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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】紙葉の方向転換移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/58 20060101AFI20221006BHJP
   B65H 31/34 20060101ALI20221006BHJP
   B65H 31/06 20060101ALI20221006BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65H29/58 C
B65H31/34
B65H31/06
A63F7/02 352F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020180621
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071579
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】西村 文秀
(72)【発明者】
【氏名】上村 和也
(72)【発明者】
【氏名】吉武 康二
【審査官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-198617(JP,A)
【文献】特開2015-040082(JP,A)
【文献】特開2020-192241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/58
B65H 31/34
B65H 31/06
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉取出し位置にて停止している搬送体上の紙葉を挟持する挟持手段を備え、且つ上限位置と該上限位置から所定角度下方に回動した下限位置との間で往復回動するスタッカユニットと、該スタッカユニットを前記上限位置へ向かう正転方向と、前記下限位置へ向かう逆転方向へ往復回動させる操作機構と、前記操作機構の動作に連動して作動することにより前記挟持手段を開閉動作させる挟持手段作動機構と、操作機構を正転、逆転させる駆動機構と、を備えた紙葉の方向転換移載装置であって、
前記挟持手段は、前記スタッカユニットが上限位置にある時に開閉動作し、開放動作している時には該紙葉取出し位置への前記搬送体の進入経路を開放し、且つ該紙葉取出し位置に前記搬送体が停止している状態で閉止動作することにより該搬送体上の紙葉を挟持し、且つ前記スタッカユニットが前記下限位置に達した時点以降に開放動作して紙葉の挟持を解除し、
前記操作機構は、前記挟持手段が閉止動作して紙葉を挟持した時点以降に起立状態にある紙葉の姿勢を横向きに所定角度方向転換させつつ前記下限位置に対応した位置にある搬出部材上に移載するようにスタッカユニットを移動させ、
前記挟持手段作動機構は、前記紙葉が前記搬出部材上へ移載された時点、又は該時点以降に該挟持手段を開放動作させて紙葉の挟持を解除することを特徴とする紙葉の方向転換移載装置。
【請求項2】
前記搬送体が前記紙葉取出し位置にて停止している時に、前記挟持手段が閉止動作して該搬送体上の紙葉の挟持を開始するまでは紙葉の上縁部から離間した離間位置にあり、且つ前記挟持手段が紙葉の挟持を開始する前に下降して紙葉上縁と接する加圧位置に移動する整列手段と、
前記整列手段を前記離間位置と前記加圧位置との間で進退させると共に、前記スタッカユニットと共に前記挟持手段が下方へ移動する過程では前記整列手段が紙葉の上縁部を加圧した状態を維持させる整列手段作動機構と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の紙葉の方向転換移載装置。
【請求項3】
前記上限位置にある前記スタッカユニットは該上限位置を越えて正転することが禁止される一方で、前記操作機構は該スタッカユニットが上限位置で停止した後も所定角度だけ正転方向へ回動する正転方向の追加動作位置まで動作可能であり、
前記挟持手段作動機構は、前記操作機構が前記正転方向の追加動作位置まで動作した時に前記挟持手段を開放動作させ、且つ前記操作機構が該正転方向の追加動作位置から所定角度逆転方向へ回動した時に前記挟持手段を閉止動作させる第1挟持手段作動機構を含むことを特徴とする請求項1、又は2に記載の紙葉の方向転換移載装置。
【請求項4】
前記下限位置にある前記スタッカユニットは該下限位置を越えて逆転することが禁止される一方で、前記操作機構は該スタッカユニットが下限位置で停止した後も所定角度だけ逆転方向へ回動する逆転方向の追加動作位置まで動作可能であり、
前記挟持手段作動機構は、前記操作機構が前記逆転方向の追加動作位置まで動作した時に前記挟持手段を開放動作させる第2挟持手段作動機構を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の紙葉の方向転換移載装置。
【請求項5】
前記スタッカユニットが前記上限位置にある時には前記搬出部材と接触できない退避位置にあり、且つ該スタッカユニットが下限位置に移動して紙葉が前記搬出部材上に移載された後に前記退避位置から突出して該搬出部材上の紙葉の上面と接触して加圧する加圧搬出部材と、
作動時に、前記退避位置にある前記加圧搬出部材を前記搬出部材と接触可能な突出位置に突出させる加圧搬出部材作動機構と、を備え、
前記第2挟持手段作動機構が前記挟持手段による紙葉の挟持を解除させる動作と連動して前記加圧搬出部材作動機構を作動させて前記加圧搬出部材を突出させることを特徴とする請求項に記載の紙葉の方向転換移載装置。
【請求項6】
前記操作機構は、固定基部に設けたベース軸部により軸支されて正逆回動する操作基片と、該操作基片と相対回動可能な状態で前記ベース軸部により軸支されて正逆回動すると共に、該操作基片よりも前記スタッカユニットの正転方向寄りに配置された操作レバーと、前記操作基片と前記操作レバーとの間に配置されて両者を引付ける方向へ付勢する引張バネと、を備え、
前記スタッカユニットに設けた被作動部に対して前記操作基片が接触してこれを正転方向へ押圧し、且つ該被作動部に対して前記操作レバーが接触してこれを逆転方向へ押圧する構成を備え、
前記操作基片、及び前記操作レバーが正転する過程で前記操作基片は前記スタッカユニットを正転させると共に、前記操作基片は、前記スタッカユニットが前記上限位置で停止した時点で正転を停止し、
前記操作レバーは、前記スタッカユニットが前記上限位置で停止した時点以降も、前記駆動機構により所定角度正転させられてから追加動作位置に停止することにより、前記引張バネを拡開方向へ付勢することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の紙葉の方向転換移載装置。
【請求項7】
前記操作基片、及び前記操作レバーが逆転する過程で前記操作レバーは前記スタッカユニットを逆転させると共に、前記操作レバーは該スタッカユニットが前記下限位置で停止した時点で逆転を停止し、
前記操作基片は、前記スタッカユニットが前記下限位置で停止した時点以降も、前記駆動機構により所定角度逆転させられてから追加動作位置に停止することにより、前記引張バネを拡開方向へ付勢することを特徴とする請求項に記載の紙葉の方向転換移載装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の紙葉の方向転換移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、パチスロ、スロットマシン等の各種遊技機を設置した遊技場においては、紙幣挿入口から投入された紙幣の金額に応じて遊技媒体であるパチンコ球やメダルを遊技客に貸し出すための遊技媒体払出装置が各遊技機に隣接して配置されている。また、遊技媒体払出装置が受け入れた紙幣を安全に且つ円滑に回収した上で金庫へと搬送するため、様々な紙幣搬送装置(島内紙幣搬送関連機器)が開発され、島設備として設置されている。紙幣搬送装置の端部には、搬送されてきた紙幣を安全な管理のもとに金庫に収納、管理するための島端金庫ユニットが配置される。
また、カジノのように大量の紙幣を扱う遊技施設においても関係者による不正防止の観点から回収した紙幣を人手を触れさせずに金庫へ搬送するシステムの開発が求められている。
ところで、紙幣搬送装置により島端金庫ユニット内に搬送されてきた紙幣(束)の姿勢、方向と、金庫内に積載される紙幣の姿勢、方向が大きく異なる場合には、紙幣の姿勢を転換させた上で金庫に搬送、集積する必要がある。しかし、複数枚の紙幣が積層された状態で搬送されてきた場合に、これらをばらつかせることなく一括して方向転換させながら金庫内に一括して収納させることは極めて難しい。
【0003】
特許文献1には、空気流を利用して移動体を送風管内で走行させると共に、移動体の移動に連動させて磁力を利用して紙幣の搬送体を走行させる紙幣搬送装置が、遊技場の島設備に設置されるものとして開示されている。搬送体は各遊技媒体払出装置に沿った移動経路を移動する過程で、各遊技媒体払出装置が受け入れた紙幣を順次回収して保持しつつ金庫に搬送する。移動体及び搬送体を走行させるために、モータ、ギヤ、搬送ベルト等の機械的な駆動手段を必要としないため、搬送機構を構成する各部材の耐久性を向上させ、搬送装置のランニングコストを低減させることができる。
また、搬送体上に紙幣を一方の長辺を下向きにした起立状態で順次横方向に重ねて積載して短辺を先頭にして搬送し、搬送経路の終端に位置する金庫の直前で搬送体上から紙幣束を下ろして金庫に搬送して収納することになる。搬送体は最大で10枚の紙幣を一括搬送することができる。
【0004】
ところで、搬送体が金庫の直前に達した時点で搬送体により保持されている紙幣の姿勢や向きと、金庫内において集積される際の紙幣の姿勢や向きとが著しく一致しない場合には、搬送体から下ろした紙幣をそのまま金庫に搬送して収納することができず、方向転換した上で搬送、収納する必要がある。
例えば、図54に示すように、特許文献1では搬送体500によって保持された状態で搬送路400を搬送方向xへ向けて搬送されてきた紙幣(束)Pは金庫ユニット700内の停止位置に達した時点では搬送体500上で起立した姿勢にある。一方、金庫950は搬送体、及び紙幣が停止している位置の下方に配置されており、金庫950内に集積される紙幣と搬送体上の紙幣とは夫々の面方向が直交しているばかりでなく、紙幣の長辺の方向も直交している。このため、搬送体上の紙幣を何回か方向転換した上で搬送しつつ、金庫に収納する必要がある。
起立状態(縦向き状態)で一枚ずつ搬送されてきた紙幣をその姿勢を維持したまま搬送して一枚ずつ金庫内に収納することは可能である。また、起立状態の一枚の紙幣を90度寝かせた姿勢に転換するために搬送経路を縦搬送から横搬送に捻る構成も考えられるが、そのためには設置スペースの増大が必要であり、更に捻った部分での紙幣詰まりといったトラブルが発生し易く、搬送速度の低下により金庫への収納に時間が掛かるという問題を起こす。
【0005】
しかし、起立状態にある10~20枚程度の紙幣束を紙幣間のバラツキ、位置ズレを起こすことなく、金庫へ搬送する過程で方向転換しつつ一括して金庫の収納する作業を自動化することは極めて難しい技術であり、これまで実現されていない。
なお、搬送体の停止位置の下方に、搬送方向xと並行に金庫を配置したい理由は、金庫を図54に示した紙幣の停止位置よりも左側に(搬送方向xの延長上に)配置すると搬送装置の全長が増大するからである。更に、図示するように金庫内における紙幣の積載方向を搬送方向xと並行な方向とし、且つ紙幣の長辺が上下方向に延びる姿勢にすることにより金庫内の集積枚数を減らすことなく、金庫ユニットの横方向寸法を減縮することができるからである。
【0006】
次に、特許文献2には、輸送管と、この輸送管内を摺動する磁石を有する移動体と、この移動体を移送させる送風機と、移動体の磁石と吸引する磁石を有し、輸送管の外側面を摺動する被輸送体とより成る移送装置が開示されている。
また、特許文献3には、島管理装置内の金庫部に設けられたモータに連係された紙幣搬送ユニット作用紐が紙幣搬送駆動モータの正回転によって島管理装置側に紙幣搬送ユニットを牽引して移動させるようにした紙葉類の搬送機構が記載されている。
特許文献2には、移動体と被輸送体を磁石により互いに吸着させながら連動させる構成が開示されているが、吸着力を利用して移動体に被輸送体を連動させることは実際にはほぼ不可能であることが実験により確認されている。
従って、特許文献2の移送装置を特許文献3の搬送機構に適用しても実用性のある装置構成を実現することは不可能である。
【0007】
また、特許文献2、3には、起立状態で搬送されてきた紙幣束を図54に示したように大きく、且つ複雑に方向転換させて一括して金庫内に搬送して積載するための構成は一切開示されていない。
次に、特許文献4の紙葉類処理装置は、紙葉類を繰出す分離機構と、紙葉類を集積する集積機構を有し、紙葉類の投入・取出し口であるプール部を筐体に対して回動可能に設けている。プール部内の紙幣を抜き取る際には、プールフロアガイドを下げて筐体との間に隙間を作って顧客の手が入り易いようにして紙幣を抜き取り易くしている。また、飛び出した紙幣が筐体とプール部との間に挟まってしまった場合には、プールフロアガイドを移動させるなどの操作を行って挟まりを解消する、としている。
【0008】
しかし、特許文献4には、正常に搬送されてきた紙幣束をばらけさせることなく、図54に示したように大きく姿勢転換させて一括して金庫内に搬送して積載するための構成は一切開示されていない。
次に、特許文献5の紙幣入出金機には、異常が検知された紙幣を紙幣プール部へ戻すとき、押し上げレバーにより紙幣プール部に投入された紙幣を押し上げてその紙幣プール部に空間を確保することにより、紙幣プール部に投入された紙幣に衝突することなく異常が検知された紙幣を紙幣プール部へ戻すようにした構成が開示されている。
しかし、特許文献5には、正常に搬送されてきた紙幣束をばらけさせることなく図54に示したように大きく姿勢転換させて金庫内に搬送して積載するための構成は一切開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特願2019-101172
【文献】特開昭47-44782号公報
【文献】特開2009-101171公報
【文献】特開2007-280299公報
【文献】特開2007-52656公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、搬送体上に保持された紙葉(束)を金庫に搬送して集積する過程において、搬送体上の紙葉の姿勢や向きと金庫内において集積される際の紙葉の姿勢や向きとが一致しないために紙葉の姿勢や方向を変換する必要がある場合であっても紙葉束をばらけさせることなく、一括して姿勢や方向を変換しつつ金庫内に迅速に搬入、積載することができる紙葉の方向転換移載装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の紙葉の方向転換移載装置は、紙葉取出し位置にて停止している前記搬送体上の紙葉を挟持する挟持手段を備え、上限位置と該上限位置から所定角度下方に回動した下限位置との間で往復回動するスタッカユニットと、該スタッカユニットを前記上限位置へ向かう正転方向と、前記下限位置へ向かう逆転方向へ往復回動させる操作機構と、前記操作機構の動作に連動して作動することにより前記挟持手段を開閉動作させる挟持手段作動機構と、操作機構を駆動する駆動機構と、を備え、前記挟持手段は、前記スタッカユニットが上限位置にある時に開閉動作し、開放動作している時には該紙葉取出し位置への前記搬送体の進入経路を開放し、且つ該紙葉取出し位置に前記搬送体が停止している状態で閉止動作することにより該搬送体上の紙葉を挟持し、且つ前記スタッカユニットが前記下限位置に達した時点以降に開放動作して紙葉の挟持を解除し、前記操作機構は、前記挟持手段が閉止動作して紙葉を挟持した時点以降に起立状態にある紙葉の姿勢を横向きに所定角度方向転換させつつ前記下限位置に対応した位置にある搬出部材上に移載するようにスタッカユニットを移動させ、前記挟持手段作動機構は、前記紙葉が前記搬出部材上へ移載された時点、又は該時点以降に該挟持手段を開放動作させて紙葉の挟持を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送体上に保持された紙葉(束)を金庫に搬送して集積する過程において、搬送体上の紙葉の姿勢や向きと金庫内において集積される際の紙葉の姿勢や向きとが一致しないために紙葉の姿勢や方向を変換する必要がある場合であっても紙葉束をばらけさせることなく、一括して姿勢や方向を変換しつつ金庫内に迅速に搬入、積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
図2】複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
図3】第1の本発明に係る紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。
図4】移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図5】(a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
図6】搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。
図7】移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図8】移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図9】送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
図10】送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
図11】受入ユニット(紙幣受入れ装置)600を備えた紙幣搬送システム10の正面図である。
図12】同紙幣搬送システムの平面図である。
図13】同紙幣搬送システムの正面左側斜視図である。
図14】同紙幣搬送システムの正面右側斜視図である。
図15】受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す斜視図である。
図16図15中における搬送管の一部を縦断面で示す斜視図である。
図17】受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す横断面斜視図である。
図18】紙幣搬送装置Cの一部の横断面図である。
図19】(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図である。
図20】(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。
図21】搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。
図22】(a)(b)(c)及び(d)は搬送体500が前進する過程で回収部材が待機部内に進入して待機紙幣を回収する手順を示す平面横断面図である。
図23】搬送体が後退する過程で一方の回収爪が変形する状態を示す平面横断面図である。
図24】搬送体による紙幣の回収手順、導入手順の一例を示すフローチャートである。
図25】搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
図26】搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
図27】搬送経路の一部を組み付けた状態の金庫ユニットの正面側斜視図である。
図28】搬送経路の一部を組み付けた状態の金庫ユニットの背面側斜視図である。
図29】金庫ユニットのドアを開放して内部の状態を示した斜視図である。
図30】金庫の正面側縦断面図である。
図31】金庫のドアを開放した筐体内部の状態を示す図である。
図32】本発明の一実施形態に係る方向転換移載装置H(旋回スタッカ装置)におけるスタッカユニットの上限位置(起立状態)を示す正面側斜視図である。
図33】スタッカユニットが上限位置にある時の方向転換移載装置Hの状態を示す左側面図である。
