(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20221006BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20221006BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20221006BHJP
B24B 29/00 20060101ALI20221006BHJP
B26D 1/60 20060101ALI20221006BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20221006BHJP
H01M 10/04 20060101ALN20221006BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20221006BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
B24B9/00 602C
B24B29/00 B
B26D1/60 E
B26D1/60 N
B26D7/18 E
H01M10/04 Z
H01M10/058
(21)【出願番号】P 2020046171
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】谷口 泰士
(72)【発明者】
【氏名】川崎 竜也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 宜之
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀明
(72)【発明者】
【氏名】工原 孝博
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-106370(JP,A)
【文献】特開平09-183099(JP,A)
【文献】国際公開第2008/013138(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/087885(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
H01M 4/139
B24B 9/00
B24B 29/00
B26D 1/60
B26D 7/18
H01M 10/04
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板またはセパレータの連続体に対して進退し、前記連続体を切断する切断刃と、
前記切断刃とともに進退し、前記連続体の切断部に接触して清掃する清掃部材と、
前記切断刃および前記清掃部材を支持するとともに前記連続体に対して進退するホルダ本体と、を備
え、
前記ホルダ本体は、前記切断刃の進退方向に延びるスリットにより分割された第1腕部および第2腕部を有し、前記連続体に対して進出する際に前記連続体が前記スリットに進入するように配置され、
前記第1腕部および前記第2腕部はそれぞれ、前記切断刃および前記清掃部材を前記切断刃の進退方向に並べて支持する、
切断装置。
【請求項2】
前記清掃部材は、前記切断刃の進退方向から見て前記連続体を挟むように配置される、
請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記清掃部材は、前記切断刃が前記連続体から退避した位置にあるとき、前記切断刃よりも前記連続体から遠い側に配置される第1清掃部材と、前記切断刃よりも前記連続体に近い側に配置される第2清掃部材と、を含む、
請求項1または2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記連続体の延在方向における前記第2清掃部材の寸法は、前記延在方向における前記第1清掃部材の寸法よりも大きい、
請求項3に記載の切断装置。
【請求項5】
前記清掃部材は、複数の毛を束ねたブラシである、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用等の電池として、積層ラミネートタイプの電池が開発されている。この電池は、複数の正極板と複数の負極板とがセパレータを挟んで交互に積層された積層電極体と、電解液とが容器に収容された構造を有する。積層電極体の形成には、連続する電極板を切断して個片化する作業や、連続するセパレータを切断して個片化する作業が伴う場合がある。電極板やセパレータを切断すると、粉塵等の異物が発生する。この異物が電極板に付着するとショート等の原因となり、積層電極体の品質低下を招き得る。これに対し特許文献1には、長尺状の電極材料を所定長さに切断した後に電極材料の切断面に粘着ロールを接触させることで、切断面から異物を除去する異物除去装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の異物除去装置では、電極材料の切断面に粘着ロールを接触させることで異物を除去できるとともに、除去した異物を粘着ロールに付着させて保持(回収)することができる。