(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20221006BHJP
F25D 27/00 20060101ALI20221006BHJP
F25D 25/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
F25D27/00
F25D25/00 N
(21)【出願番号】P 2019002584
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】上瀬 重朗
(72)【発明者】
【氏名】真下 拓也
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-003062(JP,A)
【文献】特開2006-329614(JP,A)
【文献】特開2007-003174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136312(US,A1)
【文献】特開2017-172905(JP,A)
【文献】特開2018-084358(JP,A)
【文献】特開2009-198017(JP,A)
【文献】特開2002-350039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 25/00
F25D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源と、
前記貯蔵室内に可視光を照射する可視光源と、
紫外線を通す材料からなり、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源を、間隙を有して覆うように設置される光透過部材と、を備え、
前記紫外光源及び前記可視光源を、同一の基板に実装し
、その基板の実装面の色を、前記光透過部材の色と同じ又は同系色の色とした冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室と、
前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源と、
紫外線を通す材料からなり、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源を、間隙を有して覆うように設置される光透過部材と、を備え、
前記紫外光源を、基板の実装面における中央部からずれた位置に実装し
、その基板の実装面の色を、前記光透過部材の色と同じ又は同系色の色とした冷蔵庫。
【請求項3】
貯蔵室としてのチルド室と、
前記チルド室内に紫外線を照射する紫外光源と、
紫外線を通す材料からなり、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源を、間隙を有して覆うように設置される光透過部材と、を備え、
前記紫外光源を、前記チルド室の左右方向中央部からずれた位置となるように基板に実装し
、その基板の実装面の色を、前記光透過部材の色と同じ又は同系色の色とした冷蔵庫。
【請求項4】
貯蔵室として
、前面開口を開閉する回動可能な前蓋を有するチルド室と、
前記チルド室内に
、その背壁側から紫外線を照射する紫外光源と、を備え、
前記紫外光源を、前記チルド室の左右方向中央部からずれた位置となるように基板に実装
することによりユーザに対して当該中央部から紫外光が直接的に向かう事態を抑制するように配置した冷蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵室としての前記チルド室内に可視光を照射する可視光源を備え、前記紫外光源及び前記可視光源を、同一の基板に実装した請求項4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記紫外光源を、前記基板の実装面における中央部からずれた位置に実装した請求項4または5記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵室内に可視光を照射する可視光源を、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源よりも前記基板の実装面における中央側に実装した請求項1から
6の何れか一項記載の冷蔵庫。
記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源と、前記貯蔵室内に可視光を照射する可視光源と、で前記基板の実装面における上下方向の位置がずれている請求項1から
