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特許7153676蓄電ユニットを使用するグリッド損失中の風力タービンの動作
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】蓄電ユニットを使用するグリッド損失中の風力タービンの動作
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20221006BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20221006BHJP
   F03D 9/11 20160101ALI20221006BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20221006BHJP
   H02P 101/15 20150101ALN20221006BHJP
【FI】
F03D7/04 Z
F03D1/06 A
F03D9/11
H02P9/00 F
H02P101:15
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019567582
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 DK2018050128
(87)【国際公開番号】W WO2018224110
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】PA201770446
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,トーブン モラー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルセン,ニールズ エリック
(72)【発明者】
【氏名】アベヤセケラ,ツシタ
(72)【発明者】
【氏名】ヘレ,ラース
(72)【発明者】
【氏名】ヒラウィ,ガダ アリ ディア
(72)【発明者】
【氏名】ヨルゲンセン,ラウリツ ギヴスコフ
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンヴァル,パウ
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-097596(JP,A)
【文献】特開2011-125171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0364949(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0256030(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0060000(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0013224(US,A1)
【文献】特開2014-110658(JP,A)
【文献】特開2010-133554(JP,A)
【文献】特開2017-011911(JP,A)
【文献】特開2000-102294(JP,A)
【文献】特開2010-035418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 7/04
F03D 1/06
F03D 9/11
H02P 9/00
H02P 101/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリッド損失中に風力タービンを動作させる方法であって、該風力タービンは、複数のピッチ調整可能なローターブレードを含むローターを備え、該ローターは発電機を駆動するように構成され、前記風力タービンは、
蓄電ユニットと、
少なくとも第1の電力消費ユニット群と第2の電力消費ユニット群とに分類される複数の電力消費ユニットであって、前記第1の電力消費ユニット群は前記蓄電ユニットによって電力が供給される、複数の電力消費ユニットと、
前記発電機を電気グリッドに接続するための第1の電気変換器と、
前記発電機を前記蓄電ユニットに接続するための第2の電気変換器と、
を更に備え、該方法は、
前記グリッド損失の発生を検出することと、
前記グリッド損失の発生時に、前記発電機から前記第1の電気変換器を切断し、前記発電機に前記第2の電気変換器を接続することであって、前記発電機は減速した回転速度で動作する、切断及び接続することと、
を含み、
該グリッド損失中の前記ピッチ調整可能なローターブレードは、通常モード動作と比較して、より低速なピッチ角調整による低減モードで動作する、方法。
【請求項2】
前記第1の電力消費ユニット群は、ピッチアクチュエーター、ベアリングの潤滑用の機器、ヨーアクチュエーター及び制御ユニットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の電力消費ユニット群は、前記グリッド損失中に電力が供給されない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記蓄電ユニットは充電式電力蓄積ユニットであり、前記第2の電気変換器は、前記充電式電力蓄積ユニットの電圧レベルが第1の電圧閾値未満であることが検出されると、前記発電機に接続される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の電気変換器は、前記発電機の出力電圧レベルが第1の出力閾値未満であることが検出されると、前記発電機から切断され、前記発電機の前記出力電圧レベルが第2の出力閾値を上回ることが検出されると、前記発電機に接続され、前記第2の出力閾値は前記第1の出力閾値より大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
