(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】リアシートの境界被覆構造
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20221006BHJP
B60N 2/20 20060101ALI20221006BHJP
B60N 2/28 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/20
B60N2/28
(21)【出願番号】P 2019139346
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹下 哲史
(72)【発明者】
【氏名】関 智昭
(72)【発明者】
【氏名】平松 祐一
(72)【発明者】
【氏名】梶原 岳洋
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-054301(JP,A)
【文献】特開2010-188912(JP,A)
【文献】国際公開第2019/026650(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0043689(US,A1)
【文献】特開2009-023659(JP,A)
【文献】特開2006-204634(JP,A)
【文献】特開平11-245731(JP,A)
【文献】実開平04-104942(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0012417(US,A1)
【文献】特開2019-111989(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0147226(US,A1)
【文献】米国特許第04943105(US,A)
【文献】独国実用新案第20009327(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
B60N 2/20
B60N 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアに設置されたシートクッションに対しシートバックが傾動可能なリアシートにおける前記シートクッションと前記シートバックとの境界を後側から覆い隠すリアシートの境界被覆構造であって、
前記境界を前記リアシートの後側から覆い隠す帯状部材と、
前記リアシートよりも後側に位置する車両部品であり、前記フロアよりも高い位置において前記帯状部材の後端部が取り付けられる第1取付部と、
前記フロアにおいて前記第1取付部よりも前側に位置し、かつ前記第1取付部の上端より低い位置において前記帯状部材の前端部が取り付けられる第2取付部と、を有することを特徴とするリアシートの境界被覆構造。
【請求項2】
前記シートクッションと前記シートバックとの境界には、チャイルドシートを前記リアシートに取り付けるためのアンカ部が配置されており、前記第2取付部は前記アンカ部を構成するアンカ設置部材である請求項1に記載のリアシートの境界被覆構造。
【請求項3】
前記フロアよりも後側には、前記車両部品としてのリアフロアが設けられ、当該リアフロアが前記第1取付部を構成する請求項1又は請求項2に記載のリアシートの境界被覆構造。
【請求項4】
車両のフロアに設置されたシートクッションに対しシートバックが傾動可能なリアシートにおける前記シートクッションと前記シートバックとの境界を後側から覆い隠すリアシートの境界被覆構造であって、
前記境界を前記リアシートの後側から覆い隠す帯状部材と、
前記リアシートよりも後側に位置する車両部品であり、前記フロアよりも高い位置において前記帯状部材の後端部が取り付けられる第1取付部と、
前記シートクッションにおいて前記第1取付部よりも前側に位置し、かつ前記第1取付部の上端より低い位置において前記帯状部材の前端部が取り付けられる第2取付部と、を有することを特徴とするリアシートの境界被覆構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションとシートバックとの境界を後側から覆い隠すリアシートの境界被覆構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、シートクッションとシートバックとの境界は帯状カバーによって覆い隠される。
図8(a)に示すように、特許文献1に開示される帯状カバー80は、シートバック90とシートクッション91との境界92を覆い隠すことのできる大きさの帯状本体部81と、帯状本体部81のシートバック90側への取付端部に設けられる固定部位82と、を備える。また、帯状カバー80は、帯状本体部81のシートクッション91側への取付端部に設けられる掛止手段83を備える。
【0003】
帯状カバー80において、シートバック90側への固定部位82は、シートバック90の背面90aに配設される熱可塑性樹脂製のバックボード93に固定されている。また、帯状カバー80において、シートクッション91側への掛止手段83は、ゴム紐84と、このゴム紐84の先端に備えられたフック85とで構成されている。ゴム紐84の基端が帯状本体部81のシートクッション91側の取付端部に取り付けられている。フック85は、シートクッション91の下面側に架設されたワイヤ86に引っ掛けられることでシートクッション91に固定されている。そして、
