(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】コーティングされた巻寿司並びにその製造方法および調理方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20221006BHJP
【FI】
A23L7/10 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020212209
(22)【出願日】2020-12-22
(62)【分割の表示】P 2017501327の分割
【原出願日】2015-07-06
【審査請求日】2021-01-20
(32)【優先日】2014-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517005042
【氏名又は名称】アジ フード ビー ヴィー
【氏名又は名称原語表記】AJI FOOD B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】イェルーン マリナス アントーニ ヴァン デ ヴェルデ
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-042908(JP,U)
【文献】実開昭60-125886(JP,U)
【文献】特開2006-101878(JP,A)
【文献】太田静行,フライ食品の理論と実際,改訂第1刷,株式会社 幸書房,1989年04月01日,197-199頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリスピーな外層として形成されたバッター層を有する食品あって、直ちに消費可能な形態に調理された食品の製造方法において、
野菜、果物、肉、魚、シーフード、および乳製品を少なくとも一つ含む、直ちに消費可能なコアとしての具材を用意する工程と、調理された穀物製品をケーシングとして前記具材を巻いて、前記具材を前記ケーシングで巻いた柱状体を形成する工程と、前記柱状体をバリア層としての可食シートで巻く工程と、穀物粉を水で溶いて粘着性のあるバッターを形成する工程と、前記バリア層を前記バッターのバッター層で被覆する工程と、パン粉層を前記バッター層上に配置する工程とによって、寿司状巻物を形成する工程と、
-60
℃以下のドライフリージング又はショックフリージングにより前記寿司状巻物を完全に冷凍された冷凍状態とする冷凍工程と、
前記寿司状巻物を前記冷凍状態から前記バッター層及び前記パン粉層がクリスピーな外層となるまで160℃~180℃の油で5~6分揚げて焼き上げ、且つ、前記具材を室温より十分に低い温度に保つ工程と、
前記寿司状巻物を油から上げて5~6分保持して直ちに消費可能な形態とする工程と、をこの順で含み、
前記柱状体は、直径2~8cmで、長さ5~20cmとされる食品の製造方法。
【請求項2】
前記可食シートで前記ケーシング及び前記具材を巻く、請求項1に記載の食品の製造方法。
【請求項3】
前記穀物製品として米を用い、
前記米は、水分を加えて加熱することによって炊飯されたご飯であり、
前記ご飯が、前記ケーシングとして用いられる請求項1又は2に記載の食品の製造方法。
【請求項4】
前記具材は、生の状態で前記冷凍工程まで維持される、請求項1~3のいずれか1項に記載の食品の製造方法。
【請求項5】
前記穀物粉は、米粉、タピオカ澱粉、又はトウモロコシの粉である、請求項1~4のいずれか1項に記載の食品の製造方法。
【請求項6】
前記バッターには卵又はベーキングパウダーが加えられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の食品の製造方法。
【請求項7】
前記パン粉層は、前記柱状体にパンくずをまぶして、又は、前記柱状体をパンくず上で転がして形成される、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の食品の製造方法。
【請求項8】
前記可食シートは、板海苔又はライスペーパーである、請求項1~7のいずれか1項に記載の食品の製造方法。
【請求項9】
前記具材として、野菜、果物、肉、魚、シーフード、又は乳製品を含み、前記具材は生のまま用いられ、前記冷凍工程まで生のまま保持される、請求項1~8のいずれか1項に記載の食品の製造方法。
【請求項10】
