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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】表示装置、管理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020078544
(22)【出願日】2020-04-27
(62)【分割の表示】P 2018519542の分割
【原出願日】2017-05-23
(65)【公開番号】P2020120579
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2016103057
(32)【優先日】2016-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】角田 裕次
【審査官】羽鳥 友哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-019084(JP,A)
【文献】特開2016-025622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置の状態を表示する表示装置であって、
前記電力変換装置を制御する電力制御メッセージの送信元が電力系統を管理する事業者である場合、前記送信元が前記事業者であることを示す第1メッセージを管理装置から受信する受信手段と、
前記第1メッセージを受信した場合、前記電力変換装置が前記事業者の制御に従って運転中である情報を表示する制御を行うとともに、ユーザによって指定された前記電力制御メッセージの受け付けが保留される旨を表示する制御を行う制御手段と、を備える、表示装置。
【請求項2】
電力変換装置の状態を表示する表示装置の制御方法であって、
前記電力変換装置を制御する電力制御メッセージの送信元が電力系統を管理する事業者である場合、前記送信元が前記事業者であることを示す第1メッセージを管理装置から受信するステップと、
前記第1メッセージを受信した場合、前記電力変換装置が前記事業者の制御に従って運転中である情報を表示する制御を行うとともに、ユーザによって指定された前記電力制御メッセージの受け付けが保留される旨を表示する制御を行うステップと、を有する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理方法、表示装置及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、分散電源を制御する電力変換装置と、電力変換装置と通信を行う管理装置とを有する管理システムが提案されている(例えば、特許文献1)。分散電源は、例えば、太陽電池、蓄電池、燃料電池などの電源である。
【0003】
上述した管理システムの普及には、分散電源と管理装置との間の通信規格を共通化することが効果的であり、このような通信規格の共通化が試みられている。
【0004】
また、電力変換装置は、事業者(発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者など)から指定される電力制御メッセージに基づいて動作するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-171359号公報
【発明の概要】
【0006】
第1の特徴は、管理装置と、分散電源からの出力電力及び前記分散電源への入力電力の少なくともいずれかを交流電力又は直流電力に変換する電力変換装置と、前記電力変換装置の状態を表示する表示装置とを備える管理システムに関する。前記管理装置は、前記表示装置に対して、前記電力変換装置を制御する電力制御メッセージの送信元を特定するための送信元メッセージを送信する送信部を備える。
【0007】
第2の特徴は、管理装置と、分散電源からの出力電力及び前記分散電源への入力電力の少なくともいずれかを交流電力又は直流電力に変換する電力変換装置と、前記電力変換装置の状態を表示する表示装置とを備える管理システムで用いる管理方法に関する。前記管理方法は、前記管理装置から前記表示装置に対して、前記電力変換装置を制御するための電力制御メッセージの送信元を特定するための送信元メッセージを送信するステップを備える。
【0008】
第3の特徴は、管理装置と、分散電源からの出力電力及び前記分散電源への入力電力の少なくともいずれかを交流電力又は直流電力に変換する電力変換装置とを備える管理システムに設けられており、前記電力変換装置の状態を表示する表示装置に関する。前記表示装置は、前記電力変換装置を制御するための電力制御メッセージの送信元を特定するための送信元メッセージを前記管理装置から受信する受信部を備える。
【0009】
