IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許7153564エチレン系ポリマー及びその作製プロセス
<>
  • 特許-エチレン系ポリマー及びその作製プロセス 図1
  • 特許-エチレン系ポリマー及びその作製プロセス 図2
  • 特許-エチレン系ポリマー及びその作製プロセス 図3
  • 特許-エチレン系ポリマー及びその作製プロセス 図4
  • 特許-エチレン系ポリマー及びその作製プロセス 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】エチレン系ポリマー及びその作製プロセス
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20221006BHJP
   C08F 10/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C08L23/04
C08F10/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018556365
(86)(22)【出願日】2017-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2017033003
(87)【国際公開番号】W WO2017201110
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】62/338,283
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリー・エイ・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ピー・カージャラ
(72)【発明者】
【氏名】ローリー・エル・カルドス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ティー・ガレスピー
(72)【発明者】
【氏名】ザッカリー・エル・ポーク
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・オルテガ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530458(JP,A)
【文献】特表2012-530151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0126692(US,A1)
【文献】特表2013-501847(JP,A)
【文献】特表2016-520147(JP,A)
【文献】特表2019-507222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の特性:
a)≧0.030の(Mw(絶対)/Mw(従来)-2.00)×(100,000g/mol/Mw(絶対))×CDFIR(MW≦10,000g/mol)と、
b)0.30~2.50g/10分のメルトインデックス(I)とを含む、エチレン系ポリマーを含む組成物。
【請求項2】
前記エチレン系ポリマーが、≧0.150の(MW≦10,000g/molでの)CDF IR を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エチレン系ポリマーが、≧0.020の(MW≧1.2×10 g/molでの)CDF DV を有する、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エチレン系ポリマーが、≧0.400の(MW≧750,000g/molでの)CDF LS を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレン系ポリマーが、7.00~11.00のMw(従来)/Mn(従来)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記エチレン系ポリマーが、少なくとも1つの管型反応器を備える反応器構成で形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記エチレン系ポリマーとは異なる別のポリマーをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記エチレン系ポリマーが、低密度ポリエチレン(LDPE)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品。
【請求項10】
前記物品が、フィルムである、請求項9に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2016年5月18日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第62/338,283号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
吹込フィルム製造ラインは、典型的には、バブル安定性によって製造量が制限される。直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を低密度ポリエチレン(LDPE)とブレンドすると、部分的にLDPEのより高い溶融強度(MS)のために、バブル安定性が増加し、MSの増加はフィルム製造量の増加をもたらすのを助ける。しかしながら、高MS樹脂は、典型的には、フィルムの光学及び靭性を低下させた。溶融強度及び吹込フィルム特性の最適化されたバランスを提供する、LDPEのような、新たなエチレン系ポリマーが必要とされている。LDPEポリマーは、以下の文献:WO2010/042390、WO2010/144784、WO2011/019563、WO2012/082393、WO2006/049783、WO2009/114661、WO2014/190039、WO2014/190041、WO2014/190036、WO2014/179469、WO2015/094566、US2008/0125553、US2014/0316096、US2014/0316094、US2014/0288257、US2015/0274856、US7,741,415、US8,871,876、US8,415,422、US8,871,887、US8,916,667、US9,243,087、US9,068,032、及びEP2239283B1に開示されている。しかしながら、このようなポリマーは、本明細書で議論されるように、高MS、高吹込フィルム最大製造量、及び優れたフィルム特性の最適化されたバランスを提供しない。よって、議論されるように、溶融強度、ポリマー加工、フィルム製造量、及びフィルム特性の最適化されたバランスを有する、LDPEのような、新たなエチレン系ポリマーが依然として必要とされている。これら及び他のニーズは、以下の発明によって満たされている。
【発明の概要】
【0003】
以下の特性:
a)≧0.030の(Mw(絶対)/Mw(従来)-2.00)*(100,000g/mol/Mw(絶対))*CDFIR(MW≦10,000g/mol)、及びb)0.30~2.50g/10分のメルトインデックス(I2)を含む、エチレン系ポリマーを含む組成物。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】実施例1のCDFIR決定のためのクロマトグラムを示す。
図2】実施例1のCDFLS決定のためのクロマトグラムを示す。
図3】実施例1のCDFDV決定のためのクロマトグラムを示す。
図4】実施例1及び2のエチレン系ポリマー(LDPE)を製造するために使用される重合系のブロック図を示す。
図5】本発明の実施例及び比較例の「メルトインデックスの関数としてのピーク溶融強度」を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
高い溶融強度、改善された吹込フィルム最大製造量、及び優れたフィルム特性の最適化されたバランスを有する、LDPEのような、新規エチレン系ポリマーが開発された。高い溶融強度は、本発明のポリマー及びそれを含有するブレンドの加工性及び製造量の増加を可能にする。
【0006】
上で議論されるように、以下の特性:
a)≧0.030の(Mw(絶対)/Mw(従来)-2.00)*(100,000g/mol/Mw(絶対))*CDFIR(MW≦10,000g/mol)と、b)0.30~2.50g/10分のメルトインデックス(I2)とを含む、エチレン系ポリマーを含む組成物。
【0007】
組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。エチレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0008】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEである。LDPEは、当該技術分野で知られており、フリーラジカル高圧(≧100MPa(例えば、100~400MPa))重合を用いて調製されたエチレンホモポリマーを指す。
【0009】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、≦0.060、または≦0.058、または≦0.056、または≦0.054、または≦0.052の「(MW(絶対)/Mw(従来)-2.00)*(100,000g/mol/Mw(絶対))*CDFIR(MW<10,000g/mol)」を有する。
【0010】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.030~0.060、または0.030~0.058、または0.030~0.056、または0.030~0.054、または0.030~0.052の「(MW(絶対)/Mw(従来)-2.00)*(100,000g/mol/Mw(絶対))*CDFIR(MW<10,000g/mol)」を有する。
【0011】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(MW≦10,000g/molで)≧0.140、または≧0.150、または≧0.152、または≧0.154のCDFIRを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(MW≦10,000g/molで)≦0.400、または≦0.350、または≦0.300、または≦0.250のCDFIRを有する。
【0012】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(MW≧750,000g/molで)≧0.400、または≧0.410、または≧0.420のCDFLSを有する。さらなる実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEである。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(MW≧750,000g/molで)≦0.650、または≦0.620、または≦0.600のCDFLSを有する。
