IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イノックス・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特許7153690FOD接着フィルム、及びこれを含む半導体パッケージ
<>
  • 特許-FOD接着フィルム、及びこれを含む半導体パッケージ 図1
  • 特許-FOD接着フィルム、及びこれを含む半導体パッケージ 図2
  • 特許-FOD接着フィルム、及びこれを含む半導体パッケージ 図3
  • 特許-FOD接着フィルム、及びこれを含む半導体パッケージ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】FOD接着フィルム、及びこれを含む半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20221006BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20221006BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20221006BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20221006BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221006BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20221006BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20221006BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20221006BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20221006BHJP
【FI】
H01L23/30 R
H01L25/08 E
C09J7/20
C09J133/00
C09J163/00
C09J7/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020114245
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2021010007
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0078925
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0078926
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0090349
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519204054
【氏名又は名称】イノックス・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOX Advanced Materials Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】171,Asanvalley-ro,Dunpo-myeon,Asan-si,Chungcheongnam-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ウォン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-クン・キム
(72)【発明者】
【氏名】クン-ヨン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンジュン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンヒョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ポムソク・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソク・チョ
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-127014(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0137128(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 25/065
C09J 7/20
C09J 133/00
C09J 163/00
C09J 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着層及び前記接着層の一面にサポート層が積層した積層構造;を含み、
前記接着層が、半導体パッケージに含まれるコントローラダイの少なくとも一部を埋め込むためのものであり、
前記サポート層が、前記接着層を保護し、前記接着層が切断されるとき前記接着層の融着による切断不良を防止するためのものであ
前記サポート層の表面エネルギーが40dyne/cm以上であり、
前記サポート層の破断伸び率は、100%以下で、前記接着層の破断伸び率は、20%以上であり、
前記接着層に対する前記サポート層の密着力が20gf/cm以上である、
FOD接着フィルム。
【請求項2】
前記サポート層のガラス転移温度は、130℃以上である、
請求項1に記載のFOD接着フィルム。
【請求項3】
前記接着層の他の一面に積層した離型フィルム;をさらに含む、
