(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】建設用外装材
(51)【国際特許分類】
E04F 13/14 20060101AFI20221006BHJP
C04B 41/89 20060101ALI20221006BHJP
C04B 41/86 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E04F13/14 103C
C04B41/89 D
C04B41/86 D
(21)【出願番号】P 2018126075
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】301042686
【氏名又は名称】株式会社三菱地所設計
(73)【特許権者】
【識別番号】506114791
【氏名又は名称】株式会社エクシィズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐能 慎也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 恭幸
(72)【発明者】
【氏名】永井 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】南 祐太
(72)【発明者】
【氏名】加部 佳治
(72)【発明者】
【氏名】小岩 ほのか
(72)【発明者】
【氏名】大浦 匡博
(72)【発明者】
【氏名】松井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 新也
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-052522(JP,A)
【文献】特開2011-137342(JP,A)
【文献】特開平07-144981(JP,A)
【文献】特開2012-162926(JP,A)
【文献】特開2011-111857(JP,A)
【文献】特開昭57-051185(JP,A)
【文献】特表平03-505433(JP,A)
【文献】実開昭52-088230(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/86
E04F 13/08
E04F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設用外装材であって、
当該建設用外装材の外表面の少なくとも一部を凹凸状に形成し、
前記外表面の凹凸部分の一部のみに設けられた塗布部であって、釉薬が塗布されて焼き付けられることによって形成された塗布部を
備え、
前記釉薬は、
第1の釉薬と、
前記第1の釉薬とは異なる第2の釉薬と、を含み、
前記塗布部は、
前記第1の釉薬が塗布された第1塗布部と、
前記第1塗布部の光反射率とは異なる第2塗布部であって、前記第2の釉薬が塗布された第2塗布部と、を含む、
建設用外装材。
【請求項2】
前記凹凸部分は、複数の凸部又は凹部を有し、
前記複数の凸部又は凹部を同一形状に形成し、且つ所定方向に沿って並設した、
請求項1に記載の建設用外装材。
【請求項3】
前記外表面の一部を凹凸状に形成し、前記外表面の他の一部を平坦状に形成した、
請求項1又は2に記載の建設用外装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設用外装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイルの色相を視線角度によって異ならせる技術の一つとして、タイルの外表面を凹凸状に形成し、この外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、上述したように、タイルの外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布するので、例えば、日射角度、照明角度、又は視線角度に応じて凹凸部分の一部と凹凸部分の他の一部との明暗差を生じさせにくくなる可能性があることから、ユーザのニーズに応じた外観意匠を形成する観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザのニーズに応じた外観意匠を形成することを可能にする、建設用外装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の建設用外装材は、建設用外装材であって、当該建設用外装材の外表面の少なくとも一部を凹凸状に形成し、前記外表面の凹凸部分の一部のみに設けられた塗布部であって、釉薬が塗布されて焼き付けられることによって形成された塗布部を備え、前記釉薬は、第1の釉薬と、前記第1の釉薬とは異なる第2の釉薬と、を含み、前記塗布部は、前記第1の釉薬が塗布された第1塗布部と、前記第1塗布部の光反射率とは異なる第2塗布部であって、前記第2の釉薬が塗布された第2塗布部と、を含む。
【0007】
請求項2に記載の建設用外装材は、請求項1に記載の建設用外装材において、前記凹凸部分は、複数の凸部又は凹部を有し、前記複数の凸部又は凹部を同一形状に形成し、且つ所定方向に沿って並設した。
【0008】
請求項3に記載の建設用外装材は、請求項1又は2に記載の建設用外装材において、前記外表面の一部を凹凸状に形成し、前記外表面の他の一部を平坦状に形成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の建設用外装材によれば、当該建設用外装材の外表面の少なくとも一部を凹凸状に形成し、外表面の凹凸部分の一部のみに設けられた塗布部であって、釉薬が塗布されて焼き付けられることによって形成された塗布部を備えたので、従来技術(タイルの外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布する技術)に比べて、当該建設用外装材の外表面において、凹凸部分の陰影効果に加えて塗布部と塗布部以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差を生じさせることができる。また、経年変化によって当該建設用外装材の外表面において塗布部以外の部分が塗布部よりも外観の変化が生じやすくなることから、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差を一層生じさせることができる。以上のことから、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、趣のある外観意匠等)を形成することが可能となる。
