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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】建物用庇
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/08 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E04F10/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018116542
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019218747
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000133319
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮地 俊博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 義孝
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-209578(JP,A)
【文献】特開2015-086572(JP,A)
【文献】特開平09-317012(JP,A)
【文献】特開平08-333853(JP,A)
【文献】国際公開第2004/057129(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/08
E04D 3/40
E04B 7/02
E04B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の庇構成材が互いに幅方向に連結されてなる庇本体と、複数の庇構成材の前端部に跨って庇本体の前端部に取り付けられる先端見切り材と、を備え、前側ほど下方となるように傾斜されて配置されている建物用庇であって、
先端見切り材または先端見切り材の前方に、庇本体の上面部に沿って流れ落ちてきた雨水と、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水と、を合流させる合流部が設けられ、
合流部で合わされた雨水を先端見切り材の前縁または前縁前方箇所から排水するよう構成していることを特徴とする建物用庇。
【請求項2】
先端見切り材に、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水を通す連結部間雨水用通路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物用庇。
【請求項3】
先端見切り材に、連結部間雨水用通路が設けられている箇所を覆う覆い部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物用庇。
【請求項4】
先端見切り材が、底面部と、底面部から立設する立設部と、前側ほど下方に傾斜する覆い部と、を有し、立設部に連結部間雨水用通路としての雨水用孔部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の建物用庇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の軒先などに取り付けられて、雨水や日光が直接当たらないように遮る建物用庇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の建物用庇としては、例えば特許文献1等に開示されているものが知られている。図13などに示すように、この建物用庇70は、建物用庇70を取り付ける壁面に取り付けられる壁面取り付け部材71と、この壁面取り付け部材71に後端部が組み付けられて、壁面取り付け部材71から前側(壁面より突出する外側)に突出されて配置される庇本体72と、この庇本体72の前端部に組付けられる先端見切り材73などから構成されている。
【0003】
庇本体72は、前後方向(建物用庇70が壁面から突出する方向)に長い複数の庇構成材74が、互いに幅方向に連結されて配置されている。庇構成材74は、庇本体72の幅方向両端部にそれぞれ配置される端部材74Aと、これらの端部材74Aの間に配置される複数の中間材74Bとから構成される。先端見切り材73は、建物用庇70の両端部間を繋ぐ幅方向に長い材料で構成され、複数の庇構成材74の前端部に跨って配置される。
【0004】