請求項1に記載のFOD接着フィルム。
【請求項4】
前記サポート層は、
ポリイミド(polyimide、PI)、ポリイミドアミド(polyimideamide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリエチレンテレフタラート(polyethyleneterephtalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)、及びポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon、PEEK)のうち1種以上の材料を含む、
請求項1に記載のFOD接着フィルム。
【請求項5】
前記接着層は、
アクリル共重合体、エポキシ樹脂及び無機フィラーを含む、
請求項1に記載のFOD接着フィルム。
【請求項6】
前記アクリル共重合体は、
ガラス転移温度0℃~20℃及び重量平均分子量100,000~500,000であるアクリル共重合体を含む、
請求項に記載のFOD接着フィルム。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂は、
ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フローレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン系エポキシ樹脂、及びテトラフェニルメタン系エポキシ樹脂のうち1種以上を含む、
請求項記載のFOD接着フィルム。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂は、
10℃~35℃で液状のエポキシ樹脂;及び10℃~35℃で固状のエポキシ樹脂;を含むことを特徴とする、
請求項に記載のFOD接着フィルム。
【請求項9】
前記接着層は、60~150μmの厚さを有する、
請求項1に記載のFOD接着フィルム。
【請求項10】
前記サポート層は、5~50μmの厚さを有する、
請求項1に記載のFOD接着フィルム。
【請求項11】
基板;
前記基板の上部に実装されたコントローラダイ;
前記基板の上部に形成されたFOD接着フィルム;及び、
前記FOD接着フィルム上に積層した半導体ダイ;を含み、
前記FOD接着フィルムは、接着層及び前記接着層の一面にサポート層が積層した積層構造を含み、
前記コントローラダイの少なくとも一部が前記接着層の内部に埋込され、
前記サポート層が、前記接着層を保護し、前記接着層が切断されるとき前記接着層の融着による切断不良を防止するためのものであ
前記サポート層の表面エネルギーが40dyne/cm以上であり、
前記サポート層の破断伸び率は、100%以下で、前記接着層の破断伸び率は、20%以上であり、
前記接着層に対する前記サポート層の密着力が20gf/cm以上である、
半導体パッケージ。
【請求項12】
前記サポート層のガラス転移温度は、130℃以上である、
請求項11に記載の半導体パッケージ。
【請求項13】
前記接着層内の単数または複数個の受動素子;単数または複数個のボンディングパッド;及び単数または複数個のワイヤ;をさらに含むことを特徴とする、
請求項11に記載の半導体パッケージ。
【請求項14】
前記基板及び実装されたコントローラダイ上にダイアタッチフィルムを含み、
前記FOD接着フィルムのサポート層と半導体ダイとの間にダイアタッチフィルムを含むことを特徴とする、
請求項11に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FOD(Film on die)適用方式の半導体パッケージに適用されるコントローラダイ埋込型接着フィルム、及びこれを用いた半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体パッケージの製造過程では、リードフレームや回路基板部材に半導体チップを付着するにおいて、先ず、ダイ固定用パッド部位に液状接着剤を注入して塗布し、ここに半導体チップを搭載した後、液状接着剤層を一定時間高温硬化させた後、半導体チップのボンディングパッドと基板のボンディング領域との間を電気的信号交換が可能であるようにワイヤでボンディングする工程と、半導体チップとワイヤ等を囲むモールディング工程を行う多段階過程の工程法が採用されてきた。従来に多く使用されていた液状接着剤は、突出または半導体素子の傾斜に起因するワイヤボンディング(wire bonding)時の異常発生、気泡発生、厚さの制御が難しい点等の短所があった。よって、最近は、液状接着剤に代えて接着フィルムが主に用いられつつある。
【0003】
最近、電子機器の小型化、高機能化、大容量化が拡大しつつあり、これに伴う半導体パッケージの高密度化、高集積化に対する必要性が急激に大きくなるにつれて、半導体チップの大きさがますます大きくなっており、集積度の点からも改善するために、チップを多段に積層するスタックパッケージ方法が増加しつつある。
【0004】
かかる半導体パッケージでは、半導体素子間の信号や動作を制御するためのコントローラダイ(Controller die)が用いられ、コントローラダイは、通常、構造的特性により半導体の外郭部または半導体の上部側に位置している。
【0005】
しかし、コントローラダイが半導体の外郭部に位置する場合は、半導体パッケージの面積が増加して、パッケージの縮小における限界を有しており、半導体の上部側に位置する場合は、コントローラの接続に要するワイヤの長さが長くなるにつれて、抵抗が増加するようになり、高速伝送に困難性がある。
【0006】
