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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】コンバインドサイクル発電プラント
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20221006BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20221006BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20221006BHJP
   F02C 9/18 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F01K23/10 U
F02C6/18 B
F01D25/00 G
F01D25/00 V
F02C9/18
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018149382
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020023942
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 肇
(72)【発明者】
【氏名】星野 辰也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 善幸
(72)【発明者】
【氏名】原田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】笠 正憲
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-026308(JP,A)
【文献】特開昭64-000326(JP,A)
【文献】特開2017-031859(JP,A)
【文献】特開2013-142393(JP,A)
【文献】特開2015-081560(JP,A)
【文献】特開平4-27703(JP,A)
【文献】特開平8-233203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/10
F02C 6/18
F01D 25/00
F02C 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮し、圧縮途中の空気である第1圧縮空気の出口である抽気口および圧縮終了の空気である第2圧縮空気の出口である吐出口を有する圧縮機と、排気口を有し、燃料と前記第2圧縮空気との燃焼によって生成された燃焼ガスにより駆動され、前記排気口から排ガスを排出するタービンとを有するガスタービンと、
前記排ガスから熱を回収して、第1圧力の蒸気を生成する高圧熱交換器、および前記第1圧力よりも低い第2圧力の蒸気を生成し、前記高圧熱交換器の下流側に配置された低圧熱交換器を有する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気により駆動される蒸気タービンと、
一端が前記圧縮機の前記抽気口に接続され、他端が前記排熱回収ボイラ内の前記高圧熱交換器と前記低圧熱交換器との間の領域に配置された第1抽気配管と、
前記第1抽気配管に設けられた第1流量調整弁と、
一端が前記圧縮機の前記吐出口に接続され、他端が前記第1抽気配管に接続された第2抽気配管と、
前記第2抽気配管に設けられた第2流量調整弁と、
前記ガスタービンの起動時に、前記第1流量調整弁又は前記第2流量調整弁を開状態とする制御装置とを備えている、コンバインドサイクル発電プラント。
【請求項2】
前記第1抽気配管において前記第1流量調整弁の下流側に設けられ、前記第1圧縮空気が流入する流入口、前記第1圧縮空気を流出させる第1流出口、および前記第1圧縮空気を前記排熱回収ボイラ内の前記領域に流出させる第2流出口を有する第1三方弁と、
前記第1三方弁の前記第1流出口と前記排熱回収ボイラとを接続する第1ボイラ上流側接続配管と、
前記第2抽気配管において前記第2流量調整弁の下流側に設けられ、前記第2圧縮空気が流入する流入口、前記第2圧縮空気を流出させる第1流出口、および前記第2圧縮空気を前記第1抽気配管の方に流出させる第2流出口を有する第2三方弁と、
前記第2三方弁の前記第1流出口と前記排熱回収ボイラとを接続する第2ボイラ上流側接続配管と、
前記領域の雰囲気温度を検出する第1温度センサと、
