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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】切断装置および切断方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20221006BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20221006BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20221006BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20221006BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20221006BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
B23K26/08 F
B23K26/38 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020041883
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021144824
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 誠二
(72)【発明者】
【氏名】松井 英樹
(72)【発明者】
【氏名】田島 寛之
(72)【発明者】
【氏名】服部 貞博
(72)【発明者】
【氏名】小島 慎司
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-263876(JP,A)
【文献】特表2007-507870(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119011(WO,A1)
【文献】特開平10-316152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
H01M 4/139
B23K 26/082
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極板の連続体を搬送する搬送部と、
レーザ光で前記連続体を走査するレーザ走査部と、
前記レーザ走査部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、レーザ光を間欠的に照射しながら前記連続体を走査することで、連続する複数の単位切断部を形成して、前記連続体を第1部分と第2部分とに分断するように前記レーザ走査部を制御し、
前記複数の単位切断部はそれぞれ、前記第1部分および前記第2部分の境界に沿って延びる直線状の主線部と、前記主線部の端部から屈折して前記主線部が延びる方向と交わる方向に延びる屈折部と、を有し、
前記複数の単位切断部は、隣り合う単位切断部の前記屈折部どうしが交差して連続する、
切断装置。
【請求項2】
前記連続体は、搬送方向に長い帯状であり、前記連続体における前記搬送方向と直交する幅方向の中央部に配置される電極活物質の塗布部と、前記連続体における前記幅方向の端部に配置される前記電極活物質の非塗布部と、を有し、
前記制御部は、少なくとも前記非塗布部を切断して前記搬送方向に所定の間隔をあけて配置される複数のタブ部を形成するよう前記レーザ走査部を制御し、
少なくとも一部の前記屈折部は、前記幅方向の外側に向かって延びる、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記搬送方向で隣り合う2つの前記タブ部をつなぐ接続領域に位置する前記単位切断部では、前記屈折部が前記幅方向の外側に向かって延び、
前記タブ部の前記幅方向の頂部に位置する前記単位切断部では、前記屈折部が前記幅方向の内側に向かって延びる、
請求項に記載の切断装置。
【請求項4】
複数の電極板の連続体を搬送し、
レーザ光を間欠的に照射しながら前記連続体を走査することで、連続する複数の単位切断部を形成して、前記連続体を第1部分と第2部分とに分断することを含み、
前記複数の単位切断部はそれぞれ、前記第1部分および前記第2部分の境界に沿って延びる直線状の主線部と、前記主線部の端部から屈折して前記主線部が延びる方向と交わる方向に延びる屈折部と、を有し、
前記複数の単位切断部は、隣り合う単位切断部の前記屈折部どうしが交差して連続する、
