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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】デジタル回路遮断器コントローラ
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20221006BHJP
   H02H 3/02 20060101ALI20221006BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20221006BHJP
   H02H 7/26 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02H3/02 J
H02J3/00
H02H3/02 D
H02H7/26 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020570812
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2019066294
(87)【国際公開番号】W WO2019243470
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】18179021.3
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロイニネン,トマス
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-282856(JP,A)
【文献】特開平11-341706(JP,A)
【文献】特開2007-288921(JP,A)
【文献】特開2013-090550(JP,A)
【文献】特開平06-308205(JP,A)
【文献】特開平09-023596(JP,A)
【文献】特開2000-013930(JP,A)
【文献】特開2000-333362(JP,A)
【文献】特開2001-157381(JP,A)
【文献】特開2004-166353(JP,A)
【文献】特開2012-065389(JP,A)
【文献】特開2014-050117(JP,A)
【文献】特開平9-023596(JP,A)
【文献】特開平10-201084(JP,A)
【文献】特開2009-141621(JP,A)
【文献】特開2016-062845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/02
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
H01H 71/68
H02H 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器(200)であって、前記回路遮断器(200)を制御するためのデジタル回路遮断器コントローラ(400)を有し、前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、
前記回路遮断器(200)のインターロック機能、構成、信号伝達、および、制御機能を処理するように構成されるプログラミングロジックを含み、
前記回路遮断器(200)は、動作機構(211)を有し、前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、前記回路遮断器の前記動作機構(211)と統合されており、
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、変電所保護および制御システム(110)への通信インターフェイス(207)を含み、
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)を前記回路遮断器(200)の前記動作機構(211)内に配置し、前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)が前記動作機構(211)と同じキュービクル内に配置される、回路遮断器(200)。
【請求項2】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、前記回路遮断器およびその動作機構(211)のセンサから信号およびデータを収集するようにさらに構成される、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項3】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、収集された前記信号およびデータを前記変電所保護および制御システム(110)に提供するようにさらに構成される、請求項2に記載の回路遮断器(200)。
【請求項4】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、前記変電所保護および制御システム(110)からトリップおよびクローズ信号を受け取り、インターロック制約をチェックし、かつ、前記動作機構(211)のトリップ/クローズコイルに電力を印加することによってトリップおよびクローズ動作を実行するようにさらに構成される、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項5】