したがって、このコントローラダイを半導体積層部の下端に埋込むことで、パッケージ面積の効率的活用、及び信号の高速伝送に優れる構造を確保することができる。コントローラダイを半導体積層部の下端に埋込むために、前記コントローラダイより厚い厚さを有するFOD(film over die)接着フィルムが用いられた。
【0007】
しかし、FOD接着フィルムの適用された半導体パッケージは、FOD接着フィルム上に積層する半導体ダイ(ウエハーチップ)と、ダイアタッチフィルム上に積層する半導体ダイをそれぞれ別途管理しなければならない。これによって、FOD接着フィルムの適用された半導体パッケージは、通常の半導体パッケージに比べて、総歩留まりが減少する問題がある。
【0008】
また、FOD接着フィルムを半導体パッケージに適用するうちに、FOD接着フィルムが一定サイズにカットされる切断工程が行われるとき、接着層の過度な融着によりピックアップ不良率が上がる問題が生じてきた。
【0009】
さらに、FOD接着フィルムを半導体パッケージに適用するためにFOD接着フィルムを移送するとき、FOD接着フィルムの比較的に厚い厚さによりジャム(jam)現象が発生する問題がある。
【0010】
また、FOD接着フィルムを基板に付着させ、前記FOD接着フィルム上に半導体ダイを積層させるダイアタッチ工程が行われるとき、コントローラダイがFOD接着フィルム内にしっかり埋込まれず、半導体ダイの積層不良が発生する問題がある。
【0011】
上記のような問題点のため、当該業界では、FOD接着フィルムの適用された半導体パッケージを回避する現象が生じている。
【0012】
これによって、上記のような問題点を解決することのできる新規なFOD接着フィルムが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した技術的問題点を解決するために、新しい物性と構造を有するFOD接着フィルムを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、製造工程が簡単、かつ製造歩留まりの高いFOD接着フィルムが適用された半導体パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1実施態様によるFOD接着フィルムは、接着層の一面にサポート層の積層した新規な積層構造を含む。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2実施態様によるFOD接着フィルムは、プローブタック測定値と溶融粘度を制御した接着層を含む。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の半導体パッケージは、接着層の一面にサポート層の積層した新規な積層構造を有するFOD接着フィルムを含み、コントローラダイの少なくとも一部が前記接着層の内部に埋込まれている構造を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1実施態様によるFOD接着フィルムは、接着層の一面にサポート層の積層した新規な積層構造を含み、前記サポート層によりカッティング工程時に不良率の発生が著しく減少する、優れる効果を有する。
【0019】
また、本発明の第2実施態様によるFOD接着フィルムは、プローブタック測定値と溶融粘度を制御した接着層を含み、FOD接着フィルムの移送工程とダイアタッチ工程における不良率が著しく減少する効果を有する。
【0020】
また、本発明によるFOD接着フィルムの適用された半導体パッケージは、FOD接着フィルム上に積層する半導体ダイと、ダイアタッチフィルムによって積層する半導体ダイを別途管理する必要がないため、従来のFOD接着フィルムの適用された半導体パッケージに比べて、歩留まりが飛躍的に上昇する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例によるFOD接着フィルムを示した断面図。
図2】本発明の他の一実施例によるFOD接着フィルムを示した断面図。
図3】本発明によるFOD接着フィルムが半導体パッケージに適用される工程を概略的に示した工程図。
図4】本発明による半導体パッケージを示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前述した目的、特徴及び長所は詳細に後述され、これによって本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにおいて、本発明に係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳細な説明を省略する。以下では、本発明による好ましい実施例を詳説する。
【0023】
本発明は、以下に開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現することができる。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にして、通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。
【0024】
以下では、本発明によるFOD接着フィルム、及びこれを含む半導体パッケージについて詳説する。
【0025】
<FOD(film over die)接着フィルム>
1.第1実施態様によるFOD接着フィルム
図1を参照すれば、本発明の第1実施態様によるFOD接着フィルム100は、接着層10及び前記接着層10の一面にサポート層20の積層した積層構造;を含む。さらに、本発明のFOD接着フィルムに含まれた前記積層構造が半導体パッケージにそのまま適用される。
【0026】