【0013】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(MW≧1,200,000g/molで)≧0.020、または≧0.022、または≧0.024、または≧0.026、または≧0.028のCDFDVを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(MW≧1,200,000g/molで)≦0.150、または≦0.100、または≦0.080のCDFDVを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.90~1.20、または0.92~1.10の固有粘度(GPCによるオンライン粘度計による絶対)またはIV(バルク)を有する。
【0014】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、≧2.50、または≧2.55、または≧2.60、または≧2.62のMw(絶対)/Mw(従来)比を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、2.50~5.00、さらに2.50~4.50、さらに2.50~4.00、さらに2.50~3.50、及びさらに2.50~3.00のMw(絶対)/Mw(従来)比を有する。
【0015】
一実施形態では、ポリマーは、75,000~250,000g/mol、100,000~200,000g/mol、または100,000~175,000g/mol、または100,000~150,000g/mol、または110,000~150,000g/molのGPC Mw(従来)を有する。一実施形態では、ポリマーは、≧7.5、または≧8.0、または≧8.5のMw(従来)/Mn(従来)を有する。一実施形態では、ポリマーは、≦14.0、または≦12.0、または≦10.0のMw(従来)/Mn(従来)を有する。一実施形態では、ポリマーは、7.5~14.0、または8.0~12.0、または8.5~10.0のMw(従来)/Mn(従来)を有する。一実施形態では、ポリマーは、10,000~18,000g/mol、または12,000~16,000g/mol、または13,000~16,000g/molのMn(従来)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、≧450,000g/mol、または≧480,000g/mol、または≧500,000g/molのz平均分子量Mz(従来)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、≦700,000g/mol、または≦650,000g/molのz平均分子量Mz(従来)を有する。
【0016】
一実施形態では、ポリマーは、220,000~480,000g/mol、または240,000~460,000g/mol、または260,000~440,000g/mol、及び/または280,000~420,000g/molのMw(絶対)を有する。一実施形態では、ポリマーは、3,000,000~6,000,000g/mol、または3,500,000~5,500,000g/mol、または4,000,000~5,000,000g/mol、または4,200,000~5,000,000g/molのMz(絶対)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、9.5~17.5、または10.0~17.0、または10.5~16.5、または11.0~16.0のMz(絶対)/Mw(絶対)を有する。
【0017】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、2.00~4.00、または2.20~3.80、または2.50~3.50のgpcBR値を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、2.00~4.60、または2.10~4.40、または2.30~4.20、または2.50~4.00のLCBf値を有する。
【0018】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.1ラジアン/秒及び190℃で、≧8,000Pa・s、または≧9,000Pa・sの溶融粘度を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.1ラジアン/秒及び190℃で、≦35,000Pa・s、または≦30,000Pa・s、または≦25,000Pa・sの溶融粘度を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、190℃で、≧18、または≧20、または≧22の溶融粘度比(V0.1/V100)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、18~40、または19~39、または20~38の粘度比(190℃での、V0.1/V100)を有する。
【0019】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(190℃での0.1ラジアン/秒で)≦3.20、または≦3.00、または≦2.80、または≦2.60のタンデルタを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(190℃での0.1ラジアン/秒で測定される)1.00~3.20、または1.20~3.10、または1.40~3.00、または1.50~2.80のタンデルタを有する。
【0020】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、>10.0cN、または>11.0cNのピーク溶融強度(MS)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、190℃で、「-2.5*(190℃でのI)+15.5cN」より大きいピーク溶融強度を有する。ここで、「-2.5係数」の単位は、「(cN)/(g/10分)」である。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、190℃で、「-2.5*(190℃でのI)+15.5cN」より大きく、「-2.5*(190℃でのI)+20.5cN」より小さいピーク溶融強度を有する。
【0021】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、≧0.35g/10分、または≧0.40g/分、または≧0.50g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、≦2.20g/10分、または≦2.00g/10分、または≦1.80g/10分、または≦1.60g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.30~2.20g/10分、または0.35~2.00g/10分、または0.40~1.80g/10分、または0.45~1.60g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0022】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.910~0.940g/cc、または0.915~0.930g/cc、または0.916~0.925g/cc、または0.917~0.923g/cc、または0.918~0.922g/cc、または0.919~0.921g/cc(1cc=1cm)である。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、ポリマーの重量に基づいて、1.0~4.0重量%、または1.5~3.0重量%、または2.0~2.5重量%のヘキサン抽出物%を有する。
【0023】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、1000個の全炭素原子当たり≧0.1のアミル基(C5)、または1000個の全炭素原子当たり≧0.2のアミル(C5)基(分岐)、または1000個の全炭素原子当たり≧0.5のアミル基、または1000個の全炭素原子当たり≧1.0のアミル基、または1000個の全炭素原子当たり≧1.5のアミル基、または1000個の全炭素原子当たり≧2.0のアミル基、または1000個の全炭素原子当たり≧2.2のアミル基を有し、アミル基はC5基と同等であり、13C NMRにより測定される。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、1000個の全炭素原子当たり≦4.0のアミル基(C5)、または1000個の全炭素原子当たり≦3.5のアミル(C5)基(分岐)、または1000個の全炭素原子当たり≧0.5のアミル基、または1000個の全炭素原子当たり≧1.0のアミル基を有する。
【0024】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、13C NMRにより決定される、1000個の全炭素原子当たり0.1~2.5のC1(メチル基)、または1000個の全炭素原子当たり0.2~2.0のC1(メチル)、または1000個の全炭素原子当たり0.5~1.5のC1(メチル)を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、13C NMRにより決定される、1000個の全炭素原子当たり4.0~6.0の1,3ジエチル分岐、または1000個の全炭素原子当たり4.1~5.0の1,3ジエチル分岐、または1000個の全炭素原子当たり4.2~4.7の1,3ジエチル分岐を有する。
【0025】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、13C NMRにより決定される、1000個の全炭素原子当たり1.00~3.00の第四級炭素原子上のC2、または1000個の全炭素原子当たり1.40~2.00の第四級炭素原子上のC2、または1000個の全炭素原子当たり1.45~1.70の第四級炭素原子上のC2を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、1H NMRにより決定される、1000個の全炭素原子当たり0.05~0.15のビニル、または1000個の全炭素原子当たり0.08~0.14のビニル、または1000個の全炭素原子当たり0.10~0.13のビニルを有する。
