(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】無線環境測定システムおよび無線環境測定方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/10 20090101AFI20221006BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20221006BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W24/08
(21)【出願番号】P 2018119517
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501140452
【氏名又は名称】株式会社モバイルテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100131521
【氏名又は名称】堀口 忍
(72)【発明者】
【氏名】熱田 隆
(72)【発明者】
【氏名】落合 庸央
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 正太
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩一
(72)【発明者】
【氏名】荒木 麻由子
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076887(JP,A)
【文献】特表2013-541921(JP,A)
【文献】特開2007-158485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチホップネットワークを構成する複数の通信装置および前記
複数の通信装置を制御する通信制御装置を備える無線環境測定システムであって、
前記
複数の通信装置は
、それぞれ、
前記無線環境測定システム以外の1または複数の他の無線通信システムにより行われる、第1の周波数チャネルを使用する通信についての無線環境を測定する第1の無線デバイスと、
前記無線環境測定システムにおいて、前記第1の周波数チャネルとは異なる第2の周波数チャネルを使用して、前記無線環境の測定結果を前記通信制御装置に送信する第2の無線デバイスと、を備え、
前記通信制御装置は、通信を開始するタイミングに係わる制御情報を前記複数の通信装置に送信し、
前記複数の通信装置は、それぞれ、前記制御情報に応じて前記無線環境を測定してその測定結果を前記通信制御装置に送信し、その後、所定の周期で前記無線環境を測定してその測定結果を前記通信制御装置に送信し、
前記通信制御装置は、前記
複数の通信装置から送信される測定結果に基づいて、
各測定時刻に対して、前記複数の通信装置により同時に測定される、前記1または複数の他の無線通信システムの無線環境を表す無線環境情報を生成する
ことを特徴とする無線環境測定システム。
【請求項2】
前記第1の無線デバイスは、前記第1の周波数チャネルにおいて、無線信号の送信元、雑音レベル、チャネル使用率、パケットサイズ、受信電力、無線信号の変調方式および符号、送信失敗数、レーダ検出結果の少なくとも1つを測定または検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線環境測定システム。
【請求項3】
前記通信制御装置は、前記通信装置から送信される測定結果に基づいて、前記1または複数の他の無線通信システムの無線環境の時間変化を表す無線環境情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線環境測定システム。
【請求項4】
前記第1の無線デバイスは、前記第1の周波数チャネルに加えて前記第2の周波数チャネルの無線環境を測定し、
前記第2の周波数チャネルの無線環境が所定の条件を満たすときには、前記通信制御装置は、第3の周波数チャネルを指定するチャネル情報を前記通信装置に通知し、
前記通信装置が前記チャネル情報を受信すると、前記第2の無線デバイスは、前記第3の周波数チャネルを使用して、前記無線環境の測定結果を前記通信制御装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線環境測定システム。
【請求項5】
マルチホップネットワークを構成する複数の通信装置および前記
複数の通信装置を制御する通信制御装置を備える無線環境測定システムにおいて無線環境を測定する無線環境測定方法であって、
前記通信制御装置は、通信を開始するタイミングに係わる制御情報を前記複数の通信装置に送信し、
前記複数の通信装置は、それぞれ、
前記制御情報に応じて、第1の無線デバイスを用いて、前記無線環境測定システム以外の1または複数の他の無線通信システムにより行われる、第1の周波数チャネルを使用する通信についての無線環境を測定
すると共に、第2の無線デバイスを用いて、前記第1の周波数チャネルとは異なる第2の周波数チャネルを使用して、前記無線環境の測定結果を前記通信制御装置に送信し、
その後、所定の周期で、前記第1の無線デバイスを用いて前記無線環境を測定すると共に、前記第2の無線デバイスを用いてその測定結果を前記通信制御装置に送信し、
前記通信制御装置は、前記
複数の通信装置から送信される測定結果に基づいて、
各測定時刻に対して、前記複数の通信装置により同時に測定される、前記1または複数の他の無線通信システムの無線環境を表す無線環境情報を生成する
ことを特徴とする無線環境測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線環境測定システムおよび無線環境測定方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワークの通信エリア内の電波状況を確認するために、電波強度測定(サイトサーベイ)が行われる。ここで、電波強度測定は、多くのケースにおいて、通信サービスが開始される前、或いは、異常動作が検出された後に行われる。しかし、この場合、異常動作が発生した時点の電波状況を確認することは困難である。すなわち、異常動作の原因を解析することは困難である。よって、異常動作が発生した時点の電波状況を確認するためには、無線ネットワークの通信エリア内の電波状況を常時モニタする電波強度測定(リアルタイムサイトサーベイ)を行うことが好ましい。
【0003】
関連技術として、所定のシステムが構築される前に、該システムが構築されうる領域における通信状態を調査するサイトサーベイシステムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線ネットワークのリアルタイムサイトサーベイは、例えば、各ノードで定期的に電波強度等の無線環境の測定を行い、その測定結果をサーバに転送することで実現され得る。しかし、各ノードに実装される無線機器が無線環境の測定中にパケットを送信できない場合、パケット送信の機会が制限されることになる。すなわち、通信品質または通信効率が低下してしまう。また、無線ネットワーク内で異常動作が発生したときには、無線環境の測定結果をサーバに転送できないおそれがある。
【0006】
