(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】カートリッジ
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20060101AFI20221006BHJP
E03C 1/10 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C02F1/28 D
E03C1/10
C02F1/28 R
(21)【出願番号】P 2018105140
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2020-12-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】坂井 恵利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一博
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-088125(JP,A)
【文献】特開2012-024741(JP,A)
【文献】特開2002-356891(JP,A)
【文献】特開2007-270582(JP,A)
【文献】国際公開第2015/199161(WO,A1)
【文献】特開平11-165166(JP,A)
【文献】特開2005-279716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
E03C 1/00 - 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を改質するためのカートリッジであって、
長尺状のカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の長手方向の両端部に設けられるエンドキャップと、
を備え、
前記カートリッジ本体は、筒状の芯材と、前記芯材の外周上に設けられる活性炭層とを備え、
前記芯材の強度は、前記活性炭層の強度よりも高く、
前記芯材の長手方向の一方の端部は、前記活性炭層の長手方向の一方の端部よりも突出しており、
前記芯材の長手方向の他方の端部は、前記活性炭層の長手方向の他方の端部よりも突出しており、
前記エンドキャップは、前記芯材の長手方向の一方の端
面に当接するように設けられる第1エンドキャップと、前記芯材の長手方向の他方の端
面に当接するように設けられる第2エンドキャップとを含み、
前記活性炭層の長手方向の一方の端部と前記第1エンドキャップは、接着剤によって接着され、前記活性炭層の長手方向の他方の端部と前記第2エンドキャップは、接着剤によって接着され、
前記活性炭層の長手方向の一方の端部と前記第1エンドキャップと前記芯材とにより囲まれた、前記接着剤を逃がすための第1の空間が設けられ、前記活性炭層の長手方向の他方の端部と前記第2エンドキャップと前記芯材とにより囲まれた、前記接着剤を逃がすための第2の空間が設けられることを特徴とするカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を改質するためのカートリッジおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原水を浄化するカートリッジを脱着可能に内蔵した水栓が開示されている。このカートリッジは、円筒形状の多孔質のセラミックフィルタの外面上に活性炭層等が積層形成されており、カートリッジの前後端には、非通水性のエンドキャップが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたカートリッジでは、活性炭層の端部にエンドキャップが取り付けられる構造となっているので、エンドキャップに水圧がかかった際に、活性炭層の端部に直接的に負荷がかかる。この負荷により活性炭層が圧縮されて、活性炭粒子相互の間隙が小さくなり、その結果、濾過流量の低下が生じるおそれがある。
【0005】
本発明のある態様は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、濾過流量の低下を抑制できるカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、原水を改質するためのカートリッジであって、カートリッジ本体と、カートリッジ本体の両端部に設けられるエンドキャップとを備える。カートリッジ本体は、筒状の芯材と、芯材の外周上に設けられる活性炭層とを備える。エンドキャップは、芯材の端部に当接するように設けられる。
【0007】
本発明の別の態様は、原水を改質するためのカートリッジの製造方法である。この方法は、芯材の外周上に活性炭層を設ける工程と、芯材の端部に当接するようにエンドキャップを設ける工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るカートリッジが用いられる水栓装置の斜視図である。