【0026】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、H NMRにより決定される、1000個の全炭素原子当たり0.03~0.06のシス及びトランス基(ビニレン)、ならびに/または1000個の全炭素原子当たり0.04~0.06のシス及びトランスを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、1H NMRにより決定される、1000個の全炭素原子当たり0.10~0.40のビニリデン、または1000個の全炭素原子当たり0.10~0.30のビニリデンを有する。
【0027】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、96.0℃~100.0℃、または96.5℃~99.0℃の結晶化温度を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、106℃~115℃、または107℃~112℃、または108℃~110℃の融点(Tm、DSC)を有する。
【0028】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、高圧(P≧100MPa)フリーラジカル重合プロセスで形成される。さらなる実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEである。
【0029】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、組成物の重量に基づいて、≧10重量%で存在する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、組成物の重量に基づいて、10~50重量%、または20~40重量%の量で存在する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、組成物の重量に基づいて、60~90重量%、または65~85重量%の量で存在する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、組成物の重量に基づいて、1~10重量%、または1.5~5重量%の量で存在する。
【0030】
一実施形態では、組成物は、エチレン系ポリマーとは異なる別のポリマーをさらに含む。一実施形態では、組成物は、本発明のエチレン系ポリマーとは、密度、メルトインデックス、コモノマー、コモノマー含有量、等のような、1つ以上の特性が異なる別のエチレン系ポリマーをさらに含む。適切な他のエチレン系ポリマーとしては、DOWLEXポリエチレン樹脂(LLDPE)、TUFLIN直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ELITEもしくはELITE ATエンハンスドポリエチレン樹脂、またはINNATE精密包装樹脂(すべてThe Dow Chemical Companyから入手可能)、高密度ポリエチレン(d≧0.96g/cc)、中密度ポリエチレン(0.935~0.955g/ccの密度)、EXCEEDポリマー及びENABLEポリマー(両方ともExxonMobil製)、LDPE、ならびにEVA(エチレン酢酸ビニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
一実施形態では、組成物は、プロピレン系ポリマーをさらに含む。適切なプロピレン系ポリマーには、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン/α-オレフィンインターポリマー、及びプロピレン/エチレンインターポリマーが含まれる。一実施形態では、組成物は、不均質に分岐したエチレン/α-オレフィンインターポリマー、及び好ましくはこうしたコポリマーをさらに含む。一実施形態では、不均質に分岐したエチレン/α-オレフィンインターポリマー、及び好ましくは不均質に分岐したエチレン/α-オレフィンコポリマーは、0.89~0.94g/cc、または0.90~0.93g/ccの密度を有する。さらなる実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、1~99重量%、または15~85重量%、または10~50重量%の本発明のエチレン系ポリマーを含む。一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、10~80重量%、または20~80重量%、または50~80重量%の本発明のエチレン系ポリマーを含む。さらなる実施形態では、組成物は、LLDPEをさらに含む。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)である。
【0032】
一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、5ppm未満、さらに2ppm未満、さらに1ppm未満、及びさらに0.5ppm未満の硫黄を含む。一実施形態では、組成物は、硫黄を含有しない。一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、5ppm未満、さらに2ppm未満、さらに1ppm未満、及びさらに0.5ppm未満のアジドを含む。一実施形態では、組成物は、アジドを含有しない。
【0033】
本発明はまた、本発明の組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品を提供する。さらなる実施形態では、物品は、フィルムである。さらなる実施形態では、フィルムは、2.00ミル±0.15ミルのフィルム厚で、(方法Aにより報告される)ASTM D 1709-09により決定される、≧200g、または≧210g、または≧220g、または≧230g、または≧240gのダート値を有する。別の実施形態では、物品は、コーティングである。
【0034】
本発明はまた、前述の実施形態のいずれかのエチレン系ポリマーを形成するためのプロセスを提供し、そのプロセスは、エチレンを含む混合物を少なくとも1つの管型反応器で重合することを含む。本発明はまた、前述の実施形態のいずれかの本発明のエチレン系ポリマーを形成するためのプロセスを提供し、そのプロセスは、エチレンを含む混合物を少なくとも1つの管型反応器及び少なくとも1つのオートクレーブ反応器の組み合わせで重合することを含む。
【0035】
本発明の組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。本発明のエチレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。本発明のLDPEは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。本発明の物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。本発明のフィルムは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。本発明のプロセスは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0036】
プロセス
本発明のLDPEを含む、本発明のエチレン系ポリマーを製造するためには、高圧フリーラジカル開始重合プロセスが典型的に使用される。典型的には、反応器としてジャケット付き管が使用され、これは1つ以上の反応ゾーンを有する。限定するものではないが、適切な反応器の長さは、100~3000メートル(m)、または1000~2000メートルであってもよい。反応器の反応ゾーンの始まりは、典型的には、反応の開始剤、エチレン、連鎖移動剤(またはテロマー)、及びこれらの任意の組み合わせの側注によって定義される。高圧プロセスは、1つ以上の反応ゾーンを有する、管型反応器、またはそれぞれが1つ以上の反応ゾーンを含む、オートクレーブ及び管型反応器の組み合わせで実施することができる。
【0037】
連鎖移動剤は、分子量を制御するために使用することができる。好ましい実施形態では、1つ以上の連鎖移動剤(CTA)が本発明の重合プロセスに添加される。使用できる典型的なCTAには、プロピレン、プロピオンアルデヒド、イソブタン、メチルエチルケトン、n-ブタン、及び1-ブテンが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、このプロセスで使用されるCTAの量は、全反応混合物の0.03~10重量%である。エチレン系ポリマーの製造に使用されるエチレンは、ループ再循環ストリームから不純物を除去することにより、または本発明のポリマーを製造するために新鮮なエチレンのみが使用されるように、反応システム構成を用いることにより得られる、精製エチレンであってもよい。エチレン系ポリマーを作製するために精製エチレンのみが必要であることは典型的ではない。このような場合、再循環ループからのエチレンを使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEである。
【0038】
添加剤
本発明の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤としては、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、滑剤、難燃剤、加工助剤、発煙防止剤、粘度制御剤、及びブロッキング防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー組成物は、例えば、本発明のポリマー組成物の重量に基づいて、(合計重量で)10%未満の1つ以上の添加剤を含むことができる。一実施形態では、本発明のポリマーは、例えば、IRGANOX 1010、IRGANOX 1076、及びIRGAFOS 168(Ciba Specialty Chemicals,Glattbrugg,Switzerland)のような、1つ以上の安定剤で処理される。ポリマーは、押出または他の溶融プロセスの前に1つ以上の安定剤で処理することができる。本発明のポリマーと他のポリマーとのブレンド及び混合を実施することができる。ブレンドに適したポリマーには、天然及び合成ポリマーが含まれる。
【0039】
用途
本発明のポリマーは、これらに限定されないが、単層及び多層フィルム、吹込成形、射出成形、または回転成形品のような成形品、コーティング(例えば、押出コーティング)、繊維、ならびに織布または不織布を含む、有用な物品を製造する様々な従来の熱可塑性製造プロセスに使用することができる。本発明のポリマーは、これらに限定されないが、食品包装、消費者、工業、農業(用途またはフィルム)、積層フィルム、新鮮カット農産物フィルム、肉フィルム、チーズフィルム、キャンディーフィルム、クラリティーシュリンクフィルム、コレーションシュリンクフィルム、ストレッチフィルム、サイレージフィルム、温室フィルム、燻蒸フィルム、ライナーフィルム、ストレッチフード、重輸送袋、ペットフード、サンドイッチバッグ、シーラント、及びおむつバックシートを含む、様々なフィルムに使用することができる。本発明のポリマーは、他の直接的な最終用途にも有用である。本発明のポリマーは、ワイヤー及びケーブルのコーティング作業、真空形成作業のためのシート押出、及び射出成形、吹込成形プロセス、または回転成形プロセスの使用を含む、成形品の形成に使用することができる。