従来のFOD接着フィルムは、接着層のみが半導体パッケージに適用されていた。これと違って、本発明によるFOD接着フィルム100は、接着層10及び前記接着層10の一面にサポート層20の積層した積層構造を含み、前記積層構造が半導体パッケージに適用される。このように、本発明によるFOD接着フィルム100は、少なくとも2層の積層構造を有する点から、従来のFOD接着フィルムと構成上において相違する。
【0027】
本発明のFOD接着フィルムに含まれたサポート層20は、前記接着層10の一面に積層して、前記接着層10の一面を保護しつつ、ダイアタッチフィルムが接着されている半導体ダイがローディングされうる中問層機能を行う。
【0028】
さらに、前記サポート層20は、表面エネルギーが40dyne/cm以上であり、破断伸び率は、100%以下に制御されうる。
【0029】
前記サポート層20の表面エネルギーが40dyne/cm未満である場合は、FOD接着フィルムの切断工程における前記サポート層20と前記接着層10とが互いに剥離する問題が生じ得る。また、前記サポート層の表面エネルギーが40dyne/cm未満である場合は、前記サポート層20と前記接着層10との間の界面密着力の不足により製品不良が発生し得る。好ましくは、前記サポート層20の表面エネルギーの上限を100dyne/cm以下に限定することができる。
【0030】
また、前記サポート層20の破断伸び率が100%を超える場合は、FOD接着フィルムの切断工程における前記サポート層20のフィルム延伸によって不良の問題が生じ得る。好ましくは、前記サポート層20の破断伸び率の下限を20%以上に限定することができる。
【0031】
前記サポート層20は、前記接着層10の一面に積層しつつ、前記接着層10を保護し、かつダイアタッチフィルムの接着されている半導体ダイがローディングされうるポリマー素材であれば、制限なく適用可能である。好ましくは、前記サポート層20は、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリイミドアミド(polyimideamide)、ポリエーテルイミド(polyetherimide、PEI)、ポリエチレンテレフタラート(polyethyleneterephtalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)、及びポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon、PEEK)のうち1種以上の材料を含んでいてもよい。
【0032】
好ましくは、前記サポート層20は、5~50μmの厚さを有し得る。前記サポート層20の厚さが5μm未満であれば、前記接着層10の一面を保護するための十分な厚さを有し得ないため、FOD接着フィルムを切断する過程で不良が発生する可能性が高くなる。また、前記サポート層20の厚さが50μmを超えると、不要な厚い厚さにより単価が上昇する等の問題がある。
【0033】
次に、本発明のFOD接着フィルム100に含まれた接着層10は、半導体パッケージに含まれたコントローラダイの少なくとも一部を埋込む機能を有する。
【0034】
また、前記接着層10の破断伸び率は、20%以上に制御することができる。前記接着層10の破断伸び率が20%未満である場合は、FOD接着フィルムの切断工程における前記接着層10の割れ現象により切断面不良の問題が生じ得る。好ましくは、前記接着層20の破断伸び率の上限を100%以下に限定することができる。
【0035】
このように、本発明によるFOD接着フィルムは、前記サポート層20と前記接着層10の物性を制御して、切断工程で発生する不良を除去する特性を有する。
【0036】
さらに、前記サポート層20と接着層10の物性を制御するための手段が特に制限されるものではない。好ましくは、前記サポート層20と接着層10を成す成分、組成等、様々な手段を適宜調節して物性を制御することができる。
【0037】
前記接着層10は、優れたコントローラダイ埋込性と共に、適正フィレット(fillet)、ワイヤが押される性質の防止、適正硬化性、耐湿性及び耐熱性を確保するために公知の最適組成比で製造することができる。
【0038】
好ましくは、前記接着層10は、アクリル共重合体、エポキシ樹脂及び無機フィラーを含んでいてもよい。
【0039】
前記接着層10に含まれたアクリル共重合体は、ガラス転移温度0℃~20℃及び重量平均分子量100,000~500,000のアクリル共重合体を含んでいてもよい。このとき、アクリル共重合体の重量平均分子量が100,000未満である場合は、前記接着層のフィルムの形成が難しい、かつ前記接着層の流動性が過多となり、ワイヤボンディングパッドの汚染を引き起こし得る。さらに、アクリル共重合体の重量平均分子量が500,000を超えると、高分子重合が難しくて、実際は適用されにくいだけでなく、コーティング性が不良であるおそれがある。何より、後述するサポート層との積層となる点を考慮して、アクリル共重合体の重量平均分子量は、100,000~500,000であることが好ましい。また、アクリル共重合体のガラス転移温度が0℃未満である場合は、接着層自体のtack(べたつき)特性が強く発現して、ピックアップ(pick up)工程で歩留まりが低下するおそれがあり、ガラス転移温度が20℃を超えると、付着特性が低下して、マウント(mount)工程でボイドを引き起こし得る。
【0040】
さらに、前記アクリル共重合体は、エポキシ基を含有するアクリル共重合体であって、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレート3~15重量%を含んでいてもよい。アクリル共重合体内のエポキシ基の含量が3重量%未満であれば、エポキシ基樹脂と相溶性が十分でないし、エポキシの基含量が15重量%を越えると、硬化による転移上昇速度が早過ぎて、硬化工程で熱圧によるコントローラダイの埋込が十分に行われない可能性がある。