7の何れか一項記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源と、前記貯蔵室内に可視光を照射する可視光源と、が前記基板の一辺に沿う方向へ並ぶ請求項1から
8の何れか一項記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記基板において、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源、及び前記貯蔵室内に可視光を照射する可視光源は、夫々の中心点が上下方向にずれた状態で左右方向に並ぶ請求項1から
9の何れか一項記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記基板の実装面において、電気接続するコネクタと、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源と、の間
の位置に、前記貯蔵室内に可視光を照射する可視光源を実装した請求項1から
10の何れか一項記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記基板における制御回路の回路素子を、当該基板の周縁寄りの位置に配置し、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源を、前記回路素子よりも当該基板の中央部寄りの位置に配置した請求項1から
11の何れか一項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の冷蔵庫においては、庫内を照明する照明装置としてLEDを設けるとともに、これとは別のLEDを、紫外線を照射する除菌装置として設けたものがある。
例えば、特許文献1の冷蔵庫では、冷気ダクト内部に、紫外線を照射するLEDと光触媒フィルタを設け、その光触媒フィルタを冷気が通るときに、紫外線によってさらに除菌が行われるようになっている。また、冷気ダクトには、庫内に臨むLEDの光を通す窓部が設けられていて、その窓部から庫内を照明することができる。
しかしながら、このものでは、光触媒フィルタに対向させるLEDの基板と、庫内に臨むLEDの基板とを冷気ダクト内に配置せざるをえず、照明装置や除菌装置が嵩張りやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、紫外光源について好適な配置構成とすることができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源と、前記貯蔵室内に可視光を照射する可視光源と、紫外線を通す材料からなり、前記貯蔵室内に紫外線を照射する紫外光源を、間隙を有して覆うように設置される光透過部材と、を備え、前記紫外光源及び前記可視光源を、同一の基板に実装し、その基板の実装面の色を、前記光透過部材の色と同じ又は同系色の色とした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態における冷蔵庫の内部構成を模式的に示す断面図
【
図3】チルド室に対する紫外線の照射方向を示すチルド室近傍部の断面図
【
図4】基板とともに示す背面ダクトにおける分解斜視図
【
図5】背面ダクトに配設された基板を拡大して示す断面図
【
図6】制御基板に実装された光源や電子部品を示すものであり、その実装面に対して垂直な方向から見たときの拡大図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示す冷蔵庫1は、前面が開口した矩形箱状をなす冷蔵庫本体2内に、冷蔵温度帯の冷蔵室3及び野菜室4と、冷凍温度帯の製氷室、小冷凍室5及び大冷凍室6とを備える。こうした冷蔵室3~大冷凍室6は、何れも食品等の貯蔵物(以下「食品」と称す)を貯蔵するための貯蔵室とされている。なお、製氷室は、小冷凍室5と左右に隣り合うように配置されているため、その扉とともに図示を省略する。また、冷蔵室3~大冷凍室6は、「貯蔵室3~6」とも称する。
【0008】
冷蔵庫本体2における冷蔵室3の前面開口は、両開き式(観音開き式でもよい)の扉3aによって開閉される。野菜室4、製氷室、小冷凍室5及び大冷凍室6の前面開口部は、引き出し式の扉4a、扉5a、及び扉6aによって夫々開閉される。なお、
図1に示す冷蔵庫1の構成は一例であり、貯蔵室の数や配置はこれに限定されない。