第4の特徴は、分散電源からの出力電力及び前記分散電源への入力電力の少なくともいずれかを交流電力又は直流電力に変換する電力変換装置と、前記電力変換装置の状態を表示する表示装置とを備える管理システムに設けられる管理装置に関する。前記管理装置は、前記表示装置に対して、前記電力変換装置を制御するための電力制御メッセージの送信元を特定するための送信元メッセージを送信する送信部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る管理システム1を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る通信装置132を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るEMS160を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る表示装置170を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るSETコマンドの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るSET応答コマンドの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るGETコマンドの一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るGET応答コマンドの一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係るINFコマンドの一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る管理方法を示すシーケンス図である。
図11図11は、実施形態に係る管理方法を示すシーケンス図である。
図12図12は、変更例1に係る管理方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0012】
但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0013】
[実施形態]
(管理システム)
以下において、実施形態に係る管理システムについて説明する。図1に示すように、管理システム1は、施設100と、外部サーバ400と、ユーザ端末500とを有する。施設100は、ルータ200を有する。ルータ200は、ネットワーク300を介して外部サーバ400と接続される。ルータ200は、ローカルエリアネットワークを構成しており、各装置(例えば、PCS130の通信装置132、負荷150、EMS160及び表示装置170など)と接続される。図1において、実線は電力線を示しており、点線は信号線を示している。なお、これに限定されるものではなく、電力線で信号を送信してもよい。
【0014】
施設100は、太陽電池110と、蓄電池120と、PCS130と、分電盤140と、負荷150と、EMS160と、表示装置170とを有する。
【0015】
太陽電池110は、受光に応じて発電を行う装置である。太陽電池110は、発電されたDC電力を出力する。太陽電池110の発電量は、太陽電池110に照射される日射量に応じて変化する。実施形態では、太陽電池110は、事業者から指定される出力抑制に基づいて出力抑制され得る分散電源の一例であるが、これに限定されず、蓄電池120は、事業者から指定される出力抑制に基づいて出力抑制され得る分散電源であってもよい。
【0016】
蓄電池120は、電力を蓄積する装置である。蓄電池120は、蓄積されたDC電力を出力する。実施形態では、蓄電池120は、事業者から指定される出力抑制に基づいて出力抑制され得ない分散電源の一例として説明するが、これに限定されず、出力抑制され得る分散電源であってもよい。
【0017】
PCS130は、分散電源からの出力電力及び分散電源への入力電力の少なくともいずれかを交流電力又は直流電力に変換する電力変換装置(PCS;Power Conditioning System)の一例である。実施形態では、PCS130は、変換装置131及び通信装置132を有する。実施形態では、PCS130は、変換装置131を含むユニットの一例である。
【0018】
変換装置131は、太陽電池110からのDC電力をAC電力に変換するとともに、蓄電池120からのDC電力をAC電力に変換する。さらに、変換装置131は、電力系統10からのAC電力をDC電力に変換する。変換装置131は、電力系統10に接続された主幹電力線10L(ここでは、主幹電力線10LA及び主幹電力線10LB)に第1分電盤140Aを介して接続されるとともに、太陽電池110及び蓄電池120の双方に接続される。主幹電力線10LAは、電力系統10と第1分電盤140Aとを接続する電力線であり、主幹電力線10LBは、第1分電盤140Aと第2分電盤140Bとを接続する電力線である。なお、本実施形態では、変換装置131は太陽電池110及び蓄電池120に接続されたハイブリッド型の電力変換装置について説明するが、太陽電池110及び蓄電池120のそれぞれに電力変換装置が接続されるように構成してもよい。太陽電池110及び蓄電池120のそれぞれに電力変換装置が接続される構成である場合、それぞれの電力変換装置が、本実施形態のハイブリッド型の電力変換装置と同様の制御が可能となっている。
【0019】
通信装置132は、変換装置131と接続されており、変換装置131への各種メッセージを受信するとともに、変換装置131からの各種メッセージを送信する。通信装置132と変換装置131との間の通信では、PCS130に適用されるプロトコル(例えば、独自プロトコル)が用いられる。
【0020】
