるブラケット40の概略斜視図である。
図8は、
図7のVIII-VII断面図である。例えば、ブラケット40は、バックドア101の板を切り起こすことで形成される。
【0054】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、
図9に示すように、弾性部材5とバックドア101との間にスペーサ60を設け、スペーサ60を介して弾性部材5とバックドア101とを接触させる。すなわち、弾性部材5とバックドア101との接触には、スペーサ60などの他の部材を介して接触することが含まれる。
図9は、変形例に係る駆動装置の断面図である。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る駆動装置の取付構造について
図10を参照し説明する。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付し、ここでの説明は省略する。
図10は、第2実施形態に係る駆動装置の取付構造の一部を拡大した断面図である。
【0056】
取付装置2は、取付部3と、ブラケット4と、弾性部材70と、スリーブ71とを備える。取付装置2は、ネジ72によって取付部3、すなわち、ポンプ1(
図3参照)をブラケット4に取り付ける。
【0057】
取付部3には、孔73が形成される。なお、第2実施形態に係る取付部3には、第1実施形態の第1切欠溝11(
図2参照)は形成されない。孔73の内周壁には、孔73の径方向内側に向けて突出する突出部74が形成される。
【0058】
ブラケット4の受け部22には、ネジ72が取り付けられるネジ孔75が形成される。なお、第2実施形態に係る受け部22には、第1実施形態の第2切欠溝24(
図2参照)は形成されない。
【0059】
弾性部材70は、ゴムなどの弾性素材によって構成される。弾性部材70には、スリーブ71が挿入される孔80が形成され、円筒状に形成される。弾性部材70の外周壁には溝部81が形成され、内周壁には突出部82が形成される。
【0060】
溝部81は、外周壁の全周にわたり形成される。溝部81には、取付部3の突出部74が嵌合される。なお、溝部81、および取付部3の突出部74は、複数設けられてもよい。
【0061】
突出部82は、内周壁の全周にわたり形成される。突出部82は、前後方向に並んで3つ形成される。なお、ここでは、3つの突出部82を一例としているが、突出部82の数は、これに限られることはなく、例えば、突出部82は、1つであってもよい。突出部82は、スリーブ71に当接する。
【0062】
弾性部材70は、径方向において、取付部3の突出部74と、スリーブ71の円筒部90とによって挟持され、前後方向において、スリーブ71のフランジ91と、ブラケット4とによって挟持される。
【0063】
スリーブ71は、円筒部90と、フランジ91とを備える。スリーブ71は、弾性部材70を取付部3に取り付けた状態での搬送時や、取り付け作業時に、弾性部材70が取付部3から外れることを抑制する。スリーブ71は、押圧部を構成する。
【0064】
円筒部90は、弾性部材70の孔80に挿入され、弾性部材70の突出部82と当接する。なお、円筒部90の外径は、弾性部材70の突出部82の内径よりも大きい。そのため、円筒部90が弾性部材70の孔80に挿入されると、円筒部90は、弾性部材70を取付部3に向けて押圧する。これにより、弾性部材70の径方向内側への撓みが抑制され、弾性部材70の径方向におけるガタつきの発生を抑制することができる。
【0065】
また、円筒部90は、先端側、具体的には、ブラケット4側の先端に、径方向外側に向けて突出する爪部92を備える。爪部92は、円筒部90の全周にわたり形成される。爪部92は、弾性部材70に対するスリーブ71の抜け方向において、弾性部材70の突出部82に係合可能である。
【0066】
なお、爪部92と突出部82との間には、前後方向において隙間が形成されている。隙間は、突出部82、および爪部92の寸法誤差を考慮して形成される。そのため、スリーブ71を弾性部材70の孔80に挿入すると、爪部92は、突出部82よりもブラケット4側まで挿入される。
【0067】
爪部92は、例えば、スリーブ71を弾性部材70に挿入した状態での搬送時や、取り付け作業時に、スリーブ71が弾性部材70から抜けることを抑制する。
【0068】
フランジ91は、爪部92が形成される先端とは逆側の円筒部90の先端に形成される。フランジ91は、弾性部材70に当接し、ブラケット4とともに弾性部材70を挟持し、弾性部材70が取付部3から抜けることを抑制する。
【0069】
フランジ91は、円筒部90から径方向外側に向けて突出する。フランジ91の外径は、弾性部材70の外径以上である。フランジ91は、取り付け時に、作業者の弾性部材70への接触により、弾性部材70が変形することを抑制し、弾性部材70が取付部3から抜けることを抑制する。
【0070】
なお、スリーブ71は、フランジ91とブラケット4との間の長さが、弾性部材70の長さよりも短くなるように形成される。これにより、フランジ91は、ブラケット4とともに、弾性部材70を前後方向に押圧し、弾性部材70の前後方向におけるガタつきの発生を抑制することができる。
【0071】
駆動装置の取付構造は、弾性部材70にスリーブ71が挿入されると、弾性部材70の突出部82とスリーブ71とを当接させ、弾性部材70を取付部3に向けて押圧する。これにより、取付部3と弾性部材70とを接触させて、モータの振動を弾性部材70によって減衰させて、バックドア101へ振動が伝達されることを抑制することができる。また、弾性部材70を取付部3に取り付けた状態での搬送時や、取り付け作業時に、弾性部材70が取付部3から抜けることを抑制することができる。
【0072】
また、駆動装置の取付構造は、弾性部材70に対するスリーブ71の抜け方向において、弾性部材70の突出部82に係合可能な爪部92を備える。これにより、スリーブ71を弾性部材70に挿入した状態での搬送時や、取り付け作業時に、スリーブ71が弾性部材70から抜けることを抑制することができる。
【0073】
また、駆動装置の取付構造は、ブラケット4とともに弾性部材70を前後方向で挟持するフランジ91を備える。これにより、取り付け作業時に、作業者が弾性部材70に接触することを抑制し、弾性部材70が取付部3から抜けることを抑制することができる。また、フランジ91とブラケット4とにより、弾性部材70を挟持することで、モータの振動がブラケット4に伝達されることを抑制し、バックドア101へ振動が伝達されることを抑制することができる。
【0074】
次に、第2実施形態に係る駆動装置の取付構造の変形例について説明する。
【0075】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、
図11に示すように、弾性部材70にL字状の脚部95を設け、脚部95の先端をバックドア101(
図3参照)に接触させてもよい。
図11は、変形例に係る駆動装置の取付構造の断面図である。
【0076】
また、変形例に係る駆動装置の取付構造は、
図12に示すように、ブラケット4に孔96を設け、孔96に弾性部材70の一部から延伸される脚部97を挿入し、脚部97の先端をバックドア101(
図3参照)に接触させてもよい。なお、孔96、および脚部97は、複数形成されてもよい。
図12は、変形例に係る駆動装置の取付構造の断面図である。
【0077】
これにより、ポンプ1によって発生した振動がバックドア101に伝達されることを抑制し、異音の発生を抑制することができる。
【0078】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 ポンプ(駆動装置)
2 取付装置
3 取付部
4 ブラケット
5、70 弾性部材
6 両面テープ
10 第1孔
11 第1切欠溝
22 受け部
23 第2孔
24 第2切欠溝
30 挟持部
31 スペーサ部
32 第1貫通部
33 第2貫通部
71 スリーブ(押圧部)
82 突出部
91 フランジ
92 爪部
100 車両
101 バックドア(被取付部材)
103 バックカメラ