IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

特許7153513バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部
<>
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図1
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図2
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図3
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図4
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図5
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図6
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図7
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図8
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図9
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図10
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図11
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図12
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図13
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図14
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図15
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図16
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図17
  • 特許-バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】バッテリホルダ、および、バッテリホルダの第1保持部
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20221006BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20221006BHJP
   B62J 11/00 20200101ALI20221006BHJP
   B62J 9/00 20200101ALI20221006BHJP
   B62M 6/90 20100101ALI20221006BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M50/249
B62J11/00
B62J9/00
B62M6/90
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2018174849
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2019129143
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018007294
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】光安 建都
(72)【発明者】
【氏名】野田 慎一朗
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0174095(US,A1)
【文献】国際公開第2016/139693(WO,A1)
【文献】特開平10-053178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0241170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
B62J 11/00
B62J 9/00
B62M 6/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリユニットの第1端部を保持するように構成され、
人力駆動車のフレームに設けられ、かつ、前記バッテリユニットの第2端部に接触する第2支持面を有する第2保持部、とともに前記バッテリユニットを保持するように構成される、バッテリホルダの第1保持部であって、
前記第1保持部は、
前記バッテリユニットの前記第1端部と接触する第1支持面を含み、前記人力駆動車の前記フレームに対して移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記バッテリユニット側に付勢する第1付勢部材と、
前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる基礎部材と、を備え、
前記第1付勢部材は、前記バッテリユニットの長手方向に沿う第1方向において、前記基礎部材と前記可動部材との間に設けられ、
前記可動部材は、
前記人力駆動車の前記フレームに対して、前記第1方向に移動可能であり、
前記基礎部材と対向する第1対向面と、
前記バッテリユニットの前記第1端部に設けられる端子と連結するコネクタと、をさらに含み、
前記基礎部材は、前記可動部材と対向する第2対向面を含み、
前記バッテリユニットが前記第1保持部に保持されていない状態において、前記第1対向面と前記第2対向面との間に隙間が設けられ、
前記可動部材は、前記隙間の範囲において前記基礎部材に対して移動可能であり、
前記第1保持部は、前記基礎部材と前記可動部材との間に前記第1付勢部材を挟む支持構造をさらに備え、
前記支持構造は、前記可動部材に設けられる第1支持部、および、前記基礎部材に設けられる第2支持部を含み、
前記可動部材は、前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対の第1側部をさらに含み、
前記基礎部材は、前記第2方向において互いに対向する一対の第2側部を含み、
前記第1支持部は、前記一対の第1側部のそれぞれに設けられ、
前記第2支持部は、前記一対の第2側部のそれぞれに設けられる、バッテリホルダの第1保持部。
【請求項2】
バッテリユニットの第1端部を保持するように構成され、
人力駆動車のフレームに設けられ、かつ、前記バッテリユニットの第2端部に接触する第2支持面を有する第2保持部、とともに前記バッテリユニットを保持するように構成される、バッテリホルダの第1保持部であって
前記第1保持部は、
前記バッテリユニットの前記第1端部と接触する第1支持面を含み、前記人力駆動車の前記フレームに対して移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記バッテリユニット側に付勢する第1付勢部材と、
前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる基礎部材と、前記基礎部材と前記可動部材との間に前記第1付勢部材を挟む支持構造と、を備え、
前記第1付勢部材は、前記基礎部材と前記可動部材との間に設けられ、
前記可動部材は、
前記人力駆動車の前記フレームに対して、前記バッテリユニットの長手方向に沿う第1方向に移動可能であり、
前記基礎部材と対向する第1対向面と、
前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対の第1側部と、をさらに含み、
前記基礎部材は、
前記可動部材と対向する第2対向面と、
前記第2方向において互いに対向する一対の第2側部と、を含み、
前記バッテリユニットが前記第1保持部に保持されていない状態において、前記第1対向面と前記第2対向面との間に隙間が設けられ、
前記可動部材は、前記隙間の範囲において前記基礎部材に対して移動可能であり、
前記支持構造は、前記可動部材に設けられる第1支持部、および、前記基礎部材に設けられる第2支持部を含み、
前記第1支持部は、前記一対の第1側部のそれぞれに設けられ、
前記第2支持部は、前記一対の第2側部のそれぞれに設けられる、バッテリホルダの第1保持部。
【請求項3】
前記可動部材は、前記バッテリユニットの前記第1端部に設けられる端子と連結するコネクタをさらに含む、請求項2に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項4】
前記第1保持部は、前記第1方向と直交する第3方向において、前記可動部材と前記基礎部材との間に設けられ、前記可動部材の前記第3方向への移動を抑制する移動抑制部材をさらに含み、
前記可動部材は、前記移動抑制部材に接触する第1接触面をさらに含み、
前記移動抑制部材は、前記第1方向における前記可動部材の移動に伴い前記第1接触面と摺動するように前記基礎部材に設けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項5】
前記第1接触面は、前記第1方向および前記第3方向に直交する方向から見て、前記可動部材から前記基礎部材に向かって突出する円弧形状を有する、請求項4に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項6】
前記移動抑制部材は、弾性を有する、請求項4または5に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項7】
前記移動抑制部材は、ゴムを含む、請求項6に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項8】
バッテリユニットの第1端部を保持するように構成され、
人力駆動車のフレームに設けられ、かつ、前記バッテリユニットの第2端部に接触する第2支持面を有する第2保持部、とともに前記バッテリユニットを保持するように構成される、バッテリホルダの第1保持部であって
前記第1保持部は、
前記バッテリユニットの前記第1端部と接触する第1支持面を含み、前記人力駆動車の前記フレームに対して移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記バッテリユニット側に付勢する第1付勢部材と、
前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる基礎部材と、
前記バッテリユニットの長手方向に沿う第1方向と直交する第3方向において、前記可動部材と前記基礎部材との間に設けられ、前記可動部材の前記第3方向への移動を抑制する移動抑制部材と、を備え、
前記第1付勢部材は、前記基礎部材と前記可動部材との間に設けられ、
前記可動部材は、
前記人力駆動車の前記フレームに対して、前記第1方向に移動可能であり、
前記基礎部材と対向する第1対向面と、
前記移動抑制部材に接触する第1接触面と、をさらに含み、
前記基礎部材は、前記可動部材と対向する第2対向面を含み、
前記バッテリユニットが前記第1保持部に保持されていない状態において、前記第1対向面と前記第2対向面との間に隙間が設けられ、
前記可動部材は、前記隙間の範囲において前記基礎部材に対して移動可能であり、