この建物用庇70として、図13図15に示すように、前側ほど下方となるように傾斜されて配置される(いわゆる前勾配型)とともに、雨が降った際の大部分の雨水W1が、庇本体72の上面部72aから先端見切り材73の上面部73aを伝って、先端見切り材73の上面部前縁から分散して流れ落ちるよう構成されているものがある。この種の建物用庇70では、一部の雨水(先端見切り材73の上面部73a前縁から流れ落ちる雨水W1以外の雨水)W2は、庇構成材74同士を連結(嵌合)させている箇所の隙間から、この庇構成材74の連結部(嵌合部)に形成されている庇樋部76、77(図15参照)を通って、前側ほど下方となる勾配によって先端側(前側)に流れ、先端見切り材73の内部に形成されている補助樋部78(図14参照)から左側または右側の端部に流れ、先端見切り材73の左右両端部に開口されている排水用開口部80(図13参照)から流れ落ちるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-20023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、雨水の量が多くて先端見切り材73の両端部に設けた排水用開口部80からの排水が間に合わない場合や、建物用庇70などの施工精度が悪くて建物用庇70が幅方向に対して水平となっていない場合に、先端見切り材73の後端部と庇本体72の下面との間の隙間81からオーバーフローするなどした雨水W3が出ることがあり、この場合には、建物用庇70が雨漏りしていると認識されてしまう恐れがある。
【0007】
また、また、先端見切り材73が左右に長い場合には、図16に示すように、補助樋部78の一部に水抜き孔82を設けて、この水抜き孔82からも雨水が流れ落ちるよう構成されている場合もあるが、この場合にも、水抜き孔82から多量の雨水W4が流れ落ちると、建物用庇70が雨漏りしていると誤認されてしまう恐れがある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、雨水の量が多い場合でも、中間材同士の間の隙間に流れ込んだ雨水を、雨漏りしていると誤認されることなく、良好に排出できる建物用庇を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の庇構成材が互いに幅方向に連結されてなる庇本体と、複数の庇構成材の前端部に跨って庇本体の前端部に取り付けられる先端見切り材と、を備え、前側ほど下方となるように傾斜されて配置されている建物用庇であって、先端見切り材または先端見切り材の前方に、庇本体の上面部に沿って流れ落ちてきた雨水と、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水と、を合流させる合流部が設けられ、合流部で合わされた雨水を先端見切り材の前縁または前縁前方箇所から排水するよう構成していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、庇本体の上面部に沿って流れ落ちてきた雨水と庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水とが合流部で合流し、合流部で合わされた雨水が先端見切り材の前縁または前縁前方箇所から排水される。したがって、雨水の量が多い場合でも、先端見切り材の両端部に設けた排水用開口部から多くの雨水があふれ出たり、オーバーフローした雨水が先端見切り材の後端部と庇本体の下面との間の隙間から出たり、補助樋部の一部に設けた水抜き孔から多量の雨水が流れ落ちたりしないように構成でき、ひいては、建物用庇が雨漏りしていると誤認されてしまうことを防止することが可能となる。
【0011】
また、本発明は、先端見切り材に、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水を通す連結部間雨水用通路が設けられていることを特徴とする。この構成により、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)を、先端見切り材に設けられている連結部間雨水用通路を通して、合流部に流すことができる。
【0012】
また、本発明は、先端見切り材に、連結部間雨水用通路が設けられている箇所を覆う覆い部が設けられていることを特徴とする。この構成により、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)が、先端見切り材に設けられている連結部間雨水用通路を通して、合流部に流れていることを外側から認識し難くなる(分かり難くなる)。これにより、建物用庇が雨漏りしていると誤認されてしまうことをより良好に防止することができる。
【0013】
また、本発明は、先端見切り材が、底面部と、底面部から立設する立設部と、前側ほど下方に傾斜する覆い部と、を有し、立設部に連結部間雨水用通路としての雨水用孔部が設けられていることを特徴とする。この構成により、比較的簡単な構成で、建物用庇が雨漏りしていると誤認されてしまうことを防止することができる。
