(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】糸案内装置
(51)【国際特許分類】
D02J 1/22 20060101AFI20221006BHJP
B65H 57/04 20060101ALI20221006BHJP
B65H 57/16 20060101ALI20221006BHJP
B65H 57/26 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
D02J1/22 304
B65H57/04
B65H57/16
B65H57/26
(21)【出願番号】P 2020521413
(86)(22)【出願日】2017-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2017076346
(87)【国際公開番号】W WO2019076431
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】316008905
【氏名又は名称】ヘーベルライン・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HEBERLEIN AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルンネル,アンドレアス
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-211263(JP,A)
【文献】特開2010-037685(JP,A)
【文献】特開2009-133018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H57/00-57/28
D01D1/00-13/02
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を案内するための糸案内装置(100)であって、ベース要素(1)と、少なくとも1つのカバー要素(2)と、少なくとも1つの糸案内部(3)とを備え、前記少なくとも1つの糸案内部(3)は前記ベース要素(1)の凹部(11)に配置可能であるかまたは配置され、前記少なくとも1つの糸案内部(3)は、前記カバー要素(2)で前記ベース要素の上に着脱可能に保持されるかまたは保持可能であり、
前記カバー要素は、前記糸案内部(3)が滑り込み方向(E)と反対方向に動かないようにするための少なくとも1つの突起部(21)を有し、
前記カバー要素(2)は、前記少なくとも1つの突起部(21)を形成するために、アンダーカット、窪み、またはフライス加工された凹部(23)を有することを特徴とする、糸案内装置。
【請求項2】
前記突起部(21)は前記糸案内部(3)の接触面(32)と接触し得ることを特徴とする、請求項1に記載の糸案内装置。
【請求項3】
前記カバー要素(2)は自由端を有する少なくとも1つのウェブ(22)を有し、前記ウェブ(22)は前記ベース要素(1)のそれぞれ2つの隣接する凹部(11)同士の間に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の糸案内装置(100)。
【請求項4】
前記突起部(21)は前記ウェブ(22)の前記自由端の上に構成されることを特徴とする、請求項3に記載の糸案内装置(100)。
【請求項5】
前記ウェブ(22)は弾性構成を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の糸案内装置(100)。
【請求項6】
糸を案内するための糸案内装置(100)であって、ベース要素(1)と、少なくとも1つのカバー要素(2)と、少なくとも1つの糸案内部(3)とを備え、前記少なくとも1つの糸案内部(3)は前記ベース要素(1)の凹部(11)に配置可能であるかまたは配置され、前記少なくとも1つの糸案内部(3)は、前記カバー要素(2)で前記ベース要素の上に着脱可能に保持されるかまたは保持可能であり、
前記カバー要素(2)はフィードスルー(24)を有する、糸案内装置(100)。
【請求項7】
前記カバー要素(2)および前記ベース要素(1)は、少なくとも前記凹部(11)およびフィードスルー(24)に関して、実質的に同様の外形を有することを特徴とする、請求項6に記載の糸案内装置。
【請求項8】
前記カバー要素は前記糸案内部(3)が衝撃から保護されるように構成され、特に、前記カバー要素のカットアウトは、前記ベース要素(1)のカットアウトと同様に、実質的に一致する構成を有することを特徴とする、請求項6または7に記載の糸案内装置(100)。
