(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】光モジュール、光伝送装置、及び配線基板
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20221006BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20221006BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20221006BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20221006BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01S5/022
H01L31/02 C
H05K1/14 C
H05K1/11 D
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2018162685
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 大介
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072514(JP,A)
【文献】特開2009-004460(JP,A)
【文献】特開2013-149791(JP,A)
【文献】特開2007-207803(JP,A)
【文献】特開2008-198931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0071739(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/022
H01L 31/0232
H05K 1/14
H05K 1/11
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に配置され第1接続部が形成される金属上層と、積層方向に沿って内部に配置される金属下層とを含む、多層構造を有する、第1基板と、
前記第1基板の第1接続部と電気的に接続される第2接続部が裏面に形成される、第2基板と、
を備える光モジュールであって、
前記第1基板の前記第1接続部は、前記第2基板の前記第2接続部と対向するとともに、平面視して前記第2接続部と重畳して物理的に接続され、
一定の線幅で延伸する部分を含む第1信号線導体ストリップと、前記第1信号線導体ストリップに物理的に接続し第1の方向に延伸し前記第1接続部に形成される第1信号端子と、前記第1信号端子の両側それぞれに前記第1信号端子と離間して前記第1の方向にそれぞれ延伸し前記第1接続部に形成される1対の第1接地端子と、が前記第1基板の前記金属上層に配置され、
下側接地層が前記第1基板の前記金属下層に配置され、
前記第1信号端子と平面視して重畳して物理的に接続され前記第1の方向に延伸し前記第2接続部に形成される裏面信号端子と、前記1対の第1接
地端子と平面視して重畳して物理的に接続され前記第1の方向に延伸し前記第2接続部に形成される1対の裏面接地端子と、が前記第2基板の裏面に配置され、
前記第1基板の前記下側接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第1接地端子と電気的に接続される1対の第2接地端子と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延伸し前記1対の第2接地端子の先端部を物理的にかつ電気的に接続する下側接続接地部と、を含み、
前記1対の第2接地端子それぞれの内縁及び前記下側接続接地部の内縁を含んで、内側に金属層が形成されない下側開口部
が形成され、
前記下側開口部は、平面視して、前記第1信号線導体ストリップの、前記一定の線幅で延伸する部分と重畳する、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記第1基板の前記多層構造は、前記金属上層と前記金属下層との間に配置される、1又は複数の金属中間層を含み、
中間接地層が、前記1又は複数の金属中間層それぞれに配置され、
前記中間接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子及び前記1対の第2接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第1接地端子及び前記1対の第2接地端子と電気的に接続される1対の第3接地端子、を含み、
前記1対の第3接地端子それぞれの内縁を含んで、内側に金属層が形成されない中間層開口部を形成するとともに、前記中間層開口部は前記1対の第3接地端子の先端部に及ぶ、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光モジュールであって、
前記第1信号端子の先端部は、平面視して前記下側接地層の前記下側接続接地部の一部と重畳する、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記第1基板の前記多層構造は、前記金属下層より前記金属上層とは反対側に配置される、1又は複数の第1金属内側層を含み、
第1内側接地層が、前記1又は複数の第1金属内側層それぞれに配置され、
前記第1内側接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子及び前記1対の第2接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第2接地端子と電気的に接続される1対の第4接地端子と、前記第2の方向に延伸し前記1対の第4接地端子の先端部を物理的に接続する内側接続接地部と、を含み、
前記1対の第4接地端子それぞれの内縁及び前記内側接続接地部の内縁を含んで、内側に金属層が形成されない内側開口部を形成する、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記第1基板の前記多層構造は、前記金属下層より前記金属上層とは反対側に配置される、1又は複数の第2金属内側層を含み、
第2内側接地層が、前記1又は複数の第2金属内側層それぞれに配置され、
前記第2内側接地層は、平面視して前記下側開口部の内側と重畳する領域にも金属層が形成される、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光モジュールであって、
1又は複数の光素子を、さらに備え、
前記第1基板は、前記1又は複数の光素子と電気的に接続される配線基板である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の光モジュールであって、