前記第1抽気配管において前記第1流量調整弁よりも上流側に設けられ、前記第1圧縮空気の温度を検出する第2温度センサと、
前記第2抽気配管において前記第2流量調整弁よりも上流側に設けられ、前記第2圧縮空気の温度を検出する第3温度センサと、をさらに備え、
前記制御装置は、第1処理又は第2処理を行うように構成され、
前記第1処理は、前記第2温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が第1所定値よりも高い場合に、前記第1流量調整弁を開状態とすると共に前記第1三方弁の前記第1流出口を閉状態にしかつ前記第1三方弁の前記第2流出口を開状態にし、前記第2温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が前記第1所定値以下になった際に、前記第1三方弁の前記第2流出口を閉状態にしかつ前記第1三方弁の前記第1流出口を開状態にする、又は前記第1流量調整弁を閉状態とすると共に前記第2流量調整弁を開状態にしかつ前記第2三方弁の前記第1流出口を開状態にして前記第2三方弁の前記第2流出口を閉状態にする処理であり、
前記第2処理は、前記第3温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が第2所定値よりも高い場合に、前記第2流量調整弁を開状態とすると共に前記第2三方弁の前記第1流出口を閉状態にしかつ前記第2三方弁の前記第2流出口を開状態にし、前記第3温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が前記第2所定値以下になった際に、前記第2三方弁の前記第2流出口を閉状態にしかつ前記第2三方弁の前記第1流出口を開状態にする、又は前記第2流量調整弁を閉状態とすると共に前記第1流量調整弁を開状態にしかつ前記第1三方弁の前記第1流出口を開状態にして前記第1三方弁の前記第2流出口を閉状態にする処理である、請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインドサイクル発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーをより効率的に利用するために、コンバインドサイクル発電プラントが使用されている。コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービン、蒸気タービン、排熱回収ボイラ等を備えており、ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせた発電方式を採用するものである。このようなコンバインドサイクル発電プラントでは、ガスタービンにて仕事をした後の排ガスを排熱回収ボイラに導き、排ガスの熱を利用して蒸気を発生させ、その蒸気により蒸気タービンを駆動する。
【0003】
例えば特許文献1の図9に記載されたコンバインドサイクル発電プラントにおける排熱回収ボイラには、高圧の蒸気を生成する高圧熱交換器および低圧の蒸気を生成する低圧熱交換器が上流側からこの順に設けられている。高圧熱交換器により生成された蒸気および低圧熱交換器により生成された蒸気は、蒸気タービンに送られて回転エネルギーの生成に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-31859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の蒸気タービンは、高圧蒸気により駆動される高圧蒸気タービンと、高圧蒸気タービンにシャフトにより連結され低圧蒸気により駆動される低圧蒸気タービンを含む二段タイプのものである。しかし、蒸気タービンには、高圧蒸気の膨張過程の途中で低圧蒸気が導入される一段タイプのものもある。
【0006】
ところで、排熱回収ボイラの起動時には、ガスタービンからの排ガスによって高圧熱交換器および低圧熱交換器の順で温められる。そのため、低圧熱交換器から蒸気が生成されるのは、高圧熱交換器から蒸気が生成された後となる。ここで、高圧熱交換器により生成される蒸気および低圧熱交換器により生成される蒸気の両方による仕事によって、蒸気タービンの出力が定格出力に達する。従って、迅速に発電を行う観点から、低圧熱交換器により蒸気が生成されるまでの時間を短縮することが望まれる。
【0007】
