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特許7153695情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20221006BHJP
【FI】
G06Q10/08 302
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020161625
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054527
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大橋 英博
(72)【発明者】
【氏名】梅原 暢紘
(72)【発明者】
【氏名】星野 恭大
【審査官】安田 勇太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-118749(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0067686(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JANコードとは異なるインボイス情報を受け付ける受付部と、
前記インボイス情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデルと、所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルの両方に必ず適用して、商品分類を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の機関が税関であり、
前記公式見解は、事前教示情報、関税率表解説情報及び分類例規情報のいずれか1つ以上を含む請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記インボイス情報を前記実績モデルに適用し、前記インボイス情報に基づいて得られる第二商品情報を前記収集情報モデルに適用することで、商品分類を判定する請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
JANコードとは異なるインボイス情報を受け付ける受付部と、
前記インボイス情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル、並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルに適用して、商品分類を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を備え
前記判定部は、前記実績モデルにおける実績予測結果及び前記収集情報モデルにおける予測結果の各々に対して重みづけすることで商品分類を判定する情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記実績モデルと、
事前教示情報に基づいて生成された第一収集情報モデルと、
関税率表解説情報に基づいて生成された第二収集情報モデルと、
分類例規情報に基づいて生成された第三収集情報モデルと、
を用いて商品分類を判定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
商品情報を受け付ける受付部と、
商品情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル、並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルに適用して、商品分類を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を備え、
前記判定部は、
前記実績モデルと、
事前教示情報に基づいて生成された第一収集情報モデルと、
関税率表解説情報に基づいて生成された第二収集情報モデルと、
分類例規情報に基づいて生成された第三収集情報モデルと、
を用いて商品分類を判定し、
前記判定部は、前記実績モデルにおける実績予測結果、前記第一収集情報モデルにおける第一予測結果、前記第二収集情報モデルにおける第二予測結果及び前記第三収集情報モデルにおける第三予測結果の各々に対して重みづけすることで商品分類を判定する情報処理装置。
【請求項7】
前記インボイス情報は輸入商品又は輸出商品のインボイス情報であり、
商品分類はHSコードである請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
受付部によって、JANコードとは異なるインボイス情報を受け付ける工程と、
判別部によって、前記インボイス情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデルと、所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルの両方に必ず適用して、商品分類を判定する工程と、
出力部によって、前記判定部による判定結果を出力する工程と、
を備える情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置は、
JANコードとは異なるインボイス情報を受け付ける受付機能と、
前記インボイス情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデルと、所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルの両方に必ず適用して、商品分類を判定する判定機能と、