前記動作機構(211)は、油圧構成要素、ばね構成要素、モータ、および、キャパシタバンクのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項6】
前記変電所保護および制御システム(110)への前記通信インターフェイス(207)は、光学IEC61850インターフェイスである、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項7】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、前記光学IEC61850インターフェイスからシステム電圧および電流値のようなデータを読み出すように構成される、請求項6に記載の回路遮断器(200)。
【請求項8】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、システム電圧および電流値のような、前記光学IEC61850インターフェイスからの入力を使用して、ポイントオブウェーブスイッチングを実行するように構成される、請求項6に記載の回路遮断器(200)。
【請求項9】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、前記回路遮断器(200)および前記動作機構(211)について状態およびメンテナンスの必要性を決定するようにさらに構成される、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項10】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、ケーブルハーネス(212)を介して前記動作機構(211)の構成要素に結合される、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項11】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)が前記ケーブルハーネス(212)を介して接続される前記構成要素は、トリップコイル(201)、クローズコイル(202)、チャージモータ(203)、位置センサ(204)、ばねチャージセンサ(205)、および、インクリメンタルトラベルトランスデューサである、請求項10に記載の回路遮断器(200)。
【請求項12】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、ローカル動作パネル(209)への通信インターフェイス(210)を有し、かつ、前記ローカル動作パネル(209)にデータを提供するとともに前記ローカル動作パネル(209)から命令を受け取るように構成される、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項13】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、回路遮断器コントローラ機能を監督するようにさらに構成され、かつ、前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)において内部故障が検出される場合に、前記通信インターフェイス(207)に警告および警報を信号伝達するようにさらに構成される、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項14】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、回路遮断器コントローラ機能を監督するようにさらに構成され、かつ、前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)において内部故障が検出される場合に、前記通信インターフェイス(207)に警告および警報を信号伝達するようにさらに構成され、
記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、前記警告および前記警報を前記ローカル動作パネル(209)に信号伝達するようにさらに構成される、請求項12に記載の回路遮断器(200)。
【請求項15】
前記回路遮断器(200)は、高電圧回路遮断器(200)である、請求項1に記載の回路遮断器(200)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の少なくとも1つの回路遮断器(200)を含む、制御システム(300)。
【請求項17】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、ケーブルハーネス(212)を介して前記動作機構(211)の構成要素に結合され、前記制御システム(300)は、前記ケーブルハーネス(212)をさらに含む、請求項16に記載の制御システム(300)。
【請求項18】
前記デジタル回路遮断器コントローラ(400)は、ローカル動作パネル(209)への通信インターフェイス(210)を有し、かつ、前記ローカル動作パネル(209)にデータを提供するとともに前記ローカル動作パネル(209)から命令を受け取るように構成され、前記制御システム(300)は、前記ローカル動作パネル(209)をさらに含む、請求項16または17に記載の制御システム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本明細書において提示される実施形態は、回路遮断器を制御するための方法、デジタル回路遮断器コントローラ、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