前記移動抑制部材は、前記第1方向における前記可動部材の移動に伴い前記第1接触面と摺動するように前記基礎部材に設けられ、
前記第1接触面は、前記第1方向および前記第3方向に直交する方向から見て、前記可動部材から前記基礎部材に向かって突出する円弧形状を有する、バッテリホルダの第1保持部。
【請求項9】
前記移動抑制部材は、弾性を有する、請求項8に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項10】
バッテリユニットの第1端部を保持するように構成され、
人力駆動車のフレームに設けられ、かつ、前記バッテリユニットの第2端部に接触する第2支持面を有する第2保持部、とともに前記バッテリユニットを保持するように構成される、バッテリホルダの第1保持部であって
前記第1保持部は、
前記バッテリユニットの前記第1端部と接触する第1支持面を含み、前記人力駆動車の前記フレームに対して移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記バッテリユニット側に付勢する第1付勢部材と、
前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる基礎部材と、
前記バッテリユニットの長手方向に沿う第1方向と直交する第3方向において、前記可動部材と前記基礎部材との間に設けられ、前記可動部材の前記第3方向への移動を抑制する移動抑制部材と、を備え、
前記第1付勢部材は、前記基礎部材と前記可動部材との間に設けられ、
前記可動部材は、
前記人力駆動車の前記フレームに対して、前記第1方向に移動可能であり、
前記基礎部材と対向する第1対向面と、
前記移動抑制部材に接触する第1接触面と、をさらに含み、
前記基礎部材は、前記可動部材と対向する第2対向面を含み、
前記バッテリユニットが前記第1保持部に保持されていない状態において、前記第1対向面と前記第2対向面との間に隙間が設けられ、
前記可動部材は、前記隙間の範囲において前記基礎部材に対して移動可能であり、
前記移動抑制部材は、前記第1方向における前記可動部材の移動に伴い前記第1接触面と摺動するように前記基礎部材に設けられ、弾性を有する、バッテリホルダの第1保持部。
【請求項11】
前記移動抑制部材は、ゴムを含む、請求項9または10に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項12】
前記可動部材は、前記バッテリユニットの前記第1端部に設けられる端子と連結するコネクタをさらに含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項13】
前記第1保持部は、前記基礎部材と前記可動部材との間に前記第1付勢部材を挟む支持構造をさらに備える、請求項8~12のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項14】
前記支持構造は、前記可動部材に設けられる第1支持部、および、前記基礎部材に設けられる第2支持部を含む、請求項13に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項15】
前記可動部材は、前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対の第1側部をさらに含み、前記人力駆動車の前記フレームに対して前記第1方向に移動可能であり、
前記基礎部材は、前記第2方向において互いに対向する一対の第2側部を含み、
前記第1支持部は、前記一対の第1側部のそれぞれに設けられ、
前記第2支持部は、前記一対の第2側部のそれぞれに設けられる、請求項14に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項16】
前記可動部材が前記基礎部材に対して移動できるように、前記可動部材と前記基礎部材とを結合する結合構造をさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項17】
前記結合構造は、第1結合部および第2結合部を含み、
前記第1結合部と前記第2結合部とが結合することによって、前記可動部材と前記基礎部材とが結合される、請求項16に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項18】
前記第1結合部は、前記可動部材に設けられ、
前記第2結合部は、前記基礎部材に設けられる、請求項17に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項19】
前記第1結合部および前記第2結合部の少なくとも一方は、スナップフィットを含む、請求項18に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項20】
前記第1保持部は、前記可動部材の移動を案内する案内構造をさらに備える、請求項1~19のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項21】
前記案内構造は、前記可動部材および前記基礎部材の一方に設けられる溝、ならびに、前記可動部材および前記基礎部材の他方に設けられる挿入部を含み、
前記挿入部は、前記可動部材が前記基礎部材に対して移動できるように前記溝に挿入される、請求項20に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項22】
前記可動部材は、前記バッテリユニットの前記第1端部と係合する係合部をさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項23】
前記第1付勢部材は、第1弾性部材を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項24】
前記第1弾性部材は、ゴムを含む、請求項23に記載のバッテリホルダの第1保持部。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載のバッテリホルダの第1保持部と、
前記第2保持部と、を備える、バッテリホルダ。
【請求項26】
前記第2保持部は、前記バッテリユニットを前記第1保持部側に付勢する第2付勢部材を備える、請求項25に記載のバッテリホルダ。
【請求項27】
前記第2保持部は、前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記第2支持面を含み、
前記第2付勢部材は、前記支持部材の前記第2支持面に設けられる、請求項26に記載のバッテリホルダ。
【請求項28】
前記第2保持部は、第2接触面が前記バッテリユニットの前記第2端部と接触するように前記第2付勢部材に取り付けられる接触部材をさらに備え、
前記接触部材の前記第2接触面は、前記第2付勢部材よりも摩擦係数が低い、請求項27に記載のバッテリホルダ。
【請求項29】
前記第2付勢部材は、第2弾性部材を含む、請求項26~28のいずれか一項に記載のバッテリホルダ。
【請求項30】
前記第2弾性部材は、ゴムを含む、請求項29に記載のバッテリホルダ。
【請求項31】
前記第2付勢部材は、金属を含み、前記バッテリユニットの前記第2端部と接触するように前記第2支持面に設けられる、請求項27または28に記載のバッテリホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に搭載されるバッテリユニットを保持するバッテリホルダが知られている。バッテリホルダは、人力駆動車のフレームに取り付けられる。バッテリユニットがバッテリホルダに保持されることによって、バッテリユニットが人力駆動車に搭載される各種の電気的な要素に電力を供給可能な状態が形成される。特許文献1は、従来のバッテリホルダの一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-226653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリユニットの製造公差によっては、バッテリユニットとバッテリホルダとの間に隙間が形成され、バッテリホルダがバッテリユニットを好適に保持できないことがある。
本発明の目的は、バッテリユニットを好適に保持できるバッテリホルダ、および、そのバッテリホルダを構成することに寄与するバッテリホルダの第1保持部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従うバッテリホルダは、バッテリユニットの第1端部を保持する第1保持部を備え、前記第1保持部は、前記バッテリユニットの前記第1端部と接触する第1支持面を含み、人力駆動車のフレームに対して移動可能な可動部材と、前記可動部材を前記バッテリユニット側に付勢する第1付勢部材とを備える。
第1側面に従うバッテリホルダによれば、可動部材の第1支持面がバッテリユニットの第1端部と接触するように可動部材が第1付勢部材によって付勢されるため、バッテリユニットとバッテリホルダとの間に隙間が形成されにくい。このため、バッテリユニットを好適に保持できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面のバッテリホルダにおいて、前記第1保持部は、前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる基礎部材をさらに備え、前記第1付勢部材は、前記基礎部材と前記可動部材との間に設けられる。
第2側面に従うバッテリホルダによれば、基礎部材と可動部材との間に第1付勢部材を保持できる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面のバッテリホルダにおいて、前記第1保持部は、前記基礎部材と前記可動部材との間に前記第1付勢部材を挟む支持構造をさらに備える。
第3側面に従うバッテリホルダによれば、基礎部材と可動部材との間に第1付勢部材を好適に保持できる。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面のバッテリホルダにおいて、前記支持構造は、前記可動部材に設けられる第1支持部、および、前記基礎部材に設けられる第2支持部を含む。
第4側面に従うバッテリホルダによれば、基礎部材と可動部材との間に第1付勢部材を好適に保持できる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面のバッテリホルダにおいて、前記可動部材は、前記バッテリユニットの長手方向に沿う第1方向と直交する第2方向において互いに対向する一対の第1側部をさらに含み、前記人力駆動車の前記フレームに対して前記第1方向に移動可能であり、前記基礎部材は、前記第2方向において互いに対向する一対の第2側部を含み、前記第1支持部は、前記一対の第1側部のそれぞれに設けられ、前記第2支持部は、前記一対の第2側部のそれぞれに設けられる。
第5側面に従うバッテリホルダによれば、第1付勢部材が第1保持部の側部に設けられるため、第1付勢部材とは別の要素を収容可能な空間を第1保持部内に確保できる。
【0010】
前記第2~第5側面のいずれか1つに従う第6側面のバッテリホルダにおいて、前記可動部材が前記基礎部材に対して移動できるように、前記可動部材と前記基礎部材とを結合する結合構造をさらに備える。
第6側面に従うバッテリホルダによれば、基礎部材に対する可動部材の移動が可能な状態で、可動部材と基礎部材とを結合できる。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面のバッテリホルダにおいて、前記結合構造は、第1結合部および第2結合部を含み、前記第1結合部と第2結合部とが結合することによって、前記可動部材と前記基礎部材とが結合される。