【請求項9】
糸を案内するための糸案内装置(100)であって、ベース要素(1)と、少なくとも1つのカバー要素(2)と、少なくとも1つの糸案内部(3)とを備え、前記少なくとも1つの糸案内部(3)は前記ベース要素(1)の凹部(11)に配置可能であるかまたは配置され、前記少なくとも1つの糸案内部(3)は、前記カバー要素(2)で前記ベース要素の上に着脱可能に保持されるかまたは保持可能であり、
前記ベース要素に通気用カットアウト(13)が設けられていることを特徴とする、糸案内装置。
【請求項10】
前記糸案内部(3)は、意図した糸の移動方向(F)を横切って、糸を送り込むための開口部(31)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の糸案内装置(100)。
【請求項11】
前記ベース要素の前記凹部(11)は、前記意図した糸の移動方向(F)を横切って、前記糸案内部(3)を挿入するための開口部(12)を有することを特徴とする、請求項10に記載の糸案内装置(100)。
【請求項12】
前記ベース要素は2つ以上の凹部(11)を有し、各凹部(11)に糸案内部(3)が割り当てられることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の糸案内装置(100)。
【請求項13】
前記カバー要素(2)は2つの糸案内部(3)に共通の突起部(21)を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の糸案内装置。
【請求項14】
前記カバー要素(2)は前記ベース要素(1)に螺合されるかまたは螺合可能であることを特徴とする、請求項1から13に記載の糸案内装置(100)。
【請求項15】
前記カバー要素(2)は関節式に、特に旋回可能に、前記ベース要素(1)に接続され、前記カバー要素(2)を固定するために、クイックリリースファスナ(16,16′)が好ましくは設けられることを特徴とする、請求項1から13に記載の糸案内装置(100)。
【請求項16】
前記糸案内部(3)は前記ベース要素(1)内に係合するための断面を有し、前記断面は、前記糸案内部が両側で少なくとも部分的に前記ベース要素を取囲むかまたは取囲むことができるように構成され、特に、実質的に直角の溝-カム継手として構成されることを特徴とする、請求項1から15に記載の糸案内装置(100)。
【請求項17】
前記糸案内部(3)はセラミック材料から製造されることを特徴とする、請求項1から16に記載の糸案内装置(100)。
【請求項18】
複数の糸案内部(3)が組合されてグループ(5)になっていることを特徴とする、請求項1から17に記載の糸案内装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸を案内するための糸案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糸案内装置は、糸の製造または処理における織物生産において適切に織物を生産するために特に必要である。たとえば、糸案内装置は、たとえばテクスチャード加工ノズルなどのヤーン処理ノズルの上流または下流に配置される。
【0003】
フィラメント糸、ならびに星糸(knotted yarn)、マイグレーション加工糸、および仮撚り糸を処理するための装置が、たとえばWO 2006/002562 A1から知られている。この装置はヤーン処理ノズルを有する。糸を通す方向におけるノズルの前には糸案内装置が配置されている。同様に糸を通す方向におけるノズルの後には第2の糸案内装置が配置されている。糸案内部は一片のセラミック要素として構成されている。糸案内部は複数本の糸を平行に案内するように設計されている。
【0004】
しかし、WO 2006/002562の装置の利用または装填によっては、糸案内部に不均一に応力がかかり、したがって糸案内部は同様に不均一に摩耗する。さらに、当該糸案内装置は、平行に配置された複数の糸案内部のうちの一つが損傷すると、全体を交換しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、先行技術の欠点を改善することである。特に、本発明は、簡単に製造でき、安価に操作でき、保守が容易な糸案内部を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は独立特許請求項に規定されている装置によって達成される。さらなる有利な実施形態が従属特許請求項から明らかになる。
【0007】