本発明の1つの側面に係わる目的は、無線ネットワークの通信品質または通信効率を低下させることなく、その無線ネットワークの通信エリア内の無線環境を常時モニタできるシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様の無線環境測定システムは、通信装置および前記通信装置を制御する通信制御装置を備える。この無線環境測定システムにおいて、前記通信装置は、前記無線環境測定システム以外の1または複数の他の無線通信システムにより行われる、第1の周波数チャネルを使用する通信についての無線環境を測定する第1の無線デバイスと、前記無線環境測定システムにおいて、前記第1の周波数チャネルとは異なる第2の周波数チャネルを使用して、前記無線環境の測定結果を前記通信制御装置に送信する第2の無線デバイスと、を備え、前記通信制御装置は、前記通信装置から送信される測定結果に基づいて、前記1または複数の他の無線通信システムの無線環境を表す無線環境情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述の態様によれば、無線ネットワークの通信品質または通信効率を低下させることなく、その無線ネットワークの通信エリア内の無線環境を常時モニタすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係わる無線環境測定システムの一例を示す図である。
【
図2】他の無線通信システムにより行われる対象周波数チャネルを使用する通信についての無線環境を測定する一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係わる通信制御装置および集約局の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係わる中継局および端末の一例を示す図である。
【
図5】周波数チャネルを管理する方法の一例を示す図である。
【
図6】周波数ホッピング方式で通信を行う処理の概要を示す図である。
【
図7】各アクセスポイントで検出される干渉の一例を示す図である。
【
図9】無線端末の配置およびメッシュの設定の一例を示す図である。
【
図10】電力推定点における電力を推定する方法の一例を示すフローチャート(その1)である。
【
図11】電力推定点における電力を推定する方法の一例を示すフローチャート(その2)である。
【
図12】無線環境測定システムで行われる統計情報収集処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【
図13】測定結果解析部により解析された解析結果および測定結果のグラフの一例を示す図である。
【
図14】測定結果解析部により解析された解析結果および測定結果のグラフの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係わる無線環境測定システムの一例を示す図である。実施形態の無線環境測定システム1は、
図1に示すように、通信制御装置10、集約局20、複数の中継局30(30-1~30-n)、複数の端末40(40-1~40-m)を備える。集約局20は、中継局30-1~30-nと同等の機能を有する。ただし、集約局20は、中継局30-1~30-nと通信制御装置10との間に実装され、ゲートウェイとして動作し得る。
【0011】
通信制御装置10と集約局20とは互いに通信可能に接続されている。ただし、集約局20の中に通信制御装置10の機能が実装されるようにしてもよい。中継局30-1~30-nは、他の中継局との間で無線信号を送信および受信することができる。すなわち、中継局30-1~30-nは、マルチホップネットワークの各ノード(以下、「マルチホップノード」という)として動作し得る。また、中継局30-1~30-nは、1または複数の端末40を収容することができ、無線アクセスポイントとして動作し得る。すなわち、中継局30-1~30-nは、端末40から出力される上りリンク信号を受信し、端末40へ下りリンク信号を送信する。各中継局30-1~30-nは、固有のMACアドレスが付与されている。以下、各中継局30-1~30-nを特に区別して説明しない場合には、「中継局30」という。また、各端末40-1~40-mを特に区別して説明しない場合には、「端末40」という。なお、通信制御装置10と集約局20とは、有線接続されてもよいし、無線接続されていてもよい。
【0012】
通信制御装置10は、集約局20、中継局30および端末40の通信を制御する。集約局20、中継局30および端末40は、指定された周波数チャネルで通信を行う。ただし、集約局20、中継局30および端末40は、指定されたホッピングパターンで周波数チャネルを切り替えながらパケットを伝送する周波数ホッピング方式で通信してもよい。周波数ホッピングにおいては、たとえば、100ms間隔でチャネルが切り替えられる。
【0013】
本実施形態の集約局20および中継局30は、本発明の通信装置に対応する。以下、集約局20および中継局30を特に区別して説明しない場合には、「アクセスポイントAP」という。
【0014】
<他の無線通信システム>
次に、
図2を参照して、無線環境測定システム1以外の他の無線通信システム100により行われる測定対象の周波数チャネル(以下、「対象周波数チャネル」と呼ぶ)を使用する通信について説明する。
図2は、無線環境測定システム1以外の他の無線通信システム100により行われる、対象周波数チャネルを使用する通信についての無線環境を測定する一例を示す図である。無線通信システム100内の外部アクセスポイント110-1~110-pで対象周波数チャネルを使用してパケットが送受信されている。解析対象点400は無線通信システム100内においてネットワーク管理者(またはユーザ)が解析対象として選択した点を示す。解析対象点400における解析については、後述する。
【0015】
この場合、他の無線通信システム100で使用している対象周波数チャネルの無線環境の測定結果を対象周波数チャネルと同じ周波数チャネルを使用して通信制御装置10へ送信したのでは、対象周波数チャネルの無線通信に影響を与えてしまうおそれがある。
【0016】
そこで本実施形態においては、各アクセスポイントAPは、対象周波数チャネルとは異なる通信用周波数チャネルを使用して、対象周波数チャネルの無線環境の測定結果を通信制御装置10に送信する。そして、無線環境の測定結果を受信した通信制御装置10は、各アクセスポイントAPから送信される測定結果に基づいて、他の無線通信システム100の無線環境を表すサイトサーベイ結果としてヒートマップ形式の無線環境情報を生成して表示する。これにより、無線環境の可視化が行われ、通信エリア内の無線環境を常時モニタすることができる。
【0017】
図3、
図4は、本発明の実施形態に係わる通信制御装置10、集約局20、中継局30および端末40の一例を示す図である。
【0018】
通信制御装置10は、インタフェース(IF)11、チャネル制御部12、メモリ13、測定結果解析部14、表示制御部15を備える。メモリ13には、使用可能チャネルリスト51、ブラックリスト52、使用候補チャネルリスト53が格納されている。なお、通信制御装置10は、
図3に示していない他の機能を備えていてもよい。また、メモリ13は、
図3に示していない他の情報を格納していてもよい。使用可能チャネルリスト51、ブラックリスト52、使用候補チャネルリスト53については、後述する。上述の実施形態においては、使用可能チャネルリスト51、ブラックリスト52、使用候補チャネルリスト53は、メモリ13に格納されているがこの限りではなく、たとえば、外部のデータサーバに格納してもよい。
【0019】
インタフェース(IF)11は、集約局20、中継局30、端末40により測定される測定結果を、集約局20から受信する。測定結果は、たとえば、集約局20や中継局30から送信されるレーダ検出報告(RRPT)、統計情報報告(SRPT)、CAC応答(CAC-ACK)、端末40から送信される統計情報報告(SRPT)等を表す。集約局20、中継局30、端末40から送信された測定結果は、メモリ13に格納される。
【0020】
チャネル制御部12は、無線ネットワーク内に実装される集約局20や中継局30から受信する通知に基づいて、
図5(b)に示すように使用を禁止する使用禁止周波数チャネルとして定められるブラックリスト52を定める。そして、チャネル制御部12は、