実施形態では、通信装置132は、有線又は無線によってルータ200と接続される。通信装置132は、ルータ200を介して外部サーバ400と接続されており、分散電源の出力抑制を指示する出力抑制メッセージを外部サーバ400から受信する。第2に、通信装置132は、ルータ200を介してEMS160と接続されており、所定フォーマットを有する所定コマンドの通信をEMS160と行う。所定フォーマットは、特に限定されるものではなく、例えば、ECHONET(登録商標)方式、ECHONET Lite(登録商標。以下同じ。)方式、SEP2.0方式又はKNX方式等を用いることができる。
【0021】
所定フォーマットは、例えば、ECHONET Lite方式に準拠するフォーマットについて説明する。このようなケースにおいて、所定コマンドは、例えば、要求コマンド、要求コマンドに対する応答である要求応答コマンド、又は情報通知コマンドに大別することができる。要求コマンドは、例えば、SETコマンド又はGETコマンドなどである。要求応答コマンドは、例えば、SETコマンドに対する応答であるSET応答コマンド、GETコマンドに対する応答であるGET応答コマンドなどである。情報通知コマンドは、例えば、INFコマンドなどである。
【0022】
SETコマンドは、PCS130に対する設定又は操作を指示するプロパティを含むコマンドである。SET応答コマンドは、SETコマンドを受信した旨を示すコマンドである。GETコマンドは、PCS130の状態を示すプロパティを含み、PCS130の状態を取得するためのコマンドである。GET応答コマンドは、PCS130の状態を示すプロパティを含み、GETコマンドで要求された情報を含むコマンドである。INFコマンドは、PCS130の状態を示すプロパティを含み、PCS130の状態を通知するためのコマンドである。
【0023】
分電盤140は、主幹電力線10Lに接続される。分電盤140は、第1分電盤140A及び第2分電盤140Bを有する。第1分電盤140Aは、主幹電力線10LAを介して電力系統10に接続されているとともに、変換装置131を介して太陽電池110及び蓄電池120と接続されている。また、第1分電盤140Aは、変換装置131から出力される電力及び電力系統10から供給される電力を制御して主幹電力線10LBに流す。主幹電力線10LBから流れてきた電力は、第2分電盤140Bによって、各機器(ここでは、負荷150及びEMS160)に分配される。
【0024】
負荷150は、電力線を介して供給される電力を消費する装置である。例えば、負荷150は、エアーコンディショナ、照明装置、冷蔵庫、テレビなどの装置を含む。負荷150は、単数の装置であってもよく、複数の装置を含んでもよい。
【0025】
EMS160は、施設100における電力を示す電力情報を管理する装置(EMS;Energy Management System)である。施設100における電力とは、施設100内を流れる電力、施設100が買電する電力、又は施設100から売電する電力等を指すものである。従って、例えば、EMS160は、少なくともPCS130を管理する。
【0026】
EMS160は、太陽電池110の発電量、蓄電池120の充電量及び蓄電池120の放電量を制御してもよい。EMS160は、分電盤140と一体として構成されていてもよい。EMS160は、ネットワーク300に接続された装置であり、EMS160が有する機能は、ネットワーク300を介したクラウドサービスによって提供されてもよい。
【0027】
実施形態では、EMS160は、ルータ200を介して各機器(例えば、PCS130の通信装置132及び負荷150)と接続されており、所定フォーマットを有する所定コマンドの通信を各機器と行う。
【0028】
EMS160は、ルータ200を介して表示装置170と接続されており、表示装置170と通信を行う。EMS160は、所定フォーマットを有する所定コマンドの通信を表示装置170と行ってもよい。上述したように、所定フォーマットは、例えば、ECHONET Lite方式に準拠するフォーマットである。
【0029】
表示装置170は、PCS130の状態を表示する。表示装置170は、施設100における電力を示す電力情報を表示してもよい。表示装置170は、例えば、スマートフォン、タブレット、テレビ、パーソナルコンピュータ又は専用端末である。表示装置170は、有線又は無線によってEMS160と接続されており、EMS160と通信を行う。表示装置170は、所定フォーマットを有する所定コマンドの通信をEMS160と行ってもよい。表示装置170は、各種情報の表示に必要なデータをEMS160から受信する。
【0030】
ネットワーク300は、EMS160及び外部サーバ400を接続する通信網である。ネットワーク300は、インターネットのような公衆通信回線であってもよい。ネットワーク300は、移動体通信網を含んでもよい。また、ネットワーク300は、専用通信回線であってもよいし、一般通信回線であってもよい。例えば、太陽電池110の出力が所定の出力以上である場合には、ネットワーク300として専用通信回線を用いることにより、より精度よく出力抑制を実施することができる。
【0031】