前記具材として、野菜、果物、肉、魚、シーフード、又は乳製品を含み、前記具材は生のまま用いられ、生のまま保持される、請求項1~9のいずれか1項に記載の食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の製造方法に関する。この食品は、追加調理によって、直ちに消費可能な形態となる。ここでは、消費可能であり、少なくとも寿司のような形態の、高炭水化物組成物からなるケーシングと、該ケーシングを被覆するバリア層とによって包囲された具材を有するコアを備える巻物を調理する。
【背景技術】
【0002】
閉じたケーシング内に具材を有する巻物を備える食品における既知の例として、クロケットが挙げられる。中でも、本国においては、ミートクロケットが最も一般的な形態である。ミートクロケットは、高炭水化物であるの肉のサルピコン(濃いラグーの一種)から製造され、冷却された状態のサルピコンをロール状に成形する。ビーフクロケットおよび子牛肉のクロケットは、高級な変形形態である。更に、例えば、具材として、エビのサルピコンおよび野菜のピューレをベースにしたエビのクロケットや野菜クロケットもある。具材から形成されたロールは、卵、小麦粉、およびパン粉をまぶして、クロケットの全側面を適切に封止し、最終調理中に全体が破裂しないようにする。最終調理として、クロケットは、揚げるか、焼かれることにより、クリスピーな皮となり、ラグーは再度温められる。薄い皮はすぐに冷えるが、具材は長時間に亘り温かいままであるため、食す際には注意が必要である。
【0003】
産業規模では、上述した方法により、形成されたクロケットは冷凍され、所望の数量だけ包装される。クロケットは、任意に解凍後に、揚げるか、焼くことによって、直ちに消費するのに適した形態となり、提供される。ここでは、具材は加熱され、パンやパン粉からなる層は、クリスピーな(カリカリとした)皮となる。
【0004】
20世紀の初頭において、クロケットは、スープの後かつメインコース前の広範なメニューの付け合せとして提供されていた。スタイリッシュな付け合せからスナックへの発展は、第二次世界大戦後のことである。現在、クロケットは、サテークロケットやエビクロケット、およびアスパラガスクロケット、並びにミートクロケット及び子牛肉のクロケット等、多様な変形形態にて存在しており、最も一般的に販売されているスナックの1つであって、主にスナックバーやカフェテリアにおいて消費者に提供されている。オランダでは、年間、3億ものクロケットが消費されている。これは、1人当たり約25個の計算となる。この成功は、同時にクロケットに損害も与えており、今やスタイリッシュなご馳走としての当初の威厳を失い、スナックバーにおける平凡なスナックに価値が下がっている。
【0005】
未だに魅力があり、相応に評価されているご馳走として寿司が挙げられる。寿司は、複数センチの直径を有する、伝統的なアジア、特に日本料理である。寿司は、米酢によって酸味付けし、冷ましたご飯からなる。寿司は、典型的には、魚、シーフード、フライドエッグ、野菜、および時々トロピカルフルーツからなる具材と組み合わせられる。西洋において最も良く知られているタイプの寿司は、巻寿司であり、これは、文字通り巻かれたものである。ご飯を他の材料と共に海苔からなるシート上に置き、続いて、約3cmの直径を有する柱状になるよう、きつく巻き上げる。これにより得た巻寿司は、続いて、通常、6または8切れに切断される。巻寿司には様々なタイプがある。太巻きは、例えば、約4cmの僅かに太い巻物であり、多くの場合、ご飯に加えて3種類の異なる具材を有する。一方、細巻は、約2cmの直径を有するより細い巻物であり、通常、1種類の具材のみを有する。裏巻は、変形形態であり、これは、その他の材料を海苔で巻き、ご飯を外側に配置するものである。
【0006】
具材として最も良く知られているのは、刺身である。ヨーロッパでは、サーモン、マグロ、およびサバが最も一般的に使用されるタイプの魚である。魚以外にもエビ、カニ、およびイカ等の他のシーフードも寿司の材料として使用される。魚卵等の魚の成熟卵もいくつかの寿司において見られる。魚や他のシーフードに加えて、多くの野菜も使用され、特に西洋においては、人参、キュウリ、アボカド、アスパラガス、およびトウモロコシ等が最も知られている。この製品の特長は、使用される材料の新鮮さにある。しかしながら、これは、欠点でもある。即ち、材料を新鮮に保つ必要があるため、寿司の賞味期限は非常に限られたものとなる。更に、寿司の調理には、技術と時間が必要であるため、この製品は、高価となり、大規模生産およびケータリング産業における分配やクロケットと同様の方法による消費者への分配には、不適切である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、特に、食品とその製造方法および調理方法とを提供することにある。この食品は、外観は寿司に似ているが、これを市場の潜在性と結びつけ、例えば、使用にあたりクロケットのような利便性を与えるものである。