図5(a)に示す使用可能チャネルリスト51からブラックリスト52に定められた使用禁止周波数チャネルを除外することにより、
図5(c)に示す使用候補チャネルリスト53を定める。
【0021】
なお、無線環境測定システム1において通信用の周波数チャネルを周波数ホッピング方式で使用する場合には、チャネル制御部12は、使用候補チャネルリスト53に定められている使用候補チャネルの中からアクセスポイントAPが使用する所定数の使用周波数チャネルを定める。使用候補チャネルリスト53およびアクセスポイントAPが使用する所定数の使用周波数チャネルを定める方法については、後述する。
【0022】
集約局20や中継局30から受信する通知は、集約局20や中継局30の測定用デバイス22、32において測定されたチャネルの測定結果を含む。集約局20や中継局30において測定されたチャネルの測定結果には、レーダ検出報告(RRPT)、統計情報報告(SRPT)、CAC応答(CAC-ACK)等が含まれる。
【0023】
レーダ検出報告(RRPT)は、集約局20または中継局30から通信制御装置10へ送信される情報である。レーダ検出報告(RRPT)には、レーダが検出されたチャネルの情報が含まれる。統計情報報告(SRPT)は、集約局20、中継局30または端末40から通信制御装置10へ送信される情報である。統計情報報告(SRPT)には、チャネル毎のノイズレベル(NF:noise floor)や、チャネル毎のチャネル使用率の情報が含まれる。CAC応答(CAC-ACK)には、チャネル毎のレーダ検出の結果の情報が含まれる。
【0024】
チャネル制御部12は、使用候補チャネルリスト53に格納されている使用候補チャネルの中から、無線環境測定システム1において無線環境の測定結果を通知するための通信用周波数チャネルを定める。通信用周波数チャネルは、1または複数の他の無線通信システム100で使用している対象周波数チャネル以外の周波数チャネルから定める。なお、チャネル制御部12は、無線環境測定システム1において周波数ホッピング方式を使用する場合には、チャネル制御部12は、
図5(c)に示す使用候補チャネルリスト53の中から所定数の通信用周波数チャネルを定める。
【0025】
インタフェース(IF)11は、通信用周波数チャネルまたは対象周波数チャネルが更新されたときに、制御情報(BEACON_SET)を集約局20に送信する。インタフェース(IF)11が送信する制御情報(BEACON_SET)は、通信用周波数チャネルおよびブラックリスト52の情報を含む。また、インタフェース(IF)11は所定の時間毎に、SINDを集約局20へ送信する。SINDは、集約局20、中継局30および端末40に対し無線環境の測定(サイトサーベイ)の実施を指示するコマンドである。SINDは、対象周波数チャネルおよび測定周期の情報を含む。また、インタフェース(IF)11は所定の時間毎に、CAC-INDを集約局20へ送信する。CAC-INDは、集約局20および中継局30に対しCACの実施を指示するコマンドである。
【0026】
測定結果解析部14は、集約局20、中継局30、端末40から通知される統計情報報告(SRPT)またはレーダ検出報告(RRPT)に含まれる無線環境の測定結果を収集する。測定結果解析部14が収集する測定項目は、BSSID(アクセスポイントAPのMACアドレス)、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、NF(干渉、雑音電力)、平均CH使用率(CHの混雑度)、送信パケットサイズ、CRC-NG数、送信MCS、レーダ検出結果の情報のうち少なくとも一つを含む。BSSIDの指定により測定対象のアクセスポイントAPの測定だけでなく、干渉源と思われるアクセスポイントAPの測定も可能である。測定結果解析部14は、収集したRSSI、NF、平均CH使用率から無線環境を解析する。解析例については、後述する。測定結果解析部14は、MCSごとの送信パケットサイズからスループット、CRC-NG数から送信失敗数および到達率を算出し、無線環境測定システム1におけるネットワークのシステム容量を解析する。
【0027】
測定結果解析部14は、測定結果および測定結果の解析結果を測定エリアの傾向としてメモリ13に蓄積する。蓄積した測定結果および解析結果は、異常検出および異常予測に使用される。たとえば、CRC-NG数が過去の分布と比較して極端に増加した場合、測定結果解析部14は、そのエリアに異常が起きていることを検出する。また、異常検出および異常予測の判定には、各項目を使用した計数が用いられ、所定の閾値により判定される。表示制御部15は、異常検出および異常予測の検出結果をサイトサーベイ結果としてヒートマップ形式の画面としてディスプレイ等に表示する。これにより各測定項目がヒートマップ形式の画面として表示され、無線環境の可視化が行われる。
【0028】
測定結果解析部14は、電力推定点と送信ノードとなり得る無線通信装置との間の距離、および伝搬損失モデルに基づいて、その電力推定点における送信ノードに起因する電力を推定する。
【0029】
測定結果解析部14は、目的エリア内に配置されている複数の無線通信装置のうちから隠れ端末となり得る無線通信装置を抽出し、電力推定点と隠れ端末となり得る無線通信装置との間の距離、および伝搬損失モデルに基づいて、その電力推定点における隠れ端末に起因する干渉電力を推定する。
【0030】
集約局20は、インタフェース(IF)21、測定用デバイス22、通信用デバイス23を備える。なお、集約局20は、
図3に示していない他の機能を備えていてもよい。本実施形態の測定用デバイス22は、本発明の第1の無線デバイスに対応する。本実施形態の通信用デバイス23は、本発明の第2の無線デバイスに対応する。
【0031】
インタフェース(IF)21は、通信制御装置10から送信される通信用周波数チャネル、対象周波数チャネルおよびブラックリスト52の情報を含むネットワークの制御情報(BEACON_SET)を受信する。また、インタフェース(IF)21は、測定用デバイス22で検出したDFSの検出結果を含むレーダ検出報告(RRPT)、チャネル毎のノイズレベルや、チャネル毎のチャネル使用率の情報を含む統計情報報告(SRPT)を通信制御装置10へ通知する。
【0032】
測定用デバイス22は、送信器22a、受信器22bを備える。なお、測定用デバイス22は、
図3に示していない他の機能を備えていてもよい。
【0033】
測定用デバイス22の送信器22aは、本実施形態においては、特に通信を行わない。これにより、1または複数の他の無線通信システム100の周辺環境に影響を与えることなく運用中の他の無線通信システム100の無線環境を測定することができる。
【0034】
測定用デバイス22の受信器22bは、CAC部61、NF測定部62、CH使用率測定部63を備える。なお、測定用デバイス22は、
図3に示していない他の機能を備えていてもよい。
【0035】
CAC部61は、通信制御装置10からCAC-INDを受信すると、測定用デバイス22により他の無線通信システム100で使用している対象周波数チャネルにおいてレーダの存在をチェックするCACを実施する。
【0036】
NF測定部62は、他の無線通信システム100で使用している対象周波数チャネルのノイズレベルを測定する。CH使用率測定部63は、他の無線通信システム100で使用している対象周波数チャネルの使用率を測定する。NF測定部62によるノイズレベルの測定およびCH使用率測定部63による使用率の測定については後述する。
【0037】
通信用デバイス23は、通信制御装置10から送信される通信用周波数チャネルの情報を含む制御情報(BEACON_SET)に基づいて使用する通信用周波数チャネルを設定し、通信を行う。通信用デバイス23は、送信器23a、受信器23bを備える。なお、通信用デバイス23は、
図3に示していない他の機能を備えていてもよい。