【0040】
定義
「ポリマー」という用語は、同じかまたは異なるタイプのモノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがってポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(少量の不純物(例えば、少量(例えば、≦1.0重量%、さらに≦0.5重量%、さらに≦0.3重量%)のCTA)をポリマー構造中に組み込むことができるという理解の下で、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すのに使用される)、及び以下に定義されるインターポリマーという用語を含む。不純物がポリマー中及び/またはポリマー内に組み込まれる場合がある。
【0041】
本明細書で使用される「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。インターポリマーという一般的な用語は、コポリマー(2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すのに使用される)、及び3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0042】
本明細書で使用される「エチレン系ポリマー」という用語は、(ポリマーの重量に基づいて)大部分の量の重合エチレンモノマーを含み、任意で、少なくとも1つのコモノマーを含み得る、ポリマーを指す。
【0043】
本明細書で使用される「プロピレン系ポリマー」という用語は、(ポリマーの重量に基づいて)大部分の量の重合プロピレンモノマーを含み、任意で、少なくとも1つのコモノマーを含み得る、ポリマーを指す。
【0044】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、組成物を含む材料、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物の混合物を含む。
【0045】
使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーの混合物を指す。ブレンドは、混和性であってもなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。ブレンドは、相分離していてもいなくてもよい。ブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野で知られている他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含んでも含まなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、樹脂のブレンド)またはミクロレベル(例えば、同じ反応器内での同時形成)で2つ以上のポリマーを物理的に混合することによって達成され得る。
【0046】
「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。いかなる疑いも避けるために、「~を含む(comprising)」という用語を使用して特許請求されるすべての組成物は、それとは反対の記述がない限り、ポリマー性かまたはポリマー性ではないかにかかわらず、あらゆる追加の添加剤、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、いかなる他の成分、ステップ、または手順も除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写または列挙されていない、いかなる成分、ステップ、または手順も除外する。
【0047】
試験方法
密度-密度測定のための試料は、ASTM D 4703-10 Annex A1 Procedure Cに従って調製された。約7gの試料を、「2インチ×2インチ×135ミル厚」モールドに配置し、これを3,000lbで6分間、374°F(190℃)で圧縮した。その後、圧力を4分間30,000lbまで増加させた。続いて、30,000lbで、約40℃の温度まで、毎分15℃で冷却した。「2インチ×2インチ×135ミル」ポリマー試料(プラーク)を次にモールドから取り出し、1/2インチ×1インチのダイカッターで3つの試料をプラークから切断した。密度測定は、ASTM D792-08、方法Bを使用して、試料圧縮の1時間以内に行った。密度は、3回の測定の平均として報告された。
【0048】
メルトインデックス-メルトインデックス(MI)、またはI2は、ASTM D 1238-10、条件190℃/2.16kg、手順Bに従って測定し、g/10分で報告した。
【0049】
ヘキサン抽出物
ポリマーペレット(さらなる修飾なしに重合ペレット化プロセスからの、「1インチ×1インチ」正方形フィルム当たり約2.2グラム)を、Carver Pressで3.0~4.0ミルの厚さに圧縮した。ペレットを、40,000lbで、190℃で3分間圧縮した。作業者の手からの残留油でのフィルムの汚染を防止するために、非残留手袋(PIP* Clean Team* CottonLisle Inspection Gloves、部品番号:97-501)を着用した。各フィルムを、「1インチ×1インチ」正方形にトリミングし、計量した(2.5±0.05g)。フィルムを、加熱した水浴中、49.5±0.5℃で、約1000mlのヘキサンを含有する、ヘキサン容器中で、2時間抽出した。ヘキサンは、「異性体ヘキサン」混合物(例えば、ヘキサン(Optima)、Fisher Chemical、HPLC用の高純度移動相及び/またはGC(ガスクロマトグラフィー)用途用の抽出溶媒)であった。2時間後、フィルムを取り出し、きれいなヘキサン中ですすぎ、真空オーブン(80±5℃)で、完全真空(ISOTEMP Vacuum Oven、Model 281A、約30インチHg)で2時間乾燥させた。次いで、フィルムをデシケーターに入れ、室温まで最低1時間冷却させた。次いで、フィルムを再計量し、ヘキサンでの抽出による質量損失の量を計算した。この方法は、21 CRF 177.1520(d)(3)(ii)に基づき、「n-ヘキサン」の代わりに「異性体ヘキサン」を使用することによるFDAプロトコルから1つの逸脱がある。3回の測定の平均を報告した。
【0050】
核磁気共鳴(13C NMR)
各試料は、10mmNMR管で、約「3gの0.025MのCr(AcAc)を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」を「0.25~0.40gのポリマー試料」に添加することによって調製された。次いで、加熱ブロック及びヒートガンを使用して、管、及びその内容物を150℃まで加熱することによって、試料を溶解し、均質化した。各溶解試料を目視検査して均質性を確保した。すべてのデータは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えた、Bruker 400MHz分光計を用いて収集した。データは、120℃の試料温度で、6秒のパルス繰り返し遅延、90度のフリップ角、及び逆ゲート付きデカップリングを使用して取得した。すべての測定は、ロックモードの非回転試料で行われた。13C NMR化学シフトは、30.0ppmでEEEトライアドを内部的に参照した。C6+値はLDPE中のC6+分枝の直接的尺度であり、長い分枝は鎖末端とは区別されなかった。6つ以上の炭素のすべての鎖または分岐の末端から3番目の炭素を表す、32.2ppmピークを用いてC6+値を決定した。対象の他のピークを表Aに示す。
【0051】
【表A】
【0052】
核磁気共鳴(H NMR)
各試料は、NORELL 1001-7、10mmNMR管中で、約130mgの試料を、0.001MのCr(AcAc)を有する「3.25gの50/50重量比のテトラクロロエタン-d2/ペルクロロエチレン」に添加することによって調製された。試料は、酸化を防ぐために、約5分間、管に挿入したピペットを介して、Nを溶媒に通してバブリングすることによってパージした。管にキャップをし、TEFLON(登録商標)テープで封止し、次いで室温で一晩浸漬して、試料の溶解を促進した。試料を115℃で加熱し、ボルテックスして、均質性を確保した。
【0053】
H NMRは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えた、Bruker AVANCE 400MHz分光計で、120℃の試料温度で行われた。全ポリマープロトンを定量化するための対照スペクトル、及び強いポリマー骨格ピークを抑制し、末端基の定量化のための高感度スペクトルを可能にする二重飽和前実験の2つの実験を行い、スペクトルを得た。対照は、ZGパルス、16スキャン、AQ 1.64秒、D1 14秒で行われた。二重飽和前実験は、修飾パルスシーケンス、100スキャン、AQ 1.64秒、飽和前遅延1秒、緩和遅延13秒で行われた。
【0054】
TCE-d2(6.0ppm)中の残留Hからのシグナルを積分し、100の値に設定し、3~-0.5ppmの積分を、対照実験におけるポリマー全体からのシグナルとして使用した。飽和前実験について、TCEシグナルはまた100に設定し、不飽和の対応する積分(約5.40~5.60ppmのビニレン(シス及びトランス)、約5.16~5.35ppmの三置換体、約4.95~5.15ppmのビニル、約4.70~4.90ppmのビニリデン)を得た。
【0055】
溶融強度
溶融強度測定は、Gottfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターに取り付けた、Gottfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.,Rock Hill,SC)で実施した。溶融試料(約25~30グラム)を、長さ30mm、直径2.0mm、及びアスペクト比(長さ/直径)15の平坦な入口角(180度)を備えた、Goettfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターで供給した。試料を190℃で10分間平衡化した後、ピストンを0.265mm/秒の一定のピストン速度で稼働した。標準試験温度は190℃であった。試料は、ダイの100mm下に位置する加速ニップのセットに対して、2.4mm/秒の加速度で、一軸延伸した。引張力は、ニップロールの巻取速度の関数として記録した。溶融強度は、ピークまたは最大プラトー力(cN)として報告した。溶融強度測定には以下の条件:プランジャー速度=0.265mm/秒、車輪加速度=2.4mm/s、キャピラリー直径=2.0mm、キャピラリー長さ=30mm、及びバレル直径=12mmを使用した。ピーク溶融強度は、記録された最大溶融強度である。