【
図3】水栓装置のカートリッジを交換している途中の状態を示す図である。
【
図5】水栓装置の内部に形成される一部の水路に関する説明図である。
【
図8】継手部材のカートリッジ拘束部を斜め下側から見た図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るカートリッジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書での「接触」とは、特に明示がない限り、言及している二者が直接的に接触する場合の他に、他の部材を介して間接的に接触する場合も含む。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るカートリッジが用いられる水栓装置10の斜視図である。
図2は、水栓装置10の側面部分断面図である。
図3は、水栓装置10のカートリッジ12を交換している途中の状態を示す図である。
【0011】
水栓装置10は、出入口14aを通してカートリッジ12を出し入れ可能なカートリッジ収容室14が設けられる吐水ヘッド16と、吐水ヘッド16を支持する本体ベース20と、本体ベース20に吐水ヘッド16を接続する継手部材18と、ユーザにより操作される操作部材22と、操作部材22に対する操作を通じて吐水ヘッド16に送り込まれる水の流量や温度を調整可能な弁ユニット24とを備える。
【0012】
吐水ヘッド16は、水を吐き出すための吐水部26を備える。吐水ヘッド16及び継手部材18は互いに脱着可能に取り付けられる。吐水ヘッド16及び継手部材18は、カートリッジ収容室14の出入口14aからカートリッジ12を取り出すときに互いに取り外される。吐水ヘッド16及び継手部材18は、互いに取り外すときに互いに遠ざかる方向に相対移動するように設けられる。以下、このように吐水ヘッド16及び継手部材18が相対移動する方向を「X方向」という。また、X方向の方向軸線を中心とする円の円周方向、半径方向を単に「周方向」、「径方向」という。
【0013】
図4は、水栓装置10の設置状態を示す平面図である。本体ベース20は、吐水ヘッド16を支持する。本体ベース20は、たとえば、流し台、洗面キャビネット等の基体28に設置される。本実施形態の基体28は、正面側(
図4の下側)に居るユーザの作業に用いられるカウンター30と、カウンター30に一体化されたシンク32とを有する。シンク32は、吐水ヘッド16の吐水部26から吐き出される水を受けるための槽部32aを有する。
【0014】
図5は、水栓装置10の内部に形成される一部の水路に関する説明図である。水栓装置10は、吐水部26に水を供給するための給水路40を備える。給水路40は、複数の上流側水路42A、42Bと複数の下流側水路44A、44Bとを有する。上流側水路42A、42Bには、弁ユニット24により流量や温度が調整された原水が供給される。下流側水路44A、44Bには上流側水路42A、42Bから水が送られる。
【0015】
複数の上流側水路42A、42Bには、カートリッジ12を経由せずに下流側水路44A、44Bに原水を送るための原水水路42Aと、カートリッジ12を経由して下流側水路44A、44Bに改質水を送るための改質水水路42Bとが含まれる。複数の下流側水路44A、44Bには、吐水部26からストレート吐水で水を吐き出すためのストレート用水路44Aと、吐水部26からシャワー吐水で水を吐き出すためのシャワー用水路44Bとが含まれる。
【0016】
水栓装置10は、複数の上流側水路42A、42Bのいずれかと、複数の下流側水路44A、44Bのいずれかとに通水経路を切り替え可能な弁機構46を備える。本実施形態の弁機構46は切替弁である。
【0017】
水栓装置10は、ユーザにより操作されることで弁機構46を作動させる複数の操作体48、50を備える。操作体48、50には、複数の上流側水路42A、42Bのいずれかを通水経路に切り替えるように弁機構46を作動させる押しボタン48と、複数の下流側水路44A、44Bのいずれかを通水経路に切り替えるように弁機構46を作動させる回転ハンドル50が含まれる。
【0018】
図6は、吐水ヘッド16に関する分解図である。吐水ヘッド16は、ハウジング52と、内部アセンブリ54と、吐水部材56とを備える。
【0019】
ハウジング52は、第1筒状部52aと、第1筒状部52aの外周部から突出する第2筒状部52bとを有する。第1筒状部52aは、基端部から先端部までの範囲で継ぎ目なく連続するように形成される。第2筒状部52bは、根本部から先端部までの範囲で継ぎ目なく連続するように形成される。ハウジング52の第1筒状部52aの基端部から第2筒状部52bの根本部までの範囲は、ユーザにより把持される吐水ヘッド16のグリップ部52cを構成する。カートリッジ収容室14はグリップ部52cの内側に設けられる。
【0020】
内部アセンブリ54は、ハウジング52の第1筒状部52aに挿通される。本実施形態の内部アセンブリ54は複数の内部部品を組み合わせて構成されるが、単数の内部部品により構成されてもよい。吐水部材56は、ハウジング52の第2筒状部52bに先端側から差し込まれ、内部アセンブリ54に接続される。吐水部材56には吐水部26が設けられる。