第7側面に従うバッテリホルダによれば、基礎部材に対する可動部材の移動が可能な状態で、可動部材と基礎部材とを結合できる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面のバッテリホルダにおいて、前記第1結合部は、前記可動部材に設けられ、前記第2結合部は、前記基礎部材に設けられる。
第8側面に従うバッテリホルダによれば、基礎部材に対する可動部材の移動が可能な状態で、可動部材と基礎部材とを結合できる。
【0013】
前記第8側面に従う第9側面のバッテリホルダにおいて、前記第1結合部および前記第2結合部の少なくとも一方は、スナップフィットを含む。
第9側面に従うバッテリホルダによれば、ボルト等の取付部材を用いずに可動部材と基礎部材とを結合できるため、可動部材と基礎部材とを容易に結合できる。
【0014】
前記第2~第9側面のいずれか1つに従う第10側面のバッテリホルダにおいて、前記第1保持部は、前記可動部材の移動を案内する案内構造をさらに備える。
第10側面に従うバッテリホルダによれば、移動方向とは異なる方向への可動部材の移動を抑制できる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面のバッテリホルダにおいて、前記案内構造は、前記可動部材および前記基礎部材の一方に設けられる溝、ならびに、前記可動部材および前記基礎部材の他方に設けられる挿入部を含み、前記挿入部は、前記可動部材が前記基礎部材に対して移動できるように前記溝に挿入される。
第11側面に従うバッテリホルダによれば、移動方向とは異なる方向への可動部材の移動を抑制できる。
【0016】
前記第2~第11側面のいずれか1つに従う第12側面のバッテリホルダにおいて、前記可動部材は、前記基礎部材と対向する第1対向面をさらに含み、前記基礎部材は、前記可動部材と対向する第2対向面を含み、前記バッテリユニットが前記第1保持部に保持されていない状態において、前記第1対向面と前記第2対向面との間に隙間が設けられる。
第12側面に従うバッテリホルダによれば、バッテリユニットから受ける力に応じて第1付勢部材が圧縮するため、可動部材が隙間の範囲において基礎部材に対して移動できる。第1付勢部材が圧縮することによって、可動部材が基礎部材に対して隙間分の移動量を確保できるため、バッテリユニットの製造公差に応じて可動部材が基礎部材に対して移動できる。このため、バッテリユニットを好適に保持できる。
【0017】
前記第2~第12側面のいずれか1つに従う第13側面のバッテリホルダにおいて、前記第1保持部は、前記バッテリユニットの長手方向に沿う第1方向と直交する第3方向において、前記可動部材と前記基礎部材との間に設けられ、前記可動部材の前記第3方向への移動を抑制する移動抑制部材をさらに含む。
第13側面に従うバッテリホルダによれば、可動部材の第3方向への移動を抑制できる。また、可動部材と基礎部材とが第3方向において直接接触しないため、可動部材と基礎部材との接触による音を抑制できる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面のバッテリホルダにおいて、前記可動部材は、前記移動抑制部材に接触する第1接触面をさらに含み、前記移動抑制部材は、前記第1方向における前記可動部材の移動に伴い前記第1接触面と摺動するように前記基礎部材に設けられる。
第14側面に従うバッテリホルダによれば、可動部材が移動抑制部材に接触した状態において、可動部材を第1方向に移動させることができる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面のバッテリホルダにおいて、前記第1接触面は、前記第1方向および前記第3方向に直交する方向から見て、前記可動部材から前記基礎部材に向かって突出する円弧形状を有する。
第15側面に従うバッテリホルダによれば、可動部材の第1接触面と移動抑制部材との接触による摩擦が小さくなるため、第1方向において可動部材がスムーズに移動できる。さらに、第15側面に従うバッテリホルダによれば、第1方向および第3方向に直交する方向に平行な軸線まわりに可動部材を変位させやすい。
【0020】
前記第13~第15側面のいずれか1つに従う第16側面のバッテリホルダにおいて、前記移動抑制部材は、弾性を有する。
第16側面に従うバッテリホルダによれば、移動抑制部材と他の要素との接触による音を抑制できる。
【0021】
前記第16側面に従う第17側面のバッテリホルダにおいて、前記移動抑制部材は、ゴムを含む。
第17側面に従うバッテリホルダによれば、移動抑制部材と他の要素との接触による音を抑制できる。
【0022】
前記第1~第17側面のいずれか1つに従う第18側面のバッテリホルダにおいて、前記可動部材は、前記バッテリユニットの前記第1端部に設けられる端子と連結するコネクタをさらに含む。
第18側面に従うバッテリホルダによれば、可動部材が第1付勢部材により付勢されることによって、可動部材の第1支持面がバッテリユニットの第1端部と接触し続けるため、可動部材のコネクタとバッテリユニットの端子とが連結される状態を維持できる。
【0023】
前記第1~第18側面のいずれか1つに従う第19側面のバッテリホルダにおいて、前記可動部材は、前記バッテリユニットの前記第1端部と係合する係合部をさらに含む。
第19側面に従うバッテリホルダによれば、バッテリユニットの第1端部が可動部材の係合部と係合することによって、第1保持部に対するバッテリユニットの位置を保持できる。
【0024】
前記第1~第19側面のいずれか1つに従う第20側面のバッテリホルダにおいて、前記第1付勢部材は、第1弾性部材を含む。
第20側面に従うバッテリホルダによれば、第1付勢部材が可動部材に安定して付勢力を与えることができる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面のバッテリホルダにおいて、前記第1弾性部材は、ゴムを含む。
第21側面に従うバッテリホルダによれば、第1付勢部材が可動部材に安定して付勢力を与えることができる。
【0026】
前記第1~第21側面のいずれか1つに従う第22側面のバッテリホルダにおいて、前記バッテリユニットの第2端部を保持する第2保持部をさらに備える。
第22側面に従うバッテリホルダによれば、バッテリユニットの両端部がバッテリホルダによって保持されるため、バッテリユニットを安定して保持できる。
【0027】
前記第22側面に従う第23側面のバッテリホルダにおいて、前記第2保持部は、前記バッテリユニットを前記第1保持部側に付勢する第2付勢部材を備える。
第23側面に従うバッテリホルダによれば、バッテリユニットの両端部が第1付勢部材および第2付勢部材によって付勢されるため、バッテリユニットとバッテリホルダとの間に隙間がより形成されにくい。このため、バッテリユニットを好適に保持できる。
【0028】
前記第23側面に従う第24側面のバッテリホルダにおいて、前記第2保持部は、前記人力駆動車の前記フレームに取り付けられる支持部材をさらに備え、前記支持部材は、前記バッテリユニットの前記第2端部と接触する第2支持面を含み、前記第2付勢部材は、前記支持部材の前記第2支持面に設けられる。
第24側面に従うバッテリホルダによれば、第2付勢部材がバッテリユニットを第1保持部側に好適に付勢できる。
【0029】
前記第24側面に従う第25側面のバッテリホルダにおいて、前記第2保持部は、第2接触面が前記バッテリユニットの前記第2端部と接触するように前記第2付勢部材に取り付けられる接触部材をさらに備え、前記接触部材の前記第2接触面は、前記第2付勢部材よりも摩擦係数が低い。
第25側面に従うバッテリホルダによれば、バッテリユニットの第2端部と接触部材の第2接触面との接触による摩擦が小さくなるため、バッテリホルダに対してバッテリユニットを容易に着脱できる。
【0030】
前記第23~第25側面のいずれか1つに従う第26側面のバッテリホルダにおいて、前記第2付勢部材は、第2弾性部材を含む。
第26側面に従うバッテリホルダによれば、第2付勢部材がバッテリユニットに安定して付勢力を与えることができる。
【0031】
前記第26側面に従う第27側面のバッテリホルダにおいて、前記第2弾性部材は、ゴムを含む。
第27側面に従うバッテリホルダによれば、第2付勢部材がバッテリユニットに安定して付勢力を与えることができる。
【0032】
前記第24または第25側面に従う第28側面のバッテリホルダにおいて、前記第2付勢部材は、金属を含み、前記バッテリユニットの前記第2端部と接触するように前記第2支持面に設けられる。
第28側面に従うバッテリホルダによれば、バッテリユニットの第2端部と第2付勢部材との接触による摩擦が小さくなるため、バッテリホルダに対してバッテリユニットを容易に着脱できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のバッテリホルダによれば、バッテリユニットを好適に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態のバッテリホルダを含む人力駆動車の側面図。
図2図1のバッテリコンポーネントの分解斜視図。
図3図2の第1保持部の斜視図。
図4図2の第1保持部の側面図。
図5図2の第1保持部の分解斜視図。
図6図2の第2保持部の斜視図。
図7図6の第2保持部の分解斜視図。
図8図7のロック機構の分解斜視図。
図9図2のバッテリユニットおよび第2保持部の断面図。
図10図2のバッテリユニットの第1端部を示す斜視図。
図11図2のバッテリユニットの取付手順の一例を示す側面図。
図12】第2実施形態のバッテリホルダを含むバッテリコンポーネントのカバーを取り外した状態を示す分解斜視図。
図13図12のロック機構の分解斜視図。
図14図12のバッテリユニットおよび第2保持部の断面図。
図15】第3実施形態のバッテリホルダにおける第1保持部の斜視図。
図16図15の第1保持部の分解斜視図。
図17図15の第1保持部の側面視に関する断面図。
図18】変形例の第2保持部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
図1を参照して、バッテリホルダ10を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する電動補助ユニットEを含む自転車(e-bike)である。具体的には、図示される人力駆動車Aは、トレッキングバイクである。人力駆動車Aは、フレームA1、フロントフォークA2、前輪WF、後輪WR、ハンドルH、および、ドライブトレインBをさらに含む。
【0036】
ドライブトレインBは、チェーンドライブタイプのドライブトレインによって構成される。ドライブトレインBは、クランクC、フロントスプロケットD1、リアスプロケットD2、および、チェーンD3を含む。クランクCは、フレームA1に回転可能に支持されるクランク軸C1、および、クランク軸C1の両端部のそれぞれに設けられる一対のクランクアームC2を含む。各クランクアームC2の先端には、ペダルPDが回転可能に取り付けられる。ドライブトレインBは、任意のタイプから選択でき、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0037】
フロントスプロケットD1は、クランク軸C1と一体に回転するようにクランクCに設けられる。リアスプロケットD2は、後輪WRのハブHRに設けられる。チェーンD3は、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2に巻き掛けられる。人力駆動車Aに搭乗するユーザによってペダルPDに加えられる駆動力は、フロントスプロケットD1、チェーンD3、および、リアスプロケットD2を介して後輪WRに伝達される。