グリッド損失中、前記発電機の速度は、前記ピッチ調整可能なローターブレードを調整することによって制御される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記発電機の速度は、或る速度範囲内にあるように制御される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ピッチ調整可能なローターブレードのピッチが調整されない期間中は選択的に閉鎖される1つ以上の逆止弁を有する、油圧ポンプを前記ピッチ調整可能なローターブレードに接続するための油圧システムを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記蓄電ユニットの電圧レベルが第2の電圧閾値未満であることが検出されると、前記ローターの回転を停止し、制御ユニットのスリープモードに入ることを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
風速を検出することと、該風速を風速閾値と比較することと、該風速が前記風速閾値を上回ることが検出されると、前記ローターの回転を開始し、前記制御ユニットの前記スリープモードから出ることとを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記グリッド損失の発生が検出されると、前記ローターの回転を停止するように前記発電機の速度を減速させ、前記蓄電ユニットの電圧レベルが第1の電圧閾値を上回る間、前記蓄電ユニットにより前記第1の電力消費ユニット群に電力を供給し、前記蓄電ユニットの前記電圧レベルが前記第1の電圧閾値未満であることが検出されると、前記第1の電力消費ユニット群を動作させるのに十分な前記蓄電ユニットの電力を確保するように前記発電機を動作させる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
グリッド損失中、前記発電機は、減速した回転速度での動作のアイドリングモードで動作する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の電気変換器又は前記第2の電気変換器を前記発電機に選択的に接続するように、制御可能なスイッチを動作させることを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記発電機の回転が停止するように低減しているとき、前記第2の電気変換器は前記発電機に接続される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の電気変換器は、前記第2の電力消費ユニット群に電力を供給するためにAC電力を発生させるように更に構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の電気変換器はAC昇圧回路を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の電気変換器はDC昇圧回路を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の電気変換器は、整流回路とそれに続くDC-DC昇圧回路とを備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の電気変換器は、前記風力タービンの定格出力を扱うように寸法が決められ、一方、前記第2の電気変換器は、前記風力タービンの前記定格出力の10%未満を扱うように寸法が決められる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記発電機は永久磁石発電機である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
データ処理システム上で実行されると風力タービンを制御するように適合されたソフトウェアコードを含むコンピュータープログラムであって、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合されている、コンピュータープログラム
【請求項22】
発電機と、
複数のピッチ調整可能なローターブレードを含むローターであって、前記発電機を駆動するように構成されている、ローターと、
蓄電ユニットと、
少なくとも第1の電力消費ユニット群と第2の電力消費ユニット群とに分類される複数の電力消費ユニットであって、前記第1の電力消費ユニット群は前記蓄電ユニットによって電力が供給される、複数の電力消費ユニットと、
前記発電機を電気グリッドに接続するための第1の電気変換器と、
前記発電機を前記蓄電ユニットに接続するための第2の電気変換器と、
前記電気グリッドの電気的状態を検出するためのグリッドセンサーと、
グリッド損失の発生を検出するように構成され、該グリッド損失の発生が検出されると、前記発電機から前記第1の電気変換器を切断し、前記発電機に前記第2の電気変換器を接続し、前記発電機を減速した回転速度で動作させ、該グリッド損失中の前記ピッチ調整可能なローターブレードを、通常モード動作と比較して、より低速なピッチ角調整による低減モードで動作させる、データ処理システムと、