しかしながら、この異物除去装置は、切断された電極材料を下流側に搬送した後に、粘着ロールを切断面に接触させる構成であった。この場合、切断後から粘着ロールの接触までの間に落下した異物は、粘着ロールに付着させることができない。粘着ロールに付着しなかった異物は、搬送ライン上に舞い上がって電極板に付着し、積層電極体の品質低下を引き起こし得る。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、積層電極体の品質向上を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、切断装置である。この切断装置は、電極板またはセパレータの連続体に対して進退し、連続体を切断する切断刃と、切断刃とともに進退し、連続体の切断部に接触して清掃する清掃部材と、を備える。
【0007】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、積層電極体の品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る切断装置を備える積層電極体製造装置の模式図である。
【
図2】切断装置の一部を模式的に示す断面図である。
【
図4】カッターホルダを模式的に示す斜視図である。
【
図5】スライド方向から見たカッターホルダの模式図である。
【
図6】
図6(A)は、退避位置にあるカッターホルダの斜視図である。
図6(B)は、退避位置にあるカッターホルダをスライド方向から見たときの模式図である。
【
図7】
図7(A)は、進出位置にあるカッターホルダの斜視図である。
図7(B)は、進出位置にあるカッターホルダをスライド方向から見たときの模式図である。
【
図8】
図8(A)は、変形例1に係るカッターホルダの斜視図である。
図8(B)は、第1清掃部材を模式的に示す図である。
図8(C)は、第2清掃部材を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
図1は、実施の形態に係る切断装置を備える積層電極体製造装置の模式図である。積層電極体製造装置1は、複数のドラムを組み合わせた連続ドラム式の製造装置である。電極体やセパレータの切断、加熱、接着、積層等の各工程をドラムで実行することで、高速且つ連続的に積層電極体を製造することができる。積層電極体は、例えばリチウムイオン二次電池に用いられる。
【0012】
積層電極体製造装置1は、第1極切断ドラム2と、第1極加熱ドラム4と、第2極切断ドラム6と、第2極加熱ドラム8と、接着ドラム10と、セパレータ切断ドラム12と、積層ドラム14と、を備える。
【0013】
第1極切断ドラム2は、複数の第1極板の連続体を切断して複数の第1極板に個片化して搬送するドラムである。本実施の形態では、第1極は負極である。第1極切断ドラム2には、複数の第1極板の連続体である、帯状の第1極連続体Nが供給される。第1極連続体Nは、第1極集電体と、第1極活物質層と、を有する。第1極活物質層は、第1極集電体上に積層される。本実施の形態では、第1極集電体の両面に第1極活物質層が積層されるが、第1極集電体の一方の面のみに第1極活物質層が積層されてもよい。
【0014】
第1極集電体および第1極活物質層は、いずれも公知の材料で構成することができ、いずれも公知の構造を有する。第1極集電体は、例えば、銅やアルミニウム等からなる箔や多孔体で構成される。第1極活物質層は、例えば第1極活物質、結着材および分散剤等を含む第1極合材スラリーを第1極集電体の表面に塗布し、塗膜を乾燥、圧延することで形成される。第1極集電体の厚さは、例えば3μm以上50μm以下である。第1極活物質層の厚さは、例えば10μm以上100μm以下である。
【0015】
第1極切断ドラム2は、ドラムの円周方向に配置される複数の保持ヘッドと、第1極連続体Nを切断して複数の第1極板に個片化する切断刃と、を有する。複数の保持ヘッドは、第1極連続体Nを吸着保持する保持面を有する。各保持ヘッドの保持面は、第1極切断ドラム2の外側を向く。第1極切断ドラム2に供給される第1極連続体Nは、複数の保持ヘッドの保持面に吸着保持された状態で、第1極切断ドラム2の回転によって搬送される。
【0016】
複数の保持ヘッドは、それぞれ第1極切断ドラム2の中心軸回りに回転するとともに、他の保持ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動することができる。各保持ヘッドの相対的な移動は、第1極切断ドラム2を回転させるモータとは別のモータが各保持ヘッドに搭載されることで実現される。保持ヘッドの独立駆動により、切断刃による第1極連続体Nの切断位置の調整や、個片化された第1極板の位置調整等が可能となる。
【0017】
第1極切断ドラム2は、供給される第1極連続体Nを吸着保持して回転搬送し、
図1に模式的に示す切断位置16において第1極連続体Nを切断して第1極板を生成する。第1極連続体Nは、隣り合う保持ヘッドの間の位置で切断刃により切断されて、複数の第1極板に個片化される。得られた各第1極板は、各保持ヘッドに吸着保持された状態で搬送される。生成される複数の第1極板の位置は、カメラ等で監視される。