図34】スタッカユニットが上限位置にある時に操作機構が追加動作位置に達した状態を示す左側面図である。
図35】(a)は図33の状態における方向転換移載装置Hの要部(駆動機構、操作機構)の斜視図であり、(b)は操作レバー、及び操作基片を押圧するベアリングを示す要部斜視図であり、(c)はスタッカベースに設けられた被作動部(ベアリング)と周辺部材との位置関係を示す説明図である。
図36】挟持手段、及び第1挟持手段作動機構の構成及び動作を示す要部構成説明図である。
図37】挟持手段、及び第1挟持手段作動機構の構成及び動作を示す正面側要部斜視図である。
図38】本発明の一実施形態に係る方向転換移載装置H(旋回スタッカ装置)におけるスタッカユニットの下限位置を示す正面側斜視図である。
図39】スタッカユニットが下限位置にある時に操作機構が追加動作位置に達した状態を示す左側面図である。
図40図38の状態における方向転換移載装置Hの斜視図である。
図41】(a)及び(b)は第1挟持手段作動機構M1の一部の構成、及び動作を示す斜視図である。
図42】(a)及び(b)は第1挟持手段作動機構M1の一部の構成、及び動作を示す説明図である。
図43】(a)(b)及び(c)は第2挟持手段作動機構M2の構成、及び動作を示す斜視図、側面図、及び背面図である。
図44】(a)(b)及び(c)は第2挟持手段作動機構M2の構成、及び動作を示す斜視図、側面図、及び背面図である。
図45】(a)及び(b)はスタッカベースの一部により支持された整列手段、及び整列手段作動機構の構成、及び動作を示す要部の正面側斜視図である。
図46】(a)及び(b)は整列手段、及び整列手段作動機構の構成、及び動作を示す正面側斜視図である。
図47】(a)及び(b)は整列手段、及び整列手段作動機構の構成、及び動作を示す要部側面図である。
図48】加圧搬出部材作動機構PMの構成及び動作を示す背面図である。
図49】加圧搬出部材作動機構PMの構成及び動作を示す背面図である。
図50】加圧搬出部材作動機構を正面側から視た図である。
図51(a)及び(b)は下限位置にあるスタッカユニットと搬出部材との位置関係を示す側面図である。
図52】搬送エラー紙葉(紙幣)の処理装置を備えた金庫ユニットの内部構成を示す斜視図である。
図53】同金庫ユニットの内部構成を示す側面図である。
図54】特許文献1における金庫ユニットの問題点を説明する略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
A.第1の本発明に係る紙葉搬送システム
以下に第1の本発明に係る紙葉搬送システムの基本的構成、及び動作について説明する。
紙葉搬送システムは、パチンコ、パチスロ等の各種遊技機を設置した遊技場における島設備に設置される。以下の実施形態では紙葉の一例として紙幣を中心に説明するが、金券、商品券等の有価証券、カード、その他、紙幣以外の紙葉(シート)にも本発明を適用することができる。
なお、特に図示説明しないが、本発明の紙葉搬送システムはカジノにおける紙幣搬送システム、紙幣搬送装置にも適用される。
【0016】
〔島設備の概略構成〕
図1は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
各遊技機1は、島設備L(L1、L2…)に設置され、各島設備Lの対向する2つの側面に8台ずつ、合計16台の遊技機1が背中合わせに配置されている。なお、各島設備Lの間には、遊技者又は遊技場の店員が通行する通路が設けられ、各通路には遊技機1毎に椅子(図示省略)が設けられる。
各島設備Lには、遊技機1毎に台間機2が設置される。台間機2は、投入された紙幣を受け入れる紙幣挿入口(紙幣投入部)、及び、投入された紙幣の金額に応じた個数のパチンコ球を払い出す遊技媒体払出装置等を備える。図示する島設備Lには、台間機2から挿入された紙幣を島設備Lの一端部に配置された金庫ユニット700に搬送する紙幣搬送システム10が設置されている。
【0017】
図2は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
島設備Lに設置された紙幣搬送システム10は、台間機2の紙幣挿入口から挿入された紙幣を内部に受け入れる受入ユニット(紙幣受入れ装置)600、島設備Lの長手方向(遊技機1の配列方向)に延在し、受入ユニット600が受け入れた紙幣を搬送する搬送管400、及び、搬送管400の一方端に配置される金庫ユニット700等を備える。
【0018】
〔紙幣搬送システムの概略構成〕
<全体概要>
図3は、紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。第1の本発明の一実施形態に係る紙幣搬送システム(紙葉の搬送機構)10は、空気流と磁力を利用して紙幣を搬送する点に特徴がある。
紙幣搬送システム10は、気体の流路(気流路101)を形成する送風管100と、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を走行する(移動する)移動体200と、送風管100内を流れる気流を制御する送風制御ユニット300と、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された搬送管400(搬送路401)と、紙幣(紙葉)を保持可能に構成されて搬送管400内を走行する(移動する)搬送体500と、を備える。搬送管400は、紙幣の搬送路401(紙幣(紙葉)搬送経路、搬送空間)を形成する。
移動体200は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体500は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備える。移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方は磁石から構成される。
【0019】
また、紙幣搬送システム10は、外部から投入された紙幣を受け入れて搬送管400内の所定位置に待機させる受入ユニット600と、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部を備えた金庫ユニット700と、紙幣搬送システム10を構成する各部を制御する管理ユニット(制御手段)1000と、を備える。
本例においては、管理ユニット1000を収容した筐体1001内に、送風制御ユニット300と金庫ユニット700とが収容されている。
紙幣搬送システム10は、送風管100内を流れる気流によって送風管100内に配置した移動体200を送風管100の長手方向に進退移動させると共に、移動体200との間に作用する磁力によって搬送管400内に配置した搬送体500を送風管100の長手方向に沿って移動させる点に特徴がある。即ち、紙幣搬送システム10は、移動体側磁石213と搬送体側磁石523との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送体500を移動させる点に特徴がある。
【0020】
<各部の概要>
送風管100は、長手方向の少なくとも一部に移動体200が送風管100の長手方向に沿って走行する移動経路部分111を含む。移動経路部分111は搬送管400と並列に、且つ隣接して配置されている。
移動体200は、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を移動する。移動体200に搭載された移動体側磁石213は、搬送体500に対して磁力による反発作用、及び/又は、吸着作用を与える。移動体200は磁力により、自身の移動に連動させて移動体200を移動させる。
送風制御ユニット300は、送風管100内に所定方向の気流を発生(生成)させると共に気流の流量、流速を変更可能なブロア(気流発生装置)310を備える。送風制御ユニット300は、送風管100内に第一方向(紙幣回収方向、矢印B方向)への気流と、第一方向とは逆方向である第二方向(搬送体戻し方向、矢印C方向)への気流を交互に発生させることで、送風管100内で移動体200を往復移動させる。
搬送管400は、紙幣及び搬送体500が移動する空間を形成する。
搬送体500は、搬送路401内の所定位置にて待機する紙幣を受け取って起立させた状態で保持し、搬送路401内を移動することによって紙幣を金庫ユニット700に向けて搬送する。搬送体500に搭載された搬送体側磁石523は、移動体200に備える移動体側磁石213から磁力による吸着作用、及び/又は、反発作用を受ける。搬送体500は、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送管400内を移動する。
【0021】
ここで、移動体200と搬送体500との間に吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石としてもよいし、一方を磁石とし他方を鉄等の磁性体としてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石から構成する。
受入ユニット(紙幣受入れ装置)600は、台間機2の紙幣挿入口(紙幣挿入部)から挿入された紙幣を内部に受け入れて、紙幣を搬送路401内の所定位置に待機させる。受入ユニット600は、台間機2毎に設けられる。受入ユニット600は、搬送管400の長手方向に所定間隔を空けて複数個設置される。
金庫ユニット700は、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部や、紙幣収容部への紙幣の収容に関わる各部材を駆動する駆動機構等を備えている。
【0022】
管理ユニット(制御手段)1000は、紙幣搬送システム10を構成する各部の動作を制御する。管理ユニット1000は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、これらがバスを介して接続された一般的なコンピュータ装置を含んで構成される。CPUは、紙幣搬送システム10の全体を制御する演算装置である。ROMは、CPUが実行する制御プログラムやデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。RAMはCPUのワークエリアとして使用される揮発性のメモリである。CPUがROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各種の機能が実現される。
【0023】
〔紙幣搬送システムの詳細構成〕
第1の本発明の実施形態に係る紙幣搬送システムの各部の詳細構成について説明する。
<送風管>
送風管について、図3図4を参照しながら説明する。
図4は、移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図3に示す送風管100は、移動経路部分111を含む第一送風管110と、後述する切替弁325(図5参照)を介して第一送風管110との間でエンドレス状の気流路101を形成する第二送風管120とを備える。
紙幣搬送システム10は磁力を利用して搬送体500を移動させるため、送風管100の移動経路部分111は移動体200の走行と磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない構成を備える。移動経路部分111はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、移動体200と搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
移動経路部分111は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0024】
送風管100を搬送管400とは別個独立した構成とすることにより、送風管100内に気密的な流路を形成することができる。送風管100の外部への空気漏れによる移動体200の搬送力の低下を防止できる。また、空気流の発生に使用するブロアとして比較的安価且つ低出力のブロア310を採用でき、紙幣搬送システム10の低コスト化を実現する。仮に紙幣の搬送距離の増大に伴って送風管100が長尺化した場合であっても、送風管100内の空気流を確実に制御できる。また、移動体200を空気流により走行させるため、送風管100内にはギヤや搬送ベルト等の機械的な構成、配線や電気的な接点を配置する必要がなくなり、送風管100及び内部に配置される移動体200の耐久性が向上する。また、気密的に構成された気流路101には外部空気が流入しないため、外部空気中の塵埃等を巻き込むことがなく、気流路101内をクリーンに保つことができる。
【0025】
<移動体>
移動体200は空気圧を受けて送風管100内を移動可能な形状、構造であればよい。
図4に示すように、移動体200は複数の分割片210、210…がヒンジ部211によって移動体200の走行方向(送風管100の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片210は同一の構成を有し、各分割片210は夫々移動体側磁石213を備える。
移動体200は、搬送体500に磁力を作用可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の移動体側磁石213を備える。本例において、移動体側磁石213は、移動体200の搬送管400寄りに配置されている。移動体200に備えられた複数の移動体側磁石213は移動体200の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各移動体側磁石213は、N極(一方の極)が搬送管400側(図中上側)に、S極(他方の極)が図中下側に向くように、分割片210に取り付けられている。
本例に示す移動体200は、3つの分割片210から構成されている。分割片210同士は、ヒンジ部211を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、移動体200は、送風管100が上下左右方向に湾曲した気流路101を形成する場合であっても、各分割片210が変位しながら送風管100内をスムーズに移動可能となる。
【0026】
<送風管と移動体との関係>
移動経路部分111の内面形状と移動体200の外面形状(構造)は、移動経路部分111の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、移動体200が移動経路部分111に対して相対回転しないように形成される。例えば、移動経路部分111の横断面形状(長手方向と直交する断面における形状)と、移動体200の分割片210の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、移動体側磁石213のN極(一方の極)が常に搬送管400側を向くように、移動経路部分111内における移動体200の姿勢を維持できる。
【0027】
<送風制御ユニット>
図5(a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
本実施形態に係る送風制御ユニット300は、一定方向に流れる気流を発生させる単一のブロア310と、送風管100内の空気流の方向を制御する切替ユニット320(切替弁325)と、を備える。送風制御ユニット300は切替ユニット320によって、送風管100内の空気流の方向を第一の方向(紙幣回収方向、矢印B方向)又はその反対方向である第二の方向(移動体戻し方向、矢印C方向)に切り替える点に特徴がある。
送風制御ユニット(空気流制御装置)300は、気流の排出方向を制御する切替ユニット(空気流切替ユニット)320と、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する第一循環配管330と、第一循環配管330の適所に配置されて第一循環配管内を一定方向に流れる気流を発生させるブロア310とを備える。
【0028】
切替ユニット320は、夫々外部配管と接続する4つの流路323(第一流路323a~第四流路323d:ポート)が形成されたケーシング321と、4つの流路323の合流部(交差部)に配置されて各流路323間の連通状態、及び/又は、連通時の開度を切り替える切替弁325とを有している。各流路323は、夫々外部配管である排気管331、吸気管333、第一送風管110、第二送風管120と連通・接続される。本例において各流路323は十字状(放射状)に配置されている。本例に示す切替弁325は、ボールバルブ等のロータリー式のバルブであり、切替弁325がケーシング321内で所定の角度だけ回転することによって、各流路323間の連通状態及び各流路323の開度が切り替えられる。
切替弁325は電動弁であり、モータによって駆動されて回転角度を制御される。モータには例えばステッピングモータを用いることができる。切替弁325は、例えば、管理ユニット1000が駆動パルスに基づきステッピングモータの回転角度を制御することによって所望の回転角度に制御される。もちろん、切替弁325を回転させる駆動手段及び切替弁325の回転角度の制御には他の方式を用いてもよい。例えば切替ユニット320に、切替弁325と連動して回転するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダの回転角度を検知するセンサとを搭載し、管理ユニット1000が切替弁325の回転角度をフィードバック制御する構成としてもよい。
【0029】
第一循環配管330は、一端部(第一循環配管330の一端部330a)を切替ユニット320の第一流路323aに連通接続され、他端部をブロア310の排気口に連通接続された排気管331と、一端部をブロア310の吸気口に連通接続され、他端部(第一循環配管330の他端部330b)を切替ユニット320の第二流路323bに連通接続された吸気管333と、を備える。
送風管(第二循環配管)100は、一端部100aを切替ユニット320の第三流路323cに連通接続され、他端部100bを切替ユニット320の第四流路323dに連通接続されており、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する。送風管100は内部に配置した移動体200を気流により図中矢印B方向とC方向とに往復移動させる。
本例に係る送風管100は、移動体200の移動経路部分111を形成する第一送風管110と、第一送風管110と連通接続された第二送風管120とを備えている。第一送風管110が第三流路323cに連通接続され、第二送風管120が第四流路323dに連通接続されている。
【0030】
<<切替ユニットの動作:ニュートラル状態>>
図5(a)は、ニュートラル状態を示している。
切替弁325は第一流路323aと第二流路323bとを連通させるが、第一及び第二流路323a、323bと、第三及び第四流路323c、323dとを連通させないニュートラル姿勢にある。
このため、空気流は第一循環配管330内において矢印A(A1、A2)方向に循環し、送風管100内に気流は発生しない。従って、移動体200は送風管100内において停止した状態となる。
【0031】
<<切替ユニットの動作:第一の連通状態>>
図5(b)は、送風管100内に第一の方向(矢印B1、B2方向)に流れる気流を発生させる第一の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500が回収した紙幣を金庫ユニット700に搬送する紙幣の回収動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第四流路323dを連通させ、第二流路323bと第三流路323cとを連通させる第一連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第四流路323dは、第二流路323b及び第三流路323cとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第四流路323dから第二送風管120に流入する(矢印B1方向)。第一送風管110を矢印B2方向に流れて第三流路323cに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0032】
<<切替ユニットの動作:第二の連通状態>>