図8(b)に示すように、帯状カバー80は、ゴム紐84の伸縮によりシートバック90の傾動の際に追従可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示される帯状カバー80を用いてシートクッション91とシートバック90との境界92を後側から覆い隠す構造においては、シートバック90の傾動に帯状カバー80を追従させるための構造としてゴム紐84を必要としている。
【0006】
本発明の目的は、シートバックの傾動に追従させる構造を省くことができるリアシートの境界被覆構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するためのリアシートの境界被覆構造は、車両のフロアに設置されたシートクッションに対しシートバックが傾動可能なリアシートにおける前記シートクッションと前記シートバックとの境界を後側から覆い隠すリアシートの境界被覆構造であって、前記境界を前記リアシートの後側から覆い隠す帯状部材と、前記リアシートよりも後側に位置する車両部品であり、前記フロアよりも高い位置において前記帯状部材の後端部が取り付けられる第1取付部と、前記フロアにおいて前記第1取付部よりも前側に位置し、かつ前記第1取付部の上端より低い位置において前記帯状部材の前端部が取り付けられる第2取付部と、を有することを要旨とする。
【0008】
これによれば、帯状部材は、後端部から前端部に向けて下るように配置され、シートクッションとシートバックの境界をリアシートの後側から覆うとともに、フロアにおけるリアシートより後側を上から覆う。このため、シートバックを前傾させたとき、シートクッションとシートバックとの境界が広がり、リアシートの前側から、境界を通じてリアシートよりも後側が視認可能になっても帯状部材が視認できるだけであり、リアシートよりも後側のフロアは視認できない。このため、例えば、フロアにおけるリアシートよりも後側に配線が敷設されていても、境界を通じて配線を視認することはできない。
【0009】
そして、帯状部材の後端部は車両部品に設けられた第1取付部に取り付けられ、帯状部材の前端部はフロアに設けられた第2取付部に取り付けられる。このため、帯状部材は、リアシートの傾動には追従しない。よって、例えば、帯状部材の一つの端部をシートバックに取り付け、帯状部材の他方の端部をシートクッションに取り付けた場合のように、帯状部材をシートバックの傾動に追従させるためにゴム紐のような構成が必要ない。
【0010】
また、リアシートの境界被覆構造について、前記シートクッションと前記シートバックとの境界には、チャイルドシートを前記リアシートに取り付けるためのアンカ部が配置されており、前記第2取付部は前記アンカ部を構成するアンカ設置部材であってもよい。
【0011】
これによれば、リアシートにチャイルドシートを取り付けるためのアンカ部を構成するアンカ設置部材を利用して帯状部材の前端部を取り付けることができる。よって、リアシートに、帯状部材を設置するための第2取付部を増設することなく、帯状部材によって境界を通じての配線を覆い隠すことができる。
【0012】
また、リアシートの境界被覆構造について、前記フロアよりも後側には、前記車両部品としてのリアフロアが設けられ、当該リアフロアが前記第1取付部を構成してもよい。
これによれば、車両工場において、リアフロアをフロアに固定する前に、リアフロアに帯状部材の後端部を取り付けておくことで、リアフロアをフロアに固定すると同時に、帯状部材の後端部を配置できる。
【0013】
上記問題点を解決するためのリアシートの境界被覆構造は、車両のフロアに設置されたシートクッションに対しシートバックが傾動可能なリアシートにおける前記シートクッションと前記シートバックとの境界を後側から覆い隠すリアシートの境界被覆構造であって、前記境界を前記リアシートの後側から覆い隠す帯状部材と、前記リアシートよりも後側に位置する車両部品であり、前記フロアよりも高い位置において前記帯状部材の後端部が取り付けられる第1取付部と、前記シートクッションにおいて前記第1取付部よりも前側に位置し、かつ前記第1取付部の上端より低い位置において前記帯状部材の前端部が取り付けられる第2取付部と、を有することを要旨とする。
【0014】
これによれば、帯状部材は、後端部から前端部に向けて下るように配置され、シートクッションとシートバックの境界をリアシートの後側から覆うとともに、フロアにおけるリアシートよりも後側を上から覆う。このため、シートバックを前傾させたとき、シートクッションとシートバックとの境界が広がり、境界を通じてリアシートよりも後側が視認可能になっても、帯状部材が視認できるだけであり、リアシートの後側のフロアは視認できない。このため、例えば、フロアに配線が敷設されていても、境界を通じて配線を視認することはできない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シートバックの傾動に追従させる構造を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】リアシートの境界被覆構造を示す部分断面図。
