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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】セラミックを含む物品及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/44 20060101AFI20221006BHJP
   C04B 35/50 20060101ALI20221006BHJP
   C04B 35/119 20060101ALI20221006BHJP
   C04B 35/488 20060101ALI20221006BHJP
   C04B 35/64 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C04B35/44
C04B35/50
C04B35/119
C04B35/488 500
C04B35/64
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019562394
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 IB2018053267
(87)【国際公開番号】W WO2018207132
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】62/505,377
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/667,985
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンフランツ,アナトリー ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ジェイソン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シャンティ,ノア オー.
(72)【発明者】
【氏名】ストルゼンバーグ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】タンゲマン,ジーン エー.
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-504286(JP,A)
【文献】特表2004-504448(JP,A)
【文献】特表2003-521435(JP,A)
【文献】特表2007-514856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/44
C04B 35/50
C04B 35/119
C04B 35/488
C04B 35/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩と、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土類酸化物を含む非晶質相と、を含むセラミックであって、前記多結晶ジルコニア並びに前記第1及び第2の多結晶希土類アルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、前記第1の結晶質希土類アルミン酸塩の結晶は針状であり、前記非晶質相は粒界に存在する、セラミック。
【請求項2】
前記セラミックが、三次元セラミック物品の形態であり、前記物品が、1mmの曲げ半径を有する部分を少なくとも1つ有し、前記物品が、少なくとも0.3mmの厚さを有する、請求項1に記載のセラミック。
【請求項3】
前記物品が電子機器筐体である、請求項に記載のセラミック。
【請求項4】
前記第1の希土類アルミン酸塩が、LaAlO、CeAlO、ErAl12、GdAlO、又はDyAl12のうちの少なくとも1種であり、前記第2の希土類アルミン酸塩が、LaAl1118又はCeAl1118のうちの少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセラミック。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載のセラミック物品を形成する方法であって、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩と、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土類酸化物を含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
前記プリフォームの少なくとも一部分を前記主表面と接触させて配置することと、
前記プリフォームを、第2の異なる形状を有する前記物品を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法。
【請求項6】
多結晶ジルコニアと、多結晶アルミナと、多結晶イットリウムアルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び酸化イットリウムを含む非晶質相と、を含むセラミックであって、前記多結晶ジルコニア、前記多結晶アルミナ、及び前記多結晶イットリウムアルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、前記非晶質相は粒界に存在する、セラミック。
【請求項7】
前記セラミックが、三次元セラミック物品の形態であり、前記物品が、1mmの曲げ半径を有する部分を少なくとも1つ有し、前記物品が、少なくとも0.3mmの厚さを有する、請求項に記載のセラミック。
【請求項8】
前記物品が電子機器筐体である、請求項に記載のセラミック。
【請求項9】
請求項のいずれか一項に記載のセラミック形成する方法であって、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、多結晶アルミナと、多結晶イットリウムアルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び酸化イットリウムを含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
前記プリフォームの少なくとも一部分を前記主表面と接触させて配置することと、
前記プリフォームを、第2の異なる形状を有する前記物品を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年5月7日に出願された米国仮特許出願第62/667985号及び2017年5月12日に出願された米国仮特許出願第62/505377の利益を主張するものであり、これらの開示内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
(背景技術)
多くの非晶質組成物(ガラスを含む)及びガラスセラミック組成物が知られている。酸化物ガラス系の大部分は、ガラスの形成を補助するために、SiO、B、P、GeO、TeO、As及びVなどの、周知のガラス形成剤を利用する。これらのガラス形成剤で形成されたガラス組成物の一部を熱処理してガラスセラミックを形成することができる。そのようなガラス形成剤から形成されるガラス及びガラスセラミックの上限使用温度は、一般に1200℃未満、典型的には約700~800℃である。ガラスセラミックは、ガラスセラミックが形成される元になるガラスよりも高い温度耐性を有する傾向がある。加えて、公知のガラス及びガラスセラミックの多くの特性は、ガラス形成剤の固有の特性によって制限される。例えば、SiO、B、及びP系ガラス及びガラスセラミックでは、そのようなガラス形成剤によってヤング率、硬度、及び強度が制限される。このようなガラス及びガラスセラミックは、一般に、例えばAl又はZrOと比較して、劣った機械的性質を有する。Al又はZrOと同様の機械的性質を有するグラスセラミックスが望ましいであろう。
【0003】
複雑な形状(geometry)を有する部品へのセラミックスの成形は、困難で費用のかかるプロセスである。ピルプレス、射出成形、スリップ鋳込、ゲル鋳込などの多くの素地技術が考案されてきたが、焼結に関連する問題(収縮、反り、及び亀裂など)が残っている。実際には、多くのセラミック物品は、十分に高密度の状態で最終形状に機械加工される。典型的に、最終表面仕上げは、研削及び研磨によって製造され、各種表面構造もまた機械加工される。多くの場合、機械加工及び仕上げは、セラミックの最終コストの最大50%を追加することがあり、したがって望ましくない。最小限の後続の仕上げによりニアネット形状部品を作製するための新規な方法が、後に積極的に求められている。
【0004】
各種圧力支援圧密方法が当該技術分野において公知であり、ホットプレス、ダイ押出、加熱等方圧加圧、粉末鍛造、及びこれらの変種が挙げられる。これらの圧密方法は、ホットプレス、ダイ押出、及び粉末鍛造の場合のように穿孔機の使用を通じて外力を直接適用するか、又は加熱等方圧加圧の場合のように密閉容器のガス加圧を通じて間接的に外力を適用することによって補助される。後者の方法では、圧密される材料は、金属又はガラス容器内に置かれ、雰囲気から真空密封される。密封された材料は機械的に加圧され、それによって容器をガスで等方圧加圧し、容器を収縮させる。
【0005】
ガラス転移温度Tを示すガラスは、ガラス粉末から物品に問題なく圧密され得、所望であれば、TからTの範囲(Tは結晶化温度である)の温度に加熱することによって再成形することができる(例えば、米国特許第7,625,509号(Rosenflanzら)を参照されたい)。多くの場合、ガラスのガラスセラミックへの変換は、しばしば望ましくない収縮を伴う。
【発明の概要】
【0006】
驚くべきことに、出願人らは、ナノ結晶性ガラスセラミックから、結晶性材料を含む物品を作製するための方法を発見し、したがって、ガラスからガラスセラミックへの変換に伴う収縮の大部分を排除するか、又は少なくとも著しく低減させる方法を発見した。
【0007】
一態様において、本開示は、セラミックの総重量を基準として、少なくとも85(一部の実施形態では少なくとも90、あるいは少なくとも95、一部の実施形態では92~99、93~98、あるいは94~97)重量%の、少なくとも1つの多結晶金属酸化物と、理論上の酸化物ベースで、B、GeO、P、又はSiOのうち少なくとも1種を含む、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、1~20、1~15、1~10、1~5、あるいは1~20)重量%の非晶質相とを含む、第1のセラミックを記載し、ここで、金属酸化物は、粒界及び三重点を有する結晶を含み、非晶質相は、粒界及び三重点の位置に存在し、セラミックは、三次元セラミック物品の形態であり、物品は、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、又は少なくとも40、いくつかの実施形態では、1~40、1~30、1~25、1~20、1~10、あるいは5~10)mmの曲げ半径を有する少なくとも2つの縁部を有し、物品は、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、あるいは少なくとも1.5、いくつかの実施形態では、0.3~1.5、0.3~1、あるいは0.4~0.8)mmの厚さを有し、物品の露出表面は、100マイクロメートルを超える表面特徴がない。
【0008】
別の態様において、本開示は、多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩と、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土酸化物を含む非晶質相と、を含む第2のセラミックであって、多結晶ジルコニア並びに第1及び第2の多結晶希土類アルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、第1の結晶希土類アルミン酸塩の結晶は針状であり、非晶質相は粒界に存在する、セラミックを記載する。
【0009】
別の態様において、本開示は、多結晶ジルコニアと、多結晶アルミナと、多結晶イットリウムアルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び酸化イットリウムを含む非晶質相と、を含む第3のセラミックであって、多結晶ジルコニア、多結晶アルミナ、及び多結晶イットリウムアルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、非晶質相は粒界の位置に存在する、セラミックを記載する。
【0010】
本願において、
【0011】
「曲げ半径」は、低速ダイヤモンドソー(Allied High Tech Products Inc.,Rancho Dominguez,CAから商品名「TechCut 4」で入手)を使用して三次元試料を断面化することによって決定する。断面を、取り付け樹脂(Buehler Ltd.,Lake Bluff,ILから商品名「EPOMET」で入手可能)に取り付ける。得られた樹脂シリンダーは、直径約2.5センチメートル(1インチ)、長さ(すなわち、高さ)約1.9センチメートル(0.75インチ)であった。従来の研削機/研磨機(Buehler Ltd.から商品名「BETA」で入手可能)及び従来のダイヤモンドスラリーを使用して、1マイクロメートルのダイヤモンドスラリー(Buehler Ltd.から商品名「METADI」で入手可能)を使用する最終研磨工程により、取り付けた試料を研磨し、試料の研磨された断面を得る。試料を光学顕微鏡(キーエンス(大阪)から商品名「VHX」で入手可能)下に置き、撮像する。Keyenceから商品名「Keyence」で入手可能な製品を使用して、円を湾曲セラミックに取り付けた。セラミックの屈曲領域に沿った円の半径が曲げ半径である。
【0012】
「セラミック」は、非晶質材料、ガラス、結晶質セラミック、ガラスセラミック、及びこれらの組み合わせを含み、
【0013】
「複合金属酸化物」は、2種以上の異なる金属元素及び酸素(例えば、CeAl1118、DyAl12、MgAl、及びYAl12を含む金属酸化物を指す。
【0014】
「複合Al・金属酸化物」は、理論上の酸化物ベースで、Alと、Al以外の1種以上の金属元素(例えば、CeAl1118、DyAl12、MgAl、及びYAl12)を含む複合金属酸化物を指す。
【0015】
「複合Al・REO」は、理論上の酸化物ベースで、Al及び希土類酸化物(例えば、CeAl1118及びDyAl12)を含む複合金属酸化物を指す。
【0016】
「複合Al・Y」は、理論上の酸化物ベースで、Al及びY(例えば、YAl12)を含む複合金属酸化物を指す。
【0017】
「ガラス」は、ガラス転移温度を示す非晶質材料を指す。
【0018】
「ガラスセラミック」は、非晶質材料を熱処理することによって形成された結晶を含むセラミックを指す。
【0019】
「T」は、「示差熱分析」と題された、本明細書に記載の試験によって決定されるガラス転移温度を指す。
【0020】
「T」は、「示差熱分析」と題された、本明細書に記載の試験によって決定される結晶化温度を指す。
【0021】
「希土類酸化物」は、酸化セリウム(例えば、CeO)、酸化ジスプロシウム(例えば、Dy)、酸化エルビウム(例えば、Er)、酸化ユーロピウム(例えば、Eu)、ガドリニウム(例えば、Gd)、酸化ホルミウム(例えば、Ho)、酸化ランタン(例えば、La)、酸化ルテチウム(例えば、Lu)、酸化ネオジム(例えば、Nd)、酸化プラセオジム(例えば、Pr11)、酸化サマリウム(例えば、Sm)、テルビウム(例えば、Tb)、酸化トリウム(例えば、Th)、ツリウム(例えば、Tm)、及び酸化イッテルビウム(例えば、Yb)、及びこれらの組み合わせを指し、
【0022】
「REO」は、希土類酸化物を指す。
【0023】
更に、金属酸化物(例えば、Al、複合Al・金属酸化物など)は、例えば、ガラスセラミック中で結晶質であると記載されていない限り、非晶質、結晶質、又は部分的非晶質及び部分的結晶質であってよいと理解される。例えば、ガラスセラミックがAl及びZrOを含む場合、Al及びZrOはそれぞれ、非晶質状態、結晶質状態、又は非晶質状態の部分及び結晶質状態の部分であってよく、あるいは別の金属酸化物との反応生成物であってもよい(例えば、Alが、結晶質Al又はAlの特定の結晶相(例えば、αAl)として存在することが記載されていない限り、結晶質Alとして、及び/又は1種以上の結晶質複合Al・金属酸化物の一部として存在してよい)。
【0024】
更に、Tを示さない非晶質材料を加熱することによって形成されるガラスセラミックは、実際、ガラスを含まなくてもよく、むしろ、Tを示さない結晶及び非晶質材料を含んでもよいことが理解される。
【0025】
別の態様において、第1のセラミックは、例えば、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶結晶質金属酸化物と、理論上の酸化物ベースで、B、GeO、P、又はSiOのうち少なくとも1種を含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法によって、作製することができる。
【0026】
別の態様では、第2のセラミックは、例えば、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩と、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土類酸化物を含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法によって、作製することができる。
【0027】
別の態様では、第3のセラミックは、例えば、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、多結晶希土類アルミン酸塩と、多結晶イットリウムアルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土類酸化物を含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法によって、作製することができる。
【0028】
本明細書に記載されている方法の利点としては、加工中に、重量が小さく、望ましくない形状変化(例えば、相変換による収縮又は反り)が最小となる、セラミックシートの連続加工を可能にすることが挙げられる。ガラス相からガラスセラミック相へのガラスセラミック材料の結晶化は、いくつかの場合に、結晶化時にガラスの自由空間を排除することにより、(示差熱分析(differential thermal analysis、DTA)走査において明らかなように)強い発熱事象、及び著しい量の体積変化(例えば、任意の方向で5%超)を伴う場合がある。このような体積変化は、引き続き、マイクロクラック又はマクロクラックの形成、あるいは物品の全体的破壊をもたらし得る。驚くべきことに、出願人らは、収縮、反り、及び/又は亀裂などの望ましくない影響の可能性を最小限に抑えるために、結晶化(又は主結晶化(major crystallization))事象が生じた後に、ガラスセラミック状態において、圧密化及び/又は再成形プロセスを実施することが有利であることを発見した。
【0029】
本明細書に記載される方法によって作製される例示的な物品としては、電子機器筐体(例えば、腕時計ケース、携帯電話ケース、又はタブレットケース)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本明細書に記載されたいくつかの実施形態において有用な例示的な金型装置の斜視図である。
【0031】
図2】金型キャビティの少なくとも一部分に配置されたプリフォームを有する、図1に示す例示的な金型装置の斜視図である。
【0032】
図3図1に示す例示的な金型装置から形成された例示的な物品の斜視図である。
【0033】
図4図1に示す例示的な金型装置から形成された別の例示的な物品の斜視図である。
【0034】
図5図1に示す例示的な金型装置から形成された別の例示的な物品の斜視図である。
【0035】
図6】実施例1の熱処理ビード(線601)及びガラスビード(線602)の示差熱分析(DTA)走査を示す。
【0036】
