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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/10 20060101AFI20221006BHJP
   B32B 37/12 20060101ALI20221006BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B32B37/10
B32B37/12
C03C27/12 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018195682
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2020062800
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】永田 桂
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169252(WO,A1)
【文献】特表2008-542068(JP,A)
【文献】特開昭61-134249(JP,A)
【文献】特開平04-246620(JP,A)
【文献】特開昭50-051113(JP,A)
【文献】特開2018-075733(JP,A)
【文献】特開2003-277697(JP,A)
【文献】特開平04-119949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 63/00-63/48
B29C 65/00-65/82
C03C 27/00-29/00
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材と第2基材とが接着剤により接着される積層体の製造方法であって、
互いに向かい合う前記第1基材および前記第2基材と、前記第1基材と前記第2基材との間に位置する前記接着剤とを備え、前記第1基材および前記第2基材の間に空間が形成されている基材ユニットと、前記基材ユニットを収容し、柔軟性を有する包装袋とを備える真空包装準備体を準備する工程と、
前記包装袋の内部を減圧しながら、前記第1基材および前記第2基材を互いに近接させて、前記第1基材および前記第2基材のそれぞれと前記接着剤とを密着させる工程とを含み、
前記第1基材と前記第2基材との間には、スペーサが挟まれるように配置されており、
前記包装袋の内部を減圧する工程において、前記スペーサが、前記第1基材と前記第2基材との対向方向において小さくなり、
前記真空包装準備体を準備する工程は、前記第1基材および前記第2基材のそれぞれに、前記接着剤を配置する接着剤配置工程と、前記第1基材に配置された前記接着剤と、前記第2基材に配置された前記接着剤とが、厚み方向に互いに間隔を空けて向かい合うように、前記第1基材および前記第2基材を配置し、前記第1基材に配置された前記接着剤および前記第2基材に配置された前記接着剤の間に、前記空間を形成する基材配置工程とを含み、
前記第1基材および前記第2基材のそれぞれと前記接着剤とを密着させる工程では、前記空間がなくなるように、前記第1基材に配置された前記接着剤と、前記第2基材に配置された前記接着剤とが接触し、前記接着剤が、前記第1基材および前記第2基材に挟まれて、接着剤層を形成することを特徴とする、積層体の製造方法。
【請求項2】
前記第1基材および/または前記第2基材における前記接着剤が配置される面は、凹凸を有することを特徴とする、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記接着剤は、硬化型接着剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記第1基材および前記第2基材のそれぞれと前記接着剤とを密着させた後、前記接着剤を硬化させる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基材が接着剤により接着された積層体は、各種産業製品に利用されている。例えば、複数のガラス板が接着剤により接着された合わせガラスは、自動車や建築物の窓ガラスなどに広く利用されている。
【0003】
そのような合わせガラスの製造方法として、例えば、2枚の透明体の間に接着性合成樹脂中間膜を挟んだ積層体を真空パック袋に入れ、該真空パック袋内を真空にした後、真空パック袋を封止して、上記積層体を予備圧着し、次いで、予備圧着された積層体を加熱して本圧着することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-134249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の合わせガラスの製造方法では、真空パック袋内を真空にしたときに、接着性合成樹脂中間膜中や透明体と接着性合成樹脂中間膜との界面から、空気を十分に除去できず、それらに気泡が残存する場合がある。
【0006】