【0038】
人力駆動車Aは、電動補助ユニットEをさらに含む。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aの推進力がアシストされるように動作する。電動補助ユニットEは、例えばペダルPDに加えられる駆動力に応じて動作する。電動補助ユニットEは、電気モータE1を含む。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aに搭載されるバッテリユニット60から供給される電力によって駆動される。人力駆動車Aは、電動補助ユニットEを省略してもよい。
【0039】
人力駆動車Aは、バッテリコンポーネント1をさらに含む。バッテリコンポーネント1は、人力駆動車AのフレームA1に設けられる。本実施形態では、バッテリコンポーネント1は、フレームA1のダウンチューブDTに設けられる。バッテリコンポーネント1は、例えばダウンチューブDTの収容空間DT1(図2参照)に少なくとも一部が収容された状態で使用される。ダウンチューブDTには、人力駆動車Aが平地に置かれた状態で下方に開口する開口DT2(図2参照)が設けられる。開口DT2の大きさは、バッテリコンポーネント1を収容空間DT1に挿入可能な大きさである。バッテリコンポーネント1は、ダウンチューブDTとは別のフレームA1、または、フロントフォークA2等に設けられてもよい。
【0040】
図2を参照して、バッテリコンポーネント1の構成について説明する。
バッテリコンポーネント1は、バッテリホルダ10およびバッテリユニット60を含む。バッテリホルダ10は、バッテリユニット60を保持可能に構成される。バッテリホルダ10は、例えばダウンチューブDTの収容空間DT1に収容された状態でダウンチューブDTに取り付けられる。バッテリユニット60は、1つまたは複数のバッテリセル(図示略)を収容する。バッテリユニット60は長尺状であり、断面が少なくとも部分的にダウンチューブDTの断面形状に沿った形状を含む。バッテリユニット60の形状は、円筒状または直方体でもよく、長尺状にも限定されない。バッテリユニット60は、第1端部62および第2端部66を含む。第1端部62は、バッテリユニット60の長手方向における一方の端部である。第1端部62は、第1端面62Aを含む。第2端部66は、バッテリユニット60の長手方向における他方の端部である。第2端部66は、第2端面66Aを含む。
【0041】
バッテリコンポーネント1は、バッテリユニット60を保護するカバー70、および、カバー70をバッテリユニット60に取り付けるためのカバー取付部72をさらに含む。カバー70の形状は、人力駆動車AのダウンチューブDTの形状に沿う。具体的には、カバー70の形状は、バッテリユニット60がバッテリホルダ10に保持され、かつ、カバー70がバッテリユニット60に取り付けられた状態において、ダウンチューブDTと実質的に面一(シームレス)となる形状である。
【0042】
カバー取付部72は、例えば面ファスナを含む。カバー取付部72は、フック72Aおよびループ72Bを含む。フック72Aは、例えばカバー70の内面70Aに設けられる。ループ72Bは、例えばバッテリユニット60の外面60Aにおいて、カバー70と対向する部分に設けられる。フック72Aとループ72Bとが結合することによって、カバー70がバッテリユニット60に取り付けられる。この構成では、カバー70が面ファスナによってバッテリユニット60に取り付けられるため、ボルト等の取付部材(図示略)によってカバー70が機械的にバッテリユニット60に取り付けられる場合と比較して、ダウンチューブDTに対するカバー70の歪みを補正しながらカバー70をバッテリユニット60に取り付けることが容易になる。また、バッテリユニット60に対するカバー70の着脱が容易になる。バッテリユニット60がバッテリホルダ10に保持された状態において、カバー70がバッテリユニット60に取り付けられることによって、ダウンチューブDTの開口DT2がカバー70によって塞がれる。
【0043】
バッテリホルダ10は、バッテリユニット60の第1端部62を保持する第1保持部12を備える。第1保持部12は、例えば人力駆動車AのダウンチューブDT内において、人力駆動車Aの後方側に配置される。バッテリホルダ10は、バッテリユニット60の第2端部66を保持する第2保持部42をさらに備える。第2保持部42は、例えば人力駆動車AのダウンチューブDT内において、人力駆動車Aの前方側に配置される。人力駆動車AのダウンチューブDT内において、第1保持部12が人力駆動車Aの前方側に配置され、第2保持部42が人力駆動車Aの後方側に配置されてもよい。
【0044】
図3に示されるように、第1保持部12は、バッテリユニット60の第1端部62と接触する第1支持面14Aを含み、人力駆動車AのフレームA1に対して移動可能な可動部材14と、可動部材14をバッテリユニット60側に付勢する第1付勢部材28とを備える。可動部材14は、人力駆動車AのフレームA1に対して第1方向DXに移動可能である。第1方向DXは、第1保持部12から第2保持部42に向かう方向である。本実施形態では、第1方向DXは、バッテリユニット60の長手方向に沿った方向である。可動部材14は、バッテリユニット60の第1端部62に設けられる端子62B(図9参照)と連結するコネクタ16をさらに含む。コネクタ16は、可動部材14の第1支持面14Aから突出するように設けられる。コネクタ16は、端子を有する。コネクタ16の端子および端子62Bは、電気端子である。端子62Bは、バッテリユニット60の第1端面62Aに設けられる(図9参照)。バッテリユニット60の端子62Bとコネクタ16の端子とが連結されるようにバッテリユニット60がバッテリホルダ10に保持されることによって、バッテリユニット60と人力駆動車Aに搭載される各種の電気的な要素とが電気的に接続される。人力駆動車Aに搭載される各種の電気的な要素は、バッテリユニット60を電力供給源とする要素である。
【0045】
可動部材14は、バッテリユニット60の第1端部62と係合する係合部18をさらに含む。係合部18は、可動部材14の第1支持面14Aから突出するように設けられる。係合部18は、可動部材14の第1支持面14Aから突出する凸部によって構成される。係合部18は、第1係合部20および一対の第2係合部22を含む。第1係合部20は、例えば可動部材14の第1支持面14Aにおいて、コネクタ16に対してダウンチューブDTの開口DT2側に設けられる。本実施形態では、第1係合部20は、コネクタ16の下方に設けられる。第1係合部20は、バッテリホルダ10に対するバッテリユニット60の着脱作業において、バッテリユニット60を旋回させるための旋回支点を構成する。第1係合部20の先端部20Aは、丸みを帯びた形状を有する。
【0046】
一対の第2係合部22は、例えば可動部材14の第1支持面14Aにおいて、コネクタ16を間に配置するようにコネクタ16の側方にそれぞれ設けられる。一例では、第2係合部22のうちの開口DT2側の面(以下、「端面22A」)は、第1方向DXに沿うように延びる(図4参照)。好ましい例では、第2係合部22の端面22Aは、第1方向DXと直交する第2方向DYから見て、開口DT2に対して凹の円弧形状を有する。さらに好ましい例では、第2係合部22の端面22Aにおける円弧の中心は、第1係合部20の旋回支点における旋回中心AR(図4参照)と実質的に一致する。この構成では、バッテリホルダ10に対するバッテリユニット60の着脱がスムーズに案内され、バッテリユニット60をバッテリホルダ10に対して容易に着脱できる。第2係合部22は、第1係合部20に近い端部から、第1係合部20から遠い端部に近づくに従って、第1支持面14Aからの突出量が小さくなるように形成される。
【0047】
第1保持部12は、人力駆動車AのフレームA1に取り付けられる基礎部材30をさらに備える。基礎部材30は、例えば2本のボルトBT1によってダウンチューブDTに取り付けられる。第1付勢部材28は、基礎部材30と可動部材14との間に設けられる。具体的には、第1方向DXにおいて、第1付勢部材28は、基礎部材30と可動部材14との間に設けられる。第1付勢部材28は、可動部材14が基礎部材30に対して第1方向DXに移動するように可動部材14を付勢する。本実施形態では、第1付勢部材28の数は2つである(図5参照)。第1付勢部材28は、第1弾性部材28Aを含む。第1弾性部材28Aは、ゴムを含む。第1付勢部材28の大きさ等は、第1方向DXにおけるバッテリユニット60の製造公差の範囲に応じて設定される。第1弾性部材28Aは、ゴムに限定されず、弾性を有するその他の樹脂材料、または、板ばね、トーションばね、および、コイルばね等のばねを含むように構成することもできる。また、第1付勢部材28は、第1弾性部材28A以外に磁性材料を適用することも可能である。
【0048】
図4に示されるように、可動部材14は、基礎部材30と対向する第1対向面14Bをさらに含む。第1対向面14Bは、第1方向DXにおいて第1支持面14Aとは反対側の面である。基礎部材30は、可動部材14と対向する第2対向面30Aを含む。基礎部材30は、第1方向DXにおいて第2対向面30Aとは反対側の面である背面30Bをさらに含む。バッテリユニット60が第1保持部12に保持されていない状態において、第1対向面14Bと第2対向面30Aとの間に隙間Sが設けられる。
【0049】
バッテリユニット60が第1保持部12に保持されていない状態では、第1付勢部材28が最も伸張し、隙間Sが最も広い状態が形成される。バッテリユニット60が第1保持部12に保持される状態では、第1方向DXにおけるバッテリユニット60の製造公差に応じて隙間Sが縮む方向に可動部材14が基礎部材30に対して移動し、可動部材14から受ける力によって第1付勢部材28が圧縮する。第1付勢部材28が圧縮することによって、可動部材14が最大で隙間Sの範囲において基礎部材30に対して移動できる。
【0050】
図5に示されるように、可動部材14は、バッテリユニット60の長手方向に沿う第1方向DXと直交する第2方向DYにおいて互いに対向する一対の第1側部24をさらに含む。第1側部24は、第1対向面14Bの縁から基礎部材30に向けて突出するように設けられる。一対の第1側部24は、可動部材14の第2方向DYにおける両端部にそれぞれ設けられる。一対の第1側部24は、第2方向DYにおける可動部材14の両側壁の一部をそれぞれ形成している。可動部材14は、コネクタ16の端子と接続される電気配線および電気基板(ともに図示略)等を収容可能な内部空間26Aが形成されるように、第1対向面14Bに設けられる周壁部26をさらに含む。周壁部26は、第2方向DYにおいて第1側部24よりも内側に設けられる。基礎部材30は、可動部材14の周壁部26を取り囲むように構成される。基礎部材30は、第2方向DYにおいて互いに対向する一対の第2側部32をさらに含む。
【0051】
第1保持部12は、基礎部材30と可動部材14との間に第1付勢部材28を挟む支持構造34をさらに備える。支持構造34は、可動部材14に設けられる第1支持部34A、および、基礎部材30に設けられる第2支持部34Bを含む。第1支持部34Aは、一対の第1側部24のそれぞれに設けられる。具体的には、第1支持部34Aは、一対の第1側部24のうちの基礎部材30と対向する部分のそれぞれに設けられる。第2支持部34Bは、一対の第2側部32のそれぞれに設けられる。具体的には、第2支持部34Bは、第2方向DYにおいて、一対の第2側部32から外側に突出するようにそれぞれ設けられる。
【0052】