【0038】
通信用デバイス23の送信器23aは、通信用周波数チャネルを使用して、通信制御装置10から送信される通信用周波数チャネル、対象周波数チャネルおよびブラックリスト52の情報を含むネットワークの基本情報(BEACON)を中継局30および/または端末40へ送信する。
【0039】
通信用デバイス23の受信器23bは、通信用周波数チャネルを使用して、中継局30および/または端末40により測定される測定結果を受信する。受信器23bは、通信用周波数チャネルを使用して、中継局30で検出したDFSの検出結果を含むレーダ検出報告(RRPT)、中継局30および/または端末40で測定したチャネル毎のノイズレベルや、チャネル毎のチャネル使用率の情報を含む統計情報報告(SRPT)を受信する。
【0040】
中継局30の構成および動作は、集約局20と実質的に同じである。すなわち、中継局30は、測定用デバイス32、通信用デバイス33を備える。なお、中継局30は、
図4に示していない他の機能を備えていてもよい。本実施形態の測定用デバイス32は、本発明の第1の無線デバイスに対応する。本実施形態の通信用デバイス33は、本発明の第2の無線デバイスに対応する。
【0041】
測定用デバイス32は、集約局20に実装される測定用デバイス22と実質的に同じである。すなわち、測定用デバイス32が備える送信器32aおよび受信器32bは、測定用デバイス22が備える送信器22aおよび受信器22bに対応する。また、通信用デバイス33は、集約局20に実装される通信用デバイス23と実質的に同じである。すなわち、通信用デバイス33が備える送信器33aおよび受信器33bは、通信用デバイス23が備える送信器23aおよび受信器23bに対応する。
【0042】
端末40は、測定用デバイス42、通信用デバイス43を備える。なお、端末40は、
図4に示していない他の機能を備えていてもよい。本実施形態の測定用デバイス42は、本発明の第1の無線デバイスに対応する。本実施形態の通信用デバイス43は、本発明の第2の無線デバイスに対応する。
【0043】
測定用デバイス42は、集約局20に実装される測定用デバイス22と実質的に同じである。すなわち、測定用デバイス42が備える送信器42aおよび受信器42bは、測定用デバイス22が備える送信器22aおよび受信器22bに対応する。ただし、測定用デバイス42は、レーダ検知を実行しない。また、通信用デバイス43は、集約局20に実装される通信用デバイス23と実質的に同じである。すなわち、通信用デバイス43が備える送信器43aおよび受信器43bは、通信用デバイス23が備える送信器23aおよび受信器23bに対応する。
【0044】
図5を参照して、メモリ13に格納されている各種チャネルの情報について説明する。
図5は、通信制御装置10のメモリ13に格納されている各種チャネルの情報の一例を示す図である。
図5(a)は、予め指定されている複数の無線LANの使用可能チャネルリスト51の一例を示す図である。
【0045】
使用可能チャネルリスト51には、予め指定されている複数の無線LANの使用可能チャネルの情報が格納されている。
図5(a)に示す例では、5GHz帯を帯域幅20MHzで使用する場合、W52、W53、W56に設定される19個の周波数チャネルが使用可能チャネルとなる。ただし、本発明の実施形態は、
図5(a)に示す実施例に限定されるものではない。たとえば、19個のチャネルのうち、所定のチャネルのみを予め指定されている複数の無線LANの使用可能チャネルとして選択してもよい。
【0046】
図5(b)は、ブラックリスト52の一例を示す図である。ブラックリスト52には、集約局20、中継局30においてレーダが検出されたチャネルの情報および集約局20、中継局30、端末40で測定された干渉や雑音が大きいチャネルの情報の論理和の情報が格納されている。ブラックリスト52は、論理式内ではチャネルの情報はビットフラグで表現される。
図5(b)の例では、ブラックリスト52は、36CH、60CH、64CHにおいて、レーダ検知、NFが所定の閾値より高い状態、または、平均チャネル使用率が所定の閾値より高い状態のうち何れかが発生した状態を表している。
【0047】
図5(c)は、使用候補チャネルリスト53の一例を示す図である。使用候補チャネルリストは、
図5(a)の使用可能チャネルリストに指定されている複数の使用可能周波数チャネルの中で使用候補となる使用候補周波数チャネルの情報が格納される。使用候補チャネルリスト53は、使用可能チャネルリスト51からブラックリスト52に記録されているチャネルを除外することで得られる。
【0048】
次に、
図6を参照して本発明の実施形態に係わる無線環境測定システム1において周波数ホッピング方式で通信を行う処理の概要について説明する。周波数ホッピング方式においては、送受信する周波数チャネルがフレーム単位で切り替えられる。
図6(a)の例では、3つの周波数チャネル(ch.A、ch.B、ch.C)をフレーム単位で切り替えながら周波数ホッピング方式により通信が行われている。本実施形態においては、3つの周波数チャネルをフレーム単位で切り替える例について説明しているが、チャネル数は特に限定しない。各アクセスポイントAPは、通信制御装置10から送信される制御情報(BEACON_SET)に記載されるチャネルをサイクリックに使用する。
図6(a)の例では、3つの周波数チャネルが100ms毎に切り替えられている。
【0049】
集約局20は、少なくとも1フレーム内に1回中継局30にネットワークの基本情報(BEACON)を送信する。基本情報(BEACON)には、更新後の周波数チャネルの情報と、更新後の周波数チャネルを使用する通信を開始するタイミングを表す情報が含まれる。更新後の周波数チャネルを使用する通信を開始するタイミングは、更新タイマで表される。
【0050】
更新タイマは、周波数チャネルを更新するタイミングを示す。更新タイマの初期値は、通信制御装置10により設定される。たとえば、更新タイマとして「5」が設定されている場合、5フレーム後に無線環境測定システム1全体で使用周波数チャネルが更新される。したがって、更新タイマの初期値は、無線環境測定システム1の規模や通信状況によって決定することが好ましい。
【0051】
更新タイマは、1フレーム時間が経過するごとに、1ずつデクリメントされる。よって、中継局30や端末40は、更新タイマの値が「0」になるまでに、1度でもBEACONを受信することができれば、周波数ホッピングで使用する周波数チャネルの更新を認識できる。したがって、更新タイマの初期値が大きいほど、無線環境測定システム1で使用される使用周波数チャネルの更新失敗の可能性を低減することができる。
【0052】
次に、
図6(b)を参照して、レーダが検出された場合に周波数チャネルを更新する処理について説明する。
図6(b)では、時刻(a)において、周波数ホッピング方式で使用する使用周波数チャネルとしてch.A、ch.B、ch.Cが記録されている場合について説明する。
【0053】
たとえば、時刻(b)において、アクセスポイントAPがレーダを検出すると、アクセスポイントAPは、レーダ検出したチャネルを停波する。
図6(b)の例では、ch.Aにおいてレーダを検出したため、アクセスポイントAPは、ch.Aを停波する。時刻(c)以降は、アクセスポイントAPは、残りの指定された使用周波数チャネルch.B、ch.Cを使用して周波数ホッピング方式で通信を継続する。すなわち、チャネルch.B、ch.Cを使用する周波数ホッピングにより、通信が継続される。
【0054】
図6(b)の例では、次のフレームで通信を再開するまで、集約局20、中継局30は最大で2回BEACONを送信することができないが、一般的に数回のBEACONの受信失敗は許容されるため、IEEE 802.11接続は維持される。レーダを検出したアクセスポイントAPは、通信が再開されるとレーダ検出報告(RRPT)により通信制御装置10へレーダを検出したことを報告する。なお、アクセスポイントAPのうち集約局20がレーダを検出した場合には、有線で即座に通信制御装置10へレーダ検出報告(RRPT)によりレーダを検出したことを報告する。