図7A】熱処理された実施例6の材料の集束イオンビーム粉砕区画の走査型透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope、STEM)明視野デジタル画像である。
図7B】熱処理された実施例6の材料の集束イオンビーム粉砕区画の走査型透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope、STEM)明視野デジタル画像である。
【0037】
図8】エネルギー分散X線分光法(energy dispersive X-ray spectroscopy、EDXS)によって決定された、実施例6の非晶質粒子間相の組成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
セラミックの総重量を基準として、少なくとも85(いくつかの実施形態では、少なくとも90、あるいは少なくとも95、いくつかの実施形態では、92~99、93~98、あるいは94~97)重量%の、少なくとも1種の多結晶金属酸化物と、理論上の酸化物ベースで、B、GeO、P、又はSiOの少なくとも1種を含む、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、1~20、1~15、1~10、1~5、あるいは1~20)重量%の非晶質相と、を含む、第1のセラミックであって、金属酸化物は、粒界及び三重点を有する結晶を含み、非晶質相は、粒界及び三重点の位置に存在し、セラミックは、三次元セラミック物品の形態であり、物品は、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、1~40、1~30、1~25、1~20、1~10、あるいは5~10)mmの曲げ半径を有する少なくとも2つの縁部を有し、物品は、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、あるいは少なくとも1.5、いくつかの実施形態では0.3~1.5、0.3~1、あるいは0.4~0.8)mmの厚さを有し、物品の任意の露出表面は、100マイクロメートルを超える表面特徴がない(すなわち、ゼロである)、セラミック。このような表面特徴がないことは、白色光干渉計(商品名「Contour Elite X」、Bruker,Billerica,MAで入手)を使用して決定される。少なくとも5mm×5mmのセラミックの研磨領域を、倍率0.5倍で5倍光学レンズ下に置く。白色光を使用して、x-y平面内で、5マイクロメートルのバックスキャンを行う。十分に大きい面積(すなわち、10ミリメートル×10ミリメートル)を得るために、100個の1×1mmの配列の画像を一緒にステッチする。Bruker,Billerica,MAから商品名「The MountainsMap Universal」で入手可能なソフトウェアにより、100マイクロメートル未満であった最大の特徴サイズを見つけ出す。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の第1のセラミックは、異なる結晶形態(例えば、等軸、細長、針状(acicular)、小板状、針状(needle)等)を有する少なくとも2種の結晶質金属酸化物を含む。本明細書に記載の第1のセラミックスのいくつかの実施形態において、少なくとも1種の金属酸化物の金属酸化物結晶は針状である。本明細書に記載の第1のセラミックスのいくつかの実施形態において、金属酸化物は、Al、ZrO、Re(例えば、La、CeO、Gdのうちの少なくとも1種)、Y、TiO、MgO、複合体ReOAl(例えば、LaAl1118又はLaAlO)、複合体MgOAl(例えば、MgAl)、複合体TiO Al(例えば、AlTiO)、又はYAl12(式中、各Reは、独立して、原子価状態Reを有する少なくとも1種の希土類カチオンであり、Oは、原子価状態2を有し、x(Re)=2yである)のうちの少なくとも1種である。
【0040】
本明細書に記載の第1のセラミックスのいくつかの実施形態において、多結晶結晶質金属酸化物は、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも60、70、75、80、90、95、96、あるいは少なくとも97、いくつかの実施形態では、50~97、60~97、70~97、75~97、80~97、あるいは90~97)重量%のAlを含む。
【0041】
本明細書に記載の第1のセラミックスのいくつかの実施形態において、多結晶結晶質金属酸化物は、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも60、70、75、80、90、95、96、あるいは少なくとも97、いくつかの実施形態では、50~97、60~97、70~97、75~97、80~97、あるいは90~97)重量%のZrOを含む。
【0042】
本明細書に記載の第1のセラミックスのいくつかの実施形態において、多結晶結晶質金属酸化物は、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも20(いくつかの実施形態では、少なくとも25、30、40、50、60、70、75、あるいは少なくとも80、いくつかの実施形態では、20~80、30~70、35~65、あるいは40~60)重量%である少なくとも1種の希土類酸化アルミン酸塩を含む。本明細書に記載の第1のセラミックスのいくつかの実施形態において、多結晶結晶質金属酸化物は、YAl12又は希土類アルミン酸塩のうちの少なくとも1種(例えば、ReAl1118又はReAlOのうち少なくとも1種(式中、Reは独立してLa、Ce、Gd、Dy、又はErのうちの少なくとも1種である))を含む。本明細書に記載の第1のセラミックスのいくつかの実施形態において、YAl12又は希土類アルミン酸塩のうちの少なくとも1種は、100(いくつかの実施形態では、150、200、250、500、750、1000、1500、2000、あるいは2500)ナノメートルを超える平均サイズを有する結晶を含む。
【0043】
第2のセラミックは、多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩(例えば、LaAlO、CeAlO、ErAl12、GdAlO、又はDyAl12のうちの少なくとも1種)、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩(例えば、LaAl1118又はCeAl1118のうちの少なくとも1種)を含み、非晶質相は、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al及び希土類酸化物を含み、ここで、多結晶ジルコニア並びに第1及び第2多結晶希土類アルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、第1の結晶質希土類アルミン酸塩の結晶は針状であり、非晶質相は粒界の位置に存在する。
【0044】
本明細書に記載される第2のセラミックのいくつかの実施形態において、多結晶ジルコニアは、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、10~40、10~30、あるいは10~25)重量%の量の百分率である。本明細書に記載される第2のセラミックのいくつかの実施形態において、第1の多結晶希土類アルミン酸塩は、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも30(いくつかの実施形態では、少なくとも40、50、60、70、あるいは少なくとも75、いくつかの実施形態では、30~75、あるいは40~45)重量%の量における百分率である。本明細書に記載される第2のセラミックのいくつかの実施形態において、第2の多結晶希土類アルミン酸塩は、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の量の百分率である。
【0045】
本明細書に記載の第2のセラミックのいくつかの実施形態において、第1の希土類アルミン酸塩は、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも100、150、200、250、あるいは少なくとも500)ナノメートルの平均サイズを有する結晶を含む。
【0046】
セラミックの平均結晶サイズは、ASTM規格E112-96「Standard Test Methods for Determining Average Grain Size」に従って、線分法(line intercept method)によって決定することができる。試料を、取り付け樹脂(例えば、Buehler,Lake Bluff,ILから「TRANSOPTIC POWDER」の商品名で入手したものなど)に取り付け、典型的には直径約2.5cm及び高さ約1.9cmの樹脂シリンダー内に取り付ける。取り付けられる切片は、研磨機(Buehlerから商品名「ECOMET 3」で入手されるものなど)を使用して、従来の研磨技術を用いて準備する。試料をダイヤモンドホイールで約3分間研磨し、続いて、45、30、15、9、3、及び1マイクロメートルのスラリーのそれぞれを用いて5分間研磨する。取り付けて研磨した試料を、金-パラジウムの薄層でスパッタリングし、走査電子顕微鏡(JEOL SEM Model JSM 840Aなど)を使用して観察する。試料中に見られる微細構造の典型的な後方散乱電子(back-scattered electron、BSE)顕微鏡写真を使用して、以下のとおりに平均結晶サイズを決定する。顕微鏡写真を横切って引かれたランダムな線の単位長さ(unit length、N)当たりの交差する結晶数を数える。以下の式を用いて、この数から平均結晶サイズを決定する。
平均結晶サイズ=1.56×N
(式中、Nは、単位長さ当たりの交差する結晶の数であり、Mは顕微鏡写真の倍率である)。
【0047】
本明細書に記載の第2のセラミックのいくつかの実施形態において、第2の希土類アルミン酸塩は、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0048】
本明細書に記載される第2のセラミックのいくつかの実施形態において、非晶質相は、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、1~20、1~15、1~10、あるいは1~5)重量%の量で存在する。
【0049】
第3のセラミックは、多結晶ジルコニアと、多結晶アルミナと、多結晶イットリウムアルミン酸塩(例えば、YAl12)と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び酸化イットリウムを含む非晶質相とを含み、
ここで、多結晶ジルコニア、多結晶アルミナ、及び多結晶イットリウムアルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、非晶質相は粒界の位置に存在する。
【0050】
記載される第3のセラミックのいくつかの実施形態において、多結晶ジルコニアは、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、10~40、10~30、あるいは10~25)重量%の量で存在する。
【0051】
本明細書に記載される第3のセラミックのいくつかの実施形態において、多結晶アルミナは、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の量の百分率である。
【0052】
本明細書に記載の第3のセラミックのいくつかの実施形態において、アルミナは、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも100、150、200、250、あるいは少なくとも500)ナノメートルの平均サイズを有する結晶を含む。
【0053】
本明細書に記載の第3のセラミックのいくつかの実施形態において、イットリウムアルミン酸塩は、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0054】
本明細書に記載される第3のセラミックのいくつかの実施形態において、非晶質相は、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、1~20、1~15、1~10、あるいは1~5)重量%の量で存在する。
【0055】
本明細書に記載される第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、合わせて、20重量%以下(いくつかの実施形態では、15、10、5、4、3、2、あるいは1重量%以下、いくつかの実施形態では、1~20、1~15、あるいは1~10重量%)のB、GeO、P、及びSiOを含有する。
【0056】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、非晶質相は、Y-Al-SiOを含む。
【0057】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、非晶質相は、理論上の酸化物ベースで、セラミックの総重量を基準として、少なくとも5(いくつかの実施形態では、少なくとも10、20、25、30、40、あるいは少なくとも50、いくつかの実施形態では、5~50、10~40、あるいは20~35)重量%の、B、GeO、P、又はSiOのうちの少なくとも1種を含む。
【0058】
本明細書に記載される第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0059】
本明細書に記載される第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、セラミックの総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、93、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)のサイズの結晶を含む。
【0060】
本明細書に記載される第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶から本質的になる。
【0061】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、100ナノメートル超(いくつかの実施形態では、150、175、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0062】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、ガラスセラミック物品の総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、50ナノメートル超(いくつかの実施形態では、75、100、150、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0063】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、それぞれ互いに対して垂直であるx、y、及びzの寸法を有し、ここで、x、y、及びzの寸法のそれぞれは、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、1、2、3、4、あるいは少なくとも5)ミリメートルである。いくつかの実施形態において、x及びyの寸法は、少なくとも1、2、3、4、あるいは少なくとも5ミリメートルであり、z寸法は、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、あるいは少なくとも0.5ミリメートルである。材料のx、y、及びz寸法は、寸法の大きさに応じて、視覚的に又は顕微鏡を使用して決定される。報告されたz寸法は、例えば、球体の直径、コーティングの厚さ、又はプリズム形状の最大長さである。
【0064】
本明細書に記載される第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、「流動特性試験」に合格している。「流動特性試験」は、シートの平坦部分に関して以下のように実施される。試料の平坦部分を切断し、外側約80×60ミリメートル、内側44×58ミリメートルであり、曲率半径Bの傾斜縁部を有する、矩形の三次元(3D)黒鉛金型(Mersen,St.Marys,PAから入手可能である、特定の内径をもたらすように機械加工された黒鉛)に入れる。試験される試料を入れた金型を、N環境におけるホットプレス(Thermal Technology Inc.,Brea,CAから商品名「HP-50」で入手可能)内に置く。1キログラムの炭素ロッド(3インチ(7.6cm)ロッド、高さ4インチ(10.2cm)、Mersenから入手可能)を金型上に置く。次いで、試料を10℃/分で1350℃に加熱し、N流(40cm/分)下で1350℃にて90分間保持して、黒鉛金型を保護する。試料を、金型内で10℃/分の速度で室温まで冷却させる。冷却された金型/試料を炉から取り出し、試料を金型から取り出す。加熱された試料の曲げ半径C(「加熱曲げ半径」)を測定する。加熱曲げ半径Cが曲率半径Bの1.5倍未満であれば、試料は流動特性試験に合格する。
【0065】
「流動特性試験」は、シートの湾曲部分に関して以下のように実施される。初期曲げ半径A(mm)が0より大きい試料を切断し、外側約80×60ミリメートル、内側44×58ミリメートルであり、曲率半径Bの傾斜縁部を有し、曲げ半径Aが曲率半径Bの少なくとも3倍である、矩形の3D黒鉛金型(Mersenから入手可能である、特定の内径をもたらすように機械加工された黒鉛)に入れる。試験される試料を入れた金型を、N環境におけるホットプレス(「HP-50」)内に置く。1キログラムの炭素ロッド(3インチ(7.6cm)ロッド、高さ4インチ(10.2cm)、Mersenから入手可能)を金型上に置く。次いで、試料を10℃/分で1350℃に加熱し、N流(40cm/分)下で1350℃にて90分間保持して、黒鉛金型を保護する。試料を、金型内で10℃/分の速度で室温まで冷却させる。冷却された金型/試料を炉から取り出し、試料を金型から取り出す。加熱された試料の曲げ半径C(「加熱曲げ半径」)を測定する。加熱曲げ半径Cが曲率半径Bの1.5倍未満であれば、試料は流動特性試験に合格する。
【0066】
本明細書に記載される第2及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、三次元セラミック物品の形態であり、ここで、物品は、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、1~40、1~30、1~25、1~20、1~10、あるいは5~10)mmの曲げ半径を有する部分を少なくとも1つ有し、物品は、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、あるいは少なくとも1.5、いくつかの実施形態では、0.3~1.5、0.3~1、あるいは0.4~0.8)mmの厚さを有する。