一方の第1付勢部材28は、一方の第1支持部34Aと一方の第2支持部34Bとの間に設けられる。他方の第1付勢部材28は、他方の第1支持部34Aと他方の第2支持部34Bとの間に設けられる。第1付勢部材28は、例えば第1支持部34Aおよび第2支持部34Bの少なくとも一方に固定されてもよいし、単に第1支持部34Aと第2支持部34Bとの間に挟持するように保持されてもよい。第1付勢部材28は、第1支持部34Aのみ、第2支持部34Bのみ、または、第1支持部34Aおよび第2支持部34Bの両方に固定されてもよい。
【0053】
第1保持部12は、可動部材14の移動を案内する案内構造36をさらに備える。案内構造36は、可動部材14および基礎部材30の一方に設けられる溝36A、ならびに、可動部材14および基礎部材30の他方に設けられる挿入部36Bを含む。本実施形態では、溝36Aが可動部材14に設けられ、挿入部36Bが基礎部材30に設けられる。溝36Aは、例えば第2方向DYにおいて、一方の第1側部24と周壁部26との間、および、他方の第1側部24と周壁部26との間のそれぞれに設けられる。挿入部36Bは、一対の第2側部32のそれぞれに設けられる。具体的には、挿入部36Bは、第2側部32の一部を構成する。挿入部36Bは、可動部材14が基礎部材30に対して移動できるように溝36Aに挿入される。第1方向DXにおいて挿入部36Bが溝36Aに挿入されることによって、基礎部材30が可動部材14の周壁部26を取り囲む状態になる。
【0054】
バッテリホルダ10は、可動部材14が基礎部材30に対して移動できるように、可動部材14と基礎部材30とを結合する結合構造38をさらに備える。本実施形態では、第1保持部12は、結合構造38をさらに備える。結合構造38は、第1結合部38Aおよび第2結合部38Bを含む。第1結合部38Aは、可動部材14に設けられる。第2結合部38Bは、基礎部材30に設けられる。第1結合部38Aと第2結合部38Bとが結合することによって、可動部材14と基礎部材30とが結合される。
【0055】
第1結合部38Aは、例えば一対の第1側部24のそれぞれに設けられる。具体的には、第1結合部38Aは、一対の第1側部24のうちの基礎部材30と対向する部分において、第1支持部34Aを間に配置するようにそれぞれ2つずつ設けられる。第1結合部38Aの数は4つである。第1結合部38Aおよび第2結合部38Bの少なくとも一方は、スナップフィットを含む。第1結合部38Aのみ、第2結合部38Bのみ、または、第1結合部38Aおよび第2結合部38Bの両方がスナップフィットを含むように構成される。本実施形態では、第1結合部38Aは、スナップフィットを含む。スナップフィットは、第2結合部38Bと係合する爪を含む。第2結合部38Bは、例えば一対の第2側部32のそれぞれに設けられる。具体的には、第2結合部38Bは、一対の第2側部32の背面30Bにおいて、第1結合部38Aのそれぞれと対応する部分を構成する。第1結合部38Aと第2結合部38Bとが結合することによって、可動部材14と基礎部材30とが第1付勢部材28を挟んだ状態で結合される。結合構造38は、第2方向DYにおいて第1側部24よりも内側、例えば内部空間26Aに配置してもよい。
【0056】
第1方向DXの一方向への可動部材14の移動は、第1結合部38Aと第2結合部38Bとの接触によって規制される。第1結合部38Aと第2結合部38Bとが接触する場合、隙間Sが最も広くなる。第1方向DXの他方向への可動部材14の移動は、可動部材14の第1対向面14Bと基礎部材30の第2対向面30Aとの接触によって規制される。第1対向面14Bと第2対向面30Aとが接触する場合、隙間Sが最も狭くなる。一例では、第1対向面14Bと第2対向面30Aとが接触する場合、実質的に隙間Sが形成されない状態になる。
【0057】
第1保持部12は、可動部材14の周壁部26に取り付けられ、周壁部26の内部空間26Aを塞ぐ蓋40をさらに含む。蓋40は、例えば4本のボルトBT2によって周壁部26に取り付けられる。挿入部36Bが溝36Aに挿入され、第1結合部38Aと第2結合部38Bとが結合され、蓋40が周壁部26に取り付けられることによって、第1保持部12が構成される。
【0058】
図6に示されるように、第2保持部42は、バッテリユニット60を第1保持部12側に付勢する第2付勢部材44を備える。第2保持部42は、人力駆動車AのフレームA1に取り付けられる支持部材46をさらに備える。支持部材46は、バッテリユニット60の第2端部66と接触する第2支持面48Aを含む。支持部材46は、第1支持部材48および第2支持部材50をさらに含む。第1支持部材48は、第2支持面48Aを含む。第1支持部材48は、第2支持部材50に取り付けられる。第1支持部材48は、例えば4本のボルトBT3によって第2支持部材50に取り付けられる(図7参照)。第2支持部材50は、例えば2本のボルトBT4によってダウンチューブDTに取り付けられる。
【0059】
図7に示されるように、第1支持部材48は、貫通孔48Bをさらに含む。貫通孔48Bは、第1方向DXにおいて第1支持部材48を貫通する。貫通孔48Bは、例えば第2方向DYにおける第1支持部材48の中央に設けられる。第2付勢部材44は、支持部材46の第2支持面48Aに設けられる。本実施形態では、第2付勢部材44は2つである。第2付勢部材44は、例えば第2方向DYにおいて貫通孔48Bを間に配置するように第2支持面48Aにそれぞれ設けられる。第2付勢部材44は、第2弾性部材44Aを含む。第2弾性部材44Aは、ゴムを含む。第2付勢部材44の大きさ等は、第1方向DXにおけるバッテリユニット60の製造公差の範囲に応じて設定される。
【0060】
第2保持部42は、第2接触面52Aがバッテリユニット60の第2端部66と接触するように第2付勢部材44に取り付けられる接触部材52をさらに備える。接触部材52は、例えば2つの第2付勢部材44のそれぞれに取り付けられる。接触部材52の第2接触面52Aは、第2付勢部材44よりも摩擦係数が低い。第2接触面52Aを構成する材料は、金属または樹脂を含む。一例では、接触部材52はステンレスを含む。第2保持部42は、バッテリユニット60をバッテリホルダ10に保持させるためのロック機構54をさらに備える。
【0061】
図8に示されるように、ロック機構54は、バッテリユニット60の第2端面66Aと接触するように支持部材46に対して変位可能な接触部55、所定操作によって接触部55を変位させるシリンダ54A、所定操作を接触部55の動作に変換するカム機構56、および、シリンダ54Aを覆うハウジング58を含む。本実施形態では、接触部55は、第1方向DXに延びるラッチである。接触部55は、支持部材46に対して直線運動するように設けられる。本実施形態では、接触部55は、支持部材46に対して第1方向DXに直線運動するように設けられる。所定操作の一例は、キーユニットKによる操作(以下、「キー操作」)である。
【0062】
シリンダ54Aは、キーユニットKを挿入可能な挿入孔(図示略)を含む。シリンダ54Aの挿入孔は、例えば人力駆動車Aの左側方を向くように設けられ、ダウンチューブDTに設けられる貫通孔(図示略)を介して外部に露出する。シリンダ54Aは、キー操作によって支持部材46に対して回転可能にハウジング58に支持される。ハウジング58は、第2支持部材50内に設けられる(図9参照)。ハウジング58は、例えば2本のボルトBT5によって第2支持部材50に取り付けられる。
【0063】
カム機構56は、第1カム56Aおよび第2カム56Bを含む。第1カム56Aは、棒状に延びるロッド部材を含む。具体的には、第1カム56Aは、第2方向DYに沿って延びるように配置される円柱状の部材である。第1カム56Aは、シリンダ54Aの先端面54Bに設けられる。第1カム56Aの中心軸心CA1は、シリンダ54Aの中心軸心CA2に対してオフセットしている。シリンダ54Aの中心軸心CA2は、キーユニットKの回転軸心TR1と同軸である。キーユニットKの回転軸心TR1は、例えば第1方向DXと直交する。本実施形態では、キーユニットKの回転軸心TR1は第2方向DYに沿う。第1カム56Aは、シリンダ54Aに対して偏心回転するようにシリンダ54Aの先端面54Bに設けられる。第1カム56Aは、例えばハウジング58に設けられる溝58Aに挿入され、キー操作によって溝58Aの両端部間を移動するように偏心回転する。溝58Aは、回転軸心TR1を中心とする円弧に沿った外形を有する貫通孔である。
【0064】
第2カム56Bは、第1カム56Aと係合するように接触部55に設けられる。第2カム56Bは、第1カム56Aと係合するカム面56Cを含む。カム面56Cは、第1カム56Aの回転運動を直線運動に変換する面である。本実施形態では、カム面56Cは、第1方向DXに直交する方向(第2方向DY)から見て湾曲した形状を含む曲面である。第2カム56Bは、例えばカム面56Cが第1方向DXと交差する方向に延びるように接触部55に設けられる。第2カム56Bは、接触部55と一体であってもよく、接触部55と別体であってもよい。本実施形態では、第2カム56Bは、接触部55と別体であり、ボルトBT6によって接触部55に取り付けられる。この場合、第2カム56Bは、接触部55に対する姿勢を変更可能に構成できる。このため、第2カム56Bと同様に、第1カム56Aの姿勢、シリンダ54Aの姿勢、ハウジング58の姿勢を変更することによって、人力駆動車AのフレームA1の仕様に合わせてキーユニットKの挿入方向が異なるロック機構54を構成できる。具体的には、ロック機構54は、シリンダ54Aの挿入孔が人力駆動車Aの上方、右側方、または、下方を向くように構成できる。上述のようにシリンダ54Aの姿勢、カム機構56の姿勢、および、ハウジング58の姿勢を変更することによって、キーユニットKの挿入方向を変更することが可能な構成は、直線運動するように設けられる接触部55を含むロック機構において適用できる。
【0065】
図9に示されるように、接触部55は、バッテリユニット60の第2端面66Aに設けられる被支持部68を支持する支持面55Aを含む。本実施形態では、支持面55Aは、接触部55の上面である。接触部55は、第2カム56Bの動作によって直線運動するように設けられる。具体的には、接触部55は、第1支持部材48の貫通孔48Bを挿通するように第1方向DXに変位可能に設けられる。接触部55が変位する方向は、キーユニットKの回転軸心TR1と直交する。
【0066】
接触部55は、バッテリユニット60の被支持部68を支持面55Aによって支持可能な第1位置と、被支持部68を支持しない第2位置との間を変位可能に設けられる。接触部55は、第1位置に配置される状態において、第1支持部材48の第2支持面48Aから貫通孔48Bを介して第1保持部12方向に突出する。接触部55は、第2位置に配置される状態において、第1位置よりも第1保持部12から離間する。接触部55は、第2位置に配置される状態において、貫通孔48Bに対して第2保持部42の内側に配置される。接触部55は、例えば付勢部材55C(図8参照)によって第1位置に付勢される。一例では、付勢部材55Cは、接触部55を第2位置から第1位置に向けて付勢するように、接触部55とハウジング58との間に設けられる。図9に示される実線のロック機構54は、接触部55が第1位置に配置される状態を示す。図9に示される二点鎖線のロック機構54は、接触部55が第2位置に配置される状態を示す。
【0067】