【0014】
なお、上記構成に代えて、先端見切り材に、庇本体の上面部に沿って流れ落ちてきた雨水と、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水とを近接させて排水させる近接排水部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、先端見切り材または先端見切り材の前方に、庇本体の上面部に沿って流れ落ちてきた雨水と、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水と、を合流させる合流部を設け、合流部で合わされた雨水を先端見切り材の前縁または前縁前方箇所から排水するよう構成することにより、雨水の量が多い場合でも、先端見切り材の両端部に設けた排水用開口部から多くの雨水があふれ出たり、オーバーフローした雨水が先端見切り材の後端部と庇本体の下面との間の隙間から出たり、補助樋部の一部に設けた水抜き孔から多量の雨水が流れ落ちたりしないように構成でき、ひいては、建物用庇が雨漏りしていると誤認されてしまうことを防止することが可能となり、建物用庇としての信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、先端見切り材に、連結部間雨水用通路が設けられている箇所を覆う覆い部を設けることにより、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水が、合流部に流れ込んでいることを外側から認識し難くなり、建物用庇が雨漏りしていると誤認されてしまうことをより良好に防止することができる。
【0017】
また、先端見切り材に、庇本体の上面部に沿って流れ落ちてきた雨水と、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水と、を近接させて排水させる近接排水部を設けることによっても、雨水の量が多い場合でも、先端見切り材の両端部に設けた排水用開口部から多くの雨水があふれ出たり、オーバーフローした雨水が先端見切り材の後端部と庇本体の下面との間の隙間から出たり、補助樋部の一部に設けた水抜き孔から多量の雨水が流れ落ちたりしないように構成でき、ひいては、建物用庇が雨漏りしていると誤認されてしまうことを防止することが可能となり、建物用庇としての信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る建物用庇の全体斜視図である。
図2】同建物用庇の庇本体における庇構成材(中間材)の連結部などを示す正面端面図である。
図3】同建物用庇における庇本体の前端部および先端見切り材を示す側面断面図である。
図4】同建物用庇の要部分解斜視図である。
図5】同建物用庇の下側材(下側先端見切り材)の正面図である。
図6】同建物用庇の先端見切り材の分解側面断面図である。
図7】同建物用庇における庇構成材(中間材)の連結部などを示す正面端面図であり、庇構成材の庇樋部を通った雨水(連結部間雨水)が庇構成材の空洞部に流れ込む状況を示す。
図8】同建物用庇における庇本体の前端部および先端見切り材を示す側面断面図であり、庇構成材の庇樋部を通った雨水(連結部間雨水)が庇構成材の空洞部を通して、先端見切り材の底面上に流れ込む状況を示す。
図9】本発明の実施の形態に係る建物用庇の変形例を示す側面断面図である。
図10】本発明の実施の形態に係る建物用庇の他の変形例を示す側面断面図である。
図11】本発明の実施の形態に係る建物用庇のその他の変形例を示す側面断面図である。
図12】本発明の実施の形態に係る建物用庇のさらに他の変形例を示す側面図である。
図13】従来の建物用庇の斜視図である。
図14】同従来の建物用庇における庇本体の前端部および先端見切り材を示す側面断面図である。
図15】同従来の建物用庇の庇本体における庇構成材(中間材)の連結部を示す正面端面図である。
図16】同従来の建物用庇の先端見切り材およびその近傍箇所の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態の建物用庇を、図面に基づき説明する。
図1などにおいて、1は、建物の軒先などに取り付けられて、雨水や日光が直接当たらないように遮る建物用庇である。建物用庇1は、建物用庇1を取り付ける壁面に取り付けられる壁面取り付け部材2と、この壁面取り付け部材2に後端部が組み付けられて、壁面取り付け部材2から前側(壁面より突出する外側)が若干下方に傾斜された姿勢で突出されて配置される庇本体3と、この庇本体3の前端部に組付けられている先端見切り材4などから構成されている。そして、まず、壁面に壁面取り付け部材2が取り付けられた後、この壁面取り付け部材2に後述する庇構成材5が幅方向に連結されながら組み付けられ、最後に、複数の庇構成材5からなる庇本体3の前端部に先端見切り材4などが組み付けられる。