糸を案内するための本発明に係る糸案内装置は、ベース要素と、少なくとも1つのカバー要素と、少なくとも1つの糸案内部とを含む。少なくとも1つの糸案内部は、ベース要素の凹部に配置される。少なくとも1つの糸案内部は、カバー要素でベース要素の上に着脱可能に保持される。本発明を一例として糸用の糸案内部に基づいて説明する。「糸」という用語は本文書中では任意の種類のヤーン、フィラメントまたはフィラメント束を意味するものと理解される。
【0008】
「保持」という用語は、糸案内部が緩く保持されて紛失防止のためにのみしっかり固定される構成も含む。同様に、「保持」とは、糸案内部がたとえばプレテンション下で固定される堅固な保持を意味するものと理解される。
【0009】
したがって、糸案内装置の糸案内部は容易に交換可能である。このため、カバー要素を取外すか開けるだけでよい。
【0010】
糸案内部は好ましくは、意図した糸の移動方向を横切って、糸を送り込むための開口部を有する。
【0011】
一例として、最も単純な形態では、糸案内部はスロット状のアイレットとして構成される。すなわち、糸案内部は、糸の移動方向の軸を横切って、閉じた外形を有していない。
【0012】
これによって、糸を糸案内部に簡単に送り込むことができる。
ベース要素の凹部は、意図した糸の移動方向を横切って、糸案内部が滑り込むための開口部を有し得る。この結果、糸案内部を糸案内装置に、特にベース要素に簡単に挿入し、糸案内装置から、特にベース要素から簡単に取外すことができる。
【0013】
ベース要素は2つ以上の凹部を有し得る。ここで好ましくは各凹部に糸案内部が割当てられる。この結果、複数本の糸を平行に案内することができる。各糸に別個の糸案内部が割当てられ、糸案内部は交換可能であるため、糸案内装置の個々の糸案内部の摩耗または損傷を、他の糸案内部とは独立して補償することができる。すなわち、糸案内装置全体を交換しなくても個々の各糸案内部の交換が可能である。しかし、複数の糸案内部を組合せてグループにすることも考えられる。複数の糸案内部をグループ化することによって、製造コストを削減して取扱いを単純化することができる。典型的には、糸案内部を組合せて、各グループが4つの糸案内部を有するグループにすることができる。各グループが2つ、3つの糸案内部を有するグループ、または実際はさらに大きいグループなど、他のグループサイズも考えられる。
【0014】
カバー要素は、糸案内部が滑り込み方向と反対方向に動かないようにするための少なくとも1つの突起部を有する。好ましくは、突起部は糸案内部の表面と接触し得る。これによって、糸案内部を紛失防止のために簡単にしっかり固定するためのカバー要素の単純な設計が可能になる。
【0015】
糸案内装置のカバー要素は、自由端を有する少なくとも1つのウェブを有し得る。ウェブは、ベース要素のそれぞれ2つの隣接する凹部同士の間に配置されるかまたは配置可能である。これによって、1つのウェブを2つの糸案内部に割当てることができる。
【0016】
好ましくは、突起部はウェブの自由端の上に構成される。したがって、1つの突起部で、2つの糸案内部を糸案内装置内に保持することができる。
【0017】
好ましい実施形態では、ウェブは弾性構成を有する。これによって、一方では、糸案内部を糸案内装置内に、特にベース要素内に、プレテンションをかけて保持することができる。他方では、ばね力を克服することによって、たとえば、特にカバー要素を取外すことなく糸案内部をベース要素に挿入するかまたはベース要素から取外すことができる点までカバー要素を撓ませることができる。
【0018】
したがって、糸案内部を糸案内装置に、特にベース要素に嵌合すること、および糸案内装置から、特にベース要素から取外すことが容易になる。
【0019】
カバー要素の少なくとも1つの突起部は、アンダーカットまたは窪みによって、特にフライス加工された凹部によって形成され得る。したがってカバー要素の生産が単純化される。
【0020】
好ましくは、ベース要素はフィードスルーを有し、好ましくはカバー要素およびベース要素は、少なくとも凹部およびフィードスルーに関して、実質的に幾何学的に同様の外形を有する。
【0021】
たとえば、ベース要素のフィードスルーが実質的にU字形の構成を有する場合は、カバー要素の凹部も同様に実質的にU字形の構成を有する。
【0022】
これによって高精度の嵌合が確実になり、カバー要素の一部またはベース要素の一部が糸を通す経路内に延びることが防止される。特に、カバー要素は、糸案内要素が衝撃から保護されるように構成され得る。衝撃は、たとえば、糸が給糸銃で送り込まれるときに発生し得る。カバー要素は、糸案内要素のカットアウトと実質的に同様のカットアウトを有しているため、糸案内要素は実質的に覆われることによって保護される。
【0023】