前記判定機能による判定結果を出力する出力機能と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品情報を所定のモデルに適用して商品分類を判定し、当該判定結果を出力する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、輸出入を支援するためのシステムを提供することが試みられている。一例として、特許文献1では、輸出国から輸出される商品の登録を受け付ける受け付け手段と、前記登録が受け付けられた商品に関し、輸出入の履歴を記録したデータベースにおいて当該商品と同一の商品が前記輸出国から輸入国へ輸出入された履歴を参照し、当該履歴から当該商品を輸出入する際に用いられる輸出入情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された前記輸出入情報をデータ化するデータ化手段と、前記データ化された前記輸出入情報を出力する出力手段とを有する輸出入支援システムを提供することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6614564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一例として輸出入にも利用できる情報処理装置であって、従来であれば高い経験や専門知識に基づいて判断されていた商品分類を高い確度で適切なものに分類することができる情報処理装置と、それに関連した情報処理方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による情報処理装置は、
商品情報を受け付ける受付部と、
商品情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル、並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルに適用して、商品分類を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
を備えてもよい。
【0006】
本発明による情報処理装置において、
前記所定の機関が税関であり、
前記公式見解は、事前教示情報、関税率表解説情報及び分類例規情報のいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0007】
本発明による情報処理装置において、
前記商品情報は、前記受付部で受け付けられた第一商品情報と、前記第一商品情報に基づいて得られる第二商品情報とを含み、
前記判定部は、前記第一商品情報を前記実績モデルに適用し、前記第二商品情報を前記収集情報モデルに適用することで、商品分類を判定してもよい。
【0008】
本発明による情報処理装置において、
前記第二商品情報は前記第一商品情報に基づいてインターネットを介して得られてもよい。
【0009】
本発明による情報処理装置において、
前記判定部は、
前記実績モデルと、
前記事前教示情報に基づいて生成された第一収集情報モデルと、
前記関税率表解説情報に基づいて生成された第二収集情報モデルと、
前記分類例規情報に基づいて生成された第三収集情報モデルと、
を用いて商品分類を判定してもよい。
【0010】
本発明による情報処理装置において、
前記判定部は、前記実績モデルにおける実績予測結果、前記第一収集情報モデルにおける第一予測結果、前記第二収集情報モデルにおける第二予測結果及び前記第三収集情報モデルにおける第三予測結果の各々に対して重みづけすることで商品分類を判定してもよい。
【0011】
本発明による情報処理装置において、
商品は輸入商品又は輸出商品であり、
商品分類はHSコードであってもよい。
【0012】
本発明による情報処理方法は、
受付部によって、商品情報を受け付ける工程と、
判別部によって、前記商品情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル、並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルに適用して、商品分類を判定する工程と、
出力部によって、前記判定部による判定結果を出力する工程と、
を備えてもよい。
【0013】
本発明によるプログラムは、
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置は、
商品情報を受け付ける受付機能と、
商品情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル、並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルに適用して、商品分類を判定する判定機能と、
前記判定部による判定結果を出力する出力機能と、
を実行させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
一例として、商品情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル、並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルに適用して、商品分類を判定し、当該商品分類の結果を出力する態様を採用した場合には、従来であれば高い経験や専門知識に基づいて判断されていた商品分類を高い確度で適切なものに分類することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態による情報処理装置の概略ブロック図。
図2】本発明の実施の形態による情報処理の流れの一例を示した図。
図3】本発明の実施の形態による情報処理の流れの一例を図2よりも具体的に示した図。
図4】本発明の実施の形態において、実績モデルを生成する工程と実績モデルに情報を適用する工程とを説明するための図。
図5】本発明の実施の形態において、事前教示モデルを生成する工程と事前教示モデルに情報を適用する工程とを説明するための図。