【0018】
第1極加熱ドラム4は、第1極切断ドラム2に近接配置される。第1極切断ドラム2の保持ヘッドは、第1極加熱ドラム4との近接位置の手前において、第1極加熱ドラム4の線速度と略同一になるまで一時的に増速または減速する。これにより、保持ヘッドは、第1極加熱ドラム4との相対速度が略ゼロになる。保持ヘッドは、相対速度が略ゼロになったタイミングで、吸着保持していた第1極板を第1極加熱ドラム4側に排出する。
【0019】
第1極加熱ドラム4は、第1極切断ドラム2から排出された第1極板を吸着保持しながら回転し、内蔵するヒータで第1極板を予備加熱する。予備加熱は、後の接着工程においてセパレータと第1極板とを熱接着するために実施される。本実施の形態では、加熱位置18において第1極板を加熱するが、これに限らず、例えば第1極加熱ドラム4の円周方向の全域で第1極板を加熱してもよい。
【0020】
第2極切断ドラム6は、複数の第2極板の連続体を切断して複数の第2極板に個片化して搬送するドラムである。本実施の形態では、第2極は正極である。第2極切断ドラム6には、複数の第2極板の連続体である、帯状の第2極連続体Pが供給される。第2極連続体Pは、第2極集電体と、第2極活物質層と、を有する。第2極活物質層は、第2極集電体上に積層される。本実施の形態では、第2極集電体の両面に第2極活物質層が積層されるが、第2極集電体の一方の面のみに第2極活物質層が積層されてもよい。
【0021】
第2極集電体および第2極活物質層は、いずれも公知の材料で構成することができ、いずれも公知の構造を有する。第2極集電体は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム等からなる箔や多孔体で構成される。第2極活物質層は、例えば第2極活物質、結着材および分散剤等を含む第2極合材スラリーを第2極集電体の表面に塗布し、塗膜を乾燥、圧延することで形成される。第2極集電体の厚さは、例えば3μm以上50μm以下である。第2極活物質層の厚さは、例えば10μm以上100μm以下である。
【0022】
第2極切断ドラム6は、ドラムの円周方向に配置される複数の保持ヘッドと、第2極連続体Pを切断して複数の第2極板に個片化する切断刃と、を有する。複数の保持ヘッドは、第2極連続体Pを吸着保持する保持面を有する。各保持ヘッドの保持面は、第2極切断ドラム6の外側を向く。第2極切断ドラム6に供給される第2極連続体Pは、複数の保持ヘッドの保持面に吸着保持された状態で、第2極切断ドラム6の回転によって搬送される。
【0023】
複数の保持ヘッドは、それぞれ第2極切断ドラム6の中心軸回りに回転するとともに、他の保持ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動することができる。各保持ヘッドの相対的な移動は、第2極切断ドラム6を回転させるモータとは別のモータが各保持ヘッドに搭載されることで実現される。保持ヘッドの独立駆動により、切断刃による第2極連続体Pの切断位置の調整や、個片化された第2極板の位置調整等が可能となる。
【0024】
第2極切断ドラム6は、供給される第2極連続体Pを吸着保持して回転搬送し、
図1に模式的に示す切断位置20において第2極連続体Pを切断して第2極板を生成する。第2極連続体Pは、隣り合う保持ヘッドの間の位置で切断刃により切断されて、複数の第2極板に個片化される。得られた各第2極板は、各保持ヘッドに吸着保持された状態で搬送される。生成される複数の第2極板の位置は、カメラ等で監視される。
【0025】
第2極加熱ドラム8は、第2極切断ドラム6に近接配置される。第2極切断ドラム6の保持ヘッドは、第2極加熱ドラム8との近接位置の手前において、第2極加熱ドラム8の線速度と略同一になるまで一時的に増速または減速する。これにより、保持ヘッドは、第2極加熱ドラム8との相対速度が略ゼロになる。保持ヘッドは、相対速度が略ゼロになったタイミングで、吸着保持していた第2極板を第2極加熱ドラム8側に排出する。
【0026】
第2極加熱ドラム8は、第2極切断ドラム6から排出された第2極板を吸着保持しながら回転し、内蔵するヒータで第2極板を予備加熱する。予備加熱は、後の接着工程においてセパレータと第2極板とを熱接着するために実施される。本実施の形態では、加熱位置22において第2極板を加熱するが、これに限らず、例えば第2極加熱ドラム8の円周方向の全域で第2極板を加熱してもよい。
【0027】
接着ドラム10は、第1セパレータ、第1極板、第2セパレータおよび第2極板で構成される単位積層体が連続する連続積層体を形成するドラムである。接着ドラム10は、第1極加熱ドラム4および第2極加熱ドラム8に近接配置される。接着ドラム10には、複数の第1セパレータが連続する、帯状の第1セパレータ連続体S1と、複数の第2セパレータが連続する、帯状の第2セパレータ連続体S2とが供給される。第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2のそれぞれの表面には、熱接着層が設けられる。熱接着層は、室温では接着性を発現しないが、加熱により接着性を発現する性質を有する。例えば熱接着層は、熱可塑性ポリマーを含有する熱可塑性層であり、加熱による熱可塑性ポリマーの塑性変形に基づいて接着性を発現する。