また、塗布部が、第1の釉薬が塗布された第1塗布部と、第1塗布部の光反射率とは異なる第2塗布部であって、第2の釉薬が塗布された第2塗布部と、を含むので、第1塗布部と第2塗布部との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差をさらに一層生じさせることができる。よって、ユーザのニーズに応じた外観意匠をさらに一層形成しやすくなる。
【0011】
請求項2に記載の建設用外装材によれば、凹凸部分は、複数の凸部又は凹部を有し、複数の凸部又は凹部を同一形状に形成し、且つ所定方向に沿って並設したので、例えば、複数の凸部及び凹部を異なる形状に形成し、又は不規則に配置する場合に比べて、当該建設用外装材の外観意匠の均一性を確保しやすくなるため、ユーザのニーズに応じた外観意匠を一層形成しやすくなる。
【0012】
請求項3に記載の建設用外装材によれば、当該建設用外装材の外表面の一部を凹凸状に形成し、当該建設用外装材の外表面の他の一部を平坦状に形成したので、当該建設用外装材の外表面全体を凹凸状に形成する場合に比べて、当該建設用外装材の外表面において、凹凸部分と平坦部分との陰影効果に加えて塗布部と塗布部以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差をさらに一層生じさせることができる。よって、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、文字やビルの象徴サインを日照変化に応じて変化する外観意匠等)をさらに一層形成しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る外壁を概念的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A矢視断面図である。
【
図2】第1タイルを示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図3】外壁よりも左方側に位置する光源から外壁に向けて光が差している場合に、外壁よりも左方側に位置するユーザが外壁を見ている状態を示す図である。
【
図4】外壁よりも左方側に位置する光源から外壁に向けて光Lが差している場合に、外壁よりも右方側に位置するユーザが外壁を見ている状態を示す図である。
【
図5】外壁の製造方法のうち塗布工程を示す図である。
【
図6】外壁の製造方法のうち形成工程を示す図である(一部断面図で示す)。
【
図7】実施の形態2に係る建設用外装材を概念的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB-B矢視断面図である。
【
図8】建設用外装材の製造方法のうち形成工程を示す図である。
【
図9】建設用外装材の製造方法のうち塗布工程を示す図である(一部断面図で示す)。
【
図10】実施の形態1に係る第1タイルの変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は平面図である。
【
図11】実施の形態1に係る第1タイルの変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は平面図、(c)は平面図、(d)は平面図、(e)は平面図である。
【
図12】実施の形態1に係る第1タイルの変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は正面図、(c)は正面図である。
【
図13】実施の形態1に係る第1タイルの変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は平面図、(c)は平面図である。
【
図14】実施の形態1に係る第1タイルの変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は正面図、(c)は正面図である。
【
図15】実施の形態1に係る第1タイルの変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は正面図である。
【
図16】実施の形態1に係る外壁の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のC-C矢視断面図である。
【
図17】外壁よりも左方側に位置する光源から外壁に向けて光が差している場合に、外壁よりも左方側に位置するユーザが外壁を見ている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る建設用外装材の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建設物を構成する建設用外装材に関する。ここで、「建設物」の具体的な構造や種類は任意であり、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設等の建築物や、橋等の土木建設物等を含む概念である。また、「建設用外装材」とは、建設物の外側を装飾するための部材であり、例えば、建設用外装パネルや、外装機能を有する壁、柱、床等を含む概念である。
【0017】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0018】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る建設用外装材について説明する。この実施の形態1は、建設用外装材を、建設用外装パネルとした形態である。
【0019】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る建設用外装材が適用される外壁の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る外壁を概念的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A矢視断面図である。以下の説明では、
図1のX方向を外壁の左右方向(-X方向を外壁の左方向、+X方向を外壁の右方向)、
図1のY方向を外壁の前後方向(+Y方向を外壁の前方向、-Y方向を外壁の後方向)、
図1のZ方向を外壁の上下方向(+Z方向を外壁の上方向、-Z方向を外壁の下方向)と称する。外壁1は、建設物(例えば、オフィスビル等)を構成する壁のうち建設物の屋外側に位置する壁であり、
図1に示すように、外壁本体10、及び建設用外装材20を備えている。
【0020】
(構成-外壁本体)
次に、外壁本体10の構成について説明する。外壁本体10は、外壁1の基本構造体である。この外壁本体10は、例えばコンクリート製(一例として、鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製)の長尺な矩形状の板状体にて形成されており、
図1に示すように、長手方向が上下方向に沿うように設けられ、図示しない設置対象(例えば、床部等)に対して固定されている。