図6】本発明の実施の形態において、関税率表解説モデルを生成する工程と関税率表解説モデルに情報を適用する工程とを説明するための図。
図7】本発明の実施の形態において、分類例規モデルを生成する工程と分類例規モデルに情報を適用する工程とを説明するための図。
図8】本発明の実施の形態において、実績モデル、事前教示モデル、関税率表解説モデル及び分類例規モデルに情報を適用して、統合結果を出力する態様を示した図。
図9】本発明の実施の形態において、特定商品のインボイス情報を学習済みモデルに適用することで、HSコードの候補を出力する態様を示した図。
図10】本発明の実施の形態における情報の関連付けの一例を示した図。
図11】本発明の実施の形態において、インボイス情報から複数のHSコード候補が挙げられ、当該HSコード候補の中からHSコードが入力される態様を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《構成》
本実施の形態の情報処理装置はあらゆる分野で利用できる。本実施の形態の情報処理装置は、一つの装置から構成されてもよいし複数の装置から構成されてもよい。また、複数の装置から情報処理装置が構成される場合には、各装置が同じ部屋等の同じ空間に設けられる必要はなく、異なる部屋、異なる建物、異なる地域等に設けられてもよい。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の情報処理装置は、商品情報を受け付ける受付部10と、商品情報を所定のモデルに適用して商品分類を判定する判定部20と、判定部20による判定結果を出力する出力部30と、を備えてもよい。所定のモデルは、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルを有してもよい。実績モデルは、例えば、インボイス情報等の過去の情報と、最終的に決定された商品分類とに基づいて生成されるモデルである。公式見解は、例えば、商品分類を示した所定の機関が発行している情報であり、所定の条件から導かれる商品分類によって生成されるモデルである。
【0018】
実績モデルは、統計モデルであってもよいし、人工知能による機械学習によって生成されるモデルであってもよい。同様に、収集情報モデルは、統計モデルであってもよいし、人工知能による機械学習によって生成されるモデルであってもよい。実績モデル及び/又は収集情報モデルは生成部40によって生成され、生成されたモデルが記憶部60で記憶されてもよい。
【0019】
統計モデルは予め準備され、記憶部60(図1参照)で記憶されてもよい。機械学習によって生成されるモデルは記憶部60で記憶され、機械学習によって随時更新されてもよいし、所定のタイミングで定期的に機械学習が行われるようにしてもよい。統計モデルを用いる場合には、所定の採用変数と各採用変数に対する係数が利用されることになってもよい。人工知能機能を用いたモデルを用いる場合にも、所定の採用変数と各採用変数に対する係数が利用されることになってもよい。統計モデルを用いた場合と比較して、人工知能機能を用いたモデルを用いる場合には、採用変数の数は桁違いに多くなってもよく、100~1000程度の採用変数が採用されてもよい。
【0020】
統計モデルとしては、回帰分析手法(線形回帰分析及びロジスティック回帰分析を含む。)を利用してもよいし、決定木手法(CART、CHAID、ID3、C4.5といった学習アルゴリズム手法を含む。)を利用してもよい。人工知能機能を用いる場合には、ディープラーニング手法を用いてもよいし、ランダムフォレスト、SVMやGBDT等の多様な機械学習手法を用いてもよい。
【0021】
商品は輸入商品又は輸出商品であり、商品分類はHSコードであってもよい。所定の機関は税関であってもよいし、その他の機関であってもよい。本実施の形態では、一例として、商品が輸入商品又は輸出商品からなり、所定の機関が税関である態様を主に用いて説明するが、これに限られることはない。HSコードとは、「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」に基づいて品目毎に定められているコードであり、「関税分類番号」とも呼ばれるものである。「類」(上2桁)、「項」(上4桁)及び「号」(上6桁)に「統計細分」(下3桁)を加えた番号(合計9桁)からなっている。「号」まで(上6桁まで)は、世界共通の番号であり、それ以下の「統計細分」は、その桁数も含め国毎に定められている。このようにHSコードは6桁+3桁=9桁の数字によって構成されている。
【0022】
実績モデルの作成時に入力される情報は例えば特定商品のインボイス情報を含んでもよい。特定商品のインボイス情報は、インボイス番号(Invoice Number)、日付(Date)、品名、数量(Quantity)、単位、単価(Price)、金額(Amount)、売り手の名称及び住所(Seller's Name and Address)や買い手の名称及び住所(Buyer's Name and Address)等の取引先情報等を有してもよい。入力されるインボイス番号、日付、品名、数量、単位、単価、金額、売り手の名称及び住所や買い手の名称及び住所等の取引先情報等の情報と、実際に付けられたHSコードといった商品分類に関する情報を用いて、統計モデルや機械学習によるモデルからなる実績モデルが作成されることになる。このようにして作成された実績モデル(例えば記憶部60に記憶されている。)に、対象商品における品名、数量、単位、単価、取引先情報(売り手及び/又は買い手の情報)等の入力された際に利用された情報が適用されることで、対象商品におけるHSコードといった商品分類に関する情報が判定部20によって判定され、出力部30によって出力されるようにしてもよい。対象商品における情報は、受付部10によって受け付けられることになる。上記例では、対象商品におけるインボイス情報が受付部10で受け付けられることで、当該対象製品における所定の情報が実績モデルに適用されて、対象商品におけるHSコードといった商品分類に関する情報が判定部20によって判定され、出力部30によって出力されることになる。