前記第2基板は、フレキシブル基板である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記第1基板は、セラミック回路基板である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記第1基板が搭載される光サブアセンブリと、
他の光サブアセンブリと、
をさらに備え、
前記光サブアセンブリと、前記他の光サブアセンブリのいずれか一方が光送信器であり、他方が光受信器である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の光モジュールが搭載される、光伝送装置。
【請求項11】
1又は複数の光素子と電気的に接続される配線基板であって、
前記配線基板は、表面に第1接続部が形成される金属上層と、積層方向に沿って内部に位置する金属下層とを含む多層構造を有し、前記第1接続部が他の基板の第2接続部と電気的に接続され、
前記配線基板の前記第1接続部は、前記他の基板の前記第2接続部と対向するとともに、平面視して前記第2接続部と重畳して物理的に接続され、
一定の線幅で延伸する部分を含む第1信号線導体ストリップと、前記第1信号線導体ストリップに物理的に接続し第1の方向に延伸し前記第1接続部に形成される第1信号端子と、前記第1信号端子の両側それぞれに前記第1信号端子と離間して前記第1の方向にそれぞれ延伸し前記第1接続部に形成される1対の第1接地端子と、が前記配線基板の前記金属上層に配置され、
下側接地層が前記配線基板の前記金属下層に配置され、
前記下側接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第1接地端子と電気的に接続される1対の第2接地端子と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延伸し前記1対の第2接地端子の先端部を物理的に接続する下側接続接地部と、を含み、
前記1対の第2接地端子それぞれの内縁及び前記下側接続接地部の内縁を含んで、内側に金属層が形成されない下側開口部
が形成され、
前記下側開口部は、平面視して、前記第1信号線導体ストリップの、前記一定の線幅で延伸する部分と重畳する、
ことを特徴とする、配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール、光伝送装置、及び配線基板に関し、特に、インピーダンスの不整合を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光モジュールに、光サブアセンブリ(OSA:Optical SubAssembly)とプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)とを接続する接続基板が用いられている。ここで、接続基板は、例えばフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。接続基板には高周波伝送線路が配置されており、高周波伝送線路に高周波電気信号が伝送される。接続基板の高周波伝送線路を構成する信号線や接地導体層は所望の特性インピーダンス(例えば50Ω)となるように、信号線の幅や信号線と接地導体層との距離が設定されている。
【0003】
例えば光サブアセンブリと接続基板との接続部分においては、半田付けなどにより互いに接続されるが、接続部分の強度を確保するために、接続部分の端子(パッド部)の幅は信号線の線路幅よりも広く設定される場合がある。この場合、接続部分においてインピーダンス不整合が発生し、光モジュールの光波形品質を劣化させうる。特許文献1及び2に、接続部におけるインピーダンス不整合を軽減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-72514号公報
【文献】特開2010-212617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される技術では、基板の接続部に配置される接地導体端子が信号端子を囲うように配置させている。特許文献2に、信号端子の線幅が(伝送線路となる)信号線の線幅より広くするフレキシブル配線基板が開示されている。近年の光モジュールの小型化に伴い、各部品のサイズの縮小がのぞまれている。そのためには、接続部となる領域(端子が配置される領域)は狭くなるのが望ましい。特許文献1及び2に開示される技術では、接続部となる領域が広くなってしまい、インピーダンス不整合を軽減させつつ、小型化を実現することを難しくしている。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、インピーダンス不整合の抑制と小型化とが両立される、光モジュール、光伝送装置、及び配線基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る光モジュールは、表面に配置され第1接続部が形成される金属上層と、積層方向に沿って内部に配置される金属下層とを含む、多層構造を有する、第1基板と、前記第1基板の第1接続部と電気的に接続される第2接続部が裏面に形成される、第2基板と、を備える光モジュールであって、前記第1基板の前記第1接続部は、前記第2基板の前記第2接続部と対向するとともに、平面視して前記第2接続部と重畳して物理的に接続され、第1信号線導体ストリップと、前記第1信号線導体ストリップに物理的に接続し第1の方向に延伸し前記第1接続部に形成される第1信号端子と、前記第1信号端子の両側それぞれに前記第1信号端子と離間して前記第1の方向にそれぞれ延伸し前記第1接続部に形成される1対の第1接地端子と、が前記第1基板の前記金属上層に配置され、下側接地層が前記第1基板の前記金属下層に配置され、前記第1信号端子と平面視して重畳して物理的に接続され前記第1の方向に延伸し前記第2接続部に形成される裏面信号端子と、前記1対の第1接続端子と平面視して重畳して物理的に接続され前記第1の方向に延伸し前記第2接続部に形成される1対の裏面接地端子と、が前記第2基板の裏面に配置され、前記第1基板の前記下側接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第1接地端子と電気的に接続される1対の第2接地端子と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延伸し前記1対の第2接地端子の先端部を物理的にかつ電気的に接続する下側接続接地部と、を含み、前記1対の第2接地端子それぞれの内縁及び前記下側接続接地部の内縁を含んで、内側に金属層が形成されない下側開口部を形成する、ことを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)に記載の光モジュールであって、前記第1基板の前記多層構造は、前記金属上層と前記金属下層との間に配置される、1又は複数の金属中間層を含み、中間接地層が、前記1又は複数の金属中間層それぞれに配置され、前記中間接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子及び前記1対の第2接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第1接地端子及び前記1対の第2接地端子と電気的に接続される1対の第3接地端子、を含み、前記1対の第3接地端子それぞれの内縁を含んで、内側に金属層が形成されない中間層開口部を形成するとともに、前記中間層開口部は前記1対の第3接地端子の先端部に及んでいてもよい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載の光モジュールであって、前記第1信号端子の先端部は、平面視して前記下側接地層の前記下側接続接地部の一部と重畳してもよい。