【0028】
また、接着ドラム10には、第1極加熱ドラム4を介して第1極切断ドラム2から複数の第1極板が供給され、第2極加熱ドラム8を介して第2極切断ドラム6から複数の第2極板が供給される。第1極板は、第1極加熱ドラム4で予備加熱されながら回転搬送され、第1極加熱ドラム4と接着ドラム10との近接位置において接着ドラム10側に排出される。第2極板は、第2極加熱ドラム8で予備加熱されながら回転搬送され、第2極加熱ドラム8と接着ドラム10との近接位置において接着ドラム10側に排出される。
【0029】
接着ドラム10に対する第1セパレータ連続体S1、第1極板、第2セパレータ連続体S2および第2極板の供給位置は、接着ドラム10の回転方向の上流側から、列挙した順に並ぶ。したがって、まず所定位置において、接着ドラム10に第1セパレータ連続体S1が供給される。第1セパレータ連続体S1は、接着ドラム10に吸着保持されて、回転搬送される。続いて、第1セパレータ連続体S1の供給位置よりも下流側において、第1極加熱ドラム4から接着ドラム10に第1極板が供給され、第1セパレータ連続体S1の上に載置される。複数の第1極板は、第1セパレータ連続体S1の搬送方向に所定の間隔をあけて第1セパレータ連続体S1の上に配列される。
【0030】
続いて、第1極板の供給位置よりも下流側において、接着ドラム10に第2セパレータ連続体S2が供給され、複数の第1極板の上に載置される。続いて、第2セパレータ連続体S2の供給位置よりも下流側において、第1セパレータ連続体S1、複数の第1極板および第2セパレータ連続体S2が熱圧着ローラ24によって加圧される。これにより、第1セパレータ連続体S1、各第1極板および第2セパレータ連続体S2が接着される。続いて、熱圧着ローラ24による圧着位置よりも下流側において、第2極加熱ドラム8から接着ドラム10に第2極板が供給され、第2セパレータ連続体S2の上に載置される。複数の第2極板は、第2セパレータ連続体S2の搬送方向に所定の間隔をあけて第2セパレータ連続体S2の上に配列される。また、第2極加熱ドラム8の押圧力によって、複数の第2極板は第2セパレータ連続体S2に接着される。
【0031】
以上の工程により、第1セパレータ連続体S1、複数の第1極板、第2セパレータ連続体S2および複数の第2極板がこの順に積層され、接着されて、連続積層体26が形成される。連続積層体26は、第1セパレータ、第1極板、第2セパレータおよび第2極板で構成される単位積層体が、第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2でつながれて連続する構造を有する。連続積層体26は、接着ドラム10からセパレータ切断ドラム12に搬送される。なお、第2極切断ドラム6側から第2極板が供給されないことで、一定個数毎に、第2極板を含まない3層構造の単位積層体が生成されてもよい。また、供給されない電極板は第1極板であってもよい。
【0032】
セパレータ切断ドラム12は、連続積層体26の第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2を切断して、複数の単位積層体に個片化するドラムである。セパレータ切断ドラム12は、ドラムの円周方向に配置される複数の保持ヘッドと、連続積層体26を切断して複数の単位積層体に個片化する切断刃と、を有する。複数の保持ヘッドは、連続積層体26を吸着保持する保持面を有する。各保持ヘッドの保持面は、セパレータ切断ドラム12の外側を向く。セパレータ切断ドラム12に供給される連続積層体26は、複数の保持ヘッドの保持面に吸着保持された状態で、セパレータ切断ドラム12の回転によって搬送される。
【0033】
複数の保持ヘッドは、それぞれセパレータ切断ドラム12の中心軸回りに回転するとともに、他の保持ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動可能であってもよい。各保持ヘッドの相対的な移動は、セパレータ切断ドラム12を回転させるモータとは別のモータが各保持ヘッドに搭載されることで実現される。保持ヘッドの独立駆動により、切断刃による連続積層体26の切断位置の調整や、個片化された単位積層体の位置調整等が可能となる。
【0034】
セパレータ切断ドラム12は、供給される連続積層体26を吸着保持して回転搬送し、
図1に模式的に示す切断位置28において連続積層体26を切断して単位積層体を生成する。連続積層体26は、隣り合う保持ヘッドの間の位置で切断刃により切断されて、複数の単位積層体に個片化される。このとき、連続積層体26は、連続積層体26の搬送方向で隣り合う電極板の間において、第1セパレータ連続体S1および第2セパレータ連続体S2が切断される。得られた各単位積層体は、各保持ヘッドに吸着保持された状態で搬送される。保持ヘッドは、吸着保持していた単位積層体を積層ドラム14側に排出する。生成される複数の単位積層体の位置は、カメラ等で監視される。
【0035】