【0023】
また、収集情報モデルの作成時には、公式見解に示されている情報を用いて、統計モデルや機械学習によるモデルからなる収集情報モデルが作成されることになる。このようにして作成された収集情報モデル(例えば記憶部60で記憶されている。)に、対象商品における品名、数量、単位、単価、取引先情報(売り手及び/又は買い手の情報)等の例えばインボイス情報に含まれる情報が適用されることで、対象商品におけるHSコードといった商品分類に関する情報が判定部20によって判定され、出力部30によって出力されるようにしてもよい。対象商品における情報は、受付部10によって受け付けられることになる。上記例では、対象商品におけるインボイス情報が受付部10で受け付けられることで、当該対象製品における所定の情報が収集情報モデルに適用されて、対象商品におけるHSコードといった商品分類に関する情報が判定部20によって判定され、出力部30によって出力されることになる。図2及び図3に示す態様では、新規のインボイス情報がパソコンのキーボード、QRコード(登録商標)等のコード読取機といった受付部10から入力されると、複数のモデルに適用され、当該モデルによる結果を統合し、候補となる商品分類に関する情報であるHSコードが出力部30によって出力され、表示部90で表示される態様が示されている。図2及び図3では、AIによる学習モデルを用いて説明しているが、これに限られることが無いことは前述したとおりである。記憶部60では商品に関する一般的な情報が記憶されてもよいし、入手部50によって商品に関する一般的な情報がインターネット(WEB)を介して入力されてもよい。このような商品に関する一般的な情報は前処理等に利用することができる。
【0024】
収集情報モデルを作成する際に利用される公式見解は、税関によって提供される、事前教示情報、関税率表解説情報及び分類例規情報のいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0025】
事前教示情報は、登録番号、税関(東京等)、処理年月日、一般的品名、税番、関税率、内国税率、貨物概要、分類理由、法令等の情報が含まれている。一例としては、
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki_search/bunrui/J1/18/J11800935.htm
で示されている。
【0026】
後述する事前教示モデル(第一収集情報モデル)を生成部40で生成する際には、例えば、税番として示されているHSコードと、「いったコーヒー豆を、粉砕したもの 製法:コーヒー豆→焙煎→粉砕→ふるい→殺菌→包装 原料:コーヒー(Coffea arabica L)100% 性状:茶色粉末 用途:化粧品用(スクラブ用途) 包装:10kg/ポリエチレン袋/カートン)」といった貨物概要に含まれる情報とを用いて、統計モデル又は機械学習によるモデルが生成されることになる。
【0027】
関税率表解説情報は、HSコードの「類」に関する情報(例えば「第9類 コーヒー、茶、マテ及び香辛料」といった情報)、「注」(注意)に関する情報、「総説」における情報を含んでいる。「総説」には物品についての情報が含まれており、一例としては、https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data/9r.pdfで示されている。
【0028】
関税率表解説の「注」では例えば混合物の分類に関する情報といった注意事項が含まれ、「総説」では、「類」、「項」及び「号」に関して商品を分類するための情報が含まれている。後述する関税率表解説モデル(第二収集情報モデル)を生成部40で生成する際には、「類」に関する情報、混合物の分類に関する情報といった注意事項及び「総説」に含まれる「類」、「項」及び「号」に関して商品を分類するための情報を用いて、統計モデル又は機械学習によるモデルが生成されることになる。
【0029】
分類例規情報は、HSコード(類、項、号)(上6桁)の情報、HSコードの分類に関する解説(例えば「本品は、可溶性コーヒー(200 グラム)をガラス瓶に詰めたもので、陶磁製のカップ及び受皿とともに、板紙製の箱に入れて小売用にしたものである。カップ及び受皿は、分離して、第 69.12項に分類される。」といった情報)が含まれており、一例としては、
https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data2/21r.pdfで示されている。
【0030】
後述する分類例規モデル(第三収集情報モデル)を生成部40で生成する際には、分類例規で示されている「類」、「項」及び「号」と、各商品における分類に関する解説における情報を用いて、統計モデル又は機械学習によるモデルが生成されることになる。
【0031】
商品情報は、受付部10で受け付けられた第一商品情報と、第一商品情報に基づいて得られる第二商品情報とを含んでもよい。第二商品情報は第一商品情報に基づいてインターネットを介して得られる情報であってもよい。第一商品情報は例えば適用対象の商品についてのインボイス情報であり、品名や販売元等の情報が含まれている。第二商品情報は、第一商品情報に基づいて、例えばインターネットを介して入手される一般的品名、成分、原料といった所定の要素についての情報である。この所定の要素に関する情報はモデル適用時に必要となるものであり、適用されるモデルの採用変数に対応するものとなっている。
【0032】