を備える、風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッド損失中に電力消費ユニット群に電力を供給するために蓄電装置を使用する風力タービンの動作に関する。
【背景技術】
【0002】
ウィンドパークとも呼ばれる風力発電所は、通常、いくつかの風力タービンを備え、風力タービンの生成出力は、国の又は地方の電力網電気系統(又は単にグリッド)に電力を供給するようにネットワーク化される。風力タービンは、多くの制御ユニット、開閉機器、冷却系統、照明系統、アクチュエーター及び油圧系統を含む、複雑な電気系統を備え、こうした電気系統はそれら自体の専用電源を必要とする。この電源自体は、風力タービン施設の一部を形成する変圧器サブステーションを介して、グリッド電気系統から供給される。こうした電源は、「内部電源グリッド」と呼ばれる場合があり、その役割は、中電圧電源を管理し、風力発電所内の風力タービン及び電力消費ユニットの形態の補助機器に分配して、発電の高可用性を確保することである。
【0003】
風力タービンがグリッドへの接続性を喪失するいわゆるグリッド損失が起きた場合、風力タービンの電気系統もその電力を喪失する。こうした電力損失から生じる問題を軽減するために、風力発電所に或る形態の補助電源を設けることが知られている。これは、バッテリーベースのシステムの形態をとることができ、又は、ディーゼル発電機に基づくことができる。例えば、特許文献1は、洋上ウィンドファームにおいてバックアップ電源としてディーゼル発電機が使用されるシステムについて記載している。
【0004】
バックアップ電源システムは、風力発電所のタービンのいくつかの要素が、グリッド停電中であっても動作可能であり続けることを確実にすることができる。
【0005】
特許文献2は、エネルギー蓄積装置が、グリッド損失中、発電機と電気グリッドとを架橋する主変換器のDCリンクから充電される、風力タービンシステムについて記載している。これには、グリッド損失中に主変換器を動作させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2013/0175801号
【文献】米国特許出願公開第2011/0291416号
【発明の概要】
【0007】
本発明は、この背景に対して考え出された。
【0008】
グリッド損失状況において、風を利用して少なくとも一電力消費ユニット群に電力を供給して、グリッド損失中に一定レベルの機能性を確保することができる、風力タービンを達成することが有利である。
【0009】
したがって、第1の態様において、グリッド損失中に風力タービンを動作させる方法であって、風力タービンは、複数のピッチ調整可能なローターブレードを含むローターを備え、ローターは発電機を駆動するように構成され、風力タービンは、
蓄電ユニットと、
少なくとも第1の電力消費ユニット群と第2の電力消費ユニット群とに分類されている複数の電力消費ユニットであって、第1の電力消費ユニット群は蓄電ユニットによって電力が供給される、複数の電力消費ユニットと、
発電機を電気グリッドに接続するための第1の電気変換器と、
発電機を蓄電ユニットに接続するための第2の電気変換器と、
を更に備え、本方法は、
グリッド損失の発生を検出することと、
グリッド損失の発生時、発電機から第1の電気変換器を切断し、発電機に第2の電気変換器を接続することであって、発電機は減速した回転速度で動作する、切断及び接続することと、
を含む、方法が提供される。
【0010】
電力消費ユニット群を動作させるのに十分な電力を確保することにより、グリッド損失中に、重要な又は重大な電力消費ユニットは動作状態を維持することができる。電力供給を、グリッド損失中に発電機のエネルギーを変換することができる専用の第2の電気変換器に基づかせることにより、長期のグリッド損失であっても、タービンの動作を確保することができる。第1の電力消費ユニット群及び第2の電力消費ユニット群は、第1の補助ユニット群及び第2の補助ユニット群、又は第1の補助システム及び第2の補助システムとも呼ぶことができる。
【0011】
グリッド損失の場合に、第1の電気変換器、すなわち主変換器を切断し、代わりに、第2の電気変換器、すなわち補助変換器を接続することが有利であり、その理由は、補助変換器は、相対的に著しく低い定格電力を扱うコンポーネントにより寸法を決めることができ、それにより、主変換器に電力を供給するためのエネルギーが不要であるため、電気エネルギーを発生させる必要が低減するためである。このように、蓄電ユニットを充電しない動作の状況において、主変換器に電力を供給する必要がないため、タービンは、無風において長期間持続することができる。
【0012】
さらに、第1の電力消費ユニット群/蓄電ユニットに電力を供給するために補助変換器を使用することにより、主変換器は、グリッドに接続するように調整することができ、第1の電力消費ユニット群/蓄電ユニットに電力を供給することを考慮して、改良は不要である。したがって、既存の主変換器に対する変更が不要であるため、本発明の実施形態はまた、既存のタービンの容易な後付けもサポートする。
【0013】