【0055】
通信制御装置10は、アクセスポイントAPから受信したレーダ検出報告(RRPT)に基づいてブラックリスト52を更新する。そして、通信制御装置10は、更新されたブラックリスト52に基づいて周波数ホッピングで使用する使用周波数チャネルを更新する。その後、通信制御装置10は、周波数ホッピングで使用する使用周波数チャネルの情報を制御情報(BEACON_SET)として集約局20へ送信して周波数ホッピングで使用する使用周波数チャネルを指示する。制御情報(BEACON_SET)を受信した集約局20は、周波数ホッピングで使用する使用周波数チャネルの情報をネットワークの基本情報(BEACON)として中継局30へ送信して周波数ホッピングで使用する使用周波数チャネルを指示する。同様に、ネットワークの基本情報(BEACON)を受信した中継局30は、受信した基本情報(BEACON)を端末へ送信して周波数ホッピングで使用する使用周波数チャネルを指示する。したがって、集約局20、中継局30および端末40は、通信制御装置10から送信された制御情報(BEACON_SET)に含まれる周波数ホッピングで使用する使用周波数チャネルで通信を行うよう制御する。
【0056】
このようにして、無線環境測定システム1内の使用周波数チャネルが同期され、IEEE 802.11接続断が生じないよう制御される。なお、レーダが検出されない状態が30分継続すると、ブラックリスト52のうち、レーダが検出されたことに起因して格納された情報がクリアされる。
【0057】
ここで、
図6(b)を参照して周波数チャネルの変更の一例について説明する。以下の記載では、時刻(a)以前は、周波数チャネルch.A、B、Cを使用して周波数ホッピング通信が行われていたものとする。
【0058】
時刻(b)において周波数チャネルch.Aでレーダが検出されると、この検出結果が通信制御装置10に通知される。そうすると、通信制御装置10は、周波数ホッピング通信で使用する周波数チャネルを更新する。具体的には、「ch.A、B、C」から「ch.D、B、C」に更新される。
【0059】
続いて、時刻(c)において、更新後の周波数チャネルを報知するためのBEACONが送信される。このBEACONは、下記の情報を含む。
(1)使用周波数チャネル:D、B、C
(2)使用禁止チャネル:A
(3)更新タイマ:5
【0060】
新たな周波数チャネルch.Dは、使用可能な周波数チャネルの中から選択される。すなわち、雑音が閾値レベルよりも低く、且つ、平均使用率が閾値よりも低く、且つ、過去30分以内にレーダが検出されていない周波数チャネルの新たな周波数チャネルが選択される。なお、使用可能な周波数チャネルは、通信制御装置10において使用可能チャネルリスト51、ブラックリスト52を利用して管理されている。
【0061】
このBEACONは、各中継局30および各端末40に送信される。ただし、この時点では、更新タイマはゼロではない。この更新タイマは、1フレーム時間が経過するごとに、1ずつデクリメントされる。よって、更新タイマは、時刻(c)から5フレームが送信された時刻(すなわち、時刻(d))において満了する。
【0062】
各中継局30および各端末40は、更新タイマが満了するまで、更新前の周波数(周波数チャネルch.Aを除く)で周波数ホッピング通信を行う。すなわち、時刻(c)~時刻(d)においては、周波数チャネルch.B、Cで通信が行われる。
【0063】
時刻(d)以降、各中継局30および各端末40は、更新後の周波数チャネルを使用して周波数ホッピング通信を行う。すなわち、周波数チャネルch.D、B、Cで通信が行われる。
【0064】
このように、周波数ホッピングにおいて使用中の周波数チャネルの一部が使用できなくなったときは、新たな周波数チャネルが選択される。ここで、新たな周波数チャネルは、雑音が閾値レベルよりも低く、且つ、平均使用率が閾値よりも低く、且つ、過去30分以内にレーダが検出されていないことが前もって確認されている。したがって、周波数ホッピング通信を継続することができる。
【0065】
また、更新後の周波数チャネルは、BEACONにより前もって各中継局30および各端末40に通知されている。すなわち、中継局30および端末40は、更新後の周波数チャネルを予め認識できるので、更新後の周波数チャネルで送信されるBEACONを待ち受けることができる。よって、中継局30および端末40は、802.11接続を維持できるので、IEEE 802.11接続を再設定する必要はない。
【0066】
次に、
図7を参照して、無線環境測定システム1の周辺に他の無線通信システム100が存在している場合に、各アクセスポイントAPで検出される干渉について説明する。
図7は、各アクセスポイントAPで検出される干渉の一例を示す図である。無線環境測定システム1の周辺に他の無線通信システム100が存在している場合、無線通信システム100内の外部アクセスポイント110と、外部端末120-1~120-4とで送受信されているパケットが集約局20や中継局30において干渉として測定される。
【0067】
集約局20や中継局30は、測定した測定結果を統計情報報告(SRPT)のNFやチャネル使用率として通信制御装置10へ報告する。通信制御装置10は、干渉が大きいチャネルをブラックリスト52へ記録することで、干渉が大きいチャネルの情報をチャネル制御部12が選択する周波数チャネルから除外する。
【0068】
ブラックリスト52に情報を記録する際の条件は特に限定しないが、集約局20や中継局30から通知されるNFの最大値を所定の閾値により判定する方法(判定条件1)や、集約局20や中継局30から通知されるチャネル使用率の最大値を所定の閾値により判定する方法(判定条件2)、判定条件1と判定条件2の論理和により判定する方法(判定条件3)、等により判定することができる。使用周波数チャネルにおいて干渉判定がされた場合、レーダ検出時と同様に、集約局20や中継局30は、通信制御装置10へ干渉が検出されたことを統計情報報告(SRPT)により報告する。
【0069】
通信制御装置10は、集約局20や中継局30から受信した統計情報報告(SRPT)に基づいてブラックリスト52を更新する。そして、通信制御装置10は、更新されたブラックリスト52に基づいて使用する使用周波数チャネルを更新してもよい。その後、通信制御装置10は、使用周波数チャネルの情報を制御情報(BEACON_SET)として集約局20へ送信する。制御情報(BEACON_SET)を受信した集約局20は、制御情報(BEACON_SET)に含まれる使用周波数チャネルで通信を行うよう制御する。
【0070】
また、集約局20は、制御情報(BEACON_SET)に含まれる使用周波数チャネルの情報を基本情報(BEACON)として中継局30へ送信する。同様に、中継局30は、集約局20から送信された基本情報(BEACON)を、中継局30を介して端末40へ送信する。基本情報(BEACON)を受信した中継局30および端末40は、基本情報(BEACON)に含まれる使用周波数チャネルで通信を行うよう制御する。これにより、通信制御装置10、集約局20、中継局30および端末40は互いに同期する。なお、ブラックリスト52に格納したチャネルの情報は、当該チャネルの干渉レベルが閾値以下に低下するまで保持される。
【0071】
<隠れ端末の判定>