判定部20は、第一商品情報を実績モデルに適用し、第二商品情報を収集情報モデルに適用することで、商品分類を判定してもよい。第一商品情報がインボイス情報からなる場合にはインボイス情報を学習済みの実績モデルに適用することで、判定部20が商品分類を判定してもよい。また、インボイス情報から例えばインターネットを介して一般的品名、成分、原料といった所定の要素についての第二商品情報を入手部50が入手し、当該第二商品情報を収集情報モデルに適用することで、判定部20が商品分類を判定してもよい。判定部20は、インボイス情報の対象商品の入力情報を学習済みの実績モデルに適用した結果と、インボイス情報から得られた一般的品名、成分、原料といった所定の要素についての第二商品情報を収集情報モデルに適用した結果の両方によって、商品分類を判定してもよい。
【0033】
判定部20は、実績モデルと、事前教示情報に基づいて生成された第一収集情報モデルと、関税率表解説情報に基づいて生成された第二収集情報モデルと、分類例規情報に基づいて生成された第三収集情報モデルと、を用いて商品分類を判定してもよい。
【0034】
以下では、一例として、判定部20が人工知能機能を有し、機械学習によるモデルを採用する態様について説明し、商品分類としてHSコードを用いて説明するが、これに限定されることはない。
[実績モデル]
図4を用いて、実績モデルを生成し、生成された実績モデルに対象商品の入力情報を適用する態様の一例について説明する。
【0035】
まず、例えば記憶部60で記憶されている過去のインボイス情報や申告情報等を含む過去データが入手部50によって入力される(S1)。この際、インボイス情報や申告情報が紙やPDF情報からなる場合には、処理部80によってOCR処理がなされた上で(S2)、入手部50によって入力されてもよい。
【0036】
OCR処理等がなされたインボイス情報や申告情報等を含む過去データは処理部80によって構造化データへと変換される(S3)。この際、インボイス情報や申告情報が構造化データに変換されることになる。構造化データとは、例えば「列」と「行」の概念をもつデータであって、「列」等に意味を持たせて「構造化」したものであって、生成部40といった情報処理装置の構成要素が理解できる(処理できる)ように作られたデータのことを意味している。この構造化データに処理部80で前処理を行うことで、学習データと教師データとが生成される(S5)。学習データと教師データは数値データから構成されてもよい。また、前処理とは、機械学習前に綺麗なデータに加工することを意味し、例えば、ベクトル化処理を行ったり(図3参照)、欠損値や外れ値を除去したり、データの形式を整えたり、数値データの単位を合わせたり、数値を標準化したりすることを意味している。なお、ベクトル化処理とは入力される情報を数値の並びとして表現することを意味している。例えば構造化データで自然言語の情報が含まれている場合でも、ベクトル化処理を行うことで数値の並びとしての情報に変換されることになる。このように数値の並びとしての情報に変換することで、機械学習を行うことができるようになる。図4で示す「数値データ」とは、このようなベクトルデータ又は行列データを意味しており、他の図面における「数値データ」も同様である。
【0037】
これら学習データと教師データを用いて機械学習を行うことで実績モデルの学習済みモデルが生成される(S6)。具体的には、学習データからなる入力情報と当該入力情報における結果である教師データとを用いて機械学習して、学習済みモデルを生成する。図4では、学習データと教師データを分けて記載しているが、学習データと教師データを分けることなく学習データとして用いられてもよい。なお学習済みモデルの生成方法は図5乃至図7で示す態様でも同様であり、学習データと教師データを分けることなく学習データとして用いられてもよいことは図5乃至図7で示す態様でも同様である。
【0038】
この実績モデルの学習済みモデルに対象となるインボイス情報等の入力情報を適用することで(S8)、商品分類が出力される(S9)。この際、HSコードのリストが確率の高い順で出力されてもよい。
[事前教示モデル]
次に、図5を用いて、収集情報モデルに含まれる事前教示モデルを生成し、生成された事前教示モデルに対象商品の入力情報を適用する態様の一例について説明する。事前教示モデルは第一収集情報モデルに対応するものである。
【0039】
まず、入手部50によってインターネット等を介して事前教示情報が入手される(S11及びS12)。事前教示情報とは、税関に対して質問を行った結果を示した情報である。この情報は例えばHTMLデータであり、典型的には税関のホームページの情報から入手される。なお、事前教示情報の入手は利用者(担当者)が行ってもよい。事前教示情報は予め取得されており、記憶部60で記憶されていてもよい。この場合には記憶部60から事前教示情報が読み出されることになる。入手部50によるクローリング及び/又はスクレイピングによって事前教示情報が入手されると(S12)、貨物概要及びHSコードに関する情報が処理部80によって構造化データとして生成される(S13)。貨物概要に関する情報には、性状、製法、成分割合等が含まれている。
【0040】
なお、クローリングとは、クローラーと呼ばれるプログラムが、与えられたURLにある全てのハイパーリンクを辿り、遷移先のページ情報を収集することを意味している。スクレイピングとは、html情報から特定の情報のみ取得するためのものであり、不要なタグや広告メニューバー等を除去することで必要な本文の情報を抽出することを意味している。このようなクローリング及びスクレイピングは入手部50によって自動で行われることになる。このことは後述する関税率表解説モデルや分類例規モデルを作成する際も同様である。クローリング及びスクレイピングを行うために必要な情報及びプログラムは記憶部60に記憶されてもよい。
【0041】
この構造化データに処理部80が前処理を行うことで(S14)、学習データと教師データとが生成される(S15)。学習データと教師データは数値データから構成されてもよい。