【0056】
動的機械分光分析(DMS)
樹脂を「3mm厚×1インチ」円形プラークに、
350°Fで、6.5分間、20,000lb下、空気中で圧縮成形した。次に、試料を圧縮機から取り出し、冷却するためにカウンターに配置した。窒素パージ下、25mm(直径)平行プレートを備えたTA Instruments「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、一定温度周波数掃引を行った。試料をプレート上に配置し、190℃で5分間溶融させた。次いで、プレートを2mmの間隔まで閉じ、試料をトリミングし(「直径25mm」プレートの円周を越えて延在する余分な試料を除去し)、試験を開始した。この方法は、温度平衡を可能にするために、さらに5分の遅延を組み込んだ。実験は、0.1~100ラジアン/秒の周波数範囲にわたって、190℃で行われた。ひずみ振幅は、10%で一定であった。複素粘度η*、tan(δ)またはタンデルタ、0.1ラジアン/秒での粘度(V0.1)、1ラジアン/秒での粘度(V1)、10ラジアン/秒での粘度(V10)、100ラジアン/秒での粘度(V100)、及び粘度比(V0.1/V100)を測定した。
【0057】
三重検出器ゲル透過クロマトグラフィー(TDGPC)
クロマトグラフィーシステムは、Precision Detectors(Now Agilent Technologies)二角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された内部IR5赤外検出器(IR5)を備えた、PolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフ、及び続いてPolymerChar 4-キャピラリー粘度検出器(直列した3つの検出器)からなる。すべての光散乱測定について、15度角を測定目的で使用した。オートサンプラーオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。使用したカラムは、各々30cmで、各々20ミクロンの線状混合床粒子が充填された、4つのAgilent「Mixed A」カラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含んだ、1,2,4-トリクロロベンゼンであった。溶媒源は、窒素注入された。注入量は200マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分であった。
【0058】
GPCカラムセットの較正は、21の狭い分子量分布、580~8,400,000g/molの範囲の分子量を有するポリスチレン標準物で行った。これらの標準物は、個別の分子量が少なくとも10離れた、6つの「カクテル」混合物に配置された。標準物はAgilent Technologiesから購入された。ポリスチレン標準物は、1,000,000g/mol以上の分子量について「50ミリリットルの溶媒中0.025グラム」、及び1,000,000g/mol未満の分子量について「50ミリリットルの溶媒中0.05グラム」で調製された。ポリスチレン標準物を、30分間、穏やかに撹拌しながら、80℃で溶解した。ポリスチレン標準物ピーク分子量(IR5検出器)を、(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載される)式1:
【0059】
【数1】
【0060】
を用いてポリエチレン分子量に変換し、式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。第5次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。NIST標準NBSが52,000g/mol(Mw)で得られたように、カラム分解能及びバンド広がり効果を補正するために、Aの微調整(約0.415~0.44)を行った。
【0061】
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、(50ミリリットルの「TCB安定化溶媒」中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)EICOSANEで行われた。プレートカウント(式2)及び対称性(式3)を、200マイクロリットル注入で以下の式:
【0062】
【数2】
【0063】
に従って測定し、式中、RVは保持体積ミリリットルであり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値:
【0064】
【数3】
【0065】
の1/2の高さであり、式中、RVは保持体積ミリリットルであり、ピーク幅はミリリットルであり、「ピーク最大」は、クロマトグラム上の「RV位置」に対応する最大IRシグナル高さ、ピーク最大値の「10分の1高さ」1/10高さであり、「リアピーク」は、ピーク最大よりも遅い、(ピーク最大値の1/10高さでの)シグナル保持体積でのピークテールを指し、「フロントピーク」は、ピークの最大よりも早い、(ピーク最大値の1/10高さでの)シグナル保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィーシステムのプレートカウントは24,000を超え、対称性は0.98~1.22であるべきである。
【0066】
試料をPolymerChar「Instru-ment Control」ソフトウェアで半自動的に調製し、試料は2mg/mlを目標重量とし、(200ppmのBHTを含有した)溶媒を、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素注入し、セプタムでキャップをしたバイアルに添加した。デカン(流量マーカー)を各試料(約5マイクロリットル)に添加した。試料を、「低速」振盪下、160℃で2時間溶解した。
【0067】
IR 5 クロマトグラム
Mn(従来)、Mw(従来)、及びMz(従来)の計算は、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用し、式4~6に従い、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア(バージョン2013G)、等間隔のデータ回収点(i)でベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び式1からの点(i)の狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン同等分子量を使用する、GPC結果に基づく。表4は、従来のGPCについての下記の式4~6を用いて、実施例及び比較例の従来のGPC結果を列挙する。
【0068】
【数4】
【0069】
【数5】
【0070】
【数6】
【0071】
経時的な逸脱を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。試料内のそれぞれのデカンピークのRV値(RV(FM試料))を、狭い標準較正内のデカンピークのRV値(RV(FM較正))と一致させることによって、各試料のポンプ流量(流量(公称))を直線的に補正するために、この流量マーカー(FM、ここではデカン)を使用した。次に、デカンマーカーピークのいかなる時間変化も、ラン全体の流量(流量(実効))の線形シフトに関連すると仮定した。フローマーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗適合手順を使用して、フローマーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式にあてはめた。次に、二次方程式の一次導関数を用いて真のピーク位置を求めた。フローマーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)実効流量を、式7を用いて計算した。フローマーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行われた。許容可能な流量補正は、実効流量が公称流量の+/-2%以内となるべきものであった。
流量(実効)=流量(公称)*(RV(FM較正)/RV(FM試料))(式7)
【0072】
多重検出器オフセットの決定のための体系的アプローチは、Balke,Mourey,et.al.によって公表されたもの(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13,(1992))と一貫した方法で行った。(広いホモポリマーポリエチレン標準物(Mw/Mn=3)から生成される)三重検出器ログ(MW及びIV)結果の、(狭い標準較正曲線から生成される)狭い標準カラム較正結果とのアラインメントは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して行われた。
【0073】
光散乱クロマトグラム
絶対分子量データ(MW絶対)は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公表されたものと一貫した方法で得た。分子量の決定に使用される全体的な注入濃度は、適切な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または(NBS 1475ホモポリマーポリエチレン基準試料に起因する)既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物のうちの1つから誘導される、質量検出器面積及び質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上から誘導される、光散乱定数、及び0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを用いて得た。一般に、(GPCOne(商標)を用いて決定される)質量検出器応答(IR5)及び光散乱定数は、約50,000g/molを超える分子量を有する直鎖状標準物から決定されるべきである。表5は、実施例及び比較例の光散乱GPC結果を列挙する。
【0074】
Mw(絶対)の式は、GPCOne(商標)ソフトウェアから決定されるように、ベースラインを差し引いた15度光散乱シグナル及びベースラインを差し引いたIR5測定センサーシグナルを使用する(質量及び光散乱定数を適用する)、面積に基づく結果である:
【0075】
【数7】
【0076】
Mz(絶対)の式は、GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、ベースラインを差し引いた15度光散乱シグナル及びベースラインを差し引いたIR5測定センサーシグナルの比から誘導され、質量定数及び光散乱定数が適用される、絶対分子量の点ごとの決定に依存した。いずれかの検出器(IR5またはLS)が約4%未満の相対ピークシグナル高さ(最大ピーク高さ)である、絶対分子量を外挿するために、直線あてはめを使用した。