【0010】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1基板の前記多層構造は、前記金属下層より前記金属上層とは反対側に配置される、1又は複数の第1金属内側層を含み、第1内側接地層が、前記1又は複数の第1金属内側層それぞれに配置され、前記第1内側接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子及び前記1対の第2接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第2接地端子と電気的に接続される1対の第4接地端子と、前記第2の方向に延伸し前記1対の第4接地端子の先端部を物理的に接続する内側接続接地部と、を含み、前記1対の第4接地端子それぞれの内縁及び前記内側接続接地部の内縁を含んで、内側に金属層が形成されない内側開口部を形成してもよい。
【0011】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1基板の前記多層構造は、前記金属下層より前記金属上層とは反対側に配置される、1又は複数の第2金属内側層を含み、第2内側接地層が、前記1又は複数の第2金属内側層それぞれに配置され、前記第2内側接地層は、平面視して前記下側開口部の内側と重畳する領域にも金属層が形成されてもよい。
【0012】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光モジュールであって、1又は複数の光素子を、さらに備え、前記第1基板は、前記1又は複数の光素子と電気的に接続される配線基板であってもよい。
【0013】
(7)上記(6)に記載の光モジュールであって、前記第2基板は、フレキシブル基板であってもよい。
【0014】
(8)上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1基板は、セラミック回路基板であってもよい。
【0015】
(9)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1基板が搭載される光サブアセンブリと、他の光サブアセンブリと、をさらに備え、前記光サブアセンブリと、前記他の光サブアセンブリのいずれか一方が光送信器であり、他方が光受信器であってもよい。
【0016】
(10)本発明に係る光伝送装置は、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の光モジュールが搭載されてもよい。
【0017】
(11)本発明に係る配線基板は、1又は複数の光素子と電気的に接続される配線基板であって、前記配線基板は、表面に第1接続部が形成される金属上層と、積層方向に沿って内部に位置する金属下層とを含む多層構造を有し、前記第1接続部が他の基板の第2接続部と電気的に接続され、前記配線基板の前記第1接続部は、前記他の基板の前記第2接続部と対向するとともに、平面視して前記第2接続部と重畳して物理的に接続され、第1信号線導体ストリップと、前記第1信号線導体ストリップに物理的に接続し第1の方向に延伸し前記第1接続部に形成される第1信号端子と、前記第1信号端子の両側それぞれに前記第1信号端子と離間して前記第1の方向にそれぞれ延伸し前記第1接続部に形成される1対の第1接地端子と、が前記配線基板の前記金属上層に配置され、下側接地層が前記配線基板の前記金属下層に配置され、前記下側接地層は、平面視して前記1対の第1接地端子と重畳し前記第1の方向に延伸するとともに前記1対の第1接地端子と電気的に接続される1対の第2接地端子と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延伸し前記1対の第2接地端子の先端部を物理的に接続する下側接続接地部と、を含み、前記1対の第2接地端子それぞれの内縁及び前記下側接続接地部の内縁を含んで、内側に金属層が形成されない下側開口部を形成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、インピーダンス不整合の抑制と小型化とが両立される、光モジュール、、光伝送装置、及び配線基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光伝送装置及び光送受信モジュールの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光モジュール主要部の構造を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る光サブアセンブリの構造を示す概略図である。
【
図4A】本発明にかかるフィードスルーの一般的な構造を示す断面図である。
【
図4B】本発明の第1の実施形態に係るフィードスルーの金属上層の構造を示す模式図である。
【
図4C】本発明の第1の実施形態に係るフィードスルーの金属中間層の構造を示す模式図である。
【
図4D】本発明の第1の実施形態に係るフィードスルーの金属下層の構造を示す模式図である。
【
図4E】本発明に係るフィードスルーの第2金属内側層の構造を示す模式図である。
【
図5A】本発明の第1の実施形態に係るフィードスルーの金属上層の構造を示す模式図である。
【
図5B】本発明の第1の実施形態に係るフィードスルーの金属中間層の構造を示す模式図である。
【
図5C】本発明の第1の実施形態に係るフィードスルーの金属下層の構造を示す模式図である。
【
図6A】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル基板の構造を示す模式図である。
【
図6B】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル基板の構造を示す模式図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る光モジュールの特性を示す図である。
【
図8A】本発明の第2の実施形態に係るフィードスルーの金属上層の構造を示す模式図である。
【
図8B】本発明の第2の実施形態に係るフィードスルーの第2金属内側層の構造を示す模式図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る光モジュールの特性を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る光モジュールの特性を示す図である。