図5(c)は、送風管100内に第二の方向(矢印C1、C2方向)に流れる気流を発生させる第二の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500を金庫ユニット700側(管理ユニット1000側)から、搬送管400の遠位端側に戻すための戻し動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第三流路323cとを連通させ、第二流路323bと第四流路323dを連通させる第二連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第三流路323cは、第二流路323b及び第四流路323dとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第三流路323cから第一送風管110に流入する(矢印C1方向)。第二送風管を矢印C2方向に流れて第四流路323dに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0033】
<<切替ユニットの動作:まとめ>>
このように、切替ユニット320を介して2つのエンドレス状の配管(第一循環配管330と送風管100)を接続することにより、単一のブロア310により一定方向(矢印A方向)の気流を発生させつつ、切替弁325の姿勢を切り替えて、送風管100内に気流を発生させないニュートラル状態、送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる第一の連通状態、送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる第二の連通状態の3つの状態を切り替えることができる。
また、切替弁325が取る上記3姿勢の中間の姿勢では、上記3状態とは連通状態が変化する。即ち、本実施形態においてはケーシング321内における切替弁325の角度に応じて、各流路の連通関係と各流路の開度を調整することができるため、各流路の開度に応じた風量の気流を送風管100内に発生させることができる。即ち、送風管100内の風速に応じて移動体200の速度を可変させることができる。
ここで、移動体200の移動速度をブロア310の風量制御により調整することも可能である。例えばブロア310の風量は、ブロア310の羽根の回転速度をPWM(Pulse Width Modulation)制御によりを可変させることによって調整可能である。しかし、ブロア310の回転速度の可変応答性よりも切替弁325の回転応答性の方が高いため、移動体200の速度調整を迅速に行うためには、切替弁325の回転角度を調整する方が有利である。
【0034】
<搬送管>
搬送管(搬送経路)400について、図4及び図6を参照して説明する。
図6は、搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。図6においては、搬送管400の内部を、一部露出させた状態を示している。
紙幣搬送システム10において搬送体500は磁力を利用して搬送されるため、搬送管400は磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない材料から構成される。搬送管400はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
搬送管400は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0035】
本例において、搬送管400は送風管100の上方に配置されているが、送風管100と搬送管400との位置関係についてはこれに限らない。搬送管400は送風管100の下方に配置されてもよいし、搬送管400を送風管100の側方に配置されてもよい。
なお、本例において搬送路401を構成する手段として搬送管400を例示したが、搬送路401を構成する手段は管状である必要はなく、搬送路401の一部又は全部が外部に開放された構成としても、本発明を実施可能である。つまり、搬送管400はその内部に搬送路401としての長尺な空間を形成できればどのような形態であってもよい。
【0036】
<搬送体>
図4及び図6に示すように、搬送体500は、搬送路401内において送風管100寄りの位置に配置されて、移動体200からの磁力を受ける搬送ベース510と、搬送ベース510の送風管100とは反対側に設けられた紙幣回収保持部540とを備える。
【0037】
<<搬送ベース>>
搬送ベース510は、複数の分割片520、520…が、ヒンジ部521によって搬送体500の走行方向(搬送管400の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片520は夫々搬送体側磁石523を備えている。
搬送ベース510は、移動体200から磁力の作用を受けることが可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の搬送体側磁石523を備える。本例において、搬送体側磁石523は、搬送ベース510の送風管100寄りに配置されている。搬送ベース510に備えられた、複数の搬送体側磁石523は搬送体500の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各搬送体側磁石523は、N極(一方の極)が送風管100側(図中下側)を向き、S極(他方の極)が図中上側に向くように、分割片520に取り付けられている。搬送ベース510は、移動体200から磁力による反発力を受けて搬送管400内で磁気浮上する。
本例に示す搬送ベース510は4つの分割片520から構成されている。分割片520同士は、ヒンジ部521を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、搬送体500は、搬送管400が上下左右方向に湾曲した搬送路401を形成する場合であっても、搬送管400内をスムーズに移動可能となる。
【0038】
<<紙幣回収保持部>>
紙幣回収保持部540は、搬送ベース510上に配置されている。紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に突出する回収部材(回収爪)544を備える。支柱部材541は、搬送ベース510の幅方向の中間部から上方に突出している。
紙幣回収保持部540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向に沿うように、且つ起立した姿勢で保持する。紙幣Pの一方の長辺(図6中、下側に位置する長辺)は搬送ベース510によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541又は回収部材544によって支持される。
【0039】
<搬送管と搬送体の関係>
搬送管400は、その内部に、送風管100寄りに配置されたベース搬送路402と、送風管100とは反対の側に配置された紙幣搬送路403とを備える。ベース搬送路402は搬送体500の搬送ベース510が走行する横長の空間であり、紙幣搬送路403は搬送体500の紙幣回収保持部540、及び紙幣回収保持部540に保持された紙幣が走行する縦長の空間である。
本例に示す搬送体500は、移動体200から磁力による反発力を受けて走行するため、ベース搬送路402と搬送ベース510は、搬送ベース510のベース搬送路402からの離脱(紙幣搬送路403側への移動)を禁止し、搬送ベース510の位置を移動体200から磁力の作用を受けられる位置に維持するように構成されている。
ベース搬送路402の内面形状と搬送ベース510外面形状は、ベース搬送路402の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、搬送ベース510がベース搬送路402に対して相対回転しないように形成される。例えば、ベース搬送路402の横断面形状と、搬送ベース510の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、搬送体側磁石523のN極(一方の極)が常に送風管100側を向くように、ベース搬送路402内における移動体200の姿勢が維持される。
【0040】
<移動体と搬送体との関係>
移動体側磁性体と搬送体側磁性体との関係について説明する。
<<反発のみ>>
図4に示すように、移動体200と搬送体500の双方に互いに反発する向きに1個以上の磁石を配置して、移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500の少なくとも一方には、走行方向に所定の間隔を空けて複数個の磁石を配置することが望ましい。移動体200と搬送体500の少なくとも一方に、走行方向に複数個の磁石を配置することによって、搬送体500が移動体200から反発力を受けて走行する際に、移動体側磁石213と搬送体側磁石523とが互い違いに配列される。即ち、搬送体500が走行する際に、搬送体500は移動体200に対して相対的に位置決めされる。この場合、特に、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を1個違いにするのが好適である。言い換えれば、nを自然数とした場合、移動体200と搬送体500の一方にn個の磁石を配置し、他方にn+1個の磁石を配置するのが好適である。
搬送管400を送風管100の上方に配置して、搬送体500と移動体200との間に反発力を作用させる場合、搬送体500が搬送管400内で浮上するので、搬送体500が搬送管400に接触しにくくなる。従って、搬送管400との摩擦による搬送体500の搬送力の低下を防止し、搬送体500を円滑に移動させることが可能となる。また、搬送体500と搬送管400との接触が抑制されるため、各部材の接触による微細なダスト(粉塵)の発生を防止できる。
なお、移動体200と搬送体500との間に反発力を作用させる場合は、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を増大させることによって、搬送力を向上させることができる。
【0041】
<<吸着のみ>>
図7は、移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213と搬送体側磁石523が互いに吸着する姿勢で移動体200と搬送体500に取り付けられている。移動体側磁石213と搬送体側磁石523の長手方向位置は、送風管100と搬送管400の壁を介して整合するため、移動体200に対する搬送体500の位置決めが容易となる。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の少なくとも一方が磁石であればよい。例えば、搬送体500と移動体200の一方に磁石を配置し、他方には磁石に吸着する磁石以外の磁性体(例:鉄板)を配置してもよい。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、搬送体500と移動体200に少なくとも1組の磁性体(例:磁石と磁石の組、又は磁石と鉄板の組)を配置すれば足りる。
【0042】
<<反発と吸着>>
移動体200と搬送体500との間には、反発力と吸着力の双方を作用させてもよい。即ち、移動体200と搬送体500には、互いに反発力を作用させる磁石の組と、互いに吸着力を作用させる磁石の組とが混在していてもよい。反発力と吸着力の双方を作用させる例については、図8に基づき後述する。
【0043】
<<磁石の向き>>
上記実施形態においては、磁石の各極を上下方向(送風管100と搬送管400の積層方向)に向けて配置しているが、磁石の各極を走行方向に向けて(例えば金庫ユニット側にN極、島端側/遠位端側にS極を向けて)配置してもよい。また、磁石の各極を走行方向に対して斜めに傾けて配置してもよい。磁石の向きに応じて磁力の作用を適宜調整可能となる。
【0044】
<<磁石の向き:縦型配置>>
図8は、移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213は、N極(一方の極)が金庫ユニット側(図中左側)に、S極(他方の極)が遠位端側(図中右側)に向くように、分割片210に取り付けられている。また、搬送体側磁石523は、N極が送風管100側に、S極が図中上方を向くように分割片520に取り付けられている。
移動体側磁石213の金庫ユニット側の面(N極)は搬送体側磁石523(N極)と反発し、移動体側磁石213の遠位端側の面(S極)は搬送体側磁石523(N極)と吸着するため、移動体200と搬送体500との間に反発力と吸着力の双方を作用させることができる。
【0045】
〔送風制御に係る変形実施形態1〕
図9は、送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Bは、送風管100の一端部100aに排気口を接続されたブロア310aと、送風管100の他端部100bに排気口を接続されたブロア310bと、両ブロア310a、310bの吸気口同士を接続する接続配管340とを備えた構成であってもよい。送風管100(第一送風管110、第二送風管120)は、2台のブロア310a、310bと接続配管340とを介してエンドレス状に構成される。
ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット1000により制御される。
【0046】
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。送風管100内を流れた空気は、ブロア310aの排気口に流入してブロア310aの吸気口から排出される。空気は更に接続配管340を通ってブロア310bの吸気口に戻り、ブロア310bの排気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにし、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
【0047】
このように、2台のブロアを用いても、送風管100内に第一の方向の空気流と第二の方向の空気流とを発生させることができる。
本例においては、2台のブロア310a、310bの吸気口同士を接続配管340により接続しているため、気密的に構成された気流路101内で空気を効率的に循環させることができる。
【0048】
〔送風制御に係る変形実施形態2〕
図10は、送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Cは、送風管100の一端部100aと他端部100bとに夫々ブロア310a、310bを備える構成であってもよい。ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット1000により制御される。
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。ブロア310bは吸気口から外部エアを内部に取り込んで送出することで、送風管100内に矢印B方向の気流を発生させる。また、この気流はブロア310aの排気口からブロア310a内に取り込まれて吸気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにして、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
本例においては、気流路101を循環路とするための配管が不要となるため、構成が簡略化される。
【0049】
B.第2の本発明に係る紙葉搬送システム
<<紙葉搬送システムの基本構造>>
次に、第2の本発明に係る紙葉搬送システムについて説明する。
なお、第2の本発明は、第1の本発明に係る紙葉搬送システム10中の受入ユニット(紙葉受入れ装置)600、搬送管400、搬送体500等をより具体化した内容を有しており、図1乃至図10を参照しつつ、同一部分には同一符号を付して説明する。
図11は受入ユニット(紙幣受入れ装置)600を備えた紙幣搬送システム10の正面図であり、図12は同紙幣搬送システムの平面図であり、図13は同紙幣搬送システムの正面左側斜視図であり、図14は同紙幣搬送システムの正面右側斜視図である。
また、図15は受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す斜視図であり、図16図15中における搬送管の一部を縦断面で示す斜視図であり、図17は受入ユニットと搬送管400との連結部の構成を示す横断面斜視図であり、図18は紙幣搬送装置Cの一部の横断面図である。
【0050】
第2の本発明に係る紙幣搬送システム10は、気体の流路を形成する送風管100、移動体200、送風制御ユニット300、ブロア310等の他に、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された本流としての搬送管400(搬送路401)、搬送管400内を移動する紙幣搬送用の搬送体(紙幣搬送シャトル)500、及び搬送路401に沿って複数箇所設けられ、且つ紙幣を搬送体500に移載させるために待機させる支流としての待機部450を備えた紙幣搬送装置Cと、外部から一枚ずつ投入された紙幣Pを受け入れて各待機部450に移動させるために各待機部毎に配置される受入ユニット600と、紙幣搬送装置C、受入ユニット600等の駆動対象物を駆動する駆動装置(搬送機構620等)と、金庫ユニット700と、これらを制御する制御手段(管理ユニット)1000と、を概略備えている。
更に、移動体200は移動体側磁性体213を備え、搬送体500は搬送体側磁性体523を備え、移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方が磁石であり、移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体の移動に連動して搬送体を移動させる。
【0051】
搬送体経路としての搬送路401は、本実施形態では直線状の経路で延びているが、これは一例であり、曲線的な経路を含むループを形成するようにしてもよい。
なお、実際の遊技場の島設備Lでは、受入ユニット600は図1に示した台間機2に含まれており、各台間機2に隣接した位置には遊技機1が配置されているが、本実施形態では遊技機を省略して説明する。
受入ユニット600は、投入された紙幣を受け入れる紙幣受入部(紙幣受入部)605と、紙幣受入部605に投入された紙幣を待機部450に向けて順次移送(案内)する導入部610と、導入部610を構成するローラ、ベルト、モータ等の搬送機構620等(詳細は図示しない)を備える。
搬送路401を移動する搬送体500は、各受入ユニット600が連通している各待機部450を通過する過程で各待機部に停止している紙幣を順次回収して搬送体上に起立状態で移載して重ねて保持する紙幣回収保持部(移載手段)540を備えている。紙幣回収保持部は既に移載されている先行紙幣の一面(側面)に後続の紙幣の一面(側面)を重ねて保持する構成を備えている。
【0052】
搬送路401は図11乃至図14における右側端部(初期位置)と金庫ユニット700内部の紙幣排出位置との間に延在しており、搬送路401内における搬送体500の現在位置、通過の有無、タイミングをリアルタイムで確認するために搬送路内の各所に図示しない搬送体用のセンサ(フォトセンサ)が配置されている。例えば、初期位置、各待機部450、金庫システム700、その他の適所に搬送体検知用のセンサを配置する。また、送風管100の長手方向各所にも移動体200の位置、通過の有無、タイミングを検知する移動体用のセンサが配置されている。
制御手段1000は、ある受入ユニット600の待機部450に紙幣が存在しないことが待機部内のセンサにより検知されている時には、導入部610の搬送機構620を駆動して紙幣受入れ部に投入された後続の紙幣を待機部に移送し、待機部への移動が検知、確認された時点で停止させる。更に、待機部450に紙幣が待機していることが検知されている時に、紙幣受入れ部605に後続の紙幣が投入されたことが検知された場合には、導入部610の搬送機構620を駆動することにより受け入れて該導入部内に停止させる。このため、遊技機の利用者は、紙幣等の紙幣を二枚連続して投入することができ、待機時間を短縮できる。
【0053】
<<受入ユニット600>>
図15乃至図18に示すように、受入ユニット(紙幣受入装置)600は、受入ユニットの筐体601の正面に設けられて一枚ずつ投入されてきた紙幣を受け容れる紙幣受入部(紙幣受入口)605と、紙幣受入部605から筐体601の内部に向けて配置されて受け入れた紙幣を待機部450に導入する導入部610と、を備える。導入部610は、紙幣受入部605に投入された紙幣を待機部450に向けて順次移送(案内)する空間である導入経路612と、導入経路に沿って配置されたローラ、ベルト、プーリ、ギヤ、モータ等々から成る搬送機構620と、を概略備えている。