【0021】
(構成-建設用外装材)
次に、建設用外装材20の構成について説明する。建設用外装材20は、
図1に示すように、外壁本体10よりも外側において外壁本体10の外表面10a全体(
図1(a)では、前面全体)を覆うように設けられており、第1タイル30、第2タイル40、及び塗布部50を備えている。
【0022】
(構成-建設用外装材-第1タイル)
図2は、第1タイル30を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。第1タイル30は、建設用外装材20を構成するタイルである。この第1タイル30は、例えば公知の外装タイル材(一例として、矩形状のタイル材)を用いて構成され、
図1に示すように、外壁本体10の外表面10aの一部(
図1(a)では、一点鎖線でハッチングされている領域T1)を覆うように複数敷設されており、具体的には、各第1タイル30の内表面30b(
図1(b)では、後面)が外壁本体10の外表面10aと当接するように設けられている。
【0023】
また、第1タイル30の具体的な構成については、実施の形態1では、建設用外装材20の外表面の一部を凹凸状にするために、第1タイル30の外表面30a全体(
図2(b)では、前面全体)が凹凸状に形成されている。より具体的には、
図2(b)に示す第1タイル30の平面形状からすると、第1タイル30の凹凸部分は、複数の凸部31(具体的には、正面形状が長方形状となる凸部31)を有している。ここで、複数の凸部31は、同一形状に形成され、且つ所定方向(
図2では、左右方向)に沿って並設されている。また、
図2に示すように、これら複数の凸部31の各々は、先端側の頂角が直角となる直角二等辺三角柱状に形成されている。また、これら複数の凸部31の各々の突出長さについては任意であるが、例えば、第1タイル30の外表面30aと第2タイル40との明暗差を所望量に設定する場合には、実験結果や解析結果等により設定してもよい。このような構成により、例えば、上記複数の凸部31を異なる形状に形成し、若しくは不規則に配置し、又は上記外表面30aの凹凸部分の凸部31を他の三角柱状(ただし、二等辺三角柱状を除く)に形成した場合に比べて、建設用外装材20の外観意匠の均一性を確保しやすくなる。
【0024】
(構成-建設用外装材-第2タイル)
図1に戻り、第2タイル40は、建設用外装材20を構成するタイルである。この第2タイル40は、例えば第1タイルの材質と同様の公知のタイル材(一例として、矩形状のタイル材)を用いて構成され、
図1に示すように、外壁本体10の外表面10aの他の一部(
図1(a)では、ハッチングされていない領域T2)を覆うように複数敷設されており、具体的には、各第2タイル40の内表面40b(
図1(b)では、後面)が外壁本体10の外表面10aと当接するように設けられている。
【0025】
また、第2タイル40の具体的な構成については、実施の形態1では、建設用外装材20の外表面の他の一部を平坦状にするために、
図1に示すように、第2タイル40の外表面40a全体(
図1(b)では、前面全体)が平坦状に形成されている。
【0026】
このような構成により、上述したように、第1タイル30の材質と第2タイル40の材質が同じであるので、第1タイル30の外表面30aのうち後述する塗布部50以外の部分と第2タイル40の外表面40bとの光反射率の差が生じることを回避できる。
【0027】
(構成-建設用外装材-塗布部)
図1に戻り、塗布部50は、釉薬が塗布される部分である。ここで、「釉薬」とは、建設用外装材20の光反射率を調整するための薬品を意味し、実施の形態1では、建設用外装材20の光反射率を高める釉薬として説明する。
【0028】
この塗布部50は、
図1、
図2に示すように、第1タイル30の外表面30aに設けられており、具体的には、例えば外装タイル材用の釉薬(具体的には、1種類の釉薬)が第1タイル30の外表面30aに塗布されて焼き付けられることによって形成されている。ここで、釉薬の塗布量について任意であるが、例えば、均一な塗布部50を形成する観点から、可能な限り少なく設定することが望ましいが、釉薬の種類や第1タイル30の種類等に応じて異なり得ることから、一例として、実験結果や解析結果等により設定してもよい。
【0029】
また、塗布部50の設置方法については、実施の形態1では、第1タイル30の外表面30aの凹凸部分の一部のみに設けており、具体的には、
図2に示すように、上記外表面30aの凹凸部分の凸部31の側面のうち左側斜面のみに設けている。これにより、建設用外装材20の外表面(特に、第1タイル30の外表面30a)のうち塗布部50と塗布部50以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度に応じて第1タイル30の外表面30aの明暗差を生じさせることができる。
【0030】
以上のような外壁1により、従来技術(タイルの外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布する技術)に比べて、建設用外装材20の外表面において、凹凸部分の陰影効果に加えて塗布部50と塗布部50以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材20の外表面の明暗差を生じさせることができる。また、経年変化によって建設用外装材20の外表面において塗布部50以外の部分が塗布部50よりも外観の変化が生じやすくなることから、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材20の外表面の明暗差を一層生じさせることができる。以上のことから、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、趣のある外観意匠等)を形成することが可能となる。また、第1タイル30の構成と第2タイル40の構成とを異ならせているので(すなわち、建設用外装材20の外表面の一部を凹凸状に形成し、建設用外装材20の外表面の他の一部を平坦状に形成したので)、第1タイル30の外表面30a全体及び第2タイル40の外表面全体(すなわち、建設用外装材20の外表面全体)を凹凸状に形成する場合に比べて、建設用外装材20の外表面において、凹凸部分と平坦部分との陰影効果に加えて塗布部50と塗布部50以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材20の外表面の明暗差をさらに一層生じさせることができる。よって、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、文字やビルの象徴サインを日照変化に応じて変化する外観意匠等)を一層形成しやすくなる。