【0009】
冷蔵室3内には、透明性材料(例えばガラス材料やアクリル樹脂等)で形成された複数の棚板Pa、Pb、Pc、Pdが設けられ、その最下段には、チルド室7が設けられている。チルド室7は、冷蔵室3とは異なる温度帯であるチルド温度帯に制御されるようになっている。チルド室7には、上下二段に配置されたチルドケース71,72が設けられている。詳しくは後述するが、チルドケース71,72は夫々、例えば上面側が開口した箱型容器状をなし、チルド室7に収納された状態から前方へ引き出すことにより、開口したその上面側から食品を出し入れするようになっている。
【0010】
冷蔵庫1は、冷蔵室3よりも下方となる野菜室4の後方に位置して、冷蔵温度帯の冷気を生成する冷蔵用冷却器8が設けられているとともに、概ねチルド室7の後方に位置して冷蔵用冷却器8で生成された冷気を送風する左右一対のファン9
L,9
R(
図2参照)が設けられている。
また、冷蔵庫1は、冷凍室の後方に位置して、冷凍温度帯の冷気を生成する冷凍用冷却器10と、冷凍用冷却器10で生成された冷気を送風するファン11とを備えている。つまり、冷蔵庫1は、複数の冷却器8,10を備えるとともに、本実施形態では冷蔵用冷却器8に対して2つのファン9
L,9
Rを備えている。
【0011】
冷蔵庫1に設けられている各冷却器8,10は、冷蔵庫本体2の底部に設けられた機械室12に配置されている圧縮機13等とともに周知の冷凍サイクルを構成する。詳しい図示は省略するが、冷凍サイクルは、圧縮機13から吐出された高温高圧の冷媒を受けて放熱液化させる凝縮器、この凝縮器の出口側にて冷媒流路を切り換える切替弁、冷却器8,10各々の減圧装置も含み、これらを冷媒配管で接続してなる。なお、圧縮機13や切替弁は、後述する制御装置20(
図7参照)により制御される。
【0012】
図1、
図2に示すように、上記した貯蔵室3,4,7の背面側には、上下に延びる背面ダクト15が設けられている。係る背面ダクト15は、貯蔵室3,4,7の奥方にて、冷蔵用冷却器8で生成された冷気を冷蔵室3とチルド室7とに供給する冷気流路15Rを形成するダクトであり、下部ダクト16と上部ダクト17を備えている。このうち、下部ダクト16は、
図3、
図4に示すように前後に組み合わされる下部前側ダクト16aと下部後側ダクト16bを一体的に有して構成されている(以下「下部ダクト16a,16b」とも称する)。
【0013】
下部ダクト16a,16bは、冷蔵庫本体2における冷蔵室3の最下段の後方(チルド室7の後方)に位置して冷却器8及びファン9
L,9
Rを収容し、上部ダクト17は、下部ダクト16a,16bの上方に延び且つ当該下部ダクト16a,16bと連通する。下部ダクト16a,16b内は冷蔵用冷却器室とされており、上部ダクト17よりも前方へ膨出した段付き状をなしている(
図3参照)。
【0014】
図2に示すように、下部ダクト16a,16bには、チルド室7と冷気流路15Rを連通させる左右一対の吹出口21
L,21
Rが設けられている。一方の吹出口21
Lはファン9
Lの上側に位置し、他方の吹出口21
Rはファン9
Rの上側に位置する。これら吹出口21
L,21
Rは、相互に左右に並び且つ左右に延びて帯状をなす貫通孔であり、下部前側ダクト16aと下部後側ダクト16bを貫通するように形成されている。吹出口21
L,21
Rは、
図4に示すように、下部前側ダクト16aの上部に設けられた吹出口21a
L,21a
Rと、下部後側ダクト16bの上部に設けられた吹出口21b
L,21b
Rとを前後に連ねることにより形成されている。冷却器8において熱交換された冷気は、吹出口21
L,21
Rからチルド室7内へ吹き出される。
【0015】
図3、
図4に示すように、下部後側ダクト16bは、上端面に開口22bを有し、下端が開放された矩形箱状をなしており、例えば発砲スチロールから形成されている。下部前側ダクト16aは、下部後側ダクト16bに対して、前側から覆うように組み合わされるカバー状をなしており、例えば合成樹脂材料(ポリプロピレン)から形成されている。下部前側ダクト16aにおける上端の開口22aは、下部後側ダクト16bの開口22bに合わさるとともに、上部ダクト17の下端に接続される。
【0016】
図4に示すように、下部後側ダクト16bの前面には、左右の吹出口21b
L,21b