【0020】
図1図2などに示すように、庇本体3は、前後方向(建物用庇3が壁面から突出する方向)に長い平面視矩形の複数の庇構成材5が、互いに幅方向に連結されて構成されて(互いに幅方向端部で嵌合された状態で幅方向に連続して並べられて配置されて)いる。なお、この実施の形態では、庇構成材5は、庇本体3の幅方向両端部にそれぞれ配置される端部材5Aと、これらの端部材5Aの間に配置される複数の中間材5Bとから構成される。先端見切り材4は、建物用庇1の両端部間を繋ぐ幅方向(すなわち左右方向)に長い材料で構成され、複数の庇構成材5の前端部に跨って庇本体3の前端部に取り付けられている。なお、これらの壁面取り付け部材2、庇構成材5、先端見切り材4などの建物用庇1の構成要素は、軽量かつ強度があり、錆び難く、比較的安価なアルミニウムなどの金属製の押出形材などにより構成されると好適であるが、これに限るものではなく、他の金属材料や非金属材料などで構成してもよい。
【0021】
図1図3などに示すように、この建物用庇1は、前側ほど下方となるように傾斜されて配置される、いわゆる前勾配型とも称せられるものである。このような前勾配型の建物用庇1では、雨が降った際の雨水の多くは、庇本体3(庇構成材5)の上面部3aから先端見切り材4の上面部4aをなす後述する覆い部9の上を通りながら、先端見切り材4の前縁4bから分散して流れ落ちるよう構成されている。建物用庇1において、一部の雨水W2は、庇構成材5同士を連結(嵌合)させている箇所(庇構成材連結部)の隙間から、これらの庇構成材5の連結部(嵌合部)の内部に設けられている(下方に窪む凹状に形成されている)庇樋部6、7(図2参照)を通って、前側ほど下方となる勾配によって前側(先端側)に流れるよう構成されている。なお、この実施の形態では、正面視して、互いに連結される庇構成材5における左側に配置される庇構成材5の庇樋部6、7が右側に配置される庇構成材5に形成された突出底面部5a、5b上に重ねられた状態で嵌合(係合)されて連結されているが、これに限るものではない。
【0022】
図3図6などに示すように、先端見切り材4は、下側材(下側先端見切り材)8と、この下側材8を上方から覆う覆い部(先端見切り覆い部)9と、先端見切り材4の両側面部に組付けられる側面蓋(先端見切り側面蓋)10と、などから構成され、下側材8および覆い部9は左右(建物用庇1の幅方向)に延びて左右に長い形状とされている。そして、図3図4などに示すように、先端見切り材4の下側材8が庇本体3(庇構成材5)の前端部に当接された状態で、適当間隔ごとに配置される組付けねじ11により組み付けられ、さらに、下側材8の上方から覆い部9が重ねられて組付けねじ12で固定されるとともに、下側材8の両側面部に組付けねじ13を介して側面蓋10が組み付けられることで、先端見切り材4が庇本体3(庇構成材5)の前端部に取り付けられる。なお、図2における5cは、庇構成材5の連結部(嵌合部)近傍箇所に一体形成されて組付けねじ11がねじ込まれる螺合用突部、図5図6における8iは、下側材(下側先端見切り材)8に形成されて組付けねじ11を挿通させるねじ挿通孔である。
【0023】
図3図6図7などに示すように、先端見切り材4の下側材(下側先端見切り材)8には、庇本体3(庇構成材5)の前端下面部よりも前側下方位置で、前側ほど下方に緩い角度で傾斜した姿勢で前方に延びる底面部8aと、底面部8aの前後方向略中央箇所から立設する(上方に起立する)立設部8bと、立設部8bの上端縁から前後に延びる中間面部8cと、中間面部8cの後端縁から上方に延びて、庇構成材5の前端面に当接された状態で組付けねじ11により組み付けられる取付面部8dと、取付面部8dの上縁部より前方に略Cの字形状に突出し、その上面部に覆い部10の上端縁が当てられるとともに庇構成材5の上側の庇樋部6からの雨水を左右に分散させて流す上樋部8eと、上樋部8eの上端縁の後部に形成されて、パッキン14(図3図4参照)を介して(あるいは直接)庇構成材5の前端上縁に突き当てた状態で当接される当接面部8fと、中間面部8cの前縁から上方に延びて、覆い部9に形成された係合突部9aに係合する係合突部8gと、側面蓋10を取り付ける組付けねじ13をねじ込むための螺合(雌孔)部分として機能する螺合用突部8hと、などが形成(一体形成)されている。また、底面部8aの後端部(底面後端部)8a’は後側ほど上方となるように傾斜して、庇本体3(庇構成材5)の前端部底面に近接して配置されている。
【0024】