【
図11】比較例に係る光モジュールの特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光伝送装置1及び光送受信モジュール2の構成を示す模式図である。光伝送装置1は、プリント回路基板11とIC12を備えている。光伝送装置1は、例えば、大容量のルータやスイッチである。光伝送装置1は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。光伝送装置1に、複数の光送受信モジュール2が搭載されており、光送受信モジュール2より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、IC12などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、プリント回路基板11を介して、該当する光送受信モジュール2へそのデータを伝達する。
【0022】
光送受信モジュール2は、送信機能及び受信機能を有するトランシーバである。光送受信モジュール2は、プリント回路基板21と、光ファイバ3Aを介して受信する光信号を電気信号に変換する光受信モジュール23Aと、電気信号を光信号に変換して光ファイバ3Bへ送信する光送信モジュール23Bと、を含んでいる。本明細書において光モジュール4(図示せず)は、光受信モジュール23A又は光送信モジュール23Bのいずれかである。プリント回路基板21と、光受信モジュール23A及び光送信モジュール23Bとは、それぞれフレキシブル基板22A,22B(FPC)を介して接続されている。光受信モジュール23Aより電気信号がフレキシブル基板22Aを介してプリント回路基板21へ伝送され、プリント回路基板21より電気信号がフレキシブル基板22Bを介して光送信モジュール23Bへ伝送される。光送受信モジュール2と光伝送装置1とは電気コネクタ5を介して接続される。光受信モジュール23Aや光送信モジュール23Bは、プリント回路基板21に電気的に接続され、光信号/電気信号を電気信号/光信号にそれぞれ変換する。プリント回路基板21は、光受信モジュール23Aより伝送される電気信号を制御する制御回路(例えばIC)や、光送信モジュール23Bへ伝送する電気信号を制御する制御回路(例えばIC)を備えている。
【0023】
当該実施形態に係る伝送システムは、2個以上の光伝送装置1と2個以上の光送受信モジュール2と、1個以上の光ファイバ3(図示せず:例えば光ファイバ3A,3B)を含む。各光伝送装置1に、1個以上の光送受信モジュール2が接続される。2個の光伝送装置1にそれぞれ接続される光送受信モジュール2の間を、光ファイバ3が接続している。一方の光伝送装置1が生成した送信用のデータが接続される光送受信モジュール2によって光信号に変換され、かかる光信号を光ファイバ3へ送信される。光ファイバ3上を伝送する光信号は、他方の光伝送装置1に接続される光送受信モジュール2によって受信され、光送受信モジュール2が光信号を電気信号へ変換し、受信用のデータとして当該他方の光伝送装置1へ伝送する。
【0024】
光送受信モジュール2に備えられる光受信モジュール23Aは、1又は複数の光サブアセンブリを備えている。ここで、1又は複数の光サブアセンブリそれぞれは、1又は複数の受光素子を備えるROSA(Receiver Optical SubAssembly)である。光受信モジュール23Aが複数のROSAを備える場合、フレキシブル基板22Aは複数のサブフレキシブル基板を備える。また、光送信モジュール23Bは、1又は複数の光サブアセンブリを備えている。ここで、1又は複数の光サブアセンブリそれぞれは、1又は複数の発光素子を備えるTOSA(Transmitter Optical SubAssembly)である。光送信モジュール23Bが複数のTOSAを備える場合、フレキシブル基板22Bは複数のサブフレキシブル基板を備える。なお、当該実施形態に係る光送信モジュール23Bは、100Gbit/s級の光信号の伝送を行うTOSAを1つ備えており、TOSAは、4個の発光素子を備えるボックス型TOSAである。
【0025】
本発明に係る光モジュールは、1又は複数の光素子を備える光サブアセンブリと、1又は複数の光素子を制御する制御回路を備えるプリント回路基板と、光サブアセンブリとプリント回路基板とを接続する接続基板と、を備える。ここで、当該実施形態に係る光サブアセンブリは、光送信モジュール23Bに備えられるTOSAであり、プリント回路基板に備えられる制御回路(例えばIC)は、TOSAに備えられる1又は複数の発光素子を制御する。当該実施形態に係る接続基板はフレキシブル基板である。本明細書において、光素子は、受光素子又は発光素子であり、受光素子は光信号を電気信号に変換する光素子であり、発光素子は電気信号を光信号に変換する光素子である。
【0026】
図2は、当該実施形態に係る光モジュール4主要部の構造を示す図である。図に示す光モジュール4は、
図1に示す光送受信モジュール2である。光サブアセンブリ31と、フレキシブル基板32(第2基板)と、プリント回路基板33を備えており、光サブアセンブリ31は、光送信モジュール23Bに備えられるボックス型TOSAであり、フレキシブル基板32との接続するために、フィードスルー36(第1基板)が搭載されている。ここで、フィードスルー36は光サブアセンブリ31に備えられる配線基板であり、セラミック基板からなる。フィードスルー36は光サブアセンブリ31の筐体の内外をつないでいる配線基板である。フレキシブル基板32は、
図1に示すフレキシブル基板22Bであり、プリント回路基板33は、
図1に示すプリント回路基板21である。なお、本発明に係る光モジュールは、光送受信モジュールに限定されることはなく、光送信器である光サブアセンブリ(TOSA)のみが搭載される光モジュール、光受信器である光サブアセンブリ(ROSA)モジュールのみが搭載される光モジュール、光送受信機である光サブアセンブリ(BOSA:Bidirectional Optical Subassembly)であってもよい。ここで、光サブアセンブリ31は、光送信モジュール23BがTOSAであり、光サブアセンブリ31に備えられる光素子は発光素子であるとしたが、光受信モジュール23Aが備えるROSAであってもよく、この場合、光サブアセンブリ31に備えられる光素子はフォトダイオードなどの受光素子である。また、光サブアセンブリ31はBOSAであってもよく、この場合、光サブアセンブリ31に備えられる光素子は発光素子及び受光素子である。
【0027】
図3は、当該実施形態に係る光サブアセンブリ31の構造を示す概略図である。前述の通り、光サブアセンブリ31は4個(4ch)の発光素子を備えるボックス型のTOSAである。
図3は光サブアセンブリ31の平面図であるが、内部の構造を説明するために筺体の蓋部分を省略している。なお、説明を容易にするために、x軸及びy軸が