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)が採用される無線LANでは、送信端末は、データ送信を開始する前に、無線リソースが他の端末により使用されているか否かを確認する。このとき、キャリアセンスにより検出される受信電力(例えば、RSSI)が所定の閾値を超えていれば、送信端末は、無線リソースが他の端末により使用されていると判定できるので、データ送信を開始しない。すなわち、衝突は回避される。なお、以下の記載では、この閾値を「ビジー検出閾値」と呼ぶことがある。
【0072】
無線通信装置がキャリアセンスを行ったときに、ある信号源から受信する信号の電力がビジー検出閾値を超えていれば、その無線通信装置は、その信号源を「隣接ノード」と判定する。すなわち、その信号源は「隠れ端末」とは判定されない。一方、ある信号源から受信する信号の電力が、ビジー検出閾値と比較して十分に小さい所定の閾値(以下、「受信検出閾値」と呼ぶことがある。)よりも小さいときは、他の信号との間で実質的に干渉が発生しないと考えられる。すなわち、受信信号の電力が受信検出閾値よりも小さいケースでは、その信号源を隠れ端末と考える必要はない。したがって、この実施例では、これらの要因を考慮し、ある信号源から受信する信号の電力が、受信検出閾値以上であり、且つ、ビジー検出閾値よりも小さいときに、測定結果解析部14は、その信号源を「隠れ端末となり得る無線通信装置」と判定する。
【0073】
図8は、隠れ端末判定の一例を示す。
図8に示す実施例において、M1およびM2は、それぞれ5GHz帯および2.4GHz帯のキャリアを使用する無線LANにおける伝搬損失モデルを表す。
【0074】
この実施例では、各無線通信装置の送信電力は一定であり、既知であるものとする。そうすると、送信ノードと受信ノードとの間の距離を伝搬損失モデルに与えれば、送信ノードと受信ノードとの間の伝搬損失が算出され、受信ノードにおける受信電力が一意に算出される。そして、算出された受信電力が「受信検出閾値以上であり、且つ、ビジー検出閾値よりも小さいか否か」をチェックすれば、それら1組のノードが互いに「隠れ端末」となり得るか否かが判定される。すなわち、信号の送信電力が既知であるものとすると、伝搬損失と受信電力とが一意に対応するので、送信ノードと受信ノードとの間の距離を求めれば、それら1組のノードが互いに「隠れ端末」となり得るか否かが判定される。たとえば、
図8に示す2.4GHz帯の無線LANでは、ノード間の距離が約15m以上であり、且つ、約40mよりも小さいときに、それら1組のノードが互いに「隠れ端末」であると判定される。
【0075】
<電力推定点における電力の推定>
電力推定点における電力の推定においては、無線環境測定システム1を表すデータ上で目的エリア内に複数の無線端末が配置される。各無線端末の位置は、例えば、ネットワーク管理者またはユーザから測定結果解析部14に与えられる端末配置情報により指定される。なお、無線環境測定システム1に実際に実装されている各アクセスポイントAPの位置は、予め登録されているものとする。
【0076】
また、測定結果解析部14は、無線環境測定システム1を表すデータ上で、目的エリアの全域にわたって、電力を推定する位置を指定するためのメッシュを設定する。電力推定点は、例えば、目的エリアに対して設定されるメッシュの各交点に相当する。
【0077】
図9は、無線端末の配置およびメッシュの設定の一例を示す。Rは、無線環境測定システム1に実際に実装されているアクセスポイントAPの位置を表す。Sは、端末配置情報により配置される無線端末の位置を表す。
図9に示す例では、目的エリア内に8個の無線端末3a~3hが配置されている。破線は、メッシュを表す。メッシュの間隔は、例えば、ネットワーク管理者またはユーザにより指定される。そして、このメッシュの交点が、干渉電力の推定が行われる電力推定点に相当する。
図9に示す例では、このメッシュによりm×k個の電力推定点が設定されている。そして、測定結果解析部14は、m×k個の電力推定点それぞれにおいて、送信ノードに起因する電力と隠れ端末に起因する干渉電力を後述する方法で推定する。
【0078】
図10~
図11は、電力推定点における電力を推定する方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下の記載では、説明を簡単にするために、各無線通信装置の送信電力は一定であり、既知であるものとする。
【0079】
測定結果解析部14は、無線環境測定システム1を表すデータ上で、目的エリアの全域にわたってメッシュを設定する(ステップS21)。すなわち、目的エリア内に複数の電力推定点が設定される。この後、測定結果解析部14は、S22~S35において、送信ノードに起因する電力の推定と隠れ端末を抽出する処理を実行する。
【0080】
測定結果解析部14は、目的エリア内に実装または配置されている無線通信装置の位置を特定する(ステップS22)。「無線通信装置」は、無線環境測定システム1に実際に実装されている集約局20、中継局30、端末40および無線環境測定システム1を表すデータ上に配置されている無線端末を含む。
【0081】
測定結果解析部14は、全無線通信装置のうちの1つを送信ノードとして選択する(ステップS23)。測定結果解析部14は、全無線通信装置のうちの1つを受信ノードとして選択する(ステップS24)。ただし、送信ノードおよび受信ノードは、互いに異なるものとする。
【0082】
測定結果解析部14は、ステップS23で選択した送信ノードとステップS24で選択した受信ノードとの間の距離を算出する(ステップS25)。測定結果解析部14は、ステップS25で算出した距離を伝搬損失モデルに与えることにより、2つのノード間の伝搬損失を算出する(ステップS26)。
【0083】
なお、この実施例では、各無線通信装置の送信電力は一定かつ既知であるものとしているが、測定結果解析部14は、各無線通信装置の送信電力を推定してもよい。例えば、ステップS23で選択された送信ノードがアクセスポイントAPであるときは、測定結果解析部14は、このアクセスポイントAPの送信電力を推定してもよい。たとえば、測定結果解析部14は、先に作成されている伝搬損失モデルを利用して、メモリ13に格納されている測定データからアクセスポイントAPの送信電力を逆算できる(ステップS27)。この送信電力は、ステップS34においてRSSIを算出する際に利用してもよい。
【0084】
測定結果解析部14は、目的エリアに設定されている複数の電力推定点のうちの1つを選択する(ステップS28)。測定結果解析部14は、ステップS28で選択した電力推定点とステップS23で測定結果解析部14により選択された送信ノードとの間の距離を算出する(ステップS29)。測定結果解析部14は、ステップS29で算出した距離を伝搬損失モデルに与えることにより、送信ノードと電力推定点との間の伝搬損失を算出する(ステップS30)。そして、測定結果解析部14は、ステップS30で算出した伝搬損失を利用して、送信ノードから所定の電力で信号が送信されたときに電力推定点で検出されるRSSI、すなわち送信ノードに起因する電力を推定する(ステップS31)。なお、送信ノードがアクセスポイントAPであるときは、測定結果解析部14は、ステップS27で推定した送信電力およびステップS30で算出した伝搬損失を利用してRSSIを推定してもよい。
【0085】
測定結果解析部14は、ステップS31で算出したRSSIが、受信検出閾値以上であり、且つ、ビジー検出閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS32)。そして、RSSIがこの範囲内であるときは(ステップS32のYES)、測定結果解析部14は、送信ノードから送信される信号が干渉を引き起こすと判定する。この場合、測定結果解析部14は、隠れ端末に起因する干渉電力の推定処理として、干渉パラメータを更新する(ステップS33)。具体的には、測定結果解析部14は、ステップS28で選択した電力推定点について先に算出されている干渉パラメータに、ステップS31で新たに算出したRSSIを加算する。この結果、ステップS28で選択した電力推定点について、干渉パラメータの累積値が得られる。なお、干渉パラメータは、この実施例では、RSSI(または、RSSIに基づいて生成される所定の指標)である。また、干渉パラメータの初期値はゼロである。なお、RSSIが上述した範囲外であるときは(ステップS32のNO)、ステップS33はスキップされる。