【0041】
また、前記接着層10は、エポキシ樹脂を含んでいてもよい。より具体的には、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フローレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン系エポキシ樹脂、及びテトラフェニルメタン系エポキシ樹脂のうちから選択された1種以上を含んでいてもよく、好ましくは、ビスフェノール系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック系エポキシ樹脂のうちから選択された1種以上を混合して用いることができる。このとき、前記ビスフェノール系エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等がある。
【0042】
また、前記エポキシ樹脂は、10℃~35℃で液状のエポキシ樹脂;及び10℃~35℃で固状のエポキシ樹脂;を含んでいてもよく、これらが適正比で接着層に含まれていてもよい。前記液状のエポキシ樹脂は、エポキシ当量150~210g/eq及び粘度10,000~15,000cps(25℃)であってもよく、好ましくは、エポキシ当量170~200g/eq及び粘度10,500~14,500cps(25℃)であってもよい。そして、前記固状のエポキシ樹脂は、エポキシ当量180~240g/eq及び軟化点50℃~70℃であってもよく、好ましくは、エポキシ当量195~225g/eq及び軟化点50℃~65℃であってもよい。
【0043】
また、本発明による接着層10は、無機フィラーを含んでいてもよい。前記無機フィラーは、好ましくは平均粒径約0.1μm~2μmの球状粉末を含んでいてもよい。このとき、無機フィラーの平均粒径が0.1μm未満であれば、接着層内で固まって存在する問題があり得るし、2μmを越えると、コントローラダイ及び/または半導体ダイが無機フィラーによるパターン損傷やクラックが発生し得るし、接着層の接着性が低下し得る。
【0044】
前記球状粉末は、アルミナ、シリカ、水酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウムのうちから選択された1種以上を含んでいてもよく、好ましくは、アルミナ及びシリカのうちから選択された1種以上を含んでいてもよい。
【0045】
好ましくは、前記接着層10は、60~150μmの厚さを有し得る。前記接着層20の厚さが60μm未満であれば、コントローラダイを埋込むための十分な厚さを有し得ないため、半導体パッケージの不良が発生する可能性が高くなる。また、前記接着層10の厚さが150μmを越えると、不要な厚い厚さにより単価が上昇する等の問題があり、ダイアタッチ工程が行われるとき、resin flow現象が発生し過ぎて、ボンディングパッドが汚染する等の問題がある。
【0046】
本発明による接着フィルムは、前記接着層に対する前記サポート層の密着力が20gf/cm以上に制御されることが好ましい。好ましくは、前記密着力は、B-stageで測定及び制御されてもよい。ここで、B-stageとは、前記接着層が熱風乾燥によって溶媒が乾燥した半硬化状態を意味する。仮に前記密着力が20gf/cm未満であれば、前記接着フィルムのカッティング工程を行う過程で、サポート層と接着層との間に剥離が発生し得る。好ましくは、前記密着力の上限を100gf/cm以下に限定することができる。
【0047】
さらに、図2を参照すれば、本発明によるFOD接着フィルム101は、接着層10の他の一面(サポート層20が積層した面の反対面)に離型フィルム30をさらに含んでいてもよい。また、サポート層20の一面に離型フィルム30がさらに含まれていてもよい。
【0048】
前記離型フィルム30の素材は、FOD接着フィルム101を保護することのできるポリマーフィルム素材であれば制限されない。好ましくは、ポリエチレンテレフタラート(polyethyleneterephtalate、PET)を含む素材が前記離型フィルム30に用いられる。
【0049】
図3を参照すれば、図3には本発明によるFOD接着フィルム100が移送、切断及びピックアップされて、後述する半導体パッケージに適用されるための工程が概略的に示されている。
【0050】
本発明によるFOD接着フィルム100が離型フィルム30を含む場合は、先に離型フィルムが除去される工程が行われてもよい。もちろん、FOD接着フィルム100が離型フィルム30を含まなければ、離型フィルムを除去する工程は省略される。
【0051】
次に、FOD接着フィルム100は、移送工程を経てブレードによって一定サイズにカットされる切断工程を経る。その後、カットされたFOD接着フィルム100は、ピックアップ(pick up)されて、半導体パッケージに適用される。
【0052】
上述したように、FOD接着フィルムを半導体パッケージに適用するうちに、FOD接着フィルムが一定サイズにカットされる切断工程が行われるとき、接着層の融着過多により、ピックアップ不良率が増加する問題が発生してきた。
【0053】
しかし、本発明によるFOD接着フィルム100は、従来のFOD接着フィルムと違って、接着層10及び前記接着層10に積層したサポート層20を含む積層構造を有することで、カッティング工程時に、前記サポート層20によって前記接着層10の融着過多現象を抑制して、ピックアップ不良率の発生が著しく減少する効果がある。
【0054】
2.第2実施態様によるFOD接着フィルム
次に、本発明の第2実施態様によるFOD接着フィルムは、プローブタック(Probe Tack)測定値が15gf以下であり、110℃における溶融粘度が2000~9000Pa・sである接着層;を含む。
【0055】