【0021】
カートリッジ収容室14は、内部アセンブリ54の内側に設けられる。カートリッジ収容室14の出入口14aは、本体ベース20側にある吐水ヘッド16の基端部16aに形成される。詳しくは、出入口14aは、内部アセンブリ54の基端部に形成される。
【0022】
カートリッジ収容室14内には、カートリッジ12が収容される。カートリッジ12は、原水を改質して改質水を生成するためのものである。本明細書での「改質」とは、物理変化や化学変化を経て、特定の成分を原水から除去又は原水に付与することをいう。
図2に示すように、カートリッジ収容室14の内周面とカートリッジ12の外周面との間には、原水水路42Aの一部となる外部水路58が形成される。
【0023】
カートリッジ12は、X方向に沿って長い長尺状のカートリッジ本体60と、カートリッジ本体60の長手方向(X方向)の両端部に設けられるエンドキャップ62,64とを備える。エンドキャップ62、64には、X方向において出入口14a側にある第1エンドキャップ62と、X方向において出入口14aとは反対側にある第2エンドキャップ64とが含まれる。
【0024】
カートリッジ本体60は、内側に改質水水路42Bの一部となる内部水路66を有する芯材74と、芯材74の外周上に設けられる活性炭層68とを備える。活性炭層68は、外部水路58から内部水路66に水を通すことができ、原水を改質することで改質水を生成可能である。カートリッジ12の詳細については後述する。
【0025】
図7は、
図2の継手部材18周りの拡大図である。
図2、
図7に示すように、本体ベース20は、基体28に支持されるベース本体70と、ベース本体70に固定される本体ガイド72とを備える。本実施形態のベース本体70は、筒状の胴部70aと、胴部70aの外周部から突き出るとともにベース孔70cが形成される筒状部70bとを有する。前述の操作部材22は胴部70aの先端部に設けられ、弁ユニット24は胴部70aに内蔵される。本体ガイド72は、ベース本体70のベース孔70cに先端側から差し込まれるとともに留め具によりベース本体70に固定される。
【0026】
本体ガイド72は、給水ホース75を引き出し可能なホース挿通孔72aと、吐水ヘッド16が継手部材18を介して接続される本体接続部72bとを有する。給水ホース75は可とう性を持つ素材を用いて構成される。
【0027】
継手部材18は、出入口14aから外側に向かう方向(
図7の右下方向)でのカートリッジ12の動きを規制する。ここでの「外側に向かう方向」とは、出入口14aからX方向において吐水ヘッド16から遠ざかる方向をいう。
【0028】
吐水ヘッド16及び継手部材18は、不図示の取付構造とロック部材76の組み合わせによって、互いに着脱可能に取り付けられる。取付構造は、たとえば、凸部と凹部を組み合わせた嵌合構造である。本実施形態の継手部材18は、カートリッジ収容室14内に出入口14aを通して差し込まれている。本実施形態の継手部材18は、このような出入口14aの開閉を伴い吐水ヘッド16に着脱可能に取り付けられる。
【0029】
継手部材18は、全体として有底筒状をなす。継手部材18には、その内側に配置されるホース継手78を介して給水ホース75が接続される。継手部材18の内側には本体ベース20の本体接続部72bが差し込まれる。本体接続部72bは、吐水ヘッド16がX方向に沿って動くように吐水ヘッド16をガイド可能である。
【0030】
本実施形態の継手部材18は、吐水ヘッド16を本体ベース20に脱着自在に接続する。吐水ヘッド16は、本体ベース20の本体接続部72bによるガイドを伴いX方向に沿って動かされることで、本体ベース20に対して脱着する。本体ベース20から吐水ヘッド16を取り外すとき、本体ベース20のホース挿通孔72aから給水ホース75が引き出される。一方、本体ベース20に吐水ヘッド16を取り付けるとき、ホース挿通孔72aに給水ホース75が押し戻される。
【0031】
ロック部材76は、ユーザの操作によって、吐水ヘッド16に対する継手部材18のロックの有無を切り替え可能である。吐水ヘッド16及び継手部材18は、ロック部材76によるロックを解除したときに着脱自在となる。
【0032】
カートリッジ収容室14を形成する内壁面と継手部材18との間には第1シール部材80が配置される。第1シール部材80はOリング等の弾性体であり、カートリッジ収容室14と継手部材18の間をシールする。
【0033】
本実施形態の継手部材18は、カートリッジ12をX方向に拘束するカートリッジ拘束部82を有する。また、本実施形態のカートリッジ12は、継手部材18によりX方向に拘束される被拘束部84を備えている。
【0034】
図8は、継手部材18のカートリッジ拘束部82を斜め下側から見た図である。
図9は、
図7のA-A線断面図である。
図7~