図3に示されている。光サブアセンブリ31は、4個の発光素子34(LD:Laser Diode)と、4個の発光素子34が搭載されるサブマウント35と、フィードスルー36と、光学部品37と、スリーブ38と、を備える。サブマウント35の表面には、金属パターンが形成されており、4個の発光素子34と電気的に接続されている。サブマウント35とフィードスルー36とは、接続ワイヤ39で接続されている。光学部品37は、4個の発光素子34が出射する光信号を、平行化し、合波して、スリーブ38へ入射させる。発光素子34は、直接変調型DFB(分布帰還型:Distributed FeedBack)レーザであってもよいし、EA(Electro-Absorption)変調器集積DFBレーザであってもよく、また他のレーザ素子などであってもよい。
【0028】
フィードスルー36は、複数の金属層を含む多層構造を有する。
図3に示す通り、フィードスルー36には、4個(4ch)のコプレーナ線路(Coplanar Line)が形成されている。かかるコプレーナ線路はいわゆるグランド(接地導体層)付コプレーナ線路となっている。フィードスルー36の第1接続部36A(表面)に、x軸方向(第2の方向)に沿って順に、5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eが配置される。5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eのうち、隣りあう2個の第1接地パッド部に、4個の第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dそれぞれがx軸方向に沿って順に配置される。5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eは、5個の第1接地導体膜83A,83B,83C,83D,83Eと、それぞれ物理的に接している。4個の第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dは、4個の第1信号線導体ストリップ84A,84B,84C,84Dと、それぞれ物理的に接している。フィードスルー36には4個(4ch)のコプレーナ線路が形成されている。例えば、第1信号線導体ストリップ84Aと、第1接地導体膜83A,83Bとを含んで1個のコプレーナ線路が構成される。第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dそれぞれ、及び第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eそれぞれは、y軸方向(第1の方向)に延伸する矩形状を有している。第1信号線導体ストリップ84A,84B,84C,84Dはそれぞれ、y軸方向に沿って一定の線幅で延伸しているが、必要に応じて屈曲したりy軸方向に斜交して延伸している。第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dの線幅(矩形状の短手方向の長さ)は、半田などによる接続を確保する観点により、第1信号線導体ストリップ84A,84B,84C,84Dの線幅より、大きい(広い)のが望ましい。それゆえ、第1信号線導体ストリップ84は、第1信号パッド部82側の端部において、線幅が徐々に広くなる移行領域を有している。また、第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dの先端部(+y軸方向の端部)は、第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eの先端部よりも手前(-y軸方向)に留まっている。第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eの先端部は、第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dの先端部より、延伸方向に沿って突出している。
【0029】
図4Aは、本発明にかかるフィードスルー36の一般的な構造を示す断面図である。なお、説明を容易にするために、
図3に示すx軸及びy軸に対応して、y軸及びz軸が
図4Aに示されている。前述の通り、フィードスルー36は、複数の金属層を含む多層構造を有しており、多層構造は、積層方向(z軸方向)に沿って順に、表面に第1接続部36Aが形成される金属上層ULと、1又は複数の金属中間層MLと、金属下層LLと、1又は複数の第1金属内側層IL1と、1又は複数の第2内側層IL2と、を含んでいる。金属上層ULはフィードスルー36の表面に配置され、金属上層ULに第1接続部36Aが形成される。金属下層LLは、積層方向(z軸方向)に沿って内部に配置される。金属中間層MLは、金属上層ULと金属化層LLとの間に配置される。第1金属内側層IL1は、金属下層LLより金属上層ULとは反対側に配置される。第2金属内側層IL2は、同様に、金属下層LLより金属上層ULとは反対側に配置される。多層構造が第1金属内側層IL1を含む場合は、第2金属内側層IL2は第1金属内側層IL1よりさらに内部(下側)に配置される。なお、1又は複数の金属中間層ML、1又は複数の第1金属内側層IL1、及び1又は複数の第2内側層IL2は、必須の金属層ではなく、必要に応じて配置されても配置されなくてもよい。当該実施形態におけるフィードスルー36の多層構造は、金属上層ULと、1の金属中間層MLと、金属下層LLと、からなる。
【0030】
図4Bは、当該実施形態に係るフィードスルー36の金属上層ULの構造を示す模式図である。
図4Cは、当該実施形態に係るフィードスルー36の金属中間層MLの構造を示す模式図である。
図4Dは、当該実施形態に係るフィードスルー36の金属下層LLの構造を示す模式図である。なお、説明を容易にするために、
図3に示すx軸及びy軸に対応して、x軸、y軸、及びz軸が
図4A、
図4B、及び
図4Cにそれぞれ示されている。
図3及び
図4Bに示す通り、フィードスルー36の表面である金属上層ULに、5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81E、及び4個の第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dが配置されている。
図4C及び
図4Dに示す通り、金属中間層MLに中間接地層90が、金属下層LLに下側接地層95が、それぞれ配置される。
【0031】