そこで、本発明は、排熱回収ボイラの低圧熱交換器により蒸気が生成されるまでの時間を短縮することができるコンバインドサイクル発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンバインドサイクル発電プラントは、空気を圧縮し、圧縮途中の空気である第1圧縮空気の出口である抽気口および圧縮終了の空気である第2圧縮空気の出口である吐出口を有する圧縮機と、排気口を有し、燃料と前記第2圧縮空気との燃焼によって生成された燃焼ガスにより駆動され、前記排気口から排ガスを排出するタービンとを有するガスタービンと、前記排ガスから熱を回収して、第1圧力の蒸気を生成する高圧熱交換器、および前記第1圧力よりも低い第2圧力の蒸気を生成し、前記高圧熱交換器の下流側に配置された低圧熱交換器を有する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラにより生成された前記蒸気により駆動される蒸気タービンと、一端が前記圧縮機の前記抽気口に接続され、他端が前記排熱回収ボイラ内の前記高圧熱交換器と前記低圧熱交換器との間の領域に配置された第1抽気配管と、前記第1抽気配管に設けられた第1流量調整弁と、一端が前記圧縮機の前記吐出口に接続され、他端が前記第1抽気配管に接続された第2抽気配管と、前記第2抽気配管に設けられた第2流量調整弁と、前記ガスタービンの起動時に、前記第1流量調整弁又は前記第2流量調整弁を開状態とする制御装置とを備えているものである。
【0009】
本発明に従えば、ガスタービンの起動時に、圧縮機により生成された第1圧縮空気が第1抽気配管を介して排熱回収ボイラ内の高圧熱交換器と低圧熱交換器との間の領域に送られ、又は、第2圧縮空気が第2抽気配管を介して前記領域に送られる。これにより、低圧熱交換器は第1圧縮空気又は第2圧縮空気によって温められる。これによって、低圧熱交換器により蒸気が生成されるまでの時間を短縮することができる。
【0010】
上記発明において、本発明のコンバインドサイクル発電プラントは、前記第1抽気配管において前記第1流量調整弁の下流側に設けられ、前記第1圧縮空気が流入する流入口、前記第1圧縮空気を流出させる第1流出口、および前記第1圧縮空気を前記排熱回収ボイラ内の前記領域に流出させる第2流出口を有する第1三方弁と、前記第1三方弁の前記第1流出口と前記排熱回収ボイラとを接続する第1ボイラ上流側接続配管と、前記第2抽気配管において前記第2流量調整弁の下流側に設けられ、前記第2圧縮空気が流入する流入口、前記第2圧縮空気を流出させる第1流出口、および前記第2圧縮空気を前記第1抽気配管の方に流出させる第2流出口を有する第2三方弁と、前記第2三方弁の前記第1流出口と前記排熱回収ボイラとを接続する第2ボイラ上流側接続配管と、前記領域の雰囲気温度を検出する第1温度センサと、前記第1抽気配管において前記第1流量調整弁よりも上流側に設けられ、前記第1圧縮空気の温度を検出する第2温度センサと、前記第2抽気配管において前記第2流量調整弁よりも上流側に設けられ、前記第2圧縮空気の温度を検出する第3温度センサと、をさらに備え、前記制御装置は、第1処理又は第2処理を行うように構成され、前記第1処理は、前記第2温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が第1所定値よりも高い場合に、前記第1流量調整弁を開状態とすると共に前記第1三方弁の前記第1流出口を閉状態にしかつ前記第1三方弁の前記第2流出口を開状態にし、前記第2温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が前記第1所定値以下になった際に、前記第1三方弁の前記第2流出口を閉状態にしかつ前記第1三方弁の前記第1流出口を開状態にする、又は前記第1流量調整弁を閉状態とすると共に前記第2流量調整弁を開状態にしかつ前記第2三方弁の前記第1流出口を開状態にして前記第2三方弁の前記第2流出口を閉状態にする処理であり、前記第2処理は、前記第3温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が第2所定値よりも高い場合に、前記第2流量調整弁を開状態とすると共に前記第2三方弁の前記第1流出口を閉状態にしかつ前記第2三方弁の前記第2流出口を開状態にし、前記第3温度センサにより検出された温度と前記第1温度センサにより検出された温度との差が前記第2所定値以下になった際に、前記第2三方弁の前記第2流出口を閉状態にしかつ前記第2三方弁の前記第1流出口を開状態にする、又は前記第2流量調整弁を閉状態とすると共に前記第1流量調整弁を開状態にしかつ前記第1三方弁の前記第1流出口を開状態にして前記第1三方弁の前記第2流出口を閉状態にする処理であってもよい。