【0031】
(建設用外装材の作用)
次に、このように構成された外壁1の建設用外装材20の作用について説明する。この建設用外装材20の作用は、外壁1よりも左方側に位置するユーザが外壁1を見ている状態に対応する作用(以下、「第1作用」と称する)と、外壁1よりも右方側に位置するユーザが外壁1を見ている状態に対応する作用(以下、「第2作用」と称する)とに大別される。以下、第1作用と第2作用とのそれぞれについて説明する。
【0032】
(建設用外装材の作用-第1作用)
まず、第1作用について説明する。
図3は、外壁1よりも左方側に位置する光源から外壁1に向けて光Lが差している場合に、外壁1よりも左方側に位置するユーザが外壁1を見ている状態を示す図である。なお、第1作用においては、外壁1よりも左方側に位置するユーザからは、建設用外装材20の外表面のうち領域T1の塗布部50に対応する部分と領域T2(第2タイル40)とを見ることができるものの、領域T1の塗布部50に対応しない部分が見えにくくなる。よって、ここでは、上記領域T1の塗布部50に対応しない部分は、上記領域T1と上記領域T2との明暗差に影響を及ぼさないものとして取り扱う。
【0033】
例えば、外壁1よりも左方側に位置する光源(例えば、太陽)から外壁1に向けて光Lが差している場合には、
図3に示すように、上記領域T1の塗布部50に対応する部分及び上記領域T2に光が当たることになるが、塗布部50の光反射率が第2タイル40の光反射率よりも高いことにより、ユーザからは上記領域T1の塗布部50に対応する部分が光って見えるものの上記領域T2が暗く見えることから、上記領域T1の塗布部50に対応する部分と上記領域T2とで明暗差を生じさせることができる。一方で、外壁1よりも右方側に位置する光源から外壁1に向けて光Lが差している場合には、上記領域T2に光が当たるものの上記領域T1の塗布部50に対応する部分に光が当たらないことにより、ユーザからは上記領域T2が光って見えるものの上記領域T1の塗布部50に対応する部分が暗く見えることから、上記領域T1の塗布部50に対応する部分と上記領域T2とで明暗差を生じさせることができる。
【0034】
(建設用外装材の作用-第2作用)
次に、第2作用について説明する。
図4は、外壁1よりも左方側に位置する光源から外壁1に向けて光Lが差している場合に、外壁1よりも右方側に位置するユーザが外壁1を見ている状態を示す図である。なお、第2作用においては、外壁1よりも右方側に位置するユーザからは、上記領域T1の塗布部50に対応しない部分と上記領域T2とを見ることができるものの、上記領域T1の塗布部50に対応する部分が見えにくくなる。よって、ここでは、上記領域T1の塗布部50に対応する部分は、上記領域T1と上記領域T2との明暗差に影響を及ぼさないものとして取り扱う。
【0035】
例えば、外壁1よりも左方側に位置する光源から外壁1に向けて光Lが差している場合には、
図4に示すように、上記領域T2に光が当たるものの上記領域T1の塗布部50に対応しない部分に光が当たらないことにより、ユーザからは上記領域T2が光って見えるものの上記領域T1の塗布部50に対応しない部分が暗く見えることから、上記領域T1の塗布部50に対応しない部分と上記領域T2とで明暗差を生じさせることができる。一方で、外壁1よりも右方側に位置する光源から外壁1に向けて光Lが差している場合には、上記領域T1の塗布部50に対応しない部分及び上記領域T2に光が当たることになるが、上述したように、上記領域T1の塗布部50に対応しない部分と上記領域T2との光反射率の差は生じないので、ユーザからは上記領域T1の塗布部50に対応しない部分と上記領域T2とが略同一に光って見えることから、上記領域T1の塗布部50に対応しない部分と上記領域T2とで明暗差がなくなる(あるいは、上記領域T2に入射した光Lが左方側に向けて反射するので、ユーザからは上記領域T2が若干暗く見えることで、上記領域T1の塗布部50に対応しない部分と上記領域T2とで明暗差を生じさせる可能性がある)。
【0036】
(外壁の製造方法)
続いて、外壁1の製造方法について説明する。
図5は、外壁1の製造方法のうち塗布工程を示す図である。
図6は、外壁1の製造方法のうち形成工程を示す図である(一部断面図で示す)。実施の形態1に係る外壁1の製造方法は、塗布工程、焼付工程、及び形成工程を含んでいる。
【0037】
(外壁の製造方法-塗布工程)
まず、塗布工程について説明する。塗布工程は、工場等で製造された第1タイル30に釉薬を塗布する工程である。具体的には、
図5に示すように、まず、コンベア60(例えば、公知のベルトコンベア)上に第1タイル30を載置して、釉薬Mを噴射する少なくとも1つ以上の噴射装置61(例えば、公知の噴射装置)の近傍位置までコンベア60によって第1タイル30を搬送させる。次いで、少なくとも1つ以上の噴射装置61によって、搬送された第1タイル30の外表面30aにおける凹凸部分の一部(具体的には、上記外表面30aの凸部31の左側斜面)のみに釉薬Mを塗布する。その後、コンベア60によって、釉薬Mが塗布された第1タイル30を焼付工程が行われる位置まで搬送させる。なお、少なくとも1つ以上の噴射装置61による釉薬Mの噴射向き、噴射量、及び噴射速度については、第1タイル30の外表面30aの形状や大きさ、釉薬Mの種類、又は噴射装置61のノズルの径等に応じて異なり得ることから、例えば、実験結果や解析結果等により設定してもよい。また、釉薬Mが塗布された第1タイル30は、必要に応じて所定時間乾燥されてもよい。
【0038】
(外壁の製造方法-焼付工程)
次に、焼付工程について説明する。焼付工程は、塗布工程において塗布された釉薬を第1タイル30に焼き付けることにより、塗布部50を形成する工程である。具体的には、図示しない焼付装置を用いて、上記塗布された釉薬を第1タイル30に焼き付けることにより、第1タイル30の外表面30aに塗布部50が形成される。ここで、第1タイル30の焼付温度や焼付時間については、第1タイル30の形状や大きさや釉薬の種類等に応じて異なり得ることから、例えば、実験結果や解析結果等により設定してもよい。また、例えば、焼付工程が行われる場所と形成工程が行われる場所とが異なる場合には、複数の第1タイル30を所定のケースにパッケージングすることにより、形成工程が行われる場所まで搬送させてもよい。この場合には、例えば、形成工程において塗布部50の位置及び方向を区別できるように、第1タイル30の内表面30b等にマーキングしておくことが望ましい。
【0039】
(外壁の製造方法-形成工程)
続いて、形成工程について説明する。形成工程は、焼付工程にて焼き付けされた第1タイル30及び工場等で製造された第2タイル40を複数敷設した状態で、これら第1タイル30の内表面30b上と第2タイル40の内表面40b上とに外壁本体10を形成する工程である。具体的には、