外部サーバ400は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者などの事業者によって管理されるサーバである。例えば、事業者は、分散電源の出力抑制を指定するものであり、例えば、発電事業者、送配電事業者、小売事業者或いは分散電源の群管理事業者などの事業者である。具体的には、外部サーバ400は、分散電源の出力抑制を指示する出力抑制メッセージを送信する。外部サーバ400は、電力系統10から施設100に対する潮流量の抑制を指示する潮流量抑制メッセージ(DR;Demand Response)を送信してもよい。
【0032】
出力抑制メッセージは、分散電源(ここでは、太陽電池110)の出力抑制のレベルを示す目標出力抑制レベルを含む。目標出力抑制レベルは、分散電源を制御するPCSの出力能力(例えば、定格出力)として認定を受けた出力(以下、設備認定出力)に応じて定められる。目標出力抑制レベルは、設備認定出力に応じて定められる絶対値(例えば、○○kW)で表されてもよく、設備認定出力に対する相対値(例えば、○○kWの減少)で表されてもよく、設備認定出力に対する抑制割合(例えば、○○%)で表されてもよい。なお、設備認定出力で説明したが、設備認定容量[kWh]であってもよい。また、分散電源は、蓄電池120及び燃料電池であってもよい。
【0033】
分散電源の出力能力とPCSの出力能力とが異なる場合には、設備認定出力は、これらの出力能力のうち、小さい方の出力能力に設定される。複数のPCSが設置されるケースにおいては、設備認定出力は、複数のPCSの出力能力の合計である。
【0034】
実施形態では、出力抑制メッセージは、分散電源の出力抑制のスケジュールを示すカレンダー情報を含む。カレンダー情報において、分散電源の出力抑制のスケジュールは30分単位で設定可能である。カレンダー情報は、1日分のスケジュールを含んでもよく、1月分のスケジュールを含んでもよく、1年分のスケジュールを含んでもよい。
【0035】
実施形態では、分散電源の出力抑制が行われる最大期間として所定期間が定められていてもよい。所定時間は、例えば、1年間における日数であってもよく(日数ルール)、1年間における累計時間であってもよい(累計時間ルール)。より具体的に、所定期間は、例えば、1年間において30日であってもよく(30日ルール)、1年間において360時間であってもよい(360時間ルール)。但し、所定期間が定められていなくてもよい(指定ルール)。これらのルールは、出力抑制メッセージに従った分散電源の出力抑制の種別である。
【0036】
実施形態では、外部サーバ400は、EMS160を経由して、変換装置131を制御する電力制御メッセージをPCS130に送信する。電力制御メッセージは、変換装置131を制御するメッセージであればよく、太陽電池110の出力の増減を指示するメッセージであってもよく、蓄電池120の蓄電又は放電を指示するメッセージであってもよい。また、電力制御メッセージは、出力抑制メッセージ及び潮流量抑制メッセージであってもよいが、出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージは、EMS160を経由せずに外部サーバ400からPCS130に送信されてもよい。
【0037】
ユーザ端末500は、EMS160を経由して、変換装置131を制御する電力制御メッセージを送信する。ユーザ端末500は、例えば、スマートフォン、タブレット又は専用端末である。ユーザ端末500は、太陽電池110、蓄電池120又はPCS130を利用するユーザが所持する端末であってもよく、太陽電池110、蓄電池120又はPCS130のメンテナンスを担う業者が所持する端末であってもよい。電力制御メッセージは、変換装置131を制御するメッセージであればよく、太陽電池110の出力の増減を指示するメッセージであってもよく、蓄電池120の蓄電又は放電を指示するメッセージであってもよい。
【0038】
図1では、ユーザ端末500は、ネットワーク300及びルータ200を介してEMS160と接続されているが、実施形態はこれに限定されるものではない。ユーザ端末500は、需要家施設1内に位置しており、ネットワーク300を経由せずにルータ200を介してEMS160と接続されていてもよい。例えば、ユーザ端末500は、上述した表示装置170であってもよい。なお、ユーザ端末500は、ネットワーク300を経由してルータ200を介してEMS160と接続してもよい。
【0039】
(適用シーン)
上述したように、電力制御メッセージは、外部サーバ400から送信されることもあり、ユーザ端末500から送信されることもある。従って、外部サーバ400から送信される電力制御メッセージ及びユーザ端末500から送信される電力制御メッセージが競合するケースが想定される。このようなケースにおいて、変換装置131の動作が誰の指示に従っているのかを把握することができないと、変換装置131を適切に制御することができない可能性がある。
【0040】