【0011】
上記構成に従えば、低圧熱交換器が第1圧縮空気又は第2圧縮空気により温まった際には、排熱回収ボイラ内に第1圧縮空気又は第2圧縮空気が抽気される。これにより、ガスタービンの起動時にはサージを防止することができ、ガスタービンの運転時には低NOx運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、排熱回収ボイラの低圧熱交換器により蒸気が生成されるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るコンバインドサイクル発電プラントの概略構成図である。
図2】第1実施形態の制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の第2実施形態に係るコンバインドサイクル発電プラントの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る実施形態のコンバインドサイクル発電プラント(CCPP:Combined Cycle Power Plant)について図面を参照して説明する。以下に説明するコンバインドサイクル発電プラントは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るコンバインドサイクル発電プラント1は、図示しない発電機に接続されたガスタービン2と、排ガスから熱を回収して蒸気を生成する竪型構造の排熱回収ボイラ3と、ダクト4と、抽気配管5,26と、ボイラ上流側接続配管8,17と、三方弁6,16と、流量調整弁9,19と、温度センサ10,11,18と、制御装置12と、蒸気タービン50とを備えている。制御装置12は、例えばROMやRAMなどのメモリおよびCPUを有するコンピュータであり、ROMに格納されたプログラムがCPUにより実行される。
【0016】
ガスタービン2は、圧縮機21、図示しない燃焼器、および排気口23が設けられたタービン22を備えている。圧縮機21は、圧縮途中の空気(圧縮機途中段の空気)である第1圧縮空気の出口である抽気口24、および圧縮終了の空気である第2圧縮空気の出口である吐出口25を有している。
【0017】
ガスタービン2においては、圧縮機21で生成された第2圧縮空気と燃料とを上記燃焼器で混合燃焼させ、発生した燃焼ガスをタービン22へ供給してタービン22の羽根を回転させることにより、燃焼ガスの熱エネルギーを回転運動エネルギーに変換する。タービン22からの排ガス(燃焼ガス)は排気口23から排出される。なお、ガスタービン2の燃料として、LNG(天然ガス)、水素ガス、副生ガス、および液体燃料等が挙げられる。
【0018】
ダクト4の一端は排気口23に接続されており、ダクト4の他端は排熱回収ボイラ3の下部に接続されている。排気口23から排出された排ガスはダクト4を通じて排熱回収ボイラ3内に流入される。
【0019】
また、コンバインドサイクル発電プラント1は、ダクト4に接続されガスタービン2からの排ガスを大気中に放出する煙管13と、ダクト4に設けられた排気バイパスダンパ41とをさらに備えている。
【0020】
排気バイパスダンパ41は、制御装置12の制御によって、排ガスを煙管13に流入させると共に排熱回収ボイラ3への排ガスの流入を遮断する第1位置P1又は排熱回収ボイラ3へ排ガスを流入させると共に煙管13への排ガスの流入を遮断する第2位置P2に位置される。排気バイパスダンパ41が第1位置P1に位置される場合とは、排ガスが排熱回収ボイラ3内に流入しないため、排熱回収ボイラ3による蒸気の生成が行われない場合である。即ち、蒸気タービン50に接続された図示しない発電機による発電が行われない場合である。これに対して、排気バイパスダンパ41が第2位置P2に位置される場合とは、排ガスが排熱回収ボイラ3内に流入するため、ガスタービン2に接続された図示しない発電機による発電と蒸気タービン50に接続された上記発電機による発電とが複合されて行われる場合である。なお、図1では、排気バイパスダンパ41が第1位置P1に位置された状態が実線により図示され、排気バイパスダンパ41が第2位置P2に位置された状態が二点鎖線により図示されている。
【0021】
排熱回収ボイラ3は、高圧熱交換器31および低圧熱交換器32を有している。高圧熱交換器31は、排ガスと、水および蒸気の一方又は両方との間で熱交換を行うことにより第1圧力(高圧)の蒸気を生成する。また、低圧熱交換器32は、高圧熱交換器31の下流側に配置されており、排ガスと、水および蒸気の一方又は両方との間で熱交換を行うことにより第1圧力よりも低い第2圧力(低圧)の蒸気を生成する。