導入部610には投入された紙幣の真贋、金種等を識別、判定する識別部630が設けられており、受入不能であると判定された場合には制御手段1000は搬送機構620を逆転させて紙幣受入部605から排出する。識別部630により受入れ可能と判定された紙幣は導入部610内を搬送機構620により待機部450に向けて搬送される。
導入経路612は、図17図18に示すように紙幣受入部605から搬送路401に向かって直交するように延びる第1導入経路部613と、第1導入経路部613と連通接続されて搬送路401と略並行な方向で且つ金庫ユニット700から離間する退避方向Rへ延びる第2導入経路部615と、第2導入経路部615の終端部に配置された反転ローラ617の外周面側に形成され、第2導入経路部615を待機部450と連通させる反転路(反転部)619と、を備えている。反転路619は待機部450と直接連通しており、反転路を通過した紙幣は待機部450に進入し、待機部450内で停止する。反転路619は反転ローラ617の外周面と、該外周面と所定の搬送空間を隔てて対向配置された搬送ガイド板619aとの間に係止される。
【0054】
待機部450は、筐体455内に形成された紙幣搬送、待機用の空間であり、搬送路401側のガイド板460と、該ガイド板460との間に所定の搬送空間を隔てて配置された他のガイド板465とから形成されている。待機部450は、長手方向長が最長の紙幣の後端縁が反転路619を通過し終わった状態で、搬送路401と並行な伸長姿勢を維持しつつ待機できるような長さ、形状に設計する。待機部内に待機している紙幣は、搬送体(紙幣キャリア)500が通過する際に回収爪544が紙幣の後端縁と接して前進方向Pへ押圧しつつ待機部から搬送体上に移載できるように位置決めされる必要がある。また、待機部内に待機している紙幣の後端は反転ローラ617等の反転用の駆動手段と充分に離間することにより、反転ローラ等が駆動しても影響を受けずに待機し続けることができるように構成されている。
【0055】
図18に示すように、紙幣受入部605内には紙幣の進入を検知する通紙センサS1が設けられ、その下流側の適所、例えば識別部630の入口、及び出口、第1導入経路部613と第2導入経路部615との接続部、反転路619等には夫々他の通紙センサS2~S5が設けられる。
待機部450には反転路619から紙幣が進入してきたことを検知するセンサS6、及び待機部から紙幣が回収されたことを検知するセンサS7が夫々配置される。
第1導入経路部613は、識別部630を含む入口側経路部613aと、下流側の後続紙幣用の待機用経路部613bとを備えている。識別部630を通過する際に得られた識別情報に基づいて受入れ可能であると判定された紙幣は、待機用経路部613bに移動し、待機部450内に先行する待機紙幣が存在しないことがセンサS6、S7等により検知されている場合には、第2導入経路部615、反転路619を経て待機部450内に搬送される。なお、後続紙幣の待機位置の範囲は、待機用経路部613bを越えて反転路619に達してもよい。
【0056】
紙幣後端が反転路619を通過したことが検知された後、紙幣先端、或いは紙幣後端が適正な待機位置に達したことがセンサS6、センサS7等により検知された時点で搬送を停止されて待機状態に移行する。なお、待機状態に移動した時点における紙幣後端の位置は、反転路を構成する反転ローラ617等の導入部610側の搬送手段と接触しない位置とすることにより、反転ローラを含む上流側の搬送機構が後続紙幣を搬送するために駆動されたとしても干渉されることがなく、停止した状態を維持できる。例えば、後続の紙幣が識別部に630より受入できないと判定されたことにより第1導入経路部613、及び第2導入経路部615の搬送機構が逆転駆動されたとしても待機部内に停止している紙幣の位置、動作に影響を与えることはない。
待機部内の紙幣P1が搬送体500により回収されて待機部内に存在しないことが検知された時、それまで反転路619よりも上流側の経路部613b、615中に待機していた後続紙幣P2は、反転ローラ617を含む搬送機構の駆動再開により反転路を経て待機部450内に送り込まれる。
【0057】
<<搬送体(紙幣回収シャトル)>>
図19(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図であり、図20(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。図21は搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。図22(a)(b)(c)及び(d)は搬送体500が前進する過程で回収部材が待機部内に進入して待機紙幣を回収する手順を示す平面横断面図である。図23は搬送体が後退する過程で一方の回収爪が変形する状態を示す平面横断面図である。
【0058】
図19乃至図21に示した搬送体500は、搬送ベース510と回収部材544の構成が図6に示した搬送体とは若干異なる。
即ち、搬送ベース510は、複数の分割片520をヒンジ521を介して上下左右方向へ(或いは、斜め方向へも)変位自在に連結すると共に、図19(d)中に示す各分割片内の内部空間520a内に搬送体側磁石(搬送体側磁性体)523を配置した構成を有する。また、各分割片520の両側面には、回転自在なローラ525を配置することにより搬送管400内の移動をスムーズにしている。また、支柱部材541の上部には搬送管内壁との間の抵抗を低減するためのローラ545が回転自在に配置されている。
紙幣回収保持部(移載手段)540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向と並行になるように、且つ起立した姿勢で保持する。横長、且つ起立状態にある紙幣Pの下側の長辺は搬送ベース510(各分割片520)の上面(平坦面)によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541、及び回収部材544によって支持される。
【0059】
各分割片520には、その幅方向両端縁に紙幣の脱落を防ぐ突条520bが設けられているが、突条520bの内側に位置する領域520cは平坦面となっており、紙幣の下側長辺を安定して支持できるようになっている。また、各分割片520の内側の領域520cは長手方向に連通しているため、紙幣は複数の分割片の内側領域520cに跨がって載置されることができる。
搬送ベース510上に立設された紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に平面視で翼状(鋭角状、或いは鈍角状)に突出し(拡開し)、且つ支柱部材541側の軸支部541aによって横方向へ開閉自在に軸支された2つの回収爪544から成る回収部材544を備える。図示した軸支部541aは支柱部材541と並行、即ち垂直な姿勢であるため、軸支部回りに回動する回収爪544は水平方向へ開閉する。なお、回収爪の回動方向はこれ以外の方向であってもよい。
【0060】
回収部材544は、回収部材が上下二対ある図6の構成例とは異なり、支柱部材541の所定の高さ位置に一対配置されている。回収部材544を構成する2つの回収爪544は、図19中に示した拡開状態が最大開放角度にあり、これ以上は開放方向へ回動できない一方で、拡開状態から閉じる方向へは回動することができる。図20は2つの回収爪544が最小開放角度にある状態(閉止状態)を示している。また、各回収爪544はその軸支部541aに設けたバネ(弾性部材)541bにより開放する方向へ常時弾性付勢されている。搬送体500が搬送路401上を金庫ユニット700へ向かう前進方向Pへ移動する際には各回収爪544はバネ541bにより拡開した姿勢を維持するため、待機部450内に起立状態で停止している紙幣の後端縁を回収爪により引っ掛けて待機部内を前進方向Pへ移動させつつ搬送ベース510上に移載することができる。搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700へ向けて前進方向Pへ移動する過程で回収爪544が拡開した姿勢を維持できるように、搬送管400の両内壁であって各回収爪が通過する箇所には、回収爪用通路としての凹所405(図16図21)が形成されている。各凹所405は、各待機部450内においては各回収爪が各待機部内の紙幣の後端縁に接触できるようにレイアウトされている。なお、各回収爪544は独立して開閉動作するように構成するのが好ましく、その場合には一つのコイルバネ(或いはトーションバネ)により各回収爪を個別に回動させるように構成しても良いし、バネ541bを回収爪毎に設けるようにしてもよい。
【0061】
図19に示した拡開状態にある各回収爪544は、軸支部541aにより回動自在に軸支された内側の基端片544aと、基端片544aから搬送体の幅方向外側に伸びる中間片544bと、中間片544bから斜め前進方向へ屈曲、或いは湾曲して突出した端部片544cと、を備えている。回収爪544が待機部450内を通過する際には、主として中間片544b、及び端部片544cが待機部450内に進入し、待機紙幣の後端縁に接触しながら紙幣全体を前進方向へ押し出す。端部片544cは中間片544bの端部から斜めに突出しているため、中間片544bと接した紙幣後端縁が中間片の面に沿って幅方向外側へ位置ズレしようとしても端部片544cがこれを確実に阻止することができる。待機紙幣が搬送ベース510上に移載した後は、端部片544cは積載した紙幣が幅方向に位置ズレしたり、落下することを防止する。
図19のように各回収爪544が拡開した姿勢において、中間片544bが搬送路401の幅方向と並行か、或いは前進方向Pへ向けて傾斜した姿勢となるように構成することにより、中間片が待機部内の紙幣後端縁と接触した際にこれを確実に係止して前進方向へ押圧することを可能にする。
【0062】
このように、回収部材544は、支柱部材により略水平方向へ開閉自在に軸支された一対の回収爪を備え、各回収爪は幅方向外側に突出した拡開姿勢と、幅方向内側に退避した退避姿勢との間を開閉し、且つ弾性部材により拡開姿勢に付勢されている。
各回収爪544は、以上のような構成を有しているため、搬送路401を間に挟んで交互に異なった長手方向位置にある各待機部内の紙幣を回収する際に、搬送体を直線移動させるだけで各回収爪により確実に回収し、搬送体の幅方向中央部に紙幣を集めることが可能となる。
なお、搬送体500が搬送路内を退避方向Rへ移動する場合には、回収爪が待機部内の紙幣と干渉するが、紙幣と接触して移動し続ける過程で弾性部材の付勢に抗して当該回収爪は閉じる方向へ姿勢変更する。このため、待機紙幣を損傷する等の影響を与えることなく、スムーズに戻り方向へ移動し続けることができる。
搬送ベース510上に既に紙幣が起立状態で積載されている状態で、回収してきた後続の紙幣を既積載紙幣の一面(一側面)に対して後続紙幣の一面を重ねて順次積載する方式を採るため、後続紙幣の先端縁が既積載紙幣の後端縁に突き当たって積載不能に陥ることがない。
【0063】
また、図18図22図23等に示すように、待機部450と搬送路401との間に両者を隔てる仕切板としてのガイド板460を設けると共に、ガイド板460の前進方向寄りの端部に紙幣を搬送路401へ抜き出すための開口部460aを設ける。ガイド板460には回収爪544が通過できる図示しないスリットを紙幣搬送方向と並行に形成することにより、回収爪が待機部内を通過する際にガイド板460が妨げとなることを防いでいる。また、他方のガイド板465にも回収爪544が通過できる図示しないスリットを紙幣搬送方向と並行に形成することにより、回収爪が待機部内を通過する際にガイド板465が妨げとなることを防いでいる。
待機部内の紙幣が回収爪により後端縁を押圧されて前進方向Pへ移動する過程では紙幣先端は開口部460aから搬送路401へ向けて突出し、待機部から離脱する。この際に、紙幣先端縁が確実に搬送路側へガイドされるように紙幣を搬送路へ向けてガイドする傾斜面460bを開口部に設ける(図19図22図23)。
【0064】
このように待機部450内の紙幣が回収爪により押圧されて待機部内を搬送路401へ向けて移動する過程では必ず紙幣先端部からの長手方向へ沿った移動となる。つまり、ガイド板460があるため、待機部内の待機紙幣は搬送路401と直交(接近)する方向へ移動することはできず、待機部の長手方向に沿って前進方向Pへ移動しつつ開口部460aから搬送体上に向けて移動することとなる。また、搬送体上の既積載紙幣と待機部内の待機紙幣は、ガイド板460を間に挟んで、同じ高さ位置、同じ姿勢となるように位置関係が予め設定され、且つ紙幣の厚さ方向(搬送路の幅方向)位置が確実にずれるように(紙幣同士が干渉しないように)配置されている。このため、開口部460aから押し出された紙幣が搬送体上に移載完了した時には既積載紙幣の一側面にスムーズに重ねて積載されることとなる。このため、紙幣同士の端縁が衝突して位置ズレなどの積載不良や落下を起こすことがない。
このように待機部内の待機紙幣と搬送体上の積載紙幣は互いに干渉しない位置関係にあるが、搬送体上の回収爪544だけが待機紙幣と干渉可能な位置関係にあり、回収爪が待機部の空間内に入り込んだ時に待機部内の紙幣後端を引っ掛けて待機位置から前進方向へ押圧して紙幣先端縁を開口部460aから突出させて、最後には紙幣全体を搬送体上に移載することができる。
【0065】
搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700から離間する退避方向Rへ移動する過程で回収爪544が障害物(待機部450内にある紙幣)に接触した場合には、回収爪544はバネ541bに抗しながら閉じる方向へ個別に回動(退避)することができ、障害物を通過した後は元の拡開位置に復帰するように構成されている。このため、搬送ベース510が退避方向Rへ移動する過程で一方の回収爪544が通過経路に位置する一つの待機部450内にある紙幣P1に接触することがあったとしても、当該回収爪は紙幣と接触しつつ移動する過程で閉じる方向へ退避しつつ紙幣を通過するので、移動をスムーズにすることができる(図23を参照)。
図16に示すように搬送路401の2つの対向する内壁には夫々2つの回収爪544がスムーズに通過できるように凹所405が形成されている。凹所405は外側から見れば凸状部である。凹所405は搬送路401のほぼ全長(搬送体500の移動経路のほぼ全体)に渡って形成されているが、受入ユニット600が配置される箇所、即ち待機部450と干渉する範囲内においては存在していない。つまり、待機部450を内部に備えた外装体455(図16図18)内では凹所405を構成する搬送路の凸状の壁部は除去されている。待機部450を形成している外装体455内の空間内には待機状態にある紙幣が配置されるため、凹所405を構成する凸状の壁部が待機部内にまで延在すると紙幣を待機させる空間と干渉するからである。また、待機部の外装体455内においては、待機部を形成するガイド板460、465に回収爪を回避するスリットが形成されているために、外装体内に進入した回収爪は待機紙幣と接して搬送することができる。
【0066】
次に、図22に基づいて搬送体(紙幣回収保持部540)が搬送路401を金庫ユニットに向かう前進方向Pへ移動する過程で待機部450内に停止している紙幣を回収する手順について説明する。
図22(a)に示した状態では搬送体500の搬送ベース510の先端から約2/3の部分までは待機部450と重なる位置に達しているが、支柱部材541は待機部の後方に位置しているため、各回収爪544も待機部の後方にある。同図(b)(c)では支柱部材541は(a)よりも更に待機部450に接近しているが、各回収爪544は依然として待機部外にある。次いで、同図(d)では支柱部材541が待機部内に進入しており、待機部内に紙幣がある場合には当該待機部側の回収爪544が紙幣の後端縁と接してこれを前進方向Pへ押圧して移動させながら搬送路401の幅方向へ移動させるため、紙幣Pは起立姿勢を維持したまま搬送ベース510上に移載(回収)される。搬送ベース上に既に移載されている紙幣がある場合には既積載紙幣の側方に重ねて積載される。
搬送体500がこの待機部450を通過して移動方向下流側に位置する次の待機部内の紙幣を回収する場合には、次の待機部側に位置する回収爪544が紙幣を回収する。
【0067】
次に、図23は搬送体500が搬送路401を金庫から離間する退避方向Rへ移動する過程で、回収爪544の一方が待機部450内に停止している紙幣Pを回避するために閉じる方向へ回動している状態を示している。
本発明に係る紙幣搬送システムによれば、搬送体を高速で移動させる場合であっても、各遊技媒体払出装置(受入ユニット)によって保持されている紙幣を確実、且つ迅速に回収して搬送体に移載すると同時に複数枚の紙幣を整列して保持しつつ、紙葉ジャムを生じさせることなく安定して搬送することができる。
【0068】
<<搬送体による紙葉の回収手順>>
以上の構成を備えた紙幣搬送システム10においては、待機部450、導入部610内の紙幣の有無との関係で、次のような各種の処理が可能である。
まず、図24は搬送体による紙幣の回収手順、導入手順の一例を示すフローチャートである。
制御手段1000は、ある待機部450内に紙幣が停止しており、且つ対応する導入部610に紙幣が存在しないことが検知されている時に(ステップS1 YES)、その待機部に対応する受入ユニット(紙幣受入れ装置)600に後続の紙幣が新たに投入されたことが検知された場合には(ステップS3 YES)、後続の紙幣を導入部610により受け入れて導入部内に停止(待機)させるように各部を制御する(ステップS5、7、9)。
これによれば、待機部450の上流側の導入部610内の任意の箇所を後続紙幣の待機部として利用できるので、待機部に紙幣が存在しない状態では二枚目の紙幣の投入が可能となる。
【0069】
次に、図25は搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
制御手段1000は、何れか一つの待機部450と、この待機部の上流側の導入部610内に異なった紙幣が夫々同時に待機状態にあることが検知されている時には(ステップS11、13 YES)、移動体200を用いて搬送体500を初期位置から金庫ユニット700の位置まで一回走査させることにより待機部450内の紙幣を回収すると共に(ステップS15)、導入部610内の紙幣を待機部450内に移動させるように各部を制御する(ステップS17)。
待機部450、及び導入部610内に紙幣が待機している状態にある時には、三枚目の紙幣を投入することができないが、以上のように制御することにより、導入部610内を空の状態にして三枚目の紙幣の投入を可能にすることができる。
【0070】
次に、図26は搬送体による紙葉の回収手順、導入手順の他例を示すフローチャートである。
制御手段1000は、全ての待機部450内において紙幣が待機状態となったことが検知された場合、或いは所定数以上(例えば、10箇所以上)の待機部内に紙幣が待機している状態となったことが検知された場合には(ステップS21 YES)、移動体200を用いて搬送体500を初期位置から金庫ユニット700の近傍位置まで一回走査させる(ステップS23)。これにより各待機部450内の紙幣を回収すると共に、導入部610内に紙幣が存在する場合にはこれらの紙幣を待機部に移動させるように各部を制御する(ステップS25、27)。
これにより、紙幣を投入することができない待機時間を短縮して利用者の利便性を高めることができる。
【0071】
C.第3の本発明に係る紙葉(紙幣)搬送システムにおける紙葉の方向転換移載装置
次に、第3の本発明に係る紙幣搬送システム10における紙幣の方向転換移載装置H(旋回スタッカ装置)について説明する。
図27は搬送経路の一部を組み付けた状態の金庫ユニットの正面側斜視図であり、図28は同金庫ユニットの背面側斜視図であり、図29は金庫ユニットのドアを開放して内部の状態を示した斜視図であり、図30は金庫の正面側縦断面図であり、図31は金庫のドアを開放した筐体内部の状態を示す図である。
また、図32は本発明の一実施形態に係る方向転換移載装置H(旋回スタッカ装置)におけるスタッカユニットの上限位置(起立状態)を示す正面側斜視図であり、図33はスタッカユニットが上限位置にある時の方向転換移載装置Hの状態を示す左側面図であり、図34はスタッカユニットが上限位置にある時に操作機構が追加動作位置に達した状態を示す左側面図であり、図35(a)は図33の状態における方向転換移載装置Hの要部の斜視図であり、(b)は操作レバー、及び操作基片を押圧するベアリングを示す要部斜視図であり、(c)はスタッカベースに設けられた被作動部(ベアリング)と周辺部材との位置関係を示す説明図である。