現在、回路遮断器動作機構の設計のために、制御および信号伝達の両方が、最も一般的には、110VDCから220VDC(VDCは、直流の電圧(Volts of Direct Current)の短縮形)のオーダーの動作電圧を必要とする電気機械構成要素を使用して扱われている。電気機械構成要素の例としては、スイッチ、リレー、時間リレーなどが挙げられる。電気機械構成要素は、回路遮断器動作機構が配置されるキュービクルにおいて端子ブロックに配線される。各顧客のための機能の仕様を満たすために、動作機構のいくつかの異なる顧客固有の内部配線構成が存在し得る。したがって、顧客は、変電所保護および制御システムとのポイントツーポイントケーブル通信を促進するために、その顧客固有の内部配線構成に従って、複数のケーブルを端子ブロックに接続する必要がある。変電所保護および制御室における異なるインテリジェント電子装置(IED: Intelligent Electronical Device)間の通信は、デジタルであり得、たとえばIEC61850プロトコルを使用し得る。
【0003】
図1は、1つのベイ140を有する変電所のための制御システム100の図である。保護および制御IED120は、変電所保護および制御室に配置され、変電所保護および制御システム110を規定しており、ステーションバスを介して互いに通信する。ベイは、1つの回路遮断器(CB: circuit breaker)180および1つの非従来型電流変換器(NCCT: Non-Conventional Current Transformer)190を有する。非従来型電流変換器190は、IEC61850プロトコル(特にIEC61850パート9-2)に従って、電流データを変電所保護および制御システム110に直接的に送達する。ベイキュービクル150に配置された別個のIED160は、回路遮断器へのインターフェイスとして作用する。当該別個のIED160は、電気ケーブル170を介して信号を光学信号に変換し、その後、当該信号をIEC61850プロセスバスを介して制御室に転送するように構成される。回路遮断器からIEDへの配線は、ポイントツーポイント銅ケーブルタイプの配線であり、これによりIEDは回路遮断器の動作機構における端子ブロックに配線される。さらに、回路遮断器の配線は、インターロックおよび制御のための電気機械構成要素の使用に基づく。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑みて、回路遮断器の制御を改善する必要性が依然として存在する。
概要
本明細書における実施形態の目的は、回路遮断器の効率的な制御を提供することである。
【0005】
第1の局面によれば、回路遮断器を制御するためのデジタル回路遮断器コントローラが提供される。デジタル回路遮断器コントローラは、回路遮断器のインターロック機能、構成、信号伝達、および、制御機能を扱うように構成されるプログラミングロジックを含む。回路遮断器は、動作機構を有し、デジタル回路遮断器コントローラは、回路遮断器動作機構と統合される。デジタル回路遮断器コントローラは、変電所保護および制御システムへの通信インターフェイスを含む。
【0006】
有利なことに、このデジタル回路遮断器コントローラは、回路遮断器の効率的な制御を提供する。
【0007】
有利なことに、デジタル回路遮断器コントローラを回路遮断器と統合することにより、動作機構の銅ケーブル配線の量を最小化する可能性が可能になる。
【0008】
有利なことに、デジタル回路遮断器コントローラを回路遮断器と統合することにより、デジタル回路遮断器コントローラへの異なる入力信号に対して比較的低い電圧(たとえば24Vまたは48V)のセンサを使用することが可能になる。
【0009】
有利なことに、このデジタル回路遮断器コントローラは、すべての顧客固有の機能がデジタル回路遮断器コントローラのソフトウェア構成により設定され得るので、動作機構の標準化された(たとえば、ケーブルハーネスによって規定されるような)物理的配線を有することが可能になる。
【0010】
第2の局面によれば、制御システムが提供される。制御システムは、第1の局面に従った少なくとも1つのデジタル回路遮断器コントローラを含む。
【0011】
第3の局面によれば、回路遮断器を制御するためのコンピュータプログラムが提供される。当該コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムコードを含み、当該コンピュータプログラムコードは、第1の局面に従ったデジタル回路遮断器コントローラ上で実行されると、デジタル回路遮断器コントローラに、回路遮断器のインターロック機能、構成、信号伝達、および、制御機能を処理させる。
【0012】
第4の局面によれば、第3の局面に従ったコンピュータプログラムと、コンピュータプログラムが格納されるコンピュータ読取可能記憶媒体とを含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータ読取可能記憶媒体は、一時的でないコンピュータ読取可能記憶媒体であり得る。
【0013】
添付された実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、添付の従属請求項、および、図面から明らかとなるであろう。
【0014】