蓄電ユニットは、バッテリー、スーパーキャパシタ型蓄電ユニット又は他の蓄電ユニットとすることができる。こうした蓄電ユニットは、限られた容量を有し、有利には、蓄電ユニットにおける電力消耗を低減させるように、グリッド損失中は関連する電力消費ユニットにのみ電力を供給するべきである。第1の電力消費ユニット群は、ピッチアクチュエーター、ギアボックス及び/又はベアリングの潤滑用の機器、ヨーアクチュエーター及び制御ユニットのうちの少なくとも1つを含むように選択することができる。タービン設計、蓄電容量に応じて、第1の電力消費ユニット群により多いか又は少ない電力消費ユニットを含めることができる。例えば、第1の電力消費ユニット群は、選択された除湿器及び選択された加熱器も含むことができる。例えば、電圧レベル、センサー測定値、グリッド損失の持続時間又は他の要素に応じて、グリッド損失中に、選択された第1の電力消費ユニット群を交換することもできる。さらに、第1の電力消費ユニット群に、ローター速度センサー、風速センサー、グリッドセンサー等、様々なセンサーも含めることができる。風速はまた、制御ユニットにおいて実施される推定器によって求められる推定された風速として得ることもできる。
【0014】
グリッド損失中、第1の電力消費ユニット群を動作させるために十分な蓄電ユニットの電力を確保するために、発電機は減速して動作させることができる。減速した発電機の動作は、発電機速度を減速させて停止することとともに、例えば、タービンを、ローターが低速に回転することができるアイドリングモードで動作させることにより、発電機を低ローター速度で動作させることを含むことができる。一実施形態では、発電機の回転が停止するように低減しているとき、第2の電気変換器は発電機に接続される。これに関して、停止は完全な停止とすることができるが、発電機端子において電力が全く又は実質的に全く生成されていないような低レベルでのローターのわずかな運動も含むことができる。発電機を減速して動作させることは、低速に回転している発電機の速度を、第2の電気変換器が第1の電力消費ユニット群に電力を供給するために所与の電力レベルを提供するのに十分である速度に設定することを含む。こうした電力レベルは、ローターが停止する1つ以上の期間と、ローターが低回転速度で動作する(アイドリング)1つ以上の期間とによって得ることができる。それにより、アイドリング動作しているタービンは、風力タービンの重大なコンポーネントにバックアップ電源を提供することができる。タービンを低ローター速度で動作させることは、自己電力供給動作モードでタービンを動作させることと言うことができる。一実施形態では、発電機は、ローター速度閾値より低い速度で回転しているように動作する。ローター速度閾値は、50%、25%、10%、5%又は他の適切な速度閾値等、定格速度より低い。したがって、発電機は、50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、又は定格ローター速度未満の他の適切な速度等、減速した回転速度で動作することができる。
【0015】
実施形態では、第2の電力消費ユニット群は、グリッド損失中に電力が供給されない。
【0016】
第1の電力消費ユニット群及び第2の電力消費ユニット群は、DC接続ユニット又はAC接続ユニットのいずれかとすることができる。実施形態では、第1の電力消費ユニット群及び第2の電力消費ユニット群は、別個の内部電源グリッドに接続することができる。したがって、第1の電力消費ユニット群は第1の内部電源グリッドに接続することができ、第2の電力消費ユニット群は第2の内部電源グリッドに接続することができる。一実施形態では、第1の電力消費ユニット群は、内部DC電源グリッドに接続されたDC接続ユニットとすることができ、一方、第2の電力消費ユニット群は、内部AC電源グリッドに接続されたAC接続ユニットとすることができる。
【0017】
第1の電気変換器は、発電機を電気グリッドに接続するための「通常の」変換器であり、第1の電気変換器は、フルスケール変換器等の周波数変換器とすることができる。第2の電気変換器は、一実施形態では、発電機を蓄電ユニットに接続する別個の専用変換器である。実施形態では、第2の電気変換器は、グリッド損失の発生が検出されると発電機に選択的に接続される。これに加えて、グリッド損失中、第1の変換器を選択的に切断することができる。
【0018】
発電機は、任意のタイプの発電機とすることができるが、永久磁石ベースの発電機を使用することが有利である可能性があり、その理由は、これらが、グリッド損失中に電流を誘導する電界を発生させる必要がないためである。
【0019】
蓄電ユニットは、電気的蓄電ユニットとすることができる。一実施形態では、蓄電ユニットは、充電式電力蓄積ユニットである。発電機への第2の電気変換器の選択的な接続は、充電式電力蓄積ユニットの電圧レベルが第1の電圧閾値未満であることが検出されると、更に調整することができる。このように、蓄電ユニットの電力レベルが十分に高い限り、蓄電ユニットから電力を引き出すことができ、電圧レベルが閾値未満となるときにのみ、蓄電ユニットは充電される。
【0020】
実施形態では、蓄電ユニットの電力容量は、50kWh~80kWh等、1kWh~100kWhの範囲である。具体的な容量は具体的なタービン設計に基づく。
【0021】
発電機への第2の電気変換器の選択的な接続は、発電機の出力電圧レベルが検出されると更に調整することができる。一実施形態では、発電機への第2の電気変換器は、発電機の出力電圧レベルが第1の出力閾値未満であることが検出されると、発電機から切断され、発電機の出力電圧レベルが第2の出力閾値を上回ることが検出されると、発電機に接続され、第2の出力閾値は第1の出力閾値より大きい。第2の電気変換器が発電機に接続されている間、ローターは、電気負荷からトルクがかかるため、減速する。出力電圧が一定閾値未満であるとき、かかったトルクが発電機を過度に減速させるというリスクがある可能性がある。出力電圧が第2の出力閾値を上回るように増大していることが検出されると、第2の電力変換器を再度接続することができる。出力電圧が、第1の出力閾値より大きい第2の出力閾値を上回るまで第2の電気変換器が接続されないことを確実にすることにより、ヒステリシスが与えられ、第2の電気変換器の接続及び切断が頻繁に切り替えられていないことが確実になる。