図4Dに示す通り、下側接地層95は、5個の第2接地パッド部96A,96B,96C,96D,96Eと4個の下側接続接地部97とを含む。5個の第2接地パッド部96A,96B,96C,96D,96Eは、平面視して5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eとそれぞれ重畳し、y軸方向(第1の方向)に延伸するとともに、5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eとそれぞれ電気的に接続される。4個の下側接続接地部97は、x軸方向(第2の方向)に延伸し、5個の第2接地パッド部96A,96B,96C,96D,96Eのうち隣り合う第2接地パッド部96の先端部それぞれを物理的にかつ電気的に接続する。5個の第2接地パッド部96A,96B,96C,96D,96Eのうち隣り合う2個の第2接地パッド部96それぞれの内縁及び該2個の第2接地パッド部96を接続する下側接続接地部97の内縁を含んで、内側に金属層が形成されない下側開口部98が形成される。ここでは、4個の下側開口部98A,98B,98C,98Dがそれぞれ形成される。ここで、隣り合う2個の第2接地パッド部96それぞれの内縁は、x軸方向に延伸する第2接地パッド部96の両側の縁のうち、隣り合う第2接地パッド部96に対向する側の縁である。下側接続接地部97の内縁は、y軸方向に延伸する下側接続接地部97の両側の縁のうち、フィードスルー36の端部側とは反対側(-y軸方向)の縁である。なお、前述の通り、第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dの先端部は、第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81Eの先端部よりも手前に留まっている。それゆえ、第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dは、下側接地層95と平面視して重畳していない。言い換えれば、下側接地層95の下側開口部98は、平面視して第1信号パッド部82の外側に広がっている。下側開口部98は、両側(±x軸方向)の第2接地パッド部96と下側接続接地部97(+y軸方向)とにより囲われている。下側接続接地部97と反対側(-y軸方向)にも接地導体層の縁が存在するが、この配置については設計者が自由に決めればよい。かかる接地導体層の縁は、平面視して第1信号パッド部82の外側(-y軸方向)に広がっていればよい。インピーダンス整合の観点から、下側接地導体層95の下側開口部98は、平面視して、第1信号線導体ストリップ84の移行領域を含んでいてもよいし、さらに、第1信号線導体ストリップ84の一定の線幅で延伸する部分を含んでいてもよい。また、下側開口部98は完全に閉じたループによって構成されている必要はなく、サブマウント35側の端部において開いていてもよい(ループの一部によって構成されていてもよい)。なお、当該実施形態において、第2の方向とは第1の方向と交差する方向であり、第2の方向が第1の方向となす角度は、85°以上90°以下が望ましく、実質的に直角となる角度がさらに望ましい。理想的には直角である。
【0032】
図4Cに示す通り、中間接地層90は、5個の第3接地パッド部91A,91B,91C,91D,91Eを含む。5個の第3接地パッド部91A,91B,91C,91D,91Eは、平面視して5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81E及び第2接地パッド部96A,96B,96C,96D,96Eとそれぞれ重畳し、y軸方向(第1の方向)に延伸するとともに、5個の第1接地パッド部81A,81B,81C,81D,81E及び第2接地パッド部96A,96B,96C,96D,96Eとそれぞれ電気的に接続される。5個の第3接地パッド部91A,91B,91C,91D,91Eのうち隣り合う2個の第3接地パッド部91それぞれの内縁を含んで、内側に金属層が形成されない中間開口部93が形成される。ここでは、4個の中間開口部93A,93B,93C,93Dがそれぞれ形成される。4個の中間開口部93A,93B,93C,93Dそれぞれは、隣り合う第3接地パッド部91の先端部に及んでいる。ここで、中間接地層90には、下側接地層95と異なり、接続接地部が形成されていない。それゆえ、中間開口部93が隣り合う第3接地パッド部91の先端部に及んでいるとは、中間開口部93の内縁は第3接地パッド部91の先端部に及ぶことにより、先端部において閉じたループによって構成されておらず、開いていることを意味する。
【0033】
当該実施系に係るフィードスルー36では、前述の通り、金属上層UL、金属中間層ML、及び金属下層LLの3層構造となっているが、これに限定されることはない。金属下層LLの下側に、
図4Dに示す下側接地層95と同じ構造の第1内側接地層が配置される、第1金属内側層IL1をさらに含んでいてもよい。金属下層LLの下側に、
図4Eに示す第2内側接地層99が配置される、第2金属内側層IL2をさらに含んでいてもよい。前述の通り、多層構造が第1金属内側層IL1を含む場合は、第2金属内側層IL2は第1金属内側層IL1のさらに下側に配置される。
【0034】
図4Eは、本発明に係るフィードスルー36の第2金属内側層IL2の構造を示す模式図である。
図4Eに示す通り、第2内側接地層99が第2金属内側層IL2に配置され、第2内側接地層99は、平面視して金属上層ULに配置される4個の第1信号パッド部82A,82B,82C,82Dと重畳している。また、平面視して金属下層LLに配置される下側接地層95とも重畳している。第2内側接地層99は、一様に広がる接地導体層であり、平面視して4個の下側開口部98A,98B,98C,98Dそれぞれと重畳する領域にも金属層が形成されている。
【0035】
以下、当該実施形態に係るフィードスルー36の構造について詳細を説明する。説明を簡単にするために、第1接続部36Aに形成される第1信号パッド部82Bと1対の第1接地パッド部81B,81Cと、それらに関連するパッド部に限定して説明する。
【0036】
図5Aは、当該実施形態に係るフィードスルー36の金属上層ULの構造を示す模式図である。
図5Bは、当該実施形態に係るフィードスルー36の金属中間層MLの構造を示す模式図である。
図5Cは、当該実施形態に係るフィードスルー36の金属下層LLの構造を示す模式図である。x軸及びy軸が、
図5A、
図5B、及び
図5Cにそれぞれ示されている。第1信号パッド部82Bと1対の第1接地パッド部81B,81Cとは、金属上層ULに配置される。第1信号パッド部82Bは、第1信号線導体ストリップ84Bに物理的に接続するとともに、y軸方向(第1の方向)に延伸し、第1接続部36Aに形成される。1対の第1接地パッド部81B,81Cは、第1信号パッド部82Bの両側それぞれに、第1信号パッド部82Bと離間して、y軸方向にそれぞれ延伸し、第1接続部36Aに形成される。前述の通り、第1信号パッド部82Bの先端部は、第1接地パッド部81B,81Cの先端部より手前に留まっている。
【0037】