本発明は、簡易な方法でありながら、接着剤中や基材と接着剤との界面に気泡が残存することを抑制できる積層体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、第1基材と第2基材とが接着剤により接着される積層体の製造方法であって、互いに向かい合う前記第1基材および前記第2基材と、前記第1基材と前記第2基材との間に位置する前記接着剤とを備え、前記第1基材および前記第2基材の間に空間が形成されている基材ユニットと、前記基材ユニットを収容し、柔軟性を有する包装袋とを備える真空包装準備体を準備する工程と、前記包装袋の内部を減圧しながら、前記第1基材および前記第2基材を互いに近接させて、前記第1基材および前記第2基材のそれぞれと前記接着剤とを密着させる工程とを含む、積層体の製造方法を含んでいる。
【0008】
このような方法によれば、接着剤が第1基材と第2基材との間に位置し、かつ、第1基材および第2基材の間に空間が形成されている基材ユニットと、基材ユニットを収容する包装袋とを備える真空包装準備体が準備される。そして、包装袋の内部が減圧されたときに、第1基材と第2基材との間の空気が円滑に除去されながら、第1基材および第2基材が互いに近接して、第1基材および第2基材のそれぞれと接着剤とが密着する。
【0009】
その結果、簡易な方法でありながら、接着剤中や、第1基材および第2基材のそれぞれと接着剤との界面に気泡が残存することを抑制できる。
【0010】
本発明[2]は、前記第1基材と前記第2基材との間には、スペーサが挟まれるように配置されており、前記包装袋の内部を減圧する工程において、前記スペーサが、前記第1基材と前記第2基材との対向方向において小さくなる、上記[1]に記載の積層体の製造方法を含んでいる。
【0011】
このような方法によれば、スペーサが、第1基材と第2基材との間に挟まれるので、第1基材および第2基材の間の空間を安定して確保することができる。そして、包装袋の内部を減圧する工程において、スペーサは、第1基材と第2基材との対向方向において小さくなるので、第1基材および第2基材が互いに近接することを許容することができる。
【0012】
本発明[3]は、前記第1基材および/または前記第2基材における前記接着剤が配置される面は、凹凸を有する、上記[1]または[2]に記載の積層体の製造方法を含んでいる。
【0013】
しかるに、基材の表面が凹凸を有する場合、基材の表面が平坦である場合と比較して、基材と接着剤との界面に気泡が残存しやすい。
【0014】
一方、上記の方法によれば、第1基材および/または第2基材における接着剤が配置される面が凹凸を有していても、包装袋の内部が減圧されたときに、第1基材と第2基材との間の空気が円滑に除去されながら、第1基材および第2基材のそれぞれと接着剤とが密着するので、第1基材および第2基材のそれぞれと接着剤との界面に気泡が残存することを確実に抑制できる。
【0015】
本発明[4]は、前記真空包装準備体を準備する工程は、前記第1基材および前記第2基材の少なくともいずれか一方に、前記接着剤を塗布する工程を含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体の製造方法を含んでいる。
【0016】
このような方法によれば、接着剤が第1基材および/または第2基材に塗布されるので、接着剤中や基材と接着剤との界面に気泡が残存することをより確実に抑制することができる。
【0017】
本発明[5]は、前記接着剤は、硬化型接着剤を含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体の製造方法を含んでいる。
【0018】
このような方法によれば、第1基材および第2基材を確実に接着することができ、かつ、接着剤中に気泡が残存することをより確実に抑制することができる。
【0019】
本発明[6]は、前記第1基材および前記第2基材のそれぞれと前記接着剤とを密着させた後、前記接着剤を硬化させる工程をさらに含む、上記[5]に記載の積層体の製造方法を含んでいる。
【0020】
このような方法によれば、接着剤が硬化型接着剤を含む場合において、接着剤を確実に硬化させることができ、第1基材および第2基材をより確実に接着することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の積層体の製造方法では、簡易な方法でありながら、接着剤中や、第1基材および第2基材のそれぞれと接着剤との界面に気泡が残存することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の積層体の製造方法の一実施形態を説明するための説明図であって、第1基材および第2基材のそれぞれに接着剤を配置する工程を示す。
図2図2Aは、図1に続いて、第1基材および第2基材の間に空間を形成するように、第1基材および第2基材を配置する工程を示す。図2Bは、図2Aに示す第1基材の平面図を示す。
図3図3は、図2Aに続いて、第1基材および第2基材を包装袋に収容する工程を示す。
図4図4は、図3に続いて、包装袋の内部を減圧する工程を示す。
図5図5は、本発明の一実施形態によって製造される積層体の概略構成図である。