【0022】
発電機はローターによって駆動され、したがって、発電機の回転速度(発電機速度)は、風速によって影響を受ける。ローターブレードのピッチを調整することにより、発電機速度を制御することができる。これを達成するために、制御ユニットにおいて、閉ループ速度コントローラーを実装することができる。閉ループ速度コントローラーは、例えばPID、PI又は同様のタイプのコントローラーを使用することにより、設定値ローター速度を達成するために、ローターブレードのピッチを調整するように実装される。したがって、グリッド損失中、発電機速度は、ピッチ調整可能なローターブレードを調整することによって制御することができる。
【0023】
一実施形態では、発電機速度は、或る速度範囲内にあるように制御される。発電機速度を、特定の設定値ではなく、或る範囲内にあるように制御することにより、ピッチ挙動を低減させることができる。
【0024】
実施形態では、制御はまた、風速検出又は風速推定にも基づくことができ、そこでは、ピッチ角は、風速に応じて設定される。これは、例えば、フィードフォワードコントローラーにおいてルックアップテーブルを使用することによって行うことができ、そこでは、風速が検出され、それに従ってピッチ角が設定される。
【0025】
実施形態では、ローター速度は、定格ローター速度の10%~15%等、定格ローター速度の5%~25%であるように制御される。ローター速度は、10%±5%以内であるように等、所与の設定値を中心とする指定された範囲内であるように制御することができる。概して、ローター速度は、設定値により、又はこれらの上述した速度範囲内の設定値範囲によって制御することができる。具体的な目標ローター速度(範囲)は、第2の電気変換器の設計を含むタービン設計によって決めることができる。実施形態では、こうしたローター速度により、発電機の出力電力は、50V AC~100V ACとすることができる。
【0026】
発電機からの低減した電力出力は、第2の電気変換器により、蓄電ユニットに対して好適な入力レベルまで昇圧することができる。こうした入力レベルは、400V ACを含む、300V AC~600V ACの範囲とすることができる。
【0027】
実施形態では、第2の電気変換器は、AC/ACブーストコンバーター等の周波数変換器とすることができ、可変の電圧及び周波数入力から一定の電圧及び周波数AC出力を提供するように構成されている。周波数入力は、通常、10Hz等、5Hz~15Hzとすることができる。
【0028】
第2の電気変換器は、実施形態では、発電機の単一3相巻線に接続することができる。
【0029】
一実施形態では、グリッド損失中のピッチ調整可能なローターブレードは、通常モード動作と比較して低速なピッチ角調整による低減モードで動作する。
【0030】
ピッチ調整可能なローターブレードを低減モードで動作させることにより、ピッチを動作させるのに必要な電力消費も低減させることができる。油圧ピッチ系統の場合、低減モードは、油圧系統が、油圧系統の一部のみを加圧するように縮小するモードとともに、漏出が低減するモードとすることができる。電気ピッチ系統の場合、低減モードは、電圧レベルがピッチアクチュエーターの通常電圧レベルより低いモード、又はいくつかの電気負荷の電源が切られるモードとすることができる。
【0031】
一実施形態では、油圧系統は、選択的に閉鎖することができる1つ以上の逆止弁を備える。逆止弁は、ピッチが調整されない期間中は選択的に閉鎖され、ピッチが調整される期間中は選択的に開放されるように動作させることができる。逆止弁が閉鎖されると、油圧ポンプはオフにすることができる。
【0032】
選択された逆止弁を閉鎖させることにより、油圧系統の漏出を除去するか又は制限することができる。ピッチアクチュエーターの動作中、一定の漏出が必要とされる場合があり、制御可能な逆止弁は、油圧系統の通常動作を確保するために開放することができる。
【0033】
制御された逆止弁はまた、グリッド損失中に油圧系統の一部を閉鎖するためにも使用することができる。
【0034】
発電機を動作させるための要件は、単に、発電機を適切な回転速度で動作させることとすることができるため、低速なピッチ調整で十分であり得る。
【0035】
一実施形態では、充電式蓄電ユニットの電圧レベルが第2の電圧閾値未満であることが検出されると、ローターの回転が停止し、制御ユニットのスリープモードに入る。
【0036】
一実施形態では、スリープモードにある間、風速は固定時間間隔で検出することができ、そこでは、風力タービンコントローラーは、アイドルモード動作又は通常モード動作をサポートすることができるか否かを評価するために、場合によっては部分的に低い電力消費モードで、ウェークアップするようにプログラムされる。
【0037】
時間間隔は、固定の事前プログラムされた時間間隔とすることができる。しかしながら、実施形態では、時間間隔は、スリープモードに入る前にSCADAシステムから得られる天気予報情報に基づくことができる。時間間隔を天気予報に基づかせることにより、蓄電ユニットからの不要なエネルギー消耗を回避することができる。SCADAシステムから得られる天気予報情報はまた、電圧レベルに対して適切な閾値を設定するのにも使用することができる。