図6に示すように、まず、上記第1タイル30の外表面30a及び上記第2タイル40の外表面40aが型枠62の底部と当接するように、これら第1タイル30及び第2タイル40を型枠62内に複数敷設する。次に、型枠62内において第1タイル30及び第2タイル40よりも上方に所定数の鉄筋63を配筋して、セメント組成物64(混練物)を打設した後、セメント組成物64が硬化するまで養生を行う。なお、この養生期間中において、セメント組成物64の硬化に伴って第1タイル30及び第2タイル40の各々とセメント組成物64とが結合されることになる。その後、型枠62を撤去することにより、複数敷設した第1タイル30の内表面30b上と第2タイル40の内表面40b上とに外壁本体10が形成される。これにて外壁1の製造が終了する。
【0040】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態1によれば、建設用外装材20の第1タイル30の外表面30aを凹凸状に形成し、外表面30aの凹凸部分の一部のみに設けられた塗布部50であって、釉薬が塗布されて焼き付けられることによって形成された塗布部50を備えたので、従来技術(タイルの外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布する技術)に比べて、建設用外装材20の外表面において、凹凸部分の陰影効果に加えて塗布部50と塗布部50以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材20の外表面の明暗差を生じさせることができる。また、経年変化によって建設用外装材20の外表面において塗布部50以外の部分が塗布部50よりも外観の変化が生じやすくなることから、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材20の外表面の明暗差を一層生じさせることができる。以上のことから、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、趣のある外観意匠等)を形成することが可能となる。
【0041】
また、第1タイル30の外表面30aにおける凹凸部分は、複数の凸部31を有し、複数の凸部31を同一形状に形成し、且つ所定方向に沿って並設したので、例えば、複数の凸部31を異なる形状に形成し、又は不規則に配置する場合に比べて、建設用外装材20の外観意匠の均一性を確保しやすくなるため、ユーザのニーズに応じた外観意匠を一層形成しやすくなる。
【0042】
また、第1タイル30の外表面30aを凹凸状に形成し、第2タイル40の外表面40aを平坦状に形成したので、第1タイル30の外表面30a全体及び第2タイル40の外表面40a全体を凹凸状に形成する場合に比べて、建設用外装材20の外表面において、凹凸部分と平坦部分との陰影効果に加えて塗布部50と塗布部50以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材20の外表面の明暗差をさらに一層生じさせることができる。よって、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、文字やビルの象徴サインを日照変化に応じて変化する外観意匠等)をさらに一層形成しやすくなる。
【0043】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る建設用外装材について説明する。この実施の形態2は、建設用外装材を、外装機能を有する外壁とした形態である。
【0044】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る建設用外装材の構成について説明する。
図7は、実施の形態2に係る建設用外装材を概念的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB-B矢視断面図である。建設用外装材100は、建設物を構成する壁のうち建設物の外側に位置する壁であり、
図7に示すように、第1外壁本体110、第2外壁本体120、及び塗布部130を備えている。
【0045】
(構成-第1外壁本体)
第1外壁本体110は、例えばコンクリート製(一例として、鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製)の板状体にて形成され、
図7に示すように、建設用外装材100の外表面の一部(
図7(a)では、一点鎖線でハッチングされている領域T1)に対応するように設けられており、図示しない設置対象(例えば、床部等)に対して固定されている。
【0046】
また、第1外壁本体110の具体的な構成については、実施の形態2では、
図7に示すように、実施の形態1に係る第1タイル30と同様に、第1外壁本体110の外表面110a全体(
図7(b)では、前面全体)が凹凸状に形成されている。
【0047】
(構成-第2外壁本体)
第2外壁本体120は、例えばコンクリート製(一例として、鉄筋コンクリート製、プレストレストコンクリート製)の板状体にて形成され、
図7に示すように、建設用外装材100の外表面の他の一部(
図7(a)では、ハッチングされていない領域T2)に対応するように設けられており、図示しない設置対象に対して固定されている。
【0048】
また、第2外壁本体120の具体的な構成については、実施の形態2では、
図7に示すように、第2外壁本体120の外表面120a全体(
図7(b)では、前面全体)が平坦状に形成されている。
【0049】
(構成-塗布部)
塗布部130は、実施の形態1に係る塗布部50と略同様に構成されており、
図7(b)に示すように、第1外壁本体110の外表面110aの凹凸部分の一部のみに設けられており、具体的には、上記外表面110aの凹凸部分の凸部121の側面のうち左側斜面のみに設けられている。
【0050】
以上のような建設用外装材100により、実施の形態1に係る外壁1と同様に、従来技術(タイルの外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布する技術)に比べて、建設用外装材100の外表面において、凹凸部分の陰影効果に加えて塗布部130と塗布部130以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材100の外表面の明暗差を生じさせることができる。また、経年変化によって建設用外装材100の外表面において塗布部130以外の部分が塗布部130よりも外観の変化が生じやすくなることから、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材100の外表面の明暗差を一層生じさせることができる。以上のことから、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、趣のある外観意匠等)を形成しやすくなる。