図6図6は、本発明の他の実施形態によって製造される積層体(第1基材および第2基材のそれぞれが凹凸面を有する態様)の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法の一実施形態は、図5に示すように、例えば、第1基材2と第2基材3とが接着剤4により接着される積層体1の製造方法である。
【0024】
このような積層体1の製造方法は、図1図4に示すように、互いに向かい合う第1基材2および第2基材3と、第1基材2と第2基材3との間に位置する接着剤4とを備える基材ユニット9と、基材ユニット9を収容する包装袋5とを備える真空包装準備体8を準備する準備工程と(図1図3参照)と、包装袋5の内部を減圧する減圧工程(図4参照)と、を含んでいる。
【0025】
本実施形態において、準備工程は、第1基材2および/または第2基材3に接着剤4を配置する接着剤配置工程(図1参照)と、第1基材2および第2基材3を互いに向かい合うように配置する基材配置工程(図2A参照)と、第1基材2および第2基材3を包装袋5に収容する収容工程(図3参照)と、を順に含んでいる。
【0026】
図1に示すように、接着剤配置工程では、まず、第1基材2および第2基材3を準備する。
【0027】
第1基材2は、平板形状を有する。具体的には、第1基材2は、所定の厚みを有し、前記厚み方向と直交する所定方向に延びる表面20(厚み方向の一方面)および裏面21(厚み方向の他方面)を有している。本実施形態では、表面20および裏面21は、平坦面である。なお、以下において、第1基材2の厚み方向を単に厚み方向とする。
【0028】
第1基材2の表面20は、接着剤4により第2基材3と接着される接着面であって、接着剤配置領域20Aと、マージン領域20Bとを含む。
【0029】
接着剤配置領域20Aは、表面20のうち接着剤4が配置される領域であって、表面20の中央部分に区画される。接着剤配置領域20Aを厚み方向から見たときの形状は、特に制限されないが、例えば、多角形状(例えば、三角形状、矩形状、六角形状など)、円形状などが挙げられる。本実施形態では、図2Aに示すように、接着剤配置領域20Aは、第1基材2の厚み方向から見て、矩形状を有する。
【0030】
表面20における接着剤配置領域20Aの面積割合は、例えば、10面積%以上、好ましくは、60面積%以上、例えば、95面積%以下、好ましくは、85面積%以下である。
【0031】
マージン領域20Bは、表面20のうち接着剤4が配置されない領域であって、接着剤配置領域20Aの周囲を囲むように、表面20の周端部分に区画される。マージン領域20Bを厚み方向から見たときの形状は、例えば、接着剤配置領域20Aの形状に対応して適宜変更される。本実施形態では、マージン領域20Bは、第1基材2の厚み方向から見て、矩形枠形状を有する。
【0032】
表面20におけるマージン領域20Bの面積割合は、例えば、5面積%以上、好ましくは、15面積%以上、例えば、90面積%以下、好ましくは、40面積%以下である。
【0033】
このような第1基材2は、好ましくは、光透過性を有する。
【0034】
第1基材2の光透過率は、第1基材2の厚みが2mmの場合に、波長380~780nmの光に対して、例えば、20%以上、好ましくは、80%以上である。
【0035】
第1基材2の材料として、例えば、ガラス、樹脂などが挙げられ、好ましくは、樹脂が挙げられる。
【0036】
樹脂として、例えば、(メタ)アクリル樹脂、チオウレタン樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、アリルカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂などが挙げられる。
【0037】
樹脂のなかでは、好ましくは、(メタ)アクリル樹脂が挙げられ、さらに好ましくは、メタクリル樹脂が挙げられる。なお、(メタ)アクリルとは、メタクリルおよび/またはアクリルを含む。
【0038】
第1基材2の厚みは、例えば、0.5mm以上、好ましくは、2mm以上、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0039】
なお、第1基材2および第2基材3は、互いに同じ構成を有する。そのため、第2基材3の説明を省略する。また、第2基材3の表面および裏面を、表面30(厚み方向の一方面)および裏面31(厚み方向の他方面)として、第1基材2の表面および裏面と区別する。また、第2基材3の表面30が含む接着剤配置領域およびマージン領域を、接着剤配置領域30Aおよびマージン領域30Bとして、第1基材2の表面20が含む接着剤配置領域20Aおよびマージン領域20Bと区別する。
【0040】
次いで、図1に示すように、第1基材2および/または第2基材3に接着剤4を配置する。なお、本実施形態では、第1基材2および第2基材3の両方に同じ接着剤4が配置される。
【0041】
接着剤4として、例えば、感圧接着剤、硬化型接着剤などが挙げられる。
【0042】