【0067】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスは、20個の測定値に基づいて、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、あるいは少なくとも18、いくつかの実施形態では、10~18、あるいは12~15)GPaの平均マイクロ硬度を有する。ガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの平均マイクロ硬度は、以下のように決定することができる。材料の切片を、取り付け樹脂(Buehler,Lake Bluff,ILから商品名「TRANSOPTIC POWDER」で入手可能)に取り付け、典型的には直径約2.5cm及び高さ約1.9cmの樹脂シリンダー内に取り付ける。取り付けられる切片は、研磨機(Buehlerから商品名「ECOMET 3」で入手可能)を使用して、従来の研磨技術を用いて準備する。試料をダイヤモンドホイールで約3分間研磨し、続いて、45、30、15、9、3、及び1マイクロメートルのスラリーのそれぞれを用いて5分間研磨する。マイクロ硬度測定は、100グラムの押込み荷重を使用してビッカース圧子を装着した従来のマイクロ硬度試験機(株式会社ミツトヨ(東京)から商品名「MITUTOYO MVK-VL」で入手可能)を使用して行う。マイクロ硬度測定は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、ASTM Test Method E384 Test Methods for Microhardness of Materials(1991)に記載のガイドラインに従って行う。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される第1、第2、及び第3のセラミックスは、少なくとも500(いくつかの実施形態では、少なくとも600、700、800、900、1000、1200、あるいは少なくとも1500、いくつかの実施形態では、500~1500、あるいは700~1200)MPaの曲げ強度を有する。曲げ強度は、以下のように決定される。160ミリメートルの外径、20ミリメートルの内径、及び100ミリメートルの高さを有する円形黒鉛ダイ(Mersenから入手し、次いで、特定の内径を有するように機械加工した黒鉛)内に9グラムの熱処理ビードを入れ、20mmディスクを調製する。次いで、ダイをガラスプレス(東芝(東京)から商品名「GMP」で入手)内でホットプレスし、15000Nmの圧力下で、40℃/分で880℃に加熱し、10分間保持して、活性窒素冷却により室温まで冷却させる。得られたディスクを、低速ダイヤモンドソー(商品名「TechCut 4」、Allied High Tech Products Inc.,Rancho Dominguez,CAで入手可能)を使用して、厚さ0.8mmのディスクにスライスする。以下のプロファイル:3℃/分で20℃から830℃、830℃で2時間保持、1℃/分で830℃から875℃、875℃で2時間保持、1℃/分で875℃から900℃、900℃で2時間保持、1℃/分で900℃から1000℃、1000℃で1時間保持、3℃/分で1000℃から1400℃、1400℃で1時間保持、3℃/分で1400℃から20℃、を使用して、ディスクを加熱する。ガラスセラミックディスクをダイヤモンドホイールで約3分間研磨し、続いて45、30、15、9、及び3マイクロメートルダイヤモンドスラリーのそれぞれを用いて3分間研磨する。二軸屈曲強度を用いて強度を測定する。直径8mmの円上で120°の間隔を開けて、直径3mmの3個の鋼鉄製ボールからなる支持具上に下側を配置する。試料の上側の中心に載る垂直パンチで固定具内に支持具及び試料を配置する。ウェハと接触するパンチ直径は1.8mmである。万能試験機(Applied Test Systems,Inc.,Butler,PAの「Series 1101」として特定される)に固定具を装填する。試料が破壊されるまで、毎分0.2mmの速度でパンチをウェハに押し込む。破壊時の荷重を記録する。以下の式から強度値を計算する。
S=-0.2387P(X-Y)/d
式中、
P=破壊荷重(単位:ニュートン)
X=(1+v)ln(r/r+[(1-v)/2](r/r
Y=(1+v)[1+ln(r/r]+(1-v)/(r/r
式中、
v=ポアソン比
=支持円の半径(単位:mm)
=上部パンチ接点の半径(単位:mm)
=試料の半径(単位:mm)
d=試料の厚さ(単位:mm)
【0069】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される第1、第2、及び第3のセラミックスは、平均表面粗さRが20nm未満である露出表面を有する物品の形態である。白色光干渉計(「Contour Elite X8」)を使用して、平均表面粗さRを決定する。少なくとも5mm×5mmのセラミックの研磨領域を、倍率0.5倍で5倍光学レンズ下に置く。白色光を使用して、x-y平面内で、5マイクロメートルのバックスキャンを行う。十分に大きい面積(すなわち、10ミリメートル×10ミリメートル)を得るために、100個の1×1mmの配列の画像を一緒にステッチする。商品名「The MountainsMap Universal」で入手可能なソフトウェアにより、平均表面粗さRを計算する。
【0070】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、(機械加工された表面と比較される)成形時の外側表面を有する。
【0071】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックスのいくつかの実施形態において、これらは、無光沢表面仕上げを有する。
【0072】
第1のセラミックは、例えば、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶結晶質金属酸化物と、理論上の酸化物ベースで、B、GeO、P、又はSiOのうち少なくとも1種を含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法によって、作製することができる。
【0073】
本明細書に記載される第1のセラミックを作製するための例示的な方法のいくつかの実施形態において、プリフォームは、希土類アルミン酸塩のうちの少なくとも1種(例えば、LaAl1118又はCeAl1118のうちの少なくとも1種)(いくつかの実施形態では、セラミックプリフォームの総重量を基準として、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の、少なくとも1種の希土類アルミン酸塩)を含む針状結晶を含む。
【0074】
第1のセラミックを作製するための例示的な方法のいくつかの実施形態において、プリフォームの少なくとも1種の希土類アルミン酸塩は、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0075】
第2のセラミックは、例えば、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩(例えば、LaAl1118)と、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩(例えば、LaAlO)と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土類酸化物を含む非晶質相とを含むセラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法によって、作製することができる。
【0076】
本明細書に記載の第2のセラミックを作製するための例示的な方法のいくつかの実施形態において、プリフォームは、第1の希土類アルミン酸塩(いくつかの実施形態では、セラミックプリフォームの総重量を基準として、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の、第1の希土類アルミン酸塩)の針状結晶を含む。
【0077】
本明細書に記載の第2のセラミックを作製するための例示的な方法のいくつかの実施形態において、プリフォームの第1及び第2の希土類アルミン酸塩はそれぞれ、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0078】
第3のセラミックは、例えば、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、多結晶アルミナと、多結晶イットリウムアルミン酸塩(例えば、YAl12)と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び酸化イットリウムを含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法によって、作製することができる。
【0079】
本明細書に記載の第3のセラミックを作製するための例示的な方法のいくつかの実施形態において、プリフォームは、アルミナ(いくつかの実施形態では、セラミックプリフォームの総重量を基準として、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の、アルミナ)の結晶を含む。
【0080】
第3のセラミックを作製するための例示的な方法のいくつかの実施形態において、プリフォームのイットリウムアルミン酸塩又はアルミナは、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0081】
本明細書に記載の第3のセラミックを作製するための例示的な方法のいくつかの実施形態において、プリフォームのイットリウムアルミン酸塩又はアルミナはそれぞれ、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む。
【0082】
本明細書に記載されるセラミックスを作製するための方法のいくつかの実施形態において、方法は、第1の主表面に対向する第2の主表面を準備することと、プリフォームの少なくとも一部分を第2の主表面と接触させることとを更に含む。いくつかの実施形態において、第1の形状は平坦である。
【0083】
本明細書に記載のセラミックスを作製する方法のいくつかの実施形態において、加熱は1000℃~1500℃の範囲(いくつかの実施形態では、1050℃~1450℃、1100℃~1400℃、1150℃~1400℃、あるいは1200℃~1400℃の範囲)で行われる。本明細書に記載のセラミックスを作製するための方法のいくつかの実施形態において、加熱の少なくとも一部分は、少なくとも0.1(いくつかの実施形態では、少なくとも0.2、0.5、1、5、10、25、50、100、あるいは少なくとも200、いくつかの実施形態では、0.1~200、0.2~200、0.5~200、1~200、5~200、あるいは10~200)MPaの圧力で行われる。本明細書に記載のセラミックスを作製する方法のいくつかの実施形態において、加熱は、少なくとも30秒(いくつかの実施形態では、少なくとも45秒、1分、あるいは少なくとも1時間、いくつかの実施形態では、30秒~1時間、45秒~1時間、あるいは1分~1時間)にわたって行われる。
【0084】
本明細書に記載の第1、第2、及び第3のセラミックを作製するためのプリフォームは、例えば、適用可能な組成物を有するガラスセラミック微粒子から作製することができる。
【0085】
ナノ結晶ガラスセラミック微粒子を含むガラスセラミック微粒子は、当該技術分野において公知の技術によって得ることができる。ナノ結晶質ガラスセラミック(例えば、微粒子)を含むガラスセラミック微粒子は、非晶質材料がガラスセラミックに変換されるように、適切な組成物の非晶質材料(例えば、ガラス)を熱処理することによって得ることができる。
【0086】
理論上の酸化物ベースで、ナノ結晶ガラスセラミックを含むガラスセラミック、及び/又は結晶質セラミックを含む、酸化物の例としては、Al、Y、ZrO、HfO、Ga、REO、Bi、MgO、Nb、Ta、CaO、BaO、又は少なくとも1種の遷移金属酸化物(例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZn、B、GeO、SiO、TeO、As、P、TeO、及びこれらの複合金属酸化物)が挙げられる。
【0087】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶ガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックを含むガラスセラミックは、理論上の酸化物ベースで、Al(いくつかの実施形態では、それぞれガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの総重量を基準として、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、あるいは少なくとも85、いくつかの実施形態では、20~85、25~85、35~85、あるいは50~85重量%のAl)を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶質ガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックを含むガラスセラミックは、理論上の酸化物ベースで、Al、Y、ZrO、HfO、Ga、REO、Bi、MgO、Nb、Ta、CaO、BaO、又は少なくとも1種の遷移金属酸化物(例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの酸化物、並びにこれらの複合金属酸化物)のうちの少なくとも2種を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶ガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックは、理論上の酸化物ベースで、Al、REO、及びZrO又はHfOのうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態において、ナノ結晶ガラスセラミックを含むガラスセラミック、及び/又は結晶質セラミックは、合わせて、理論上の酸化物ベースで、それぞれガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの総重量を基準として、少なくとも80(いくつかの実施形態では、少なくとも85、90、95、96、97、98、99、99.5、あるいは100)重量%の、Al、REO、及びZrO又はHfOのうちの少なくとも1種を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶ガラスセラミックを含むガラスセラミック、及び/又は結晶質セラミックは、理論上の酸化物ベースで、Al、Y、及びZrO又はHfOのうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態において、ナノ結晶ガラスセラミックを含むガラスセラミック、及び/又は結晶質セラミックは、合わせて、理論上の酸化物ベースで、それぞれガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの総重量を基準として、少なくとも80(いくつかの実施形態では、少なくとも85、90、95、96、97、98、99、99.5、あるいは100)重量%の、Al、Y、及びZrO又はHfOのうちの少なくとも1種を含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶質ガラスセラミックを含むガラスセラミック、及び/又は結晶質セラミックは、合わせて、理論上の酸化物ベースで、それぞれガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの総重量を基準として、20重量%以下(いくつかの実施形態では、15、10、5、4、3、2、1、あるいは0重量%)の、As、B、GeO、P、SiO、TeO、及びVを含む。
【0092】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶質ガラスセラミックを含むガラスセラミック、及び/又は結晶質セラミックは、少なくとも1種の複合金属酸化物(例えば、複合Al・金属酸化物、複合Al・REO、及び/又は複合Al・Y)を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶質ガラスセラミックを含むガラスセラミック、及び/又は結晶質セラミックは、理論上の酸化物ベースで、それぞれガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの総重量を基準として、20重量%以下(いくつかの実施形態では、10、5、4、3、2、1以下、あるいは0重量%)のSiOを含有する。
【0094】
いくつかの実施形態において、ナノ結晶質ガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックは、合わせて、理論上の酸化物ベースで、それぞれガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの総重量を基準として、20重量%未満(いくつかの実施形態では、15、10、5、4、3、2、1未満、あるいは0重量%)の、SiO、B、及びPを含有する。
【0095】
好適なガラスセラミック微粒子は、当該技術分野において公知の技術によって得ることができる。開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,563,294号(Rosenflanz)、第7,501,000号(Rosenflanzら)、第7,501,001号(Rosenflanzら)、第7,168,267号(Rosenflanzら)、第7,101,819号(Rosenflanzら)、第7,147,544号(Rosenflanz)、第7,510,585号(Rosenflanz)、第7,563,293号(Rosenflanz)、第7,737,063号(Rosenflanz)、第7,507,268号(Rosenflanz)、第8,056,370号(Rosenflanzら)、第7,497,093号(Rosenflanz)、第8,003,217号(Rosenflanz)、第7,297,171号(Rosenflanz)、第7,598,188号(Rosenflanzら)、第7,281,970号(Endresら)、米国特許出願公開第2007/0256454号(Rosenflanzら)、第2007/0270299号(Rosenflanzら)、及び第2011/0253582号(Leniusら)、並びにRosenflanzら、「Bulk Glasses and Ultrahard Nanoceramics Based on Alumina and Rare-Earth Oxides」、Nature 430号、761~64頁(2004)は、結晶化されて、ナノ結晶ガラスセラミック微粒子を含むガラスセラミックをもたらすことができる、例示的なガラス組成物を報告している。例示的なガラスセラミック微粒子又はプリフォームは、直接溶融鋳造、溶融噴霧、無容器浮遊(containerless levitation)、レーザスピン溶融などの他の技術、及び、当業者に公知の他の方法(例えば、Rapid Solidification of Ceramics、Brockwayら、Metals And Ceramics Information Center、A Department of Defense Information Analysis Center、Columbus、OH、1984年1月を参照されたい)によって得ることもできる。
【0096】
ガラスセラミック微粒子又はプリフォームを形成するために使用され得る金属酸化物としては、Al;TiO;Y;希土類酸化物(REO)、例えば、CeO、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr11、Sm、Tb、Th、Tm及びYb;ZrO、HfO、Ta、Nb、Bi、WO、V、Ga、並びにアルカリ土類金属酸化物(例えばCaO及びBaO)が挙げられる。本開示を実施するための有用なガラスの例としては、REO-TiO、REO-ZrO-TiO、REO-Nb、REO-Ta、REO-Nb-ZrO、REO-Ta-ZrO、CaO-Nb、CaO-Ta、BaO-TiO、REO-Al、REO-Al-ZrO、REO-Al-ZrO-SiO、Y-Al-ZrO、Y-Al-ZrO-SiO、及びSrO-Al-ZrOガラスを含むものが挙げられる。有用なガラス製剤としては、共晶組成物の位置又はその付近にあるものが挙げられる。これらの組成物及び組成物に加えて、例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,563,294号(Rosenflanz)、第7,501,000号(Rosenflanzら)、第7,501,001号(Rosenflanzら)、第7,168,267号(Rosenflanzら)、第7,101,819号(Rosenflanzら)、第7,147,544号(Rosenflanz)、第7,510,585号(Rosenflanz)、第7,563,293号(Rosenflanz)、第7,737,063号(Rosenflanz)、第7,507,268号(Rosenflanz)、第8,056,370号(Rosenflanzら)、第7,497,093号(Rosenflanz)、第8,003,217号(Rosenflanz)、第7,297,171号(Rosenflanz)、第7,598,188号(Rosenflanzら)、第7,281,970号(Endresら)、米国特許出願公開第2007/0256454号(Rosenflanzら)、第2007/0270299号(Rosenflanzら)、及び第2011/0253582号(Leniusら)、並びにRosenflanzら、「Bulk glasses and ultrahard nanoceramics based on alumina and rare-earth oxides」、Nature 430号、761~64頁(2004)も参照すれば、共晶組成物を含む他の組成物が、本開示を検討した後に当業者には明らかとなろう。