【0042】
これら学習データと教師データを用いて機械学習を行うことで事前教示モデルの学習済みモデルが生成される(S16)。
【0043】
対象商品の入力情報としては典型的には品名や販売元等を含むインボイス情報(第一商品情報)であるが、このインボイス情報の例えば品名等に基づいて入手部50によってインターネットでの検索が行われて商品情報(第二商品情報)が入手される(S21)。なお、インボイス情報(第一商品情報)から入力商品情報(第二商品情報)を入手する工程は、入手部50が自動で行うのではなく、利用者が検索することで行ってもよい。入手部50が自動で行う場合にはクローリング及び/又はスクレイピングが用いられることになる。このようにクローリング及び/又はスクレイピングによってインターネットを介して得られた情報に前処理が行われた上で(S22)、対象商品の入力商品情報が生成されるようにしてもよい。この入力商品情報はモデル生成時の貨物概要に関する情報に対応するものであり、性状、製法、成分割合等が含まれている。事前教示モデルを生成する際に使用された貨物概要に関する情報と同じ種類の情報が適用時には利用されることになる。
【0044】
この学習済みの事前教示モデルに対象となるインボイス情報等から生成された入力商品情報を適用することで(S25)、商品分類が出力される(S26)。この際、HSコードのリストが確率の高い順で出力されてもよい。
【0045】
[関税率表解説モデル]
次に、図6を用いて、収集情報モデルに含まれる関税率表解説モデルを生成し、生成された関税率表解説モデルに対象商品の入力情報を適用する態様の一例について説明する。関税率表解説情報モデルは第二収集情報モデルに対応するものである。
【0046】
まず、入手部50によってインターネット等を介して関税率表解説情報が入手される(S31及びS32)。この情報は例えばPDFデータである。関税率表解説情報は典型的には税関のホームページの情報から入手される。なお、関税率表解説情報の入手は担当者が行ってもよい。関税率表解説情報は予め取得されており、記憶部60で記憶されていてもよい。この場合には記憶部60から関税率表解説情報が読み出されることになる。入手部50によるクローリング及び/又はスクレイピングによって関税率表解説情報が入手され(S32)、総説等とHSコードに関する情報が処理部80によって構造化データとして生成される(S33)。関税率表解説情報に関する情報には、前述したとおりコード判定に関する説明を含む総説等の情報が含まれており、その内容からHSコードの「類」、「項」及び「号」への分類の仕方についての情報を入手できる。
【0047】
この構造化データに処理部80が前処理を行うことで(S34)、学習データと教師データとが生成される(S35)。学習データと教師データは数値データから構成されてもよい。
【0048】
これら学習データと教師データを用いて機械学習を行うことで関税率表解説モデルの学習済みモデルが生成される(S36)。
【0049】
対象商品の入力情報としては典型的には品名や販売元等を含むインボイス情報(第一商品情報)であるが、このインボイス情報に基づいて入手部50によってインターネットでの検索が行われて商品情報(第二商品情報)が入手される(S41)。なお、インボイス情報(第一商品情報)から入力商品情報(第二商品情報)を入手する工程は、入手部50が自動で行うのではなく、利用者が検索することで行ってもよい。入手部50が自動で行う場合にはクローリング及び/又はスクレイピングによってインターネットを介して得られた情報に前処理が行われた上で(S42)、対象商品の入力商品情報が生成されるようにしてもよい。この入力商品情報はモデル生成時の総説に関する情報に対応するものであり、一般的品名、成分、原料等が含まれている。このように関税率表解説モデルを生成する際に使用された総説に関する情報と同じ種類の情報が適用時には利用されることになる。
【0050】
この学習済みの関税率表解説モデルに対象となるインボイス情報等から生成された入力商品情報を適用することで(S45)、商品分類が出力される(S46)。この際、HSコードのリストが確率の高い順で出力されてもよい。
【0051】
[分類例規モデル]
次に、図7を用いて、収集情報モデルに含まれる分類例規モデルを生成し、生成された分類例規モデルに対象商品の入力情報を適用する態様の一例について説明する。分類例規モデルは第三収集情報モデルに対応するものである。
【0052】
まず、入手部50によってインターネット等を介して分類例規情報が入手される(S51及びS52)。この情報は例えばPDFデータである。分類例規情報は典型的には税関のホームページの情報から入手される。なお、分類例規情報の入手は利用者が行ってもよい。この際、分類例規情報は記憶部60で記憶されてもよい。入手部50によるクローリング及び/又はスクレイピングによって分類例規情報が入手され(S52)、説明とHSコードに関する情報が処理部80によって構造化データとして生成される(S53)。分類例規情報には、コードの分類に関する説明についての情報が含まれており、その内容からHSコードの「類」、「項」及び「号」への分類の仕方についての情報を入手できる。
【0053】
この構造化データに処理部80が前処理を行うことで(S54)、学習データと教師データとが生成される。学習データと教師データは数値データから構成されてもよい。
【0054】
これら学習データと教師データを用いて機械学習を行うことで分類例規モデルの学習済みモデルが生成される(S56)。
【0055】