図9に示すように、継手部材18のカートリッジ拘束部82は、カートリッジ12とX方向に対向する位置に設けられる。本実施形態のカートリッジ拘束部82は、継手部材18の奥側端面部からX方向に突き出る突起部82aと、突起部82aから突き出る爪部82bとを有する。カートリッジ拘束部82は、カートリッジ12の被拘束部84を取り囲むようにU字状に延びている。カートリッジ拘束部82は、上向きに開放する開放口82cが形成される溝部を構成する。
【0035】
図7、
図9に示すように、カートリッジ12の被拘束部84は、カートリッジ12の入口側端部にある第1エンドキャップ62に設けられる。本実施形態の第1エンドキャップ62は全体として有底筒状をなし、被拘束部84は第1エンドキャップ62の入口側部分に設けられる。被拘束部84は、第1エンドキャップ62の入口側端面部からX方向に突き出る凸部84aと、凸部84aの入口側端部から径方向外側に張り出す爪受け部84bとを有する。爪受け部84bは環状に連続している。
【0036】
爪部82bは、カートリッジ12の爪受け部84bの裏側に配置され、その爪受け部84bに裏側から引っ掛けられる。ここでの「裏側」とは、第1エンドキャップ62の爪受け部84bに対してX方向で継手部材18から離れる側(
図7の左上側)をいう。これにより、被拘束部84は、継手部材18の一部となるカートリッジ拘束部82が引っ掛かることによって、X方向に拘束される。
【0037】
以下、
図10を参照して、本実施形態に係るカートリッジ12について説明する。上述したように、カートリッジ12は、X方向に沿って長尺状のカートリッジ本体60と、カートリッジ本体60の長手方向(X方向)の両端部に設けられる第1エンドキャップ62、第2エンドキャップ64とを備える。吐水ヘッド16のカートリッジ収容室14内にカートリッジ12が収容されたとき、第1エンドキャップ62はX方向において出入口14a側に位置し、第2エンドキャップ64はX方向において出入口14aとは反対側に位置する。水栓装置10の水の流れを考慮したとき、第1エンドキャップ62は上流側に位置し、第2エンドキャップ64は下流側に位置するということができる。
【0038】
カートリッジ本体60は、芯材74および活性炭層68を備える。芯材74は、多孔質のセラミックで形成された長尺円筒形状の透水性部材であり、その内側に内部水路66を有する。活性炭層68は、活性炭の粉体、粒状体等を結合剤で結合することによって形成された円筒形状の多孔質成形体であり、芯材74上に積層される。ろ材を活性炭とすることで、多孔質成形体は原水中の残留塩素やカビ臭、トリハロメタンなどの有機化合物の吸着力に優れる。活性炭層68を通って外部水路58(
図2参照)から内部水路66に原水を通すことにより、原水を改質して改質水を生成することができる。
【0039】
本実施形態に係るカートリッジ12では、芯材74は、活性炭層68よりも強度が高くなるよう形成される。言い換えると、芯材74は活性炭層68よりも剛性が高く、芯材74は活性炭層68よりも外力に対して変形し難い。
【0040】
本実施形態のカートリッジ12においては、両端の第1エンドキャップ62および第2エンドキャップ64は、芯材74の端部に当接するように設けられている。以下、より詳細に説明する。
【0041】
まず、第1エンドキャップ62に関して説明する。第1エンドキャップ62は、有底の筒状部62aと、筒状部62aの中央部からX方向に突き出る凸部84aとを有する。
【0042】
図10に示すように、芯材74の上流側端部74aは、活性炭層68の上流側端部68aよりもX方向に突出しており、この芯材74の上流側端部74aは、第1エンドキャップ62の凸部84aに当接している。また、活性炭層68の上流側端部
68aと第1エンドキャップ62の筒状部62aは接着剤によって接着される。また、カートリッジ12は、活性炭層68の上流側端部68aと第1エンドキャップ62と芯材74とにより囲まれた空間63を備える。このような空間63を設けることにより、上流側端部
68aと筒状部62aの接着の際に余った接着剤を逃がすことができる。
【0043】
次に、第2エンドキャップ64に関して説明する。第2エンドキャップ64は、筒状部64aと、筒状部64aの内側に配置される押さえ部材64bの2つの部品から構成されている。第2エンドキャップ64は、内部水路66に連通する連通孔64cを備えており、
図2、
図6に示すように吐水ヘッド16内に設けられた弁機構46(
図5参照)に接続される。これにより、活性炭層68によって改質された改質水が弁機構46に流れる。なお、本実施形態において、第2エンドキャップ64が2つの部品から構成されているのは、成形上の理由である。
図10に示すように、筒状部64aの連通孔64cは、径が下流側に向かって小さくなっている。したがって、筒状部64aと押さえ部材64bを一体に形成してしまうと、樹脂成形の際に金型を連通孔64cから抜くことができないからである。
【0044】