積層ドラム14は、複数の単位積層体を積層ステージ30に積層して積層電極体を形成するドラムである。積層ドラム14は、ドラムの円周方向に配置される複数の積層ヘッドを有する。各積層ヘッドは、単位積層体を吸着保持する保持面を有する。各積層ヘッドの保持面は、積層ドラム14の外側を向く。複数の積層ヘッドは、それぞれ積層ドラム14の中心軸回りに回転するとともに、他の積層ヘッドに対して互いに独立にドラムの円周方向に移動することができる。各積層ヘッドの相対的な移動は、例えば、積層ドラム14に設けられるカムによって実現される。
【0036】
積層ヘッドの独立駆動により、一定の角速度での積層ドラム14の回転を維持しつつ、積層ステージ30と対向する積層位置において各積層ヘッドを停止状態とすることが可能となる。積層ステージ30と対向する位置で積層ヘッドを停止状態にすることで、この積層ヘッドが吸着保持する単位積層体を高い位置精度で積層ステージ30の上に排出することができる。
【0037】
積層ステージ30は、積層ドラム14の直下に配置される。積層ステージ30には、積層ドラム14から排出される単位積層体が順次積層される。これにより、積層電極体が形成される。積層ステージ30は、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に駆動可能である。また、積層ステージ30は、X―Y平面上における傾き角を調整可能である。これにより、積層ステージ30に既に積層されている単位積層体に対する、積層ドラム14から排出される単位積層体のX軸方向およびY軸方向の位置、および傾き角が調整される。
【0038】
第1極切断ドラム2、第2極切断ドラム6およびセパレータ切断ドラム12の少なくとも1つは、以下に説明する本実施の形態に係る切断装置100で構成される。以下では、一例として第1極切断ドラム2が切断装置100で構成される場合を例に挙げて、切断装置100の構造を説明する。
【0039】
図2は、切断装置100の一部を模式的に示す断面図である。
図3は、切断装置100を模式的に示す正面図である。
図2は、切断装置100の断面の半分を図示している。
図3は、
図2の矢印A方向から観察した切断装置100を図示している。また、
図3では、各部の図示を適宜簡略化あるいは省略している。また、本実施の形態では、一例として各保持ヘッド116に対して切断ユニット104が1対1で設けられるが、
図3には一部の切断ユニット104のみを図示している。また、隣り合う保持ヘッド116の間隔を実際よりも広く図示している。
【0040】
第1極切断ドラム2を構成する切断装置100は、ドラム部102と、切断ユニット104と、を備える。ドラム部102は、ドラム駆動部106と、回転軸部108と、円盤部110と、複数のヘッド駆動部114と、複数の保持ヘッド116と、を有する。ドラム駆動部106は、公知のモータ等で構成される。回転軸部108は、円筒状もしくは円柱状であり、一端がドラム駆動部106に連結される。回転軸部108は、第1極切断ドラム2の中心軸に相当する。回転軸部108は、ドラム駆動部106の駆動によって回転する。
【0041】
円盤部110は、中心が回転軸部108の他端側に連結される。円盤部110は、回転軸部108の外周面から突出して回転軸部108の軸方向に対して垂直に広がる。円盤部110の周縁部には、円弧ガイド118が敷設される。
【0042】
複数のヘッド駆動部114は、円盤部110の円周方向に配列される。各ヘッド駆動部114は、ブラケット120と、モータ122と、小歯車124と、を有する。ブラケット120は、断面視で略U字状であり、円弧ガイド118を介して円盤部110の縁を挟み込む。モータ122は、ブラケット120に支持される。モータ122には、公知のものを用いることができる。小歯車124は、モータ122の回転軸に連結され、モータ122の駆動によって回転する。
【0043】
小歯車124は、円盤部110側に固定される大歯車126と噛み合う。本実施の形態の大歯車126は、回転軸部108の外周面に固定されている。大歯車126は、回転軸部108の全周にわたって設けられる。モータ122が駆動すると、小歯車124と噛み合う大歯車126に駆動トルクが伝達される。これにより、各ヘッド駆動部114は、それぞれ独立に、円弧ガイド118に沿って円盤部110の円周上を移動できる。
【0044】
複数の保持ヘッド116は、それぞれヘッド駆動部114に支持される。したがって、複数の保持ヘッド116は、円盤部110の円周方向に配列される。各保持ヘッド116は、円盤部110の回転によって回転軸部108を中心に回転するとともに、ヘッド駆動部114によって円盤部110の回転による移動とは別に移動することができる。
【0045】
各保持ヘッド116は、円盤部110の突出方向、つまりドラム部102の円周の外側を向く保持面128を有する。保持面128には、ワークWの連続体Wa、および連続体Waから個片化されたワークWを吸着保持するための吸着穴(図示せず)が設けられる。吸着穴から空気が吸引されることで、その吸引力によって連続体WaあるいはワークWが吸着保持される。
【0046】