感圧接着剤は、タック性(粘着性)を有し、そのタック性によって第1基材2および第2基材3を接着する。感圧接着剤として、例えば、(メタ)アクリル系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤、ポリエステル系感圧接着剤などが挙げられる。
【0043】
硬化型接着剤は、化学反応により硬化して、第1基材2および第2基材3を接着する。硬化型接着剤として、例えば、熱硬化型接着剤、光硬化型接着剤、常温硬化型接着剤などが挙げられる。
【0044】
熱硬化型接着剤は、加熱により硬化する接着剤であって、例えば、エポキシ系熱硬化型接着剤、(メタ)アクリレート系熱硬化型接着剤、ポリウレタン系熱硬化型接着剤、ポリアミド系熱硬化型接着剤(例えば、ナイロン系接着剤など)、シリコーン系熱硬化型接着剤、不飽和ポリエステル系熱硬化型接着剤、変性オレフィン系熱硬化型接着剤などが挙げられる。
【0045】
光硬化型接着剤は、UVなどの光の照射により硬化する接着剤であって、例えば、エポキシ系光硬化型接着剤、(メタ)アクリレート系光硬化型接着剤、エン/チオール系光硬化型接着剤、オキセタン系光硬化型接着剤、エポキシ/オキセタン系光硬化型接着剤、ビニルエーテル系光硬化型接着剤などが挙げられる。
【0046】
常温硬化型接着剤は、常温(23℃)において硬化する接着剤であって、例えば、シアノアクリレート系常温硬化型接着剤、シリコーン系常温硬化型接着剤、ウレタン系常温硬化型接着剤などが挙げられる。
【0047】
このような接着剤4は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0048】
このような接着剤4のなかでは、好ましくは、硬化型接着剤が挙げられ、さらに好ましくは、光硬化型接着剤が挙げられ、とりわけ好ましくは、(メタ)アクリレート系光硬化型接着剤が挙げられる。つまり、接着剤4は、好ましくは、硬化型接着剤を含み、さらに好ましくは、光硬化型接着剤を含み、とりわけ好ましくは、(メタ)アクリレート系光硬化型接着剤を含む。また、接着剤4は、好ましくは、硬化型接着剤(さらに好ましくは、光硬化型接着剤、とりわけ好ましくは、(メタ)アクリレート系光硬化型接着剤)からなる。
【0049】
接着剤4が硬化型接着剤を含む場合、接着剤4が感圧接着剤を含む場合と比較して、第1基材2および第2基材3を確実に接着することができ、かつ、接着剤4中に気泡が残存することを確実に抑制することができる。
【0050】
このような接着剤4を第1基材2および第2基材3に配置する方法(以下、接着剤4の配置方法とする。)は、常温(23℃)における使用前(第1基材2および/または第2基材3に配置される前)の接着剤4の形状に応じて適宜選択される。常温(23℃)における使用前の接着剤4の形状として、例えば、液体状、シート状などが挙げられる。
【0051】
使用前の接着剤4が液体状である場合、液体状の接着剤4は、第1基材2および第2基材3のそれぞれに、公知の方法によって塗布される。より詳しくは、第1基材2の接着剤配置領域20Aに接着剤4を塗布するとともに、第2基材3の接着剤配置領域30Aに接着剤4を塗布する。
【0052】
また、使用前の接着剤4がシート状である場合、シート状の接着剤4は、第1基材2および第2基材3のそれぞれに配置される。より詳しくは、第1基材2の接着剤配置領域20Aにシート状の接着剤4を配置するとともに、第2基材3の接着剤配置領域30Aにシート状の接着剤4を配置する。
【0053】
このような接着剤4の配置方法のなかでは、好ましくは、液体状の接着剤4を第1基材2および第2基材3のそれぞれに塗布する方法が挙げられる。
【0054】
つまり、接着剤4は、好ましくは、使用前かつ常温(23℃)の状態において液体状を有し、接着剤配置工程において、第1基材2および第2基材3のそれぞれに塗布される。言い換えると、準備工程は、好ましくは、第1基材2および第2基材3の少なくともいずれか一方に、接着剤4を塗布する工程を含む。
【0055】
液体状の接着剤4が基材(第1基材2および第2基材3のそれぞれ)に塗布されると、シート状の接着剤4が基材に配置される場合と比較して、接着剤4中や基材と接着剤4との界面に気泡が残存することをより確実に抑制することができる。
【0056】
第1基材2および第2基材3のそれぞれに配置された接着剤4の厚み(つまり、接着剤4の塗膜の厚み、または、シート状の接着剤4の厚み)は、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.1mm以上、例えば、5mm以下、好ましくは、2mm以下である。
【0057】
次いで、図2Aに示すように、接着剤4が第1基材2と第2基材3との間に位置するように、第1基材2および第2基材3を互いに向かい合うように配置する(基材配置工程)。
【0058】
より具体的には、第1基材2の接着剤配置領域20Aに配置された接着剤4(以下、第1接着剤4Aとする。)と、第2基材3の接着剤配置領域30Aに配置された接着剤4(以下、第2接着剤4Bとする。)とが、厚み方向に互いに間隔を空けて向かい合うように、第1基材2および第2基材3を配置する。
【0059】