切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切断装置および切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)等の普及にともない、車載用の二次電池の出荷が増えている。特にリチウムイオン二次電池の出荷が増えている。また、車載用に限らず、例えばノート型パソコン等の携帯端末用の電源としても二次電池の普及が進んでいる。このような二次電池について、例えば特許文献1には、切断対象である電極板をロールtoロール方式で連続搬送しながら、レーザ光で電極板を切断加工することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-33912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極板の切断方法としては、レーザ光で連続的に電極板を走査して一続きの切断部で電極板を切断する、いわゆる一筆書き方式と、レーザ光で間欠的に電極板を走査して複数の単位切断部(切断セグメント)をつなぎ合わせて電極板を切断する、いわゆるオンザフライ(On the FLY)方式と、が挙げられる。
【0005】
一筆書き方式によれば、確実に電極板を切断することができるが、レーザ光の出力条件が搬送速度に大きく依存するという課題があった。例えば、電極板の搬送速度が遅いときに電極板への入熱量が過大となって、電極板に焦げ等が発生するおそれがあった。このため、一筆書き方式では、電極板の搬送速度に合わせてレーザ光の強度を細かく調整する必要があり、そのためにレーザ光の出力制御プログラムが非常に複雑で、作成が困難であった。
【0006】
これに対し、オンザフライ方式によれば、レーザ光の出力制御を簡略化することができる。しかしながら、オンザフライ方式には、切断品質が搬送速度に大きく依存するという課題があった。例えば、電極板の搬送速度が速いと複数の単位切断部のつなぎ合わせが困難になり、切断部が不連続となった位置にバリが生じるおそれがあった。電極板に生じたバリはショートの原因になるため、二次電池の品質低下につながる。特に近年は、二次電池の生産リードタイムやスループットの向上が求められており、電極板の搬送速度が高速化する傾向にある。このため、電極板の切断品質がより低下しやすい状況にある。
【0007】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、電極板を切断する際の切断品質の低下を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある態様は、切断装置である。この切断装置は、複数の電極板の連続体を搬送する搬送部と、レーザ光で連続体を走査するレーザ走査部と、レーザ走査部を制御する制御部と、を備える。制御部は、レーザ光を間欠的に照射しながら連続体を走査することで、連続する複数の単位切断部を形成して、連続体を第1部分と第2部分とに分断するようにレーザ走査部を制御する。単位切断部は、第1部分および第2部分の境界に沿って延びる主線部と、主線部の端部から屈折して延びる屈折部と、を有する。
【0009】
本開示の他の態様は、切断方法である。この切断方法は、複数の電極板の連続体を搬送し、レーザ光を間欠的に照射しながら連続体を走査することで、連続する複数の単位切断部を形成して、連続体を第1部分と第2部分とに分断することを含む。単位切断部は、第1部分および第2部分の境界に沿って延びる主線部と、主線部の端部から屈折して延びる屈折部と、を有する。
【0010】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、電極板を切断する際の切断品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る切断装置を模式的に示す斜視図である。
図2図2(A)は、レーザ光の軌跡を示す模式図である。図2(B)は、参考例における単位切断部の形状を示す模式図である。図2(C)は、実施の形態1における単位切断部の形状を示す模式図である。
図3】実施の形態2における単位切断部の形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る切断装置を模式的に示す斜視図である。切断装置1は、搬送部2と、レーザ走査部4と、制御部6と、を備える。搬送部2は、連続体8を搬送する機構である。搬送速度は、例えば1m/分~100m/分である。レーザ走査部4は、レーザ光Lで連続体8を走査して、連続体8に切断加工を施す機構である。制御部6は、レーザ走査部4を制御する機構である。本実施の形態では、レーザ走査部4によって連続体8が切断される位置において連続体8が流れる方向を連続体8の搬送方向Aとする。例えば、搬送方向Aは鉛直方向下方である。
【0015】
本実施の形態の連続体8は、搬送方向Aに長い帯状の部材であり、複数の電極板10が連なった構造を有する。例えば、連続体8は、電極板10が2行複数列に配列された構造を有する。各電極板10は、集電板に電極活物質層が積層された構造を有する。一般的なリチウムイオン二次電池の場合、集電板は正極であればアルミニウム箔等で構成され、負極であれば銅箔等で構成される。また、一般的なリチウムイオン二次電池の場合、電極活物質は、正極であればコバルト酸リチウムやリン酸鉄リチウム等であり、負極であれば黒鉛等である。レーザ走査部4による切断加工が連続体8に施された後の状態で、各電極板10にはタブ部12が設けられる。タブ部12は、電極板10の集電板から連続体8の幅方向Bに突出する。幅方向Bは、搬送方向Aと直交する方向である。