このような観点から、実施形態では、EMS160は、電力制御メッセージの送信元を特定するための送信元メッセージを表示装置170に送信する。送信元は、変換装置131が接続された電力系統を管理する事業者及び変換装置131を操作するユーザの中から選択された主体であってもよい。変換装置131が接続された電力系統を管理する事業者は、外部サーバ400を管理する主体であり、例えば、発電事業者、送配電事業者、小売事業者或いは分散電源の群管理事業者などの事業者である。変換装置131を操作するユーザは、ユーザ端末500を管理する主体であり、例えば、太陽電池110、蓄電池120又はPCS130を利用するユーザであってもよく、太陽電池110、蓄電池120又はPCS130のメンテナンスを担う業者であってもよい。
【0041】
上述した表示装置170は、送信元メッセージの受信に応じて、送信元を特定する情報を表示する。例えば、送信元を特定する情報は、「発電事業者などの事業者の制御に従って運転中」、「ユーザの制御に従って運転中」などの情報である。送信元を特定する情報は、必ずしも送信元の名称を含む必要はなく、「集中制御中」、「個別運転中」といった情報であってもよい。
【0042】
また、送信元を特定する情報とともに電力制御メッセージがどのような通信経路で送られてきたかを示す通信情報を含んでいてもよい。通信情報としては、例えば、公衆回線を介したか否かを示す情報要素(公衆回線経由操作又は公衆回線経由操作)、又は専用回線を介したか否かを示す情報要素であってもよい。
【0043】
(通信装置)
以下において、実施形態に係る通信装置について説明する。図2に示すように、通信装置132は、第1通信部132Aと、第2通信部132Bと、インタフェース132Cと、制御部132Dとを有する。ここで、通信装置132(すなわち、PCS130)は機器の一例である。
【0044】
第1通信部132Aは、出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージを外部サーバ400から受信する。実施形態では、第1通信部132Aは、EMS160を経由せずに、出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージを受信してもよく、EMS160を経由して、出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージを受信してもよい。
【0045】
第2通信部132Bは、所定フォーマットを有する所定コマンドの通信をEMS160と行う。上述したように、所定フォーマットは、例えば、ECHONET Lite方式に準拠するフォーマットである。ここで、通信装置132(第2通信部132B)とEMS160との通信で用いられる所定フォーマットは、通信装置132(第1通信部132A)と外部サーバ400との通信で用いられるフォーマットと異なってもよい。また、第2通信部132B(第2通信部132B)とEMS160との通信で用いられる所定フォーマットは、通信装置132(インタフェース132C)と変換装置131との通信で用いられるフォーマットと異なってもよい。
【0046】
インタフェース132Cは、変換装置131とのインタフェースである。インタフェース132Cは、有線のインタフェースであってもよく、無線のインタフェースであってもよい。通信装置132と変換装置131との間の通信では、PCS130に適用されるプロトコル(例えば、独自プロトコル)が用いられる。
【0047】
制御部132Dは、メモリ及びCPUによって構成されており、通信装置132を制御する。例えば、制御部132Dは、インタフェース132Cを用いて変換装置131を制御することによって、出力抑制メッセージに従って分散電源の出力を制御する。制御部132Dは、インタフェース132Cを用いて、変換装置131の状態(例えば、太陽電池110の発電量、蓄電池120の蓄電量、蓄電池120の放電量)を変換装置131から取得する。制御部132Dは、EMS160から受信するコマンドに基づいて変換装置131を制御するためのコマンドを生成し、インタフェース132Cを用いてコマンドを変換装置131に出力する。
【0048】
(管理装置)
以下において、実施形態に係る管理装置について説明する。図3に示すように、EMS160は、通信部161と、制御部162とを有する。
【0049】
通信部161は、所定フォーマットを有する所定コマンドの通信を通信装置132及び表示装置170と行う。上述したように、所定フォーマットは、例えば、ECHONET Lite方式に準拠するフォーマットである。
【0050】
制御部162は、メモリ及びCPUによって構成されており、EMS160を制御する。制御部162は、太陽電池110の発電量、蓄電池120の充電量及び蓄電池120の放電量を制御してもよい。
【0051】
(表示装置)
以下において、実施形態に係る表示装置について説明する。図4に示すように、表示装置170は、通信部171と、表示部172、制御部173とを有する。
【0052】
通信部171は、所定フォーマットを有する所定コマンドの通信をEMS160と行う。上述したように、所定フォーマットは、例えば、ECHONET Lite方式に準拠するフォーマットである。
【0053】
表示部172は、各種情報を表示する。表示部172は、例えば、有機EL又は液晶などのディスプレイである。表示部172は、例えば、送信元を特定する情報を表示する。
【0054】
制御部173は、メモリ及びCPUによって構成されており、表示装置170を制御する。制御部173は、例えば、送信元メッセージの受信に応じて、送信元を特定する情報の表示制御を行う。