【0097】
本開示を実施するための有用な組成物の更なる例は、米国特許第2,150,694号(Morey);Topol,L.E.ら、「Formation of new oxide glasses by laser spin melting and free fall cooling」、J.Non-Crystal.Solids、12巻、377~390頁(1973);Topol,L.E.、「Formation of new lanthanide oxide glasses by laser spin melting and free-fall cooling」、J.Non-Crystall.Solids、15巻、116~124頁(1974);Shishido T.ら、「Ln-M-O」glasses obtained by rapid quenching using laser beam、J.Mater.Sci.、13巻、1006~1014頁(1978);及びTatsumisago M.、「Infrared Spectra of Rapidly Quenched Glasses in the Systems,LiO-RO-Nb(R=Ba,Ca,Mg)」、J.Amer.Ceram.Soc.、66巻、2号、117~119頁(1983)に見出すことができる。
【0098】
ガラスセラミック微粒子として使用され得るか、又はガラスセラミック微粒子をもたらすための、非晶質材料(例えば、ガラス)、非晶質材料を含むセラミック、非晶質材料を含む粒子等は、例えば、適切な金属酸化物源の加熱(火炎内での加熱を含む)により、溶融物、望ましくは均質な溶融物を形成し、次いで溶融物を急速に冷却して非晶質材料を得ることによって、作製することができる。非晶質材料の実施形態は、例えば、任意の好適な炉(例えば、誘導加熱炉、ガス燃焼炉、又は電気炉)内、又は例えばプラズマ中で、金属酸化物源を溶融することによって作製することができる。得られた溶融物は冷却される(例えば、溶融物を冷却媒体(例えば、高速エアジェット、液体、金属プレート(冷却金属板を含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、及び金属ボール(冷却金属ボールを含む)))に吐出される。
【0099】
非晶質材料の実施形態は、例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,254,981号(Castle)に開示されている火炎溶融を利用して作製することができる。この方法では、金属酸化物源材料は、バーナー(例えば、メタン空気バーナー、アセチレン酸素バーナー、水素酸素バーナー等)に(例えば、「フィード粒子(feed particle)」と呼ばれることもある粒子の形態で)直接供給され、次いで、例えば、水、冷却油、又は空気中で急冷される。フィード粒子は、例えば、金属酸化物源の研削、凝集(例えば、噴霧乾燥)、溶融、又は焼結によって形成することができる。火炎に供給されるフィード粒子のサイズは、一般に、粒子を含む、得られる非晶質材料のサイズを決定する。
【0100】
非晶質材料の実施形態はまた、他の技術、例えば、自由落下冷却を伴うレーザスピン溶融(laser spin melt)、Taylorワイヤ技術、プラズマトロン技術、ハンマー及びアンビル技術、遠心急冷、エアガンスプラット冷却(air gun splat cooling)、シングルローラ急冷及びツインローラ急冷、ローラープレート急冷、並びにペンダントドロップ溶融抽出(pendant drop melt extraction)(例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Rapid Solidification of Ceramics、Brockwayら、Metals And Ceramics Information Center、A Department of Defense Information Analysis Center、Columbus、OH、1984年1月を参照されたい)によっても得ることができる。非晶質材料の実施形態はまた、他の技術、例えば、好適な前駆体の(火炎又はレーザ若しくはプラズマ支援による)熱分解、金属前駆体の物理気相合成(PVS)、及び機械化学的加工によっても得ることができる。
【0101】
有用な非晶質材料製剤としては、共晶組成物(例えば、二元及び三元共晶組成物)の位置又はその付近にあるものが挙げられる。本明細書に開示されている組成物に加えて、第四級及び他の高次共晶組成物を含む他の組成物は、本開示を検討した後に当業者に明らかになり得る。
【0102】
理論上の酸化物ベースで、Alの、市販供給源を含む供給源としては、ボーキサイト(天然発生ボーキサイト及び合成生成ボーキサイトの両方を含む)、焼成ボーキサイト、水和アルミナ(例えば、ベーマイト、及びギブサイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱石、ガンマアルミナ、αアルミナ、アルミニウム塩、アルミニウム硝酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。Al源は、Alを含有してもよく、又はそれを与えるだけでもよい。あるいは、Al源は、Al、並びにAl以外の少なくとも1種の金属酸化物(複合Al・金属酸化物(例えば、DyAl12、YAl12、CeAl1118等)の材料を含むか、又は含有する)を含有してもよく、又は与えてもよい。
【0103】
希土類酸化物の、市販供給源を含む供給源としては、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱石(例えば、バストネス石及びモナズ石)、希土類塩、希土類硝酸塩、及び希土類炭酸塩が挙げられる。希土類酸化物源は、希土類酸化物を含有してもよく、又は与えるだけでもよい。あるいは、希土類酸化物源は、希土類酸化物、及び希土類酸化物以外の少なくとも1種以上の金属酸化物(複合希土類酸化物及び他の金属酸化物(例えば、DyAl12、CeAl1118等)を含む材料を含む)を含有してもよく、又は与えてもよい。
【0104】
理論上の酸化物ベースで、市販供給源を含む供給源Yとしては、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱石、及びイットリウム塩(例えば、イットリウム炭酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、及びこれらの組み合わせ)が挙げられる。Y源は、Yを含有してもよく、又は与えるだけでもよい。あるいは、Y源は、Y、及びY以外の1種以上の金属酸化物(複合Y・金属酸化物(例えば、YAl12)を含む材料を含む)を含有してもよく、又は与えてもよい。
【0105】
理論上の酸化物ベースで、ZrOの市販供給源を含む供給源としては、酸化ジルコニウム粉末、ジルコンサンド、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、及びジルコニウム塩(例えば、炭酸ジルコニウム、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、及びこれらの組み合わせ)が挙げられる。これに加えて又は代えて、ZrO源は、ZrO、及びHfOなどの他の金属酸化物を含有してもよく、又はそれらを与えてもよい。理論上の酸化物ベースで、HfOの、市販供給源を含む供給源としては、ハフニウム酸化物粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、及びハフニウム塩が挙げられる。これに加えて又は代えて、HfO源は、HfO、及びZrOなどの他の金属酸化物を含有してもよく、又は与えてもよい。
【0106】
他の有用な金属酸化物としては、理論上の酸化物ベースで、BaO、CaO、Cr、CoO、Fe、GeO、LiO、MgO、MnO、NiO、NaO、Sc、SrO、TiO、ZnO、及びこれらの組み合わせも挙げられる。市販供給源を含む供給源としては、酸化物自体、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などが挙げられる。これらの金属酸化物を添加して、得られる粒子の物理的特性を改変し、及び/又は加工を改善する。これらの金属酸化物は、典型的に、例えば所望の特性に応じて、ガラスセラミックの0重量%~50重量%(いくつかの実施形態では、0重量%~25重量%)のいずれかの量で添加される。
【0107】
本開示によるセラミックスを作製するための金属酸化物源及び他の添加剤の特定の選択は、典型的には、例えば、所望の結晶化度、該当する場合、得られるセラミックの所望の物理的特性(例えば、硬度又は靱性)、得られるセラミックの所望の特性、望ましくない不純物の存在の回避又は最小化、並びに/又はセラミックを調製するために使用する特定のプロセス(溶融及び/若しくは凝固の前及び/若しくはその過程での原材料の準備及び任意の精製を含む)を考慮する。
【0108】
いくつかの場合において、理論上の酸化物ベースで、限定された量の、NaO、P、SiO、TeO、V、及びこれらの組み合わせなどの他の酸化物を組み込むことが望ましい場合がある。市販供給源を含む供給源としては、酸化物自体、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などが挙げられる。例えば、これらの金属酸化物を添加して、得られる粒子の物理的特性を改変し、及び/又は加工を改善することができる。これらの金属酸化物は使用されるとき、典型的に、例えば所望の特性に応じて、ガラスセラミックの0重量%超~20%(いくつかの実施形態では、0重量%超~15重量%、0重量%超~10重量%、0重量%超~5重量%、あるいは0重量%超~2重量%)で添加する。
【0109】
いくつかの実施形態において、金属酸化物源を溶融するために、又はそれ以外の場合に他の原料と共に金属酸化物源を溶融するために酸化物形成の負のエンタルピー又はその合金を有する、金属(例えば、Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zr、及びそれらの組み合わせ)のうち少なくとも1種、Mを含む、微粒子、金属材料を添加することによって、金属酸化物源の少なくとも一部分(いくつかの実施形態では、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、あるいは少なくとも50重量パーセント)を得ることが有利であり得る。理論に束縛されるものではないが、金属の酸化を伴う発熱反応から生じる熱は、均質な溶融物の形成及び得られる非晶質材料の形成に有益であると考えられる。例えば、原材料内の酸化反応によって生成される追加の熱は、不十分な熱伝達を排除又は最小化し、したがって、特に150マイクロメートルを超えるx、y、及びz寸法を有する非晶質粒子を形成するときに、溶融物の形成及び均質性を促進すると考えられる。理論に束縛されるものではないが、追加の熱補助剤の利用は、各種化学反応及び物理的プロセス(例えば、緻密化、及び球状化)を完了させるのに役立つと考えられる。更に、理論に束縛されるものではないが、いくつかの実施形態では、酸化反応によって生成される追加の熱の存在は、溶融物の形成を実際に可能にすると考えられ、これは、そうでなければ、材料の高融点のために困難であるか又は実用的ではない。
【0110】
特定の金属酸化物の添加は、ガラスセラミック及び/又は結晶性材料の特性及び/又は結晶構造若しくは微細構造、並びにガラスセラミックを作製する際の原材料及び中間体の加工を変更し得る。例えば、MgO、CaO、LiO、及びNaOなどの酸化物の添加は、非晶質材料のT(ガラスの場合)及びT(Tは結晶化温度である)の両方を変化させることが観察されている。理論に束縛されるものではないが、そのような添加はガラス形成に影響を及ぼすと考えられる。更に、例えば、そのような酸化物添加は、系全体の融解温度を低下させ(すなわち、系を低融点共晶に向かわせ)、非晶質材料形成の容易さを低下させ得る。多成分系(四級など)における複合共晶は、より良好な非晶質材料形成能力をもたらし得る。液体溶融物の粘度及びその「加工」範囲におけるガラスの粘度はまた、MgO、CaO、LiO及びNaOなどの特定の金属酸化物の添加によって影響を受け得る。ハロゲン(例えば、フッ素及び塩素)、又はカルコゲニド(例えば、硫化物、セレン化物、及びテルル化物)のうちの少なくとも1種を非晶質材料に組み込むこと、並びにそれにより作製されたガラスセラミックもまた、本開示の範囲内にある。
【0111】
非晶質材料及び非晶質材料を含むセラミックの結晶化もまた、特定の材料の添加によって影響を受け得る。例えば、特定の金属、金属酸化物(例えば、チタン酸塩及びジルコン酸塩)、及びフッ化物は、核形成剤として作用し、結晶の有益な不均質核形成をもたらし得る。また、いくつかの酸化物の添加は、再加熱時に非晶質材料から失透(devitrifying)した準安定相の性質を変化させることがある。別の態様において、結晶質ZrOを含むセラミックの場合、正方晶/立方晶形態のZrOを安定化させることが知られている金属酸化物(例えば、Y、TiO、CaO、及びMgO)を添加することが望ましい場合がある。
【0112】
金属酸化物源及び他の添加剤の特定の選択は、典型的には、例えば、得られるセラミックの所望の組成及び微細構造、所望の結晶化度、該当する場合、所望の結晶化度、得られるセラミックの所望の物理的特性(例えば、硬度又は靱性)、得られるセラミックの所望の特性、望ましくない不純物の存在の回避又は最小化、並びに/又はセラミックを調製するために使用する特定のプロセス(溶融及び/若しくは凝固の前及び/若しくはその過程での原材料の準備及び任意の精製を含む)を考慮する。
【0113】
金属酸化物源及び他の添加剤は、ガラスセラミックを作製するために使用されるプロセス及び装備に好適な任意の形態であり得る。原料は、酸化物非晶質材料及び非晶質金属を製造するための、当該技術分野において公知の技術及び装備を使用して溶融及び急冷することができる。望ましい冷却速度としては、50K/秒以上が挙げられる。当該技術分野において公知の冷却技術としては、ロール冷却が挙げられる。ロール冷却は、例えば、典型的に融点より20℃~200℃高い温度で金属酸化物源を溶融させ、(例えば、空気、アルゴン、又は窒素などのガスを使用して)高圧下で高速回転ロール上に溶融物を噴霧することにより溶融物を冷却/急冷して行うことができる。典型的に、ロールは金属製であり、水冷される。金属製ブックモールドもまた、溶融物を冷却/急冷するのに有用であり得る。
【0114】
溶融物、冷却/急冷溶融物を形成し、及び/又は非晶質材料を形成するための他の技術としては、気相急冷、溶融抽出、プラズマ噴霧、及びガス又は遠心噴霧が挙げられる。気相急冷は、例えば、スパッタリングによって行うことができ、金属合金又は金属酸化物源は、使用されるスパッタリングターゲットに形成される。ターゲットはスパッタリング装置内の所定の位置に固定され、コーティングされる基材はターゲットと反対側の位置に配置される。酸素ガス及びArガスの典型的な圧力10-3トルで、ターゲットと基材との間に放電が発生し、Ar又は酸素イオンがターゲットに衝突して反応スパッタリングを開始し、それによって基材上に組成物の膜を堆積させる。
【0115】
ガス噴霧は、溶融物に変換するためにフィード粒子を溶融させることを伴う。このような溶融物の薄い流れは、破壊的空気ジェットとの接触によって霧化される(すなわち、流れは微細な液滴に分割される)。次いで、粒子(例えば、ビード)を含む、実質的に分離した、全体的に楕円形の、得られた非晶質材料が回収される。ビードサイズの例としては、約5マイクロメートル~約3mmの範囲の直径を有するものが挙げられる。例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,605,870号(Strom-Olsenら)に開示されているように、溶融抽出を行うことができる。例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2001年4月4日に公開された、国際公開第WO01/27046(A1)に開示されているレーザビーム加熱を利用する無容器ガラス形成技術もまた、ガラスセラミックの製造に有用であり得る。
【0116】
冷却速度は、急冷非晶質材料の特性に影響を及ぼすと考えられる。例えば、ガラスのガラス転移温度、密度、及び他の特性は、典型的に、冷却速度によって変化する。
【0117】
急速冷却はまた、冷却中に所望の酸化状態を維持し、及び/又はそれに影響を及ぼすために、還元環境、中性環境、又は酸化環境などの制御雰囲気下で行われてもよい。雰囲気はまた、過冷却された液体からの結晶化反応速度論に影響を及ぼすことによって、非晶質材料の形成に影響を与え得る。例えば、空気中のものと比較して、アルゴン雰囲気中で、結晶化を伴わないAl溶融物のより大規模な過冷却が報告されている。
【0118】
材料の微細構造又は相組成(ガラス/非晶質/結晶質)は、多くの方法で決定することができる。各種情報は、例えば、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、示差熱分析(DTA)、及びX線回折(x-ray diffraction、XRD)を使用して得ることができる。
【0119】
光学顕微鏡法を使用する場合、非晶質材料は、典型的に、結晶境界などの光散乱中心の欠如により、優勢的に透明であり、一方、多結晶材料は結晶構造を示し、光散乱効果に起因して不透明である。
【0120】
-100+120メッシュサイズ画分(すなわち、開口サイズ150マイクロメートル~開口サイズ125マイクロメートルのスクリーンで収集された画分)を使用して、ビードについて、非晶質収率パーセントを計算することができる。測定は、以下の方法で行われる。ビードの単一層をスライドガラス上に広げる。光学顕微鏡を使用して、ビードを観察する。光学顕微鏡の接眼レンズ内のクロスエアをガイドとして使用して、直線に沿っているビードを、それらの光学的透明度に応じて、非晶質又は結晶性のいずれかとして計数する。合計500個のビードを計数し、計数したビード総数で除算した非晶質ビードの量によって、非晶質収率パーセントを決定する。
【0121】
DTAを使用して、材料の対応DTAトレースが発熱結晶化事象(T)を含んでいる場合、材料を非晶質として分類する。同じトレースが、Tより低い温度で吸熱事象(T)を含んでいる場合も、材料はガラス相からなると考える。材料のDTAトレースがそのような事象を含んでいない場合、材料は結晶相を含有すると考える。
【0122】
示差熱分析(DTA)は、以下の方法を用いて行うことができる。-140+170メッシュサイズ画分(すなわち、開口サイズ105マイクロメートル~開口サイズ90マイクロメートルのスクリーンで収集された画分)を使用して、(例えば、Netzsch Instruments,Selb,Germanyから商品名「NETZSCH STA 409 DTA/TGA」で入手した計器を使用して)DTAの実行を行うことができる。各スクリーニング済み試料の量(典型的には約400ミリグラム(mg))を100マイクロリットルのAl試料ホルダーに入れる。各試料を、室温(約25℃)から1100℃まで、10℃/分の速度で静止空気中で加熱する。ガラス転移温度Tは、実施例における「示差熱分析」によるDTA走査における吸熱ピークとして明らかであり、吸熱事象が存在しないことは、ガラス転移がないことを示す(例えば、図6の線601を参照されたい)。
【0123】