【
図3】リアシートの境界被覆構造を示す部分斜視図。
【
図8】(a)は背景技術を示す図、(b)はシートバックの前傾時を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、リアシートの境界被覆構造を具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、車両としての自動車の運転者が前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」のことをいう。
【0018】
図1に示すように、自動車は、フロア11と、フロア11に設置された図示しない左右一対のフロントシートと、フロア11に設置された左右一対のリアシート20と、フロア11の後端部に設置されたリアフロア30と、を備える。また、自動車は、リアシート20の境界被覆構造を備える。
【0019】
フロア11には、フロントシート及びリアシート20が設置される。自動車は、フロア11よりも後側にリアフロア30に向けて立ち上がる段差部12を備える。段差部12の上端面12aは、フロア11においてフロントシート及びリアシート20が設置されたフロア面11aよりも高い位置にある。
【0020】
図3に示すように、リアフロア30は、荷室の床を構成する板状のフロア部31を備える。また、リアフロア30は、フロア部31の左右両側において、当該フロア部31の前部から下方へ延設された板状の延設片32と、延設片32の下端から前方へ延設された取付片33とを備える。各延設片32は、フロア部31の前端縁よりも後側へずれた位置に設けられている。取付片33は、フロア部31と上下方向に重なる位置にある。
【0021】
取付片33の下面33aは、段差部12の上端面12aに対し隙間Sを空けて対向する。取付片33の下面33aと、段差部12の上端面12aとの間には隙間Sが画成されている。なお、自動車は、後部に電池モジュールを備えるとともに、前部に駆動モータを備える。電池モジュールと駆動モータとを接続するワイヤハーネス35は、隙間Sを通過するようにフロア11のフロア面11a上に敷設されている。
【0022】
図2に示すように、左右一対のリアシート20は、それぞれ、座面を構成するシートクッション21と、背もたれを構成するシートバック22と、シートバック22の上端に着脱可能なヘッドレスト29とを備える。
図1に示すように、リアシート20のシートクッション21は、脚部23によってフロア11のフロア面11aに連結されている。
【0023】
また、リアシート20は、シートクッション21の後端とシートバック22の下端とが図示しないアームを介して回動可能に連結されている。リアシート20は、シートバック22を前傾又は後傾させずに背もたれとして機能させる着座位置と、シートバック22を前傾又は後傾させた位置とを取り得る。よって、シートバック22は、シートクッション21に対して傾動可能である。
【0024】
図1又は
図2に示すように、リアシート20は、シートバック22の下端の左右両側に凹部22aを備える。シートバック22の凹部22aとシートクッション21の後端との間には、挿通口20aが区画され、各挿通口20aには、後述のアンカ部27が挿通されている。
【0025】
フロア11のフロア面11aには、各リアシート20に対応してアンカ設置部材24が設置されている。アンカ設置部材24は、リアフロア30の取付片33の上端としての上端面33bよりも前方に位置するようにフロア11に設置されている。
【0026】
図1又は
図3に示すように、アンカ設置部材24は、一対の保持部材25と、一対の保持部材25に架設されたバー26と、を有する。アンカ設置部材24の一対の保持部材25は、それぞれ樹脂製である。アンカ設置部材24において、一対の保持部材25は左右方向に離間してフロア11に締結されている。
【0027】
バー26は、金属の丸棒を、所望する形状に成形して形成されている。バー26は、長手方向の両端部にアンカ部27を備えるとともに、一対のアンカ部27を繋ぐように左右方向へ直線状に延びる連結部28を備える。各アンカ部27は、アンカ設置部材24を上から見た平面視でU状である。一対のアンカ部27のうち、一方のアンカ部27は、一対の保持部材25のうちの一方の保持部材25に保持され、他方のアンカ部27は、他方の保持部材25に保持されている。そして、各アンカ部27のU状に湾曲する部分がそれぞれ保持部材25の上端から突出している。
【0028】
連結部28は、一対の保持部材25に架け渡されている。連結部28は、フロア11のフロア面11aよりも上側に離れている。連結部28は、フロア11のフロア面11aよりも高い位置にある。その一方で、連結部28は、上記したリアフロア30の取付片33の上端面33bよりも低い位置にある。また、連結部28は、リアフロア30の取付片33よりも前方にあり、取付片33よりもリアシート20に近い位置にある。また、各アンカ部27のU状に湾曲する部分は、連結部28よりも前方及び上方に向けて突出している。
【0029】
そして、各アンカ部27は、左右の各リアシート20の挿通口20aに挿通されている。各リアシート20には、アンカ部27を用いて
図1の2点鎖線に示すチャイルドシートCを取り付けることができるようになっている。
【0030】