R間に位置させて平坦部(前壁部23b)が設けられている。下部前側ダクト16aには、下部後側ダクト16bの前壁部23bに対応する部分23aが前方へ張出している。この下部前側ダクト16aにおける張出し部分23aと、下部後側ダクト16bの前壁部23bとで制御基板30を収容可能な基板収容部25が形成されている。
【0017】
基板収容部25は、チルド室7背部における左右方向中間部の位置にあって、矩形ブロック状をなして前方へ張出す中空部である。
図4、
図5に示すように、基板収容部25の内部は、下部前側ダクト16aと下部後側ダクト16bとの間において、両ダクト16a,16bを接着する四角枠状のソフトテープSt1を介して気密な空間を形成している。基板収容部25は、当該下部ダクト16の前面16cよりも前側へ突出しており(
図3参照)、冷気流路15Rを狭めることがない。また、基板収容部25は、吹出口21
L,21
Rと対向する方向から見て(つまり
図2の紙面と直交する方向から見て)、左右の吹出口21
L,21
Rに挟まれる左右方向中央部の位置にあって、且つ吹出口21
L,21
Rと左右に隣り合うように並ぶ位置に配置されており、吹出口21
L,21
Rから吹き出される冷気の流れを妨げることがない。なお、基板収容部25に収容される制御基板30には、紫外光源31及び可視光源32が実装されているが、これら光源31,32について詳しくは後述する。
【0018】
上記のファン9
L,9
Rは、互いに左右方向に隣り合う並列配置とされており、冷蔵用冷却器8の上方において、各々の送風面が上向きとなるように設けられている。そして、冷蔵用冷却器8で生成された冷気は、ファン9
L,9
Rの運転によって、背面ダクト15内の冷気流路15Rを通じて下部ダクト16の吹出口21
L,21
Rからチルド室7へ吹出されるとともに、上部ダクト17の複数の吹出口26(
図1、
図2参照)から冷蔵室3へと吹出され、当該吹出口26から吹出された冷気が冷蔵室3から野菜室4にも供給されるようになっている。以下、説明の簡略化のために、吹出口26から吹出される冷気が供給される冷蔵室3及び野菜室4を便宜的に「冷蔵室3側」とも称する。
【0019】
なお、下部ダクト16には、上記した冷気吹出口としての吹出口21
L,21
R及び26から吹き出された冷気が冷蔵用冷却器8へ戻る冷気戻り口としての第1戻り口18及び第2戻り口19が設けられている(
図2、
図3参照)。下部ダクト16において、第1戻り口18は、チルドケース72の下側に位置して前方へ突出するように形成されており、チルド室7側の冷気を冷蔵用冷却器8側へ通す戻り口となっている。第2戻り口19は、下部ダクト16の下端に形成された開口で構成されており、冷蔵室3側の冷気を冷蔵用冷却器8側へ通す戻り口となっている。
図2、
図3に示すように、第1戻り口18及び第2戻り口19は何れも基板収容部25よりも下方の位置に配置されている。
【0020】
図1に示す冷蔵庫本体2の天井壁の上面後部には、前記制御装置20の制御基板20aを収容する基板収容部20sが設けられている。制御装置20は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、ROMやRAM等の記憶部20b(
図7参照)を有する。同
図7に示すように、制御装置20には、冷蔵用のファン9
L,9
R,冷凍用のファン11、圧縮機13、前記切替弁、紫外光源31、可視光源32が接続されるとともに、冷蔵室温度センサ27、赤外線センサ28、扉センサ29等が接続されている。
【0021】
冷蔵室温度センサ27は、冷蔵室3の温度を検出するものであり、冷蔵室3内の背壁側に設けられている。赤外線センサ28は、チルド室7に収納されている食品が有する熱エネルギーを赤外線の放射量として検出するものであり、チルド室7の天井壁を構成する棚板Pdに設けられている。扉センサ29は、冷蔵室3の扉3aの開閉を検出する自己容量方式の静電センサであり(押込み式のドアスイッチでもよい)、扉3aの周縁側に設けられている。
【0022】
制御装置20は、記憶部20bに記憶されているプログラムを実行し、冷蔵室温度センサ27や赤外線センサ28で検出した検出結果等に基づいて、ファン9L,9R,11や、圧縮機13を含む冷凍サイクルを運転することにより、各貯蔵室を冷却する。また、制御装置20は、扉センサ29の検出結果に基づいて、扉3aの開放に伴い可視光源32を点灯させ、扉3aの閉鎖に伴い可視光源32を消灯させる一方、紫外光源31については扉3aの閉鎖に伴い点灯させ、扉3aの開放に伴い消灯させるようになっている。
【0023】