接触部55、および、バッテリユニット60の第2端面66Aは、バッテリホルダ10へのバッテリユニット60の取り付けを妨げにくいように構成される。接触部55は、支持面55Aに対して傾斜する傾斜面55Bをさらに含む。傾斜面55Bは、バッテリユニット60の第2端面66Aと接触することによって、接触部55が第2位置に向けて変位するように構成される。具体的には、バッテリユニット60がバッテリホルダ10に取り付けられる過程において、バッテリユニット60が接触部55を押すように第2端面66Aと傾斜面55Bとが接触することによって、接触部55が第2位置に向けて変位する。そして、バッテリユニット60の第2端面66Aと傾斜面55Bとの接触が解除されることによって、接触部55が付勢部材55Cから受ける力によって第1位置に変位し、バッテリユニット60の被支持部68が支持面55Aによって支持される。
【0068】
キーユニットKを一方向に回転させる場合、シリンダ54Aが回転するとともに第1カム56Aが溝58Aに沿って偏心回転し、第1カム56Aが第2カム56Bを押すことによって接触部55が第1位置から第2位置に変位する。この場合、バッテリホルダ10からバッテリユニット60を取り外し可能な状態が形成される。キーユニットKへの入力が解除される場合、付勢部材55Cによる付勢力によって接触部55が第2位置から第1位置に変位し、第2カム56Bが第1カム56Aを押すことによって第1カム56Aが溝58Aに沿って偏心回転するとともにシリンダ54Aが回転し、キーユニットKが他方向に回転する。この場合、接触部55の支持面55Aがバッテリユニット60の被支持部68を支持可能な状態が形成され、バッテリユニット60がバッテリホルダ10に保持される。
【0069】
図10に示されるように、バッテリユニット60は、可動部材14の係合部18と係合する被係合部64をさらに含む。被係合部64は、バッテリユニット60の第1端面62Aに設けられる。被係合部64は、第1被係合部64Aおよび一対の第2被係合部64Bを含む。第1被係合部64Aおよび第2被係合部64Bは、それぞれ凹部によって形成される。第1被係合部64Aは、第1係合部20と係合可能に構成される。第1被係合部64Aは、第1係合部20が挿入される凹部を含む。第1被係合部64Aは、バッテリユニット60の第1端面62Aにおいて、第1係合部20と対応する部分に設けられる。一対の第2被係合部64Bは、対応する第2係合部22と係合可能に構成される。一対の第2被係合部64Bは、対応する第2係合部22が挿入される凹部を含む。一対の第2被係合部64Bは、バッテリユニット60の第1端面62Aにおいて、一対の第2係合部22と対応する部分に設けられる。第1被係合部64Aが第1係合部20と係合し、一対の第2被係合部64Bが一対の第2係合部22と係合することによって、バッテリユニット60の第1端部62が少なくとも第2方向DYへの移動が規制された状態で第1保持部12に保持される。本実施形態では、第1被係合部64Aが第1係合部20と係合し、一対の第2被係合部64Bが一対の第2係合部22と係合することによって、バッテリユニット60の第1端部62が第1方向DXに直交する全ての方向への移動が規制された状態で第1保持部12に保持される。
【0070】
図11を参照して、バッテリホルダ10に対するバッテリユニット60の取付手順について説明する。
バッテリユニット60は、例えば次の手順を経てバッテリホルダ10に取り付けられる。第1手順では、バッテリユニット60の第1被係合部64Aを第1保持部12の第1係合部20に引っ掛ける。第2手順では、バッテリユニット60がダウンチューブDTの収容空間DT1に収容されるように、第1係合部20を旋回支点としてバッテリユニット60を旋回させる。これによって、バッテリユニット60の第2被係合部64Bが第1保持部12の第2係合部22と係合し、バッテリユニット60の端子62Bと第1保持部12のコネクタ16とが接続される。そして、第1係合部20を旋回支点としてバッテリユニット60をさらに旋回させることによって、バッテリユニット60の被支持部68が接触部55によって支持され、バッテリユニット60がダウンチューブDTの収容空間DT1に収容された状態でバッテリホルダ10に保持される。第4手順では、カバー70をバッテリユニット60に取り付ける。第4手順は、第1手順前に実施されてもよい。以上の手順によって、バッテリユニット60がバッテリホルダ10に取り付けられる。
【0071】
バッテリユニット60の製造公差に応じて第1付勢部材28および第2付勢部材44が圧縮されるため、バッテリユニット60の第1端面62Aと第1保持部12の第1支持面14Aとの間、および、バッテリユニット60の第2端面66Aと第2保持部42の第2支持面48Aとの間に隙間が形成されにくい。このため、バッテリユニット60を好適に保持できる。キーユニットKをシリンダ54Aに挿入し、キーユニットKを一方向に回転させることによって、バッテリホルダ10によるバッテリユニット60の保持が解除されるため、バッテリユニット60をバッテリホルダ10から取り外すことができる。
【0072】
(第2実施形態)
図12図14を参照して、第2実施形態のバッテリホルダ80について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0073】
図12に示されるように、バッテリホルダ80は、バッテリユニット60の第1端部62を保持する第1保持部12、および、バッテリユニット60の第2端部66を保持する第2保持部82を備える。第2保持部82は、第1実施形態の第2保持部42の構成とロック機構54を除いて同じ構成を備える。第2保持部82は、バッテリユニット60をバッテリホルダ80に保持させるためのロック機構84をさらに備える。第2保持部82は、カバー70がバッテリユニット60から取り外された状態において、ロック機構84の一部が開口DT2から露出するようにダウンチューブDTに取り付けられる。本実施形態では、第1方向DXにおける開口DT2の大きさは、第1実施形態の第1方向DXにおける開口DT2の大きさよりも大きい。第1保持部12は、カバー70がバッテリユニット60から取り外された状態において、少なくとも一部が開口DT2から露出するようにダウンチューブDTに取り付けられてもよく、開口DT2から露出しないようにダウンチューブDTに取り付けられてもよい。
【0074】
図13に示されるように、ロック機構84は、バッテリユニット60の第2端面66Aと接触するように支持部材46に対して変位可能な接触部86、所定操作によって接触部86を変位させるシリンダ88、所定操作を接触部86の動作に変換するカム機構90、および、シリンダ88の一部を覆うハウジング96を含む。本実施形態では、接触部86は、第1方向DXに延びるラッチである。接触部86は、支持部材46に対して直線運動するように設けられる。本実施形態では、接触部86は、支持部材46に対して第1方向DXに直線運動するように設けられる。所定操作の一例は、所定工具による操作(以下、「工具操作」)である。本実施形態では、所定工具は六角レンチ(図示略)である。所定工具は、ドライバ等であってもよい。
【0075】
シリンダ88は、互いに径が異なる第1部分88Aおよび第2部分88Dを含む。第1部分88Aは、例えば第2部分88Dと一体である。第1部分88Aは、所定工具を係合可能な工具係合部88Cを含む。本実施形態では、工具係合部88Cは、六角レンチと係合可能な六角穴である。所定工具が工具係合部88Cに挿入されることによって所定工具が工具係合部88Cと係合し、工具操作によってシリンダ88が支持部材46に対して回転する。このように、工具操作によってシリンダ88を回転させることができるため、キーユニットKを挿入可能な挿入孔をシリンダ88に設ける必要がない。このため、シリンダ88を大型に構成する必要がなく、省スペースに貢献できる。
【0076】
工具係合部88Cは、例えば人力駆動車Aの下方を向くように設けられる。本実施形態では、工具係合部88Cは、第1部分88Aの端面88Bに設けられる。工具係合部88Cは、カバー70がバッテリユニット60から取り外された状態において開口DT2から露出する(図12参照)。バッテリユニット60をダウンチューブDTに挿入するための開口DT2を利用して、所定工具を工具係合部88Cに係合できるため、工具係合部88Cを露出させるための貫通孔を開口DT2とは別にダウンチューブDTに設ける必要がない。このため、ダウンチューブDTの強度の低下を抑制できる。カバー70がバッテリユニット60に取り付けられることによって、ダウンチューブDTの開口DT2とともに工具係合部88Cが塞がれる。
【0077】
第2部分88Dの径は、第1部分88Aの径よりも小さい。第2部分88Dは、カム機構90と嵌合可能な嵌合部88Eを含む。嵌合部88Eは、第2部分88Dの先端に設けられる。嵌合部88Eは、所定加工が施された部分である。所定加工の一例は、Dカット加工である。第2部分88Dは、工具操作によって支持部材46に対して回転可能にハウジング96に支持される。嵌合部88Eは、第2部分88Dがハウジング96に支持される状態において、ハウジング96から突き出た位置でカム機構90と嵌合する。ハウジング96は、第2支持部材50内に設けられる。ハウジング96は、例えば2本のボルトBT7によって第2支持部材50に取り付けられる。
【0078】
カム機構90は、第1カム92および第2カム94を含む。第1カム92は、棒状に延びるロッド部材92A、および、ロッド部材92Aを支持する支持部材92Bを含む。ロッド部材92Aは、第1方向DXに直交する方向に沿って延びるように配置される円柱状の部材である。本実施形態では、ロッド部材92Aは、第1方向DXおよび第2方向DYに対して直交する方向に延びるように配置される。ロッド部材92Aの中心軸心CA3は、シリンダ88の中心軸心CA4に対してオフセットしている。シリンダ88の中心軸心CA4は、第1部分88Aおよび第2部分88Dの中心軸心と一致する。シリンダ88の中心軸心CA4は、所定工具の回転軸心TR2と同軸である。所定工具の回転軸心TR2は、例えば第1方向DXと直交する。ロッド部材92Aは、シリンダ88に対して偏心回転するように支持部材92Bに設けられる。支持部材92Bは、シリンダ88の嵌合部88Eと嵌合可能な被嵌合部92Cを含む。第1カム92は、シリンダ88の嵌合部88Eが被嵌合部92Cに嵌合される状態において、シリンダ88と一体的に回転する。第1カム92の回転範囲を規制する構成がハウジング96等に設けられてもよい。
【0079】
第2カム94は、第1カム92と係合するように接触部86に設けられる。第2カム94は、第1カム92と係合するカム面94Aを含む。カム面94Aは、第1カム92の回転運動を直線運動に変換する面である。本実施形態では、カム面94Aは、第1方向DXに直交する方向から見て湾曲した形状を含む曲面である。第2カム94は、例えばカム面94Aが第1方向DXと交差する方向に延びるように接触部86に設けられる。第2カム94は、接触部86と一体であってもよく、接触部86と別体であってもよい。本実施形態では、第2カム94は、接触部86と別体であり、ボルトBT8によって接触部86に取り付けられる。この場合、第2カム94は、接触部86に対する姿勢を変更可能に構成できる。このため、第2カム94と同様に、第1カム92の姿勢、シリンダ88の姿勢、ハウジング96の姿勢を変更することによって、人力駆動車AのフレームA1の仕様に合わせて所定工具の挿入方向が異なるロック機構84を構成できる。具体的には、ロック機構84は、シリンダ88の工具係合部88Cが人力駆動車Aの上方、右側方、または、左側方を向くように構成できる。上述のようにシリンダ88の姿勢、カム機構90の姿勢、および、ハウジング96の姿勢を変更することによって、所定工具の挿入方向を変更することが可能な構成は、直線運動するように設けられる接触部86を含むロック機構において適用できる。
【0080】
図14に示されるように、接触部86は、バッテリユニット60の被支持部68を支持する支持面86Aを含む。本実施形態では、支持面86Aは、接触部86の上面である。接触部86は、第2カム94の動作によって直線運動するように設けられる。具体的には、接触部86は、第1支持部材48の貫通孔48Bを挿通するように第1方向DXに変位可能に設けられる。接触部86が変位する方向は、所定工具の回転軸心TR2と直交する。