対象商品の入力情報としては典型的には品名や販売元等を含むインボイス情報(第一商品情報)であるが、このインボイス情報に基づいて入手部50によってインターネットでの検索が行われて商品情報(第二商品情報)が入手される(S61)。なお、インボイス情報(第一商品情報)から入力商品情報(第二商品情報)を入手する工程は、入手部50が自動で行うのではなく、利用者が検索することで行ってもよい。入手部50が自動で行う場合にはクローリング及び/又はスクレイピングによってインターネットを介して得られた情報に前処理が行われた上で(S62)、対象商品の入力商品情報が生成されるようにしてもよい。この入力商品情報はモデル生成時の説明に関する情報に対応するものであり、一般的品名、成分、原料等が含まれている。このように分類例規モデルを生成する際に使用された説明に関する情報と同じ種類の情報が適用時には利用されることになる。
【0056】
この学習済みの分類例規モデルに対象となるインボイス情報等から生成された商品情報を適用することで(S65)、商品分類が出力される(S66)。この際、HSコードのリストが確率の高い順で出力されてもよい。
【0057】
判定部20は、実績モデルにおける実績予測結果、第一収集情報モデルにおける第一予測結果、第二収集情報モデルにおける第二予測結果及び第三収集情報モデルにおける第三予測結果の各々に対して重みづけすることで商品分類を判定してもよい。一例を図8で示す。図8では、実績モデルである過去情報に基づく判定AI、事前教示モデルである事前教示に基づく判定AI、関税率表解説モデルである関税率表解説に基づく判定AI及び分類例規モデルである分類例規に基づく判定AIの各々によって個別に該当しうるHSコードの確率が提示される。図8に示す例では上位3つの候補が確率とともに示されている。例えば図8の「HSコードA 0.7」とはHSコードがAである確率が70%であることを示している。図8に示す態様では、過去情報に基づく判定AIの結果には重み「3」が掛けられ、事前教示に基づく判定AIの結果には重み「2」が掛けられ、関税率表解説に基づく判定AIの結果には重み「2」が掛けられ、分類例規に基づく判定AIの結果には重み「1」が掛けられて、加重平均が取られる。確率を合計すると100%になることもあるが、いずれにも該当しないというような結論を出すこともあるので、確率を合計しても100%未満になることもある。
【0058】
このような加重平均の結果は、確率順に表示部90で表示されるように出力部30によって出力されてもよい。図8に示す態様では、一例として、高い確率順に示されている。
【0059】
また、加重平均等の結果を記憶部60で予め記憶されている式に当てはめることで、例えば確率といった適合度が算出されるようにしてもよい。このような算出は判定部20によって行われてもよい。図9に示す態様では、特定商品のインボイス情報が入力された場合に、高い適合度の順でHSコード候補が表示部90で表示されている態様を示している。このように表示されたHSコードから利用者が選択を行って、HSコードの入力を行うようにしてもよいし(図11のR1参照)、最も高い適合度のHSコードが自動で入力されてもよい(図11のR2参照)。
【0060】
特定商品のインボイス情報といった入力情報については、入力情報のベクトル化処理が行われてもよい(図3参照)。また、入力情報に基づいてインターネットでのサーチを行うといったように、入手部50によって品名に対する商品情報についての取得処理が行われてもよい。また、実績モデル及び収集情報モデルを生成する際に入力される情報についてもベクトル化処理が行われ、ベクトル化処理が行われた情報を用いて実績モデル及び収集情報モデル等のモデルが生成部40によって生成されるようにしてもよい。
【0061】
図10に示すように、インボイスにおける「品名」と一般的な商品情報における「商品名」とが紐付けられ、関税率表解説情報の「解説」と一般的な商品情報における「商品概要」とが紐付けられ、分類例規情報の「説明」と一般的な商品情報における「商品概要」とが紐付けられ、事前教示情報における「品名」と一般的な商品情報における「商品名」とが紐付けられ、事前教示情報における「貨物概要」と一般的な商品情報における「商品概要」とが紐付けられて、記憶部60で記憶されてもよい。このような紐付け(関連付け)を行うことで、所定の情報しか含まないインボイス情報から、関税率表解説情報、分類例規情報及び事前教示情報に基づくモデル(関税率表解説モデル、分類例規モデル及び事前教示モデル)を利用する際に必要な情報を導き出し、これら関税率表解説モデル、分類例規モデル及び事前教示モデルに情報を適用することで、判定結果を得ることができるようになる。
【0062】
図10に示すように、品名、数量、単位、単価、取引先等を含む過去のインボイス情報を学習データとし、品名及びHSコードを含む過去の申告情報を教師データとしてもよく、これらは関連付けて記憶部60で記憶されてもよい。関税率表解説の解説を学習データとし、関税率表解説のHSコードを教師データとしてもよく、これらは関連付けて記憶部60で記憶されてもよい。分類例規の説明を学習データとし、分類例規のHSコードを教師データとしてもよく、これらは関連付けて記憶部60で記憶されてもよい。事前教示情報の品名及び貨物概要を学習データとし、事前教示情報のHSコードを教師データとしてもよく、これらは関連付けて記憶部60で記憶されてもよい。
【0063】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。
【0064】
商品情報を、過去の実績情報に基づいて生成された実績モデル、並びに所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルに適用して、商品分類を判定し、当該商品分類の結果を出力する態様を採用した場合には、従来であれば高い経験や専門知識に基づいて判断されていた商品分類を高い確度で適切なものに分類することができるようになる。特に実績モデルだけではなく、所定の機関が発行している公式見解に基づいて生成された収集情報モデルも用いることから、出力される商品分類の精度をかなり高いものにすることができる。また、公式見解に基づいて生成された収集情報モデルを用いることで、過去に扱ったことのない新規の商品や過去にあまり扱っていない商品についても正確な商品分類を導くことができる。