FOD接着フィルムに用いられる接着層は、半導体パッケージに含まれたコントローラダイの少なくとも一部を埋込む機能を有する。また、前記接着層は、優れたコントローラダイ埋込性と共に、適正フィレット(fillet)、ワイヤが押される性質の防止、適正硬化性、耐湿性及び耐熱性を確保するために製造されるものが好ましい。本発明における接着層は、プローブタック(Probe Tack)測定値が15gf以下であり、110℃における溶融粘度が2000~9000Pa・sであるものが用いられる。
【0056】
半導体パッケージを製作するとき、FOD接着フィルムは、移送工程を経るが、FOD接着フィルムの接着層は、比較的に厚い厚さを有しており、B-Stage上で移送されるため、ジャム(jam)現象がしばしば発生する。本発明の発明者は、接着層のタック特性を制御するとき、ジャム現象が抑制される点に着目して、移送工程でジャム現象を抑制するように接着層のプローブタック(Probe Tack)測定値を15gf以下に制御した。プローブタック(Probe Tack)測定値は、プローブタック試験によって測定された値を意味する。より好ましくは、接着層のプローブタック(Probe Tack)測定値が1~9gfであってもよい。前記接着層のプローブタック(Probe Tack)測定値が15gf以上であれば、過度な接着特性によりFOD接着フィルムの移送過程で接着層のジャム現象が頻繁に発生する。
【0057】
さらに、FOD接着フィルムを基板に付着させ、前記FOD接着フィルム上に半導体ダイを積層させるダイアタッチ工程が行われるとき、コントローラダイがFOD接着フィルム内にうまく埋込まれず、特に、半導体ダイの積層不良が発生する問題がしばしば発生する。本発明の発明者は、接着層の溶融粘度を制御するとき、コントローラダイが接着層内にしっかり埋込まれるし、前記接着層上に半導体ダイがしっかり積層することに着目して、接着層の110℃における溶融粘度を2000~9000Pa・sに制御した。より好ましくは、接着層の110℃における溶融粘度が5000~8000Pa・sであってもよい。前記接着層の110℃における溶融粘度が2000Pa・s未満であれば、接着層によってボンディングパッドが汚染する問題が生じ得るし、逆に、前記接着層の110℃における溶融粘度が9000Pa・sを越えると、コントローラダイ埋込不良が発生して、ワイヤが垂れる(sagging)問題が生じ得る。
【0058】
このように、本発明による接着層は、プローブタック(Probe Tack)測定値が15gf以下であり、110℃における溶融粘度が2000~9000Pa・sであるものであって、これによって、移送工程でジャム現象が抑制され、ダイアタッチ工程で不良が発生しない特性を有する。
【0059】
前記接着層のプローブタック(Probe Tack)測定値と溶融粘度を制御するための手段が特に制限されるものではない。好ましくは、接着層を成す成分たちの物性を適宜調節する手段を用いて、プローブタック(Probe Tack)測定値と溶融粘度を制御することができる。
【0060】
第2実施態様の接着層の成分及び厚さは、第1実施態様の接着層の成分及び厚さと同様であってもよい。
【0061】
また、第2実施態様によるFOD接着フィルムは、前記接着層の一面にサポート層の積層した積層構造を含んでいてもよく、前記積層構造が半導体パッケージに適用されてもよい。前記サポート層は、第1実施態様のサポート層の成分及び厚さと同様であってもよい。
【0062】
<半導体パッケージ>
以下では、本発明による半導体パッケージについて詳説する。
【0063】
図4を参照すれば、本発明の第1実施態様による半導体パッケージは、基板200;前記基板200の上部に実装されたコントローラダイ40;前記基板200の上部に形成されたFOD接着フィルム100;及び前記FOD接着フィルム100上に積層した半導体ダイ60;を含み、前記FOD接着フィルム100は、接着層10及び前記接着層10の一面にサポート層20の積層した積層構造を含み、前記コントローラダイ40の少なくとも一部が前記接着層10の内部に埋込まれている構造を有する。
【0064】
上述したように、前記サポート層の表面エネルギーが40dyne/cm以上であることが好ましいし、前記サポート層の破断伸び率は、100%以下であることが好ましいし、前記接着層の破断伸び率は、20%以上であることが好ましい。
【0065】
本発明の第2実施態様による半導体パッケージは、基板200;前記基板200の上部に実装されたコントローラダイ40;前記基板の上部に形成されたFOD接着フィルム100;及び前記FOD接着フィルム100上に積層した半導体ダイ60;を含み、前記FOD接着フィルム100は、プローブタック(Probe Tack)測定値が15gf以下であり、110℃における溶融粘度が2000~9000Pa・sである接着層10を含み、前記コントローラダイ40の少なくとも一部が前記接着層10の内部に埋込まれている。
【0066】
好ましくは、図4を参照すれば、本発明による半導体パッケージは、前記接着層10の一面に積層したサポート層20;をさらに含む積層構造を有するFOD接着フィルム100が適用されうる。
【0067】
図4を参照すれば、本発明の第1及び第2実施態様による半導体パッケージは、前記基板200上にボンディングパッド70が形成されてもよく、前記ボンディングパッドは、半導体ダイ(チップ)60上に形成されたボンディングパッド70とワイヤで連結されてもよい。
【0068】
前記半導体ダイ60は、一面にダイアタッチフィルム52の接着した形態で半導体パッケージに適用されてもよい。
【0069】
また、本発明による半導体パッケージは、半導体ダイ60を含む積層体がEMC(Epoxy molding compound)80に埋込まれた構造を有し得る。
【0070】