【0038】
一実施形態では、グリッド損失の発生が検出されると、ローターの回転が停止し、蓄電ユニットの電圧レベルが第1の閾値を上回る間、第1の電力消費ユニット群は、蓄電ユニットによって電力が供給される。したがって、蓄電ユニットは、通常の電力バックアップとして機能する。蓄電ユニットの電圧レベルが第1の電圧閾値未満であることが検出されると、自己電力供給動作が開始し、そこでは、発電機は、第1の電力消費ユニット群を動作させるのに十分な蓄電ユニットの電力を確保するように動作する。
【0039】
グリッドが復旧すると、タービンは通常モード動作に戻る。
【0040】
一実施形態では、発電機は、減速した回転速度での動作のアイドリングモードで動作する。依然として、こうしたアイドリングモードでは、第2の電気変換器は、エネルギー蓄積ユニットに、かつ例えば第2の電力消費ユニット群にも、電力を供給することができる。
【0041】
特に、第1の電力変換器及び第2の電力変換器は、制御可能なスイッチを用いて発電機に接続することができ、本方法は、第1の電気変換器又は第2の電気変換器を発電機に選択的に接続するように、制御可能なスイッチを動作させることを含むことができる。
【0042】
第2の電気変換器は、様々な方法で実施し、例えばグリッドレベル電圧で、DC電気出力及び/又はAC電気出力を発生させるように構成することができる。特に、第2の電気変換器は、DC電気出力及びAC電気出力の両方を発生させるように構成することができる。具体的には、第2の電気変換器は、第2の電力消費ユニット群に電力を供給するためにAC電力を発生させるように構成することができる。
【0043】
具体的には、第2の電気変換器は、AC昇圧回路及び/又はDC昇圧回路を備えることができる。具体的な実施形態では、第2の電気変換器は、整流回路とそれに続くDC-DC昇圧回路とを備える。
【0044】
好ましくは、第1の電気変換器、すなわち主変換器は、風力タービンの定格出力を扱うように寸法が決められ、第2の電気変換器は、風力タービンの定格電力の1%未満等、10%未満を扱うように寸法が決められる。したがって、第2の電気変換器は、必要な電力操作が制限されるため、より安価かつより効率的なコンポーネントを用いて実施することができる。
【0045】
発電機が永久磁石発電機であることが好ましい場合があり、その理由は、こうした発電機は、特に、AC及び/又はDC昇圧回路を備える第2の電気変換器を用いる実施形態において、動作のアイドルモードにおいて、電気グリッド接続なしに、第2の電気変換器によって取り込まれる電力を依然として発生させることができるためである。
【0046】
更なる態様では、本発明は、コンピュータープログラム製品に関する。これは、コンピューター可読媒体に提供するか、又は通信ネットワークからダウンロード可能とすることができる。コンピュータープログラム製品は、例えばコントローラーの形態であるデータ処理システムに、このデータ処理システムにロードされた命令を実行させる、命令を含む。
【0047】
概して、コントローラーは、1つ以上のプロセッサ、入力/出力インターフェース及びプロセッサによって実行することができる命令を記憶することができるメモリを備えるユニット又は機能ユニットの集まりとすることができる。
【0048】
更なる態様では、本発明は、
発電機と、
複数のピッチ調整可能ローターブレードを含むローターであって、発電機を駆動するように構成されている、ローターと、
蓄電ユニットと、
少なくとも第1の電力消費ユニット群と第2の電力消費ユニット群とに分類される複数の電力消費ユニットであって、第1の電力消費ユニット群は蓄電ユニットによって電力が供給される、複数の電力消費ユニットと、
発電機を電気グリッドに接続するための第1の電気変換器と、
発電機を蓄電ユニットに接続するための第2の電気変換器と、
電気グリッドの電気的状態を検出するためのグリッドセンサーと、
グリッド損失の発生を検出するように構成され、グリッド損失の発生が検出されると、発電機から第1の電気変換器を切断し、発電機に第2の電気変換器を接続し、発電機を減速した回転速度で動作させる、データ処理システムと、
を備える、風力タービンに関する。
【0049】
包括的には、本発明の種々の態様は、本発明の範囲内で可能な方法で組合せ及び結合することができる。本発明のこれらの態様、特徴、及び/又は利点並びに他の態様、特徴、及び/又は利点は、以下に記載する実施形態を参照して明らかとなるとともに説明される。
【0050】
本発明の実施形態は、図面を参照して単に例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】ナセルハウジング内部の要素例と合わせて風力タービンの要素の一実施形態を概略的に示す図である。
図2】第2の電気変換器を備える一実施形態を含む、本発明の一実施形態の要素を概略的に示す図である。
図3】第2の電気変換器の動作サイクルの一例を示す図である。
図4】風速に応じたピッチ角設定の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態による風力タービンの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、ナセルハウジング3内部の要素例と合わせて風力タービン1の要素の一実施形態を概略的に示す。風力タービンは、発電機2を駆動するように機械的に接続されているピッチ調整可能なローターブレード6を備える。発電機2は、第1の電気変換器及び第2の電気変換器を含む電気コンポーネント4に接続されている。また、複数の電力消費ユニット7を概略的に示す。図示しないが、風力タービンは、任意選択的に、ギアボックスとともに、更なる電気及び機械コンポーネントを備えることができる。