図5Cに示す通り、下側接地層95が金属下層LLに配置される。下側接地層95は、1対の第2接地パッド部96B,96Cと下側接続接地部97とを含む。1対の第2接地パッド部96B,96Cは、平面視して1対の第1接地パッド部81B,81Cと重畳し、y軸方向に延伸するとともに、1対の第1接地パッド部81B,81Cと電気的に接続される。1対の第2接地パッド部96B,96Cは、1対の第1接地パッド部81B,81Cとヴィアホール85を介してそれぞれ電気的に接続される。ここでは、1対の第1接地パッド部81B,81Cと1対の第2接地パッド部96B,96Cとは、それぞれ1対の第3接地パッド部91B,91Cを介して電気的に接続されており、1対の第1接地パッド部82B,82Cと1対の第3接地パッド部92B,92Cとがヴィアホール85を介して電気的に接続され、1対の第3接地パッド部92B,92Cと1対の第2接地パッド部97B,92Cとが同様にヴィアホール85を介して電気的に接続される。なお、下側接地層95の下側接続接地部97の線幅は第2接地パッド部96の線幅より小さく(狭く)なっている。下側接続接地部97にはヴィアホール85は形成されていない。
【0038】
図5Bに示す通り、中間接地層90が金属中間層MLに配置される。中間接地層90は、1対の第3接地パッド部91B,91Cを含む。1対の第3接地パッド部91B,91Cは、平面視して1対の第1接地パッド部81B,81C及び1対の第2接地パッド部96B,96Cと重畳し、y軸方向に延伸するとともに、1対の第1接地パッド部81B,81C及び1対の第2接地パッド部96B,96Cと電気的に接続される。
【0039】
図6A及び
図6Bは、当該実施形態に係るフレキシブル基板32の構造を示す模式図である。フレキシブル基板32に、4個(4ch)のグランド付コプレーナ線路が形成されているが、ここでは、説明を簡単にするために、1個のグランド付コプレーナ線路が示されている。フレキシブル基板32は柔軟性を有する誘電体層40をベースとしている。なお、説明を容易にするために、
図3に示すx軸及びy軸に対応して、x軸及びy軸が
図6A及び
図6Bに示されている。
図6Aに示す通り、当該実施形態に係るフレキシブル基板32(の誘電体層40)の表面に、1対の接地導体膜41と第2信号線導体ストリップ42とが形成される。第2信号線導体ストリップ42は、y軸方向に沿って一定の線幅で延伸しているが、必要に応じて屈曲したりy軸方向に斜交して延伸していてもよい。第2信号線導体ストリップ42の両側に1対の接地導体膜41が配置されている。フレキシブル基板32(の誘電体層40)の表面に、さらに、1対の表面接地パッド部43と表面信号パッド部44とが形成される。1対の表面接地パッド部43と表面信号パッド部44はともに、y軸方向に延伸する矩形状を有している。表面信号パッド部44は、第2信号線導体ストリップ42と物理的に接続している。表面信号パッド部44の線幅は第2信号線導体ストリップ42の線幅より大きいのが望ましく、第2信号線導体ストリップ42は、表面信号パッド部44側の端部において、線幅が徐々に広くなる移行領域を有している。1対の接地導体膜41は、1対の表面接地パッド部43とそれぞれ、物理的に接している。
【0040】
図6Bに示す通り、当該実施形態に係るフレキシブル基板32(の誘電体層40)の裏面に、裏面接地導体層45と裏面信号パッド部46とが形成される。裏面接地導体層45は1対の裏面接地パッド部47を含む。裏面信号パッド部46と1対の裏面接地パッド部47とは、フレキシブル基板32の裏面のうち、第2接続部32Aに形成される。フィードスルー36の第1接続部36Aは、フレキシブル基板32の第2接続部32Aと対向するとともに、平面視して第2接続部32Aと重畳して物理的に接続される。すなわち、裏面信号パッド部46は第1信号パッド部82と、1対の裏面接地パッド部47は1対の第1接地パッド部81と、対向するとともに平面視して重畳してそれぞれ物理的に接続される。1対の裏面接地パッド部47と裏面信号パッド部46はともに、y軸方向に延伸する矩形状を有している。1対の表面接地パッド部43及び表面信号パッド部44は、1対の裏面接地パッド部47及び裏面信号パッド部46とそれぞれ、平面視して重畳し、ヴィアホール49を介して電気的に接続される。表面信号パッド部44の矩形状は、裏面信号パッド部47の矩形状と実質的に一致しているのが望ましい。同様に、1対の表面接地パッド部43の矩形状は、1対の裏面接地パッド部47の矩形状と、実質的に一致しているのが望ましい。また、第1信号パッド部82及び1対の第1接地パッド部81との位置関係と異なり、表面信号パッド部44の第2信号線導体ストリップ42側の端部(
図6Aの下端)は、1対の表面接地パッド部43の端部とy軸方向において同じ位置となっている。同様に、裏面信号パッド部46の端部(
図6Bの下端)は、1対の裏面接地パッド部47の端部とy軸方向において同じ位置となっている。裏面接地導体層45の主要部と1対の裏面接地パッド部47と物理的に接続しており、裏面接地導体層45は裏面信号パッド部46と離間して配置される。第1信号パッド部82Bの先端部は、第1接地パッド部81B,81Cの先端部より手前に留まっているので、裏面信号パッド部46の一部(
図6Bの下端を含む一部分)は第1信号パッド部82Bと重畳していないが、特性上は実質的に問題ない。なお、フレキシブル基板32の表面に、接地導体層が形成され、裏面に信号配線が形成され、信号配線が形成される面側で第1接続部36Aと接続されても構わない。
【0041】
図7は、当該実施形態に係る光モジュール4の特性を示す図である。
図7は、光サブアセンブリ31において、第1接続部36Aの発光素子34側の端部(フレキシブル基板32の端部)から発光素子34までの領域MにおけるS21透過特性(dB)を周波数(GHz)の関数として示したものである。
図7に示す通り、周期的に発生しうるS21透過特性のディップ(DIP)が抑制されている。第1信号パッド部82の線幅が、第1信号線導体ストリップ84の線幅より広くなっていることに伴うインピーダンス減少を、下側接地層95の下側開口部98により補償している。従来と比べて、下側接続接地部97によりその効果がさらに高まっている。これにより、当該実施形態に係る光モジュール4では、インピーダンス整合と小型化とが両立されている。
【0042】
[第2の実施形態]
図8Aは本発明の第2の実施形態に係るフィードスルー36の金属上層ULの構造を示す模式図であり、
図8Bは当該実施形態に係るフィードスルー36の第2金属内側層IL2の構造を示す模式図である。当該実施形態に係るフィードスルー36の多層構造は、金属上層ULと、金属中間層MLと、金属下層LLと、第2金属内側層IL2と、からなる4層構造である。
図8Aに示す当該実施形態に係る金属上層ULは、
図5Aに示す第1の実施形態に係る金属上層ULと、第1信号パッド部82Bの構造が異なっている以外、同じ構造を有している。第1の実施形態に係る第1信号パッド部82Bの先端部が、第1接地パッド部81B,81Cの先端部より手前に留まっているのに対して、当該実施形態に係る第1信号パッド部82Bの先端部は、第1接地パッド部81B,81Cの先端部と、y軸方向において同じ位置となっている。当該実施形態に係る金属中間層ML(中間接地層90)及び金属下層LL(下側接地層95)の構造は、第1の実施形態と同じである。当該実施形態に係るフィードスルー36の多層構造は、第1の実施形態と異なり、第2金属内側層IL2をさらに含んでおり、第2金属内側層IL2に第2内側接地層99が配置される。第2内側接地層99は、平面視して金属上層ULに配置される第1信号パッド部82Bと重畳している。また、平面視して金属下層LLに配置される下側接地層95とも重畳している。第2内側接地層99は、一様に広がる接地導体層であり、平面視して下側開口部98Bと重畳する領域にも金属層が形成されている。