一般的に、請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書において別の態様で明示的に定義されない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「ある/その要素、装置、構成要素、手段、モジュール、ステップなど」へのすべての参照は、別の態様で明示的に述べられない限り、その要素、装置、構成要素、手段、モジュール、ステップなどのうちの少なくとも1つの例を指していると広義に解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示される正確な順序で実行される必要はない。
【0015】
ここで、添付の図面を参照して、例として発明の概念が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】変電所制御システムの概略図である。
図2】実施形態に従った回路遮断器動作機構の部分を概略的に示す図である。
図3】実施形態に従った制御システムの概略図である。
図4】実施形態に従ったデジタル回路遮断器コントローラの機能ユニットを示す概略図である。
図5】実施形態に従ったコンピュータ読取可能記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
ここで、発明の概念のある実施形態が示される添付の図面を参照して、発明の概念が以下により詳細に記載される。しかしながら、この発明の概念は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、発明の概念の範囲を当業者に詳細に伝えるように、例として提供される。記載全体を通じて、同様の番号は同様の要素を指す。破線によって示される任意のステップまたは特徴は、随意のものと見なされるべきである。
【0018】
上で開示されるように、回路遮断器をデジタル制御するために、IEDは、回路遮断器の近くの別個のキュービクル内に配置され得る。変電所保護および制御室からこのIEDへの通信は、たとえばIEC61850プロトコルを使用して、光学的であり得る。しかしながら、このIEDから回路遮断器への配線は従来、従来のポイントツーポイント銅ケーブルタイプの配線であり、回路遮断器の動作機構における端子ブロックに配線される。さらに、配線は、従来、インターロックおよび制御のための従来の電気機械構成要素に基づく。カスタマイズされたコンポーネントおよび配線が、異なる用途のために必要とされ、かつ、特定の顧客仕様を満たすために必要とされる。
【0019】
ポイントツーポイント銅ケーブル配線および従来の電気機械構成要素の使用と、カスタマイズされた構成要素および配線の必要性とにより、回路遮断器を制御するためのそのような構成は、粗大であり、エラーが発生しやすく、維持およびカスタマイズが煩雑である。
【0020】
したがって、回路遮断器を制御するための新しいタイプのデジタル回路遮断器コントローラが開示される。
【0021】
開示されるデジタル回路遮断器コントローラは、プログラミングロジックを含む。プログラミングロジックは、回路遮断器のインターロック機能、構成、信号伝達、および、制御機能を処理するように構成される。
【0022】
このようなデジタル回路遮断器コントローラは、回路遮断器動作機構の電気回路の簡略化を可能にし、動作機構におけるポイントツーポイント接続の量の最小化を可能にし、動作機構に必要とされるリレーおよびコネクタなどの電気機械構成要素の数の低減を可能にする。
【0023】
回路遮断器は動作機構を有し、デジタル回路遮断器コントローラは回路遮断器動作機構と統合される。
【0024】
デジタル回路遮断器コントローラを回路遮断器動作機構と統合することにより、デジタル回路遮断器コントローラが動作機構と同じキュービクル内に配置されることが可能になる。
【0025】
デジタル回路遮断器コントローラを回路遮断器の動作機構内に配置することによってさらに、動作機構の銅ケーブル配線の量を最小化する可能性が可能になり、さらに、デジタル回路遮断器コントローラへの異なる入力信号に対してよりシンプルな24Vまたは48Vセンサを使用することが可能になる。センサおよび配線は標準化され得、すべての顧客固有のカスタマイゼーションは、デジタル回路遮断器コントローラのソフトウェア構成に移される。
【0026】
デジタル回路遮断器コントローラを回路遮断器の動作機構内に配置することによってさらに、デジタル回路遮断器コントローラは、電磁干渉に対して良好な保護を有することになる。
【0027】
プログラミングロジックが処理するように構成される回路遮断器の信号伝達の一例は、回路遮断器と変電所保護および制御システムとの間の信号伝達である。したがって、デジタル回路遮断器コントローラは、変電所保護および制御システムへの通信インターフェイスをさらに含む。このような通信インターフェイスの例が以下に開示される。回路遮断器の信号伝達は、この通信インターフェイスを介して通信され得る。
【0028】
ここで、デジタル回路遮断器コントローラのさらなる詳細に関する実施形態が開示される。
【0029】
図2は、回路遮断器200の回路遮断器機構211の部分の概略図である。
異なるタイプの動作機構211が存在し得る。いくつかの局面によれば、動作機構211は、油圧構成要素、ばね構成要素、モータ、および/または、キャパシタバンクを含む。図2の例示的な回路遮断器機構は、トリップコイル201、クローズコイル202、チャージモータ203、位置センサ204、ばねチャージセンサ205、および、電源206を含む。
【0030】