図1に示すように、上記リアシート20においては、シートクッション21の後端とシートバック22の下端との境界Kが存在する。シートバック22を前傾又は後傾させずに背もたれとして機能させる着座位置では、シートクッション21の後端とシートバック22の下端とは接近して境界Kは狭い。しかし、
図5に示すように、シートバック22を前傾させた位置では、シートクッション21の後端とシートバック22の下端とが離間して境界Kが広がる。
【0031】
リアシート20の境界被覆構造は、上記のように広がった境界Kを後側から覆い隠す構造である。
図3又は
図5に示すように、リアシート20の境界被覆構造は、境界Kをリアシート20の後側から覆い隠す帯状部材40と、帯状部材40の後端部40aが取り付けられる第1取付部としての取付片33と、帯状部材40の前端部40bが取り付けられる第2取付部としてのアンカ設置部材24と、を有する。
【0032】
図4に示すように、帯状部材40は、矩形帯状の布帛によって形成されている。なお、帯状部材40は布帛以外にも樹脂シートによって形成されていてもよい。
図3又は
図5に示すように、帯状部材40の長手が前後方向へ延びるように、帯状部材40は設けられている。よって、帯状部材40の短手は左右方向へ延びる。帯状部材40の長手方向の両端部のうちの後端部40aは、リアフロア30に一体の取付片33にビス止めされている。詳細には、帯状部材40の後端部40aのうち、左右方向の両側を貫通させたビス51を、取付片33に取着することで、帯状部材40の後端部40aは取付片33に取り付けられている。
【0033】
なお、帯状部材40の後端部40aは、リアフロア30の製造工場にて取付片33に取り付けられる。そして、フロア11にリアフロア30を固定することで、自動車に帯状部材40が設置される。
【0034】
帯状部材40は、前端部40bに取付フック42を備える。取付フック42は、帯状部材40の短手方向の全体に亘って設けられている。取付フック42は樹脂製である。また、取付フック42は帯状部材40に縫着されている。そして、取付フック42をアンカ設置部材24の連結部28に引っ掛けることで帯状部材40の前端部40bはアンカ設置部材24の連結部28に取り付けられている。上記したように、取付片33の上端面33bは、連結部28よりも高い位置にある。このため、取付片33に後端部40aが取り付けられるとともに、連結部28に前端部40bが取り付けられた帯状部材40は、後端部40aから前端部40bに向けて下る状態で設置されている。
【0035】
帯状部材40は、リアシート20よりも後側において、取付片33と連結部28との間に架け渡されている。このため、帯状部材40は、フロア11において、リアシート20の後側にて取付片33と連結部28とにまたがる空間を上から覆っている。上記したように、ワイヤハーネス35は、取付片33と段差部12との隙間Sを通過してフロア11に敷設されている。このため、ワイヤハーネス35は、取付片33と連結部28に架け渡された帯状部材40の下側に敷設され、帯状部材40はワイヤハーネス35を上から覆っている。
【0036】
次に、リアシート20の境界被覆構造の作用を説明する。
リアシート20においては、シートバック22を前傾又は後傾させずに背もたれとして機能させる着座位置では、シートクッション21の後端とシートバック22の下端とは接近して境界Kは狭い。
【0037】
しかし、
図5又は
図6に示すように、シートバック22を前傾させた位置では、シートクッション21の後端とシートバック22の下端とが離間して境界Kが広がる。このとき、リアシート20の前側から境界Kを見た場合、境界Kを通じて帯状部材40が視認できる。このため、シートクッション21とシートバック22との境界Kが広がり、境界Kを通じてリアシート20の後側が視認可能になっても、視認できるのは帯状部材40であり、フロア11におけるリアシート20の後側は視認できない。このため、リアシート20の後ろ側に位置するフロア11にワイヤハーネス35が敷設されていても、そのワイヤハーネス35を境界Kを通じて視認することはできない。
【0038】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)帯状部材40の後端部40aはリアフロア30の取付片33の上端面33bに取り付けられ、帯状部材40の前端部40bは取付フック42によってアンカ設置部材24の連結部28に取り付けられる。このため、帯状部材40は、リアシート20のシートバック22の傾動には追従しない。よって、例えば、帯状部材40の後端部40aをシートバック22に取り付け、帯状部材40の前端部40bをシートクッション21に取り付けた場合のように、帯状部材40をシートバック22の傾動に追従させるための構成、例えばゴム紐を帯状部材40に設ける必要がない。その結果として、帯状部材40をシートバック22の傾動に追従させるための構成を省くことができる。
【0039】
(2)帯状部材40の取付フック42は、リアシート20にチャイルドシートCを取り付けるためのアンカ設置部材24のアンカ部27に取り付けられる。このため、チャイルドシートCをリアシート20に取り付けるための既存の部材を利用して帯状部材40の前端部40bを取り付けて境界Kを通じての後側のワイヤハーネス35を覆い隠すことができる。よって、リアシート20に、帯状部材40の前端部40bを取り付けるための第2取付部を増設することなく境界Kを通じての後側のワイヤハーネス35を覆い隠すことができる。