連続体Waは、切断装置100の切断対象であり、積層電極体の構成部材である。具体的には、連続体Waは、電極板の連続体またはセパレータの連続体である。電極板の連続体は、上述の第1極連続体Nや第2極連続体Pである。セパレータの連続体は、第1セパレータ連続体S1や第2セパレータ連続体S2である。なお、セパレータの連続体には、単体状態の第1セパレータ連続体S1や第2セパレータ連続体S2だけでなく、連続積層体26の一部を構成している状態にある第1セパレータ連続体S1や第2セパレータ連続体S2も含まれる。ワークWは、電極板、セパレータあるいは単位積層体である。第1極切断ドラム2の場合、連続体Waは第1極連続体Nであり、ワークWは第1極板である。連続体Waは、複数の保持ヘッド116の保持面128に吸着保持された状態で、円盤部110の回転によって搬送される。
【0047】
切断ユニット104は、連続体Waを切断して複数のワークWに個片化する機構である。本実施の形態では、各保持ヘッド116に対して切断ユニット104が1対1で設けられる。また、切断ユニット104は、各保持ヘッド116とともに移動して連続体Waを切断する。なお、切断ユニット104は、保持ヘッド116に対し1対1で設けられなくてもよいし、保持ヘッド116とは独立に移動してもよい。
【0048】
各切断ユニット104は、カッターホルダ130と、カッター駆動部132と、を有する。カッターホルダ130は、ブラケット120に支持される。カッターホルダ130は、連続体Waが延びる方向と略直交する方向にスライド可能である。カッター駆動部132は、モータ134と、ラックレール136と、ピニオン138と、を有する。
【0049】
ラックレール136は、カッターホルダ130に設けられる。ラックレール136は、ドラム部102の軸方向に延びる。モータ134は、ブラケット120に支持される。モータ134には、公知のものを用いることができる。モータ134の回転軸にはピニオン138が連結される。ピニオン138は、ラックレール136に噛み合わされる。ラックレール136およびピニオン138はラックアンドピニオン機構を構成し、モータ134の駆動によってピニオン138が回転することで、ラックレール136に駆動トルクが伝達されて、カッターホルダ130がスライドする。
【0050】
カッターホルダ130は、ホルダ本体140と、切断刃142と、清掃部材144と、を有する。
図4は、カッターホルダ130を模式的に示す斜視図である。
図5は、スライド方向Bから見たカッターホルダ130の模式図である。
【0051】
ホルダ本体140は、カッターホルダ130のスライド方向Bに延びる長尺の板状体である。ホルダ本体140は、互いに対向する2つの主表面が連続体Waの搬送方向Cを向くように配置される。ホルダ本体140の一端は、カッターホルダ130が後述する退避位置にある状態で保持面128側を向く。ホルダ本体140の一端には、スライド方向Bに延びるスリット146が設けられ、スリット146によって第1腕部148aと第2腕部148bとに分割されている。第1腕部148aと第2腕部148bとは、連続体Waの厚さ方向に並ぶ。ホルダ本体140の他端側にはラックレール136が設けられる(
図2参照)。
【0052】
ホルダ本体140の一端には、切断刃142が支持される。本実施の形態の切断刃142は、一対の丸刃150a,150bで構成される。丸刃150aは第1腕部148aの先端に支持され、丸刃150bは第2腕部148bの先端に支持される。丸刃150aおよび丸刃150bは、連続体Waの厚さ方向に配列される。
【0053】
また、第1腕部148aおよび第2腕部148bは、それぞれ清掃部材144を支持する。第1腕部148aにおいて、清掃部材144は丸刃150aよりも第1腕部148aの基端側に位置する。同様に、第2腕部148bにおいて、清掃部材144は丸刃150bよりも第2腕部148bの基端側に位置する。したがって、カッターホルダ130が後述する退避位置にあるとき、各清掃部材144は切断刃142よりも連続体Waから遠い位置にある。
【0054】
本実施の形態の清掃部材144は、複数の毛を束ねたブラシである。各清掃部材144は、毛束152と、毛束ホルダ154と、を有する。一対の清掃部材144は、互いの毛束152が向かい合うように姿勢が定められる。また、各毛束152は、切断刃142の動線上に配置される。
【0055】
カッターホルダ130のスライドにより、切断刃142および清掃部材144を連続体Waに対して進退させることができる。
図6(A)は、退避位置にあるカッターホルダ130の斜視図である。
図6(B)は、退避位置にあるカッターホルダ130をスライド方向Bから見たときの模式図である。
図7(A)は、進出位置にあるカッターホルダ130の斜視図である。
図7(B)は、進出位置にあるカッターホルダ130をスライド方向Bから見たときの模式図である。また、
図2では、退避位置にあるカッターホルダ130を実線で図示し、進出位置にあるカッターホルダ130を破線で図示している。
【0056】