さて、上記した可視光源32は、チルド室7内に可視光を照射してチルド室7内を照明するものであり、紫外光源31は、チルド室7内に紫外光(紫外線)を照射してチルド室7内での除菌作用を得ようとするものである。本実施形態では、可視光源32と紫外光源31とを同一の制御基板30に実装するとともに、基板収容部25において当該基板30を所定角度傾斜させた配置構成としている。係るチルド室7の構成について、可視光源32及び紫外光源31並びに制御基板30の構成を中心に詳述する。
【0024】
先ず、
図3に示す前記チルドケース71,72のうち、上側のチルドケース71は、周壁たる前壁71a、背壁71b、及び左右の側壁71cと、底壁71dとを一体に有し、上面側が開口した比較的浅底な箱型容器状をなす。前壁71aには、同図の断面で逆「L」字状をなす手掛け部71eが設けられている。また、左右の側壁71c(同図では左側壁71cのみ図示)の外側には夫々、前後方向に延びるレール71fが設けられている。レール71fは、図示しないレール受けにより受けられ、ガイドされる。これにより、ユーザは、手掛け部71eに下側から手を掛けて、チルドケース71をレール71fに沿って引き出すことができる。チルドケース71は肉皿として、その底壁71d上に肉や魚等の食品が載置される。なお、チルドケース71の背壁71bにおける左右方向中央部には、基板収容部25に対応させて内側へ窪む窪み部70が設けられている。
【0025】
下側のチルドケース72は、上側のチルドケース71と同様、前壁72a、背壁72b、及び左右の側壁72cと、底壁72dとを一体に有する箱型容器状の肉皿であり、前壁72aには、同図の断面で「L」字状をなす手掛け部72eが設けられている。左右の側壁72c(
図3では左側壁72cのみ図示)の外側には夫々、前後方向に延びるレール72fが設けられ、レール72fは、図示しないレール受けによりガイドされる。これにより、ユーザは、手掛け部72eに上側から手を掛けて、チルドケース72をレール72fに沿って引き出すことができる。
【0026】
なお、上側のチルドケース71には、底壁71d前端部に位置させて、スリット状の通風孔71gが複数設けられている。また、上側のチルドケース71前縁部と、棚板Pd(天井壁)前縁部との間は、
図3の二点鎖線で示す前蓋73により開閉されるものとする。この前蓋73は、棚板Pd前縁部にて回動可能に軸支される。この場合、吹出口21
L,21
Rから上側のチルドケース71へ吹出される冷気は、通風孔71gを通して下側のチルドケース72にも供給される(同図の矢印A参照)。これにより、両チルドケース71,72の内部、つまりチルド室7内が冷却される。
【0027】
図3、
図4に示すように、上側のチルドケース71に臨む基板収容部25の前面側には、矩形状の開口部34が設けられるとともに、この開口部34を塞ぐ窓部材35が設けられている。窓部材35は、可視光や紫外光を通す光透過部材として、例えば乳白色半透明のアクリル板からなり、矩形板状に形成されている。窓部材35の裏面には、開口部34と対応する部位に拡散部35a(
図5参照)が設けられるとともに、窓部材35の周縁部には、平坦な取付面35b(
図4参照)が設けられている。拡散部35aは、可視光や紫外光を拡散させる凹凸であって、例えば上下方向に延び左右方向に並ぶ複数条の凹部乃至凹部で形成されている。これにより、窓部材35は、可視光源32が放出した可視光や紫外光源31が放出した紫外光を、拡散部35aにて拡散させてチルド室7内に照射することができる。また、窓部材35の乳白色は、光の拡散に適し、眩しさを抑制する。
【0028】
窓部材35の取付面35bは、四角枠状のソフトテープSt2を介して開口部34の周縁部に取付け固定されている(
図4、
図5参照)。このソフトテープSt2及び前記ソフトテープSt2は、基板収容部25において気密な内部空間を形成し、結露を防止する。こうして、窓部材35は、基板収容部25において、内部の制御基板30上の可視光源32及び紫外光源31を、間隙を有して覆うように設置される。
【0029】
図3、
図5に示すように、窓部材35は、基板収容部25の前面となる位置にあり、当該窓部材35の主面たる光透過面35cが垂直となる。また、窓部材35は、チルド室7の背部の内壁である下部ダクト16aの前面16c(以下「内壁16c」とも称す)と平行をなすとともに、当該内壁16cから前側に突出して、チルドケース71の背壁71bよりも内方へ突出した位置にある(
図3参照)。
【0030】