【0043】
当該実施形態に係るフレキシブル基板32は、
図6A及び
図6Bに示す第1の実施形態に係るフレキシブル基板32と同じ構造をしている。第1信号パッド部82Bの先端部が第1接地パッド部81A,82Bの先端部とy軸方向において同じ位置となっており、第1の実施形態と異なり、第1信号パッド部82と裏面信号パッド部46(及び表面信号パッド部44)は同じ形状をしており、平面視して一致するように配置されるのが望ましい。
【0044】
当該実施形態に係るフィードスルー36は、金属上層ULに配置される第1信号パッド部82Bの先端部が第1接地パッド部81B,81Cの先端部とy軸方向において同じ位置となっていることにより、平面視して金属下層LLに配置される下側接地層95の下側接続接地部97の一部と重畳している。第1信号パッド部82Bを下側接地層95の一部と平面視して積極的に重畳させることによりインピーダンス整合に対して顕著な効果を奏する。
【0045】
ここで、当該実施形態に係るフィードスルー36の効果を比較するための比較例に係るフィールスルーについて説明する。比較例にかかるフィードスルーの多層構造は、
図8Aに示す金属上層ULと、
図5Bに示す中間接地層90がそれぞれ配置される、2の金属中間層MLと、
図8Bに示す第2内側接地層99が配置される1の第2金属内側層IL2と、からなる4層構造である。当該実施形態に係るフィードスルー36と比較例に係るフィードスルーとは、ともに4層構造であるが、表面から下方へ第3層目となる金属層の構造が異なっている。当該実施形態に係るフィードスルー36において、第1信号パッド部82は第3層目に配置される下側接地層95の一部(下側接続接地部97の一部)と平面視して重畳している。これに対して、比較例に係るフィードスルーにおいて、第1信号パッド部は、当該実施形態と異なり、金属中間層MLに第3層目となる中間接地層90(と同じ構造の接地導体層)に接続接地部がないために、中間接地層90とは平面視して重畳していない。
【0046】
図9は、当該実施形態に係る光モジュール4の特性を示す図である。
図11は、比較例に係る光モジュールの特性を示す図である。
図9及び
図11は、
図7と同様に、光サブアセンブリ31におけるS21透過特性(dB)を周波数(GHz)の関数として示したものである。
図9に示す通り、
図11と比較して、高周波数領域において、周期的に発生しうるS21透過特性のディップ(DIP)が抑制されている。
【0047】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るフィードスルー36の多層構造は、
図8Aに示す金属上層ULと、
図5Cに示す金属下層LLと、
図5Cに示す下側接地層95と同じ構造の第1内側接地層を有する第1金属内側層IL1と、
図8Bに示す第2金属内側層IL2と、からなる4層構造である。当該実施形態に係るフレキシブル基板32は、第1及び第2の実施形態と同じ構造を有している。
【0048】
図10は、当該実施形態に係る光モジュール4の特性を示す図である。
図10に示す通り、高周波数領域において、周期的に発生しうるS21透過特性のディップ(DIP)が抑制されている。
【0049】
以上、本発明の実施形態に係る光モジュール4(光送受信モジュール2)、光伝送装置1、及び光伝送システムについて説明した。本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能であり、本発明を広く適用することができる。上記実施形態で説明した構成を、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0050】
上記実施形態では、本発明に係る第1基板は、光サブアセンブリ31に備えられる配線基板(フィードスルー36)としたが、これに限定されることはない。プリント回路基板32を第1基板とし、フレキシブル基板33を第2基板として、プリント回路基板21が多層構造を有していてもよい。上記実施形では、第1信号パッド部82の形状及び第1接地パッド部81の形状をともに矩形状としたが、これに限定されることはなく、第1の方向に延伸する形状であれば他の形状の端子であってもよい。他のパッド部についても同様である。
【0051】
上記実施形態では、フィードスルー36に構成される伝送線路は、グランド付コプレーナ線路としたが、これに限定されることなく、マイクロストリップ線路など他の伝送線路であってもよい。フレキシブル基板32及びプリント回路基板33についても同様である。また、フィードスルー36の第1接続部36Aと対向して物理的に接続されるフレキシブル基板33の第2接続部32Aは、裏面信号パッド部46及び裏面接地パッド部47からなるとしたが、これに限定されることはなく、フレキシブル基板32の表面が、フィードスルー36(又はプリント回路基板33)と重畳してもよい。本発明に係る第1基板及び第2基板は、フィードスルー36(又はプリント回路基板33)及びプリント回路基板32に限定されることはなく、他の基板の組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 光伝送装置、2 光送受信モジュール、3,3A,3B 光ファイバ、4 光モジュール、11,21、33 プリント回路基板、12 IC,22A,22B,32 フレキシブル基板、23A 光受信モジュール、23B,光送信モジュール、31 光サブアセンブリ、32A 第2接続部、34 発光素子、35 サブマウント、36 フィードスルー、36A 第1接続部、37 光学部品、38 スリーブ、39 接続ワイヤ、40 誘電体層、41 表面接地導体膜、42 第2信号線導体ストリップ、43 表面接地パッド部、44 表面信号パッド部、45 裏面接地導体層、46 裏面信号パッド部、47 裏面接地パッド部、49,85 ヴィアホール、81A,81B,81C,81D,81E 第1接地パッド部、82A,82B,82C,82D 第1信号パッド部、83A,83B,83C,83D,83E 接地導体膜、84A,84B,84C,84D 第1信号線導体ストリップ、90 中間接地層、91,91A,91B,91C,91D,91E 中間接地パッド部、93A,93B,93C,93D 中間開口部、95 下側接地層、96,96A,96B,96C,96D,96E、 下側接地パッド部、97 下側接地接続部、98,98A,98B,98C,98D 下側開口部、IL1 第1金属内側層、IL2 第2金属内側層、ML 金属中間層、LL 金属下層、UL 金属上層。