【0022】
高圧熱交換器31と蒸気タービン50とは配管51により接続されている。また、低圧熱交換器32と蒸気タービン50とは、蒸気タービン50において下流端が配管51の下流端よりも下流側に配置された配管52により接続されている。高圧熱交換器31により生成された蒸気は配管51により蒸気タービン50に送られ、低圧熱交換器32により生成された蒸気は配管52により蒸気タービン50に送られる。
【0023】
抽気配管5の一端は圧縮機21の抽気口24に接続され、その他端は排熱回収ボイラ3内の高圧熱交換器31と低圧熱交換器32との間の領域に配置されている。本実施形態では、抽気配管5のうち、他端を含め排熱回収ボイラ3内に配置された部分(以下、予熱部分と記載)は低圧熱交換器32の図示しない管群のガス上流側全面を後述の圧縮空気によって覆えるように配置されている。上記の予熱部分には、低圧熱交換器32に向けて開口された複数の図示しない孔部が設けられており、この孔部から流出した第1圧縮空気又は後述の第2圧縮空気が低圧熱交換器32に向けて供給されるようになっている。これによって、低圧熱交換器32は第1圧縮空気又は第2圧縮空気により温められる。
【0024】
流量調整弁19は、抽気配管5に設けられており、抽気配管5内を流れる第1圧縮空気の量を制御する。流量調整弁19の動作は制御装置12により制御される。
【0025】
三方弁16は、抽気配管5において流量調整弁19よりも下流側の位置に設けられている。この三方弁16は、第1圧縮空気が流入する流入口16a、第1圧縮空気を流出させる第1流出口16b、および第1圧縮空気を排熱回収ボイラ3内の上記領域に流出させる第2流出口16cを有している。三方弁16の動作は制御装置12により制御される。ボイラ上流側接続配管17は、三方弁16の第1流出口16bとダクト4の排気バイパスダンパ41よりも上流側の部分とを接続している。
【0026】
抽気配管26の一端は圧縮機21の吐出口25に接続され、その他端は抽気配管5のうち三方弁16よりも下流側の部分に接続されている。この構成により、圧縮機21からの第2圧縮空気が抽気配管26,5を介して排熱回収ボイラ3内の高圧熱交換器31と低圧熱交換器32との間の領域に供給されるようになっている。
【0027】
流量調整弁9は、抽気配管26に設けられており、抽気配管26内を流れる第2圧縮空気の量を制御する。流量調整弁9の動作は制御装置12により制御される。
【0028】
三方弁6は、抽気配管26において流量調整弁9よりも下流側の位置に設けられている。この三方弁6は、第2圧縮空気が流入する流入口6a、第2圧縮空気を流出させる第1流出口6b、および第2圧縮空気を排熱回収ボイラ3内の上記領域に流出させる第2流出口6cを有している。三方弁6の動作は制御装置12により制御される。ボイラ上流側接続配管8は、三方弁6の第1流出口6bとダクト4の排気バイパスダンパ41よりも上流側の部分とを接続する。
【0029】
温度センサ10は、排熱回収ボイラ3内の上記領域の排ガス温度を検出し、その検出結果の信号を制御装置12に出力する。温度センサ18は、抽気配管5において流量調整弁19の上流側に配置され、抽気配管5内を流れる第1圧縮空気の温度を検出し、その検出結果の信号を制御装置12に出力する。温度センサ11は、抽気配管26において流量調整弁9の上流側に配置され、抽気配管26内を流れる第2圧縮空気の温度を検出し、その検出結果の信号を制御装置12に出力する。
【0030】
このような構成において、ガスタービン2の起動時、即ち温度センサ18により検出された温度と温度センサ10により検出された温度との差が所定値(第1所定値)よりも高い場合に、制御装置12は、抽気配管5を開放するように流量調整弁19を開状態とすると共に三方弁16の第1流出口16bを閉状態にしかつ第2流出口16cを開状態にする(第1予熱処理)。これにより、圧縮機21からの第1圧縮空気が抽気配管5を通じて排熱回収ボイラ3内の高圧熱交換器31と低圧熱交換器32との間の領域に送られる。これによって、低圧熱交換器32は第1圧縮空気により温められる。なお、第1予熱処理および後述の第2予熱処理は、排気バイパスダンパ41が第2位置P2に位置する場合に行われる。
【0031】