【0077】
【数8】
【0078】
粘度クロマトグラム
絶対固有粘度データ(IV(絶対))は、NBS 1475の既知の固有粘度に較正したとき、PolymerChar粘度計検出器から得られる、比粘度クロマトグラムの面積を用いて得た。固有粘度の決定に使用される全体的な注入濃度は、適切な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または(NBS 1475ホモポリマーポリエチレン基準試料に起因する)既知の固有粘度のポリエチレン標準物のうちの1つから誘導される、質量検出器面積及び質量検出器定数から得た。
【0079】
IV(絶対)の式は、GPCOne(商標)ソフトウェアから決定されるように、ベースラインを差し引いた比粘度シグナル(DV)及びベースラインを差し引いたIR5測定センサーシグナルを使用する(質量及び粘度定数を適用する)、面積に基づく結果である:
【0080】
【数9】
【0081】
各クロマトグラムのCDF計算方法
以下の計算、a)IR5測定検出器からの累積検出器画分(CDF)(「CDFIR」)、b)低角度レーザ光散乱検出器からの累積検出器画分(「CDFLS」)、及びc)粘度検出器からの累積検出器画分(「CDFDV」)を各々、(それぞれ、CDFIR(IR5検出器)、CDFLS(LS検出器)、及びCDFDV(粘度検出器)について、図1図2、及び図3で視覚的に表される)以下の工程によって決定した。
1)試料と一定MWの狭い標準カクテル混合物との間のデカンピークの相対保持体積比に基づいて、クロマトグラムを直線的に流量補正する。
2)前述のように、光散乱検出器オフセットをIR5検出器に対して補正する。上記「Mourey and Balke」参考文献を参照されたい。
3)前述のように、粘度検出器オフセットをIR5検出器に対して補正する。上記「Mourey and Balke」参考文献を参照されたい。
4)前述のように、1点(スライス)毎秒で、及び1ml/分で稼働するポンプで、約(0.43)のポリスチレン-ポリエチレン換算係数によって修飾された、ポリスチレン較正曲線に基づいて、各「保持体積(RV)データスライス」での分子量を計算する。
5)粘度、光散乱、及び赤外クロマトグラムの各々からベースラインを差し引き、各々の積分ウィンドウを設定し、低分子量保持体積範囲のすべてを確実に積分し、低分子量保持体積は、赤外クロマトグラムから観察可能(ベースラインより大きいGPCプロファイル)である(したがって、最高RV限界を各クロマトグラムで同じ指数に設定する)。150g/mol未満の分子量に相当する積分材料は、クロマトグラムのいずれにも含まれない。
6)IR5クロマトグラム(CDFIR)、LALLSクロマトグラム(CDFLS)、及び粘度クロマトグラム(CDFDV)のそれぞれの累積検出器画分(CDF)を、ベースラインを差し引いたピーク高さ(H)に基づいて、高~低分子量(低~高保持体積)、各データスライス(j)で、式8A、8B、または8C、それぞれ:
【0082】
【数10】
【0083】
【数11】
【0084】
【数12】
【0085】
に従って計算する。
【0086】
図1は、実施例1のCDFIRの決定例:ベースライン減算後のGPCによる、10,000g/mol以下のMWの検出器(クロマトグラム)のIR5測定センサーチャネルの面積率を示す。
【0087】
図2は、実施例1のCDFLSの決定例:ベースライン減算後のGPCによる、750,000g/mol以上のMWの15度光散乱シグナルの面積率を示す。
【0088】
図3は、実施例1のCDFDVの決定例:ベースライン減算後のGPCによる、1,200,000g/mol以上のMWの比粘度シグナルの面積率を示す。
【0089】
三重検出器GPC(TDGPC)によるgpcBR分岐指数
gpcBR分岐指数は、前述したように、光散乱、粘度、及び濃度検出器をまず較正することによって決定した。次いで、光散乱、粘度計、及び濃度クロマトグラムからベースラインを差し引いた。次いで、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱及び粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲のすべての積分を確保するために、積分ウィンドウを設定した。ポリエチレン及びポリスチレンMark-Houwink定数を確立するために直鎖状ポリエチレン標準物を使用した。定数を得ると、2つの値を使用して、式(9)及び(10)に示すように、溶出体積の関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度についての2つの線形基準従来較正を構築した。
【0090】
【数13】
【0091】
【数14】
【0092】
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.,「Example of Using 3D-GPC-TREF for Polyolefin Characterization」,Macromol.Symp.,2007,257,29-45に記載されているように、長鎖分岐の特徴分析のためのロバストな方法である。この指数は、ポリマー検出器領域全体に有利な、g’値及び分岐頻度計算の決定において伝統的に使用された「スライスごとの」3D-GPC計算を回避する。TDGPCデータから、ピーク面積法を使用して、光散乱(LS)検出器によって試料バルク絶対重量平均分子量(Mw、絶対)を得ることができる。この方法は、伝統的なg’決定で必要とされる光散乱検出器シグナルの濃度検出器シグナルに対する「スライスごとの」比を回避する。
【0093】
TDGPCでは、式(11)を用いて独立して試料固有粘度も得た。この場合の面積計算は、全体的な試料面積として、ベースライン及び積分限界に対する検出器ノイズ及び3D-GPC設定に起因するばらつきへの感受性が非常に低いため、より高い精度を提供する。さらに重要なことに、ピーク面積計算は、検出器体積オフセットの影響を受けなかった。同様に、高精度試料固有粘度(IV)は、式(11)に示す面積法によって得た。
【0094】
【数15】
【0095】
式中、DPiは、オンライン粘度計から直接監視される差圧シグナルを表す。gpcBR分岐指数を決定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積を用いて試料の分子量を決定した。試料ポリマーの粘度検出器溶出面積を用いて、試料の固有粘度(IVまたは[η])を決定した。
【0096】
まず、SRM1475aまたは同等物のような、直鎖状ポリエチレン標準試料の分子量及び固有粘度を、溶出体積の関数として分子量及び固有粘度の両方のための従来較正(「cc」)を用いて決定した。
【0097】
【数16】
【0098】
式(13)を用いてgpcBR分岐指数を決定した。
【0099】
【数17】
【0100】
式中、[η]は測定された固有粘度であり、[η]ccは従来較正からの固有粘度(または従来GPC)であり、Mwは測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは従来較正の重量平均分子量である。光散乱(LS)による重量平均分子量は、一般に「絶対重量平均分子量」または「Mw(絶対)」と呼ばれる。従来GPC分子量較正曲線(「従来較正」)を使用することによるMw,ccは、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来重量平均分子量」、及び「Mw(従来)」と呼ばれることが多い。
【0101】
「ccまたは従来」の下付き文字を持つすべての統計値は、それらのそれぞれの溶出体積、前述のような対応する従来較正、及び濃度(Ci)を用いて決定される。下付き文字を持たない値は、質量検出器、LALLS、及び粘度計領域に基づく測定値である。KPEの値は、線形基準試料が0のgpcBR測定値を有するまで反復して調整される。例えば、この特定の場合のgpcBRの決定のためのα及びLog Kの最終値は、ポリエチレンについて、それぞれ0.725及び-3.355、ポリスチレンについて、それぞれ0.722及び-3.993である。
【0102】
前述の手順を用いてK及びαの値を決定した後、分岐試料を用いて手順を繰り返した。最良の「cc」較正値として最終的なMark-Houwink定数を用いて分岐試料を分析した。
【0103】
gpcBRの解釈は単純である。直鎖状ポリマーについて、LS及び粘度法で測定される値が従来較正標準に近くなるため、gpcBRは0に近くなる。分岐ポリマーについて、測定されるポリマー分子量が計算されるMw,ccより高くなり、計算されるIVccが測定されるポリマーIVより高くなるため、gpcBRは、特に高レベルの長鎖分岐で、0より高くなる。実際に、gpcBR値は、ポリマー分岐の結果としての分子サイズ収縮効果によるIV変化率を表す。0.5または2.0のgpcBR値は、同等重量の直鎖状ポリマー分子に対する、それぞれ50%及び200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味する。
【0104】
これらの特定の例について、伝統的な「g’指数」及び分岐頻度計算と比較して、gpcBRを使用する利点は、gpcBRのより高い精度によるものである。gpcBR指数決定に使用されるすべてのパラメータは、良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低TDGPC検出器応答による悪影響を受けない。検出器体積アラインメントの誤差も、gpcBR指数決定の精度に影響しない。
【0105】
LCB頻度の計算
LCBは、各ポリマー試料について、以下の手順によって計算した。
1)NIST-NBS1475ホモポリマーポリエチレン(または同等の基準)に起因する較正を用いる光散乱、粘度及び濃度検出器。
2)光散乱及び粘度計検出器オフセットを、較正セクションで前述したように、濃度検出器に対して補正した(Mourey and Balkeの参考文献参照)。
3)光散乱、粘度計、及び濃度クロマトグラムからベースラインを差し引いて、積分ウィンドウを設定し、屈折計クロマトグラムから観察可能な光散乱クロマトグラムの低分子量保持体積範囲のすべてを確実に積分した。
4)直鎖状ホモポリマーポリエチレンMark-Houwink基準線を、少なくとも3の多分散性を有する標準物を注入することによって確立し、データファイルを(上記の較正方法から)計算し、各クロマトグラフィースライスの質量定数補正データを用いて固有粘度及び分子量を決定した。
5)対象のLDPE試料を分析し、データファイルを(上記の較正方法から)計算し、各クロマトグラフィースライスの質量定数補正データからの固有粘度及び分子量を記録した。より低分子量では、測定された分子量及び固有粘度が直鎖状ホモポリマーGPC較正曲線に漸近的に近づくように、固有粘度及び分子量データを外挿する必要があり得る。