【0086】
測定結果解析部14は、ステップS29~S33の処理が実行されていない電力推定点が残っているか判定する(ステップS34)。そのような電力推定点が残っているときは(ステップS34のYES)、測定結果解析部14の処理はステップS28に戻る。この場合、次の電力推定点に対してステップS29~S33の処理が実行される。そして、すべての電力推定点に対してステップS29~S33の処理が実行されると、測定結果解析部14の処理はステップS35に進む。
【0087】
ステップS35は、測定結果解析部14がすべての無線通信装置を1つずつ順番に受信ノードとして選択するために設けられている。また、ステップS36は、測定結果解析部14がすべての無線通信装置を1つずつ順番に送信ノードとして選択するために設けられている。即ち、測定結果解析部14は、目的エリア内に実装または配置される無線通信装置から選択されるすべての組合せ(送信ノードおよび受信ノード)について、それぞれ、送信ノードに起因する電力の推定とそれらのノードが隠れ端末であるか否かの判定を、すべての電力推定点それぞれにおいて実行する。そして、隠れ端末が抽出されたときは、測定結果解析部14は、その送信ノードから送信される信号による干渉パラメータを更新する。
【0088】
図12は、無線環境測定システム1で行われる統計情報収集処理の一例を示すシーケンスチャートである。
【0089】
集約局20は、無線環境測定の初期スキャンを行う(ステップS51)。すなわち、集約局20は、各周波数チャネルの無線環境を測定する。このとき、例えば、各周波数チャネルについて、ノイズレベル(NF)、平均チャネル使用率などが測定される。そして、集約局20は、統計情報報告(SRPT)を作成して通信制御装置10へ通知する(ステップS52)。
【0090】
通信制御装置10は、受信した統計情報報告に基づいて、ブラックリスト52および使用候補チャネルリスト53を更新する。そして、チャネル制御部12は、使用候補チャネルリスト53に記録されている使用候補チャネルの中から、無線環境の測定結果の通信用の通信用周波数チャネルを定める。このとき、チャネル制御部12は、通信用周波数チャネルとして、対象周波数チャネルとは異なる周波数チャネルを選択する。通信制御装置10は、定めた通信用周波数チャネルの情報を含む制御情報(BEACON_SET)を集約局20へ通知する(ステップS53)。統計情報報告(SRPT)の通信に使用する通信用周波数チャネルの通知を受けた集約局20は、ステップS53で通知された通信用周波数チャネルの情報を含む制御情報(BEACON)を中継局30へ通知する(ステップS54)。統計情報報告(SRPT)の通信に使用する通信用周波数チャネルの通知を受けた中継局30は、ステップS54で通知された通信用周波数チャネルの情報を含む制御情報(BEACON)を端末40へ通知する(ステップS55)。すなわち、S53~S55において、使用候補チャネルリスト53から選択される通信用周波数チャネルを指定する情報が集約局20、各中継局30、各端末40に通知される。
【0091】
通信制御装置10は、無線環境の測定を行う対象周波数チャネルの情報を含むサイトサーベイ指示(SIND)を集約局20へ通知する(ステップS56)。対象周波数チャネルは、例えば、他の無線通信システム100でパケット通信を行うために使用される周波数チャネルに相当する。集約局20は、ステップS56で通知された対象周波数チャネルの情報を含むサイトサーベイ指示(SIND)を中継局30へ通知する(ステップS57)。中継局30は、ステップS57で通知された対象周波数チャネルの情報を含むサイトサーベイ指示(SIND)を端末40へ通知する(ステップS58)。すなわち、S56~S58において、対象周波数チャネルを指定する情報が集約局20、各中継局30、各端末40に通知される。
【0092】
サイトサーベイ指示(SIND)を受けた端末40は、測定用デバイス42を用いて、ステップS58で通知された対象周波数チャネルについて無線環境の測定を行う(ステップS59)。この処理では、端末40の測定用デバイス42のNF測定部82は、通知された対象周波数チャネルのノイズレベル(NF)を測定する。端末40の測定用デバイス42のCH使用率測定部83は通知された対象周波数チャネルの平均チャネル使用率を測定する。また、測定用デバイス42は、無線信号の送信元、パケットサイズ、受信電力(RSSI)、無線信号の変調方式および符号、送信失敗数の少なくとも1つを測定または検出する。
【0093】
端末40は、S59における測定または検出の結果を表す統計情報報告(SRPT)を作成して中継局30へ通知する(ステップS60)。このとき、端末40は、通信用デバイス43を用いて、S55で通知された通信用周波数チャネルで統計情報報告(SRPT)を送信する。
【0094】
統計情報報告(SRPT)を受信した中継局30は、その統計情報報告(SRPT)を集約局20へ通知する(ステップS61)。このとき、中継局40は、通信用デバイス33を用いて、S54で通知された通信用周波数チャネルで統計情報報告(SRPT)を送信する。統計情報報告(SRPT)を受信した集約局20は、その統計情報報告(SRPT)を通信制御装置10へ通知する(ステップS62)。このとき、集約局20は、インタフェース(IF)21を介して統計情報報告(SRPT)を送信する。
【0095】
サイトサーベイ指示(SIND)を受けた中継局30は、測定用デバイス32を用いて、ステップS57で通知された対象周波数チャネルについて無線環境の測定を行う(ステップS63)。この処理では、中継局30の測定用デバイス32のNF測定部72は、通知された対象周波数チャネルのノイズレベル(NF)を測定する。中継局30の測定用デバイス32のCH使用率測定部73は、通知された対象周波数チャネルの平均チャネル使用率を測定する。また、測定用デバイス32は、無線信号の送信元、パケットサイズ、受信電力(RSSI)、無線信号の変調方式および符号、送信失敗数の少なくとも1つを測定または検出する。
【0096】
中継局30は、S63における測定または検出の結果を表す統計情報報告(SRPT)を作成して集約局20へ通知する(ステップS64)。このとき、中継局30は、通信用デバイス33を用いて、S54で通知された通信用周波数チャネルで統計情報報告(SRPT)を送信する。
【0097】
統計情報報告(SRPT)を受信した集約局20は、その統計情報報告(SRPT)を通信制御装置10へ通知する(ステップS65)。このとき、集約局20は、インタフェース(IF)21を介して統計情報報告(SRPT)を送信する。
【0098】
サイトサーベイ指示(SIND)を受けた集約局20は、測定用デバイス22を用いて、ステップS56で通知された対象周波数チャネルについて無線環境の測定を行う(ステップS66)。この処理では、集約局20の測定用デバイス22のNF測定部62は、通知された対象周波数チャネルのノイズレベル(NF)を測定する。集約局20の測定用デバイス22のCH使用率測定部63は、通知された対象周波数チャネルの平均チャネル使用率を測定する。また、測定用デバイス22は、無線信号の送信元、パケットサイズ、受信電力(RSSI)、無線信号の変調方式および符号、送信失敗数の少なくとも1つを測定または検出する。
【0099】
集約局20は、S66における測定または検出の結果を表す統計情報報告(SRPT)を通信制御装置10へ通知する(ステップS67)。このとき、集約局20は、インタフェース(IF)21を介して統計情報報告(SRPT)を送信する。