カバー要素は、2つの糸案内部に共通の突起部を有し得る。本文書中に記載されるように、これによって2つの糸案内部を1つの突起部のみで保持することができる。
【0024】
カバー要素は、ベース要素に螺合され得るか、または螺合可能であり得る。したがって、カバー要素を簡単に交換および分解することができる。このため、これによって同様に糸案内部を簡単に交換することができる。
【0025】
カバー要素は関節式に、特に旋回可能に、ベース要素に接続され得る。カバー要素を固定するために、たとえばクイックリリースファスナがこの趣旨で設けられ得る。クイックリリースファスナとして、たとえば差込みピン結合またはトグル型ファスナが考えられる。
【0026】
関節式継手はヒンジピンとして構成され得る。たとえば、ヒンジピンは、カバー要素が一般的に用いられた場合に糸の移動方向を横切って上向きに傾くことができるように、糸の移動方向と平行に配置され得る。クイックリリースファスナはここでは関節式継手と反対側のカバー要素上に配置され得る。
【0027】
しかし、同様に、関節式継手が糸の移動方向を横切って配置され、カバー要素が糸の移動方向においてベース要素から離れるように傾くことができることも考えられる。すなわち、カバー要素は一般的に用いられた場合、糸の移動方向において離れるように、そして続いて下向きに、傾くことができる。
【0028】
これによって、カバー要素を簡単に取扱うことができる。同様に、カバー要素は紛失防止のために確実にしっかり固定される。カバー要素を締結するための追加のねじは不要である。したがって、別個の部品が紛失する危険性が確実に低下する。
【0029】
糸案内部はベース要素内に係合するための断面を有し得て、当該断面は、糸案内部が意図した通りに用いられた場合に両側で少なくとも部分的にベース要素を取囲むように構成される。ベース要素と接触するための当該断面は、特に、ここでは実質的に直角の溝-カム継手を形成するように構成され得る。
【0030】
たとえば、ベース要素と係合するように設計される断面は、実質的にU字プロファイルを有する。しかし、U字プロファイルは継手に沿って中断されることもできる。したがって、糸の移動方向における糸案内部の入口側および出口側に、個々のカムまたは突起部を見つけることができ、これらはたとえば糸案内部の周りに交互に延びるように配置され得るか、または不均一に配置され得る。
【0031】
これによって、糸案内部をベース要素に簡単に挿入してベース要素から簡単に取外すことができる。
【0032】
糸案内部はセラミック材料から製造され得る。これによって糸案内部の耐用年数が延びる。別の好ましい実施形態によると、ベース要素に通気用カットアウトが設けられ得る。こうして流出空気を糸案内部の下方に導くことができ、糸の乱れが小さくなる。糸がよりスムーズに案内されるため、空気をより良く織り交ぜることができる。
【0033】
本発明を以下の概略図に基づいて一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】本発明に係る糸案内部の第1の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明に係る糸案内部の第2の実施形態を示す図である。
【
図4】
図1の糸案内装置の個々の糸案内部およびウェブの拡大図である。
【
図8】本発明に係る糸案内装置の代替実施形態の分解図である。
【
図9】本発明に係る糸案内装置の代替変形例の分解図である。
【
図10a】
図9の糸案内部のグループの実施形態の斜視図である。
【
図10b】
図9の糸案内部のグループの実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、糸案内装置100を分解図で示す。糸案内装置100はベース要素1およびカバー要素2を有する。ベース要素1およびカバー要素2は、意図した通りに用いられた場合、ねじ穴13′内に係合するねじ13によって互いに接続される。ねじ14は、糸案内装置10を締結するのに好適な相対物(図示せず)に糸案内部を締結するために設けられる。
【0036】
ベース要素1には複数の凹部11が配置されているが、明確にするためにそれぞれ1つの要素のみを参照番号で示している。各凹部11は、上向きに方向付けられているこの図では、開口部12を有する。ここでは各凹部11内に糸案内部3が配置されている。糸案内部3を図2および図3を参照して以下に詳細に説明する。
【0037】
図1には2つの糸案内部3が示されており、これらは滑り込み方向Eにおいて凹部11の上方に見つけられる。糸案内部3が滑り込み方向Eに移動することによって、糸案内部3を凹部11に挿入することができる。各糸案内部3は接触面32(