その後、制御装置12は、温度センサ18により検出された温度と温度センサ10により検出された温度との差が所定値以下になった際には、流量調整弁19の開状態を維持すると共に三方弁16の第2流出口16cを閉状態にしかつ第1流出口16bを開状態にする。これにより、圧縮機21からの第1圧縮空気は、ボイラ上流側接続配管17を通じて排熱回収ボイラ3内に流入する。このことによって、ガスタービン2の起動時のサージを防止することができる。
【0032】
ここで、制御装置12は、上記の第1予熱処理の代わりに、以下の第2予熱処理を行ってもよい。制御装置12は、温度センサ11により検出された温度と温度センサ10により検出された温度との差が所定値(第2所定値)よりも高い場合に、制御装置12は、抽気配管26を開放するように流量調整弁9を開状態とすると共に三方弁6の第1流出口6bを閉状態にしかつ第2流出口6cを開状態にする。これにより、圧縮機21からの第2圧縮空気が抽気配管26,5を通じて排熱回収ボイラ3内の高圧熱交換器31と低圧熱交換器32との間の領域に送られる。これによって、低圧熱交換器32は第2圧縮空気により温められる。その後、制御装置12は、温度センサ11により検出された温度と温度センサ10により検出された温度との差が所定値以下になった際には、流量調整弁9の開状態を維持すると共に三方弁6の第2流出口6cを閉状態にしかつ第1流出口6bを開状態にする。これにより、圧縮機21からの第2圧縮空気は、ボイラ上流側接続配管8を通じて排熱回収ボイラ3内に流入する。このことによって、ガスタービン2の低NOx運転を行うことができる。
【0033】
続いて、制御装置12による制御方法について説明する。図2は制御装置12による上述の第1予熱処理の流れを示すフローチャートである。
【0034】
制御装置12は、抽気配管5を開放するように流量調整弁19を開状態とすると共に三方弁16の第1流出口16bを閉状態にしかつ第2流出口16cを開状態にする(ステップS1)。これにより、圧縮機21からの第1圧縮空気が抽気配管5を通じて排熱回収ボイラ3内の高圧熱交換器31と低圧熱交換器32との間の領域に流入する。これによって、低圧熱交換器32は第1圧縮空気により温められる。
【0035】
続いて、制御装置12は、温度センサ18により検出された温度(図2ではT2と記載)と温度センサ10により検出された温度(図2ではT1と記載)との差が所定値よりも高いか否かを判別する(ステップS2)。上記差が所定値よりも高い場合には(ステップS2でYES)、ステップS3に進み、上記差が所定値以下である場合には(ステップS2でNO)、ステップS2の処理を繰り返す。
【0036】
ステップS3では、制御装置12は、流量調整弁19の開状態を維持すると共に三方弁16の第2流出口16cを閉状態にしかつ第1流出口16bを開状態にする。これにより、圧縮機21からの第1圧縮空気はボイラ上流側接続配管17を通じて排熱回収ボイラ3内に流入する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のコンバインドサイクル発電プラント1においては、圧縮機21からの第1圧縮空気又は第2圧縮空気が排熱回収ボイラ3内の高圧熱交換器31と低圧熱交換器32との間の領域に送られる。これにより、低圧熱交換器32は第1圧縮空気又は第2圧縮空気によって温められる。これによって、低圧熱交換器32により蒸気が生成されるまでの時間を短縮することができる。
【0038】
また、制御装置12による上述の第1予熱処理が終了した後、第1圧縮空気がボイラ上流側接続配管17を介して排熱回収ボイラ3内に送られる。或いは、制御装置12による上述の第2予熱処理が終了した後、第2圧縮空気がボイラ上流側接続配管18を介して排熱回収ボイラ3内に送られる。このような構成によって、ガスタービン2の起動時にはサージを防止することができ、ガスタービン2の運転時には低NOx運転を行うことができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るコンバインドサイクル発電プラント1aについて図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態においては、上述の第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0040】