デジタル回路遮断器コントローラ400は、変電所保護および制御システム110への通信インターフェイス207を含む。デジタル遮断器コントローラ400は、回路遮断器機構211と統合される。したがって、提案されるデジタル回路遮断器コントローラ400は、回路遮断器動作機構211の統合された部分を形成し得る。これにより、デジタル回路遮断器コントローラ400は、電気機械的インターロック構成要素および配線をトランスデューサに置換し、動作機構における電気構成要素の数を制限する。回路遮断器インターロック機能および制御機能は、統合されたデジタル回路遮断器コントローラ400のプログラミングロジックの構成可能な設定によって処理される。
【0031】
デジタル回路遮断器コントローラ400を回路遮断器200の動作機構211内に配置することによって、動作機構211の配線のための今日の実質的な製造時間を最小化するために、クイックフィットコネクタを有する予め作製されたワイヤーハーネスを有することが可能になる。したがって、いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、(参照符号212に概略的に示すように)ケーブルハーネスを介して回路遮断器機構211の構成要素に結合される。いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400がケーブルハーネス212を介して接続される構成要素は、トリップコイル201、クローズコイル202、チャージモータ203、位置センサ204、ばねチャージセンサ205、および/または、インクリメンタルトラベルトランスデューサである。当業者が理解するように、たとえば圧力センサ、温度センサなど(これらに限定されない)のような他のタイプの構成要素が、たとえば、デジタル回路遮断器コントローラ400によって実行されるカスタマイゼーションおよびアプリケーションに依存して、ケーブルハーネス212を介してデジタル回路遮断器コントローラ400に接続され得る。
【0032】
デジタル回路遮断器コントローラ400は、変電所保護および制御システム110への通信インターフェイス207以外の通信インターフェイスを有し得る。いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、ローカル動作パネル209への通信インターフェイス210を有する。デジタル回路遮断器コントローラ400は、ローカル動作パネル209にデータを提供するとともにローカル動作パネル209から命令を受け取るように構成される。ローカル動作パネル209は、ヒューマンマシンインターフェイス(HMI: human machine interface)を定義するものと見なされ得る。これにより、収集されたデータは、通信インターフェイス207およびローカル動作パネル209を介して、利用可能にされ得る。収集されたデータは、状態監視機能のために使用され得る。ローカル動作パネル209は、デジタル動作パネルであり得る。
【0033】
いくつかの局面では、デジタル回路遮断器コントローラ400は、内部故障を検出および報告するように構成される。特に、実施形態によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、回路遮断器コントローラ機能を監督するように構成され、かつ、デジタル回路遮断器コントローラ400において内部故障が検出された場合に、通信インターフェイス207に警告および警報を信号伝達するように構成される。いくつかの例では、警告および警報は、ローカル動作パネル209にも提供される。すなわち、実施形態によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、警報および警報をローカル動作パネル209に信号伝達するように構成される。
【0034】
変電所保護および制御システム110への異なるタイプの通信インターフェイス207が存在し得る。いくつかの局面では、変電所保護および制御システム110への通信インターフェイス207は、光学IEC61850インターフェイスである。デジタル回路遮断器コントローラ400は、光学IEC61850インターフェイスからシステム電圧および電流値のようなデータを読み出すように構成され得る。そのようなデータは、デジタル回路遮断器コントローラ400に信号伝達として提供され得る。さらに、デジタル回路遮断器コントローラ400は、システム電圧および電流値のような、光学IEC61850インターフェイスからの入力を使用して、ポイントオブウェーブスイッチング(point of wave switching)を実行するように構成され得る。他の局面では、通信インターフェイス207は、ガルバニック信号が通信される銅ケーブルによって規定され得る。
【0035】
ここで、図2を引き続き参照して、デジタル回路遮断器コントローラ400のさらなる機能が開示される。
【0036】
いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、保護および制御システム110からトリップおよびクローズ信号を受け取り、インターロック制約をチェックし、かつ、動作機構211のトリップ/クローズコイルに電力を印加することによってトリップおよびクローズ動作を実行するようにさらに構成される。これにより、デジタル回路遮断器コントローラ400は、構成されるインターロック機能のいずれかが動作を妨げているか否かをチェックし、妨げていなければ、回路遮断器200を動作するようにトリップまたはクローズコイル201に電力を送るように有効化され得る。