図2および
図3参照)を有する。接触面32は両側が突起カム34によって制約されており、カム34と共に溝35を形成する。この溝35のカム34同士の間の幅は、ベース要素1(
図1参照)の厚みに実質的に対応する。すなわち、糸案内部3をベース要素1の凹部11に滑り込ませると、この溝はベース要素1の対応する構造16に沿って摺動する。これにより、接触面32の両側に配置されたカム34がベース要素1の対応する構造16を取囲む。こうして、糸案内部は糸の移動方向F(またはこの方向と反対方向)におけるずれ防止のためにしっかり固定される。
【0038】
すべての糸案内部3が開口部12を通って適切な凹部11に挿入されるとすぐに、機能部を提供するためにカバー要素2がベース要素1に接続される。
【0039】
カバー要素2はフィードスルー24を有し、当該フィードスルーの外形はベース要素1の凹部11の外形に実質的に対応する。カバー要素2の軸受面25に、フライス加工された凹部23が設けられている。フライス加工された凹部23は、フィードスルー24同士の間に配置された個々のウェブ22の上に突起部21が形成されるように構成される。フライス加工された凹部は、接触面32の両側に配置されたカム(図2参照)の厚みよりもやや大きい厚みに実質的に対応する。
【0040】
カバー要素2がその軸受面25で、ベース要素1の対応する軸受面15上に配置されると、フライス加工された凹部23は突起部21で、ベース要素1上に突き出す糸案内部3の(すなわちカム34のうちの1つの)その部分を取囲む。ねじ13でカバー要素2をベース要素1に螺合することによって、すべての糸案内部3がこうして紛失防止のためにしっかり固定される。同様に、突起部21は、滑り込み方向と反対方向の糸案内部3の紛失を防止する。糸案内部3をカバー要素2で覆うので、一般的にセラミック材料から製造される糸案内部は衝撃から、したがって外部のいかなる損傷からも保護される。
【0041】
図2および
図3は糸案内部3の可能性のある実施形態をそれぞれ示す。
図2の糸案内部3は実質的にアイレットとして構成されており、糸の移動方向F(
図2および
図3ではそれぞれ矢印として表されている)を横切って開口部31を有する。開口部31の上面図(
図6参照)では、開口部31が糸の移動方向に対して斜めに構成されていることを見ることができる。それによって、糸が糸案内部3から径方向に直接取出されることが防止される。
【0042】
図3の糸案内部は、糸をしっかり固定するために、開口部36内に係合するが開口部36に接続されていない延在部33を有する。この結果、同様に糸を糸案内部に送り込むことができ、糸が糸案内部3から径方向に取出されることを防止することができる(
図7も参照)。
【0043】
図4は、糸案内部3が挿入された状態のベース要素1の詳細の拡大図を示す。ベース要素1のウェブ22はそれぞれ突起部21を有する。突起部21は、隣接する2つの糸案内部3のアームの端においてそれぞれ接触面32(
図2および
図3参照)と接触している。それによって糸案内部3は、ベース要素1の凹部11において滑り込み方向Eと反対方向に保持される。
【0044】
図5は、ベース要素1の上面図と、(
図5の右側参照)平面A-AおよびB-Bに沿った断面図とを示す。
【0045】
図6および
図7は、
図2および
図3の糸案内部の概略上面図を示す。
図8は糸案内装置100の代替実施形態を示す。カバー要素2は旋回軸Sの周りに旋回可能に配置される。開閉のために、カバー要素2は矢印方向に旋回可能であり、ベース要素1の突起部16′上にクラスプ16(概略的にのみ表わされている)でロックされ得る。
【0046】
図9は糸案内部の代替実施形態を示す。ベース要素1およびカバー要素2はそれらの構造に関して
図1に係る実施形態に実質的に対応する。同一の部品は示していないか、または再び説明しない。
図1に係る実施形態とは対照的に、ベース要素1はカットアウト13を有する。これに対応して、カバー要素に凹部25が設けられている。カバー要素2が装着されると、凹部25はその上端縁においてカットアウト13と実質的に一致して延びる。空気は糸の延びる方向に実質的に流れ、糸案内部を横切り、前後においてノズルから流出する。流出空気はベース要素1で進路が変わり、ヤーンを振動させる。この影響はカットアウト13によって弱まる。
図1に係る例示的な実施形態とは対照的に、
図9では複数の(具体的には4つの)糸案内部が組合されてグループ5になっている。
【0047】
図10aおよび
図10bは、
図9に係る糸案内部のグループ5の斜視図を示す。糸案内部には任意のカットアウト6が設けられており、これは付加的な案内効果を提供することができる。