【0065】
特に商品が輸入商品又は輸出商品であり、商品分類がHSコードである場合には、業務効率化や人件費単価削減を効果的に実現できる。輸出入申告情報作成時には、インボイスの品目に関する情報から、品目番号(HSコード)を調べて入力する必要があるが、品目情報からHSコードを判定するためには、経験や専門知識が必要となり、一般的には通関士によって行われる。この点、本態様によれば、未経験者や専門知識を有さない者であっても、HSコードとして適切なものを選択できることから、人件費単価を低減できる。また、本態様を導入することで、HSコードの分類をアシストすることができるので、正確なHSコードを選択するまでの過程を短縮することができ、業務効率化を図ることができる。なお、輸入申告においては、HSコード単位で関税率が定められているが、基本税率の他、特恵税率やWTO協定に基づく税率を適用することもできる。
【0066】
所定の機関が税関であり、公式見解が、事前教示情報、関税率表解説情報及び分類例規情報のいずれか1つ以上を含む場合には、税関が公表している事前教示情報、関税率表解説情報及び分類例規情報のいずれかを用いて生成されたモデルを適用して商品分類に関する情報を出力することから、出力される商品分類の精度をかなり高いものにすることができる。特に商品が輸入商品又は輸出商品であり、商品分類がHSコードである場合には、これら事前教示情報、関税率表解説情報及び分類例規情報はいずれもがHSコードに紐づいていることから、HSコードを推測する上ではかなり有益なものとなる。
【0067】
商品情報が、受付部10で受け付けられた第一商品情報と、第一商品情報に基づいて得られる第二商品情報とを含み、判定部20が、第一商品情報を実績モデルに適用し、第二商品情報を収集情報モデルに適用することで、商品分類を判定する態様を採用した場合には、各モデルに対して適切な情報を適用して、商品分類を判定できる点で有益である。つまり、入力される商品情報に限られた情報しかなく、当該情報では生成されて記憶部60で記憶されているモデルに適切な適用ができない場合であっても、本態様を採用することで、第一商品情報に基づいて適切な第二商品情報を得た上で、当該第二商品情報をモデルに適用できる点で有益である。
【0068】
また、第二商品情報が第一商品情報に基づいてインターネットを介して得られる場合には、別途データベース等を準備する必要が無い点で有益である。なお、このような態様に限られることはなく、第一商品情報に紐づいた第二商品情報を記憶部60が予め記憶しておくようにしてもよい。
【0069】
第一商品情報に基づいて第二商品情報を得ることが入手部50によって自動で行われない場合には、利用者が自らインターネットや記憶部60で記憶された情報を検索して適切な情報を入手する必要がある。他方、入手部50が第一商品情報に基づいて第二商品情報をクローリングやスクレイピング等を用いて第一商品情報に基づいて第二商品情報を自動で得る場合には、利用者がインターネットで検索する手間を省くことができる。また、このような検索には経験や個々の能力が反映されることになるが、入手部50が第二商品情報を自動で得る場合には、経験や個々の能力に関係なく、第二商品情報を入手できる点でも有益である。
【0070】
判定部20が、実績モデルと、事前教示情報に基づいて生成された第一収集情報モデルと、関税率表解説情報に基づいて生成された第二収集情報モデルと、分類例規情報に基づいて生成された第三収集情報モデルの全てを用いて商品分類を判定する場合には、極めて高い精度で商品情報を分類することができる。特に商品が輸入商品又は輸出商品であり、商品分類がHSコードである場合には、これら事前教示情報、関税率表解説情報及び分類例規情報はいずれもがHSコードに紐づいていることから、HSコードを推測する上では極めて有益なものとなる。
【0071】
判定部20が、実績モデルにおける実績予測結果、第一収集情報モデルにおける第一予測結果、第二収集情報モデルにおける第二予測結果及び第三収集情報モデルにおける第三予測結果の各々に対して重みづけすることで商品分類を判定する態様を採用した場合には、各々のモデルに対する重みに基づいて商品情報を分類することができることになる。重みについては利用者が受付部10を介して変更できるようにしてもよいし、管理者のみが重みを変更できるようにしてもよい。例えば過去の実績を重視したい場合には、実績モデルにおける実績予測結果に対する重みが重くなる。
【0072】
経験が豊富であり専門性の高い者(例えば経験豊富な通関士)による商品分類結果と、実績モデル、第一収集情報モデル、第二収集情報モデル及び第三収集情報モデルの各々を用いた商品分類結果とが合致するように重みづけが例えば管理者によって行われるようにしてもよい。また、この重みづけ自体が機械学習によって行われてもよい。例えば、実績モデル、第一収集情報モデル、第二収集情報モデル及び第三収集情報モデルの各々が採用変数となり、各採用変数に対して適切な重みが掛けられて、経験が豊富であり専門性の高い者による商品分類結果と合致するように機械学習されてもよい。
【0073】
なお、収集情報モデルは3つには限られず、1、2又は4以上となってもよい。その場合にも同様の態様を採用することができ、実績モデル、第一収集情報モデル、・・・、第n収集情報モデル(「n」は整数である。)の各々に対して、適切な重みが設定されてもよいし、機械学習によって適切な重みが導き出されてもよい。
【0074】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0075】
10 受付部
20 判定部
30 出力部
40 生成部
50 入手部
60 記憶部
80 処理部
90 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11