丸刃150aおよび丸刃150bは、カッターホルダ130のスライド方向B、言い換えれば切断刃142の進退方向から見て互いにずれており、連続体Waの搬送方向Cから見て互いの刃先が重なっている。また、丸刃150aおよび丸刃150bは、カッターホルダ130がスライドしたときに両刃の間を連続体Waが通るように、保持面128に対して位置が定められている。一対の清掃部材144は、切断刃142の進退方向から見て、連続体Waを挟むように配置される。一方の清掃部材144は、毛束152の毛先が連続体Waの一方の表面に接するように配置される。他方の清掃部材144は、毛束152の毛先が連続体Waの反対側の表面に接するように配置される。
【0057】
カッターホルダ130が退避位置から進出位置に向けてスライドすると、切断刃142が連続体Waに対して進出し、丸刃150aおよび丸刃150bの回転によって連続体Waが切断される。切断刃142は、隣り合う2つの保持ヘッド116の間を通って連続体Waに対して進退する。切断刃142が進出位置に変位する際、連続体WaおよびワークWの端部はスリット146に進入する。これにより、ホルダ本体140と連続体Waとの干渉、およびホルダ本体140とワークWとの干渉が回避される。
【0058】
清掃部材144は、切断刃142とともに連続体Waに対して進出する。清掃部材144は、切断刃142に続いて連続体Waを幅方向に横断する。その際、清掃部材144は、連続体Waの切断部に接触して当該切断部を清掃する。具体的には、互いに向かい合う一対の清掃部材144の間を連続体Waの切断部が通過する。これにより、連続体Waの両面側で切断部がブラッシングされる。
【0059】
切断刃142で電極板を構成する金属箔やセパレータを構成する樹脂フィルムを切断すると、切断部にバリが生じる場合がある。これに対し、切断刃142とともに一対の清掃部材144が進出することで、切断部が毛束152でブラッシングされてバリが払い落とされる。払い落とされたバリ片は、回収機162(
図2参照)で回収される。回収機162は、例えばエア吸引機等で構成される。
【0060】
進出位置にあるホルダ本体140が退避位置に戻る際、切断刃142は連続体Waの切断部を通過する。清掃部材144は、退避する際にも連続体Waの切断部に接触して清掃する。これにより、ホルダ本体140が進出した際の清掃で残ったバリを払い落とすことができる。なお、切断装置100は、清掃部材144による切断部の清掃に加えて、エア吹き付けやエア吸引による清掃や、イオナイザによる切断部の除電を実施してもよい。
【0061】
図2に示すように、ドラム駆動部106、ヘッド駆動部114およびカッター駆動部132の動作は、制御装置156によって制御される。制御装置156は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、
図2では、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。この機能ブロックがハードウェアおよびソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には当然に理解されるところである。
【0062】
制御装置156は、第1極切断ドラム2を撮像するカメラから画像データを受領し、画像データから導出される各保持ヘッド116および切断ユニット104の位置等に基づいて、各部の動作を制御することができる。なお、制御装置156は、カメラ以外のセンサからも情報を取得して各部の動作を制御してもよい。また、制御装置156は、予め設定された動作プログラムに基づいて、各部の動作を制御することもできる。
【0063】
上述の説明では、第1極切断ドラム2が切断装置100で構成される場合を説明しているが、第2極切断ドラム6やセパレータ切断ドラム12が切断装置100で構成されてもよい。第2極切断ドラム6が切断装置100で構成される場合、連続体Waは第2極連続体Pであり、ワークWは第2極板である。セパレータ切断ドラム12が切断装置100で構成される場合、連続体Waは連続積層体26であり、ワークWは単位積層体である。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態に係る切断装置100は、電極板またはセパレータの連続体Waに対して進退し、連続体Waを切断する切断刃142と、切断刃142とともに進退し、連続体Waの切断部に接触して清掃する清掃部材144と、を備える。切断刃142とともに清掃部材144を進退させて切断部を接触清掃することで、連続体Waの切断の直後に切断部を清掃することができる。よって、切断によって生じる異物をより早期に回収することができる。これにより、異物の回収漏れを減らして、積層電極体の品質向上を図ることができる。また、連続体Waの切断工程と切断面の清掃工程とをほぼ同時に実施できるため、ワークWの品質向上とともにスループットの向上を図ることができる。
【0065】
また、上述の通り切断刃142で電極板やセパレータを切断すると、切断部にバリが生じる場合がある。切断部に生じたバリは、連続体WaまたはワークWにつながった状態にあり、エア吸引やエア吹き付け等で切断部から除去できない場合がある。切断部に残ったバリは、連続体WaやワークWの搬送中に振動等によって切断部から脱離し、搬送ラインを汚染するおそれがある。また、ワークWにバリが残ったままであると、積層電極体においてショート等の原因になり得る。これに対し、清掃部材144で切断部を接触清掃することで、切断部に生じたバリをより多く除去して回収することができる。これにより、積層電極体の品質向上を図ることができる。