【0055】
(メッセージフォーマット)
以下において、実施形態に係るメッセージフォーマットについて説明する。ここでは、所定フォーマットがECHONET Lite方式に準拠するフォーマットであるケースを例示する。
【0056】
図5に示すように、SETコマンドM510は、ヘッダM511と、コードM512と、対象プロパティM513とを含む。実施形態では、SETコマンドM510は、電力制御メッセージに応じてPCS130の動作を指示するコマンドの一例であり、EMS160からPCS130に送信されるコマンドである。すなわち、SETコマンドM510は、電力制御メッセージの一例であると考えてもよい。
【0057】
ヘッダM511は、SETコマンドM510の宛先等を示す情報である。コードM512は、コードM512を含むメッセージの種別を示す情報である。ここでは、コードM512は、コードM512を含むメッセージがSETコマンドであることを示す情報である。対象プロパティM513は、EMS160がPCS130に指示する動作を示すプロパティを含む。
【0058】
図6に示すように、SET応答コマンドM520は、ヘッダM521と、コードM522と、応答内容M523とを含む。実施形態では、SET応答コマンドM520は、EMS160から受信されるコマンドに応じて、PCS130からEMS160に送信されるコマンドの一例である。
【0059】
ヘッダM521は、SET応答コマンドM520の宛先等を示す情報である。コードM522は、コードM522を含むメッセージの種別を示す情報である。ここでは、コードM522は、コードM522を含むメッセージがSET応答コマンドであることを示す情報である。応答内容M523は、SETコマンドを受信したことを示す情報を含む。このような情報は、SETコマンドに含まれるプロパティのコピーであってもよいし、肯定応答(Acknowledgement;ACK)であってもよい。またこのような情報は、これに限定されず、一部のデータだけを正しく受け取った旨を意図する応答(Selective ACK)であってもよい。
【0060】
図7に示すように、GETコマンドM610は、ヘッダM611と、コードM612と、対象プロパティM613とを含む。実施形態では、GETコマンドM610は、PCS130の状態を要求するコマンドの一例であり、EMS160からPCS130に送信されるコマンドの一例である。
【0061】
ヘッダM611は、GETコマンドM610の宛先等を示す情報である。コードM612は、コードM612を含むメッセージの種別を示す情報である。ここでは、コードM612は、コードM612を含むメッセージがGETコマンドであることを示す情報である。対象プロパティM613は、EMS160が知りたいプロパティを含む。
【0062】
図8に示すように、GET応答コマンドM620は、ヘッダM621と、コードM622と、応答内容M623とを含む。実施形態では、GET応答コマンドM620は、EMS160から受信されるコマンドに応じて、PCS130からEMS160に送信されるコマンドの一例である。
【0063】
ヘッダM621は、GET応答コマンドM620の宛先等を示す情報である。コードM622は、コードM622を含むメッセージの種別を示す情報である。ここでは、コードM622は、コードM622を含むメッセージがGET応答コマンドであることを示す情報である。応答内容M623は、GETコマンドによって要求されたプロパティを含む。
【0064】
図9に示すように、INFコマンドM710は、ヘッダM711と、コードM712と、対象プロパティM713とを含む。実施形態では、INFコマンドM710は、送信元を表示装置170に通知するコマンドの一例であり、EMS160から表示装置170に送信される送信元メッセージの一例である。
【0065】
ヘッダM711は、INFコマンドM710の宛先等を示す情報である。コードM712は、コードM712を含むメッセージの種別を示す情報である。ここでは、コードM712は、コードM712を含むメッセージがINFコマンドであることを示す情報である。対象プロパティM713は、EMS160が通知するプロパティを含む。
【0066】
(管理方法)
以下において、実施形態に係る管理方法について説明する。ここでは、PCS130(通信装置132)とEMS160との通信で用いられる所定フォーマットがECHONET Lite方式に準拠するフォーマットであるケースを例示する。
【0067】
第1に、電力制御メッセージが外部サーバ400から送信されるケースについて、図10を参照しながら説明する。
【0068】
図10に示すように、ステップS10において、外部サーバ400は、変換装置131を制御する電力制御メッセージをEMS160に送信する。
【0069】
ステップS11において、EMS160は、電力制御メッセージに対応するSETコマンドをPCS130に送信する。
【0070】
ステップS12において、PCS130は、SETコマンドに対するSET応答コマンドをEMS160に送信する。
【0071】
ステップS13において、EMS160は、電力制御メッセージの指定元を特定するための送信元メッセージを表示装置170に送信する。送信元メッセージは、例えば、上述したINFコマンド、又は、EMS160からのGETコマンドに対するGET応答等を用いることができる。