図36は、挟持手段(挟持部材)、及び第1挟持手段作動機構M1の構成及び動作を示す要部構成説明図であり、図37は、挟持手段、及び第1挟持手段作動機構の構成及び動作を示す正面側要部斜視図である。
また、図38は本発明の一実施形態に係る方向転換移載装置H(旋回スタッカ装置)におけるスタッカユニットの下限位置を示す正面側斜視図であり、図39はスタッカユニットが下限位置にある時に操作機構が追加動作位置に達した状態を示す左側面図であり、図40図38の状態における方向転換移載装置Hの斜視図である。
【0072】
各図において、矢印x、x`は共に搬送経路による搬送体の移動方向(紙幣の搬送方向)を示しており、矢印xは金庫ユニットへ向かう往路であり、矢印x`は金庫ユニットから離間する復路を示している。
なお、以下においては、第1の本発明、及び第2の本発明に係る紙幣搬送システム10に係る各図面、及び説明を併せて参照し、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0073】
<金庫ユニット>
第3の本発明に係る紙幣の方向転換移載装置H(旋回スタッカ装置)は、第1、及び第2の本発明において説明した紙幣搬送システム10における金庫ユニット700に含まれる。
紙幣搬送システム10は、紙幣搬送装置Cと、受入ユニット600と、金庫ユニット700と、これらを制御する制御手段(管理ユニット)1000と、を概略備えている。
図29乃至図31に示すように、金庫ユニット700は、筐体701(筐体本体701a、ドア701b)の内部にある方向転換移載装置H、金庫(セキュリティボックス)950、後述する処理装置970等の各種制御対象を制御する金庫用制御基板(セキュリティボックス制御基板)952、その他の構成要素を収納しており、ドア701bを開放した状態で金庫950を露出させてから手前側に引き出して筐体701から離脱させることができる。金庫950は、方向転換移載装置Hの直下のスペース内に方向転換移載装置Hと並行な姿勢で収納される。紙幣搬送装置C、即ち紙幣搬送経路(400、401)に沿って搬送体500上に起立状態で保持されて金庫ユニットに向かってx方向へ搬送されてきた紙幣は、金庫ユニット内の紙幣取出し位置PPにて停止する。停止した後で紙幣は方向転換移載装置Hを構成するスタッカユニットSUの挟持手段により保持され、スタッカユニットSUの旋回動作により姿勢を横方向(水平方向)へ略90度方向転換されつつ金庫への搬出部材960上に移載され、搬出部材により金庫内に収納される。金庫950内では紙幣の長辺を上下方向に向けた姿勢で図30の左右方向(紙幣搬送経路の搬送方向xと並行な方向)へ積層状態で積載される。
【0074】
金庫950は方向転換移載装置Hの直下のスペース内に方向転換移載装置Hと並行な姿勢で収納されるため、金庫ユニットの左右方向長(紙幣搬送方向x、x`方向長)、及び前後方向長を短くすることができると共に、金庫の容積を大きくして紙幣収納量を最大限にまで拡大することができる。また、紙幣を方向転換移載装置Hから金庫へ搬送する過程で、関係者を含む人間が紙幣に触れる機会を大幅に低減させることができるため不正行為を防止できる。
金庫ユニット700は、搬送体500により起立状態で紙幣搬送経路(400、401)を搬送されてきた紙幣(束)Pを紙幣取出し位置PPに受け容れて停止させてから挟持手段(クリッパ)812により挟持し、挟持手段が紙幣(束)を挟持した状態で金庫950への収納に適した姿勢、及び方向に転換させてから金庫への搬送用の搬出部材960上に移載する紙幣の方向転換移載装置H(駆動機構DM、操作機構730、スタッカユニットSU等)と、金庫950への搬送用の搬出部材960と、金庫950等を備える。
【0075】
<紙幣の方向転換移載装置Hの概要>
本実施形態に係る紙幣の方向転換移載装置(以下、方向転換移載装置と称する)Hは、一枚の紙幣、又は重ねた状態にある二枚以上の紙幣Pを起立状態で保持しつつ紙幣搬送経路(400、401)に沿って移動すると共に金庫ユニット700側の紙幣取出し位置PPにて停止する搬送体500と、紙幣取出し位置PPに移動してきて停止状態にある搬送体上の紙幣(束)を挟持する挟持手段(挟持部材、挟持片)812と、を備え、且つ上限位置(初期位置、第1の位置)と該上限位置から所定角度(略90度)下方に回動した下限位置(終端位置、第2の位置)との間で往復回動(往復旋回、揺動)するスタッカユニットSUを備える。更に、スタッカユニットを上限位置へ向かう正転方向と、下限位置へ向かう逆転方向へ往復回動させる操作機構(操作基片732、操作レバー740、745、引張バネ750)730と、操作機構の正転方向への回動動作(追加動作)に連動して作動することにより挟持手段を開放動作させ、且つ操作機構の逆転方向への回動動作に連動して作動することにより挟持手段を閉止動作させる第1挟持手段作動機構M1と、スタッカユニットSUが下限位置に達して停止した時点以降における操作機構の追加動作により作動して挟持手段を開動作させる第2挟持手段作動機構M2と、操作機構730の動作方向を正転方向、及び逆転方向へ切り替えて回動させる駆動機構DMと、を備える。
【0076】
<駆動機構>
図32等に示すように、駆動機構DMは、固定されたベース台(固定基部)711上に固定されたモータ(DCモータ)710と、モータの出力軸710aに固定された出力プーリ(又は、ギヤ)710bと、出力軸710aと並行に配置され、且つベース台711に固定された軸受部材711aにより回転自在に軸支された駆動軸712と、駆動軸712の基端部に軸芯を固定された従動プーリ(又は、スプロケット)713と、出力プーリと従動プーリとに巻掛けられたベルト(又は、チェーン)714と、駆動軸712の他端部(軸部)712aにより一端を固定された短尺な第1リンク716と、第1リンクの他端部に設けられ駆動軸712と並行な軸716aにより一端部を回転自在に軸支された長尺な第2リンク717と、を備える。駆動軸712、第1リンク716、第2リンク717は、クランク機構を構成している。
【0077】
モータ710は一方向のみに回転し、360度回転する過程でクランク機構、操作機構730を介してスタッカユニットSUを図32等に示した起立状態(上限位置)と、図38等に示した横臥状態(下限位置)に移行させる。具体的には、スタッカユニットSUが図39に示した下限位置にある時に、駆動軸712が180度正転方向(図32等における時計回り方向)へ回転することにより図34に示した上限位置に移行させることができる。また、図34に示した状態から駆動軸712が同方向へ更に180度回転することにより図39に示した状態に移行させることができる。
駆動機構DMは、ベース台711の他の部位により支持された操作機構(その他の機構)730を作動させる駆動手段であり、駆動軸712が図32乃至図35中に示した時計回り方向へ一回転する間に操作機構を構成する操作基片732(特に第2操作基片732b)を図32乃至図35に示した起立位置(初期位置、姿勢転換前の位置)と、図38乃至図40に示した姿勢転換後の横臥位置との間で約90度の角度範囲で往復動作させる。
図33図35の状態ではモータが駆動している途中(停止直前の状態)で、且つスタッカユニットは正転途中であり、図32図34の状態ではモータは駆動を停止している。
また、図38の状態ではモータは駆動している途中(停止直前の状態)で、且つスタッカユニットは逆転途中であり、図39の状態ではモータは停止している。
【0078】
図33に示したようにスタッカユニットが上限位置にある時には第1リンク716は図示の角度にあり、且つ第1リンク716と第2リンク717とは直線状の位置関係にはない。一方、図34に示したようにスタッカユニットが上限位置で停止した後に駆動機構DMからの駆動により操作機構730が所定角度だけ正転方向へ追加動作した段階では第1リンク716と第2リンク717とは直線状となっている。この状態でモータを停止することにより追加動作状態を維持することができる。
また、図38に示したようにスタッカユニットが下限位置にある時には第1リンク716は図示の角度にあり、且つ第2リンク717とは直線状の位置関係にはないが、図39に示したようにスタッカユニットが下限位置で停止した後に駆動機構DMからの駆動により操作機構730が所定角度だけ逆転方向へ追加動作した段階では第1リンク716と第2リンク717とは直線状となっている。この状態でモータを停止することにより追加動作状態を維持することができる。
なお、クランク機構の動作、即ち各リンク716、717の回転角度は、図32図40等に示した駆動軸712の他部に設けたパルス板712Aのスリットを光センサ712Bにより検知することにより、金庫ユニット内に設けた金庫用制御基板952(図52)が知ることができる。
【0079】
本実施形態では、金庫用制御基板952は、パルス板と光センサからの検知情報によりクランク機構がスタッカユニットを90度の範囲で動作させたことだけをチェックし、上限位置、及び下限位置からの追加動作についてはタイマーによりソフト的に検知している。従って、操作機構730、その他の可動部品の動作、タイミングを個々に光センサによりチェックする必要はない。
但し、必要であれば、操作機構730、挟持手段812、整列手段850等々の他の可動部品の回動角度、位置、動作タイミングについては、同様に光センサを用いて金庫用制御基板952が知ることができる。
なお、駆動機構は減速比を高く構成でき、且つ速度が遅いので、DCモータによって停止させたり、駆動開始させることが容易である。
【0080】
<スタッカユニット>
スタッカユニットSUが起立する方向へ回動する場合のスタッカユニット、操作機構730を構成する各部品の回転(回動)方向を正転方向とし、起立状態にあったスタッカユニットSUが横臥する方向へ回動する場合のスタッカユニット、操作機構730を構成する各部品の回転(回動)方向を逆転方向と称する。
スタッカユニットSUは、操作機構730により正逆回動させられるスタッカベース800と、スタッカベース上に搭載される挟持手段812、第2挟持手段作動機構M2、整列手段850、整列手段作動機構S、加圧搬出部材(ピンチローラ)870、及び、加圧搬出部材作動機構PM等を備える。スタッカベース800は、操作機構により旋回動作させられる部分全体を称し、可動部品はスタッカベースにより支持、保持される。
スタッカユニットSUはその後面が後壁(上限ストッパ)760と接することにより正転方向へのそれ以上の回動が規制されて停止する一方で(上限位置)、その前面がベース台711、その他の固定部材(ゴムクッション711B)と接することにより逆転方向へのそれ以上の回動が規制されて停止する(下限位置)。
スタッカユニットSUは、上限位置にある時に、搬送経路400、401を経て金庫ユニット700内に搬送されてくる搬送体500を受け入れて停止させる紙幣取り出し位置PPとなる空間を形成する(図36図37)。スタッカユニットはその後部が上昇方向(正転方向)への回動時に固定配置された後壁760(突き当て部762、図40)と接することによりそれ以上の回動が禁止されており、この回動の限界位置を上限位置と称する。また、スタッカユニットは下降方向への回動時にベース台の適所に設けた固定部材、本実施形態では、台座711Aの上面に設けたゴムクッション711Bと接することによりそれ以上の下降方向(逆転方向)への回動が禁止されており、この回動の限界位置を下限位置と称する。
【0081】
<操作機構>
図32乃至図37に示すように操作機構730は、スタッカユニットSUが上限位置にあるときに、ベース台711上に設けられて駆動軸712よりも後方に位置する軸受部718の軸部(ベース軸部)718aにより下部適所を回動自在に軸支されることにより第2リンク717が回動する平面(回動軌跡)と並行な平面に沿って回動し、且つ第2リンク717の先端に設けた軸717a(駆動軸と並行)により上部適所を回動自在に軸支されて平面形状がコ字型の第1操作基片732aと、第1操作基片732aの内部に配置されて軸受718により下部を回動自在に軸支され、且つ第1操作基片とは相対回転可能で第1操作基片から上方に突設された第2操作基片732bと、軸受部718の軸部(ベース軸部)718aにより下部を回動自在に軸支されて操作基片732(732a、732b)の回動面と並行に回動し、且つ操作基片732よりも後方(正転方向寄り)に位置する第1操作レバー740と、第1操作レバーに一体化され、且つ第1操作レバーと操作基片732との間に位置する第2操作レバー745と、操作基片732(第2操作基片732b)と第1操作レバー740との間に配置され、第1操作レバー(第2操作レバー)と操作基片732を互いに引き合う方向へ付勢する引張バネ750と、を備える。
これを言い換えれば、操作機構730は、ベース軸部718aにより下部を軸支されて回動する操作基片732(732b)と、操作基片と相対回転可能な状態でベース軸部718aにより下部を軸支されて回動すると共に、該操作基片よりもスタッカユニットの正転方向寄りに配置された操作レバー740、745と、操作基片(第2操作基片732b)と操作レバー(第1操作レバー740)との間に配置されて両者を互いに引き合う方向へ付勢する引張バネ750と、を備える。更に、スタッカユニットの側面に設けた突起(被作動部805)に対して操作基片、又は操作レバーの何れか一方が接触してこれを正転方向、又は逆転方向へ押圧する構成を備える。つまり、被作動部805に対して操作基片(732b)が接触してこれを正転方向へ押圧し、且つ該被作動部に対して操作レバー(740)が接触してこれを逆転方向へ押圧する構成を備える。
なお、スタッカユニットSUのスタッカベース800は、2つの軸受部718間に差し渡したベース軸部718aにより上限位置と下限位置との間で回動自在に支持されている。つまり、ベース軸部718aは、操作基片732(732a、732b)、第1操作レバー740(第2操作レバー745)、及びスタッカベース800を回動自在に支持する共通の軸部である。
なお、以下の説明では第2操作基片732bを単に操作基片732bとも記す。
【0082】
図35(b)に示すように軸717a上には、操作機構730が正転方向に動作する時に第1操作レバー740、及び第2操作レバー745を同方向へ押圧し、操作機構が逆転方向へ動作する時に操作基片732bを同方向へ押圧する押圧作動部材717Aとしてのベアリングが軸717aの軸方向に所定の間隔を隔てて適当な個数、本例では6個設けられている。本例ではベアリングは、押圧作動部材717Aとして使用されないフランジを備えていないものが2個あり、押圧作動部材として使用するフランジを備えたものが4個である。押圧作動部材として使用するベアリングは、内側の二個の押圧作動部材717AINと、外側の二個の押圧作動部材717AOUTがある。正転時には内側の二個の押圧作動部材717AINにより第1及び第2操作レバー740,745を押圧し、逆転時には外側の二個の押圧作動部材717AOUTにより操作基片732bを押圧する。
内側の押圧作動部材717AINは第1操作レバー740、及び第2操作レバー745の移動経路上に位置し、外側の押圧作動部材717AOUTは操作基片732bの移動経路上に位置している。つまり、駆動機構DMからの駆動力は、何れかの押圧作動部材717Aが第1操作レバー740、及び第2操作レバー745を正転方向へ押圧し、操作基片732bを逆転方向へ押圧することにより操作機構730に伝達される。
被作動部805は、図35(c)に示すようにスタッカベース800に固定されたベアリングから構成されている。操作機構730が正転方向に動作する時には操作基片732bが被作動部805を同方向へ押圧し、操作機構が逆転方向へ動作する時には第1操作レバー740が被作動部805を同方向へ押圧する。
これを言い換えれば、押圧作動部材717Aと被作動部805は、いずれも操作レバー740、745と操作基片732bとの間に配置される。つまり、第1操作基片732aに取付けられた軸717aと被作動部805を、第2操作レバー745と第2操作基片732bとにより挟んで引張バネ750で挟持している。
このように第2操作レバー745と第2操作基片との間に引張バネ750を配置することにより押圧作動部材717Aと被作動部805は第2操作レバーと操作基片732bとにより挟持された状態となる。スタッカユニットが上限位置と下限位置との間を正逆方向に旋回する間は、第2操作レバー745と操作基片732bは押圧作動部材717Aと被作動部805を挟持した状態で動作する。
【0083】
図33の状態ではモータは駆動中であり、スタッカユニットSUは上限位置に達しているが、操作機構730はその後も図34の状態となるまで動作する。具体的には、図33の状態において駆動軸712aが更に所定角度時計回り方向へ回転して停止すると、図34の状態に移行して各リンク716、717が直線状の位置関係となる。このように図33の状態からモータ(駆動軸712a)が所定角度の回転して停止することにより、押圧作動部材717Aが第1操作レバー740(第2操作レバー745)をさらに所定角度正転方向へ押し込む。この時点で、第1操作レバー740は駆動機構DMの駆動により既に図34に示した追加動作位置に達しているが、第2操作基片732bはスタッカユニットに一体化された被作動部805の存在によって図33の位置(操作基片の上限位置)を越えて正転方向へ移動できない。このため、第1操作レバーが操作基片732bから離間する動作により、引張バネ705は拡開する方向へ付勢される(拡開する)ため、被作動部805の存在により正転方向へそれ以上移動しない状態にある操作基片732bは第1操作レバーに向けて引っ張られる。このとき、被作動部805を介して操作基片732bにより正転方向へ押圧されているスタッカユニットSUも同様に第1操作レバー740側に引っ張られるが、スタッカユニットは後壁760に押さえられて上限位置(垂直位置)を保持する。この状態でモータを停止することにより、引張バネ750の引張力によってスタッカユニットSUは後壁760に弾性的に押し付けられた状態で、ガタ付きを起こすことなく上限位置を安定して保持することができる。
なお、図33の状態では、引張バネ750の張力は第2操作基片732bを介して被作動部805に掛かっているが、その値は小さい。つまり、図33の状態では後壁760に加わる引張バネの張力が弱いため、ガタ付きがあり、スタッカユニットを安定させることができない。
【0084】
以上のように、操作基片732bと操作レバー740、745(操作機構730)が引張バネ750を間に挟んだ状態で正転する過程では、まず操作基片732bが被作動部805を押圧してスタッカユニットを上限位置に到達させる(図33)。その後も操作レバー740(745)は追加動作位置に達するまで正転方向へ連続して動作し、まず第1操作レバー740が図34に示すように追加動作位置に達する。すると、引張バネの張力が作用して上限位置で停止している操作基片732bを正転方向に付勢することにより、スタッカユニットSUは後壁760に対して弾性的に押し付けられる。
【0085】
また、第2操作基片732b、及び操作レバー740、745が引張バネ750を間に挟んだ状態で逆転する過程では、まず、第2操作レバー745が被作動部805を押圧してスタッカユニットを逆転させて下限位置で停止させる(図38)。この時点で第2操作レバー745はスタッカユニットと共に逆転方向への回動を停止する(第2操作レバーの下限位置)。図38の状態では、第2操作レバー745を介して被作動部805にかかる引張バネ750の張力は小さい。つまり、図38の状態ではゴムクッション711Bにかかる引張バネの張力が十分に大きくないため、ガタ付きがあり、スタッカユニットを安定させることができない。
一方、第2操作レバー745の逆転方向先方に位置する操作基片732bはその後も逆転方向へ連続して動作し、図39に示すように追加動作位置に達する。下限位置で停止している第2操作レバーに対して第2操作基片が相対的に逆転方向へ先行移動する結果、両者の間の距離が増大する。第2操作基片が第2操作レバー745から離間することにより引張バネ750は拡開方向へ付勢される(拡開している)。この状態でモータを停止することにより、引張バネ750の引張力によってスタッカユニットSUはゴムクッション711Bに弾性的に押し付けられた状態で下限位置を安定して維持することができる。