粉末X線回折、XRDを使用して、(例えば、Phillips,Mahwah,NJから商品名「PHILLIPS XRG 3100」で入手したX線回折計で、1.54050オングストロームの銅Kα1放射線を使用して)、結晶化材料のXRDトレース中に存在するピークを、International Center for Diffraction Dataによって公開されているJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)データベースに提供されている結晶相のXRDパターンと比較することによって、材料中に存在する相を決定することができる。更に、XRDを定性的に使用して相の種類を決定することができる。広い拡散強度ピークの存在は、材料の非晶質の性質の指標として解釈される。広いピーク及び明確に規定されたピークの両方の存在は、非晶質マトリックス内の結晶質物質の存在の指標として解釈される。
【0124】
初期に形成される非晶質材料又はセラミック(結晶化前のガラスを含む)は、所望のサイズよりも大きくてもよい。非晶質材料又はセラミックは、ロール破砕、カナリーミリング(canary milling)、ジョー破砕、ハンマーミリング、ボールミリング、ジェットミリング、及び衝撃破砕を含む、当該技術分野において公知の粉砕及び/又は微粉砕技術を使用して、より小さい破片に変換することができる。いくつかの場合において、少なくとも2つの破砕工程を有することが望ましい。例えば、セラミックが形成された(固化された)後、セラミックは所望の材料よりも大きい形態であってもよい。第1の破砕工程は、これらの比較的大きな塊又は「チャンク」を破砕して、より小さい破片を形成することを含んでもよい。このチャンクの破砕は、ハンマーミル、衝撃破砕機、又はジョー破砕機によって行うことができる。次いで、その後、これらのより小さい破片を破砕して、所望の粒径分布を生成することができる。所望の粒径分布を得るために、複数の破砕工程を行う必要がある場合がある。一般に、所望の粒子形状及び粒径分布が得られるように破砕条件を最適化する。所望の大きさの結果として得られる粒子が大きすぎる場合、又はそれらの粒子が小さすぎる場合に「再利用」され再溶融するための原料として使用される場合、粒子を再破砕してもよい。
【0125】
例えば、溶融物を金型に流し込むか又は形成し、冷却し、次いで、得られた少なくとも部分的に非晶質材料を結晶化することによって、プリフォームを形成することができる。プリフォームは、例えば、融合によって形成してもよい。本質的に融合させることにより、少なくとも2つのより小さい粒子から大きなサイズの本体が形成される。例えば、粒子を含む非晶質材料を、より大きな粒径に形成してもよい。融合に使用される温度及び圧力は、例えば、非晶質材料の組成及び得られる材料の所望の密度に依存し得る。ガラス結晶化温度Tよりも低い温度、及びガラスの場合、ガラス転移温度よりも高い温度であるべきである。いくつかの実施形態では、加熱は、約850℃~約1100℃(いくつかの実施形態では、約900℃~1000℃)の範囲の少なくとも1つの温度で実施される。典型的に、非晶質材料は、非晶質材料の融合を補助するために融合中に圧力下(例えば、0超~少なくとも1GPa)に置かれる。1つの例示的な実施形態では、電荷を帯びた粒子がダイに入れられ、ガラス転移の上方の温度でホットプレスが実行され、ガラスの粘性流動が比較的大きな本体への融合をもたらす。典型的な融合技術の例としては、ホットプレス、加熱等方圧加圧、及び加熱押出が挙げられる。典型的には、更なる熱処理の前に、得られた融合体を冷却することが一般的に望ましい。熱処理後、必要に応じて、融合体を破砕して、より小さい粒径又は所望の粒径分布にすることができる。
【0126】
材料の望ましい特性を更に改善するために、追加の熱処理を行うこともまた、本開示の範囲内である。例えば、加熱等方圧加圧を(例えば、約900℃~約1400℃の温度で)行い、残留多孔性を除去して、材料の密度を増加させることができる。
【0127】
非晶質材料及び/又はガラスセラミック(例えば、粒子)の融合はまた、無加圧又は加圧焼結(例えば、焼結、プラズマ支援焼結、ホットプレス、HIP処理、ホット鍛造、及び加熱押出)を含む各種方法によって達成することもできる。
【0128】
熱処理は、ガラスセラミックをもたらすために非晶質材料(例えば、ガラス)を熱処理するための当該技術分野において公知のものを含む各種方法のいずれかで実施することができる。例えば、熱処理は、例えば、抵抗性、誘導性、又はガス加熱炉を使用して、バッチで行うことができる。あるいは、例えば、ロータリー窯を用いて、熱処理を連続的に行うこともできる。ロータリー窯の場合、高温で動作する窯内に材料が直接供給される。高温での時間は、数秒(いくつかの実施形態では、5秒未満)~数分又は数時間の範囲であってよい。温度は、900℃~1600℃、典型的には1200℃~1500℃の範囲であってよい。(例えば、核形成工程のための)バッチ及び(例えば、結晶成長のための)別の連続的な工程内で熱処理のいくつかを実施し、所望の密度を達成することも、本開示の範囲内にある。核形成工程では、温度は、典型的には約900℃~約1100℃(いくつかの実施形態では、約925℃~約1050℃)の範囲にある。同様に、密度工程に関して、温度は、典型的に、約1100℃~約1600℃(いくつかの実施形態では、約1200℃~約1500℃)の範囲にある。この熱処理は、例えば、高温で炉内に材料を直接供給することによって生じ得る。あるいは、例えば、はるかに低い温度(例えば、室温)で炉内に材料を供給し、次いで、所定の加熱速度で所望の温度に加熱してもよい。空気以外の雰囲気中で熱処理を行うことは、本開示の範囲内にある。場合によっては、還元雰囲気中で熱処理を行うことが更に望ましい場合がある。また、ガス圧下で、例えば、加熱等方圧加圧下又はガス圧炉内で、熱処理を行うことが望ましい場合がある。
【0129】
非晶質材料を熱処理して、非晶質材料を少なくとも部分的に結晶化させて、ガラスセラミックを得る。ガラスセラミックを形成するための特定のガラスの熱処理は、当該技術分野において周知である。各種ガラスについて、ガラスセラミックの核形成及び成長のための加熱条件は公知である。あるいは、当業者であれば、当該技術分野において公知の技術を使用した、ガラスの時間-温度-転換(Time-Temperature-Transformation、TTT)研究から適切な条件を決定することができる。本開示を読んだ後の当業者、及び当該技術分野は、特定の非晶質材料のTTT曲線を提供し、適切な核生成及び/又は結晶成長条件を決定して、ガラスセラミックを提供することができるはずである。
【0130】
典型的に、ガラスセラミックは、それらが形成される元になる非晶質材料よりも強い。したがって、材料の強度は、例えば、非晶質材料が結晶質セラミック相に変換される程度によって調整することができる。これに代えて又は加えて、材料の強度はまた、例えば、生成された核形成部位の数によって影響を受けることがあり、この数は、次に、結晶相の結晶の数、更にはサイズに影響を及ぼすように使用することができる。ガラスセラミックを形成することに関する更なる詳細については、例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Glass-Ceramics、P.W.McMillan、Academic Press,Inc.、第2版、1979を参照されたい。
【0131】
例えば、ガラスセラミックを作製するためのいくつかの例示的な非晶質材料の熱処理中に、LaZrなどの相の形成、及びZrOが存在する場合、立方晶/正方晶ZrO、場合によっては、単斜晶系ZrOの相の形成は、場合によっては、約900℃を超える温度で観察されている。理論に束縛されるものではないが、ジルコニア関連相は、非晶質材料から核形成する第1の相であると考えられる。Al、ReAlO(式中、Reは少なくとも1つの希土類カチオンである)、ReAl1118、ReAl12、YAl12等の相の形成は、一般に約925℃を超える温度で起こると考えられる。典型的に、この核形成工程中の結晶子サイズは、数ナノメートル程度である。例えば、10~15ナノメートル程度の結晶が観察されている。少なくともいくつかの実施形態では、約1300℃で約1時間熱処理することにより、完全な結晶化がもたらされる。一般に、発核工程及び結晶成長工程のそれぞれの熱処理時間は、数秒(いくつかの実施形態では、5秒未満)~数分又は1時間以上の範囲であってよい。
【0132】
得られる結晶のサイズは、典型的に、核形成及び/又は結晶化の時間及び/又は温度によって、少なくとも部分的に制御することができる。小さい結晶(例えば、マイクロメートル以下、又は更にはナノメートル以下の程度)を有することが一般に望ましいが、ガラスセラミックは、より大きな結晶サイズ(例えば、少なくとも1~10マイクロメートル、少なくとも10~25マイクロメートル、又は少なくとも50~100マイクロメートル)で作製されてもよい。理論に束縛されるものではないが、当該技術分野において、(同じ密度で)結晶のサイズをより微細にするほど、セラミックの機械的性質(例えば、硬度及び強度)が高くなると一般に考えられている。
【0133】
本開示によるガラスセラミックの実施形態に存在し得る結晶相の例としては、理論上の酸化物ベースで、Al(例えば、α-Al)、Y、REO、HfO、ZrO(例えば、立方晶ZrO及び正方晶ZrO)、BaO、CaO、Cr、CoO、Fe、GeO、LiO、MgO、MnO、NiO、NaO、P、Sc、SiO、SrO、TeO、TiO、V、Y、ZnO、「複合金属酸化物」(「複合Al・金属酸化物」(例えば、複合Al・REO(例えば、ReAlO(例えば、GdAlO・LaAlO)、ReAl1118(例えば、LaAl1118)、及びReAl12(例えば、DyAl12))、複合Al・Y(例えば、YAl12)、並びに複合ZrO・REO(例えば、ReZr(例えば、LaZr)))、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0134】
複合Al・金属酸化物(例えば、複合Al・Y(例えば、ガーネット結晶構造を呈するイットリウムアルミン酸塩)中のイットリウム及び/又はアルミニウムカチオンの一部を、他のカチオンで代替することも本開示の範囲内である。例えば、複合Al・YにおけるAlカチオンの一部は、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンで置換されてよい。例えば、複合Al・YにおけるYカチオンの一部は、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンで置換されてもよい。同様に、アルミナ内のアルミニウムカチオンの一部を置換することもまた、本開示の範囲内にある。例えば、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、及びCoは、アルミナ中のアルミニウムを置換することができる。上記のカチオンの置換は、溶融材料の特性(例えば、硬度、強靭性、強度、熱伝導率等)に影響を及ぼし得る。
【0135】
複合Al・金属酸化物(例えば、複合Al・REO)中の希土類及び/又はアルミニウムカチオンの一部を他のカチオンと置換することもまた、本開示の範囲内にある。例えば、複合Al・REOにおけるAlカチオンの一部は、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンで置換されてもよい。例えば、複合Al・REO中のYカチオンの一部は、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1つのカチオンで置換されてもよい。同様に、アルミナ内のアルミニウムカチオンの一部を置換することもまた、本開示の範囲内にある。例えば、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、及びCoは、アルミナ中のアルミニウムを置換することができる。上記のカチオンの置換は、溶融材料の特性(例えば、硬度、強靭性、強度、熱伝導率等)に影響を及ぼし得る。
【0136】
典型的に、ナノ結晶ガラスセラミック微粒子は、少なくとも20(いくつかの実施形態では、少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、あるいは75、いくつかの実施形態では、20~150、50~120、75~120、あるいは75~100)マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0137】
更に、プリフォームに関して、プリフォームは、最終製品体積に近似する(すなわち30%以内の)体積を有する。例えば、プリフォームは、プリフォームの品質及び一致性(例えば、融合操作に関連する欠陥の排除)に焦点を当てる別個の操作で形成することができる。
【0138】
図1は、本開示のいくつかの実施形態において有用である例示的な金型装置の斜視図である。図1に示すように、金型装置10は、第1の金型部分20と第2の金型部分30とを備える。第1の金型部分20は、凹部40を有する金型表面25を有する。第2の金型部分30は、凹部50を有する金型表面35を有する。第1の金型部分20の金型表面25と第2の金型部分30の金型表面35が整列して接触すると、空隙容積を有するキャビティが形成される。
【0139】
図2は、例えば、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、1~40、1~30、1~25、1~20、1~10、あるいは5~10)mmの曲げ半径を得る再成形のためにプリフォームを置いた状態の、図1に示した例示的な金型装置の斜視図である。図2に示すように、プリフォーム70は、第2の金型部分30の凹部50の少なくとも一部分に配置される。金型装置10内にプリフォーム70を挿入した後、金型表面25及び金型表面35を互いに対向するように配置し、プリフォーム70と凹部40、50のそれぞれとの間の接触を維持するために力を加える。次いで、プリフォーム70を加熱し、金型装置10に圧力を加えて、金型表面25、35を互いに押し付ける。加熱及び加えられた圧力は、プリフォーム70を変形させ、全体的に金型キャビティ60の形状を呈するようにする。
【0140】
熱及び圧力を加えるために使用する金型装置及びホットプレス装備は、当業者に公知の任意の種類のものでよい。いくつかの実施形態において、金型の表面の少なくとも一部分は、当業者に公知の技術を使用して、再成形物品に対して光学的に平滑な表面をもたらすように調製される。いくつかの実施形態において、金型の表面の少なくとも一部分は、模様、小さな特徴部分、又は所望の表面仕上げを再成形物品に付与する。
【0141】
図3は、図1に示す例示的な金型装置による例示的な物品の斜視図である。図3に示されるように、プリフォームが金型キャビティと実質的に同じ体積を有しているため、物品300は金型キャビティと実質的に同じ形状を呈している。
【0142】
図4は、プリフォームが金型キャビティよりも少ない体積を有する、図1に示した例示的な金型装置による例示的な物品の斜視図である。図4に示されるように、本体400は、全体的に金型キャビティと同じ形状を呈しているが、ガラス本体プリフォームと金型キャビティとの間の体積差により、外側縁部の全てが円弧を含んでいる。
【0143】
所望の再成形を達成するために、金型キャビティの空隙容積は、プリフォームの体積の70~130%の範囲にある。いくつかの実施形態において、金型キャビティの空隙容積は、プリフォームの体積の少なくとも75(又は少なくとも80、85、90、95、あるいは100)パーセントである。いくつかの実施形態において、金型キャビティの空隙容積は、プリフォームの体積の105(又は110、115、120、125、あるいは130)パーセントである。いくつかの実施形態において、プリフォームの体積及び金型キャビティの空隙容積は、実質的に等しい(すなわち、3%未満の差である)。
【0144】
図5は、図1に示した例示的な金型装置による例示的な物品の斜視図であり、プリフォームは金型キャビティよりも大きな体積を有している。図5に示すように、再成形物品500は、鋳ばり80を含んでいる。本開示の文脈において、「鋳ばり」とは、再成形物品により形成され、それに付着している、任意の余剰材料を指す。「鋳ばり」は、単に成形プロセスにおける制約のために存在するものであり、他の場合には望ましくないものである。いくつかの実施形態において、鋳ばりは、例えば機械加工操作などの後続の操作で除去される。他の実施形態では、再成形物品を利用する前に鋳ばりを除去する必要はない。
【0145】
本開示の文脈において、キャビティの「空隙容積」という用語は、金型の部分(すなわち、金型を「開放」及び「閉鎖」するために、あるいはプリフォームに圧力を加えるために、互いに対して動く金型の構成要素)が、プリフォームを再成形する際に得られる最も密接な位置にあるときに決定される、任意の「キャビティポート体積」よりも少ない、キャビティの総体積を指す。用語「キャビティポート体積」は、例えば、穴、チャネル、隙間、分割空間、又は特徴部分が鋳ばりに対応する範囲を除いて再成形物品の所望の形状に影響しない他の空隙などの、キャビティと流体連通している任意の空隙機構を指す。キャビティポート体積を構成する特徴部分は、例えば、気体を金型の中又は外に移すためのエジェクター用の通路とすること、又は余剰のプリフォームガラス材料のための鋳ばり体積を与えることを含む、多くの理由のために存在し得る。
【0146】
プリフォームの形状は任意の幾何学的形状であってよい。いくつかの実施形態において、プリフォームは平坦である。いくつかの実施形態において、プリフォームは、生じるべき再成形の量を低減するため、所望の再成形物品の形状に近似する。いくつかの実施形態では、所望の形状を達成するために、複数の再成形操作が行われる。更なる実施形態では、特性(例えば、色、組成、結晶化度、硬度、透明性等)が異なる領域を有する物品を調製するために、成形又は再成形プロセス中に別のプリフォームを追加することができる。これらの領域は、最終物品内の層又は別個の部分になり得る。
【0147】
いくつかの実施形態では、比較的小さなプリフォーム(すなわち、約10mm未満)が再成形され、他の実施形態では、比較的大きいプリフォーム(すなわち、約10mm超)が再成形される。
【0148】
いくつかの実施形態において、ガラスセラミックを圧密又は再成形するための加熱は、1000℃~1500℃(いくつかの実施形態では、1050℃~1500℃、1100℃~1500℃、1150℃~1500℃、1200℃~1500℃、1250℃~1500℃、1300℃~1500℃、1350℃~1500℃、1400℃~1500℃、1300℃~1400℃、あるいは1200℃~1400℃)の範囲で実施される。
【0149】
いくつかの実施形態において、ガラスセラミックを圧密又は再成形するための加熱は、ガラスセラミック中のガラスの結晶化温度(DTAによって測定されるT)よりも少なくとも100(いくつかの実施形態では、150、200、250、300、350、あるいは400、いくつかの実施形態では、100~400、200~400、200~300、あるいは250~350)℃高い温度で実施される。
【0150】
いくつかの実施形態において、ガラスセラミックを圧密又は再成形することに関して、加熱の少なくとも一部分は、少なくとも0.01(いくつかの実施形態では、少なくとも0.02、0.05、0.1、0.5、1、2.5、5、10、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、0.01~20、0.02~20、0.05~20、0.1~20、0.5~20、あるいは1~20)MPaの圧力で実施される。
【0151】
いくつかの実施形態において、ガラスセラミックを圧密又は再成形する際の加熱は、少なくとも30秒(いくつかの実施形態では、少なくとも45秒、1分、あるいは少なくとも3時間、いくつかの実施形態では、30秒~3時間、45秒~3時間、あるいは1分~3時間の範囲)の時間にわたって行われる。
【0152】
ガラスセラミックを得るために非晶質を熱処理することによって形成された結晶は、例えば、針状、等軸、柱状、又は平坦な平板様の特徴部分を有してもよい。結晶質セラミックもまた、例えば、針状、等軸、柱状、又は平坦な平板様の特徴部分を有してよい。
【0153】