また、先端見切り材4の覆い部(先端見切り覆い部)9には、庇本体3(庇構成材5)の前端部上面に沿う姿勢で、下側材(下側先端見切り材)8における上樋部8eの上面部に重ね合わされる後部上面部9bと、後部上面部9bの前縁から前側ほど下方となるように傾斜する傾斜面部9cと、傾斜面部9cの裏面に形成されて、下側材8の係合突部8gに係合する係合突部9aと、側面蓋10を取り付ける組付けねじ13をねじ込むための螺合(雌孔)部分として機能する螺合用突部9dと、傾斜面部9cの前端縁から下方に延びる下延部9eと、などが形成(一体形成)されている。
【0025】
また、図1図3に示すように、先端見切り材4の側面蓋(先端見切り側面蓋)10には、側面蓋10を取り付ける組付けねじ13を挿通させるねじ挿通孔10aや、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)W2を排出するための排水用開口部10bが形成されている。
【0026】
上記構成に加えて、図1図3などに示すように、先端見切り材4には、庇本体3の上面3aに沿って流れ落ちてきた雨水W1と、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)W2と、を合流させる合流部15が設けられている。また、先端見切り材4に、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水を通す連結部間雨水用通路が設けられている。この実施の形態では、合流部15は、先端見切り材4の下側材(下側先端見切り材)8における底面部上の前縁近傍箇所に配置され、後述するように、この合流部15で、庇本体3の上面3aに沿って流れ落ちてきた雨水W1と、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)W2と、が合流するようになっている。また、図3図5図7などに示すように、先端見切り材4の下側材(下側先端見切り材)8において底面部8aから立設する立設部8bに連結部間雨水用通路としての雨水用孔部8jが幅方向適当間隔ごとに設けられている。
【0027】
上記構成において、雨が降ると、建物用庇1上に降ったり屋根などから建物用庇1上に流れ落ちてきたりする雨水の多くは、図1図3に示すように、庇本体3(庇構成材5)の上面部3aから先端見切り材4の上面部4aをなす覆い部9上を通って、すなわち、覆い部9の後部上面部9b、傾斜面部9cおよび下延部9c上を通って、先端見切り材4の合流部15(この実施の形態では、先端見切り材4の下側材(下側先端見切り材)8の底面部8aにおける前縁4b近傍箇所)に流れ落ちる。
【0028】
また、一部の雨水(残りの雨水で後述する連結部間雨水)W2は、庇構成材5同士を連結(嵌合)させている箇所(庇構成材連結部)の隙間(中間材5B同士の間や中間材5Bと端部材5Aとの間)から、これらの庇構成材5の連結部(嵌合部)の内部に設けられている(下方に窪む凹状に形成されている)庇樋部6、7(図2図3参照)を通って、前側ほど下方となる勾配によって前側(先端側)に流れる。この実施の形態では、庇構成材連結部の上部に設けられている庇樋部6に流れ込んだ雨水(連結部間雨水)W2は、ある程度の高さH1(図8参照)だけ溜まると、図7図8示すように、一旦、下側材(下側先端見切り材)8の上樋部8eに流れ込み、その後、上樋部8eを伝って左右両側方に流れる。上樋部8eが臨む庇構成材5の内部は、庇構成材連結部以外の箇所では、ほぼ上下に空洞となっているため、この空洞部5cを通して、下側材(下側先端見切り材)8の底面部8a上(後部寄り領域)に流れ込む。また、庇構成材連結部の下部に設けられている庇樋部7に流れ込んだ雨水W2は、そのまま、下側材(下側先端見切り材)8の底面部8a上(後部寄り領域)に流れ込む。
【0029】
そして、図1図3図8などに示すように、これらの下側材(下側先端見切り材)8の底面部8a上(後部寄り領域)に流れ込んだ雨水(連結部間雨水)W2は、連結部間雨水用通路としての雨水用孔部8jを通って、下側材(下側先端見切り材)8の底面部8a上(前部寄り領域)に流れ込み、さらには、先端見切り材4の合流部15(この実施の形態では、先端見切り材4の下側材(下側先端見切り材)8の底面部8aにおける前縁4b近傍箇所)に流れ込む。
【0030】
これにより、先端見切り材4の合流部15で、庇本体3(庇構成材5)の上面部3aに沿って流れ落ちてきた雨水W1と、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)W2と、が合流し、先端見切り材4の前縁(この実施の形態では、下側材(下側先端見切り材)8の底面部8aの前縁)から、合流した雨水W1、W2が流れ落ちる。
【0031】