図3に示すように、第2実施形態に係るコンバインドサイクル発電プラント1aは、排熱回収ボイラ3内において、高圧熱交換器31と低圧熱交換器32との間に中圧熱交換器33を備えている。中圧熱交換器33は、上述した第1圧力と第2圧力との間の圧力の蒸気を生成する。中圧熱交換器33と蒸気タービン50とは、蒸気タービン50において下流端が配管51の下流端よりも下流側であってかつ配管52の下流端よりも上流側に配置された配管53により接続されている。中圧熱交換器33により生成された蒸気は配管53により蒸気タービン50に送られる。
【0041】
抽気配管5の一端は、第1実施形態と同様に圧縮機21の抽気口24に接続され、その他端は排熱回収ボイラ3内の中圧熱交換器33と低圧熱交換器32との間の領域に配置されている。抽気配管5のうち、他端を含め排熱回収ボイラ3内に配置された部分(予熱部分)は低圧熱交換器32の図示しない管群のガス上流側全面を圧縮空気によって覆えるように配置されている。上記の予熱部分には、低圧熱交換器32に向けて開口された複数の図示しない孔部が設けられており、この孔部から流出した第1圧縮空気又は第2圧縮空気が低圧熱交換器32に向けて供給される。これによって、低圧熱交換器32は温められる。
【0042】
第2実施形態のコンバインドサイクル発電プラント1aにおいても、第1実施形態のコンバインドサイクル発電プラント1と同様に、ガスタービン2の起動時に、圧縮機21からの第1圧縮空気又は第2圧縮空気が排熱回収ボイラ3内の中圧熱交換器33と低圧熱交換器32との間の領域に送られる。これにより、低圧熱交換器32は温められる。これによって、低圧熱交換器32により蒸気が生成されるまでの時間を短縮することができる。また、ガスタービン2の起動時にはサージを防止することができ、ガスタービン2の運転時には低NOx運転を行うことができるという効果も第1実施形態と同様に奏される。
【0043】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0044】
上記第1および第2実施形態では、竪型構造の排熱回収ボイラ3を採用したが、これに限らず、横型構造の排熱回収ボイラを採用してもよい。
【0045】
また、上記第1および第2実施形態では、煙管13が設けられたコンバインドサイクル発電プラント1、1aについて説明したが、煙管13が設けられていないコンバインドサイクル発電プラントについても本発明を同様に適用することができる。
【0046】
また、上記第1および第2実施形態では、高圧蒸気の膨張過程の途中で低圧蒸気が導入される一段タイプの蒸気タービン50について例を挙げて説明したが、蒸気タービン50の構成はこれに限定されるものではなく、高圧蒸気により駆動される高圧蒸気タービンと、高圧蒸気タービンにシャフトにより連結され低圧蒸気により駆動される低圧蒸気タービンを含む二段タイプのものを採用してもよい。
【0047】
また、上記第1および第2実施形態では、三方弁6,16を採用したが、これに限定されるものではなく、三方弁6の代わりに、ボイラ上流側接続配管8に開閉弁を設けかつ抽気配管26の下流端の上流側に開閉弁を設けてもよい。また、三方弁16の代わりに、ボイラ上流側接続配管17に開閉弁を設けかつ抽気配管5の下流側部分に開閉弁を設けてもよい。
【0048】
また、上記第1および第2実施形態では、第1圧縮空気により低圧熱交換器32を温めた後、その第1圧縮空気を排熱回収ボイラ3内に抽気するようにしたが、第2圧縮空気を排熱回収ボイラ3内に抽気してもよい。また、第2圧縮空気により低圧熱交換器32を温めた後、その第2圧縮空気を排熱回収ボイラ3内に抽気するようにしたが、第1圧縮空気を排熱回収ボイラ3内に抽気してもよい。
【0049】
さらに、上記第1および第2実施形態では、三方弁6,16および流量調整弁9,19を制御装置12により制御するように構成したが、これらを別個独立して制御する各制御装置を設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 コンバインドサイクル発電プラント
2 ガスタービン
3 排熱回収ボイラ
4 ダクト
5 抽気配管(第1抽気配管)
6 三方弁(第2三方弁)
6a,16a 流入口
6b,16b 第1流出口
6c,16c 第2流出口
8 ボイラ上流側接続配管(第2ボイラ上流側接続配管)
9 流量調整弁(第2流量調整弁)
10 温度センサ(第1温度センサ)
11 温度センサ(第3温度センサ)
12 制御装置
16 三方弁(第1三方弁)
17 ボイラ上流側接続配管(第1ボイラ上流側接続配管)
18 温度センサ(第2温度センサ)
19 流量調整弁(第1流量調整弁)
21 圧縮機
22 タービン
23 排気口
24 抽気口
25 吐出口
31 高圧熱交換器
32 低圧熱交換器
50 蒸気タービン
図1
図2
図3