典型的に、ガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックの(真)密度は、比重と呼ばれることがあり、典型的に、理論密度の少なくとも70%(いくつかの実施形態では、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、あるいは100%)である。
【0154】
いくつかの実施形態において、ガラスセラミック及び/又は結晶質セラミックは、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、あるいは少なくとも18、いくつかの実施形態では、10~18、あるいは12~15)GPaの平均マイクロ硬度を有する。
【0155】
本明細書に記載される方法によって作製される例示的な物品としては、電子機器筐体(例えば、腕時計ケース、携帯電話ケース、又はタブレットケース)が挙げられる。
例示的な実施形態
1A.セラミックの総重量を基準として、少なくとも85(いくつかの実施形態では、少なくとも90、あるいは少なくとも95、いくつかの実施形態では、92~99、93~98、あるいは94~97)重量%の少なくとも1種の多結晶金属酸化物と、理論上の酸化物ベースで、B、GeO、P、又はSiOのうち少なくとも1種を含む、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、1~15、1~10、1~5、あるいは1~20)重量%の非晶質相とを含むセラミックであって、金属酸化物は、粒界及び三重点を有する結晶を含み、非晶質相は、粒界及び三重点の位置に存在し、セラミックは、三次元セラミック物品の形態であり、物品は、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、又は少なくとも40、いくつかの実施形態では、1~40、1~30、1~25、1~20、1~10、あるいは5~10)mmの曲げ半径を有する少なくとも2つの縁部を有し、物品は、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、あるいは少なくとも1.5、いくつかの実施形態では、0.3~1.5、0.3~1、あるいは0.4~0.8)mmの厚さを有し、物品の露出表面は、100マイクロメートルを超える表面特徴がない、セラミック。
2A.物品の任意の露出表面が、20nm未満の平均表面粗さRを有する、例示的実施形態1Aに記載のセラミック。
3A.異なる結晶形態(例えば、等軸、細長、針状、小板状、針等)を有する少なくとも2種の結晶質金属酸化物が存在する、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
4A.少なくとも1種の金属酸化物の金属酸化物結晶が針状である、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
5A.少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、あるいは少なくとも18、いくつかの実施形態では、10~18、あるいは12~15)GPaの平均硬度を有する、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
6A.少なくとも500(いくつかの実施形態では、少なくとも600、700、800、900、1000、1200、あるいは少なくとも1500、いくつかの実施形態では、500~1500、あるいは700~1200)MPaの曲げ強度を有する、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
7A.非晶質相が第1の融点を有し、多結晶金属酸化物が第2の融点を有し、第2の融点が第1の融点よりも(いくつかの実施形態では、少なくとも100、150、200、250、500、800、1000、あるいは少なくとも1500、いくつかの実施形態では、100~1500、あるいは150~800)高い、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
8A.金属酸化物が、Al、ZrO、Re(例えば、La、CeO、Gdのうちの少なくとも1種)、Y、TiO、MgO、複合ReOAl(例えば、LaAl1118又はLaAlO)、複合MgOAl(例えば、MgAl)、複合TiO Al(例えば、AlTiO)、又はYAl12(式中、各Reは、独立して、原子価状態Reを有する少なくとも1種の希土類カチオンであり、Oは、原子価状態2を有し、x(Re)=2yである)のうちの少なくとも1種である、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
9A.多結晶結晶質金属酸化物が、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも60、70、75、80、90、95、96、あるいは少なくとも97、いくつかの実施形態では、50~97、60~97、70~97、75~97、80~97、あるいは90~97)重量%のAlを含む、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
10A.多結晶結晶質金属酸化物が、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも60、70、75、80、90、95、96、あるいは少なくとも97、いくつかの実施形態では、50~97、60~97、70~97、75~97、80~97、あるいは90~97)重量%のZrOを含む、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
11A.多結晶結晶質金属酸化物が、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも20(いくつかの実施形態では、少なくとも25、30、40、50、60、70、75、あるいは少なくとも80、いくつかの実施形態では、20~80、30~70、35~65、あるいは40~60)重量%の少なくとも1種の希土類酸化アルミン酸塩を含む、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
12A.多結晶結晶質金属酸化物が、YAl12又は希土類アルミン酸塩(例えば、ReAl1118又はReAlOのうちの少なくとも1種(式中、Reは、独立してLa、Ce、Gd、Dy、又はErのうちの少なくとも1種である))を含む、例示的実施形態11Aに記載のセラミック。
13A.YAl12又は希土類アルミン酸塩のうちの少なくとも1種が、100(いくつかの実施形態では、150、200、250、500、750、1000、1500、2000、あるいは2500)ナノメートルを超える平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態12Aに記載のセラミック。
14A.セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、合わせて、20重量%以下(いくつかの実施形態では、15、10、5、4、3、2、あるいは1重量%以下、いくつかの実施形態では、1~20、1~15、あるいは1~10重量%)のB、GeO、P、及びSiOを含有する、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
15A.非晶質相がReO-Al-SiOを含む、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
16A.非晶質相が、理論上の酸化物ベースで、セラミックの総重量を基準として、少なくとも5(いくつかの実施形態では、少なくとも10、20、25、30、40、あるいは少なくとも50、いくつかの実施形態では、5~50、10~40、あるいは20~35)重量%の平均サイズを有する、B、GeO、P、又はSiOのうちの少なくとも1種を有することを含む、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
17A.100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶を含む、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
18A.セラミックの総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、93、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶を含む、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
19A.100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶から本質的になる、例示的実施形態1A~18Aのいずれか一つに記載のセラミック。
20A.100ナノメートル超(いくつかの実施形態では、150、175、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1A~18Aのいずれか一つに記載のセラミック。
21A.ガラスセラミック物品の総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、50ナノメートル超(いくつかの実施形態では、75、100、150、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1A~16A又は20Aのいずれか一つに記載のセラミック。
22A.それぞれ互いに対して垂直であるx、y、及びzの寸法を有し、ここで、x、y、及びzの寸法のそれぞれは、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、1、2、3、4、あるいは少なくとも5)ミリメートルである、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。いくつかの実施形態において、x及びyの寸法は、少なくとも1、2、3、4、あるいは少なくとも5ミリメートルであり、z寸法は、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、あるいは少なくとも0.5ミリメートルである。
23A.流動特性試験に合格する、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
24A.(機械加工された表面と比較される)成形時の外側表面を有する、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
25A.物品が電子機器筐体(例えば、腕時計ケース、携帯電話ケース、又はタブレットケース)である、先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
1B.先行するAの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック物品を形成する方法であって、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶結晶質金属酸化物と、理論上の酸化物ベースで、B、GeO、P、又はSiOのうち少なくとも1種を含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法。
2B.プリフォームが、希土類アルミン酸塩のうちの少なくとも1種(いくつかの実施形態では、セラミックプリフォームの総重量に基づいて、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の少なくとも1種の希土類アルミン酸塩)を含む針状結晶を含む、例示的実施形態1Bに記載の方法。
3B.プリフォームの希土類アルミン酸塩が、LaAl1118又はCeAl1118のうちの少なくとも1種である、例示的実施形態2Bに記載の方法。
4B.プリフォームの少なくとも1種の希土類アルミン酸塩が、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1B又は3Bに記載の方法。
5B.先行するBの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法であって、
第1の主表面に対向する第2の主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を第2の主表面と接触させて配置することと、
を更に含む方法。
6B.第1の形状が平坦である、先行するBの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
7B.加熱が1000℃~1500℃の範囲(いくつかの実施形態では、1050℃~1450℃、1100℃~1400℃、1150℃~1400℃、あるいは1200℃~1400℃の範囲)で行われる、先行するBの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
8B.加熱の少なくとも一部分が、少なくとも0.1(いくつかの実施形態では、少なくとも0.2、0.5、1、5、10、25、50、100、あるいは少なくとも200、いくつかの実施形態では、0.1~200、0.2~200、0.5~200、1~200、5~200、あるいは10~200)MPaの圧力で行われる、先行するBの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
9B.加熱が、少なくとも30秒(いくつかの実施形態では、少なくとも45秒、1分、あるいは少なくとも1時間、いくつかの実施形態では、30秒~1時間、45秒~1時間、あるいは1分~1時間)にわたって行われる、先行するBの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
1C.多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩と、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土類酸化物を含む非晶質相と、を含むセラミックであって、多結晶ジルコニア並びに第1及び第2の多結晶希土類アルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、第1の結晶質希土類アルミン酸塩の結晶は針状であり、非晶質相は粒界の位置に存在する、セラミック。
2C.セラミックが三次元セラミック物品の形態であって、物品は、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、1~40、1~30、1~25、1~20、1~10、あるいは5~10)mmの曲げ半径を有する部分を少なくとも1つ有し、物品は、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、あるいは少なくとも1.5、いくつかの実施形態では、0.3~1.5、0.3~1、あるいは0.4~0.8)mmの厚さを有する、例示的実施形態1Cに記載のセラミック。
3C.多結晶ジルコニアが、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、10~40、10~30、あるいは10~25)重量%の量で存在する、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
4C.第1の多結晶希土類アルミン酸塩が、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも30(いくつかの実施形態では、少なくとも40、50、60、70、あるいは少なくとも75、いくつかの実施形態では、30~75、あるいは40~45)重量%の量の百分率である、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
5C.第2の多結晶希土類アルミン酸塩が、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の量の百分率である、例示的実施形態4Cに記載のセラミック。
6C.第1の希土類アルミン酸塩が、LaAlO、CeAlO、ErAl12、GdAlO、又はDyAl12のうちの少なくとも1種である、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
7C.第1の希土類アルミン酸塩が、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも100、150、200、250、あるいは少なくとも500)ナノメートルの平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態6Cに記載のセラミック。
8C.第2の希土類アルミン酸塩が、LaAl1118又はCeAl1118のうちの少なくとも1種である、例示的実施形態6C又は7Cに記載のセラミック。
9C.第2の希土類アルミン酸塩が、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態8Cに記載のセラミック。
10C.非晶質相が、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、1~15、1~10、あるいは1~5、あるいは1~20)重量%の量で百分率である、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
11C.100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶を含む、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
12C.セラミックの総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、93、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズの結晶を含む、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
13C.100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶から本質的になる、例示的実施形態1C~11Cのいずれか一つに記載のセラミック。
14C.100ナノメートル超(いくつかの実施形態では、150、175、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1C~10Cのいずれか一つに記載のセラミック。
15C.セラミックの総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、50ナノメートル超(いくつかの実施形態では、75、100、150、ナノメートル超、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1C~10C又は14Cのいずれか一つに記載のセラミック。
16C.少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、あるいは少なくとも18、いくつかの実施形態では、10~18、あるいは12~15)GPaの平均硬度を有する、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
17C.少なくとも500(いくつかの実施形態では、少なくとも600、700、800、900、1000、1200、あるいは少なくとも1500、いくつかの実施形態では、500~1500、あるいは700~1200)MPaの曲げ強度を有する、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
18C.少なくとも500(いくつかの実施形態では、少なくとも600、700、800、900、1000、1200、あるいは少なくとも1500、いくつかの実施形態では、500~1500、あるいは700~1200)MPaの曲げ強度を有する、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