前記制御基板30は、電気絶縁材料からなる基材に図示しない配線が形成された矩形板状の基板(プリント基板)である。
図6の拡大図で示すように、制御基板30には、可視光源32及び紫外光源31が実装されるとともに、コネクタ36や複数の抵抗素子37等の電子部品38が実装されており、前記配線と電子部品38とで回路(制御回路)が形成されている。制御基板30における実装面(表層)は、窓部材35の色と同じ乳白色の着色層とされている。このため、ユーザが窓部材35を正面から見ても、窓部材35の裏面側にある制御基板30を見えにくいものとすることができ、又、窓部材35を通した可視光源32の発光効果を高める(発光前後での光の変化を大きくする)ことができる。
【0031】
コネクタ36は、前記制御装置20からの図示しないケーブルが接続されて、当該制御装置20と制御基板30上の回路とを電気的に中継する。コネクタ36は、
図6に示すように、制御基板30における左下隅部に設けられている。複数の抵抗素子37は、可視光源32や紫外光源31に接続される回路素子である。複数の抵抗素子37は、制御基板30の周縁寄り(
図6で上縁寄り)の位置に、その上縁(制御基板30の一辺)に沿って一列に並ぶように設けられている。そして、可視光源32及び紫外光源31は、複数の抵抗素子37よりも制御基板30の中央部寄りの位置に設けられている。
【0032】
ここで、
図6では、制御基板30の左右方向における中心線をC1、上下方向における中心線をC2、それら中心線C1,C2の交点をC0で表わしており、可視光源32は、制御基板30の中心C0に配置されている。これに対し、紫外光源31は、制御基板30における周縁の抵抗素子37よりも内側にあるが、中心線C1よりも右側にずれ且つ中心線C2よりも若干上側にずれた位置に配置されている。この場合、可視光源32が配置された制御基板30の中心C0部分を中央部として見ても、紫外光源31は、制御基板30の実装面における当該中央部からずれた位置にある。つまり、制御基板30において、可視光源32の中心C0点と紫外光源31の中心点とが上下方向へずれており、且つそれらの光源31,32が左右方向(制御基板30の一辺に沿う方向)に並ぶように配設されている。
【0033】
このように「ずれ」とは、基準となる対象から離れた位置への移動、つまり中心線C1,C2や中心C0或いは可視光源32等の対象からの変位を意味する。なお、紫外光源31は、その中心と制御基板30の中心C0とがずれていればよく、
図6の配置に限定するものではない。また、例えば、
図6に示す可視光源32の中心C0点と紫外光源31の中心点との上下方向のずれ量を比較的小さく設定し(例えば10mm未満のずれ量とし)、
図5に示すように左右方向から見て、両光源31,32の少なくとも一部が同方向(同
図5の紙面に直交する方向)に相互に重なるように当該光源31,32を並べて配置してもよいことは勿論である。
なお、以下で「ずれ」というとき、上記したように基準となる対象から離れた位置への移動を称するものとし、紫外光源31以外の構成要素(構成物品)の「ずれ」についても、本実施形態や図面に記載の配置に限定するものではなく、各々のずれ量について比較的小さく設定し、或いは比較的大きく設定してよいことは勿論である。
【0034】
可視光源32は、例えば水色光を発する可視光LEDで構成されている。これに対し、紫外光源31は、例えば波長が350nm~400nmの紫外光を発する紫外光LEDで構成されている。この紫外光源31の出力や波長は人体に対する影響が殆ど無いように設定されているが、上記のように紫外光源31を制御基板30の中央部からずらし、ひいてはチルド室7の左右方向中央部(
図2の中心線C10参照)からずれた位置となるように当該制御基板30に実装することにより、ユーザに対して正面(中心線C1の位置)から紫外光が直接的に向かう事態を抑制している。つまり、紫外光源31の紫外光は、可視光よりも波長が短く、目にみえないものとしても、又、仮に扉3aの開放時に当該紫外光源31を点灯させるものとしても、その紫外光が照射されることによりユーザが不快に感じないようにする配置構成としている。この配置構成は、制御基板30において紫外光源31を中央部からのずらす配置と、制御基板30そのものを傾斜させる配置とを含む。
【0035】
即ち、基板収容部25の内部には、制御基板30を傾斜させた姿勢で取付けるための保持部40が設けられている。