さらに、本発明による半導体パッケージは、前記接着層10内の単数または複数個の受動素子;単数または複数個のボンディングパッド70;及び単数または複数個のワイヤ;をさらに含んでいてもよい。
【0071】
また、本発明による半導体パッケージは、前記基板200及び実装されたコントローラダイ40上にダイアタッチフィルム51を含んでいてもよく、前記FOD接着フィルムのサポート層20と半導体ダイ60との間にダイアタッチフィルム52を含んでいてもよい。
【0072】
上述したように、FOD接着フィルムの適用された半導体パッケージは、FOD接着フィルム上に積層する半導体ダイ(ウエハーチップ)と、ダイアタッチフィルム上に積層する半導体ダイをそれぞれ別途管理しなければならない。これによって、FOD接着フィルムの適用された半導体パッケージは、通常の半導体パッケージ比べて、総歩留まりが減少する問題がある。
【0073】
しかし、本発明によるFOD接着フィルム100の適用された半導体パッケージは、FOD接着フィルム100上に積層する半導体ダイと、ダイアタッチフィルムによって積層する半導体ダイを別途管理する必要がない。言い換えれば、本発明によるFOD接着フィルム100の適用された半導体パッケージは、FOD接着フィルム100上に積層する半導体ダイもダイアタッチフィルムを備えた半導体ダイを用いることができる。これによって、従来のFOD接着フィルムの適用された半導体パッケージに比べて、歩留まりが飛躍的に上昇する効果を有する。
【0074】
<実施例>
1.第1実施態様によるFOD接着フィルムの製造及び試験
(1)第1実施態様によるFOD接着フィルムの製造
第1実施態様によるFOD接着フィルムを製造するために、次のような組成を用いて接着層を形成するコーティング液を製造した。
【0075】
アクリル共重合体(ナガセケムテックスSG-P307S、数平均分子量250,000、ガラス転移温度10℃)を準備した。
【0076】
常温(15~35℃)で液状のエポキシ樹脂であるビスフェノールAエポキシ樹脂(KUKDO化学YD-128、エポキシ当量:187g/eq)及び常温(15~35℃)で固状のエポキシ樹脂であるクレゾールノボラックエポキシ樹脂(KUKDO化学YDCN-500-5P、エポキシ当量:206g/eq)を熱硬化性樹脂として準備した。
【0077】
硬化剤として、フェノールノボラック樹脂(Kolon chemical(株)KPH-F2004、OH当量:106g/eq、軟化点:120)を準備しており、無機充填剤として球状シリカ(電気化学工業株式会社SFP-30M、平均粒径0.7μm)を準備した。
【0078】
また、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤(キュアゾール2PH)を準備した。
【0079】
上記成分を用いて下記表1のような配合比で混合して混合液を製造した。
【0080】
次に、コーティング性を確保する次元で、前記混合液をメチルエチルケトン(MEK)と1:0.9重量比で混合して接着コーティング液を製造した。
【0081】
[表1]
【0082】
次に、下記表2のようなサポート層を準備した。
【0083】
[表2]
【0084】
表1に記載の各々のコーティング液を表2に記載のサポート層上に塗布した。前記接着コーティング液上に離型処理したポリエステルフィルムを積層し、130℃で5分間熱風乾燥機内で混合溶剤を乾燥、除去させることで、半導体パッケージ用のFOD接着シートを製作した。
【0085】
表1、2に記載の表面エネルギーと破断伸び率は、下記の方法により測定された。
【0086】
1)表面エネルギーの測定方法
測定対象それぞれを平らで硬い支持板上に一様な塗膜厚を有するようにコーティングして準備し、接触角測定機(サーフェスエレクトロオプティックス社、SEO300A)を用いて水との表面エネルギーを測定した。
【0087】
2)破断伸び率の測定方法
測定対象フィルムを1号ダンベル状(JIS K 7113)に孔を空けて試験片を作成し、引張試験装置(JIS B 7721)を用いて測定した。試験片に100mmの標線を入れた後、引張試験機を用いて標線間切断時の荷重(抗張力)と成長を測定した。ただし、引張速度は、100mm/minにした。
【0088】
3)密着力の測定方法
実施例及び比較例による接着フィルムについて接着層に対するサポート層の密着力を測定した。
【0089】
密着力は、180℃剥離(PEEL)実験(測定温度:25℃、剥離速度:50mm/min)によって測定された値である。
【0090】
実施例及び比較例の界面密着力測定値を表3に記載した。
【0091】
[表3]
【0092】
(2)コントローラダイの埋込まれた基板の製作
市販中の10μmダイアタッチ用のフィルムを用いて厚さ50μm、長さ3mm×5mm(横×縦)サイズのコントローラチップ(ダイ)を温度120℃、圧力 1kg、時間1秒の条件でPCB基板上に付着して、コントローラが含まれた基板を製作した。
【0093】
(3)第1実施態様によるFOD接着フィルムを移送、カッティング、ピックアップ、及び基板に付着して半導体パッケージを製作
準備したFOD接着フィルムを移送しながら切断し、実施例/比較例の各試片当たり総100個のFOD接着フィルムサンプルを製作した。前記FOD接着フィルムサンプルをダイボンディング装置SPA-300S(商品名、SHINKAWA)を用いてニードル(NEEDLE)個数21、ニードル高さ0.30mmでピックアップを行い、温度120℃、圧力1kgf、時間1秒で、先に製作したコントローラチップの付着した基板に接着した。
【0094】
(4)結果評価
本発明による実施例1及び2は、いずれも切断工程で不良がなかった。これに比べて、比較例1は、68%のサンプルにおいて接着層の切断面に割れ現象が発生しており、比較例2は、54%のサンプルにおいてサポート層と接着層とが互いに剥離されていた。