【0066】
また、本実施の形態の清掃部材144は、切断刃142の進退方向から見て連続体Waを挟むように配置される。これにより、連続体Waの両面から切断部を清掃することができる。よって、切断部にバリが残存する可能性をより低減でき、積層電極体の品質をより高めることができる。
【0067】
また、本実施の形態の清掃部材144は、複数の毛を束ねたブラシである。これにより、連続体Waの切断部に付加される力を適度に調節することができる。よって、切断部に付着するバリを剥がしながら、ワークWや連続体Waが破損することを抑制することができる。例えば、連続体Waが第1極連続体Nや第2極連続体Pである場合に清掃部材144として粘着ロールを用いると、活物質層が粘着ロールに付着して、剥がれてしまうおそれがある。これに対し、清掃部材144をブラシとすることで、活物質層の剥離を抑制できる。
【0068】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0069】
(変形例1)
図8(A)は、変形例1に係るカッターホルダ130の斜視図である。
図8(B)は、第1清掃部材を模式的に示す図である。
図8(C)は、第2清掃部材を模式的に示す図である。なお、
図8(A)には退避位置にあるカッターホルダ130を図示している。実施の形態では、カッターホルダ130が退避位置にある状態で、切断刃142よりも連続体Waから遠い側のみに清掃部材144が設けられている。一方、本変形例では、カッターホルダ130のスライド方向Bで切断刃142を挟むように清掃部材144が設けられる。
【0070】
すなわち、本変形例に係る清掃部材144は、切断刃142が連続体Waから退避した位置にあるとき、切断刃142よりも連続体Waから遠い側に配置される第1清掃部材158と、切断刃142よりも連続体Waに近い側に配置される第2清掃部材160と、を含む。また、第1腕部148aおよび第2腕部148bは、それぞれ第1清掃部材158と第2清掃部材160とを有する。一対の第1清掃部材158は、互いの毛束152が向かい合うように姿勢が定められる。同様に、一対の第2清掃部材160は、互いの毛束152が向かい合うように姿勢が定められる。
【0071】
カッターホルダ130のスライド方向Bで切断刃142を挟むように第1清掃部材158および第2清掃部材160を設けることで、切断刃142が退避する際に、第1清掃部材158および第2清掃部材160で連続体Waの切断面をブラッシングすることができる。これにより、切断によって生じる異物をより多く回収でき、積層電極体の品質向上を図ることができる。
【0072】
また、ブラシのコシを強くしてブラッシングの回数を減らすよりも、ブラシのコシを弱くしてブラッシングの回数を増やした方が、連続体WaやワークWに傷がつく可能性を低減しながら、より多くのバリを剥がすことができる。したがって、本変形例によれば、積層電極体や電池の品質をより高めることができる。
【0073】
好ましくは、連続体Waの延在方向Cにおける第2清掃部材160の寸法T2は、連続体Waの延在方向Cにおける第1清掃部材158の寸法T1よりも大きい。連続体Waを切断すると、切断された2つの部分が連続体Waの搬送方向Cに離間する場合がある。このため、主にカッターホルダ130の進出時に切断部を清掃する第1清掃部材158の寸法T1よりも、主にカッターホルダ130の退避時に切断部を清掃する第2清掃部材160の寸法T2を大きくすることで、切断面のバリをより多く除去することができる。また、第1清掃部材158の寸法T1を第2清掃部材160の寸法T2よりも小さくすることで、バリの除去効率の低下を抑制しながら清掃機構の小型化、ひいてはカッターホルダ130の小型化を図ることができる。
【0074】
なお、カッターホルダ130は、第1清掃部材158および第2清掃部材160の一方のみを備えてもよい。実施の形態のカッターホルダ130は、本変形例のカッターホルダ130から第2清掃部材160を削除した構成、つまり第1清掃部材158のみを備える構成に相当する。第1清掃部材158および第2清掃部材160のいずれか一方のみをカッターホルダ130に設ける場合は、第1清掃部材158を設ける方がより好ましい。第1清掃部材158を設ける場合、第2清掃部材160を設ける場合に比べて、連続体Waの切断後により早く切断面を清掃でき、またカッターホルダ130の進出時と後退時との2回清掃できて、バリ片の回収効率をより高められるためである。
【0075】
(他の変形例)
切断装置100は、連続体Waをドラムの円周方向に搬送するロールタイプに限定されず、例えば水平方向等に搬送するステージタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 切断装置、 104 切断ユニット、 130 カッターホルダ、 142 切断刃、 144 清掃部材、 158 第1清掃部材、 160 第2清掃部材。