【0051】
(建設用外装材の製造方法)
続いて、建設用外装材100の製造方法について説明する。
図8は、建設用外装材100の製造方法のうち形成工程を示す図である。
図9は、建設用外装材100の製造方法のうち塗布工程を示す図である(一部断面図で示す)。実施の形態2に係る外壁1の製造方法は、形成工程、塗布工程、及び焼付工程を含んでいる。
【0052】
(建設用外装材の製造方法-形成工程)
まず、形成工程について説明する。形成工程は、第1外壁本体110及び第2外壁本体120を形成する工程である。具体的には、
図8に示すように、現場等において、型枠140内に所定数の鉄筋141を配筋して、セメント組成物142を打設する。次いで、セメント組成物142が硬化するまで養生を行った後、硬化したものを型枠140から取り外すことにより、形成する。この場合において、型枠140の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図8に示すように、型枠140の底面のうち第1外壁本体110に対応する部分を凹凸状に形成し、型枠140の底部のうち第2外壁本体120に対応する部分を平坦状に形成している。
【0053】
(建設用外装材の製造方法-塗布工程)
次に、塗布工程について説明する。塗布工程は、形成工程にて形成された第1外壁本体110に釉薬を塗布する工程である。具体的には、まず、
図9に示すように、上記第1外壁本体110及び第2外壁本体120を所定の向きに設置する(
図9では、上記第1外壁本体110の外表面110a及び第2外壁本体120の外表面120aが上方を向くように設置する)。次に、公知のマスキング方法を用いて、上記第1外壁本体110の外表面110aのうち釉薬Mが塗布されない部分と、第2外壁本体120の外表面120aとをマスキング材143で行う。次いで、噴射装置144を用いて、上記第1外壁本体110の外表面110aのうちマスキング材143で覆われていない部分に釉薬Mを塗布し、その後当該塗布した釉薬Mがある程度乾燥するまで放置する。その後、第1外壁本体110及び第2外壁本体120からマスキング材143を取り外す。
【0054】
(建設用外装材の製造方法-焼付工程)
続いて、焼付工程について説明する。焼付工程は、塗布工程において塗布された釉薬を第1外壁本体110に焼き付けることにより、塗布部130を形成する工程である。具体的には、実施の形態1に係る焼付工程と略同様に、図示しない焼付装置を用いて、上記塗布された釉薬を第1外壁本体110に焼き付けることにより、第1外壁本体110の外表面110aに塗布部130が形成される。これにて建設用外装材100の製造が終了する。
【0055】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態2によれば、建設用外装材100の第1外壁本体110の外表面110aを凹凸状に形成し、外表面110aの凹凸部分の一部のみに設けられた塗布部130であって、釉薬が塗布されて焼き付けられることによって形成された塗布部130を備えたので、実施の形態1に係る外壁1と略同様に、従来技術(タイルの外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布する技術)に比べて、建設用外装材100の外表面において、凹凸部分の陰影効果に加えて塗布部130と塗布部130以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材100の外表面の明暗差を生じさせることができる。また、経年変化によって建設用外装材100の外表面において塗布部130以外の部分が塗布部130よりも外観の変化が生じやすくなることから、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材100の外表面の明暗差を一層生じさせることができる。以上のことから、ユーザのニーズに応じた外観意匠を形成することが可能となる。
【0056】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0057】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0058】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0059】
(建設用外装材について)
上記実施の形態1では、建設用外装材20が、第2タイル40を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、第2タイル40を省略してもよい(すなわち、建設用外装材20の外表面全体を凹凸状に形成してもよい)。また、上記実施の形態2では、建設用外装材100が、第2外壁本体120を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、第2外壁本体120を省略してもよい(すなわち、建設用外装材100の外表面全体を凹凸状に形成してもよい)。
【0060】
(第1タイル、第1外壁本体について)
上記実施の形態1では、第1タイル30の外表面30aの凹凸部分が、複数の凸部31のみを有していると説明したが、これに限らない。
図10は、実施の形態1に係る第1タイル30の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は平面図である。例えば、複数の凹部のみを備えてもよい。あるいは、複数の凸部31及び複数の凹部を備えてもよい。あるいは、
図10(a)に示すように、平面形状が波形状である柱状の凸部31と平坦部33とを組み合わせて形成されてもよい。あるいは、
図10(b)に示すように、平面形状が四角形状である柱状の凸部31と平坦部33とを組み合わせて形成されてもよい。なお、実施の形態2に係る第1外壁本体110についても、
図10の第1タイル30の構成と同様に構成されてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態1では、第1タイル30の外表面30aのみが凹凸状に形成されていると説明したが、これに限らない。
図11は、実施の形態1に係る第1タイル30の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は平面図、(c)は平面図、(d)は平面図、(e)は平面図である。例えば、
図11に示すように、第1タイル30全体が凹凸状に形成されると共に、第1タイル30の厚みが比較的薄く設定されてもよい。一例として、