【0095】
このように、サポート層と接着層の物性を制御した本発明による実施例は、切断工程で不良が発生していなかった。
【0096】
2.第2実施態様によるFOD接着フィルムの製造及び試験
(1)第2実施態様によるFOD接着フィルムの製造
第2実施態様によるFOD接着フィルムを製造するために、下記のような組成を用いて接着層を形成するコーティング液を製造した。
【0097】
アクリル共重合体(ナガセケムテックスSG-P307S、数平均分子量250,000、ガラス転移温度10℃)を準備した。
【0098】
常温(15~35℃)で液状のエポキシ樹脂であるビスフェノールAエポキシ樹脂(KUKDO化学YD-128、エポキシ当量:187g/eq)及び常温(15~35℃)で固状のエポキシ樹脂であるクレゾールノボラックエポキシ樹脂(KUKDO化学YDCN-500-5P、エポキシ当量:206g/eq)を熱硬化性樹脂として準備した。
【0099】
硬化剤として、フェノールノボラック樹脂(Kolon chemical(株)KPH-F2004、OH当量:106g/eq、軟化点:120)を準備しており、無機充填剤として球状シリカ(電気化学工業株式会社SFP-30M、平均粒径0.7μm)を準備した。
【0100】
また、硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤(キュアゾールC11Z)を準備した。
【0101】
次に、前記アクリル樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、及び硬化促進剤を下記表4に記載の配合比で混合して混合液を製造した。
【0102】
次に、コーティング性を確保する次元で、前記混合液をメチルエチルケトン(MEK)と1:0.9重量比で混合して、接着コーティング液を製造した。
【0103】
[表4]
【0104】
次に、厚さ30μmの離型処理したポリエステルフィルム上に、実施例3、4と比較例3~4から得られた接着コーティング液をそれぞれ塗布した。これらを130℃で5分間熱風乾燥機内で混合溶剤を乾燥、除去させることで、半導体パッケージ用のFOD接着シートをそれぞれ製作した。
【0105】
また、厚さ30μmのポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketon、PEEK)をサポート層として準備し、前記PEEKフィルム上に実施例5及び6から得られた接着コーティング液を塗布した。前記接着コーティング液上に離型処理したポリエステルフィルムを積層し、130℃で5分間熱風乾燥機内で混合溶剤を乾燥、除去させることで、半導体パッケージ用のFOD接着シートをそれぞれ製作した。
【0106】
(2)コントローラダイの埋込まれた基板の製作
市販中の10μmダイアタッチ用のフィルムを用いて厚さ50μm、長さ3mm×5mm(横×縦)サイズのコントローラチップ(ダイ)を温度120℃、圧力1kg、時間1秒の条件で、PCB基板上に付着して、コントローラの含まれた基板を製作した。
【0107】
(3)第2実施態様によるFOD接着フィルムを移送、カッティング、ピックアップ及び基板に付着して、半導体パッケージを製作
準備したFOD接着フィルムを移送しながら切断し、実施例/比較例の各試片当たり総100個のFOD接着フィルムサンプルを製作した。前記FOD接着フィルムサンプルをダイボンディング装置SPA-300S(商品名、SHINKAWA)を用いてニードル(NEEDLE)個数21、ニードル高さ0.30mmでピックアップを行い、温度120℃、圧力1kgf、時間1秒で、先に製作したコントローラチップの付着した基板に接着した。
【0108】
(4)結果評価
1)FOD接着フィルムの物性測定
i)プローブタック測定
プローブタック測定値は、25℃の温度条件で、φ10mmの平たいプローブを荷重0.5Nの圧力を加えながら、測定対象である各接着フィルム試片に10秒間押した後、プローブをその熱伝導シートから外すときに要する力として測定した。
【0109】
ii)溶融粘度測定
各接着フィルム試片を600~800μmでロールラミネートを用いて積層した後、8mm径の円形に切断した後、ARES G2 Rheometer(商品名、TA社製造)を用いて平行板法により温度25℃~180℃(昇温速度20℃/分)、strain10%、frequency5rad/秒、force0.5Nで110℃溶融粘度を測定した。
【0110】
各試片のプローブタック測定値と110℃溶融粘度測定値を下記表5に整理した。
【0111】
[表5]
【0112】
2)不良率評価
本発明による実施例3~6は、いずれも移送工程とダイアタッチ工程における不良がなかった。これに比べて、比較例3は、移送工程でジャム現象によって不良率が12%発生した。比較例4は、ダイアタッチ工程を行う過程で、コントローラダイ埋込不良現象によって不良率が32%発生した。
【0113】
また、実施例5及び6は、実施例3、4及び比較例3、4と違って、ウエハーとともにダイシングする必要がなく、ダイアタッチフィルムの付着したウエハーのみを用いて製造することができて、工程が簡単であり、歩留まりが向上した。
【0114】
以上のように、本発明について説明したが、本明細書に開示した実施例によって本発明が限定されるものではないし、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって多様な変形がなされることは自明である。さらに、本発明の実施例を前述しながら本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、該構成によって予測可能な効果も認められるべきである。
図1
図2
図3
図4