【0008】
前述した目的を達成するため、プリアンブルに記載したタイプの方法は、バリア層がバッター層によって被覆されており、パン粉層がバッター層上に配置され、かつ、それによって得た本体は、完全に冷凍するため冷凍工程を経るという、本発明に従った特徴を有する。驚くことに、このようにして収められた寿司のような形態の巻物は、新鮮さや寿司の排他的特徴を保持しつつ、上述した冷凍状態から、焼くか、揚げることによって直ちに消費可能な状態にすることができることを発見した。クリスピーな外層は、喜ばしく、かつ美味しい食感を与え、これは、水分を含んだ高炭水化物からなるケーシングと、パン粉層との間のバリア層によって保護される。この結果、ケーシングにおける可能な限りの水分は、製品内に閉じ込められたまま残り、高炭水化物からなる具材の乾燥を防ぐ。それにも関わらず、この製品は、利便性やクロケット等の冷凍スナックと同様の賞味期限を提供することによって、新しく調理した寿司よりも、非常に広範に市場を広げることができる。
【0009】
具材の品質および風味を最適に保存するため、本発明による方法における好適な実施形態は、-60℃以下のドライフリージングやショックフリージングによって、冷凍工程を実施するという特徴を有する。そのような非常に低い冷凍温度により、製品を急速に冷凍することができ、かつ、例えば、液体窒素や二酸化炭素等の液体ガスにおけるドライフリージングやショックフリージングによって達成することができる。巻物は、ここで、非常に短時間の間に最終的な冷凍品にまで完全に冷却されることにより、使用される材料の新鮮さを保存する。特に、材料が幾分まだ温かい場合、および、例えば、加工前に加熱されることによって調理された場合、ショックフリージングまたはドライフリージングにより、巻物における凝縮を妨害することによって、巻物の歯ごたえや風味に影響を与えないようにする。ドライフリージングまたはショックフリージングは、従来のドライフリージング装置によって実施することができ、商業的に利用可能な装置に頼ることができる。
【0010】
バリア層の重要な役割は、水分の除去にある。さもなければ、製品の加熱中に具材が流出し、最終的にパン粉層を湿らせることにより、クリスピーな焼き上がりではなくなる。このバリア層は、それ自体が異なる方法によって形成および配置され得る。例えば、そのために、ケーシングを被覆するコーティングを使用することができ、かつ、バッター層自体は、バッター層における最終的な湿度密度を高める添加物を任意に加えることによって、ケーシングを有する境界層において、バリア層も形成することができる。更なる特定の実施形態において、本発明による方法は、しかしながら、バリア層として可食シート、特に、板海苔(海藻(海苔)からなるシート)またはライスペーパーを採用して、ケーシングおよび具材を巻くことを特徴とする。海苔やライスペーパー等の可食シートにより、十分に長時間に亘って水分を除去することで、調理中(後段取り)において、外層をクリスピーに焼くことができると共に、可食シートは、巻物を形成するためにケーシングや具材を巻くのにも役立つ。
【0011】
任意に部分的に調理された穀物製品、特に少なくとも部分的に炊かれた米をケーシングとして適用する点に特徴を有する、本発明に従った方法における更なる好適な実施形態によって、特に美味しい最終製品を得ることができる。更なる実施形態において、穀物製品は、加熱することによって、かつ、水分を加えることによって、少なくとも部分的に調理され、続いて、少なくとも部分的に冷却された状態で、ケーシング内に収められ、少なくとも基本的な従来の巻寿司を形成する点において、より特徴を有する。食品に収められる巻物は、本質的に、従来の巻寿司を含むが、本発明に従って、その周囲に適用された固有のクリスピーな外層は、例えば、脂、油、または熱風で焼く、または揚げる等の後段取りと組み合わせることで、従来の寿司を超える、特に驚きの噛みごたえおよび喜ばしい食感をもたらす。
【0012】
巻物は、更に、提供を目的とした後段取りまで、冷凍状態で維持される。この場合、製品の賞味期限は、新鮮な寿司と比較して長く、製品を運搬する上で、もはや実践的な欠点となることはない。この文脈において、本発明に従った方法における更なる特定の実施形態は、野菜、果物、魚、シーフード、および乳製品からなるグループのうち、少なくとも1種類の製品を具材として使用する点に特徴を有する。特に、具材が生であるか、少なくとも調理済みでなく、新鮮であるか、少なくとも元に戻した形態で適用され、かつ、その状態で少なくとも冷凍工程まで維持される。本発明による製品に最終的に施される冷凍工程のおかげで、そのような通常は比較的腐敗しやすい具材を、本発明による食品に容易に取り込むことができる。本明細書において、「元に戻した製品」とは、製品を新鮮または幾分生の状態で冷凍し、後に、おおよそ元(新鮮、またはおおよそ生)の形状に戻るように、解凍したことを意味する。