これによって、第1基材2および第2基材3の間、より詳しくは、第1接着剤4Aおよび第2接着剤4Bの間に、空間Sが形成される。
【0060】
以上によって、互いに向かい合う第1基材2および第2基材3と、第1基材2と第2基材3との間に位置する接着剤4とを備え、第1基材2および第2基材3の間に空間Sが形成されている基材ユニット9が準備される。
【0061】
また、基材配置工程において、好ましくは、第1基材2と第2基材3との間に挟まれるようにスペーサ6を配置する。つまり、基材ユニット9は、好ましくは、スペーサ6を備え、第1基材2と第2基材3との間には、好ましくは、スペーサ6が挟まれるように配置される。これによって、上記した空間Sを安定して確保することができる。
【0062】
スペーサ6は、基材配置工程において、第1基材2と第2基材3との間隔を維持するように第1基材2および第2基材3を支持し、かつ、後述する減圧工程において収縮する。
【0063】
本実施形態において、スペーサ6は、第1基材2のマージン領域20Bと、第2基材3のマージン領域30Bとの間に挟まれる。なお、マージン領域20Bおよび/またはマージン領域30Bは、スペーサ6を保持するための保持部(例えば、段差、窪みなど)を有してもよい。
【0064】
図2Bに示すように、スペーサ6の個数は、特に制限されないが、好ましくは、2つ以上である。複数(2つ以上)のスペーサ6は、第1基材2の面方向において、互いに間隔を空けて配置される。本実施形態において、スペーサ6は、マージン領域20Bの四隅に対応して、4つ設けられている。そして、スペーサ6は、マージン領域20Bの各隅部(角部)と、マージン領域30Bの各隅部(角部)との間に1つずつ配置されている。
【0065】
スペーサ6の材料として、例えば、弾性部材が挙げられ、より具体的には、発泡体(スポンジ)、ゴムなどが挙げられる。スペーサ6の材料のなかでは、好ましくは、発泡体が挙げられる。
【0066】
発泡体として、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリオレフィン発泡体、クロロプレン発泡体、ポリエステル発泡体などが挙げられ、好ましくは、クロロプレン発泡体が挙げられる。
【0067】
厚み方向におけるスペーサ6の寸法は、圧縮されていない状態において、第1接着剤4Aの厚みおよび第2接着剤4Bの厚みの総和に対して、例えば、2倍以上、好ましくは、5倍以上、例えば、20倍以下、好ましくは、10倍以下である。厚み方向におけるスペーサ6の寸法は、圧縮されていない状態において、例えば、2mm以上、好ましくは、3mm以上、例えば、20mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0068】
次いで、図3に示すように、基材ユニット9を、空間Sが維持された状態で、柔軟性を有する包装袋5に収容する(収容工程)。
【0069】
包装袋5は、上記のように配置した第1基材2および第2基材3を収容可能な内容積を有し、第1基材2および第2基材3の通過を許容する開口5Aを備える。
【0070】
また、包装袋5は、好ましくは、ヒートシール性を有する。つまり、包装袋5は、好ましくは、加熱および加圧により熱融着可能である。
【0071】
また、包装袋5は、好ましくは、光透過性を有する。包装袋5の光透過率は、包装袋5の厚みが0.65mmの場合に、波長380~780nmの光に対して、例えば、50%以上、好ましくは、80%以上である。
【0072】
このような包装袋5の材料として、例えば、ポリアミド(例えば、ナイロンなど)、ポリオレフィンなどが挙げられ、耐熱性の観点から好ましくは、ポリアミドが挙げられる。
【0073】
包装袋5の厚みは、例えば、0.03mm以上、好ましくは、0.05mm以上、例えば、0.3mm以下、好ましくは、0.1mm以下である。
【0074】
これによって、準備工程が完了し、基材ユニット9と、基材ユニット9を収容し、柔軟性を有する包装袋5とを備える真空包装準備体8が準備される。
【0075】
次いで、図4に示すように、包装袋5の内部を減圧する(減圧工程)。
【0076】
具体的には、公知の減圧装置(例えば、真空ポンプなど)により、包装袋5の開口5Aを介して、包装袋5の内部の空気を包装袋5の外部に排出して、包装袋5の内部圧力を下記の範囲に減圧する。
【0077】
包装袋5の内部圧力として、例えば、100000Pa以下、好ましくは、50000Pa以下である。
【0078】
これにより、空間Sの空気が排出されるとともに、包装袋5が第1基材2および第2基材3の外面(裏面21および裏面31)に密着する。そして、包装袋5の内部と包装袋5の外部との圧力差により、第1基材2および第2基材3に均一に圧力が加えられ、第1基材2および第2基材3が互いに近接する。すると、空間Sがなくなるように第1接着剤4Aおよび第2接着剤4Bが接触し、接着剤4が第1基材2および第2基材3に挟まれて、接着剤層40を形成する。その結果、接着剤層40と、第1基材2および第2基材3のそれぞれとが密着する。詳しくは、接着剤層40の厚み方向の一方面が、第2基材3の接着剤配置領域30Aと密着し、接着剤層40の厚み方向の他方面が、第1基材2の接着剤配置領域20Aと密着する。