19C.それぞれ互いに対して垂直であるx、y、及びzの寸法を有し、x、y、及びzの寸法のそれぞれは、少なくとも0.5(いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、あるいは少なくとも5)ミリメートルである、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。いくつかの実施形態において、x及びyの寸法は、少なくとも1、2、3、4、あるいは少なくとも5ミリメートルであり、z寸法は、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、あるいは少なくとも0.5ミリメートルである。
20C.少なくとも20nmの表面粗さを有する、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
21C.流動特性試験に合格する、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
22C.(機械加工された表面と比較される)成形時の外側表面を有する、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
23C.物品が電子機器筐体(例えば、腕時計ケース、携帯電話ケース、又はタブレットケース)である、先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
1D.先行するCの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック物品を形成する方法であって、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、第1の多結晶希土類アルミン酸塩と、第2の異なる多結晶希土類アルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び希土類酸化物を含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法。
2D.プリフォームが、第1の希土類アルミン酸塩(いくつかの実施形態では、セラミックプリフォームの総重量を基準として、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の、第1の希土類アルミン酸塩)の針状結晶を含む、例示的実施形態1Dに記載の方法。
3D.プリフォームの第1希土類アルミン酸塩がLaAl1118であり、プリフォームの第2希土類アルミン酸塩がLaAlOである、例示的実施形態2Dに記載の方法。
4D.プリフォームの第1及び第2の希土類アルミン酸塩がそれぞれ、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1D~3Dのいずれか一つに記載の方法。
5D.先行するDの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法であって、
第1の主表面に対向する第2の主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を第2の主表面と接触させて配置することと、
を更に含む方法。
6D.第1の形状が平坦である、先行するDの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
7D.加熱が1000℃~1500℃の範囲(いくつかの実施形態では、1050℃~1450℃、1100℃~1400℃、1150℃~1400℃、あるいは1200℃~1400℃の範囲)で行われる、先行するDの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
8D.加熱の少なくとも一部分は、少なくとも0.1(いくつかの実施形態では、少なくとも0.2、0.5、1、5、10、25、50、100、あるいは少なくとも200、いくつかの実施形態では、0.1~200、0.2~200、0.5~200、1~200、5~200、あるいは10~200)MPaの圧力で行われる、先行するDの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
9D.加熱が、少なくとも30秒(いくつかの実施形態では、少なくとも45秒、1分、あるいは少なくとも1時間、いくつかの実施形態では、30秒~1時間、45秒~1時間、あるいは1分~1時間)にわたって行われる、先行するDの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
1E.多結晶ジルコニアと、多結晶アルミナと、多結晶イットリウムアルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び酸化イットリウムを含む非晶質相と、を含むセラミックであって、多結晶ジルコニア、多結晶アルミナ、及び多結晶イットリウムアルミン酸塩は、粒界を有する結晶を含み、非晶質相は粒界の位置に存在する、セラミック。
2E.セラミックが三次元セラミック物品の形態であって、物品は、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、1~40、1~30、1~25、1~20、1~10、あるいは5~10)mmの曲げ半径を有する部分を少なくとも1つ有し、物品は、少なくとも0.3(いくつかの実施形態では、少なくとも0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、あるいは少なくとも1.5、いくつかの実施形態では、0.3~1.5、0.3~1、あるいは0.4~0.8)mmの厚さを有する、例示的実施形態1Eに記載の方法。
3E.多結晶ジルコニアが、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、10~40、10~30、あるいは10~25)重量%の量の百分率である、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
4E.多結晶アルミナが、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%の量の百分率である、例示的実施形態3Eに記載のセラミック。
5E.アルミナが、少なくとも50(いくつかの実施形態では、少なくとも100、150、200、250、あるいは少なくとも500)ナノメートルの平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態4Eに記載のセラミック。
6E.イットリウムアルミン酸塩がYAl12である、例示的実施形態4E又は5Eに記載のセラミック。
7E.イットリウムアルミン酸塩が、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態6Eに記載のセラミック。
8E.非晶質相が、セラミックの総重量を基準として、理論上の酸化物ベースで、少なくとも1(いくつかの実施形態では、少なくとも2、3、4、5、10、15、あるいは少なくとも20、いくつかの実施形態では、1~15、1~10、1~5、あるいは1~20)重量%の量で存在する、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
9E.100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶を含む、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
10E.セラミックの総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、93、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶を含む、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
11E.100ナノメートル以下(いくつかの実施形態では、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、あるいは20ナノメートル以下)の平均サイズを有する結晶から本質的になる、例示的実施形態1E~10Eのいずれか一つに記載のセラミック。
12E.100ナノメートル超(いくつかの実施形態では、150、175、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1E~11Eのいずれか一つに記載のセラミック。
13E.セラミックの総体積を基準として、少なくとも90(いくつかの実施形態では、少なくとも91、92、92.5、94、95、96、97、97.5、98、99、99.5、99.6、99.7、99.8、あるいは少なくとも99.9)体積%であり、50ナノメートル超(いくつかの実施形態では、75、100、150、あるいは200ナノメートル超)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1E~9E又は12Eのいずれか一つに記載のセラミック。
14E.少なくとも10(いくつかの実施形態では、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、あるいは少なくとも18、いくつかの実施形態では、10~18、あるいは12~15)GPaの平均硬度を有する、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
15E.少なくとも500(いくつかの実施形態では、少なくとも600、700、800、900、1000、1200、あるいは少なくとも1500、いくつかの実施形態では、500~1500、あるいは700~1200)MPaの曲げ強度を有する、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
16E.それぞれ互いに対して垂直であるx、y、及びzの寸法を有し、x、y、及びzの寸法のそれぞれは、少なくとも0.5(いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、あるいは少なくとも5)ミリメートルである、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。いくつかの実施形態において、x及びyの寸法は、少なくとも1、2、3、4、あるいは少なくとも5ミリメートルであり、z寸法は、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、あるいは少なくとも0.5ミリメートルである。
17E.少なくとも20の表面粗さを有する、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
18E.流動特性試験に合格する、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
19E.(機械加工された表面と比較される)成形時の外側表面を有する、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
20E.物品が電子機器筐体(例えば、腕時計ケース、携帯電話ケース、又はタブレットケース)である、先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック。
1F.先行するEの例示的実施形態のいずれか一つに記載のセラミック物品を形成する方法であって、
ある体積及び第1の形状を有し、多結晶ジルコニアと、多結晶アルミナと、多結晶イットリウムアルミン酸塩と、理論上の酸化物ベースで、SiO、Al、及び酸化イットリウムを含む非晶質相とを含む、セラミックプリフォームを準備することと、
主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を主表面と接触させて配置することと、
プリフォームを、第2の異なる形状を有する物品(すなわち、少なくとも2つの縁部を有する三次元物品)を形成するのに十分な温度及び十分な圧力で加熱することと、
を含む方法。
2F.プリフォーム結晶が、アルミナ(いくつかの実施形態では、セラミックプリフォームの総重量を基準として、少なくとも15(いくつかの実施形態では、少なくとも20、25、30、35、あるいは少なくとも40、いくつかの実施形態では、15~40、あるいは20~30)重量%のアルミナ)を含む、例示的実施形態1Fに記載の方法。
3F.プリフォームのイットリウムアルミン酸塩がYAl12である、例示的実施形態1F又は2Fに記載の方法。
4F.プリフォームのイットリウムアルミン酸塩又は希土類アルミン酸塩が、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態1F~3Fのいずれか一つに記載の方法。
5F.プリフォームのイットリウムアルミン酸塩又はアルミナがそれぞれ、少なくとも200ナノメートル(いくつかの実施形態では、少なくとも250ナノメートル、300ナノメートル、400ナノメートル、500ナノメートル、1000ナノメートル、あるいは5マイクロメートル、いくつかの実施形態では、200ナノメートル~5マイクロメートル、あるいは400ナノメートル~2マイクロメートル)の平均サイズを有する結晶を含む、例示的実施形態2F~4Fのいずれか一つに記載の方法。
6F.先行するFの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法であって、
第1の主表面に対向する第2の主表面を準備することと、
プリフォームの少なくとも一部分を第2の主表面と接触させて配置することと、
を更に含む方法。
7F.第1の形状が平坦である、先行するFの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
8F.加熱が、1000℃~1500℃の範囲(いくつかの実施形態では、1050℃~1450℃、1100℃~1400℃、1150℃~1400℃、あるいは1200℃~1400℃の範囲)で行われる、先行するFの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
9F.加熱の少なくとも一部分が、少なくとも0.1(いくつかの実施形態では、少なくとも0.2、0.5、1、5、10、25、50、100、あるいは少なくとも200、いくつかの実施形態では、0.1~200、0.2~200、0.5~200、1~200、5~200、あるいは10~200)MPaの圧力で行われる、先行するFの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
10F.加熱が、少なくとも30秒(いくつかの実施形態では、少なくとも45秒、1分、あるいは少なくとも1時間、いくつかの実施形態では、30秒~1時間、45秒~1時間、あるいは1分~1時間)にわたって行われる、先行するFの例示的実施形態のいずれか一つに記載の方法。
【0156】
本発明の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に説明されるが、これら実施例において述べられる特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。全ての部分及びパーセントは、特に指示のない限り、重量に基づく。
【0157】
実施例1
12ガロン(約45リットル)ミキサーに、(表1に示した)53キログラムの粉末、27キログラムの水、及び1.6キログラムの分散剤(GEO Specialty Chemicals,Ampler,PAから商品名「DAXAD 30」で入手)を充填し、高剪断ミキサー(Hockmeyer,Harrison,NJから商品名「15 HP DISPERSER」で入手)を使用して、2000rpmで15分間高剪断混合した。次いで、材料を5ガロン(18.9リットル)バケツに充填し、一晩静置して、Laと水との組み合わせによって引き起こされる発熱を完了させた。
【0158】
次いで、得られたスラリーを、0.5ミリメートルのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉砕媒体(東ソー(東京)から入手)を充填した高エネルギービードミル(Netzsch Instruments,Selb,GermanyからモデルLMZ2として入手)に2回通過させ、400グラム/分にて2000回/分(rpm)で回転させて、緊密な混合を達成し、粒径分布の90パーセンタイルを1マイクロメートル未満に低減する。
【表1】
【0159】
約20キログラムのスラリー(SDS Spray Drying,Randallstown,MDからモデル48として入手)を噴霧乾燥し、スクリーニングして、約63~180マイクロメートルの範囲のサイズの凝集体を得た。噴霧乾燥機は、直径4フィート(1.2m)で、8フィート(2.4m)の直線的側面を有していた。噴霧乾燥機をオープンモードで操作した(システムは閉ループではなく、空気を1馬力式送風機(Air Tech Inc.,Englewood,NJから入手)を介して加熱器に導入し、バグハウスから排出された直後に排気した)。操作中、バルク乾燥ガスは、電気ヒーターを介して加熱し、乾燥チャンバー(頂部を通って入り、底部を通って出た)を通して運ばれ、最終的にサイクロン及びバグハウスに運ばれた。サイクロンはガス流から生成物固形分を分離し、バグハウス内に収集した固体を廃棄した。乾燥チャンバーの入口でのバルク乾燥ガス温度は約180℃であり、乾燥チャンバーの出口は約100℃であった。2つの白金硬化シリコーン配管ラインと並列にした空気式蠕動ポンプ(Masterflex,Vernon Hills,ILから商品名「96410-25」で入手)を介して、約117グラム/分でスラリーを供給した。内部混合二液圧噴霧化ノズル(Spraying Systems Co.,Wheaton,ILから商品名「FLUID CAP 60100」及び「AIR CAP 170」で入手)を利用して、スラリーを垂直上方に霧化した。霧化ガスは、約10psi(0.07MPa)及び3.3標準立方フィート/分(90標準リットル/分(standard liters per minute、SLPM))で供給された窒素であった。
【0160】
噴霧乾燥粒子の一部を水素/酸素トーチ火炎に供給して、溶融ガラスビードを生成した。粒子を溶融するために使用したトーチは、ベンチバーナー(Bethlehem Apparatus Co.,Hellertown,PAから商品名「PM2DモデルB」で入手)であった。水素及び酸素の流れを、以下の速度に設定した。内側環については、水素流量は8SLPMであり、酸素流量は3SLPMであった。外側環については、水素流量は23SLPMであり、酸素流量は9.8SLPMであった。乾燥及びサイズ決定された粒子を、トーチ火炎に直接供給し、そこで粒子を溶融させ、傾斜ステンレス鋼表面(幅約51センチメートル(20インチ)、傾斜角45度)に移送し、(約8リットル/分で)表面に冷水を流し、急冷ビードを形成した。
【0161】
得られた急冷ビードを平鍋に回収し、110℃で乾燥させた。ビードは透明であり、球形であった。
【0162】
示差熱分析(DTA)のために、ビード材料の画分をスクリーニングして、90~125マイクロメートルのサイズ範囲を維持した。熱分析装備(Netzsch Instrumentsから商品名「NETZSCH DSC 404F1」で入手)を使用して、DTAを実行した。それぞれのスクリーニングされた量(100ミリグラム)の試料を白金試料平鍋内に入れた。各試料を、室温(約25℃)から1600℃まで20℃/分の速度にて静止空気中で加熱した。
【0163】
図6を参照すると、線602は、実施例1のガラスビード材料についてプロットされたDTAデータである。図6を参照すると、線602では、材料は、約840℃の温度で吸熱事象を示した。この事象は材料のガラス転移Tに起因すると考えられた。約934℃において、発熱事象が観察された。この事象は、材料の結晶化Tに起因すると考えられた。
【0164】
100グラムのガラスビードを炉(Deltech Inc.,Denver,COからモデルDT-31-FL6として入手)に入れ、1100℃で1時間熱処理した。図6を参照すると、線601は、1100℃で熱処理された実施例1の材料のプロットされたDTAデータである。図6を参照すると、線601では、材料は吸熱事象を呈さなかった。これは、熱処理材料がTを有さなかったことの証拠であった。
【0165】