【0013】
バッター層およびパン粉層はそれ自体、所望のとおりに、かつ、例えば、具材およびケーシングの性質や組成に適応するように選択することができる。本発明による方法における更なる特定の実施形態において、本文脈においては、バッター層は、任意に卵および/またはベーキングパウダーを加えた穀物粉を水で溶いて、粘着性のあるバッターを形成し、この穀物粉は、米粉、タピオカ澱粉、およびトウモロコシの粉から選択されることが好ましく、パン粉層には、パンくず、特に日本のパンくず(パン粉)を使用するという特徴をそれぞれ有する。
【0014】
本発明は、本発明による方法における上述した実施形態のうち1つ以上に従って製造することができる食品にも関する。具材を備えるコアと、該コアを中心に延在し、高炭水化物組成物からなるケーシングとを備える本体を備える食品は、特に、具材およびケーシングが冷凍の巻寿司の一部を形成し、ケーシングはバリア層によって包囲され、バリア層はバッター層によって被覆され、かつ、パン粉層はバッター層上に配置されることを特徴とする。特定の実施形態において、本発明による食品は、更に、高炭水化物組成物が少なくとも部分的に調理された穀物製品、特に、少なくとも部分的に炊かれた米を備えること、並びに、具材は、野菜、果物、肉、魚、シーフード、および乳製品からなるグループのうち、少なくとも1種類の材料を備えることを特徴とする。ここでは、具材の材料は、生であるか、少なくとも完全には調理済みでない形態であることが好ましい。
【0015】
調理後にクリスピーな寿司として提供および消費され得るこの製品は、新鮮な寿司を超える、類ない食感および非常に喜ばしい風味を提供することを発見した。これに加えて、新鮮な寿司と比較して、本製品の賞味期限は、冷凍状態を保持する限り、より長い期間に亘り保証される。物流における観点から、これは、特に、大規模使用への道を開くケータリング産業において非常に有利である。
【0016】
本発明による食品の特定の実施形態において、冷凍された本体は、約2~8cmの直径と、約5~20cmの長さを有し、少なくとも略柱状体を備えることを特徴とする。そのような直径を有する製品は、通常の家庭用の揚げ温度で揚げることができ、バッター層およびパン粉層が均一に揚げられたクリスピーな皮になる一方、具材は冷却状態を維持する。より小さい直径を有する製品、即ち、細巻の場合、外層がまだクリスピーかつきつね色になっていない間に、具材も加熱されてしまい、これは最適な食感および風味を減じるため、冷却して消費されることが好ましく、生であるか、少なくとも調理済みでない部分である一般的な寿司の具材においては欠点となる。より大きな直径を有する製品も、あまり望ましくない。なぜなら、この場合、通常のフライヤーやオーブン装置では、クリスピーな外層を焼き過ぎてしまう一方で、具材はまだ冷凍状態のままであるからである。そのようなより大きな直径を有する製品は、更に、フィンガーフードとして容易に消費可能な最終製品に加工することがより困難である。
【0017】
最終的に、本発明は、本発明による上述した食品のうち1つ以上の調理方法にも関する。本発明によるこの方法において、冷凍された巻物は、任意に解凍された後、コアが少なくとも単に解凍される程度まで焼く、または揚げることによって加熱する間に、パン粉層を有するバッター層は、クリスピーな外層になり、それによって直接的に消費可能な形態になることを特徴とする。冷凍状態において、本発明による食品は、賞味期限の長い中間製品であって、言及した加熱工程によって、迅速かつ容易に、直接的に消費可能な最終製品へと調理することができる。
【0018】
ここで重要なのは、ケーシングが、具材とバッター層およびパン粉層との間に付加的な隔離層を形成することによって、バッター層およびパン粉層を有する外層から、具材を有するコアへの温度の上昇が非常に均一となることにある。この結果、パン粉層を有するバッター層は、クリスピーな皮になる一方、具材は昇温すしすぎないよう保護される。ケーシングの温度は、バッター層付近では比較的温かく、コア付近では程よく温かくなるように、徐々に上昇する一方、具材の温度は、最終製品において、室温を超過しないこと、または、ほとんど超過しないことが好ましい。これは、具材が、新鮮な生の材料等、加熱しないこと、または、少なくとも加熱しすぎないことが好ましい材料からなるとき、特に有利である。