【0016】
連続体8は、電極活物質の塗布部14と、電極活物質の非塗布部16と、を有する。電極活物質の塗布部14は、連続体8における幅方向Bの中央部に配置される。塗布部14は、電極活物質層に相当する。塗布部14は、公知の塗工装置を用いて、集電板を構成する板材の表面に電極活物質を含む電極スラリーを塗布することで得られる。電極活物質の非塗布部16は、連続体8における幅方向Bの両端部に配置される。非塗布部16は、集電板を構成する板材が露出した部分であり、レーザ走査部4による切断加工によってタブ部12となる。なお、塗布部14と非塗布部16との境界には、例えば塗布部14を保護するための酸化物層などが設けられてもよい。この酸化物層は、好ましくは正極を構成する電極板10に設けられる。
【0017】
搬送部2は、図示しないフィードロールによって連続体8をレーザ走査部4と対向する位置に連続搬送する。本実施の形態の切断装置1は、幅方向Bに並ぶ2つのレーザ走査部4を備える。一方のレーザ走査部4は、搬送中の連続体8における一端側の非塗布部16にレーザ光Lを照射する。他方のレーザ走査部4は、搬送中の連続体8における他端側の非塗布部16にレーザ光Lを照射する。これにより、両側の非塗布部16に切断加工が施されてタブ部12が形成される。なお、連続体8が負極板の配列されたものである場合、レーザ走査部4による切断加工の際に、塗布部14の一部も切断され得る。また、連続体8が正極板の配列されたものである場合、塗布部14と非塗布部16との境界には、図示しない保護層が設けられる。保護層は、例えば集電板を構成する金属の酸化物層である。この場合、レーザ走査部4による切断加工の際に、非塗布部16に加えて保護層の一部も切断され得る。あるいは非塗布部16に加えて塗布部14の一部および保護層の一部も切断され得る。
【0018】
搬送部2は、チャンバー18を有する。チャンバー18は、レーザ光Lでの切断加工によって生じるスパッタやヒュームが連続体8や切断装置1に付着したり、雰囲気中に浮遊したりすることを抑制する。なお、チャンバー18は省略することもできる。
【0019】
レーザ走査部4で切断加工が施された連続体8は、製品部26と、廃材部28とに分けられる。製品部26は、連続する複数の電極板10と、非塗布部16の一部分で構成される複数のタブ部12と、を含む。各タブ部12は、各電極板10に対して1対1で設けられる。廃材部28は、非塗布部16のうちタブ部12として製品部26側に残らなかった部分である。製品部26は、次工程のラインに搬送される。廃材部28は、製品部26とは異なる方向に搬送されて、製品部26から切り離される。
【0020】
レーザ走査部4は、レーザ発振器34と、走査機構36と、を有する。レーザ発振器34は、公知のファイバーレーザー等を採用することができる。なお、レーザ発振器34は、パルスレーザー発振器であってもよい。走査機構36は、レーザ発振器34からレーザ光Lが入射される。走査機構36は、公知のものを採用可能であり、例えばガルバノスキャナーを使用することができる。走査機構36は、2方向の軸をもつ2つのモータに回動可能に支持された図示しないミラーを有し、X軸方向およびY軸方向にミラーを回転運動させて、XY平面上をレーザ光Lで走査することができる。走査機構36は、このような2Dスキャナに限定されず、焦点(Z軸)方向への走査を加えた3Dスキャナであってもよい。この場合、Z軸方向への走査は、コリメータレンズのZ軸方向への移動によって実現される。走査機構36は、連続体8に向けてレーザ光Lを照射するとともに、ミラーの回動によってレーザ光Lの照射方向を変位させることができる。レーザ発振器34および走査機構36の駆動は、制御部6によって制御される。
【0021】
制御部6は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図1では、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。この機能ブロックがハードウェアおよびソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には当然に理解されるところである。
【0022】
図2(A)は、レーザ光Lの軌跡を示す模式図である。図2(B)は、参考例における単位切断部の形状を示す模式図である。図2(C)は、実施の形態1における単位切断部の形状を示す模式図である。
【0023】