【0079】
また、第1基材2と第2基材3との間に複数のスペーサ6が挟まれている場合、空間Sの空気は、複数のスペーサ6の間の隙間から排出され、各スペーサ6は、上記した減圧工程において、厚み方向(第1基材2と第2基材3との対向方向)に収縮して、第1基材2および第2基材3の近接を許容する。
【0080】
接着剤層40と第1基材2および第2基材3のそれぞれとが密着した状態において、第1基材2と第2基材3との間の間隔は、接着剤層40の厚みと同じであって、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.1mm以上、例えば、5mm以下、好ましくは、2mm以下である。
【0081】
これによって、第1基材2と、第2基材3と、第1基材2および第2基材3と密着する接着剤層40とを備える積層体1が形成される。積層体1は、厚み方向において、第1基材2と、接着剤層40と、第2基材3とを順に備える。
【0082】
次いで、必要により、包装袋5の開口5Aを、例えば、公知のヒートシール装置により封止して、包装袋5の内部を減圧状態に維持することにより、真空包装体7が調製される。
【0083】
真空包装体7は、積層体1と、積層体1を収容し、内部の圧力が上記範囲である包装袋5とを備える。
【0084】
このような真空包装体7では、積層体1に圧力が加わっているため、第1基材2および第2基材3の横ずれや浮きを抑制でき、第1基材2および第2基材3の相対的な位置精度が低下すること抑制できる。そのため、真空包装体7は、取扱性が向上しており、好適に流通可能である。
【0085】
なお、接着剤層40が感圧接着剤を含有する場合、減圧工程の完了後の積層体1(好ましくは、真空包装体7が含む積層体1)において、接着剤層40は、第1基材2および第2基材3を感圧接着している。そのため、図5に示すように、包装袋5から積層体1を取り出し、必要に応じてスペーサ6を除去することにより、積層体1が製造される。
【0086】
一方、接着剤層40が硬化型接着剤を含有する場合、減圧工程の完了後の積層体1(好ましくは、真空包装体7が含む積層体1)において、接着剤層40は、未硬化状態であって、第1基材2および第2基材3を僅かに接着している。
【0087】
そのため、積層体1の製造方法は、好ましくは、減圧工程が完了後(つまり、第1基材2および第2基材3のそれぞれと接着剤層40とを密着させた後)、接着剤層40を硬化させる硬化工程をさらに含む。
【0088】
硬化型接着剤が熱硬化型接着剤である場合、例えば、真空包装体7を、包装袋5の耐熱温度未満、かつ、接着剤層40の硬化温度以上に加熱して、接着剤層40を硬化させる。
【0089】
また、硬化型接着剤が常温硬化型接着剤である場合、例えば、真空包装体7を、常温(23℃)において所定の硬化時間放置して、接着剤層40を硬化させる。
【0090】
また、硬化型接着剤が光硬化型接着剤である場合、例えば、真空包装体7に、硬化に必要な量の光(例えば、紫外光など)を照射して、接着剤層40を硬化させる。
【0091】
このように、包装袋5から積層体1を取り出すことなく、真空包装体7に硬化工程が実施されると、積層体1に圧力が加わった状態で接着剤層40が硬化するので、基材の変形(例えば、反り)などを抑制でき、第1基材2および第2基材3の相対的な位置精度の向上を図ることができる。
【0092】
その後、包装袋5を開封して、包装袋5から積層体1を取り出し、必要に応じてスペーサ6を除去する。
【0093】
なお、予め包装袋5から積層体1を取り出し、必要に応じてスペーサ6を除去した後、接着剤層40を上記のように硬化させることもできる。
【0094】
以上によって、硬化型接着剤が硬化して、接着剤層40が第1基材2および第2基材3を接着する積層体1が製造される。
【0095】
このような積層体1は、各種産業製品に利用でき、例えば、合わせガラス、透明光学粘着フィルム(OCAフィルム)、透明光学樹脂フィルム(OCRフィルム)などとして好適に用いることができる。
【0096】
<作用効果>
積層体1の製造方法では、図3に示すように、接着剤4が第1基材2と第2基材3との間に位置し、かつ、第1基材2および第2基材3の間に空間Sが形成されている基材ユニット9と、基材ユニット9を収容する包装袋5とを備える真空包装準備体8が準備される。そして、包装袋5の内部が減圧されたときに、第1基材2と第2基材3との間の空気が円滑に除去されるとともに、第1基材2および第2基材3に均一に圧力が加わる。その結果、第1基材2および第2基材3が互いに近接して、第1基材2および第2基材3のそれぞれと接着剤4とが密着する。
【0097】
これによって、簡易な方法でありながら、接着剤層40中や第1基材2および第2基材3のそれぞれと接着剤層40との界面に気泡が残存することを抑制でき、気泡を含まない積層体1を円滑に製造することができる。
【0098】
また、このような積層体1の製造方法は、簡易な製造装置(具体的には、包装袋5と、減圧装置と、必要に応じてヒートシール装置とを備える製造装置)により、円滑に実施できるので、積層体1の製造コストの低減を図ることができる。
【0099】
<変形例>