【0053】
電力消費ユニットのうちの1つは制御ユニット5である。制御ユニットは、プロセッサ及びメモリを備える少なくとも1つの中央コントローラーを含む複数の要素を更に備えることができ、プロセッサは、メモリに記憶された命令に基づいて計算タスクを実行することができるようになっている。制御ユニットを単一のエンティティとして示すが、実施形態では、位置及び機能の両方を分散させることができる。通常動作時、風力タービンコントローラーは、風力タービンが要求された電力出力レベルを発生させるのを確実にする。これは、ピッチ角及び/又は(第1の)変換器の電力抽出を調整することによって得られる。
【0054】
図2は、本発明の一実施形態の要素を概略的に示す。
【0055】
この図は、複数のピッチ調整可能なローターブレード6を含むローター20を示し、ローターは、発電機Gを駆動するように構成されている。風力タービンは、蓄電ユニット21と、少なくとも第1の電力消費ユニット群22と第2の電力消費ユニット群23とに分類される複数の電力消費ユニット7とを更に備える。第1の電力消費ユニット群は、蓄電ユニット21によって電力が供給される。図示する実施形態では、第2の電力消費ユニット群は、電気グリッド24によって電力が供給される。電気コンポーネント4は、発電機Gを電気グリッド24に接続するための第1の電気変換器25を含む。こうした電気変換器は、通常、DCリンクによって接続された機械側変換器MSCとグリッド側変換器GSCとを備える。第1の電気変換器に加えて、第2の電気変換器26も示す。第2の電気変換器26は、蓄電ユニット21に発電機Gを接続する。
【0056】
図2は、グリッドの状態を検出することができるグリッド検出器27を更に示す。制御ユニット5は、グリッド損失の発生が検出されると、第1の電力消費ユニット群を動作させるのに十分な蓄電ユニットの電力を確保するように動作するよう発電機に命令するように実施される。
【0057】
制御ユニット5に加えて、第1の電力消費ユニット群22は、ピッチアクチュエーターと、ベアリングの潤滑用の機器と、ヨーアクチュエーターと、選択された除湿器及び選択された加熱器と、選択された油圧ポンプと、制御可能な逆止弁とを更に含むことができる。
【0058】
第2の電力消費ユニット群23は、揚力、照明、冷却、加熱、換気、油圧ポンプ等のための電源等のユニットを備えることができる。
【0059】
蓄電ユニット21は、通常、DC電力を出力し、第1の電力消費ユニット群は、通常DC駆動ユニットであり、一方、第2の電力消費ユニット群は、AC駆動ユニットとすることができる。少なくとも図示する実施形態では、第2の電力消費ユニット群は、適切な変圧器機器(図示せず)を介してグリッド接続されている。したがって、蓄電ユニットは、AC入力及びDC出力を備えることができる。蓄電ユニットは充電式バッテリーとすることができ、AC入力はバッテリー充電器200への入力である。蓄電ユニットは、複数の充電式電池201を備えることができる。
【0060】
図示する実施形態では、グリッド損失時、第1の電力消費ユニット群は蓄電ユニットによって電力が供給され、一方、第2の電力消費ユニット群は電力が供給されない。
【0061】
図示する実施形態では、第2の電気変換器は、グリッド損失の発生が検出されると発電機に選択的に接続することができるように、スイッチ28を介して発電機に接続されている。発電機及び/又は変換器のタイプに応じて、グリッド損失中に第1の電気変換器を選択的に切断することができることが有利である可能性がある。これは、スイッチ29によって行うことができる。
【0062】
第2の電気変換器は、可変の電圧及び周波数入力から一定の電圧及び周波数AC出力を提供するように構成されているAC/ACブーストコンバーターとすることができる。AC/ACブーストコンバーターは、例えば、減速して回転している発電機からの10Hzでの64V AC入力を、蓄電ユニットに好適な400V AC出力に変換するように構成することができる。これに関して、AC/ACブーストコンバーターは、電圧及び周波数双方の一定の入力範囲を許容するように構成することができる。
【0063】
図示する蓄電ユニットは充電式電力蓄積ユニットであり、この場合、第2の電気変換器26の出力は、蓄電ユニットを充電するのに使用され、蓄電ユニットは、第1の電気消費ユニット群の電力供給により電力が消耗される。
【0064】
一実施形態では、発電機への第2の電気変換器の選択的接続は、充電式電力蓄積ユニットの電圧レベルが第1の電圧閾値未満であることが検出されると、更に調整される。蓄電ユニットの充電は、トリクル充電によって得ることができる。
【0065】
一実施形態では、発電機の出力電圧レベルは、発電機出力が一定レベルを上回る場合に第2の電気変換器のみが発電機に接続されるのを確実にするようにモニタリングされる。
【0066】
通常動作中、すなわちグリッドが存在するとき、第2の電気変換器26は切断され、蓄電ユニット21はグリッドを介して充電される。これに関して、電気グリッド24と蓄電ユニット21との間の2つのスイッチが接続される。さらに、こうした充電を可能にするために、グリッドと蓄電装置との間に更なる電気機器を挿入することができる。こうした更なる機器は図示しないが、当業者は適切な機器を選択することができる。

【0067】