制御部6は、レーザ光Lを間欠的に照射しながら連続体8を走査することで、連続する複数の単位切断部38を形成して、連続体8を第1部分と第2部分とに分断するようにレーザ走査部4を制御する。つまり、制御部6は、オンザフライ方式で連続体8に切断加工を施すようにレーザ走査部4を制御する。
【0024】
レーザ走査部4は、レーザ光Lの間欠照射における各照射区分において、レーザ光Lの照射位置を連続体8における所定の照射開始点に合わせて、レーザ光Lによる連続体8の走査を開始する。レーザ走査部4は、走査機構36のミラーを回動させて、搬送方向Aの上流側に向かってレーザ光Lの照射位置を変位させる。レーザ走査部4は、レーザ光Lの照射位置が所定の照射終了点に到達すると、レーザ光Lの照射を停止する。これにより、1つの単位切断部38が形成される。
【0025】
連続体8の搬送は継続されるため、形成された単位切断部38は搬送方向Aの下流側に流れていく。レーザ走査部4は、連続体8の搬送速度よりも速い速度で、レーザ光Lの照射位置を照射開始点に戻す。その後、前回の照射区分で形成された単位切断部38の搬送方向上流側の端部、つまり前回の照射区分におけるレーザ光Lの照射終了位置が照射開始点に到達すると、レーザ走査部4は、次の照射区分におけるレーザ光Lの照射を開始する。制御部6は、前回の照射区分の照射終了位置が照射開始点に到達したことを連続体8の搬送速度や経過時間から把握することができる。
【0026】
以上の動作が繰り返されることにより、図2(A)に示すように断片的なレーザ光Lの軌跡40、言い換えれば単位切断部38が連続して、連続体8が第1部分としての製品部26と第2部分としての廃材部28とに切り分けられる。連続体8においてタブ部12に対応する部分では、タブ部12の輪郭に沿うように幅方向Bの外側に湾曲する軌跡40が描かれる。これにより、電極板10から幅方向Bに突出するタブ部12が形成される。各タブ部12は、1つの軌跡40(単位切断部38)で形成される。連続体8において、搬送方向Aで隣り合う2つのタブ部12をつなぐ接続領域42に対応する部分では、複数の直線状の軌跡40が描かれる。これにより、複数の直線状の単位切断部38がつなぎ合わされて、直線状の接続領域42が形成される。接続領域42は、搬送方向Aに対し平行に延びる。
【0027】
図2(B)に示す参考例のように、各単位切断部38が製品部26と廃材部28との境界に沿って延びる主線部44のみで構成される場合、隣り合う単位切断部38が幅方向Bにずれたときに、単位切断部38が不連続になってしまうおそれがある。これに対し図2(C)に示すように、本実施の形態の単位切断部38は、製品部26と廃材部28との境界に沿って延びる主線部44と、主線部44の端部から屈折して延びる屈折部46と、を有する。各屈折部46は、主線部44の端部から幅方向Bの外側に向かって延びる。これにより、たとえ隣り合う単位切断部38が幅方向Bにずれたとしても、各単位切断部38の屈折部46どうしを交差させることができる。この結果、隣り合う単位切断部38を連続させることができる。
【0028】
例えば、接続領域42を構成する直線状の単位切断部38では、主線部44は、搬送方向Aに対し平行に延びる直線状である。屈折部46は、この主線部44の両端から、主線部44の延びる方向と交わる方向、つまり搬送方向Aと交わる方向に延びる。タブ部12を構成する湾曲状の単位切断部38では、主線部44は、幅方向Bに突出する湾曲状の部分と、湾曲の裾に位置して搬送方向Aに対し平行に延びる直線状の部分と、を有する。この直線状の部分は、接続領域42の一部を構成する。屈折部46は、主線部44の直線状部分の端部から搬送方向Aと交わる方向に延びる。なお、屈折部46は、直線状であっても曲線状であってもよい。
【0029】
タブ部12は、非塗布部16を切断することで形成される。また、図2(C)に示す接続領域42は、非塗布部16を切断することで形成されている。ただし、接続領域42が設けられる位置は非塗布部16に限らない。連続体8が負極板の配列体である場合、接続領域42は、塗布部14の幅方向Bにおける端部の切断によって形成されてもよい。つまり、接続領域42を形成する単位切断部38は、塗布部14に配置されてもよい。この場合、単位切断部38の少なくとも主線部44が塗布部14に配置される。また、連続体8が正極板の配列体である場合、接続領域42は、保護層の切断によって形成されてもよいし、塗布部14の幅方向Bにおける端部の切断によって形成されてもよい。つまり、接続領域42を形成する単位切断部38は、保護層または塗布部14に配置されてもよい。この場合、単位切断部38の少なくとも主線部44が保護層または塗布部14に配置される。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る切断装置1は、複数の電極板10の連続体8を搬送する搬送部2と、レーザ光Lで連続体8を走査するレーザ走査部4と、レーザ走査部4を制御する制御部6と、を備える。制御部6は、レーザ光Lを間欠的に照射しながら連続体8を走査することで、連続する複数の単位切断部38を形成して、連続体8を第1部分と第2部分とに分断するようにレーザ走査部4を制御する。各単位切断部38は、第1部分と第2部分との境界に沿って延びる主線部44と、主線部44の端部から屈折して延びる屈折部46と、を有する。