【0019】
記載した食品の調理方法における特定の実施形態において、巻物は油、脂、または熱風によって揚げられること、特に、揚げた後、かつ本体を提供する前において、巻物を数分間休ませることを、本発明による特徴とする。特に、昇温した油または脂で揚げることにより、製品に付加的な風味を付与する。後に課すことが好ましい休み時間により、ケーシングから熱を抽出し、その熱をまだ僅かに冷凍状態または冷却状態にあるコア内に誘導することによって、コアは最終的に適切な温度に達する。バリア層の存在によっても、外層はそのクリスピーな特性を保持する。
【0020】
魅力的な演出のため、本発明による調理方法の好適な実施形態において、巻物を少なくとも実質的に同等のスライスに分割し、少なくともいくつかのスライスを所定の方法に従って平皿上に配置し、かつ、提供前に好適な付け合せと共に提供することを特徴とする。
【0021】
次に、例示的な実施形態および添付図面に基づいて、本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aは、連続する製造段階における、本発明による方法および製品における第1の例示的な実施形態の概略図である。
図1Bは、連続する製造段階における、本発明による方法および製品における第1の例示的な実施形態の概略図である。
図1Cは、連続する製造段階における、本発明による方法および製品における第1の例示的な実施形態の概略図である。
図1Dは、連続する製造段階における、本発明による方法および製品における第1の例示的な実施形態の概略図である。
【
図2】本発明による食品の例示的な実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面は、単に概略図であり、正確な縮尺率ではない。明白にするため、特にいくつかの寸法をより大きくまたはより小さく誇張した。対応する部品は、図面において全体的に同一の参照番号にて指定した。
【0024】
本発明による食品の製造における実施形態においては、多かれ少なかれ、従来の巻寿司の形状の巻物を使用する。これは、1枚以上の可食シート(この実施例においては、可食の海藻(あさくさのり)からなるシートであって、通常、海苔と称されるシート)からなる層の上にご飯(炊飯された米)からなる層2を配置することによって、調理される(
図1A参照)。海苔に代わって、所望の場合、例えばライスペーパー等の他の可食シートまたはペーパーを使用することもできる。それらから形成された層は、最終製品において、水分を除去することが意図されるバリア層1を形成する。従って、層の材料は、耐湿性または少なくとも難湿性を有し、湿気の影響によって崩れる等、劣化してはならない。
【0025】
メシとも称される、使用されるご飯2は、短く、太い穀粒を有し、穀粒の構造およびその噛みごたえが失われないように、茹でるか蒸すことによって実質的に完全に調理する。ご飯に僅かな酸味を加えるため、調理後、または調理中に、米酢を追加する。風味を決定または形成する他の材料をご飯に任意に加えることも可能である。ご飯は非常に粘り気があるため、ご飯は容易に混練可能であり、接着状態を維持する。ご飯からの余熱により具材が影響されないように、ご飯は、完全に冷ましてから、または生ぬるい状態で加工されることが好ましい。更に、これは、続く冷凍工程において、巻物における凝縮が生じる可能性を妨げる。
【0026】
巻寿司のコアにおいて、具材を形成する他の材料3と共にご飯2は、海苔のシート1上に乗せられ、約3cmの直径を有する略筒状体になるよう、きつく巻かれる(
図1B参照)。特に、巻くために使用される巻きすや、機械的工程を経ることもできる。結果として得た本体が、いわゆる巻である。前の工程において、海苔のシート1のうち、細い帯状部分1aは、ご飯を乗せずに残した。巻製品において、この帯状部分は、板海苔の対向側面の裏面と僅かな重複部分を形成し(
図1B参照)、軽く湿らせた後、巻物を保持するよう、そこに接着される。
【0027】
複数のタイプの巻寿司が存在する。例えば、太巻きは、約4cmの幾分太いロールであり、これは、多くの場合、ご飯のケーシング内にあるコア部分の具材として、3種類の異なる材料を有する。一方、細巻は、直径が約2cmのより細いロールであり、通常、具材として1種類のみの材料を有する。最終ロールの直径は、具材により多くの(種類の)製品を使用する場合、増加し得る。しかしながら、本発明の範囲においては、巻物の直径は、如何なる場合にも8cm未満であることが好ましい。
【0028】