【0081】
接触部86は、バッテリユニット60の被支持部68を支持面86Aによって支持可能な第1位置と、被支持部68を支持しない第2位置との間を変位可能に設けられる。接触部86は、第1位置に配置される状態において、第1支持部材48の第2支持面48Aから貫通孔48Bを介して第1保持部12方向に突出する。接触部86は、第2位置に配置される状態において、第1位置よりも第1保持部12から離間する。接触部55は、第2位置に配置される状態において、貫通孔48Bに対して第2保持部42の内側に配置される。接触部86は、例えば付勢部材86C(図13参照)によって第1位置に付勢される。一例では、付勢部材86Cは、接触部86を第2位置から第1位置に向けて付勢するように、接触部86とハウジング96との間に設けられる。図14に示される実線のロック機構84は、接触部86が第1位置に配置される状態を示す。図14に示される二点鎖線のロック機構84は、接触部86が第2位置に配置される状態を示す。
【0082】
接触部86、および、バッテリユニット60の第2端面66Aは、バッテリホルダ80へのバッテリユニット60の取り付けを妨げにくいように構成される。接触部86は、支持面86Aに対して傾斜する傾斜面86Bをさらに含む。傾斜面86Bは、バッテリユニット60の第2端面66Aと接触することによって、接触部86が第2位置に向けて変位するように構成される。具体的には、バッテリユニット60がバッテリホルダ80に取り付けられる過程において、バッテリユニット60が接触部86を押すように第2端面66Aと傾斜面86Bとが接触することによって、接触部86が第2位置に向けて変位する。そして、バッテリユニット60の第2端面66Aと傾斜面86Bとの接触が解除されることによって、接触部86が付勢部材86Cから受ける力によって第1位置に変位し、バッテリユニット60の被支持部68が支持面86Aによって支持される。
【0083】
第2実施形態の接触部86および第2カム94は、第1実施形態の接触部55および第2カム56Bと同じ構成である。このため、第1実施形態のロック機構54と第2実施形態のロック機構84とで、共通の接触部55、86および第2カム56B、94を用いることができる。本実施形態では、第2カム94は、第1実施形態の接触部55に対する第2カム56Bの取付状態から、第1方向DXに沿う回転軸心まわりに90°回転させた状態で接触部86に取り付けられている(図13参照)。
【0084】
所定工具を一方向に回転させる場合、シリンダ88が回転するとともに第1カム92がシリンダ88に対して偏心回転し、第1カム92が第2カム94を押すことによって接触部86が第1位置から第2位置に変位する。この場合、バッテリホルダ80からバッテリユニット60を取り外し可能な状態が形成される。所定工具への入力が解除される場合、付勢部材86Cによる付勢力によって接触部86が第2位置から第1位置に変位し、第2カム94が第1カム92を押すことによって第1カム92がシリンダ88に対して偏心回転するとともにシリンダ88が回転し、所定工具が他方向に回転する。この場合、接触部86の支持面86Aがバッテリユニット60の被支持部68を支持可能な状態が形成され、バッテリユニット60がバッテリホルダ80に保持される。
【0085】
(第3実施形態)
図15図17を参照して、第3実施形態のバッテリホルダ100について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0086】
図15に示されるように、バッテリホルダ100は、バッテリユニット60の第1端部62を保持する第1保持部102を備える。第1保持部102は、例えば人力駆動車AのダウンチューブDT内において、人力駆動車Aの前方側に配置されてもよく、人力駆動車Aの後方側に配置されてもよい。バッテリホルダ100は、バッテリユニット60の第2端部66を保持する第1実施形態および第2実施形態のいずれかの第2保持部42、82をさらに備えていてもよい。
【0087】
第1保持部102は、バッテリユニット60の第1端部62と接触する第1支持面104Aを含み、人力駆動車AのフレームA1に対して移動可能な可動部材104と、可動部材104をバッテリユニット60側に付勢する第1付勢部材114とを備える。可動部材104は、人力駆動車AのフレームA1に対して第1方向DXに移動可能である。可動部材104は、バッテリユニット60の端子62Bと連結するコネクタ16をさらに含む。コネクタ16は、可動部材104の第1支持面104Aから突出するように設けられる。バッテリユニット60の端子62Bとコネクタ16の端子とが連結されるようにバッテリユニット60がバッテリホルダ100に保持されることによって、バッテリユニット60と人力駆動車Aに搭載される各種の電気的な要素とが電気的に接続される。
【0088】
可動部材104は、バッテリユニット60の第1端部62と係合する係合部18をさらに含む。係合部18は、可動部材104の第1支持面104Aから突出するように設けられる。係合部18は、第1係合部20および一対の第2係合部22を含む。第1係合部20および一対の第2係合部22は、例えば第1実施形態と同様に第1支持面104Aに設けられる。
【0089】
第1保持部102は、人力駆動車AのフレームA1に取り付けられる基礎部材120をさらに備える。基礎部材120は、例えば2本のボルトBT1によってダウンチューブDTに取り付けられる。第1付勢部材114は、基礎部材120と可動部材104との間に設けられる。具体的には、第1方向DXにおいて、第1付勢部材114は、基礎部材120と可動部材104との間に設けられる。第1付勢部材114は、可動部材104が基礎部材120に対して第1方向DXに移動可能に可動部材104を付勢する。本実施形態では、第1付勢部材114の数は2つである(図16参照)。第1付勢部材114を構成する材料、および、第1付勢部材114の大きさ等は、第1実施形態の第1付勢部材28と実質的に同じである。
【0090】
可動部材104は、基礎部材120と対向する第1対向面104B(図16参照)をさらに含む。第1対向面104Bは、第1方向DXにおいて第1支持面104Aとは反対側の面である。基礎部材120は、可動部材104と対向する第2対向面120Aを含む。バッテリユニット60が第1保持部102に保持されていない状態において、第1対向面104Bと第2対向面120Aとの間に隙間Sが設けられる。
【0091】
バッテリユニット60が第1保持部102に保持されていない状態では、第1付勢部材114が最も伸張し、隙間Sが最も広い状態が形成される。バッテリユニット60が第1保持部102に保持される状態では、第1方向DXにおけるバッテリユニット60の製造公差に応じて隙間Sが縮む方向に可動部材104が基礎部材120に対して移動し、可動部材104から受ける力によって第1付勢部材114が圧縮する。第1付勢部材114が圧縮することによって、可動部材104が最大で隙間Sの範囲において基礎部材120に対して移動できる。
【0092】
図16に示されるように、可動部材104は、バッテリユニット60の長手方向に沿う第1方向DXと直交する第2方向DYにおいて互いに対向する一対の第1側部106をさらに含む。第1側部106は、第1対向面104Bの縁から基礎部材120に向けて突出するように設けられる。一対の第1側部106は、可動部材104の第2方向DYにおける両端部にそれぞれ設けられる。一対の第1側部106は、第2方向DYにおける可動部材104の両側壁の一部をそれぞれ形成している。可動部材104は、コネクタ16の端子と接続される電気配線および電気基板等を収容可能な内部空間108Aが形成されるように、第1対向面104Bに設けられる周壁部108をさらに含む。周壁部108は、第2方向DYにおいて第1側部106よりも内側に設けられる。第1保持部102は、周壁部108の内部空間108Aを塞ぐ蓋(図示略)をさらに含む。蓋は、第1実施形態の蓋40と実質的に同じである。基礎部材120は、可動部材104の周壁部108を取り囲むように構成される。基礎部材120の一部は、第1側部106と、周壁部108との間に配置される。基礎部材120は、第2方向DYにおいて互いに対向する一対の第2側部122をさらに含む。
【0093】
第1保持部102は、基礎部材120と可動部材104との間に第1付勢部材114を挟む支持構造124をさらに備える。支持構造124は、可動部材104に設けられる第1支持部124A、および、基礎部材120に設けられる第2支持部124Bを含む。第1支持部124Aは、一対の第1側部106のそれぞれに設けられる。具体的には、第1支持部124Aは、一対の第1側部106のうちの基礎部材120と対向する部分のそれぞれに設けられる。第2支持部124Bは、一対の第2側部122のそれぞれに設けられる。具体的には、第2支持部124Bは、第2方向DYにおいて、一対の第2側部122から外側に突出するようにそれぞれ設けられる。
【0094】
第2支持部124Bは、第1付勢部材114を取り付けるための取付孔124Cを含む。第1付勢部材114は、第2支持部124Bの取付孔124Cに対応する取付部114Aを含む。取付部114Aが取付孔124Cに挿入されることによって、第1付勢部材114が基礎部材120と可動部材104との間に配置されるように第2支持部124Bに取り付けられる。第1付勢部材114は、第2支持部124Bに接着剤によって接着して取り付けられてもよい。この場合、取付孔124Cおよび取付部114Aを省略してもよい。
【0095】
第1保持部102は、可動部材104の移動を案内する案内構造126をさらに備える。案内構造126は、可動部材104および基礎部材120の一方に設けられる溝126A、ならびに、可動部材104および基礎部材120の他方に設けられる挿入部126Bを含む。本実施形態では、溝126Aが可動部材104に設けられ、挿入部126Bが基礎部材120に設けられる。溝126Aは、例えば第2方向DYにおいて、一方の第1側部106と周壁部108との間、および、他方の第1側部106と周壁部108との間のそれぞれに設けられる。挿入部126Bは、一対の第2側部122のそれぞれに設けられる。具体的には、挿入部126Bは、第2側部122の一部を構成する。挿入部126Bは、可動部材104が基礎部材120に対して移動できるように溝126Aに挿入される。第1方向DXにおいて挿入部126Bが溝126Aに挿入されることによって、基礎部材120が可動部材104の周壁部108を取り囲む状態になる。
【0096】
バッテリホルダ100は、可動部材104が基礎部材120に対して移動できるように、可動部材104と基礎部材120とを結合する結合構造128をさらに備える。結合構造128は、第1結合部128Aおよび第2結合部128Bを含む。第1結合部128Aは、第2結合部128Bと結合可能な構成を有する。第1結合部128Aの一例は、ボルトである。本実施形態では、第1結合部128Aの数は2つである。第2結合部128Bは、例えば基礎部材120に設けられる。具体的には、第2結合部128Bは、基礎部材120の第2側部122に設けられる。第2結合部128Bの一例は、第1結合部128Aと対応するねじ孔(図示略)である。本実施形態では、第2結合部128Bの数は2つである。第1結合部128Aは、例えば可動部材104に設けられる挿通孔110を介して第2結合部128Bに挿入される。第1結合部128Aと第2結合部128Bとが結合することによって、可動部材104と基礎部材120とが結合される。
【0097】