【0037】
いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、回路遮断器200および動作機構211について状態および潜在的なメンテナンスの必要性を決定するようにさらに構成される。監視機能の例は、リアルタイム圧力測定、温度補償および信号伝達、モータ電流および/またはチャージ時間に基づくモータ監督、(たとえば、トリップコイルの物理的完全性をチェックすることによる)トリップコイル201の監督、減衰機能、機能値(オープン時間、クローズ時間、コンタクト速度など)、および、コンタクト腐食評価を含むが、これらに限定されない。コンタクト腐食評価は、動作回数、通常のサービス電流、コンタクトタイミングといったパラメータを使用して実行され得、さらに、通信インターフェイス207を介して収集されたデータからの実際の遮断電流測定の使用により実行され得る。たとえば、回路遮断器およびその動作機構211のセンサからの信号およびデータは、回路遮断器200および動作機構211について状態および潜在的なメンテナンスの必要性を決定するように、デジタル回路遮断器コントローラ400のために収集され得る。たとえば、光学IEC61850インターフェイスから受け取られる電流および/または電圧情報もこの目的のために収集され得る。
【0038】
例示的な例として、遮断極(breaking pole)においてガスの温度補償圧力をチェックするために、密度モニタが使用され得る。デジタル回路遮断器コントローラ400は、密度計から信号を連続的に受け取るように構成され得る。圧力が低すぎると、回路遮断器の動作が許容されない可能性がある。カスタマイゼーションは、回路遮断器200が、圧力が低すぎる条件下で自動的にトリップし、ブロックし、警告信号を送ることを可能にするように、デジタル回路遮断器コントローラ400のプログラミングロジックの構成可能な設定によってなされ得る。
【0039】
いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、回路遮断器200およびその動作機構211のセンサからの信号およびデータを収集するようにさらに構成される。いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、収集された信号およびデータを変電所保護および制御システム110に(たとえば、通信インターフェイス207を介して信号伝達することにより)提供するようにさらに構成される。より詳細には、デジタル回路遮断器コントローラ400は、センサからデータおよび状態を収集するように構成され得、当該データおよび状態は、回路遮断器の位置、ガス圧力、温度、動作回数、モータ電流、トリップコイルの完全性などのうちの少なくとも1つに関連する。
【0040】
いくつかの局面によれば、デジタル回路遮断器コントローラ400は、制御されたスイッチング機能としても知られるポイントオブウェーブスイッチング機能を有するように構成される、すなわち、単極動作用途のために異なる位相の動作の独立した時間同期を有し、各位相における正弦波電圧に対する各相の独立した動作を可能にする。
【0041】
デジタル回路遮断器コントローラ400は、多くのタイプの回路遮断器のために使用され得る。多くのタイプの回路遮断器の例としては、空気絶縁スイッチギア(AIS: Air Insulated Switchgear)、ガス絶縁スイッチギア(GIS: Gas Insulated switchgear)、ハイブリッドスイッチギア(AISとGISとの組み合わせ)、ライブタンク回路遮断器(LTB: Live Tank Circuit Breaker)、デッドタンク回路遮断器(DT: Dead Tank circuit breaker)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、デジタル回路遮断器コントローラ400は、多くの電圧範囲について使用され得る。
【0042】
いくつかの局面では、デジタル回路遮断器コントローラ400は、制御システム300の部分である。そのような制御システム300は、本明細書に開示されるような少なくとも1つのデジタル回路遮断器コントローラ400を含み得る。さらなる局面では、制御システム300は、ケーブルハーネス212をさらに含む。さらに別の局面では、制御システム300は、ローカル動作パネル209をさらに含む。
【0043】
いくつかの局面では、少なくとも1つのデジタル回路遮断器コントローラ400および回路遮断器200が制御システム300を形成する。そのような制御システム300は、図3を参照して以下に開示されるように、さらなる構成要素を含み得る。
【0044】
異なるタイプの回路遮断器200が存在し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、回路遮断器200は高電圧回路遮断器200である。高電圧は、ここでは、72kVを上回る電圧であり、好ましくは72kVと1200kVとの間の電圧として理解されるべきである。
【0045】
図3は、実施形態に従った1つのベイ140を有する変電所のための制御システム300の図である。図1と比較すると、図3では、ベイキュービクルにおけるIEDは、本明細書に開示されるようなデジタル回路遮断器コントローラ400によって置き換えられており、デジタル回路遮断器コントローラ400は、したがって、回路遮断器200の回路遮断器動作機構211と統合されている。
【0046】