多様な具材3を使用することができる。野菜、果物、魚、シーフード、および乳製品からなるグループから得た全てのパーツ(ピース、キューブ、またはストリップ)を使用することが好ましい。例えば、キュウリ、海藻、大根、人参、アボカド、アスパラガス、およびコーンは、好適な選択肢の野菜である。ブリ、アメリカウバガイ、ホタテガイ、イカ、サバ、サーモン、マグロ、シーバス、およびウナギが魚やシーフードとして好適である。高価な具材として、すり身、カニ、(バカ)貝、ホタテ、エビ、およびロブスターを更に使用することもできる。オムレツ、揚げ豆腐、および(例えば、ニシン、サーモン、またはトビウオの)卵も、高く評価されている、巻きロールの具材3に好適な材料である。最終的に、あまり伝統的ではないが、肉の具材として、例えば、家禽(鶏肉)またはステーキ(テンダーロイン)を、伝統的な寿司の変形形態として適用することができる。
【0029】
海苔1、ご飯2、および具材3を頑丈に巻くと、典型的には、5~20cmの長さ、この実施例においては約12cmの1本以上の巻物が形成される。これによって得た巻物は、バッターにくぐらせるか、ロールに亘ってバッターを噴射することによって、実質的に封止するバッター層4を海苔層1上に形成する(
図1C参照)。海苔層は、バッター層4によって完全に被覆される。
【0030】
バッターとしては、天ぷらバッターを使用することが好ましい。このバッターは、小麦粉、冷水、および(多くの場合)卵からなる。天ぷらバッターは、非常に短時間だけ混合され、堅固で粘着性のあるバッターにする。冷水により、焼かれた製品は、クリスピーかつ軽く、油を少量しか吸収しない。粉の種類を変更することも可能である。この目的のために、タピオカ澱粉、米粉、トウモロコシの粉、および所望の場合、ベーキングパウダーを使用する、またはこれらの混合物あるいは他のタイプの穀物粉を使用することができる。
【0031】
最終的に、湿ったバッター層4にパン粉をまぶし、または、外側に湿ったバッター層4を有する巻物をパン粉上において回転させて、パン粉からなるカバー層5を形成する(
図1D参照)。パン粉層5として、パン粉と称される日本のパンくずを使用することが好ましい。代替的に、製品の具材やケーシングにおいて、必要であれば、例えばパン等の、異なるパン粉層を使用することもできる。
【0032】
任意に、前もって焼くか、揚げた後、これにより得られた食品は、続いて、冷凍工程において短時間の間に完全に冷凍されることにより、
図2に示した冷凍巻物が得られる。この工程は、-60℃以下の非常に低い冷凍温度におけるドライフリージングまたはショックフリージングによることが好ましい。これは、製品の風味および歯ごたえがより保存される結果となるため有利である。製品が販売を目的としており、この目的のために決められた数量を包装して配置する場合、冷凍工程は、包装材内において実施されることが好ましい。これにより、包装工程における、少なくとも部分的な巻物の解凍を防ぐ。
【0033】
冷凍された製品は、新鮮な、任意に生の具材にも関わらず、長い賞味期限を有する。製品に直ちに提供することができる形状を与えるため、所望の数量の巻物を(包装から)取り出し、揚げるか焼くことによって加熱する。この例示的な実施形態において、この目的のために高温の油または脂で揚げるが、少量の油のみを使用して熱風によって揚げることもできる。
【0034】
製品を160℃~180℃の油で5~6分揚げて、パン粉層5を有するバッター層4をきつね色のクリスピーな皮にする。巻物の具材3はまだ解凍しておらず、または、ほとんど解凍しておらず、室温より十分に低い温度である。続いて、製品を油から上げ、同じ時間だけ休ませる。ご飯からなるケーシング2の熱容量および温度により、ケーシング自体を冷却すると同時に、具材を更に加熱しつつ、バリア層1によって皮4,5をケーシングの湿気から保護する。最終的に、ケーシングを幾分冷却し、コア部分を最大でも室温より少し上の好ましい温度まで温める。
【0035】
次に、
図2の分割線Dによって模式的に示したように、巻物を数枚に切る。各厚さは、約1cmであり、これらのスライスを大皿または平皿に配置する。完全な状態での提供を完成させるため、例えば、ガリ、ワサビ、醤油、およびワカメ(海藻)等の適切な付け合せを、任意に付加してもよい。この料理は、箸と併せて提供されることが好ましい。
【0036】
本発明を、単一の例示的な実施形態を参照して、上に更に説明したが、本発明はこれに限定されないことは明白である。それとは逆に、本発明の範囲内において、多くの別の変形形態および実施形態が可能である。ご飯の変形形態として、寿司のような形態の巻物を製造するために、例えば、他の穀物製品をケーシングとして使用することもできる。伝統的な寿司の変形形態という観点から、ヒエやキヌア等のきめの細かい穀物は、特に好適である。