図5では、この保持部40を便宜上破線で示している。詳しい図示は省略するが、保持部40は、制御基板30の実装面とチルド室7の内壁16cとのなす角度αが例えば20度となる向きで当該制御基板30に係合する係合片と、当該係合片に係合した制御基板30を係止する係合爪とを有し、制御基板30をその係合片と係止爪とで保持する。これにより、可視光源32及び紫外光源31は、保持部40によって、制御基板30ごと傾けた状態で配設されるとともに、当該制御基板30は、その左右方向中心線C1とチルド室7の左右方向中心線C10とが一致するようにして取り付けられる(
図6と
図2参照)。
【0036】
この場合、可視光源32及び紫外光源31は、相互に制御基板30上で左右方向にずれ且つ上下方向に若干ずれて配置されているため、夫々の照射軸B、B´(
図3参照)も相互に左右方向にずれ且つ上下方向に若干ずれている。このうち、可視光源32については、当該光源32とチルドケース71の底壁71d中心C100とを結ぶ照射軸Bとし、チルドケース71(チルド室7)を偏りなく照明する。
【0037】
照射手段たる紫外光源31の照射軸B´は、可視光源32の照射軸Bに対して、例えば上方へ10mmずれており、チルドケース71の底壁71d中心C100よりも10mm高い位置(中心C100近傍の位置)に向けて照射する。また、
図3に示す照射軸B、B´は、制御基板30上の光源31,32間のずれに対応する分、相互に左右方向(同図の紙面に直交する方向)へもずれている。この紫外光源31の照射軸B´乃至照射位置は、制御基板30における紫外光源31の中心線C1,C2に対するずれ量の調整により、設定されるものである。こうして、紫外光源31は、チルドケース71の底壁71dの中心C100近傍部分に向けて、或いは中心C100近傍部分の食品に向けて紫外光を照射する。
【0038】
上記した可視光源32及び紫外光源31の照射方向は、何れもチルドケース71の底壁71d側へ向かって斜め下方へ傾斜しており(
図3参照)、前記窓部材35は、当該照射方向に対応させて、可視光源32や紫外光源31よりも下側へずれた位置にある(
図5参照)。また、可視光源32及び紫外光源31は、
図3に示すように何れもチルドケース71の背壁71bよりも上方の位置に配設されることにより、そのチルドケース71の周壁71a~71cにより可視光や紫外光を遮らない構成としている。
【0039】
さらに、
図3に示すように、チルドケース71の縦方向の断面において前壁71aは
、底壁71dとの間の外角βが略90度となる垂直壁であり、その底壁71dと紫外光の照射方向とがなす角度α(前記20度)よりも大きい(β>α)。このため、仮に、
図3の二点鎖線で示す前蓋73が無い構成にあったとしても、前壁71aの高さ寸法を適宜設定することにより、ユーザに対して底壁71dで反射された紫外光が直接的に向かう事態を抑制することが可能となる。チルドケース71の前壁71aにおいて、前記の角度α,βの関係が「β>α」にあれば前記外角βは鋭角でもよく、底壁71dの中心C100近傍部分で反射した紫外線の反射光が、前壁71aに当たるように当該前壁71aの高さ寸法を設定することができるのである。
即ち、本実施形態と異なり、仮に、前壁71aが
図3における下側のチルドケース7
2前側の傾斜壁72gの如く傾斜していれば(β≒α)、その前壁71aに反射光が当たらない。これに対し、本実施形態の如く、β=90度、底壁71dの前後方向の長さをL、としたとき、前記反射光が当たる前壁71aの高さHは、次式(1)で表される。よって、
図3に示すように比較的紫外光の前記角度αが小さければ、前壁71aの高さ寸法を若干高くするだけで、反射光が当該前壁71aに当たるようになるのである。
H≧(L÷2)tanα …(1)
【0040】
紫外光の照射方向の角度αつまり制御基板30の傾斜角度αは、好ましくは15度~25度の範囲内に設定し、より好ましくは前記20度に設定する。これは、中型の冷蔵庫1(510L~550L)において、紫外光源31の如く底壁71dの中心C100近傍の位置に向けて、斜め上方から紫外光を好適に照射することができる角度である。なお、紫外光の照射方向の角度αは、冷蔵庫1のサイズ或いはチルド室7(チルドケース71,72)の寸法形状等に応じて変更することができる。また、チルド室7は、二つのチルドケース71,72を配した構成に限らず、一のチルドケースを配した構成にしてもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1は、チルド室7内に紫外光を照射する紫外光源31と、チルド室7内に可視光を照射する可視光源32と、を備え、紫外光源31及び可視光源32を、同一の制御基板30に実装した。これによれば、紫外光源31と可視光源32とを備えた構成としながらも、光源31,32ごとの制御基板を要せず、部品点数を少なくして、省スペース化を図ることができる。