図10に示すように、芯材74の下流側端部74bは、活性炭層68の下流側端部68bよりもX方向に突出しており、この芯材74の下流側端部74bは、第2エンドキャップ64の押さえ部材64bに当接している。また、活性炭層68の下流側端部
68bと第2エンドキャップ64の筒状部64aは接着剤によって接着される。活性炭層68の下流側端部68bと第2エンドキャップ64と芯材74とにより囲まれた空間65を備える。このような空間65を設けることにより、下流側端部
68bと筒状部64aの接着の際に余った接着剤を逃がすことができる。
【0045】
上記のように構成された本実施形態に係るカートリッジ12によれば、活性炭層68よりも強度の高いエンドキャップを芯材74の端部に当接させた場合、エンドキャップにかかった水圧を芯材74で受けることになるので、活性炭層68に負荷がかかりにくくなる。その結果、活性炭層68が圧縮されて活性炭粒子相互の間隙が小さくなる事態を防ぐことができるので、濾過流量の低下を抑制できる。
【0046】
また、本実施形態に係るカートリッジ12によれば、芯材74の上流側端部74a、下流側端部74bを活性炭層68の上流側端部68a、下流側端部68bよりも突出させることにより、芯材74の上流側端部74a、下流側端部74bをより確実に第1エンドキャップ62、第2エンドキャップ64に当接させることができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係るカートリッジ12によれば、接着剤を逃がすための空間63、65を設けることにより、余った接着剤が意図していない箇所(例えば活性炭層68の側面上)に流れるのを防ぐことができる。
【0048】
本実施形態では、芯材74の両端部に第1エンドキャップ62および第2エンドキャップ64を当接させていることから、カートリッジ12の長さ方向の寸法関係は、芯材74の長手方向の長さによって決まる。芯材74は、活性炭層68よりも長さ方向の寸法の制御が容易である。そこで、芯材74上に活性炭層68を設ける際には、活性炭層68の長手方向の長さが芯材74の長手方向の長さによって定まる所定の設計値よりも大きくなるようにし、活性炭層68を長手方向に圧縮しながら第1エンドキャップ62および第2エンドキャップ64を設けてもよい。この場合、活性炭層68に寸法誤差があっても、寸法精度のよいカートリッジ12を形成できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更
、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0050】
以上の実施形態により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
【0051】
本発明のある態様は、原水を改質するためのカートリッジである。このカートリッジは、カートリッジ本体と、カートリッジ本体の両端部に設けられるエンドキャップと、を備える。カートリッジ本体は、筒状の芯材と、芯材の外周上に設けられる活性炭層とを備える。エンドキャップは、芯材の端部に当接するように設けられる。
【0052】
この態様によると、エンドキャップにかかった水圧を芯材で受けることになるので、活性炭層に負荷がかかりにくくなる。その結果、活性炭層が圧縮されて活性炭粒子相互の間隙が小さくなる事態を防ぐことができるので、濾過流量の低下を抑制できる。
【0053】
芯材の強度は、活性炭層の強度よりも高くてもよい。この場合、好適にエンドキャップにかかった水圧を芯材で受け、活性炭層に負荷がかかりにくくすることができる。
【0054】
芯材の端部は、活性炭層の端部よりも突出していてもよい。この場合、より確実に芯材の端部をエンドキャップに当接させることができる。
【0055】
活性炭層の端部とエンドキャップは接着剤によって接着されてもよい。活性炭層の端部とエンドキャップと芯材とにより囲まれた空間が設けられてもよい。この場合、活性炭層の端部とエンドキャップとの接着の際に余った接着剤を逃がすことができる。
【0056】
本発明の別の態様は、原水を改質するためのカートリッジの製造方法である。この方法は、芯材の外周上に活性炭層を設ける工程と、芯材の端部に当接するようにエンドキャップを設ける工程とを備える。
【0057】
この態様によると、濾過流量の低下を抑制できるカートリッジを実現できる。
【0058】
活性炭層を設ける工程は、活性炭層の長手方向の長さが芯材の長手方向の長さによって定まる所定の設計値よりも大きくなるように活性炭層を設ける工程を含んでもよい。エンドキャップを設ける工程は、活性炭層を長手方向に圧縮しながら、芯材の端部に当接するようにエンドキャップを設ける工程を含んでもよい。この場合、活性炭層に寸法誤差があっても、寸法精度のよいカートリッジを形成できる。
【符号の説明】
【0059】
10 水栓装置、 12 カートリッジ、 14 カートリッジ収容室、 16 吐水ヘッド、 18 継手部材、 46 弁機構、 58 外部水路、 62 第1エンドキャップ、 64 第2エンドキャップ、 66 内部水路、 68 活性炭層、 74 芯材。