即ち、図38の状態ではモータは駆動中であり、スタッカユニットSUは下限位置に達しており、第2操作レバーもそれ以上逆転できない下限位置にあるが、第2操作基片732bはその後も図39の追加動作位置に達するまで動作する。具体的には、図38の状態において駆動軸712aが更に所定角度時計回り方向へ回転して停止すると、図39に示したように各リンク716、717が直線状の位置関係となる。このようにモータ(駆動軸712a)が所定角度回転してから停止することにより、押圧作動部材717Aが操作基片732bをさらに所定角度逆転方向へ押し込む。図39に示した時点では、操作基片732bは駆動機構DMの駆動により既に追加動作位置に達しており、一端を第2操作レバーに固定された引張バネ750を拡開させる方向へ付勢する。このため、停止状態にある第2操作レバーは操作基片732bに向けて引っ張られる。このとき、第2操作レバーにより逆転方向へ押圧されているスタッカユニットSUも同様に操作基片732b側に引っ張られるが、スタッカユニットはゴムクッション711Bに押さえられて下限位置(水平位置)を保持する。この状態でモータを停止することにより、引張バネ750の引張力によってスタッカユニットSUはゴムクッション711Bに押し付けられた状態で下限位置を安定して維持することができる。
【0086】
操作基片732(732a、732b)に対して第1及び第2操作レバー740、745は相対的に回動可能であるが、引張バネ750により連結され、互いに接近する方向へ付勢されている。このため、スタッカユニットが上限位置と下限位置との間を正転、逆転する期間はほぼ一体的に移動する。ただ、正転時にスタッカユニット(及び操作基片732b)が上限位置に達した後でも第1及び第2操作レバー740、745は所定角度(例えば、8度)の分だけ正転移動するので、操作レバーは追加動作位置に移動する。第1及び第2操作レバー740、745が追加動作位置に達した後に引張バネ750による引張り力により操作基片732bが各操作レバーに向けて引き付けられることにより、スタッカユニットを上限位置に安定して維持することが可能となる。
また、スタッカユニット(及び操作レバー)が下限位置に達した後でも第2操作基片732bは所定角度(例えば、8度)の分だけ逆転移動して追加動作位置に移動する。第2操作基片が追加動作位置に達した後に引張バネによる引張り力により各操作レバーが第2操作基片に向けて引き付けられることにより、スタッカユニットを下限位置に安定して維持することが可能となる。
【0087】
第2操作レバー745と操作基片732(第2操作基片732b)との間に位置するスタッカベースの側面には被作動部(被作動突起)805が突設されており、この被作動部805は第2操作レバー745と操作基片732bの移動経路に干渉する。このため、駆動機構DMにより第2操作レバー745と操作基片732bが正転させられる角度範囲内では図33図34に示すように被作動部805は操作基片732bにより押圧される。このため、スタッカユニットは正転する。逆に、第2操作レバー745と操作基片732bが逆転する時には図38図39に示すように被作動部805は第1操作レバー740により押圧される。このため、スタッカユニットは逆転する。
なお、本発明では駆動機構DMが操作機構730を介してスタッカユニットSUを、ベース軸部718aを中心として図33に示した上限位置と図38に示した下限位置との間で約90度回動させる。一方、操作機構を構成する操作レバー740、745、及び操作基片732はスタッカユニットからは独立して回動する構成である。このため、スタッカユニットが図33のように上限位置で停止した後も操作レバーはスタッカユニットとは独立して正転方向へ所要角度(本例では8度)更に回動することができる(図34)。また、同様にスタッカユニットが図38のように下限位置で停止した後も操作基片はスタッカユニットとは独立して逆転方向へ所要角度(本例では8度)更に回動することができる(図39)。
【0088】
即ち、挟持手段812を搭載したスタッカユニットSUは下限位置から上限位置に向かって正転する際に、後方に固定配置された後壁760と接することにより上限位置を越えて後方(正転方向)へ回動できないが、第1及び第2操作レバー740、745はスタッカユニットが上限位置に達した後も正転方向(操作基片732から離間する方向)へ回動することができる。つまり、スタッカユニットが上限位置で停止した後も、第1及び第2操作レバー740、745は駆動機構DMにより正転方向へ移動して追加動作位置に達する。この操作レバーの追加動作により、第1操作レバー740は後述する挟持手段作動レバー814(第1挟持手段作動機構M1)を開放方向へ押圧して挟持手段812を開放させる。また、この追加動作により第2操作レバー745は後述する整列手段作動レバー858(整列手段作動機構S)を押圧して整列手段850を開放させる。
これとは逆にスタッカユニットSUが上限位置から下限位置に向かって逆転する際に、スタッカベース800は固定部材(ゴムクッション711B)と接することにより下限位置を越えて逆転方向へ回動できなくなるが、操作基片732bはスタッカユニットが下限位置に達した後も逆転方向(操作基片732から離間する方向)へ回動することができる。つまり、スタッカユニットが下限位置で停止した後も、操作基片732bは駆動機構DMにより逆転方向へ移動して下側の追加動作位置に達する。この操作基片732bの追加動作により、操作基片732bは第2挟持手段作動機構M2を作動させて挟持手段を開放させる。更に、操作基片732bの追加動作は、ピンチローラ作動機構PMを作動させる契機となる。
【0089】
<挟持手段、挟持手段作動機構>
―概要の説明―
スタッカユニットSUに搭載されている挟持手段812、803のうちの挟持手段(可動側挟持部)812は、スタッカユニットが図32乃至図34に示した上限位置にある時に紙幣取出し位置PPの上方に位置して開閉動作する。挟持手段が開放している時には該紙幣取出し位置への搬送体、及び紙幣の進入経路を開放する。また、紙幣取出し位置に搬送体が停止している状態で挟持手段が閉じることにより該搬送体上の紙幣(束)の長辺の上縁部を挟持する。スタッカユニットが上限位置にある時における挟持手段の開閉動作は第1挟持手段作動機構M1により実施される。
更に、挟持手段812は、スタッカユニットSUが下限位置にある時に第2挟持手段作動機構M2の作動により開放して固定側挟持部803との間での紙幣(束)の挟持を解除するように作動させられる。
なお、第1挟持手段作動機構M1と、第2挟持手段作動機構M2を併せて挟持手段作動機構Mと称する。
【0090】
スタッカユニットが上限位置にある時の操作機構730は、挟持手段812が紙幣を挟持した時点以降にベース軸部718aを中心とした逆転動作を開始することにより、それまで起立状態にあった紙幣の姿勢(方向)を横向きに所定角度(本実施形態では略90度)旋回させつつ(横倒しつつ)下限位置に対応する位置にある搬出部材960上に紙幣を移載するようにスタッカユニットを回動させる。
上限位置にあるスタッカユニットは、該上限位置を越えて正転することが禁止される一方で、操作機構730(第1操作レバー740)は該スタッカユニットが上限位置で停止した後も所定角度正転方向へ回動した正転方向の追加動作位置まで動作可能であり、操作機構(第1操作レバー740)がスタッカユニットの上限位置から正転方向の追加動作位置まで動作した時に、第1挟持手段作動機構M1を作動させて挟持手段を開放動作させる。
即ち、第1挟持手段作動機構M1は、操作機構730の正転動作により正転方向へ回動するスタッカユニットが上限位置に達して停止した後で、操作機構だけが継続して正転して追加動作位置に移動することにより作動して挟持手段812を開放状態とし、追加動作位置にある操作機構が逆転動作を開始した時に挟持手段を挟持(閉止)状態にする。
第1挟持手段作動機構M1は、操作機構730(第1操作レバー740、引張バネ750、操作基片732)、挟持手段作動レバー814、ローラ815等を備える。
【0091】
また、下限位置にあるスタッカユニットは、下限位置側にあるゴムクッション711Bと接することにより該下限位置を越えて逆転することが禁止される一方で、操作機構(第2操作基片732b)は下限位置にある該スタッカユニットとは独立して動作し、スタッカユニットの停止後も所定角度逆転方向へ回動して下側の追加動作位置まで動作可能である。そして、スタッカユニットが図38に示した下限位置にて逆転動作を停止した後で操作基片732bが逆転方向の追加動作位置まで動作した時に(図39)、第2挟持手段作動機構M2を作動させて挟持手段を開放動作させる。
即ち、第2挟持手段作動機構M2は、紙幣が搬出部材上へ移載された時点以降に挟持手段812による紙幣の挟持を解除する手段である。第2挟持手段作動機構M2は、スタッカユニットが下限位置に達した時点以降に、駆動機構DMからの駆動力を受けた押圧作動部材717Aが操作基片732bだけを下方へ押し込んで追加動作位置に移動させた時に作動する第1の解除片820と、第1の解除片により押圧されて揺動する第2の解除片825と、を備える。
スタッカユニットが下限位置に達し、且つ操作基片732bが追加動作位置に達した後に引張バネ750の引張り力(バネ圧)により停止状態にある操作レバー740、745を逆転方向へ弾性付勢して、クランク機構(リンク716、717)との協働により追加動作位置でロックさせる。このロック動作により、スタッカユニットが下限位置でがたつくことを防止できる。スタッカユニットが下限位置にある時に引張バネ750によるロック機能が発揮されないとすれば、操作レバーは下限位置でがたつくためスタッカユニットの停止状態が安定しない。一方、操作基片732bを追加動作位置に押し込んで引張バネを拡開させることにより、操作基片732bと操作レバーとの間を引張バネの引張り力によりロックすることができる。このロック動作により、挟持手段により挟持していた紙幣束を搬出部材960上に移載する際の紙幣着座位置のばらつき、搬出動作の不安定化等々の不具合が解消される。
【0092】
図39の状態において、可動側の挟持手段812と固定側挟持部803との間からスムーズに紙幣束を搬出部材960上に移行させるためには、まず、図39の状態において挟持手段812、803との間に挟持されている紙幣束の幅方向中央部が確実に搬出ベルト961上に移載されていることが必要である(図51(a)を参照)。次に、可動側の挟持手段812を開放動作させた時に(図51(b)を参照)、固定側挟持部803が紙幣束に引っ掛かりを起こしてその離脱を邪魔しないように構成する必要がある。そのためには、図39の状態において固定側挟持部803の高さ位置が搬出ベルト961の上面よりも充分に下方に退避しているように寸法設定しておけばよい。このように構成すれば、可動側の挟持手段812を開放した時点で、紙幣束と固定側挟持部803とがほとんど非接触、或いは軽い接触状態となるからである。
【0093】
本実施形態では、図48に示すように搬出ベルト961のスタッカユニット側の位置(ベルト反転部の位置)は、挟持手段812、803により長辺を挟持された紙幣束の搬出方向先端寄り位置と所定長接する程度となっている。
なお、スタッカユニットを上限位置、及び下限位置でロックする動作をモータ710やクランク機構を緻密に制御することにより実施してもよいが、実際にはこれらを緻密に制御することは困難である。そこで、スタッカユニットを比較的アバウトなレベルで上限位置、及び下限位置に夫々移動させた上で、引張バネ750の引張り力によりスタッカユニットをロックさせることができる。このロック動作により、スタッカユニットの上限位置、及び下限位置におけるばたつきを防止することができる。このため、追加動作後の各種可動部品の動作を安定させることができる。
【0094】
次に、挟持手段812、803及び第1挟持手段作動機構M1、第2挟持手段作動機構M2について更に詳細に説明する。
―第1挟持手段作動機構M1―
以下、第1挟持手段作動機構M1について説明する。
図41(a)及び(b)は第1挟持手段作動機構M1の一部の構成、及び動作を示す斜視図であり、図42(a)及び(b)は第1挟持手段作動機構M1の一部の構成、及び動作を示す説明図である。
以下、第1挟持手段作動機構M1の一部(挟持手段812、軸部810、挟持手段付勢部材813)の構成、及び動作について、図38乃至図40等を併せて参照しながら説明する。
【0095】
スタッカベース800に設けた2つの軸受部材802によって支持されている軸部810には挟持手段(可動側挟持部)812の基部812aが固定され、軸部810と共に一体回転することにより開閉動作する。挟持手段812は、スタッカユニット内の空間である紙幣取出し位置PPの上部に配置されている。挟持手段812は閉止した時にその先端部812bが図36図41、(b)、図42(b)に示すように、スタッカベース800に配置された固定側挟持部(挟持手段)803との間で、紙幣取出し位置内に停止している搬送体500上に起立状態で保持された紙幣の上縁部(上側長辺)を挟持する。挟持手段812が挟持位置にある時には、その先端部812b(パッド)と固定側挟持部803との接触部は、搬送体500上に起立状態で保持されている紙幣(束)Pの上縁部適所を挟持可能な位置関係にある。
また、挟持手段812が開放した時には固定側挟持部803との間にギャップGを形成する。このギャップGを形成することにより、紙幣取出し位置PP内に搬送体500、及び紙幣束が進入することが可能になる。
挟持手段812の回動軸である軸部810の一端であって一方の軸受部材802の外側位置には、レバー814(挟持手段作動レバー)の一端が固定されており、その先端には緩衝効果を備えたローラ815が回転自在に軸支されている。ローラ815は、第1操作レバー740の先端に設けた接触板740a(図32図35(a))の移動軌跡内に位置している。
【0096】
スタッカユニットが上限位置で停止した後もモータからの駆動力により第1操作レバー740は正転方向へ回動し続けるため、接触板740aがローラ815と接して挟持手段を開放する方向へ押圧する。このため、挟持手段付勢部材813に抗してレバー814、軸部810、及び挟持手段812を開放方向へ回動させる。その後、上限位置にあるスタッカユニットが下限位置に向かって逆転を開始することにより追加動作位置にあった第1操作レバー740が逆転方向へ所定角度(8度)回動すると、ローラ815から離間する。このため、挟持手段付勢部材813の引張り力により挟持手段812は閉止位置に復帰する。
スタッカユニットが下限位置にあり、且つ第2操作基片732bが逆転方向の追加動作位置に達した時における挟持手段812、及び整列手段850の姿勢、及び位置関係は、図42(b)に示したスタッカベース800、軸部810、挟持手段812、及び整列手段850等の構成要素をベース軸部718aを中心として一括して90度時計回りに旋回させた時の姿勢、及び位置関係となる。
【0097】
挟持手段812は挟持手段付勢部材(コイルバネ)813により固定側挟持部803に圧接する閉止方向へ付勢されているため、第1操作レバー740から開放方向への外力が加わらない場合には閉止位置を維持する。スタッカユニットSUが下限位置から上昇して上限位置に達した時点では、第1操作レバーはローラ815(レバー814)を挟持手段を開放させる方向に付勢していない(挟持手段閉)。しかし、挟持手段を含むスタッカユニットが後壁760によりそれ以上の移動を阻止され、且つモータの駆動により第1操作レバーが追加動作位置に達した時点で(図34)、第1操作レバーがローラ815(レバー814)を開放方向へ回動させるので挟持手段が開放する。
挟持手段を紙幣取出し位置PPの直上位置に配置して開閉動作するように構成することにより、開放している時には該紙幣取出し位置への搬送体の進入を許容し、且つ該紙幣取出し位置に搬送体が停止している状態で閉じることにより該搬送体上の紙幣を挟持することができる。
【0098】
―第2挟持手段作動機構M2―
次に、第2挟持手段作動機構M2について説明する。
図43(a)(b)及び(c)は第2挟持手段作動機構M2の構成、及び動作(第1の解除片820が第1の位置(上昇位置)にある)を示す斜視図、側面図、及び背面図であり、図44(a)(b)及び(c)は第2挟持手段作動機構M2の構成、及び動作(第1の解除片820が第2の位置(下降位置)にある)を示す斜視図、側面図、及び背面図である。
以下、第2挟持手段作動機構M2の構成、及び動作について、図38乃至図40等を併せて参照しながら説明する。
【0099】
スタッカユニットSUが上限位置から下限位置に移動する過程では、操作機構730は、操作レバーと操作基片732bとの間で引張バネ750を保持しながら下方へ向けて回動する。このため、第1操作レバーによるローラ815への押圧が解消するので、挟持手段付勢部材813が作動して挟持手段を閉止状態とする。挟持手段の閉止状態はスタッカユニットが下限位置に達するまで継続する。スタッカユニットが下限位置に達した後に、モータの駆動の継続により第2操作基片732bだけが更に下方へ押圧される。つまり、スタッカユニットSUが下限位置で停止した後に操作基片732bが所定角度(8度)だけ操作レバー740、750(下限位置で停止している)から離間する方向へ回動する追加動作を行うことになる。操作基片732bの追加動作により、第2挟持手段作動機構M2が作動して挟持手段付勢部材813に抗して挟持手段812を開放動作させて紙幣を挟持した状態を解除する。
第1の解除片820は、図38図43に示した第1の位置(上昇位置)と図39図44に示した第2の位置(下降位置)との間で矢印方向へ進退可能となるように、スタッカベースにより支持されている。具体的には、例えば第1の解除片820に上下に延びる長穴を形成すると共に、スタッカベースにはこの長穴内に上下動自在に嵌合するピンを設ける。また、第1の解除片を図39に示したバネ820bにより第1の位置へ向けて付勢しておく。第1の解除片820の下部820Aは、図43図44に示したように操作基片732bに対してビス820Bで固定したカラーにより回動自在に支持されている。
操作基片732bが図38に示した第1の位置(追加動作する直前の位置、引張バネ750を拡開させていない状態)にある時には第1の解除片は上側の第1位置にあり、操作基片732bが図39に示した第2の位置(追加動作位置、引張バネを拡開させている状態)にある時には第1の解除片は下側の第2位置に押し下げられる。
【0100】
第2の解除片825は、スタッカベースの適所に対して軸部825aにより上下方向へ回動(揺動)自在に軸支されており、更に軸部825bにより一方のアーム825Aを第1の解除片820の一部(凸片820b)と回動自在に連結されている。
また、第2の解除片825の他方のアーム825Bは、レバー814(挟持手段作動レバー)の裏面に設けた係合突起814aと係合する位置関係にあり、アーム825Bが図38に示した最下降位置から反時計回りに回動して図39の位置に達した時にレバー814を挟持手段付勢部材813に抗して所定角度、時計回り方向(挟持手段開放方向)へ回動させて挟持手段を開放させる。
第1の解除片820が図38に示した第1位置にあるときには第2の解除片825は時計回りに付勢されて右側のアーム825Bを下降させている。このため、挟持手段は閉止位置を維持する。一方、第1の解除片820が図39に示した第2位置に下降したときには第2の解除片825は反時計回りに付勢されるので右側のアーム825Bを上昇させる。このため、レバー814が開放方向へ押し上げられて挟持手段が開放する。
第1の解除片820はスタッカユニットSUが下限位置に達した時点では図38に示した第1位置にあり、このとき第2解除片825は作動しておらずに挟持手段を閉じた状態に維持している。スタッカユニットが下限位置に達した後で、モータの駆動により操作基片732bが所定角度だけ逆転方向へ回動すると、第1の解除片820は図39に示した第2位置に下降する。第1解除片が下降して第2位置に移動すると、第2解除片の右側アーム825Bが上向き(反時計回り)に回動するので挟持手段を開放方向(挟持解除方向)へ回動させる。挟持手段を開放するタイミングは、挟持手段により挟持された紙幣が搬出部材960上に移載された時点、或いはこの時点以降とする。
なお、後述するように第1の解除片820はピンチローラの作動を開始する手段を兼用している。
【0101】
<整列手段、整列手段作動機構>
次に、整列手段850、及び整列手段作動機構Sについて説明する。