【0031】
単位切断部38に屈折部46を設けることで、隣り合う2つの単位切断部38が隣接方向と交わる方向にずれた場合であっても、屈折部46どうしを交差させることで2つの単位切断部38を連続させることができる。これにより、第1部分および第2部分の切断部におけるバリの発生を抑制することができるため、電極板の切断品質の低下を抑制することができる。よって、二次電池の品質を維持しながら、生産リードタイムやスループットの向上を図ることができる。
【0032】
また、本実施の形態の連続体8は、搬送方向Aに長い帯状であり、連続体8における搬送方向Aと直交する幅方向Bの中央部に設けられる電極活物質の塗布部14と、連続体8における幅方向Bの端部に配置される電極活物質の非塗布部16と、を有する。制御部6は、少なくとも非塗布部16を切断して搬送方向Aに所定の間隔をあけて配置される複数のタブ部12を形成するようレーザ走査部4を制御する。そして、少なくとも一部の屈折部46は、幅方向Bの外側に向かって延びる。これにより、屈折部46によって電極板10の端部が切り欠かれることを抑制することができる。
【0033】
(実施の形態2)
実施の形態2は、タブ部12が複数の単位切断部38で形成される点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
【0034】
図3は、実施の形態2における単位切断部38の形状を示す模式図である。図3に示すように、本実施の形態では、タブ部12が複数の単位切断部38によって縁取りされている。具体的には、2つの略L字状の単位切断部38と、1つの直線状の単位切断部38とによってタブ部12が形成される。L字状の単位切断部38は、搬送方向Aに延在する部分と幅方向Bに延在する部分とを有し、幅方向Bに延在する部分がタブ部12の側部を構成する。搬送方向Aに延在する部分は、接続領域42の一部を構成する。また、直線状の単位切断部38によって、タブ部12の搬送方向Aに延在する頂部が形成される。
【0035】
L字状の単位切断部38と直線状の単位切断部38とは、それぞれ両端部に屈折部46を有する。そして、L字状の単位切断部38における幅方向外側の端部に設けられた屈折部46と、直線状の単位切断部38の屈折部46とが交差することで、これらの単位切断部38が連続する。L字状の単位切断部38における反対側の端部に設けられた屈折部46は、接続領域42を構成する直線状の単位切断部38の屈折部46と交差する。
【0036】
搬送方向Aで隣り合う2つのタブ部12をつなぐ接続領域42に位置する単位切断部38では、屈折部46が幅方向Bの外側に向かって延びる。これにより、屈折部46によって電極板10の端部が切り欠かれることを抑制できる。一方、タブ部12の幅方向Bの頂部に位置する単位切断部38では、屈折部46が幅方向Bの内側に向かって延びる。これにより、屈折部46によって廃材部28が切断されてしまうことを回避することができる。廃材部28の切断を回避できることで、廃材部28が製品部26から分離されずに製品部26とともに搬送されてしまうことを回避することができる。なお、例えば廃材部28の幅や厚みが大きい、強度が高い材質であるといった理由で、廃材部28が切断されない状態が得られるのであれば、タブ部12の頂部に位置する屈折部46を幅方向Bの外側に向けてもよい。
【0037】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0038】
各実施の形態では、第1部分は製品部26であり第2部分は廃材部28であるが、これに限らず、例えば第1部分および第2部分はそれぞれ電極板10であってもよい。また、連続体8は、電極板10とセパレータとが積層された状態のものであってもよい。また、非塗布部16は、連続体8の片側のみに設けられてもよい。
【0039】
上述した実施の形態に係る発明は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[項目1]
複数の電極板(10)の連続体(8)を搬送し、
レーザ光(L)を間欠的に照射しながら連続体(8)を走査することで、連続する複数の単位切断部(38)を形成して連続体(8)を第1部分と第2部分とに分断することを含み、
単位切断部(38)は、第1部分および第2部分の境界に沿って延びる主線部(44)と、主線部(44)の端部から屈折して延びる屈折部(46)と、を有する、
切断方法。
【符号の説明】
【0040】
1 切断装置、 2 搬送部、 4 レーザ走査部、 6 制御部、 8 連続体、 10 電極板、 12 タブ部、 14 塗布部、 16 非塗布部、 38 単位切断部、 42 接続領域、 44 主線部、 46 屈折部。
図1
図2
図3