図3は、第2の電気変換器の動作サイクルの一例を示し、第2の電気変換器が、第1の出力閾値OT1未満の発電機の出力電圧レベルでは切断され、第2の閾値OT2を上回る発電機の出力電圧レベルでは接続されることを示す。
【0068】
グリッド損失中、発電機速度は、ピッチ調整可能なローターブレードを調整することによって制御される。風速によって決まるピッチ角設定の一例を図4に示す。
【0069】
1つの実施形態では、風速は、自己電力供給モードが開始するときに測定又は推定される。ここで、初期ピッチ角は、図4に示すような事前定義されたピッチ角に従って設定される。グリッド損失が続くに従い、発電機の速度制御を介して、速度が適切なレベルに又は適切な範囲内にあり続けるのを確実にするように、ピッチ角を制御することができる。通常、公称ローター速度のおよそ約10%。図4に示すグラフは、通常、制御ユニットにおけるルックアップテーブルとして実装することができる。代替実施形態では、ローター速度はモニタリングされない。代わりに、ピッチ角は風速に従って設定される。第2の電気変換器が速度及び周波数の大きい変動を許容することができる場合、発電機の速度制御は不要である可能性がある。
【0070】
本発明の実施形態は、強風の状況であっても第1の電力消費ユニット群を動作可能状態で維持することができる。一定の風速を上回ると、タービンの電源を遮断する必要がある場合があるが、ローターを完全に停止する必要があるほど風が強い期間は、通常、蓄電ユニットが第1の電力消費ユニット群の動作をサポートすることができる期間より短い。
【0071】
図5は、本発明の実施形態による風力タービンの動作のフローチャートを示す。
【0072】
通常モード動作(50)において、グリッドはモニタリングされ、例えばグリッド検出器27を用いてグリッド損失が検出されると(51)、タービンローターは最初に停止し(52)、これは、ローターブレードをフェザーリングする、すなわち、ブレードを通常約90度のそれらのフェザーリング位置まで回転させることにより、行われる。タービンが停止すると、蓄電ユニット21の電圧レベルは、通常、公称レベルにあり、通常、何時間も、第1の電力消費ユニット群の電力供給を可能にする。オフグリッド状況にある間、グリッドが利用可能になった際に通常動作を再開することができるように、グリッドは連続的にモニタリングされる(53)。同時に、蓄電ユニットの電圧レベルもモニタリングされる(54)。蓄電ユニットの電圧レベルが第1の電圧閾値を上回る間、タービンは停止したままであり、第1の電力消費ユニット群は、蓄電ユニットによって電力が供給されたままである。蓄電ユニットの電圧レベルが第1の電圧閾値未満になったことが検出されると、自己電力供給モードに入り(55)、第1の電力消費ユニット群を動作させるのに十分な蓄電ユニットの電力を確保するために、発電機を減速して動作させる。
【0073】
風のエネルギーが蓄電ユニットをトリクル充電するのに十分である限り、自己電力供給モードを維持することができる。風速は、常に一定レベルを上回る必要はないが、少なくとも、蓄電ユニットの電圧レベルを最低閾値、すなわち第2の電圧閾値を上回るように維持するのに十分な風の期間が、存在する必要がある。
【0074】
充電式電力蓄積ユニットの電圧レベルが第2の電圧閾値未満となったことが検出されると、ローターの回転が停止し、タービンのスリープモードに入る。
【0075】
スリープモード動作(57)において、一実施形態では、ローターを停止することに加えて、第1の電力消費ユニット群、又は少なくとも第1の電力消費ユニット群の下位群が、蓄電ユニットから切断され、ウェークアップ回路のみに電力が供給される。ウェークアップ回路は、設定された時間間隔で、風速を検出しその風速を風速閾値と比較するように制御ユニット5又は制御ユニット5の一部をウェークアップさせる、単純なタイマー回路とすることができ、風速が第2の風速閾値を上回ることが検出されると、スリープモードは終了することができる。代替実施形態では、風速は、スリープモード中にも連続的にモニタリングすることができ、風速が十分に高いことが検出されると、自己電力供給モードに再度入る。風速が安定していることを確実にするために、風速が、長期間、風速閾値を上回っていたことを確実にするように、ウェークアップ回路を設定することができる。
【0076】
グリッドが復旧した場合、通常モードが再開され、一方、グリッドが依然として機能していない場合、自己電力供給モードに入る。
【0077】
一実施形態では、ウェークアップ回路の代わりとして、タービンはまた、例えばSCADAシステムを介して、手動再始動されるようにも構成することができる。
【0078】
一実施形態では、グリッド損失が検出されるとタービンが直接自己電力供給モード55に入るように、ステップ52、54を省略することができる。
【0079】
実施形態では、例えば、制御システムのモニタリングモジュールによって、又はSCADAシステムへのデータ接続を介して、蓄電ユニットの放電率をモニタリングすることができる。エネルギー蓄積装置の高速放電時には、移動式充電するようにサービス担当者に対して通知することができる。概して、蓄電ユニットの充電レベルのステータスは、例えばSCADAを介して、アイドルモード中にサービス担当者に連絡して、サービス担当者が問題のある状況に対応することができることを確実にすることができる。
【0080】
本発明の実施形態例は、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲を限定するようにではなく、単に例示の目的で説明した。
図1
図2
図3
図4
図5