図45(a)及び(b)はスタッカベースの一部により支持された整列手段、及び整列手段作動機構の構成、及び動作を示す要部の正面側斜視図であり、図46(a)及び(b)は整列手段、及び整列手段作動機構の構成、及び閉止動作を示す正面側斜視図であり、図47(a)及び(b)は整列手段、及び整列手段作動機構の構成、及び動作を示す要部側面図である。
以下、整列手段作動機構Sの構成、及び動作について、図33乃至図37等を併せて参照しながら説明する。
【0102】
整列手段(紙幣整列手段、整列部材、整列片)850は、図36図37図45乃至図47に示すように、整列手段作動機構Sにより開閉動作し、搬送体500が紙幣取出し位置PPにて停止している時に、挟持手段812が該搬送体上の紙幣束の挟持を開始するまでは紙幣束の上縁部から上方へ離間した離間位置にある(図45(a)、図46(a)、図47(a))。そして、挟持手段が紙幣束の挟持を開始する前に下降して紙幣束Pの上縁を加圧する加圧位置(整列位置)に移動し、その後スタッカユニットが下限位置に移動した後も加圧位置を維持する(図45(b)、図46(b)、図47(b))。この加圧動作により紙幣束の上縁の位置がばらつかないように整列させると共に、紙幣束が90度姿勢を転換されて搬出部材960上に移載される過程においても紙幣束がばらけたり、位置ズレすることを防止する。また、紙幣束が搬出部材960上に移載された後で搬出が開始される際には、紙幣束の長辺に沿った一縁をガイドし続けることにより搬出動作を安定させることができる。
なお、図36図37では、挟持手段812、整列手段850、その他の可動部材は、夫々の動作パターンを示すために閉止位置(加圧位置)、中間位置、開放位置の各状態を実線で示している。
【0103】
整列手段(紙幣整列手段)850は、図36図37図46に示すように板状の小片であり、その基部850aを整列手段の軸部855により軸支される。その先端部850bの下面により紙幣束の上縁と接してこれを加圧しつつ整列させる。軸部855が正逆回動することにより、先端部850bは紙幣の上縁部と接触する下降位置と、上方に退避した上昇位置との間を回動する。本実施形態では、2枚の整列手段が軸部855の両端部近傍に配置されている。
各整列手段850の軸方向位置は、上方に位置する挟持手段812とは干渉しないようにずらして配置されている。従って、整列手段が紙幣上縁部と接する(加圧する)動作と、挟持手段812による開閉動作は夫々スムーズに独立して行われる。
整列手段を閉じる方向へ付勢する付勢部材856はスタッカベース800の適所と整列手段850の適所との間に張設されることにより、整列手段850を下降方向(紙幣を加圧する方向)へ付勢している。スタッカベースにより支持された軸部855は、挟持手段の軸部810の下方、且つ前方寄りに位置しており、整列手段850は軸部855から後方へ向けて突出している。軸部855の一端部にはレバー858(整列手段作動レバー)の一端が固定され、レバーの他端にはローラ859が回転自在に軸支されている。ローラ859は、第2操作レバー745の移動経路と干渉する位置に配置されている。このため、第2操作レバー745(第1操作レバー740と一体)が正転方向へ回動する過程でローラ859を押圧して整列手段を開放させる。即ち、スタッカユニットSUが上限位置に達して停止するまでは第2操作レバー745はローラ859と干渉しないが、スタッカユニットが停止した時点以降にモータの連続駆動により第2操作レバー745を正転方向へ所定角度分だけ追加的に移動させる。この追加動作中に第2操作レバー745はローラ859を開放方向へ押圧して整列手段850を上昇(開放)させる。整列手段が上昇することにより紙幣取出し位置PP内から整列手段が退避するため、紙幣取出し位置PPへの搬送体の進入が可能になる。
【0104】
本実施形態では、スタッカユニットが上限位置に達した後で整列手段850が開放動作するタイミングは、挟持手段812が開放動作するタイミングよりも遅れる。挟持手段を開放動作させる第1操作レバーが、整列手段を開放動作させる第2操作レバー745よりも正転方向先方に位置するため、両者が正転方向に回動する過程では第1操作レバーが先行して挟持手段を開放させるからである。第1操作レバー740の上端部の位置を第2操作レバー745の上端部の位置よりも上方にすることにより第1操作レバー740により上方に位置する挟持手段作動レバー814のローラ815を操作するように構成する一方で、下方に位置する整列手段作動レバー858のローラ859を短尺な第2操作レバー745が操作するようにしている。
開放動作時とは逆に、整列手段850が閉止動作するタイミングは、挟持手段812が閉止動作するタイミングよりも早まる。整列手段を閉止動作させる第2操作レバーが図34に示した上側の追加動作位置から逆転を開始した場合、第2操作レバーは挟持手段を閉止動作させる第1操作レバーよりも逆転方向先方に位置するため、両者が逆転方向に回動する過程で第2操作レバーが先行して整列手段作動レバー858を閉止方向へ押圧して整列手段を先に閉止させるからである。このように各操作レバーの長さ、位置関係と、挟持手段作動レバー814及び整列手段作動レバー858の位置関係を調整することにより、挟持手段と整列手段の開閉するタイミングをずらす(調整)ことができる。
【0105】
以上の構成において、上限位置にあるスタッカユニットSUを下降位置に移動させる場合には、駆動機構DMを駆動することにより操作機構730を逆転方向へ回動させる。上限位置にあったスタッカユニットSUが下限位置に向かって逆転開始すると、図34に示した追加動作位置にあった第2操作レバー745が逆転方向への回動を開始するため、それまで整列手段を開放させる位置にあったローラ859への押圧を解除し、付勢部材856の引張り力により整列手段850を加圧位置に移動させる。第2操作レバー745が追加動作位置から逆転方向へ所定角度回動した時点で加圧(閉止動作)が完了し、その後のスタッカユニットの下限位置への移動の過程においてもその状態を維持し続ける。
第2操作レバー745、引張バネ750、整列手段の軸部855、整列手段の付勢部材856、レバー858(整列手段作動レバー)、ローラ859等は、整列手段作動機構Sを構成している。
整列手段作動機構(整列部材作動機構)Sは、スタッカユニットSUが上限位置にある期間は整列手段850を離間位置(開放位置、図47(a))と加圧位置(閉止位置、図47(b)との間で進退させると共に、スタッカユニットSUが逆転方向へ回動開始して下限位置に達する過程では整列手段が紙幣束の上縁部を加圧した状態を維持させる。更に、操作基片732bが下側の追加動作位置(図39)に達するまでの間も整列手段が紙幣束の上縁部を加圧した状態を維持させる。これにより挟持手段により挟持されている紙幣束が搬出部材960上に移載されるまでの期間、紙幣束の上縁部を抑え続けてばらけることを防止する。更に、紙幣束が重なった状態で搬出部材上に移載され、且つ挟持手段による挟持から解放されたことにより搬出が開始された後も紙幣束の長辺側の縁部をガイドし続ける。搬出部材により紙幣束の搬出が完了すると、スタッカユニットを上限位置に戻すために駆動機構DMが回転動作を再開する。
【0106】
以上のように整列手段850は、開放方向への外力が加わらない時には付勢部材856により閉じる方向(紙幣上縁を抑える方向)へ付勢されている。そして、図36図37に示したように第1、及び第2の操作レバー740、745が上側の追加動作位置にある時には整列手段はレバー858を介して第2操作レバーにより押圧されて付勢部材856に抗して開放した状態とされている。
一方、操作レバー740、745が下方への回動を開始すると、第2操作レバー745がレバー858を押圧しなくなるので、付勢部材856による付勢力が解除される。このため、付勢部材856の力が作用して整列手段850は閉じる方向へ回動し、紙幣束の上縁を抑える。スタッカユニットが上限位置から下限位置に回動する過程では、整列手段は紙幣束の上縁を抑え続ける。整列手段が開放位置に移動するのは、スタッカユニットが上限位置に達したあとで第2操作レバーによって開放方向へ押圧されて追加動作位置に達した時のみである。
【0107】
上記の動作を実現するために、第2操作レバー745が作動して整列手段が紙幣束の上縁を抑えた直後に第1操作レバー740が挟持手段作動部材のローラ815への押圧を解除して挟持手段を挟持状態に移行させるように、各部の位置関係、寸法を設定する。
なお、図47(b)に示すように整列手段850が搬送体500上の紙幣束を整列完了させた状態では各紙幣Pの上端縁の位置は揃っている。日本国の全ての金種の紙幣は、短辺の長さが76mmに統一されているため、整列手段850が下降した時の高さ位置は、搬送体500の上面からほぼ76mm(若干の余裕が必要)の位置となるように設定すればよい。一方、図47(a)に示すように紙幣取出し位置PPに進入した直後の搬送体上の各紙幣の高さ位置にバラツキがあったとしても、整列手段850が下降して突出している紙幣の上縁部を抑えることにより図47(b)の整列状態に揃えることができる。
【0108】
<加圧搬出部材、加圧搬出部材作動機構>
次に、加圧搬出部材(ピンチローラ)870、及び加圧搬出部材作動機構PMについて説明する。
図48、及び図49は加圧搬出部材作動機構の構成及び動作を示す背面図であり、図50は加圧搬出部材作動機構を正面側から視た図であり、図51(a)及び(b)は下限位置にあるスタッカユニットと搬出部材との位置関係を示す側面図(搬出部材側から視た図)である。
【0109】
図37に示されているようにスタッカユニットが上限位置にある時にピンチローラ870は、紙幣取出し位置PPの背面側であって整列手段、及び整列手段作動機構Sよりも下方位置(退避位置)にある。しかも、ピンチローラ870は搬送体500により起立状態で保持されている紙幣(束)の後方(紙幣取出し位置PPの後方)に離間して配置されている。このため、図37の状態からスタッカユニットが90度逆転して下限位置に達し、更に操作機構730の追加動作によってピンチローラが突出すると、丁度、紙幣(束)の幅方向中央部にピンチローラの周面が接触する状態となる。
つまり、ピンチローラ870は、スタッカユニットSUが下限位置に移動した時には、搬出部材960を構成する搬出ベルト961の上面に下降して搬出ベルト上の紙幣(束)と接し得るように位置関係が設定されている。
【0110】
スタッカベース800により進退自在に支持されているピンチローラ870は、スタッカユニットが上限位置にある時にはそのままスタッカユニットが下降しても搬出部材とは接触できない退避位置を維持する。一方、スタッカユニットが下限位置に移動して挟持手段が挟持していた紙幣が搬出部材上に移載された後に退避位置から下方へ突出して搬出部材960上の紙幣(束)の上面と接触して加圧し続けることができるように構成されている。
ピンチローラ作動機構PMは、スタッカユニットが上限位置にあるときにはピンチローラ870を退避位置に保持する一方で、スタッカユニットが下限位置に達した時にはピンチローラが搬出部材と接触できるように突出させる。
ピンチローラを突出させる動作は、第2挟持手段作動機構M2が挟持手段による挟持を解除して紙幣束を離させる動作と連動しており、挟持手段が挟持を解除した後にピンチローラを突出させるのが好ましいが、解除前、或いは解除と同時であってもよい。
ピンチローラ作動機構PMは、第2挟持手段作動機構M2を構成する第1の解除片820と連動して作動する。ピンチローラ作動機構PMは、スタッカベース800に設けた軸812aにより図48中において中間部を上下方向へ回動自在に軸支された第1作動片880と、他の軸812bにより中間部を上下方向へ回動自在に軸支された第2作動片881と、第2作動片881の先端部寄り位置に設けた軸881aにより揺動自在に軸支され、且つ2つのピンチローラ870を回転自在に軸支するピンチローラ支持部材882と、第2作動片881の一端部とスタッカベースの一部との間に張設されて第2作動片881の一端部を図48の上方(反時計間回り方向)へ付勢する弾性部材883と、を備える。
第1作動片880の一端には長穴880aが設けられ、この長穴内に第1解除片820aの一部に突設したピン(ボルト)820cが移動自在に嵌合している。第1作動片880の先端部には押圧部880bがあり、図48に示すように押圧部は弾性部材883の付勢力に抗して第2作動片881の一端部を下方に押下げて支持部材882により支持されたピンチローラ870を図48に示した退避位置に保持する。図48では、第1解除片820は上昇位置(第1の位置、図38)にあって第1作動片880が反時計回り方向に付勢されているために、押圧部880bにより第2作動片881を時計回りに(ピンチローラ退避方向へ)回動させている。
【0111】
次に、図49に示すように第1解除片820が下降位置(第2の位置、図39)に移動した時には第1作動片880が時計回り方向に付勢されているために、押圧部880bによる第2作動片881の押圧が解除されるため、第2作動片は弾性部材883の力により反時計回りに回動し、持部材882により支持されたピンチローラ870を図49に示した突出位置に移動させる。
なお、上述のように図38に示した第1の位置にあった第1解除片820が図39に示した下降位置(第2の位置)に移動するのは、スタッカユニットSUが下限位置に達した後で、且つ操作基片732bが追加動作位置に移動した時である。スタッカユニットが下限位置に達した時点ではピンチローラは退避位置にあり、搬出部材960の上面から離間しているが(挟持手段も紙幣束を挟持したままの状態)、操作基片732bが追加動作位置に移動した時に初めて退避位置から突出して搬出部材上面と接触する(挟持手段もこの時に開放する)。
【0112】
このように第1解除片820の下降動作により挟持手段812が開放すると共に、ピンチローラが搬出ベルト961上に移載した直後の紙幣(束)の上面に圧接する。
この状態で、搬出用のモータにより搬出部材の搬出ベルト960を搬出方向へ駆動することにより、紙幣(束)は搬出ベルトとピンチローラにニップされた状態で金庫950へ向けて搬出される。搬送体500により搬送されてきた紙幣束を方向転換してから一括して金庫に投入するので処理を迅速化することができる。仮に、搬出部材の下流側において紙幣束を一枚ずつに分離してから金庫に投入するとすれば、ジャムが発生し易くなるが、一括して紙幣束を搬送し、金庫へ投入するのでそのような不具合がなくなる。
挟持手段が開放して紙幣束を離した後では紙幣束を保形したまま搬出することは難しいが、整列手段が紙幣束をガイドし続けるので、紙幣間の位置ズレやバラケを防止できる。
なお、本実施形態ではピンチローラを常時においては(上限位置、及び下限位置への移動過程では)退避位置に保持しておき、搬出部材上の紙幣束を加圧(と接触する)するタイミングで突出させるようにしている。その理由は、ピンチローラを常時突出位置に位置させておく、或いは退避位置から自重により自由に突出できるように構成しておくと、スタッカユニットが下限位置に回動する過程において挟持手段が挟んでいる紙幣束に干渉したり、スタッカユニットが下限位置に達した時点でピンチローラが突出することにより搬出部材上に移載されようとする紙幣束に干渉して不具合をもたらすからである。即ち、ピンチローラは、理想的には紙幣束が搬出ベルト上面に着座した後にだけ紙幣束上面に圧接することが望ましい。しかし、ピンチローラが常時突出位置にある、或いは自由に突出できる状態にあると、紙幣束が搬出ベルト上面に接触する前に、或いは搬出ベルト上面に接触しても正規の位置にて静止する前に紙幣束上面をピンチローラが加圧開始することとなり、紙幣束上面との接触位置がずれたり、紙幣束をばらつかせて給紙不良をもたらす等の不具合をもたらす。つまり、搬出ベルトとの間で、給紙に適した本来の姿勢で紙幣束をニップすることができなくなる。
【0113】
そこで本発明では、ピンチローラ870を常時においては退避位置に保持しておき、特定の必要とされるタイミングでのみ突出させるようにした。このピンチローラを突出させるタイミングは、挟持手段による紙幣束の挟持状態の解除のタイミングとの関係が重要である。挟持手段が紙幣束の挟持を解除するのと同時に、或いは確実に解除した後に、或いは挟持を解除する直前に、それぞれピンチローラを突出させて紙幣束上に着座させるようにしてもよいが、ピンチローラの突出が早すぎたり、遅すぎると、紙幣束に対して上記の如き悪影響を及ぼす虞がある。
更に、本発明では、引張バネ750の引張り作用により下限位置にある操作レバーを追加動作位置にある操作基片732bに向けて付勢し続けることにより、スタッカユニットが下限位置でロックされてガタ付きがなくなった状態でピンチローラを搬出ベルト上面に位置決めして圧接を開始するようにしたことにより、搬出部材との間で効果的なニップ圧を作出して給紙安定性を更に高めることができる。
また、図48に示すように搬出ベルト961のスタッカユニット側の端部は、2つのピンチローラ870と接触できる程度しかスタッカユニット内に入り込んでいないが、ピンチローラが紙幣束の端部寄り部位を確実に加圧して搬出ベルト上面との間で挟圧するので搬出するには充分である。
【0114】
<金庫ユニット内のレイアウト>
図30に示すように搬出ベルト961に移載された紙幣(束)Pは金庫950への搬送経路962を経由して金庫950内に搬送され、金庫内では長辺を上下方向(搬送方向xと直交する方向)へ向けた姿勢で、搬送方向xと並行な方向へ積層して収納される。
これに対してスタッカユニットSUが上限位置にある時における紙幣取出し位置PP内の搬送体500上の紙幣束は、金庫内の紙幣とは姿勢が全く異なっている。この時の搬送体上の紙幣束は、その長辺を搬送方向xと並行としつつ、搬送方向xと直交する方向へ積層されている。つまり、起立状態で保持されている。
金庫ユニット700の筐体701内に方向転換移載装置(旋回スタッカ装置)と金庫950をコンパクトに収納し、搬送方向xへの全体長の増大を防止するためには、図30に示したように方向転換移載装置Hの下方に収納空間を設けて、この収納空間内に方向転換移載装置Hと並行な位置関係で金庫950を配置することが求められる。但し、本発明における空気流を利用した紙幣搬送装置Cの特殊性から紙幣束は搬送体上を起立状態(搬送方向xと直交する姿勢、方向)で搬送されてくる。一方、金庫内における紙幣束の積層方向は搬送方向xと並行な方向である。
【0115】
そこで、本発明の方向転換移載装置Hでは、搬送体から受け取った起立状態にある紙幣束を90度横方向に倒して水平姿勢にしてから搬出部材961上に移載し、そのまま紙幣束の長手方向に沿って搬送して金庫内に搬入し、金庫内の積層方向に従って積層するように構成した。
金庫950は上方に配置された方向転換移載装置Hから搬出部材961上に搬出された紙幣束を受入口951から複数枚積層した状態でそのまま受け入れて収納部内に紙幣束ごと積載する構成を備えており、例えば特許第64449972号に開示された紙葉収納部の構成を適用することができる。
搬出部材961と金庫との間には、搬送されている紙幣束が何枚の紙幣から構成されているのかを確認するために紙幣束の厚さから枚数を判定する枚数判定部を配置する。
【0116】
D.第4の本発明に係る搬送エラー紙葉(紙幣)の処理装置
図52は搬送エラー紙葉(紙幣)の処理装置を備えた金庫ユニットの内部構成を示す斜視図であり、図53は同金庫ユニットの内部構成を示す側面図である。
搬送装置400上で何らかの原因で搬送体が停止したり、搬送体上の紙幣がジャムを起した時に、搬送体を金庫ユニット内の紙幣取出し位置PPまで移動させることができなくなる事態が想定される。そのような場合に搬送体上の紙幣を方向転換移載装置Hを経て金庫950内に収納せずに人手により別処理するとすれば紙葉搬送システム10全体におけるセキュリティーが破綻する。
その対策として、本発明では、搬送体上の紙幣を金庫ユニット内に、方向転換移載装置Hとは別に、搬送エラー紙幣の処理装置970を配置し、搬送エラー紙幣を全て金庫950内に収納できるようにした。
搬送エラー紙幣を含めて金庫ユニットに向けて搬送されてくる全ての紙幣を金庫内に収納、保管することにより、紙幣の取扱いにおける不正行為を確実、且つ容易に防止することができる。
搬送エラー紙幣の処理装置970は、紙幣投入口971と、紙幣投入口971から水平に延びる第1搬送ルート972a、及び第1搬送ルートから下方へ延びて金庫950の受入口951に至る第2搬送ルート972bとから成るエラー紙幣搬送ルート972と、エラー紙幣搬送ルート972に沿って配置されたローラ、ベルト等の搬送機構973と、紙幣投入口、各搬送ルートに沿って配置された図示しない通紙センサと、紙幣投入口971の内部に位置する識別装置974と、を概略備えている。
