(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】PLCの資産の切り替えを検出する方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221006BHJP
G05B 19/05 20060101ALI20221006BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20221006BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B19/05 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021078962
(22)【出願日】2021-05-07
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村中 延之
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097486(JP,A)
【文献】特開2018-012164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 19/05
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閾値期間内におけるPLCの停止及び再起動の検出に対して、
停止前の前記PLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後の前記PLCからの第2メトリクスを取得し、
前記第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、前記第2メトリクスから第2特徴量を抽出し、
前記第1特徴量と前記第2特徴量との差が
第1閾値を超えている場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信
し、
前記PLCの操作信号から、前記PLCに対応する系列データを取得し、
前記PLCに対応する前記系列データを切り替え検出モデルに入力して、切り替え可能性を表すスコアを取得し、
前記スコアが第2閾値を超えた場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を前記資産管理サーバに送信する、ことを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1特徴量は、複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記第2特徴量は、前記複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記差は、前記第1特徴量と前記第2特徴量との間における前記複数の異なる種類の特徴量にわたる複数の差、に基づき決定される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1特徴量は、複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記第2特徴量は、前記複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記差は、前記第1特徴量と前記第2特徴量との間の前記複数の異なる種類の特徴量にわたる差の予め設定されている閾値を超える数に基づいて、管理されているPLC毎に決定される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記資産の切り替えを示す通知の前の前記PLCに対応する前記系列データの一部に基づいて、前記切り替え検出モデルに、切り替えが発生したか否かについての指摘を使用して、強化学習を適用する、ことを含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記方法は、環境デバイスに接続された第1ネットワークと、前記PLC及び製造実行システム(MES)に接続された第2ネットワークと通信可能に接続されたサーバによって実行される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記方法は、前記PLCを管理するように構成されたスマートPLCによって実行される、方法。
【請求項7】
計算機システムに処理を実行させるプログラムであって、
前記処理は、
閾値期間内におけるPLCの停止及び再起動の検出に対して、
停止前の前記PLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後の前記PLCからの第2メトリクスを取得し、
前記第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、前記第2メトリクスから第2特徴量を抽出し、
前記第1特徴量と前記第2特徴量との差が第1閾値を超えている場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信し、
前記PLCの操作信号から、前記PLCに対応する系列データを取得し、
前記PLCに対応する前記系列データを切り替え検出モデルに入力して、切り替え可能性を表すスコアを取得し、
前記スコアが第2閾値を超えた場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を前記資産管理サーバに送信する、ことを含むプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムであって、
前記第1特徴量は、複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記第2特徴量は、前記複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記差は、前記第1特徴量と前記第2特徴量との間における前記複数の異なる種類の特徴量にわたる複数の差、に基づき決定される、プログラム。
【請求項9】
請求項7に記載のプログラムであって、
前記第1特徴量は、複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記第2特徴量は、前記複数の異なる種類の特徴量を含み、
前記差は、前記第1特徴量と前記第2特徴量との間の前記複数の異なる種類の特徴量にわたる差の予め設定されている閾値を超える数に基づいて、管理されているPLC毎に決定される、プログラム。
【請求項10】
請求項7に記載のプログラムであって、前記処理は、前記資産の切り替えを示す通知の前の前記PLCに対応する前記系列データの一部に基づいて、前記切り替え検出モデルに、切り替えが発生したか否かについての指摘を使用して、強化学習を適用することを含む、プログラム。
【請求項11】