熱処理ビードの結晶粒径及び結晶化度は、電界放出走査電子顕微鏡検査(Field Emission Scanning Electron Microscopy、FE-SEM)(Hitachi Ltd.,Maidenhead,UKから商品名「HITACHI S-4800」で入手)により決定した。熱処理したビードの断裂表面をAu-PDの薄層でコーティングして、試料を導電性にした。2.0又は5.0キロボルトにおいて150,000倍の倍率で操作して、画像(すなわち、電子顕微鏡写真)を得た。150,000倍の倍率を有するFE-SEM顕微鏡写真を粒径測定に使用した。焼結体の異なる区域から撮られた3枚又は4枚の顕微鏡写真を、各試料について分析した。顕微鏡写真の高さに対してほぼ等しい間隔で離れて配置される10本の水平線を引いた。各線上で観察した粒界切片の数を計数し、これを用いて切片間の平均距離を計算した。各線についての平均距離に1.56を乗じて粒径を求め、この値を各試料の全ての顕微鏡写真の全ての線にわたって平均した。熱処理された実施例1の材料の平均結晶サイズは57nmであると決定した。
【0166】
約5グラムの熱処理ビードを、外径160ミリメートル、内径20ミリメートル、高さ100ミリメートルの円形黒鉛ダイ(Mersen,St.Marys,PAから入手し、次いで、指定の内部寸法に機械加工した黒鉛)に入れ、一軸プレス装置(Thermal Technology Inc.,Brea,CAから商品名「HP-50」で入手)を用いてホットプレスした。アルゴン雰囲気下で5℃/分で、13.8メガパスカル(MPa)(2000ポンド/平方インチ(2ksi))の圧力により連続加熱を用いて、ホットプレスを行った。高密度化に伴う収縮変位をモニタした。初期収縮温度は1120℃であった。収縮は、温度が1200℃に達するまで継続し、その時点で収縮は停止した。得られた圧密ディスクは、直径約20ミリメートル、厚さ約3ミリメートルであった。追加のホットプレスを実行して、追加のディスクを作製した。
【0167】
ガス比重瓶(Micromeritics,Norcross,GAから商品名「ACCUPUYC 1330」で入手)を使用して、得られたホットプレスガラス材料の密度を測定し、5.25グラム/cmであることが見出された。これは理論密度の99パーセントである。
【0168】
得られたホットプレス材料の平均マイクロ硬度を以下のとおり決定した。ホットプレス材料の断片(サイズ約2~5ミリメートル)を、取り付け樹脂(Buehler Ltd.,Lake Bluff,ILから商品名「EPOMET」で入手)に取り付けた。得られた樹脂シリンダーは、直径約2.5センチメートル(1インチ)、長さ(すなわち、高さ)約1.9センチメートル(0.75インチ)であった。従来の研削機/研磨機(Buehler Ltd.から商品名「BETA」で入手)及び従来のダイヤモンドスラリーを使用して、取り付けられた試料を研磨し、1マイクロメートルのダイヤモンドスラリー(Buehler Ltd.から商品名「METADI」で入手)を使用する最終研磨工程により、試料の研磨された断面を得た。
【0169】
500グラムの押込み荷重を使用してビッカース圧子を装着した、従来のマイクロ硬度試験機(株式会社ミツトヨ(東京)から商品名「MITUTOYO MVK-VL」で入手)を使用して、マイクロ硬度測定を行った。開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、ASTM Test Method E384 Test Methods for Microhardness of Materials(1991)に記載のガイドラインに従って、マイクロ硬度測定を行った。ホットプレス材料の平均マイクロ硬度は、5つの測定値の平均に基づいて、15.4ギガパスカル(GPa)であった。
【0170】
実施例2
材料は、以下の表2に列挙した量であり、904グラムの水と組み合わせて、マスターバッチ水性懸濁液を得た。
【表2】
【0171】
セルロースガムを非常にゆっくりと水に添加し、高剪断ミキサー(Hayward Gordon,Adelanto,CAから商品名「SCOTT TURBIN」モデルM1110SEで入手)を用いた1800rpmでの30分間の混合により、完全に溶解させた。次に、粉末を個々に添加する前に、分散剤を添加した。次いで、混合物を、1cmの円筒形アルミナ媒体(Glenn Mills,Clifton,NJから入手)を有する酸化アルミニウムミルジャー内で、100rpmにて24時間粉砕し、2マイクロメートル以下の粒子サイズの90パーセンタイルにより均質懸濁液を作製した。
【0172】
スラリーを噴霧乾燥し(「モデル48」)、スクリーニングして、約63~180マイクロメートルの範囲のサイズの凝集体を得た。
【0173】
噴霧乾燥粒子の一部を水素/酸素トーチ火炎に供給して、溶融ガラスビードを生成した。粒子を溶融するために使用したトーチは、ベンチバーナー(Bethlehem Apparatus Co.,Hellertown,PAから商品名「PM2DモデルB」で入手)であった。水素及び酸素の流れを、以下の速度に設定した。内側環については、水素流量は8標準リットル/分(SLPM)であり、酸素流量は3SLPMであった。外側環については、水素流量は23(SLPM)であり、酸素流量は9.8SLPMであった。乾燥及びサイズ決定された粒子を、トーチ火炎に直接供給し、そこで粒子を溶融させ、傾斜ステンレス鋼表面(幅約51センチメートル(20インチ)、傾斜角45度)に移送し、(約8リットル/分で)表面に冷水を流し、急冷ビードを形成した。
【0174】
得られた急冷ビードを平鍋に回収し、110℃で乾燥させた。ビードは透明であり、球形であった。
【0175】
火炎形成ビード100グラムを炉(モデルDT-31-FL6)に入れ、毎分20℃の加熱及び冷却速度で1050℃で1時間熱処理した。
【0176】
約5グラムの熱処理ビードを、外径160ミリメートル、内径20ミリメートル、高さ100ミリメートルの円形黒鉛ダイ(Mersenから入手し、次いで、指定の内部寸法に機械加工した黒鉛)に入れ、一軸プレス装置(「HP-50」)を用いてホットプレスした。アルゴン雰囲気下で5℃/分で、20メガパスカル(MPa)(3000ポンド/平方インチ(3ksi))の圧力により連続加熱を用いて、ホットプレスを行った。高密度化に伴う収縮変位をモニタした。初期収縮温度は1110℃であった。収縮は温度が1210℃に達するまで継続し、その時点で収縮は停止した。得られた圧密ディスクは、直径約20ミリメートル、厚さ約3ミリメートルであった。ディスクは、実施例1に記載したとおり決定された理論密度の99パーセントの密度を有していた。
【0177】
実施例3
水性マスターバッチの材料が以下の表3に示すとおりであること以外、実施例2に記載のとおりに、実施例3の試料を調製した。
【表3】
【0178】
実施例2に記載のように、100グラムの火炎形成ビードを加熱し、ホットプレスした。約5グラムの熱処理ビードを、外径160ミリメートル、内径20ミリメートル、高さ100ミリメートルの円形黒鉛ダイ(Mersenから入手し、指定の内部寸法に有するように機械加工した黒鉛)に入れ、一軸プレス装置(「HP-50」)を用いてホットプレスした。アルゴン雰囲気下、5℃/分、20メガパスカル(MPa)(3000ポンド/平方インチ(3ksi))圧力で連続加熱を用いてホットプレスを行った。高密度化に伴う収縮変位をモニタした。初期収縮温度は1110℃であった。初期収縮温度は1120℃であった。収縮は、温度が1220℃に達するまで継続し、その時点で収縮が止まった。得られた圧密ディスクは直径約20ミリメートルであり、厚さ約3ミリメートルであり、実施例1に記載のとおり決定された理論密度の99%であった。
【0179】
実施例4
一軸プレス装置(「HP-50」)において、実施例1に記載のように調製した50グラムのガラスビードを、シュラウド内に封入して、75ミリメートルの円形黒鉛ダイ(Mersenから入手)内で、温度930℃及び荷重20,000キログラムで、40分間ホットプレスすることによって、平坦な厚さ0.7ミリメートルのガラスシートを調製した。
【0180】
次いで、1マイクロメートルのダイヤモンドスラリー(Buehler Ltd.から商品名「METADI」で入手)を使用する最終研磨工程により、従来の研削機/研磨機(Buehler Ltd.から商品名「Beta」で入手)及び従来のダイヤモンドスラリーを使用して、パックを研磨し、試料の断面を0.7ミリメートルに研磨し、水ジェットで58×44ミリメートルのシートに切断した。次に、2枚の平坦なアルミナ100×80mmシート(Coorstek,Golden,COから入手)の間に入れた平坦なシートを、大型箱形炉(Carbolite Gero,Ltd.,Newtown,PAから商品名「CARBOLITE RH1-1500」で入手)に入れ、以下のプロファイル:3℃/分で20℃から830℃、830℃で2時間保持、1℃/分で830℃から875℃、875℃で2時間保持、1℃/分で875℃から900℃、900℃で2時間保持、1℃/分で900℃から1000℃、1000℃で1時間保持、3℃/分で1000℃から1150℃、1150℃で1時間保持、3℃/分で1150℃から20℃というプロファイルを使用して、加熱した。
【0181】
得られたナノ結晶性ガラスセラミックシートの平均マイクロ硬度を、実施例1に記載のとおり測定した。5つの測定値の平均に基づく平均マイクロ硬度は14GPaであった。
【0182】
次いで、44×58ミリメートルのナノ結晶性ガラスセラミックシートを、外側約80×60ミリメートル及び内側44×58ミリメートルを有し、傾斜縁部を有する矩形の三次元(3D)黒鉛金型(Mersenから入手し、指定の内部寸法を有するように機械加工した黒鉛)に入れ、N環境内でホットプレス(「HP-50」)内部で、高さ約2ミリメートルの最終成形ガラスを得た。これを15℃/分の速度で950℃まで加熱し、950℃で1.5時間保持し、次いで、10℃/分の速度で1200℃に加熱した。10分後、温度で、20キログラムの荷重を試料に加えた。
【0183】
プレスの変位を追跡し、部品が0.1ミリメートル動いたら、150キログラムの最終負荷まで10キログラムの荷重を更に加えていった。合計変位は1時間で1.6ミリメートルに等しくなり、その後、2℃/分で800℃まで炉の温度を下げ、次いで、15℃/分で室温まで温度を下げた。
【0184】
得られた三次元部品は、黒鉛金型との相互作用により若干の変色を示した。三次元部品の密度は、ASTM D116-86(2016)に従いアルキメデス法によって決定された理論密度の99%であった。
【0185】
最終的な白色セラミックを製造するために、3mmのYSZ粉砕媒体(東ソー(東京)から入手)を充填したアルミナるつぼ(Coorstekから入手)を備える質量700グラムの炉(モデルDT-31-FL6)に、三次元シートを入れ、平坦な中心を保持して座屈を防止し、室温から10℃/分の速度で1300℃まで加熱し、1300℃で2時間保持し、次いで、10℃/分で室温まで温度を下げた。
【0186】
実施例5
実施例4に記載のとおりに調製した0.6ミリメートル厚の平坦なガラスシートをダイに入れ、ダイの上に200グラムの荷重をかけて、スランピングを補助した。このシートを20分間で800℃まで加熱し、800℃で20分間保持し、10分間で823℃まで加熱し、823℃で30分間保持し、5分間で828℃まで温度を下げ、828℃で30分間保持し、次いで、30分間で室温まで冷却した。
【0187】
次いで、大型箱形炉(「CARBOLITE RH1-1500」)内の平坦なアルミナシート上でシートを結晶化させた。このシートを3℃/分で820℃まで加熱し、820℃で2時間保持し、1℃/分で875℃まで温度を上げ、875℃で2時間保持し、1℃/分で900℃まで加熱し、900℃で2時間保持し、1℃/分で1200℃まで加熱し、1200℃で2時間保持し、1℃/分で1200℃から室温まで冷却した。得られた三次元形状のガラスセラミックシートの密度は、ASTM D116-86(2016)に従ってアルキメデス密度によって決定された理論密度の99%であった。
【0188】
幅約44ミリメートル及び長さ58ミリメートルの寸法を有し、丸みを帯びた角部を有し、上方に曲げられた縁部を有して約2ミリメートルの全部品高をもたらし、更にドーム形中央領域(第1の形状)を有する、三次元ガラスセラミックシート。炉(モデルDT-31-FL6)内の平坦なアルミナブロック上に、部品を配置した。3mmのYSZ粉砕媒体(東ソーから入手)を充填したアルミナるつぼ(Coorstekから入手)(圧力3kPa)によってもたらされた、幅約50ミリメートル幅及び長さ37ミリメートルの第2のアルミナブロック(Coorstekから入手)並びに追加の素材(合計700グラム)を、ガラスセラミックシートの最上部の中心に配置した。炉を3.5℃/分の速度で1300℃に加熱し、4時間保持した。加熱プロセスの後、ガラスセラミックの最初にドーム形であった中央領域は、実質的に平坦になった(第2の形状)。
【0189】
実施例6
実施例4について記載したとおり実施例6を調製した。ただし、(a)以下のプロファイル:3℃/分で20℃から830℃、2時間保持、1℃/分で830℃から875℃、2時間保持、1℃/分で875℃から900℃、2時間保持、1℃/分で900℃から1000℃、1時間保持、3℃/分で1000℃から1400℃、1400℃で1時間保持、3℃/分で1400℃から20℃というプロファイルを使用して、平坦なシートを加熱し、(b)ガラスセラミックシートを10℃/分の速度で1350℃まで加熱し、1350℃で1.5時間保持し、次いで、10℃/分で室温まで冷却し、(c)20キログラムの荷重を試料に加える代わりに、炉を開始する前に1キログラムの黒鉛ロッド(Mersenから入手)を金型上に配置した。
【0190】
得られた三次元部品は100%で形成された(黒鉛金型に完全に合致した)。部品は黒鉛金型との相互作用により若干の変色を示した。三次元部品の密度は、ASTM D116-86(2016)に従いアルキメデス法によって決定された理論密度の99%であった。
【0191】
図7A及び図7Bは、熱処理された実施例6の材料の集束イオンビーム(focused ion-beam、FIB)粉砕区画の走査型透過型電子顕微鏡(STEM)明視野デジタル画像である。図7Aは、結晶質ZrO及び希土類アルミン酸塩(計器倍率20,000倍)を示す。図7Bは、非晶質顆粒間相(器具倍率110,000倍)と共に、ZrO、LaAl1118相及びLaAlO相を示す。従来のFIB試料調製技術を用いてTEM薄切片を調製した。より具体的には、金パラジウムの薄層を堆積させて試料の表面をマークし、続いて、FIB走査電子顕微(Scanning Electron Microscope、SEM)(FEI Company,Hillsboro,ORから商品名「FEI Quanta 200 3D Dual Beam SEM/FIB」で入手)上で、標準的リフトアウト技術を使用して、集束イオンビーム粉砕を行った。
【0192】
検出器(Bruker Corporationから商品名「Super X EDS」で入手)を装備したエネルギー分散X線分光器(Bruker Corporation,Billerica,MAから商品名「FEI Osiris S/TEM」で入手)によって収集したX線データを使用して、元素X線マッピングを使用して、非晶質顆粒間相の組成(図8参照)を決定した。X線マイクロ分析ソフトウェア(Bruker Corporationから商品名「Espirit 1.9」で入手)を使用して、分析を完了した。図8のX線マップを、200keVの加速電圧において、110,000倍の倍率で、(画像ドリフト補正を使用して)33分間収集した。X線マップのサブセクションを強調し、スペクトルデータを他の強調領域と比較した。したがって、粒子同士の比較を同じ画像で行うことができた。
【0193】
実施例7
2リットルのミキサーに、1キログラムの粉末(以下の表4に示すもの)、500グラムの水、及び25グラムの分散剤(「DAXAD 30」)を充填し、高剪断ミキサー(「SCOTT TURBIN」、モデルM1110SE)を使用して、2000rpmで、15分間、高剪断混合した。
【表4】
【0194】
次いで、材料を1リットルの広口瓶に充填し、一晩静置して、Laと水との組み合わせによって引き起こされる発熱を完了させた。
【0195】
次いで、得られたスラリーを、0.1ミリメートルのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉砕媒体(東ソー(東京)から入手)を充填した高エネルギービードミル(Buhler,Uzwil,SwitzerlandからモデルPML2として入手)内で粉砕し、2時間、1350回/分(rpm)で回転させて、緊密な混合を達成し、粒径分布の90パーセンタイルを1マイクロメートル未満に低減した。
【0196】
平坦なプリフォーム及び最終成形部品の調製は、実施例6に記載のとおりであった。試料は、金型から取り出した後に完全に形成されていなかった。試料は約40%しか成形されていなかった。
【0197】
実施例8
2リットルのミキサーに、1キログラムのジルコニア粉末(粒径40ナノメートル、純度99.5%、東ソーから商品名「HSY-3」で入手)、500グラムの水、及び25グラムの分散剤(「DAXAD 30」)を充填し、高剪断ミキサー「SCOTT TURBIN」(モデルM1110SE)を使用して、2000rpmで、15分間、高剪断混合した。次いで、材料を1リットルの広口瓶に充填した。
【0198】
次いで、得られたスラリーを、0.1ミリメートルのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉砕媒体(東ソーから入手)を充填した高エネルギービードミル(モデルPML2)内で粉砕し、2時間、1350回/分(rpm)で回転させて、緊密な混合を達成し、粒径分布の90パーセンタイルを1マイクロメートル未満に低減した。
【0199】
スラリーを、乾燥オーブン(Despatch,Minneapolis,MNから商品名「QMAX」で入手)内のアルミニウム鍋内で、250℃で一晩乾燥させ、遊星ボールミル(Retsch,Haan,Germanyから商品名「E-MAX」で入手)を用いて、5mmのジルコニア媒体(東ソーから入手)を使用して、1200rpmで2時間粉砕した。
【0200】
セラミックプリフォームの調製のための温度を1400℃としたことを除き、平坦なプリフォーム及び最終成形部品の調製は、実施例6に記載のとおりであった。金型から取り出した後、試料は完全に形成されていなかった。試料は約50%しか成形されていなかった。
【0201】
実施例9
2リットルのミキサーに、1.09キログラムの粉末(以下の表5に示すもの)、500グラムの水、及び25グラムの分散剤(「DAXAD30」)を充填し、高剪断ミキサー「SCOTT TURBIN」(モデルM1110SE)を使用して、2000rpmで、15分間、高剪断混合した。次いで、材料を1リットルの広口瓶に充填した。
【表5】
【0202】
次いで、得られたスラリーを、0.1ミリメートルのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉砕媒体(東ソーから入手)を充填した高エネルギービードミル(モデルPML2)内で粉砕し、2時間、1350回/分(rpm)で回転させて、緊密な混合を達成し、粒径分布の90パーセンタイルを1マイクロメートル未満に低減した。
【0203】
スラリーを、乾燥オーブン(「QMAX」)内のアルミニウム鍋内で、250℃で一晩乾燥させ、遊星ボールミル(「E-MAX」)を用いて、5mmのジルコニア媒体(東ソーから入手)を使用して、1200rpmで2時間粉砕した。
【0204】
セラミックプリフォームの調製のための温度を1400℃としたことを除き、平坦なプリフォーム及び最終成形部品の調製は、実施例6に記載のとおりであった。金型から取り出した後、試料は完全に形成されていなかった。試料は約50%しか成形されていなかった。
【0205】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本開示の予測可能な修正及び変更が当業者にとって自明であろう。本発明は、例示目的のために本出願に記載されている実施形態に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8