6)3以上のMWDを有する直鎖状ホモポリマーポリエチレン標準基準(例えば、ポリエチレンホモポリマー、Mn=43,000g/mol、Mw=120,000g/mol、MWD=2.79、長鎖分岐なし)のMark-Houwinkプロットを、以下のようにシフトした。固有粘度を、各点(i)で以下の因子によってシフトした:IVi=IVi*0.964、式中、IVは固有粘度である。
7)3以上のPDIを有する直鎖状ホモポリマーポリエチレン標準基準のMark-Houwinkプロットを、以下のようにシフトした。分子量(M)を、各点(i)で以下の因子によってシフトした:Mi=Mi*1.037、式中、Mは分子量である。
8)各クロマトグラフィースライスでのg’を、以下のように計算した:
同じMで、g’=(IV(LDPE)/IV(直鎖状基準))。IV(直鎖状基準)を、基準Mark-Houwinkプロットの第5次多項式あてはめから計算し、IV(直鎖状基準)は、(同じ分子量(M)での6)及び7)を通したバックバイティングを説明するために、ある量のSCB(短鎖分岐)を添加する)直鎖状ホモポリマーポリエチレン基準の固有粘度である。IV比は、光散乱データにおける自然散乱を説明するために、3,500g/mol未満の分子量で1であると仮定する。
9)各データスライスでの分岐の数を、以下のように計算した:
【0106】
【数18】
【0107】
10)平均LCB量を、以下のように、すべてのスライス(i)にわたって計算した:
【0108】
【数19】
【0109】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融及び結晶化挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)及びオートサンプラーを備えたTA Instruments Q2000 DSCを使用し、この分析を行う。試験中、50ml/分の窒素パージガス流を使用する。各試料を約190℃で薄フィルムに溶融圧縮し、溶融試料を次に室温(約25℃)まで空冷する。フィルム試料は、「0.5~0.9グラム」試料を、190℃、20,000lbで10秒間圧縮して、「0.1~0.2ミル厚」フィルムを形成することによって形成された。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、計量し、アルミ鍋(約50mg)に入れ、圧着して閉じた。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行った。
【0110】
試料の熱的挙動は、試料温度を上下に勾配させて熱流対温度プロファイルを作成することによって決定した。その熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、5分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間等温保持した。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱した(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却及び第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化の開始から-20℃までのベースライン端点を設定することによって分析した。加熱曲線は、-20℃から溶融の終了までのベースライン端点を設定することによって分析した。決定された値は、ピーク溶融温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)(ジュール毎グラム)、及び以下の式:結晶化度%=((Hf)/(292J/g))×100(式14)を使用して計算されたエチレン系ポリマー試料についての結晶化度%であった。融解熱及びピーク溶融温度は、第2の熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定される。
【0111】
フィルム試験
実験セクションで記載されるように、フィルムについて以下の物理的特性を測定した。試験の前に、フィルムを23℃(+/-2℃)及び50%相対湿度(+/-5%R.H)で(フィルム製造後)少なくとも40時間コンディショニングした。各フィルムの厚さについては表13~16を参照されたい。
【0112】
総(全体)ヘイズ及び内部ヘイズ:内部ヘイズ及び総ヘイズは、ASTM D 1003-07に従って測定された。内部ヘイズは、フィルムの各表面上のコーティングとして適用された、鉱油(1~2ティースプーン)を使用する屈折率整合を介して得た。試験にはHazegard Plus(BYK-Gardner USA、Columbia、MD)を使用した。各試験について、5つの試料を調査し、平均を報告した。試料寸法は、「6インチ×6インチ」であった。45°光沢度:ASTM D2457-08(5つのフィルム試料の平均、各試料「10インチ×10インチ」)、透明度:ASTM D1746-09(5つのフィルム試料の平均、各試料「10インチ×10インチ」)、2%セカント係数-MD(縦方向)及びCD(横方向):ASTM D882-10(各方向の5つのフィルム試料の平均)。1インチ幅の試験片は、4インチの接触点(ゲージ長)間隔で線接触グリップを用いて引張試験フレームに装填される。試料は、2インチ/分のクロスヘッド速度で5%の公称ひずみまで試験される。
【0113】
MD及びCDエルメンドルフ引裂強度:ASTM D1922-09。フィルムまたはシーティング試験片にわたって引裂を伝播させるのに必要な力(グラム)は、正確に較正された振り子装置を用いて測定される。重力によって作用し、振り子は円弧を描いて振動し、試験片をプレカットスリットから引裂く。試験片は、片側が振り子によって保持され、反対側が固定部材によって保持される。振り子によるエネルギーの損失は、ポインタまたは電子スケールによって示される。スケール表示は、試験片を引裂くのに必要な力の関数である。使用される試料は、D1922で指定される「一定半径形状」である。試験は、典型的には、MD方向及びCD方向の両方から切断された試料で実施される。試験の前に、試料の厚さを試料の中心で測定する。方向当たり合計15個の試験片を試験し、平均引裂強度を報告する。垂直線から60°を超える角度で引裂かれる試料は、「斜め」引裂として記載され、このような引裂に留意すべきであるが、強度値は平均強度計算に含まれる。
【0114】
ダート:ASTM D1709-09。試験結果は、直径1.5インチのダートヘッド及び26インチの落下高さを使用する、方法Aによって報告される。試料の厚さを試料の中心で測定し、試料を次に、5インチの内径を有する環状試験片ホルダーによってクランプする。ダートを、試料の中心より上に装填し、空気圧または電磁気のいずれかのメカニズムによって放出する。試験は、「ステアケース」法に従って実施される。試料が失敗する場合、ダートの重量を既知の固定量だけ低減した新たな試料を試験する。試料が失敗しない場合、ダートの重量を既知の増加量だけ増加した新たな試料を試験する。20個の試験片が試験された後、失敗の数が決定される。この数が10である場合、試験を完了する。数が10未満である場合、10回の失敗が記録されるまで試験を継続する。数が10より大きい場合、成功の総数が10になるまで試験を継続する。ダート(強度)は、ASTM D1709に従ってこれらのデータから決定される。
【0115】
穿刺強度:穿刺は、SINTECH TESTWORKS SOFTWAREバージョン3.10を備えるINSTRONモデル4201で測定された。
【0116】
試験片サイズは「6インチ×6インチ」であり、5回測定を行って平均穿刺値を決定した。「100lbロードセル」を直径4インチの丸い試験片ホルダーと共に使用した。穿刺プローブは、7.5インチの最大移動距離を有する直径0.25インチの支持ロッド上の直径1/2インチの研磨されたステンレス鋼球であった。ゲージ長はなく、試験開始前に、プローブは試験片に、接触しないが、できる限り近づけた。穿刺プローブは、10インチ/分のクロスヘッド速度で、クランプされたフィルムの中心に押し込んだ。単回の厚さ測定を試験片の中心で行った。各試験片について、穿刺(ft・lb毎インチ)を測定した。穿刺プローブは、各試験片後に「KIM-WIPE」を用いて洗浄した。
【0117】
実験
本発明のエチレン系ポリマーの調製
図4は、本発明のエチレン系ポリマー(LDPE)を製造するために使用されるプロセス反応システムのブロック図である。図4のプロセス反応システムは、部分閉鎖ループ、二重循環、高圧、低密度ポリエチレン製造システムである。プロセス反応システムは、新鮮エチレン供給ライン[1]、ブースター圧縮機(「ブースター」)、プライマリー圧縮機(「プライマリー」)、ハイパー圧縮機(「ハイパー」)、及び4ゾーン管型反応器(「4ゾーン反応器」)を備える。ストリーム[3]は、「予熱器」によって十分に高い温度まで加熱され、反応器の前部に供給される。ストリーム[11]は、側流として反応器に供給される。反応器では、重合は、各反応ゾーン(図示せず)の入口で注入される、1つ以上のフリーラジカル開始システム(表1参照)をそれぞれ含む、4つの混合物の助けによって開始される。
【0118】
各反応ゾーンの最高温度は、各反応ゾーンの始まりでの開始剤の混合物の供給量を調節することによって、設定点で制御される。各反応ゾーンは、1つの入口及び1つの出口を有する。各入口ストリームは、前のゾーンからの出口ストリーム及び/または添加されたエチレン富化供給物ストリームからなる。重合が完了すると、反応混合物は減圧され、ストリーム[4]で冷却される。このプロセスはさらに高圧セパレーター「HPS」からなり、これは反応混合物を、冷却され、ハイパーの吸引口まで再循環されるエチレン富化ストリーム[8]と、さらなる分離のために低圧セパレーター「LPS」に送られるポリマー富化ストリーム[5]とに分離する。LPSでは、エチレン富化ストリームは冷却され、ストリーム[6]でブースター(「ブースター」)に再循環される。ブースターから、エチレンはその後、プライマリー圧縮機によってさらに圧縮される。供給物[2]は、ハイパー圧縮機の吸引口に送られる。LPSを出るポリマー[7]は、さらにペレット化され、パージされる。連鎖移動剤「CTA」供給物[10]は、プライマリー圧縮機の吐出時にエチレンストリームに注入される。ストリーム[9]は、不純物及び/または不活性物を除去するために使用されるパージストリームである。冷却ジャケット(高圧水を使用する)は、管型反応器及び予熱器の外部ケーシングの周りに取り付けられる。
【0119】