【0072】
ステップS14において、表示装置170は、送信元(ここでは、外部サーバ400を管理する事業者)を特定するための情報を表示する。
【0073】
図10では、電力制御メッセージに対応するSETコマンドをPCS130に送信するケースを例示している。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。電力制御メッセージが出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージである場合には、EMS160は、ステップS11及びステップS12の処理に代えて、出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージをPCS130に送信してもよい。
【0074】
第2に、電力制御メッセージがユーザ端末500から送信されるケースについて、図11を参照しながら説明する。
【0075】
図11に示すように、ステップS20において、ユーザ端末500は、変換装置131を制御する電力制御メッセージをEMS160に送信する。
【0076】
ステップS21において、EMS160は、電力制御メッセージに対応するSETコマンドをPCS130に送信する。
【0077】
ステップS22において、PCS130は、SETコマンドに対するSET応答コマンドをEMS160に送信する。
【0078】
ステップS23において、EMS160は、電力制御メッセージの指定元を特定するための送信元メッセージを表示装置170に送信する。送信元メッセージは、例えば、上述したINFコマンドである。
【0079】
ステップS24において、表示装置170は、送信元(ここでは、ユーザ端末500を管理する事業者)を特定するための情報を表示する。
【0080】
(作用及び効果)
実施形態では、EMSは、160は、電力制御メッセージの指定元を特定するための指定元メッセージを表示装置170に送信する。従って、外部サーバ400から送信される電力制御メッセージ及びユーザ端末500から送信される電力制御メッセージが競合するケースを想定した場合であっても、変換装置131の動作が誰の指示に従っているのかを把握することができ、変換装置131を適切に制御することができる。
【0081】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態の変更例1について説明する。
【0082】
変更例1では、外部サーバ400から送信される電力制御メッセージ及びユーザ端末500から送信される電力制御メッセージが実際に競合するケースについて説明する。このようなケースにおいて、EMS160は、事業者によって指定された電力制御メッセージに基づいて変換装置131が動作している間において、ユーザによって指定された電力制御メッセージの送信を保留する。
【0083】
表示装置170は、送信元が事業者である場合に、事業者によって指定された電力制御メッセージに基づいて変換装置131が動作している間において、ユーザによって指定された電力制御メッセージの受け付けが保留される旨を表示する。
【0084】
電力制御メッセージの送信の保留は、ある一定期間中の間ずっと保留してもよいし、所定回数を超えるまで保留してもよい。保留される所定回数は、例えば、少なくとも1回であればよいし、条件によって保留される回数が変化してもよい。条件によって保留される回数が変化される場合には、例えば、ユーザ端末500が表示装置170又はリモートコントローラから送信された電力制御メッセージの送信を少なくとも1回保留するように設定してもよい。
【0085】
具体的には、図12に示すように、ステップS30において、外部サーバ400は、変換装置131を制御する電力制御メッセージをEMS160に送信する。
【0086】
ステップS31において、EMS160は、電力制御メッセージに対応するSETコマンドをPCS130に送信する。
【0087】
ステップS32において、PCS130は、SETコマンドに対するSET応答コマンドをEMS160に送信する。
【0088】
ステップS33において、EMS160は、電力制御メッセージの指定元を特定するための送信元メッセージを表示装置170に送信する。送信元メッセージは、例えば、上述したINFコマンドである。
【0089】
ステップS34において、表示装置170は、送信元(ここでは、外部サーバ400を管理する事業者)を特定するための情報を表示する。ここで、表示装置170は、ユーザ端末500から受信した電力制御メッセージの受け付けが保留される旨を表示する。例えば、表示装置170は、「ユーザ制御を受け付けることができません」といった旨を表示する。
【0090】
ステップS35において、ユーザ端末500は、変換装置131を制御する電力制御メッセージをEMS160に送信する。
【0091】
ステップS36において、EMS160は、ユーザ端末500から受信した電力制御メッセージの送信を保留する。
【0092】