【0117】
第1搬送ルート972aは、方向転換移載装置Hの上方の筐体内スペースに配置されており、第2搬送ルート972bは方向転換移載装置Hの奧方のスペース内に配置されている。
第2搬送ルート972bは途中の合流部972cにおいて、方向転換移載装置(旋回スタッカ装置)Hから搬出されてきた紙幣束を金庫に搬送する第3搬送ルート965と合流している。
合流部972cには、搬送ローラ966、図示しない切替ゲートなどを配置することにより、第2搬送ルート972bからの搬送紙幣(一枚)と第3搬送ルート965からの搬送紙幣(束)とを選択的に金庫へ向けて切替え搬送できるようにしている。
識別装置974は、紙幣投入口971から一枚ずつ投入された紙幣の真贋、金種等を判定し、受入れ可能な紙幣だけを搬送機構を用いて第1搬送ルート972aへ搬入し、受入れ不能な紙幣は搬送機構を用いて紙幣投入口971へ戻す。
なお、金庫の受入口951の手前には方向転換移載装置Hから第3搬送ルート965を経由して搬送されてきた紙幣束の枚数をその厚みから検知する枚数検知装置980が配置されている。
【0118】
以上の構成において、搬送経路400上における搬送エラー、紙幣ジャム等の原因よって搬送体500が停止して金庫ユニット700内の紙幣取出し位置PPに到達できない事態、その他、紙幣を金庫ユニットへ搬送不能な事態が発生した場合には、搬送エラー紙幣の処理装置970による処理が行われる。
即ち、まず、搬送体が停止している箇所、或いは紙幣がジャムを起こしている箇所の搬送管(搬送経路)400の一部を取り外して搬送体、或いは紙幣を露出させた上で、全ての搬送エラー紙幣を搬送管外へ取り出す。次いで、取り出した紙幣を一枚ずつ搬送エラー紙幣の処理装置970の紙幣投入口971から投入すると、引込み用の搬送機構973が作動して識別装置974に搬送する。識別装置974では、上記の如き真贋、金種の判定を行い、受入れ可能な紙幣の場合には下流側へ移送する。搬送エラー紙幣は、第1搬送ルート972a、第2搬送ルート972bを経て金庫950内に搬送される。金庫への収納前に枚数検知装置980により金庫に収納される紙幣の枚数がカウントされる。このため、エラーにより搬送経路から取り出された紙幣が行方不明となることがなく金庫内に収納されてセキュリティーが保持される。
以上のように本発明の搬送エラー紙幣の処理装置970によれば、搬送経路400上でジャム等の搬送不良が発生して方向転換移載装置Hに紙幣を搬送することができない場合に、それらの紙幣を搬送経路から取り出した後で、方向転換移載装置Hにより処理される紙幣と別扱いにする必要がなく、一枚ずつ金種を確認した上で確実に金庫内に収納することができる。このため、セキュリティーが破綻することを防止することができる。
【0119】
〔本発明の構成、作用、効果のまとめ〕
本発明に係る搬送システム10は、搬送体経路401、該搬送体経路を移動する紙葉搬送用の搬送体500、及び搬送体経路に沿って複数箇所設けられ、且つ紙葉を搬送体に移載させるために待機させる待機部450を備えた紙葉搬送装置Cと、外部から一枚ずつ投入された紙葉を受け入れて各待機部に移動させるために各待機部毎に配置される紙葉受入れ装置(受入ユニット)600と、各紙葉受入れ装置、及び紙葉搬送装置Cを駆動する駆動装置と、これらを制御する制御手段1000と、を備え、各紙葉受入れ装置は、投入された紙葉を待機部に向けて順次移送(案内)する導入部610を備え、搬送体は、待機部を通過する過程で該待機部に停止している紙葉を回収して該搬送体に移載して起立状態で保持する紙葉回収保持部(ピックアップ手段)540を備え、紙葉回収保持部は既に移載されている先行紙葉の一面に後続の紙葉の一面を重ねて保持する構成を備え、制御手段は、待機部に紙葉が停止している時に、紙葉受入れ装置に投入された後続の紙葉を導入部により受け入れて該導入部内に待機させることを特徴とする。
【0120】
本発明によれば、搬送体が待機部を高速で通過する過程で減速することなく待機部内の待機紙葉をピックアップして搬送体上に移載することができる。このため、受入ユニットから投入され待機部に待機している紙葉を確実、且つ迅速に回収して搬送体に移載すると同時に複数枚の紙葉を整列して保持しつつ、紙葉ジャムを生じさせることなく安定して搬送することができる。
搬送体上への紙葉の積載方法は、搬送体上の既積載紙葉の側面に重ねて行くという方法であるため、既存紙葉との衝突による積載不良などを防止できる。特に、搬送体上の紙葉と待機部内の紙葉は、ガイド板460を介して幅方向位置が確実にずれて干渉しないように構成されているため、紙葉同士の衝突を確実に防止できる。仮に、何れか一方の紙葉に折れ癖、その他の変形部があったとしても衝突のリスクを解消できる。
【0121】
本発明に係る紙葉搬送システム10では、紙葉回収保持部540は、搬送体経路401を移動する搬送ベース510上に立設された支柱部材541と、該支柱部材に設けられた回収部材544と、を備え、回収部材は、支柱部材により略水平方向へ開閉自在に軸支された一対の回収爪を備え、各回収爪は幅方向外側に突出した拡開姿勢と、幅方向内側に退避した退避姿勢との間を開閉し、且つ弾性部材により拡開姿勢に付勢されていることを特徴とする。
搬送体の回収部材だけが待機部内の紙葉の後端縁に対して後方から接触して待機部内を前方へ押圧搬送し、待機部から搬送路内へ抜き出し、最後は既積載紙葉の側面に重ねることができる。搬送体が搬送路内を戻る場合には回収部材が待機部内の紙葉と干渉するが、紙葉と接触して移動し続ける過程で弾性部材の付勢に抗して回収部材は退避方向へ姿勢変更するので、待機紙葉からの影響を受けることなく、或いは待機紙葉に影響を与えることなく、スムーズに戻り方向へ移動し続けることができる。
【0122】
本発明に係る紙葉搬送システム(搬送機構)10は、気体の流路(気流路101)を形成する送風管100と、送風管内を所定方向(矢印B方向、C方向)に流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200と、少なくとも一部が送風管に沿って送風管に隣接配置された搬送路401(搬送管400)と、紙葉(紙葉P)を保持可能に構成されて搬送路内を走行する搬送体500と、を備える。移動体は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備え、移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方が磁石から構成される。紙葉の搬送機構は、搬送体側磁性体と移動体側磁性体との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体の移動に連動して搬送体を移動させることを特徴とする。
空気流を利用して移動体を走行させると共に、磁力を利用して移動体の移動に連動させて搬送体を走行させる。移動体及び搬送体を走行させるために、モータ、ギヤ、搬送ベルト等の機械的な駆動手段を必要としないため、搬送機構を構成する各部材の耐久性を向上させることができ、搬送機構のランニングコストを低減させることができる。
搬送体側磁性体と移動体側磁性体との間に反発力を作用させる場合は、搬送体が搬送路に接触しにくくなる。その結果、摩擦力の発生による搬送力の低下や各部材の接触によるダストの発生を防止できる。
【0123】
また、送風管と搬送路とを別個独立した構成としたので、送風管内に気密的な流路を形成することができる。送風管外部への空気漏れを防止できるので、搬送力の低下を防止できる。また、送風管内に気流を発生させる装置として、比較的安価且つ低出力の気流発生装置(ブロア310)を採用でき、搬送機構の低コスト化を実現する。仮に、紙葉の搬送距離が長距離化した場合であっても、気密的な送風管内における空気流の制御は容易である。
【0124】
本発明に係る空気流制御装置(送風制御ユニット300)は、外部配管と接続する第一乃至第四流路(323a~323d)、及び、第一乃至第四流路の合流部に配置されて各流路間の連通状態を切り替える切替弁325を有した空気流切替ユニット320と、一端部330aを第一流路323aに、他端部330bを第二流路323bに連通接続され、空気流切替ユニットを介してエンドレス状の気流路を形成する第一循環配管330と、第一循環配管の適所に配置されて第一循環配管内を一定方向に流れる気流を発生させる気流発生装置(ブロア310)と、一端部100aを第三流路323cに、他端部100bを第四流路323dに接続され、空気流切替ユニットを介してエンドレス状の気流路を形成すると共に、内部に配置した移動体200を気流により所定方向に移動させる第二循環配管(送風管100)と、を備える。
切替弁は、第一及び第二流路間を連通させるニュートラル姿勢(図5(a))と、第一及び第四流路間を連通させると共に第二及び第三流路間を連通させて、第二循環配管内に第一の方向に流れる気流を発生させる第一連通姿勢(図5(b))と、第一及び第三流路間を連通させると共に第二及び第四流路間を連通させて、第二循環配管内に第二の方向に流れる気流を発生させる第二連通姿勢(図5(c))と、に切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0125】
本態様によれば、単一の気流発生装置により一定方向(矢印A方向)の気流を発生させつつ、切替弁の姿勢を切り替えて、送風管内に気流を発生させない状態、送風管内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる状態、送風管内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる状態の3つの状態を切り替えることができる。
【0126】
本発明に係る紙葉の方向転換移載装置Hは、一枚の紙葉、又は重ねた状態にある二枚以上の紙葉を起立状態で保持しつつ搬送経路400に沿って移動し、紙葉取り出し位置PPにて停止する搬送体500と、停止状態にある搬送体上の紙葉を挟持する挟持手段812.803を備え、上限位置(初期位置、第1の位置)と該上限位置から所定角度(略90度)下方に回動した下限位置(終端位置、第2の位置)との間で往復回動するスタッカユニットSUと、該スタッカユニットを正逆回動させる操作機構(操作基片732、操作レバー、740、745、引張バネ750)730と、操作機構の動作に連動して作動することにより挟持手段を開閉動作させる挟持手段作動機構M(M1、M2)と、操作機構、該挟持手段作動機構を駆動する駆動機構DMと、を備える。
【0127】
挟持手段812は、スタッカユニットが上限位置にある時に(紙葉取出し位置において)開閉動作し、開放動作している時には該紙葉取出し位置への搬送体、及び紙葉の進入経路を開放し、且つ該紙葉取出し位置に搬送体が停止している状態で閉止動作することにより該搬送体上の紙葉の上縁部を挟持し、且つスタッカユニットが下限位置に達した時点以降に開放動作して紙葉の挟持を解除する。
操作機構730は、スタッカユニットが上限位置にある時に挟持手段が閉止動作して紙葉を挟持した時点以降に起立状態にある紙葉の姿勢(方向)を横向きに(横倒しにして)所定角度(略90度)方向転換させつつ下限位置に対応した位置にある搬出部材960上に移載するようにスタッカユニットを移動(回動)させる。
挟持手段作動機構Mのうちの第2挟持手段作動機構M1は、紙葉が搬出部材上へ移載された時点、又は該時点以降に該挟持手段を開放動作させて紙葉の挟持を解除する。
【0128】
整列手段850は、搬送体500が紙葉取出し位置PPにて停止している時に、挟持手段812が閉止動作して該搬送体上の紙葉の挟持を開始するまでは紙葉の上縁部から離間した離間位置にあり、且つ挟持手段が紙葉の挟持を開始する前に下降して紙葉上縁と接する加圧位置に移動する。
整列手段作動機構Sは、整列手段を離間位置と加圧位置との間で進退させると共に、スタッカユニットと共に挟持手段が下方へ移動(回動)する過程と、搬出部材上への移載後も整列手段が紙葉の上縁部を加圧した状態を維持させる。
挟持手段が紙葉(束)の挟持を解除することにより紙葉は搬出部材(搬出ベルト)上に移載されて搬出されるが、搬出ベルト上に移載されてピンチローラによりニップされただけの状態では紙葉(特に、紙葉束)は不安定な状態にある。紙葉は、下流側の搬送ローラ、搬送ベルトによりニップされ、且つ下流側のガイドによりガイドされるまでは(或いは、平ベルト対により紙葉束が挟持されるまでは)、搬出部材上でばらついたり、位置ズレする虞がある。そこで、本発明では、整列手段を搬出される紙葉の初期のガイドとして利用することにした。この構成によれば、搬出部材の近傍に格別のガイド手段を別途設けることなく、紙葉が搬出部材の下流側に位置するローラやベルトによりニップされ、且つ下流側のガイドによりガイドされるまでの間、紙葉のバラツキや位置ズレを防止できる。
なお、実施形態においては、スタッカユニットが、挟持手段、挟持手段作動機構Mの他に整列手段、整列手段作動機構Sを搭載した構成例を示しているが、これは一例に過ぎず、挟持手段、挟持手段作動機構Mのみを搭載した構成も本発明に含まれる。
【0129】
操作機構730は、スタッカユニットが正転することにより上限位置に達した後、及びスタッカユニットが逆転することにより下限位置に達した後に追加動作位置に移動する。そして、操作機構は各追加動作位置でスタッカユニットの停止状態を安定させる。挟持手段作動機構Mは、上限位置では挟持手段、及び整列手段の開放動作、並びに閉止動作を実現し、下限位置では挟持手段の開放動作、及び加圧搬出部材(ピンチローラ)870の突出動作を実現する。
上限位置にあるスタッカユニットSUは該上限位置を越えて正転することが禁止される一方で、操作レバーは該スタッカユニットが上限位置で停止した後も所定角度だけ正転方向へ回動する正転方向の追加動作位置まで動作可能である。一方、第2操作基片732bはスタッカユニットが上限位置に達した時点でそれ以上の正転方向への移動は禁止される(操作基片732bの上限位置)。操作レバーが追加動作位置に移動して停止することにより停止状態にある操作基片732bとの間の距離が増すため、引張バネが拡張方向に付勢される。この時の引張バネの引張り力によりスタッカユニットを後壁に弾性的に押し付けてその状態を安定させることができる。
挟持手段作動機構Mは、操作機構730が正転方向の追加動作位置まで動作した時に挟持手段812を開放動作させ、且つ操作機構が該正転方向の追加動作位置から所定角度逆転方向へ回動した時に挟持手段を閉止動作させる第1挟持手段作動機構M1を含む。
下限位置にあるスタッカユニットは該下限位置を越えて逆転することが禁止される一方で、操作機構730(操作基片732)は該スタッカユニットが下限位置で停止した後も所定角度だけ逆転方向へ回動する逆転方向の追加動作位置まで動作可能である。追加動作位置までの追加動作は駆動機構の駆動により実現する。一方、操作レバーはスタッカユニットが下限位置に達した時点でそれ以上の逆転方向への移動は禁止される(操作レバーの下限位置)。操作基片732bが追加動作位置に単独で先行して移動して停止することにより停止状態にある操作レバーとの間の距離が増すため、引張バネが拡張方向に付勢される。この時の引張バネの引張り力によりスタッカユニットをゴムクッション711Bに弾性的に押し付けてその状態を安定させることができる。
挟持手段作動機構Mは、操作機構が逆転方向の追加動作位置まで動作した時に挟持手段を開放動作させる第2挟持手段作動機構M2を含む。
【0130】
加圧搬出部材(ピンチローラ)870は、スタッカユニットが上限位置にある時には搬出部材960と接触できない退避位置にあり、且つ該スタッカユニットが下限位置に移動して紙葉が搬出部材上に移載された後に退避位置から突出して該搬出部材上の紙葉の上面と接触して加圧する。
加圧搬出部材作動機構PMは、作動時に、退避位置にある加圧搬出部材870を搬出部材と接触可能な突出位置に突出させる手段であり、第2挟持手段作動機構が挟持手段による紙葉の挟持を解除させる動作と連動して加圧搬出部材作動機構を作動させて加圧搬出部材を突出させる。
加圧搬出部材870は、搬出部材960上に紙葉を移載する前には挟持手段が挟持している紙葉と接触したり、紙葉に干渉することができないので、紙葉を搬出部材上に常に適正な姿勢、タイミングで移載することができる。
加圧搬出部材870は、スタッカユニット内に組み込まれており、スタッカユニットが上限位置にある時には退避位置(スタッカユニットが下限位置にある時においても搬出部材と接触できない位置)にあるが、スタッカユニットが下限位置に達した時に操作基片732bの動作に連動して搬出部材上の紙葉束の上面に下降して圧接する。
なお、実施形態においては、スタッカユニットが、挟持手段、挟持手段作動機構Mの他に整列手段、整列手段作動機構S、及び、加圧搬出部材、加圧搬出部材作動機構PMを搭載した構成例を示しているが、これは一例に過ぎず、挟持手段、挟持手段作動機構M、及び、加圧搬出部材、加圧搬出部材作動機構PMのみを搭載した構成も本発明に含まれる。
紙葉には、紙幣以外にも、有価証券、金券、チケット等々の遊技場等で使用可能なシート体が広く含まれる。
【符号の説明】
【0131】
L…島設備、P…紙幣(紙葉)、1…遊技機、2…台間機、10…紙幣搬送システム(紙葉の搬送機構)、100…送風管(第二循環配管)、100a…一端部、100b…他端部、101…気流路、110…第一送風管、111…移動経路部分、120…第二送風管、200…移動体、210…分割片、211…ヒンジ部、213…移動体側磁石(移動体側磁性体)、300…送風制御ユニット(空気流制御装置)、310…ブロア(気流発生装置)、320…切替ユニット、321…ケーシング、323…流路、325…切替弁、330…第一循環配管、330a…一端部、330b…他端部、331…排気管、333…吸気管、340…接続配管、C…紙幣(紙葉)搬送装置、400…搬送管(搬送経路)、401…搬送路(搬送体経路、搬送経路)、402…ベース搬送路、403…紙幣(紙葉)搬送路、405…凹所、450…待機部、460、465…ガイド板、500…搬送体、510…搬送ベース、520…分割片、520a…内部空間、520b…突条、520c…内側領域、521…ヒンジ部、523…搬送体側磁石(搬送体側磁性体)、525…ローラ、540…紙幣回収保持部、541…支柱部材、541a…軸支部、541b…バネ(弾性部材)、544…回収爪(回収部材)、545…ローラ、600…受入ユニット(紙葉受入れ装置)、601…筐体、605…紙葉受入部、610…導入部、612…導入経路、613…第1導入経路部、613a…入口側経路部、613b…待機用経路部、615…第2導入経路部、617…反転ローラ、619…反転路(反転部)、620…搬送機構、630…識別部、700…金庫ユニット、701…筐体、701a…筐体本体、701b…ドア、H…方向転換移載装置(旋回スタッカ装置)、DM…駆動機構、710…モータ、710a…出力軸、711…ベース台(固定基部)、711a…軸受部材、711A…台座、711B…ゴムクッション、712…駆動軸、716…リンク、716a…軸、717…リンク、717a…軸、717A…押圧作動部材、718…軸受部、718a…ベース軸部、718a…軸部、730…操作機構、732、732a、732b…操作基片、740…第1操作レバー、740a…接触板、745…第2操作レバー、750…引張バネ、760…後壁、762…突き当て部、800…スタッカベース、802…軸受部材、803…固定側挟持部(挟持手段)、805…被作動部、810…軸部、M…挟持手段作動機構、M1…第1挟持手段作動機構、M2…第2挟持手段作動機構、812…挟持手段(可動側挟持部)、813…挟持手段付勢部材、814…挟持手段作動レバー、814a…係合突起、815…ローラ、820…第1の解除片、820a…バネ、820b…凸片、825…第2の解除片、825A…アーム、825B…アーム、825a…軸部、825b…軸部、S…整列手段作動機構、850…整列手段、855…軸部、856…付勢部材、858…レバー、859…ローラ、858…整列手段作動レバー、859…ローラ、PM…ピンチローラ作動機構、870…ピンチローラ、880…作動片、880a…押圧部、880a…長穴、880b…押圧部、881…作動片、881a…軸、882…ピンチローラ支持部材、882…支持部材、882…持部材、883…弾性部材、950…金庫、952…金庫用制御基板(セキュリティボックス制御基板)、960…搬出部材、961…搬出ベルト、1000…管理ユニット(制御手段)、1001…筐体
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