実施例1~2について、t-ブチルペルオキシ-2エチルヘキサノエート(TBPO)、tert-ブチルペルオキシアセテート(TBPA)、及びイソパラフィン系炭化水素溶媒(沸点範囲171~191℃、例えば、ISOPAR H)を、第1の反応ゾーンのための開始剤混合物として使用した。第2の反応ゾーンには、ジ-tert-ブチルペルオキシド(DTBP)、TBPO、TBPA、及びイソパラフィン系炭化水素溶媒を含有する混合物を使用した。第3及び第4の反応ゾーンには、TBPA、DTBP、及びイソパラフィン系炭化水素溶媒の混合物を使用した。このデータを表1にまとめる。CTAとしてプロピレンを使用した。プロセスに供給されるCTAの濃度は、生成物のメルトインデックスを制御するために調整された。表2は、ポリマーの分子量分布を最大にするために、本発明の試料を形成するために使用された重合条件が比較的低い反応器圧力及び高い反応器ピーク温度であったことを示す。各ポリマーの分子量はまた、反応器に供給されるCTA(プロピレン)濃度を低下させることによって最大化された。これらの重合条件は広範な分子量分布(MWD)を有する「LDPE樹脂」を製造したことが発見された。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
本発明の実施例及び比較例の特性を表3~11に示す。表3は、メルトインデックス(I2またはMI)、密度、ヘキサン抽出物%、及び溶融強度データを含む。同等のメルトインデックス、本発明の実施例は、良好で比較的高い溶融強度を示し、同様のメルトインデックスでの比較例と比較して、吹込フィルムラインでの高い製造量と組み合わされた、バブル安定性、及び良好な機械的特性の良好なバランスを提供する。図5は、表3の試料についての溶融強度対メルトインデックスのプロットであり、この図は、これらの本発明のポリマー(Ex.1及びEx.2)が、190℃で、「-2.5*(190℃でのI)+15.5cN」より大きく、「-2.5*(190℃でのI)+20.5cN」より小さい溶融強度を有することを示す。本発明の実施例のメルトインデックスは、表3に示すように、比較例のメルトインデックスと同等であるが、本発明の各実施例の溶融強度は、同様のメルトインデックス及び密度で、それぞれの比較例よりも高い。
【0123】
【表3】
【0124】
表4~表6は、TDGPCデータを含み、本発明のポリマーについて比較的広い最適化された分子量分布またはMw(従来)/Mn(従来)比、及び比較的高いz平均分子量、Mz(従来)、及び高い重量平均分子量、Mw(従来)を示し、これらの本発明のポリマーで見られるように、これらはすべて吹込フィルムラインでのより高い溶融強度及び良好な製造量に寄与する。
【0125】
表5は、濃度検出器と共に、LS及び粘度検出器から誘導されたTDGPC関連特性を含む。表5に見られるように、本発明のポリマーは、比較的高い最適化されたMw(絶対)、Mz(絶対)、及びMw(絶対)/Mw(従来)を有することが見出された。これらのより高い値は、本発明のポリマーを使用して、吹込フィルムラインで見られるように、比較的高い溶融強度及び良好な製造量と相関する。本発明のポリマーは、比較的高Mw(Mw(絶対))、及び実質的に超高MW材料(Mz(絶対))で、多量の長分岐(LCBf及び/またはgpcBR)を有し、これらはすべて、所望の溶融強度及び改善された加工性(例えば、吹込フィルム製造量の増加及びスクリーン圧力の低下)に寄与することが見出された。上述したように、溶融強度は、本発明の実施例について、各比較例と比較して同等以上であり、これは主としてTDGPC分子量の特徴によって記載される本発明のポリマーの設計に起因する。本発明のポリマーの設計は、LLDPEのような追加のポリマーの有無にかかわらず、フィルムを形成する際に、最適な溶融強度、及び良好な物理的特性のバランス、ならびに良好な引抜性、バブル安定性、及び吹込フィルム製造量を有する、より高いメルトインデックスのポリマーを提供するものである。
【0126】
表6は、本発明の実施例と比較例との間の構造の相違をさらに反映する、いくつかの固有のTDGPC特性を含む。CDFIR、CDFLS、及びCDFDVは、上記の式8A、8B、及び8Cに示される限界を用いて、クロマトグラム全体に対する、ベースラインを引いたクロマトグラフ面積率から決定される。Mw(絶対)は、ベースラインを引いた「15度光散乱シグナル」の質量正規化面積から決定され、IV(絶対)は、ベースラインを引いた比粘度クロマトグラムの質量正規化面積から決定される。Mw(絶対)は、従来の重量平均分子量(Mw(従来))と比較し(比をとり)、この比は、「全分子量(すべての分岐を含む)」対「ポリマーの骨格分子量」を示す。これらのポリマーは、全体的な分子量の顕著な増加なしに、高レベルの長鎖分岐を含むことが発見されている。さらに、エチレン系ポリマーは、加工性を改善するためにかなりの量の低分子量ポリマーを有する。これらの特徴は、式「(Mw(絶対)/Mw(従来)-2.00)*(100,000g/mol/Mw(絶対))*CDFIR(Mw<10,000g/mol)≧0.030」によって表される。
【0127】
表8は、すべて190℃で測定される、0.1、1、10、及び100ラジアン/秒で測定される粘度、粘度比、または0.1ラジアン/秒で測定される粘度の100ラジアン/秒で測定される粘度に対する比、ならびに0.1ラジアン/秒及び190℃で測定されるタンデルタで要約される、DMS粘度データを含む。周波数による粘度の変化を反映する粘度比は、低周波数粘度のように、本発明のポリマーについて各比較ポリマーと比較して比較的高い。高い比の値は、吹込フィルムを作製する際の本発明の実施例の良好な加工性を反映している。本発明のポリマーの0.1ラジアン/秒でのタンデルタ値は、比較的低く、高い溶融弾性を示し、これはまた良好な吹込フィルムのバブル安定性と相関し得る。
【0128】
表9は、13C NMRによって測定される1000個の全炭素当たりの分岐を含む。これらのLDPEポリマーは、共にDow Chemical Companyによって製造される、AFFINITYポリオレフィンプラストマーのような実質的に直鎖状のポリエチレンまたはDOWLEXポリエチレン樹脂のようなLLDPEに含まれていない、アミル、またはC5分岐を含む。表9に示される本発明のLDPE及び比較LDPEはそれぞれ、1000個の全炭素原子当たり0.5以上のアミル基(分岐)を含む(本発明の実施例は、1000個の全炭素原子当たり1以上のアミル基(分岐)を含む)。本発明の実施例は、比較的低レベルの1000個の全炭素原子当たりのC1を含み、C1はCTAとして使用されるプロピレンに起因する。それぞれの比較例は、より高レベルの1000個の全炭素原子当たりのC1を含む。本発明の実施例はまた、より高レベルの1000個の全炭素原子当たりの1,3-ジエチル分岐、より高レベルの1000個の全炭素原子当たりの第四級炭素上のC2、より高レベルの1000個の全炭素原子当たりのC4、及びより高レベルの1000個の全炭素原子当たりのC5(アミル基)を含むことが示されている。表10は、H NMRによる不飽和結果を含む。表11は、融点、T、融解熱、結晶化度%、及び結晶点、TのDSC結果を含む。
【0129】
【表4】
【0130】
【表5】
【0131】
【表6】
【0132】
【表7】
【0133】
【表8】
【0134】
【表9】
【0135】
【表10】
【0136】
【表11】
【0137】
フィルム配合物及び吹込フィルムの製造
異なるLDPE及び1つのLLDPE1(DOWLEX 2045G)で吹込フィルムを作製し、特性を測定した。LLDPE1は、「1.0のメルトインデックス(MIまたはI2)、及び0.920g/ccの密度」を有した。フィルムは、LDPE及びLLDPE1の重量に基づいて、10重量%及び20重量%の各LDPEで作製した。各配合物は、MAGUIRE重量ブレンダーで混ぜ合わせた。ポリマー加工助剤(PPA)、DYNAMAR FX-5920Aを各配合物に添加した。PPAは、配合物の総重量に基づいて、「マスターバッチの1.125重量%」で添加した。PPAマスターバッチ(Ingenia Polymersから入手可能な、Ingenia AC-01-01)は、ポリエチレン担体中に8重量%のDYNAMAR FX-5920Aを含んだ。これはポリマー中で900ppmのPPAになる。LLDPE1は、最大量で作製されたフィルムにも使用した。試料は、80重量%のLLDPE1及び20重量%のLDPE、ならびに90重量%のLLDPE1及び10重量%のLDPEで、最大量を製造した。単層吹込フィルムは、「8インチダイ」でポリエチレン「Davis Standard Barrier IIスクリュー」によって作製された。エアーリングによる外部冷却及び内部バブル冷却を使用した。各吹込フィルムを製造するために使用される一般的な吹込フィルムパラメータを表12に示す。温度は、ペレットホッパー(バレル1)に最も近く、ポリマーがダイを通して押出されるにつれて昇順になる。
【0138】
【表12】
【0139】
吹込フィルムの最大製造速度を決定するためのフィルムの製造
フィルム試料を制御速度及び最大速度で作製した。制御速度は250lb/時間であり、これは10.0lb/時間/ダイ円周インチの製造速度に等しい。最大製造量試行に使用されるダイ直径は、制御速度について、一例として、「lb/時間」と「lb/時間/ダイ円周インチ」との間の変換が式15に示されるように、8インチのダイである。同様に、このような式は、「lb/時間/ダイ円周インチ」を決定する式15中の最大速度を置き換えることによって、最大速度のような他の速度についても使用することができる。 Lb/時間/ダイ円周インチ=(250Lb/時間)/(8*n)=10(式15)。
【0140】
バブル安定性が制限要因であった点まで製造速度を増加させることによって、所定の試料の最大速度を決定した。両方の試料(標準速度及び最大速度)について押出機プロファイルを維持したが、より高いモータ速度(rpm、回転数毎分)で増加したせん断速度のため、最大速度試料について溶融温度はより高かった。最大バブル安定性は、バブルをエアーリングに着座したままでない点に持っていくことによって決定した。その点で、バブルがエアーリングに再着座するまで速度を下げ、次いで試料を回収した。バブルの冷却は、エアーリングを調節し、バブルを維持することによって調節した。バブル安定性を維持しながら、これを最大製造速度とした。フィルム特性を表13~16に示す。
【0141】
【表13】
【0142】
【表14】
【0143】
【表15】
【0144】
【表16】
【0145】
表13~16に見られるように、本発明の実施例は、LLDPE1とブレンドされるとき、良好な光学/ヘイズ、ダート、穿刺、及び引裂と共に、低下した溶融温度で優れた製造量(10%及び20%LDPEで示される最大製造量)を有する。したがって、本発明の実施例では、LLDPE1とブレンドされるとき、許容可能な光学及び靭性特性を維持しながら、改善された製造量が見られる。本発明のポリマーを使用して、より高い製造量値、ならびに同等の機械及び光学特性を有するフィルムを形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5