図11(a)に示すように、平面形状が矩形状である柱状の凸部31と平坦部33とを組み合わせて形成されてもよく、又は、
図11(b)に示すように、平面形状が台形状である柱状の凸部31と平坦部33とを組み合わせて形成されてもよい。あるいは、
図11(c)に示すように、平面形状が矩形状である柱状の凹部32と平坦部33とを組み合わせて形成されてもよく、
図11(d)に示すように、平面形状が半円状である柱状の凹部32と平坦部33とを組み合わせて形成されてもよく、又は、
図11(e)に示すように、平面形状が台形状である柱状の凹部32と平坦部33とを組み合わせて形成されてもよい。なお、実施の形態2に係る第1外壁本体110についても、
図11の第1タイル30の構成と同様に構成されてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態1では、第1タイル30の凸部31の平面形状が直角二等辺三角形状であると説明したが、これに限らない。例えば、直角二等辺三角形状以外の多角形状(一例として、先端部が鋭角、鈍角、又は湾曲面取りとなる三角形状、台形状、矩形状、六角形状等)、半円形状、半楕円形状、波形状、波形以外の湾曲状、又はこれらの少なくとも一部を組み合わせた形状であってもよい(なお、第1タイル30の凹部についても同様とする)。
【0063】
また、上記実施の形態1では、第1タイル30の凸部31の正面形状が長方形状であると説明したが、これに限らず、例えば、長方形状以外の多角形状(一例として、先端部が鋭角、鈍角、又は湾曲面取りとなる三角形状、台形状、矩形状、六角形状等)、半円形状(一例として、端部が面取りされた半円形状)、半楕円形状(一例として、端部が面取りされた半楕円形状)、波形状、波形以外の湾曲状、又はこれらの少なくとも一部を組み合わせた形状であってもよい(なお、第1タイル30の凹部についても同様とする)。
図12は、実施の形態1に係る第1タイル30の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は正面図、(c)は正面図である。一例として、
図12(a)に示すように、正面形状が星状、湾曲状(円弧状)、及び円形状となる複数の凸部31と、平坦部33(
図12(a)では、塗布部50が設けられている)とを組み合わせることで、第1タイル30の外表面30aにおける凹凸部分が形成されてもよい。また、
図12(b)に示すように、正面形状が矩形状となる複数の凸部31(
図12(b)では、塗布部50が設けられている)と、平坦部33とを組み合わせることで、上記外表面30aにおける凹凸部分が形成されてもよい。また、
図12(c)に示すように、正面形状が湾曲状(円弧状)、円形状、及び三角形状となる複数の凸部31(
図12(c)では、一部の凸部31に塗布部50が設けられている)と、平坦部33とを組み合わせることで、上記外表面30aにおける凹凸部分が形成されてもよい。なお、実施の形態2に係る第1外壁本体110についても、
図12の第1タイル30の構成と同様に構成されてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態1では、第1タイル30の外表面30aにおける凹凸部分の凸部31の各々が、柱状に形成されていると説明したが、これに限らない。例えば、錐状(一例として、正面形状がひし形状の四角錘状、三角錘状、円錐状等)、又は半球状に形成されてもよい。あるいは、柱状、錐状、及び半球状を組み合わせて形成されてもよい(なお、実施の形態2に係る第1外壁本体110についても同様とする)。これにより、第1タイル30の外表面30aにおける凹凸部分の凸部31を、柱状、錐状、又は半球状に形成でき、ユーザのニーズに応じた外観意匠を形成しやすくなる。
【0065】
また、上記実施の形態1では、第1タイル30の外表面30aにおける凹凸部分の凸部31が、直角二等辺三角柱状に形成されていると説明したが、これに限らない。例えば、直角二等辺三角形柱状以外の他の柱状(直角二等辺三角形柱状、四角形柱等)であってもよい。
図13は、実施の形態1に係る第1タイル30の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は平面図、(c)は平面図である。一例として、
図13(a)に示すように、平面形状が波形状である柱状であってもよい。あるいは、
図13(b)に示すように、平面形状が三角形状である柱状であって、凸部31の表面がギザギザ状である柱状であってもよい。あるいは、
図13(c)に示すように、平面形状が非二等辺三角形である柱状であってもよい。なお、第1タイル30の凹部及び実施の形態2に係る第1外壁本体110についても、
図13の第1タイル30の構成と同様に構成されてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態1では、第1タイル30の外表面30aにおける凹凸部分の複数凸部31は、同一形状であると説明したが、これに限らず、それぞれ異なる形状であってもよい。また、上記実施の形態1では、上記複数凸部31は、正面形状が長方形状になるように形成され、且つ左右方向に沿って並設されていると説明したが、これに限らない。
図14は、実施の形態1に係る第1タイル30の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は正面図、(c)は正面図である。
図15は、実施の形態1に係る第1タイル30の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は正面図、である。例えば、
図14(a)に示すように、上記複数凸部31は、正面形状が長方形状になるように形成され、且つ上下斜め方向に沿って並設されてもよい。あるいは、
図14(b)に示すように、上記複数凸部31は、正面形状が湾曲状になるように形成され、且つ左右方向に沿って並設されてもよい。あるいは、
図14(c)に示すように、上記複数凸部31は、正面形状が波状に形成され、且つ左右方向に沿って並設されてもよい。あるいは、
図15(a)に示すように、上記複数凸部31は、正面形状がくの字状に形成され、且つ左右方向に沿って並設されてもよい。あるいは、
図15(b)に示すように、上記複数凸部31は、正面形状がV字状に形成され、且つ上下方向に沿って並設されてもよい。あるいは、上記複数凸部31は、千鳥状に配置されてもよく、又は不規則に配置されてもよい。なお、第1タイル30の凹部及び実施の形態2に係る第1外壁本体110についても、
図12又は
図13の第1タイル30の構成と同様に構成されてもよい。
【0067】
(第2タイル、第2外壁本体について)