ステップS37において、EMS160は、電力制御メッセージの指定元を特定するための指定元メッセージを表示装置170に送信してもよい。送信元メッセージは、例えば、上述したINFコマンドである。このようなケースにおいて、表示装置170は、ユーザ端末500から電力制御メッセージが受信された旨を表示してもよい。さらに、表示装置170は、ユーザ端末500から受信した電力制御メッセージの受け付けが保留された旨を表示してもよい。例えば、表示装置170は、「ユーザ制御が保留されました」といった旨を表示する。
【0093】
図12では、電力制御メッセージに対応するSETコマンドをPCS130に送信するケースを例示している。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。電力制御メッセージが出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージである場合には、EMS160は、ステップS31及びステップS32の処理に代えて、出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージをPCS130に送信してもよい。
【0094】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0095】
実施形態では、通信装置132とEMS160との通信で用いられる所定フォーマットがECHONET Lite方式に準拠するフォーマットであるケースについて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。所定フォーマットは、施設100で用いるフォーマットとして規格化されたフォーマットであればよい。
【0096】
実施形態では、太陽電池110及び蓄電池120の出力を制御するPCS130(マルチPCS)を例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。PCS130は、太陽電池110を制御するPCSであってもよく、蓄電池120の出力を制御するPCSであってもよい。
【0097】
実施形態では、表示装置170は、例えば、スマートフォン、タブレット、テレビ又は専用端末である。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。表示装置170は、変換装置131を操作するリモートコントローラであってもよい。リモートコントローラは、PCS130の一部であると考えてもよい。
【0098】
実施形態では、通信装置132が電力制御メッセージの一例であるSETコマンドをEMS160から受信する。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。EMS160は、変換装置131を操作するリモートコントローラに対して、電力制御メッセージの一例であるSETコマンドを送信してもよい。リモートコントローラが通信装置132であると考えてもよい。
【0099】
実施形態では、外部サーバ400又はユーザ端末500から受信する電力制御メッセージは、SETコマンドの形態でEMS160からPCS130に送信される。EMS160は、外部サーバ400又はユーザ端末500から受信する電力制御メッセージを適切に変換した上で、変換された電力制御メッセージ(例えば、SETコマンド)をPCS130に送信してもよい。変換された電力制御メッセージについても、変換装置131を制御する電力制御メッセージの一例である。このようなケースにおいて、EMS160は、外部サーバ400又はユーザ端末500から受信する電力制御メッセージに基づいてPCS130を制御するために、複数のSETコマンドを適切なタイミングでPCS130に送信してもよい。
【0100】
実施形態では、電力制御メッセージ(例えば、出力抑制メッセージ又は潮流量抑制メッセージ)がEMS160を経由せずにPCS130に送信されるケースもあり得る。このようなケースにおいて、EMS160は、電力制御メッセージの送信元を特定するための情報をPCS130から受信してもよい。PCS130は、電力制御メッセージの送信元を特定するための情報をINFコマンドでEMS160に送信してもよい。PCS130は、電力制御メッセージの送信元を特定するための情報をINFコマンドで表示装置170に送信してもよい。
【0101】
実施形態では、第1通信部132A及び第2通信部132Bが別の構成である場合について説明したが、第1通信部132A及び第2通信部132Bが一体の構成であってもよい。すなわち、第1通信部132Aが第2通信部132Bの役割を兼ねてもよい。
【0102】
実施形態では特に限定していないが、分散電源の一例である蓄電池120は、施設100に設けられる蓄電池であってもよく、電動車輌(EV;Electric Vehicle)に設けられる蓄電池であってもよい。
【0103】
なお、日本国特許出願第2016-103057号(2016年5月24日出願)の全内容が参照により本願明細書に組み込まれている。
図1
図2
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図6
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図10
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