上記した実施形態では、第1基材2の表面20および第2基材3の表面30のそれぞれは、平坦面であるが、表面20および/または表面30は、図6に示すように、凹凸を有していてもよい。つまり、第1基材2および/または第2基材3のそれぞれにおける接着剤配置領域(接着剤4が配置される面)は、凹凸を有する。凹凸の形状は特に制限されない。なお、図6では、便宜上、表面20および表面30の両方が、凹凸を有するが、これに限定されず、表面20および表面30のいずれか一方のみが、凹凸を有してもよい。
【0100】
このような凹凸を有する第1基材2および第2基材3を備える積層体1の用途として、例えば、立体像結像装置、液晶ディスプレー(LCD)、有機ELディスプレー(OLED)、タッチパネルなどが挙げられる。
【0101】
また、上記した実施形態では、接着剤配置工程において、図1に示すように、第1基材2および第2基材3の両方に接着剤4が配置されるが、これに限定されず、接着剤4は、接着剤配置工程において、第1基材2および第2基材3のいずれか一方のみに配置されてもよい。
【0102】
例えば、接着剤4が第1基材2のみに配置される場合、基材配置工程において、接着剤配置領域20Aに配置された接着剤4と接着剤配置領域30Aとが厚み方向に互いに間隔を空けて向かい合うように、第1基材2および第2基材3を配置する。これによって、第1基材2に配置された接着剤4と、第2基材3との間に、空間Sが形成される。
【0103】
また、上記した実施形態では、基材配置工程において、第1基材2に配置される接着剤4と、第2基材3に配置される接着剤4とが同じであるが、第1基材2および第2基材3に配置される接着剤は、互いに異なってもよい。
【0104】
また、上記した実施形態では、図2Aに示すように、スペーサ6が、第1基材2のマージン領域20Bと、第2基材3のマージン領域30Bとの間に挟まれるが、スペーサ6の配置は、これに限定されない。スペーサ6は、第1基材2の接着剤配置領域20Aと、第2基材3の接着剤配置領域30Aと重なるように配置されてもよい。
【0105】
また、上記した実施形態では、図4に示すように、減圧工程において、スペーサ6を減圧により収縮させたが、スペーサ6を第1基材2および第2基材3の対向方向に小さくできれば、これに限定されない。スペーサ6は、減圧により座屈してもよい。
【0106】
また、上記した実施形態では、図2に示すように、スペーサ6により、第1基材2および第2基材3の間に空間Sを形成するが、空間Sを形成する構成は、これに限定されない。例えば、接着剤4が第1基材2と第2基材3との間に位置するように、第1基材2および第2基材3を対向方向に伸縮可能な固定冶具に固定し、その第1基材2および第2基材3を包装袋5内に収容した後、包装袋5の内部を減圧し、その後、固定冶具を収縮させて、接着剤4を第1基材2と第2基材3との間に挟んで、接着剤層40を形成してもよい。
【0107】
また、第1基材2と第2基材3との間には、スペーサ6とともに、減圧工程において、第1基材2と第2基材3との対向方向において長さが変化しないスペーサ(以下、非可変スペーサ)が挟まれるように配置されていてもよい。
【0108】
非可変スペーサの併用により、第1基材2と第2基材3との間隔を任意のサイズに調整することが容易になる。
【0109】
非可変スペーサは真空圧力でへこまなければよく、その材料としては、例えば、ガラス、プラスチックなどが挙げられる。また、非可変スペーサの個数や位置は特に制限はなく、第1基材2と第2基材3との間隔が均一になるように個数、位置を選択すればよい。
【0110】
また、上記した実施形態では、図5に示すように、積層体1は、第1基材2と、第2基材3と、接着剤層40とを備えるが、これに限定されず、積層体1は、第1基材2、第2基材3および接着剤4に加えて、その他の層(例えば、基材、接着剤層など)を備えてもよい。その他の層の積層方法は、特に制限されず、上記した本発明と同様の方法であってもよく、公知の積層方法であってもよい。
【0111】
また、上記した実施形態では、図1図3に示すように、準備工程が、接着剤配置工程と、基材配置工程と、収容工程とを順に含むが、それら工程の順序は特に制限されず、準備工程は適宜変更できる。
【0112】
例えば、第1基材2および第2基材3を互いに向かい合うように配置した後、第1基材2および第2基材3の少なくともいずれか一方に接着剤4を配置して、接着剤4を第1基材2と第2基材3との間に位置させるとともに、第1基材2および第2基材3の間に空間Sを形成し、その後、第1基材2および第2基材3を包装袋5に収容してもよい。
【0113】
また、第1基材2および第2基材3を包装袋5に収容した状態で、互いに向かい合うように配置した後、第1基材2および第2基材3の少なくともいずれか一方に接着剤4を配置して、接着剤4を第1基材2と第2基材3との間に位置させるとともに、第1基材2および第2基材3の間に空間Sを形成してもよい。
【0114】
一方、作業性の観点から、準備工程が、接着剤配置工程と、基材配置工程と、収容工程とを順に含む上記した実施形態が好ましい。
【0115】