したがって、合流した殆どの雨水W1、W2が先端見切り材4の前縁から分散した状態で流れ落ち、雨水の量が多い場合でも、先端見切り材4の幅方向両端部に設けた側面壁10の排水用開口部10bから多くの雨水があふれ出たり、オーバーフローした雨水が先端見切り材4の後端部と庇本体3の下面との間の隙間21(図3参照)から出たりすることはない。この結果、建物用庇1が雨漏りしていると誤認されてしまうことを防止でき、ひいては、建物用庇としての信頼性を向上させることができる。
【0032】
なお、上記実施の形態では、先端見切り材4の幅方向両端部に設けた側面壁10に排水用開口部10bを形成した場合を述べたが、必ずしも排水用開口部10bを設けなくてもよく、例えば、連結部間雨水用通路としての雨水用孔部8jの数を増やすなどして、排水用開口部10bを設けない構成としてもよい。すなわち、この場合には、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)W2も全て先端見切り材4の前縁(この実施の形態では、下側材(下側先端見切り材)8の底面部8aの前縁)から排出される。
【0033】
また、上記実施の形態では、庇本体3(庇構成材5)の上面部3aと、先端見切り材4の覆い部9の後部上面部9bとが同一面となる場合を図示したが、これに限るものではなく、図9に示すように、先端見切り材4の覆い部9の後部9gにより、庇本体3(庇構成材5)の上面部3aの下端部を覆うよう構成としてもよい。
【0034】
また、上記実施の形態では、庇本体3(庇構成材5)の上面部3aに沿って流れ落ちてきた雨水W1と、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)W2と、が合流する合流部15が先端見切り材4に設けられているため、合流した雨水W1、W2が先端見切り材4の前縁から良好に分散した状態で流れ落ちて、建物用庇1が雨漏りしていると誤認されてしまうことを良好に防止できる。
【0035】
しかし、上記構成に限るものではなく、図10に示すように、先端見切り材4の前方に、庇本体3の上面部3aに沿って流れ落ちてきた雨水W1と、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水(連結部間雨水)W2と、を合流させる合流部16を設けてもよい。すなわち、先端見切り材4上ではなくて、先端見切り材4の前縁4bよりも前方の箇所で、庇本体3の上面部3aおよび先端見切り材4の覆い部9に沿って流れ落ちてきた雨水W1と、庇構成材連結部の庇樋部6、7および底面部8aを通った雨水(連結部間雨水)W2とが合流して、この合流した雨水W1、W2が流れ落ちるように構成してもよい。この構成によっても、建物用庇1が雨漏りしていると誤認されてしまうことを防止でき、建物用庇としての信頼性を向上させることができる。
【0036】
さらには、先端見切り材4に、庇本体3の上面部3aに沿って流れ落ちてきた雨水W1と、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水W2と、を近接させて排水させる近接排水部17を設けてもよい。例えば、図11に示すように、先端見切り材4の底面部8aの前縁8kの前方近傍に、先端見切り材4の覆い部9の前縁9fが位置するよう構成し、庇構成材5同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水W2は先端見切り材4の底面部8aの前縁8kから流れ落ち、庇本体3の上面部3aに沿って流れ落ちてきた雨水W1は先端見切り材4の覆い部9の前縁9fから流れ落ちるよう構成する。そして、建物用庇1の下方にいる人から目視した際に、雨水W2が流れ落ちる先端見切り材4の底面部8aの前縁8kと、雨水W1が流れ落ちる先端見切り材4の覆い部9の前縁9fとが、互いの位置が異なったり離れていたりすると認識(視認)できないような近接する位置に配置する。これによっても、建物用庇1の下方にいる人は、雨水W1、W2がほぼ同じ箇所から流れ落ちると認識するため、建物用庇1が雨漏りしていると誤認されてしまうことを防止できる。
【0037】
なお、庇本体3は、壁面に取り付けられる壁面取り付け部材2だけにより支持される構成でもよいが、これに限るものではなく、図12に示すように、壁面18に組付けた支持ブラケット19と庇本体3とが、支持ロッド20を介して連結される構成の建物用庇に対して、上記構成を適用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 建物用庇
2 壁面取り付け部材
3 庇本体
4 先端見切り材
5 庇構成材
6、7 庇樋部
8 下側材(下側先端見切り材)
8a 底面部
8b 立設部
8j 雨水用孔部(連結部間雨水用通路)
9 覆い部(先端見切り覆い部)
10 側面蓋(先端見切り側面蓋)
15、16 合流部
17 近接排水部
W1 雨水
W2 雨水(連結部間雨水)
図1
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