【0100】
通信制御装置10は、収集した測定結果を元にネットワーク解析を実施する。たとえば、RSSI、NF、CH使用率に基づいて問題解析の切り分けを行うことができる。問題解析の一例としてたとえば、測定対象の無線通信システムの要因なのか、或いは、それ以外の無線通信システムの要因なのかを判断することができる。
【0101】
このように、各通信装置(集約局20、中継局30、端末40)は、測定用デバイスおよび通信用デバイスを備える。そして、各通信装置は、測定用デバイスを用いて対象周波数チャネルについて無線環境を測定し、通信用デバイスを用いて測定結果を通信制御装置10に通知する。よって、無線ネットワークのリアルタイムサイトサーベイにおいて、各通信装置は、無線環境の測定を行いながら、その測定結果を通信制御装置10に通知できる。すなわち、通信品質または通信効率が低下することはない。
【0102】
また、無線ネットワークのリアルタイムサイトサーベイにおいては、
図12に示すシーケンス(主に、S53~S67)が所定の周期で繰り返し実行される。そうすると、通信制御装置10は、各測定時刻における無線環境情報を時系列に保存する。よって、通信制御装置10は、指定された時刻における無線通信システム100の無線環境情報を出力できる。また、通信制御装置10は、無線通信システム100の無線環境の時間変化を表す無線環境情報を出力できる。
【0103】
さらに、通信制御装置10は、各通信装置から取得する測定結果に基づいてブラックリスト52および使用候補チャネルリスト53を更新してもよい。この場合、各通信装置は、対象周波数チャネルだけでなく、すべての周波数チャネルの無線環境を測定して通信制御装置10に通知する。そして、使用中の通信用周波数チャネルの無線環境が悪くなったときには、通信制御装置10は、通信用周波数チャネルを切り替えることができる。このとき、通信制御装置10は、通信用周波数チャネル通知(S53~S55)を利用して、各通信装置に新たな通信用周波数チャネルを通知する。そして、各通信装置は、新たな通信用周波数チャネルを利用して測定結果を通信制御装置10に通知する。したがって、無線環境が変化した場合であっても、通信制御装置10は、各通信装置から測定結果を収集でき、無線通信システム100の無線環境を安定的にモニタできる。
【0104】
加えて、通信制御装置10は、使用中の通信用周波数チャネルの無線環境が悪くなりそうなときは、実際に無線環境が悪くなる前に通信用周波数チャネルを切り替えてもよい。この場合、各通信装置は、所定の周期で、対象周波数チャネルだけでなく、通信用周波数チャネルの無線環境を測定する。また、通信制御装置10は、各通信装置から定期的に取得する測定結果の時間変化に基づいて通信用周波数チャネルを切替えの要否を判定する。例えば、使用中の通信用周波数チャネルの干渉レベルまたはノイズレベルが所定の閾値レベルに近づいているときには、通信制御装置10は、実際に無線環境が悪くなる前に通信用周波数チャネルを切り替える。この手順を採用すれば、通信制御装置10は、各通信装置の測定結果を確実に取得できる。
【0105】
図13は、
図2に示す他の無線通信システム100の構成例のうち、ネットワーク管理者(またはユーザ)が選択した解析対象点400における、通信制御装置10の測定結果解析部14により解析された解析結果および測定結果のグラフの一例を示す図である。
図13のグラフでは、横軸は時間を示し、縦軸は、RSSI,NF[dBm]またはCH使用率を示す。破線201は、RSSIの値、1点鎖線202は、CH使用率の値、2点鎖線203は、NFの値を示す。
【0106】
測定結果解析部14は、無線環境の解析結果および測定結果を単位時間ごとにプロットすることで、時間変化を表す無線環境情報を可視化したグラフを生成する。
図13のグラフを見たネットワーク管理者は、たとえば、時間T1において、RSSIが低下しているので、障害物等により無線通信が遮断されたことを把握することができる。また、時間T2において、NFおよびCH使用率が上がっているので、ネットワーク管理者は、測定対象の無線通信システム以外の無線通信システムからの干渉を受けていることを把握することができる。また、時間T3において、CH使用率が上がっているので、ネットワーク管理者は、測定対象の無線通信システム内で干渉を受けていることを把握することができる。
【0107】
また、測定結果解析部14は、
図2に示す他の無線通信システム100の構成例において、時間T1、T2、T3のような事象が発生した場合には、事象が発生したエリアを報知してもよい。たとえば、測定結果解析部14は、報知するエリアを点滅したり、別の色で表示してもよい。
【0108】
図14は、
図2に示す他の無線通信システム100のうち、ネットワーク管理者(またはユーザ)が選択した解析対象点400における、通信制御装置10の測定結果解析部14により解析された解析結果および測定結果のグラフの一例を示す図である。
【0109】
凡例501は、測定対象の無線通信システム100のCH占有率を示す。凡例502、503は、それぞれ、測定対象の無線通信システム100以外の無線通信システムのCH占有率を示す。凡例504は、未使用のCH占有率を示す。CH占有率は、(1)式で表される。
【0110】
CH占有率=Σ(データフレーム長[秒]+ACK送信待機間隔[秒]
+ACKフレーム長[秒])/集計間隔[秒] ・・・(1)
【0111】
ネットワーク管理者は、可視化したい解析対象点を選択(クリック操作)するだけで、何れの無線通信システムが障害となる原因の要因となっているかを分析することができる。
【0112】
以上のように、本実施形態の無線環境測定システム1によれば、測定用デバイス22、測定用デバイス32、測定用デバイス42は、測定対象の無線通信システム100により行われる、対象周波数チャネルを使用する通信についての無線環境を測定する。通信用デバイス23、通信用デバイス33、通信用デバイス43は、対象周波数チャネルとは異なる通信用周波数チャネルを使用して、無線環境の測定結果を通信制御装置10に送信する。そして、通信制御装置10は、各アクセスポイントAPから送信される測定結果に基づいて、測定対象の無線通信システム100の無線環境を表す無線環境情報を生成する。
【0113】
したがって、測定対象の無線通信システム100が運用中であっても、測定対象の無線通信システム100の無線環境に影響を与えずに無線環境の測定結果を収集することができる。これにより、無線ネットワークの通信品質または通信効率を低下させることなく、その無線ネットワークの通信エリア内の無線環境を常時モニタできる。
【0114】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0115】
1 無線環境測定システム
10 通信制御装置
11 インタフェース(IF)
12 チャネル制御部
13 メモリ
14 測定結果解析部
15 表示制御部
20 集約局
21 インタフェース(IF)
22 測定用デバイス
22a 送信器
22b 受信器
23 通信用デバイス
23a 送信器
23b 受信器
30 中継局
32 測定用デバイス
32a 送信器
32b 受信器
33 通信用デバイス
33a 送信器
33b 受信器
40 端末
42 測定用デバイス
42a 送信器
42b 受信器
43 通信用デバイス
43a 送信器
43b 受信器
51 使用可能チャネルリスト
52 ブラックリスト
53 使用候補チャネルリスト
61 CAC部
62 NF測定部
63 CH使用率測定部
71 CAC部
72 NF測定部
73 CH使用率測定部
82 NF測定部
83 CH使用率測定部
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