【0040】
(3)帯状部材40の後端部40aは、車両部品としてのリアフロア30に取り付けられる。リアフロア30をフロア11に固定する前に、リアフロア30に帯状部材40の後端部40aを取り付けておくことで、リアフロア30をフロア11に固定すると同時に、帯状部材40の後端部40aを車体に配置できる。
【0041】
(4)帯状部材40の後端部40aはリアフロア30の取付片33に取り付けられ、帯状部材40の前端部40bは取付フック42によってアンカ設置部材24の連結部28に取り付けられる。取付片33及び連結部28は、いずれも不動部品であるため、帯状部材40は、リアシート20のシートバック22の傾動には追従しない。よって、シートバック22の傾動に帯状部材40が追従して変形することがなく、帯状部材40の変形に伴う見栄えの低下や、帯状部材40の劣化もない。
【0042】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○
図7に示すように、第1取付部を取付片33とし、第2取付部を、リアシート20のシートクッション21の後端に設けた取付バー43としてもよい。取付バー43は、シートクッション21の後端の左右両側に固定された一対の取付ブラケット44に架設されている。各取付ブラケット44は、シートクッション21の後端に固定するための固定片44aと、固定片44aの下端から後方へ延設された保持片44bとを備える。そして、一対の保持片44bに取付バー43が架設されている。
【0043】
これによれば、帯状部材40は、後端部40aから前端部40bに向けて下るように配置され、シートクッション21とシートバック22の境界をリアシート20の後側から覆うとともに、フロア11においてリアシート20よりも後側を上から覆う。このため、シートバック22を前傾させたとき、シートクッション21とシートバック22との境界Kが広がり、境界Kを通じてリアシート20よりも後側が視認可能になっても、帯状部材40が視認できるだけであり、リアシート20よりも後側は視認できない。このため、フロア11に敷設されたワイヤハーネス35を境界Kを通じて視認することはできない。
【0044】
○ 帯状部材40の後端部40aにも取付フックを設けるとともに、リアフロア30に取付フック42を引っ掛けることのできるバーを設ける。そして、帯状部材40の後端部40aに設けた取付フック42を、リアフロア30のバーに引っ掛けて帯状部材40の後端部40aをリアフロア30に取り付けてもよい。
【0045】
○ 帯状部材40の後端部40aを取り付ける車両部品はリアフロア30に限定されない。車両部品は、例えば、リアフロア30の上に設置されるデッキボードであってもよい。
【0046】
○ 帯状部材40の後端部40aを取り付ける第2取付部は、アンカ設置部材24でなくてもよい。例えば、アンカ設置部材24とは別にフロア11に設けた部品でもよい。
○ 第2取付部の位置は、リアシート20よりも後側でなくてもよく、リアシート20におけるシートクッション21の下部や、シートクッション21よりも前側であってもよい。要は、第2取付部に取り付けた帯状部材40の前端部40bが、帯状部材40の後端部40aよりも低く、かつ前方にあれば、前端部40bの位置は適宜変更してもよい。
【0047】
○ フロア11に敷設されて帯状部材40によって覆われる配線は、ワイヤハーネス35以外でもよく、例えば、自動車のリヤスピーカの配線であってもよい。
○ 帯状部材40の左右方向への寸法を、左右一対のリアシート20に架け渡される長さにする。そして、帯状部材40の後端部40aを、左右一対の取付片33に取り付け、帯状部材40の前端部40bを、左右一対のアンカ設置部材24の連結部28に取り付ける。
【0048】
○ ワイヤハーネス35が各リアシート20の下側に敷設されていれば、各ワイヤハーネス35を覆うように左右両側のリアシート20の後側に帯状部材40を設置してリアシート20の境界被覆構造を設ける。
【0049】
○ 帯状部材40の後端部40aと第1取付部との取付方法は、適宜変更してもよく、例えば、後端部40aと取付片33とを接着したり、溶着したり、ボルト締結したりしてもよい。
【0050】
○ 帯状部材40の前端部40bと第2取付部との取付方法は、適宜変更してもよく、例えば、フロア11に後端部40aを接着したり、溶着したり、ボルト締結したりしてもよい。
【0051】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記帯状部材の前端部は、前記アンカ設置部材に引っ掛けられて取り付けられている。
【0052】
(2)前記帯状部材の後端部は、前記リアフロアにビス止めされている。
【符号の説明】
【0053】
C…チャイルドシート、K…境界、11…フロア、20…リアシート、21…シートクッション、22…シートバック、24…第2取付部としてのアンカ設置部材、27…アンカ部、30…車両部品及び第1取付部としてのリアフロア、33b…第1取付部の上端としての上端面、40…帯状部材、40a…後端部、40b…前端部、43…第2取付部としての取付バー。