このような変形例によっても、上記した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、上記した実施形態および変形例は、適宜組み合わせることができる。
【実施例
【0116】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
【0117】
実施例1
100mm×100mmのサイズを有するポリメチルメタクリレート基板(ポリMMA基板、厚み2.5mm)を2枚準備した。
【0118】
次いで、各ポリMMA基板の厚み方向一方面における中央部分に、アクリレート系光硬化型接着剤を塗布した。
【0119】
各ポリMMA基板の厚み方向一方面において、アクリレート系光硬化型接着剤が塗布された接着剤配置領域は、厚み方向から見て矩形状を有しており、その面積割合は、82面積%であった。また、ポリMMA基板に塗布されたアクリレート系光硬化型接着剤の厚み(2つの接着剤の塗膜の厚みの総和)は、2mmであった。
【0120】
また、各ポリMMA基板の厚み方向一方面において、アクリレート系光硬化型接着剤が塗布されず、アクリレート系光硬化型接着剤の周囲を囲むマージン領域は、厚み方向から見て矩形枠形状を有しており、その面積割合は、18面積%であった。
【0121】
次いで、2つのポリMMA基板のうち一方のポリMMA基板が有するマージン領域の四隅のそれぞれに、10mm×10mmのすきまテープ(スペーサ、材料:クロロプレン発泡体、厚み:5mm)を貼り付けた。
【0122】
次いで、アクリレート系光硬化型接着剤が2つのポリMMA基板の間に位置するように、2つのポリMMA基板を重ねた。なお、4つのスペーサは、2つのポリMMA基板のマージン領域の間に挟まれていた。
【0123】
また、2つのポリMMA基板のうち、一方のポリMMA基板に配置されたアクリレート系光硬化型接着剤と、他方のポリMMA基板に配置されたアクリレート系光硬化型接着剤との間に、空間が形成された。厚み方向における空間の最小寸法は、3mmであった。
【0124】
次いで、2つのポリMMA基板(基材ユニット)を、上記した空間を維持した状態で、真空パック袋(包装袋、福助工業社製、厚み:0.075mm、材料:ナイロン)に収容した。
【0125】
次いで、2つのポリMMA基板を収容する真空パック袋(真空包装準備体)を、真空包装機(TM-H、古川製作所社製)にセットした。
【0126】
次いで、真空包装機が備える真空ポンプにより、真空パック袋の開口を介して、真空パック袋の内部の空気を真空パック袋の外部に、90秒間排出して、真空パック袋の内部圧力を、50000Paに減圧した。
【0127】
このとき、2つのポリMMA基板が互いに近接するとともに、4つのスペーサが収縮した。これによって、アクリレート系光硬化型接着剤が2つのポリMMA基板に挟まれて層状に形成され、層状に形成されたアクリレート系光硬化型接着剤(接着剤層)と、2つのポリMMA基板とが密着した。
【0128】
これによって、2つのポリMMA基板と、層状のアクリレート系光硬化型接着剤とを備える積層体を形成した。層状のアクリレート系光硬化型接着剤の厚みは、1mmであった。
【0129】
次いで、真空包装機が備えるヒートシール装置により、4秒間加熱および加圧して、真空パック袋の開口を封止した。これによって、積層体と、積層体を収容する真空パック袋とを備える真空包装体を調製した。
【0130】
次いで、真空包装体を真空包装機から取り出し、真空包装体に、紫外光照射装置により、紫外光を1000mJ照射して、層状のアクリレート系光硬化型接着剤を硬化させた。
【0131】
その後、真空パック袋を開封して、真空パック袋から積層体を取り出して、積層体を得た。
【0132】
実施例2
各ポリMMA基板の厚み方向一方面が、格子状の溝を有すること(つまり凹凸を有すること)以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0133】
比較例1
各ポリMMA基板のマージン領域にすきまテープを設けず、2つのポリMMA基板を重ねるときに、各ポリMMA基板に配置されたアクリレート系光硬化型接着剤を互いに接触させたこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0134】
<評価>
各実施例および比較例の積層体について、アクリレート系光硬化型接着剤中、および、アクリレート系光硬化型接着剤とポリMMA基板との界面における気泡の有無について目視により確認した。
【0135】
各実施例の積層体では、アクリレート系光硬化型接着剤中、および、アクリレート系光硬化型接着剤とポリMMA基板との界面において、気泡は確認されなかった。
【0136】
比較例の積層体では、アクリレート系光硬化型接着剤中、および、アクリレート系光硬化型接着剤とポリMMA基板との界面において、気泡が確認された。
【符号の説明】
【0137】
1 積層体
2 第1基材
3 第2基材
4 接着剤
5 包装袋
6 スペーサ
7 真空包装体
8 真空包装準備体
9 基材ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6