図4は、ある数の機能ユニットに関して、実施形態に従ったデジタル回路遮断器コントローラ400の構成要素を概略的に示す。処理回路410は、たとえば(図5におけるように)記憶媒体430の形態にあるコンピュータプログラム製品510に格納されたソフトウェア命令を実行することが可能な、好適な中央処理装置(CPU: central processing unit)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP: digital signal processor)などのうちの1つ以上の任意の組み合わせを使用して提供される。処理回路410はさらに、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC: application specific integrated circuit)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA: field programmable gate array)として提供されてもよい。
【0047】
特に、処理回路410は、デジタル回路遮断器コントローラ400に、上で開示されるようなプログラミングロジックを実現させるように構成される。たとえば、記憶媒体430は、動作のセットを格納し得、処理回路410は、デジタル回路遮断器コントローラ400に動作のセットを実行させるために、記憶媒体430から当該動作のセットを抽出するように構成され得る。動作のセットは、実行可能な命令のセットとして提供され得る。したがって、これにより、処理回路410は、プログラミングロジックの動作を実行するように構成される。記憶媒体430はさらに、たとえば、磁気メモリ、光学メモリ、ソリッドステートメモリ、または、リモートにマウントされるメモリのいずれか1つまたは組み合わせであり得る永続性ストレージを含み得る。
【0048】
デジタル回路遮断器コントローラ400は、通信インターフェイス420をさらに含み得る。したがって、通信インターフェイス420は、アナログおよびデジタル構成要素を含む1つ以上の送信機および受信機を含み得る。いくつかの局面では、通信インターフェイス420は、変電所保護および制御システム110への通信インターフェイス207を含み、随意に、ローカル動作パネル209への通信インターフェイス210を含む。
【0049】
処理回路410は、たとえば、通信インターフェイス420および記憶媒体430にデータおよび制御信号を送ることと、通信インターフェイス420からデータおよび報告を受け取ることと、記憶媒体430からデータおよび命令を抽出することとによって、デジタル回路遮断器コントローラ400の一般的な動作を制御する。デジタル回路遮断器コントローラ400の他の構成要素および関連する機能は、本明細書において提示される概念を不明瞭にしないように省略されている。
【0050】
図5は、コンピュータ読取可能記憶媒体530を含むコンピュータプログラム製品510の一例を示す。このコンピュータ読取可能記憶媒体530上には、コンピュータプログラム520が格納され得る。コンピュータプログラム520は、処理回路410と、通信インターフェイス420および記憶媒体430といった処理回路410に動作可能に結合されるエンティティおよびデバイスとに、本明細書に記載される実施形態に従ったプログラミングロジックの機能を実行させ得る。したがって、コンピュータプログラム520および/またはコンピュータプログラム製品510は、本明細書において開示されるデジタル回路遮断器コントローラ400のプログラミングロジックの機能を実行するための手段を提供し得る。
【0051】
図5の例では、コンピュータプログラム製品510は、CD(コンパクトディスク(compact disc))またはDVD(デジタル多用途ディスク(digital versatile disc))またはブルーレイ(登録商標)ディスクといった光学ディスクとして示されている。コンピュータプログラム製品510はさらに、ランダムアクセスメモリ(RAM: random access memory)、リードオンリメモリ(ROM: read-only memory)、消去可能プログラム可能リードオンリメモリ(EPROM: erasable programmable read-only memory)、または、電気的消去可能プログラム可能リードオンリメモリ(EEPROM: electrically erasable programmable programmable read-only memory)といったメモリとして具現化され得、より特定的には、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリといったフラッシュメモリのような外部メモリにおけるデバイスの不揮発性記憶媒体として具現化され得る。したがって、コンピュータプログラム520は、ここでは、示される光学ディスク上のトラックとして概略的に示されているが、コンピュータプログラム520は、コンピュータプログラム製品510に好適な任意の態様で格納され得る。
【0052】
いくつかの実施形態を参照して、主に発明の概念が上で記載された。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上で開示された実施形態以外の他の実施形態が、添付の請求の範囲によって定義される発明の概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
図5