【0042】
紫外光源31を、制御基板30の実装面における中央部からずれた位置に実装したので、ユーザに対して正面から紫外光が直接的に向かう事態を抑制することが可能となる。また、チルド室7内に紫外光を照射する紫外光源31を、当該チルド室7の左右方向中央部からずれた位置となるように制御基板30に実装したので、ユーザに対して正面(当該中央部)から紫外光が直接的に向かう事態を抑制することができる。
【0043】
可視光源32を、紫外光源31よりも制御基板30の実装面における中央側に実装したので、例えば本実施形態の如く制御基板30をチルド室7の左右方向中央部に配置することにより、チルド室7を偏りのないように照明することが可能となる。
紫外光源31と可視光源32とで制御基板30の実装面における上下方向の位置をずらすことにより、光源31,32ごとに、紫外光と可視光とに夫々適した照射位置に設定することができる。
紫外光源31と可視光源32とが制御基板30の一辺に沿う方向へ並ぶことから、比較的コンパクトに光源31,32を配置することができる。また、制御基板30において、紫外光源31及び可視光源32は、夫々の中心点が上下方向にずれた状態で左右方向に並ぶことから、本実施形態の如く、チルド室7内の紫外光や可視光の照射に好適な配置構成とすることができる。
【0044】
制御基板30の実装面において、電気接続するコネクタ36と紫外光源31との間の位置に、可視光源32を実装した。これによれば、例えば本実施形態の如く制御基板30をチルド室7の左右方向中央部に配置することにより、チルド室7を偏りなく照明することができる一方、コネクタ36における配線や紫外光の照射を可視光源32の側方で行うことができ、一の制御基板30において好適な配置構成とすることができる。
【0045】
紫外光を通す材料からなり、紫外光源31を間隙を有して覆うように設置される窓部材35を備え、制御基板30の実装面の色を、窓部材35の色と同じ色とした。これによれば、ユーザが窓部材35を正面から見ても、窓部材35の裏面側にある制御基板30を見えないようにすることができ、又、窓部材35を通した可視光源32の発光効果を高めることが可能となる。なお、制御基板30の実装面の色は、窓部材35の色と同系色の色にしてもよく、又、上記した乳白色に限定するものではない。
【0046】
制御基板30における制御回路の回路素子(例えば抵抗素子37等)を、当該基板30の周縁寄りの位置に配置し、紫外光源31を、回路素子よりも当該基板30の中央部寄りの位置に配置した。これによれば、制御基板30における紫外光源31の位置調整の自由度が高くなり、所望の照射位置に設定することが可能となる。
【0047】
上記した実施形態は一例であり、その要旨を逸脱しない範囲で例えば以下のように変形、拡張あるいは組み合わせることができ、上記した具体数値は、要旨を逸脱しない範囲で適宜設定することができる。
窓部材35を、チルドケース71の周囲から内方へ突出した位置となるように設置したが、紫外光源31や可視光源32をチルドケース71の周囲から内方へ突出するようにし設置してもよい。また、こうした紫外光源31や可視光源32を収容する基板収容部25を、冷蔵室3側に設けるようにしてもよい。例えば、制御基板30の実装面の色を、窓部材35の色と同系色の白色とした場合でも、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
制御基板30において、紫外光源31と可視光源32とを左右に並ぶように配置したが、上下に並ぶように配置してもよい。また、制御基板30において、可視光源32を、中心C0からずれた位置に配置してもよい。
吹出口21L,21Rと紫外光源31或いは窓部材35とを左右に並ぶように配置したが、上下に並ぶように配置してもよい。
【0049】
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
図面中、1は冷蔵庫、7はチルド室(貯蔵室)、18は第1戻り口(冷気戻り口)、19は第2戻り口(冷気戻り口)、21L,21Rは吹出口(冷気吹出口)、30は制御基板(基板)、31は紫外光源(照射手段)、32は可視光源、35は窓部材(光透過部材)、35aは拡散部(凹凸)、36はコネクタ、71はチルドケースを示す。