また、上記実施の形態1では、第2タイル40の外表面40aが、平坦状に形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、非平坦状(一例として、傾斜状、凹凸状等)に形成されてもよい(なお、実施の形態2に係る第2外壁本体120についても同様とする)。
【0068】
(塗布部について)
上記実施の形態1では、塗布部50を形成する際に用いられる釉薬は、1種類であると説明したが、これに限らず、例えば、複数の種類であってもよい(なお、実施の形態2に係る塗布部130についても同様とする)。
図16は、実施の形態1に係る外壁1の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のC-C矢視断面図である。
図17は、外壁よりも左方側に位置する光源から外壁に向けて光が差している場合に、外壁よりも左方側に位置するユーザが外壁を見ている状態を示す図である。一例として、釉薬は、第1の釉薬と、第1の釉薬とは異なる第2の釉薬とを含んでもよい。また、塗布部は、第1の釉薬が塗布された第1塗布部51と、第1塗布部51の光反射率とは異なる第2塗布部52(例えば、第1塗布部51の光反射率が高い第2塗布部52)であって、第2の釉薬が塗布された第2塗布部52と、を含んでもよい。この場合には、例えば、
図16に示すように、第1タイル30の外表面30aは、第1塗布部51に対応する領域T11(以下、「第1領域T11」と称する)と、第2塗布部52に対応する領域T12(以下、「第2領域T12」と称する)とを含むことになる。このような構成により、第1塗布部51と第2塗布部52との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて建設用外装材20の外表面の明暗差をさらに一層生じさせることができる。よって、ユーザのニーズに応じた外観意匠を一層形成しやすくなる。例えば、
図16の外壁1よりも左方側に位置する光源から当該外壁1に向けて光が差している場合に、当該外壁1よりも左方側に位置するユーザが当該外壁1を見ると、
図17に示すように、上記領域T1の塗布部50に対応する部分及び上記領域T2に光が当たることになるが、第2塗布部52の光反射率が第1塗布部51及び第2タイル40の光反射率よりも高いことにより、ユーザからは第2領域T12、第1領域T11、領域T2の順に明るく見えることから、第1領域T11、第2領域T12、及び領域T2とで明暗差を生じさせることができる。
【0069】
(付記)
付記1の建設用外装材は、当該建設用外装材の外表面の少なくとも一部を凹凸状に形成し、前記外表面の凹凸部分の一部のみに設けられた塗布部であって、釉薬が塗布されて焼き付けられることによって形成された塗布部を備えた。
【0070】
付記2の建設用外装材は、付記1に記載の建設用外装材において、前記凹凸部分は、複数の凸部又は凹部を有し、前記複数の凸部又は凹部を同一形状に形成し、且つ所定方向に沿って並設した。
【0071】
付記3の建設用外装材は、付記1又は2に記載の建設用外装材において、前記釉薬は、第1の釉薬と、前記第1の釉薬とは異なる第2の釉薬と、を含み、前記塗布部は、第1の釉薬が塗布された第1塗布部と、前記第1塗布部の光反射率とは異なる第2塗布部であって、第2の釉薬が塗布された第2塗布部と、を含む。
【0072】
付記4の建設用外装材は、付記1から3のいずれか一項に記載の建設用外装材において、前記外表面の一部を凹凸状に形成し、前記外表面の他の一部を平坦状に形成した。
【0073】
(付記の効果)
付記1に記載の建設用外装材によれば、当該建設用外装材の外表面の少なくとも一部を凹凸状に形成し、外表面の凹凸部分の一部のみに設けられた塗布部であって、釉薬が塗布されて焼き付けられることによって形成された塗布部を備えたので、従来技術(タイルの外表面の凹凸部分全体に釉薬を塗布する技術)に比べて、当該建設用外装材の外表面において、凹凸部分の陰影効果に加えて塗布部と塗布部以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差を生じさせることができる。また、経年変化によって当該建設用外装材の外表面において塗布部以外の部分が塗布部よりも外観の変化が生じやすくなることから、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差を一層生じさせることができる。以上のことから、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、趣のある外観意匠等)を形成することが可能となる。
【0074】
付記2に記載の建設用外装材によれば、凹凸部分は、複数の凸部又は凹部を有し、複数の凸部又は凹部を同一形状に形成し、且つ所定方向に沿って並設したので、例えば、複数の凸部及び凹部を異なる形状に形成し、又は不規則に配置する場合に比べて、当該建設用外装材の外観意匠の均一性を確保しやすくなるため、ユーザのニーズに応じた外観意匠を一層形成しやすくなる。
【0075】
付記3に記載の建設用外装材によれば、塗布部が、第1の釉薬が塗布された第1塗布部と、第1塗布部の光反射率とは異なる第2塗布部であって、第2の釉薬が塗布された第2塗布部と、を含むので、第1塗布部と第2塗布部との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差をさらに一層生じさせることができる。よって、ユーザのニーズに応じた外観意匠をさらに一層形成しやすくなる。
【0076】
付記4に記載の建設用外装材によれば、当該建設用外装材の外表面の一部を凹凸状に形成し、当該建設用外装材の外表面の他の一部を平坦状に形成したので、当該建設用外装材の外表面全体を凹凸状に形成する場合に比べて、当該建設用外装材の外表面において、凹凸部分と平坦部分との陰影効果に加えて塗布部と塗布部以外の部分との光反射率を異ならせることができ、日射角度、照明角度、又は視線角度等に応じて当該建設用外装材の外表面の明暗差をさらに一層生じさせることができる。よって、ユーザのニーズに応じた外観意匠(例えば、文字やビルの象徴サインを日照変化に応じて変化する外観意匠等)をさらに一層形成しやすくなる。
【符号の説明】
【0077】
1 外壁
10 外壁本体
10a 外表面
20 建設用外装材
30 第1タイル
30a 外表面
30b 内表面
31 凸部
32 凹部
33 平坦部
40 第2タイル
40a 外表面
40b 内表面
50 塗布部
51 第1塗布部
52 第2塗布部
60 コンベア
61 噴射装置
62 型枠
63 鉄筋
64 セメント組成物
100 建設用外装材
110 第1外壁本体
110a 外表面
120 第2外壁本体
120a 外表面
121 凸部
130 塗布部
140 型枠
141 鉄筋
142 セメント組成物
143 マスキング材
144 噴射装置
L 光源の光
M 釉薬
T1 領域
T11 第1領域
T12 第2領域
T2 領域