第1方向DXの一方向への可動部材104の移動は、第1結合部128Aと挿通孔110との接触によって規制される。具体的には、第1結合部128Aのボルトの頭部と挿通孔110を形成する可動部材104の縁110Aとの接触によって、第1方向DXの一方向へ可動部材104の移動が規制される。第1結合部128Aと挿通孔110とが接触する場合、隙間Sが最も広くなる。第1方向DXの他方向への可動部材104の移動は、可動部材104の第1対向面104Bと基礎部材120の第2対向面120Aとの接触によって規制される。第1対向面104Bと第2対向面120Aとが接触する場合、隙間Sが最も狭くなる。
【0098】
第1保持部102は、バッテリユニット60の長手方向に沿う第1方向DXと直交する第3方向DZにおいて、可動部材104と基礎部材120との間に設けられ、可動部材104の第3方向DZへの移動を抑制する移動抑制部材130をさらに含む。本実施形態では、第3方向DZは、第1方向DXおよび第2方向DYと直交する方向である。好ましくは、移動抑制部材130は、弾性を有する。好ましくは、移動抑制部材130は、ゴムを含む。
【0099】
移動抑制部材130は、第1移動抑制部材130Aおよび第2移動抑制部材130Bを含む。第1移動抑制部材130Aは、例えば第3方向DZにおいて可動部材104の一方の端面108Cと基礎部材120との間に設けられる。本実施形態では、第1移動抑制部材130Aの数は2つである。第2移動抑制部材130Bは、例えば第3方向DZにおいて可動部材104の他方の端面108Dと基礎部材120との間に設けられる。本実施形態では、第2移動抑制部材130Bの数は2つである。第3方向DZにおいて、第1移動抑制部材130Aの厚さは、例えば第2移動抑制部材130Bの厚さよりも大きい。
【0100】
可動部材104は、移動抑制部材130に接触する第1接触面112をさらに含む。第1接触面112は、例えば可動部材104の周壁部108に設けられる。具体的には、第1接触面112は、周壁部108の外周面108Bに設けられる。第1接触面112の数は、移動抑制部材130の数と対応する。本実施形態では、第1接触面112の数は4つである。一例では、第1接触面112は、周壁部108の外周面108Bにおいて、第3方向DZの両端面108C、108Dに2つずつ設けられる。周壁部108の端面108Cに設けられる第1接触面112は、第1移動抑制部材130Aに接触する。周壁部108の端面108Dに設けられる第1接触面112は、第2移動抑制部材130Bに接触する。
【0101】
図17は、第1接触面112を通過するように第1方向DXに沿って切断した第1保持部102の断面図を示す。移動抑制部材130は、第1方向DXにおける可動部材104の移動に伴い第1接触面112と摺動するように基礎部材120に設けられる。移動抑制部材130は、例えば接着等によって基礎部材120に固定される。好ましくは、第1接触面112は、第1方向DXおよび第3方向DZに直交する方向から見て、可動部材104から基礎部材120に向かって突出する円弧形状を有する。本実施形態では、第1接触面112は、第2方向DYから見て、可動部材104から基礎部材120に向かって突出する円弧形状を有する。一例では、周壁部108の端面108Cに設けられる第1接触面112によって形成される円弧の中心は、周壁部108の端面108Dに設けられる第1接触面112によって形成される円弧の中心と一致する。第1接触面112が第2方向DYから見て、可動部材104から基礎部材120に向かって突出する円弧形状を有することによって、可動部材104を第2方向DYに平行な軸線に対してピボットさせやすい。第1保持部102に対して第2保持部42、82の取り付け位置が理想的な位置から第3方向DZに多少ずれていても、可動部材104が第2方向DYに平行な軸線に対してピボットすることによって、バッテリユニット60を安定して保持することができる。
【0102】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従うバッテリホルダが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うバッテリホルダは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0103】
・第3方向DZによって規定される方向は、任意に変更可能である。一例では、第3方向DZは、第2方向DYと同じ方向としてもよい。第1移動抑制部材130Aは、可動部材104の第3方向DZにおける一方の側面と基礎部材120との間に設けられる。第2移動抑制部材130Bは、可動部材104の第3方向DZにおける他方の側面と基礎部材120との間に設けられる。この場合、第3方向において、第1移動抑制部材130Aの厚みは、第2移動抑制部材130Bの厚みと実質的に同じであることが好ましい。第1接触面112は、周壁部108の外周面108Bにおいて、一方の側面および他方の側面に1つまたは複数ずつ設けられる。周壁部108の一方の側面に設けられる第1接触面112は、第1移動抑制部材130Aに接触する。周壁部108の他方の側面に設けられる第1接触面112は、第2移動抑制部材130Bに接触する。
【0104】
・第1接触面112の構成は、任意に変更可能である。周壁部108の端面108Cに設けられる2つの第1接触面112が一体的に構成されてもよい。周壁部108の端面108Dに設けられる2つの第1接触面112が一体的に構成されてもよい。第1接触面112は、第1方向DXおよび第3方向DZに直交する方向から見て、直線形状を有していてもよい。第1接触面112は、周壁部108の端面108Cに3つ以上の複数の第1接触面112が設けられてもよい。周壁部108の端面108Dに3つ以上の複数の第1接触面112が設けられてもよい。
【0105】
・移動抑制部材130を第1接触面112に、例えば接着材等によって固定し、移動抑制部材130は、第1方向DXにおける可動部材104の移動に伴い基礎部材120と摺動するように可動部材104に設けられてもよい。
【0106】
・カバー取付部72の構成は、任意に変更可能である。第1例では、フック72Aがバッテリユニット60の外面60Aに設けられ、ループ72Bがカバー70の内面70Aに設けられる。第2例では、カバー取付部72は、互いに異なる極を有する一対の磁石(図示略)を含む。この場合、一方の磁石がカバー70の内面70Aに設けられ、他方の磁石がバッテリユニット60の外面60Aに設けられる。
【0107】
接触部55、86の構成は、任意に変更可能である。一例では、接触部55、86は、支持部材46に対して回転運動するように設けられる。具体的には、接触部55、86は、第2方向DYに沿う軸まわりに回転することによって、第1方向DXに変位可能に設けられる。この場合、カム機構56、90の構成も適宜変更される。
【0108】
・第1実施形態の第2保持部42の構成は、任意に変更可能である。一例では、図18に示されるように、第2保持部42は、第2付勢部材44(図6参照)に代えて、バッテリユニット60を第1保持部12側に付勢する第2付勢部材74を備える。第2付勢部材74は、金属を含み、バッテリユニット60の第2端部66と接触するように第2支持面48Aに設けられる。第2付勢部材74は、第2付勢部材44よりも摩擦係数が低い。第2付勢部材74は例えば板ばねを含む。本変形例では、第2付勢部材74は2つである。第2付勢部材74は、例えば第2方向DYにおいて貫通孔48Bを間に配置するように第2支持面48Aにそれぞれ設けられる。第2接触面52Aがバッテリユニット60の第2端部66と接触するように、接触部材52を第2付勢部材74に取り付けてもよい。第2実施形態の第2保持部82においても同様の変形例が成立する。
【0109】
・係合部18の形状は、任意に変更可能である。一例では、係合部18は、凹部によって形成されてもよく、第1係合部20または一対の第2係合部22が凹部によって形成されてもよい。
【0110】
・可動部材14、104に設けられるコネクタ16を省略してもよい。コネクタ16の配置は、任意に変更可能である。この場合、コネクタ16は、支持部材46の第2支持面48Aから突出するように設けられる。コネクタ16は、可動部材104の第1支持面104Aから突出するように設けられるのではなく、可動部材104の第1支持面104Aから凹むように設けられてもよい。コネクタ16は、オス型コネクタおよびメス型コネクタのいずれによって構成されていてもよい。
【0111】
・第1保持部12の構成は、任意に変更可能である。第1例では、第1保持部12から案内構造36が省略される。第2例では、第1保持部12から周壁部26が省略される。第3例では、第1保持部12から基礎部材30が省略される。第3例によれば、可動部材14が人力駆動車AのフレームA1に対して移動可能な状態でダウンチューブDTに取り付けられる。
【0112】
・バッテリホルダ10の構成は、任意に変更可能である。一例では、バッテリホルダ10から第2保持部42が省略される。
・ダウンチューブDTの開口DT2の配置は、任意に変更可能である。一例では、開口DT2は、人力駆動車Aが平地に置かれた状態で人力駆動車Aの上方または側方に設けられる。バッテリコンポーネント1がダウンチューブDTとは別の要素に設けられる場合においても同様の変形例が成立する。
【0113】
・バッテリコンポーネント1の配置は、任意に変更可能である。一例では、バッテリコンポーネント1は、ダウンチューブDTの外周面に設けられる。具体的には、バッテリコンポーネント1は、バッテリホルダ10およびバッテリユニット60が外部に露出するようにダウンチューブDTの外周面に設けられる。この例によれば、収容空間DT1および開口DT2がダウンチューブDTから省略されてもよい。バッテリコンポーネント1がダウンチューブDTとは別の要素に設けられる場合においても同様の変形例が成立する。
【0114】
・人力駆動車Aの種類は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車Aは、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、シティサイクル、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車Aは、キックスケータである。
【符号の説明】
【0115】
10…バッテリホルダ、12…第1保持部、14…可動部材、14A…第1支持面、14B…第1対向面、16…コネクタ、18…係合部、24…第1側部、28…第1付勢部材、28A…第1弾性部材、30…基礎部材、30A…第2対向面、32…第2側部、34…支持構造、34A…第1支持部、34B…第2支持部、36…案内構造、36A…溝、36B…挿入部、38…結合構造、38A…第1結合部、38B…第2結合部、42…第2保持部、44…第2付勢部材、44A…第2弾性部材、46…支持部材、48A…第2支持面、52…接触部材、52A…第2接触面、60…バッテリユニット、62…第1端部、62B…端子、66…第2端部、74…第2付勢部材、80…バッテリホルダ、82…第2保持部、100…バッテリホルダ、102…第1保持部、104…可動部材、104A…第1支持面、104B…第1対向面、106…第1側部、112…第1接触面、114…第1付勢部材、120…基礎部材、120A…第2対向面、122…第2側部、124…支持構造、124A…第1支持部、124B…第2支持部、126…案内構造、126A…溝、126B…挿入部、128…結合構造、128A…第1結合部、128B…第2結合部、130…移動抑制部材、A…人力駆動車、A1…フレーム、DX…第1方向、DY…第2方向、DZ…第3方向、S…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18