請求項7に記載のプログラムであって、前記計算機システムは、環境デバイスに接続された第1ネットワークと、前記PLC及び製造実行システム(MES)に接続された第2ネットワークと通信可能に接続されたサーバである、プログラム。
【請求項12】
請求項7に記載のプログラムであって、前記計算機システムは、前記PLCを管理するように構成されたスマートPLCに含まれる、プログラム。
【請求項13】
閾値期間内におけるPLCの停止及び再起動の検出に対して、
停止前の前記PLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後の前記PLCからの第2メトリクスを取得する手段と、
前記第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、前記第2メトリクスから第2特徴量を抽出する手段と、
前記第1特徴量と前記第2特徴量との差が第1閾値を超えている場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信する手段と、
前記PLCの操作信号から、前記PLCに対応する系列データを取得する手段と、
前記PLCに対応する前記系列データを切り替え検出モデルに入力して、切り替え可能性を表すスコアを取得し、前記スコアが第2閾値を超えた場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を前記資産管理サーバに送信する手段と、を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造分野における切り替えを検出するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場にIoT(Internet of Thing)ソリューションを適用することによって、IT(情報技術)サーバが、PLC(Programmable Logic Controller)を介して、現場の製造機械の動作を表すデータを収集することができる。複数のPLCを含む多くの生産ラインは、多くの種類の製品を混合生産方式で製造する。製品の種類は、生産計画に応じて頻繁に変更される。製品の種類が変更されると、PLCは、MES(Manufacturing Execution System)やマニュアル操作から、異なる設定を取得する。PLCから取得されるデータに対応するメトリクスも、異なるものになり得る。このようなイベントを、「切り替え」と呼ぶ。さらに、製造現場の管理とITサーバの管理は互いにサイロ化されており、ITサーバの技術者は、切り替えの通知を取得できない。そのため、ITサーバ側で切り替えイベントを検出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様の方法は、閾値期間内におけるPLCの停止及び再起動の検出に対して、停止前の前記PLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後の前記PLCからの第2メトリクスを取得し、前記第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、前記第2メトリクスから第2特徴量を抽出し、前記第1特徴量と前記第2特徴量との差が閾値を超えている場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信する、ことを含む。
【0005】
本開示の一態様に係るプログラムは、計算機システムに処理を実行させ、前記処理は、閾値期間内におけるPLCの停止及び再起動の検出に対して、停止前の前記PLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後の前記PLCからの第2メトリクスを取得し、前記第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、前記第2メトリクスから第2特徴量を抽出し、前記第1特徴量と前記第2特徴量との差が閾値を超えている場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信する、ことを含む。
【0006】
本開示の一態様に係る装置は、閾値期間内におけるPLCの停止及び再起動の検出に対して、停止前の前記PLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後の前記PLCからの第2メトリクスを取得する手段と、前記第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、前記第2メトリクスから第2特徴量を抽出する手段と、前記第1特徴量と前記第2特徴量との差が閾値を超えている場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信する手段と、を含む。
【0007】
本開示の一態様に係るシステムは、プロセッサを含み、前記プロセッサは、閾値期間内におけるPLCの停止及び再起動の検出に対して、停止前の前記PLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後の前記PLCからの第2メトリクスを取得し、前記第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、前記第2メトリクスから第2特徴量を抽出し、前記第1特徴量と前記第2特徴量との差が閾値を超えている場合に、前記PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例に係る切り替え検出システムのシステム図を示す。
【
図2】実施例に係る、切り替え検出サーバにおけるデータフローを示す。
【
図4】実施例に係るデータストレージの一例を示す。
【
図5】実施例による最近のPLC稼働情報の一例を示す図である。
【
図6(a)】実施例に係る動作ベース切り替え検出部の一例のフローチャートを示す。
【
図6(b)】実施例に係る全ての値の特徴量抽出の一例を示す。
【
図8(a)】実施例に係る切り替え学習部の例のフローチャートを示す。
【
図8(b)】
図8(a)のフローのデータ抽出の例を示す。
【
図9】実施例に係る、信号監視ベースの切り替え検出部の例のフローチャートを示す。
【
図10】他の実施例に係る切り替え検出システムを模式的に示す。
【
図11】実施例での使用に適したコンピュータ装置例を備えた例示的なコンピューティング環境を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、本願の図及び実施例のさらなる詳細を提供する。図面間の冗長要素の参照番号及び説明は、明確にするために省略されている。説明全体で使用される用語は例として提供されており、限定することを意図したものではない。例えば、「自動」という用語の使用は、本願の実装を実施する当業者の所望の実装に応じて、実装の特定の側面に対するユーザまたは管理者の制御を伴う完全自動または半自動実装を含み得る。選択は、ユーザがユーザインターフェイスまたは他の入力手段を介して実行するか、目的のアルゴリズムを使用して実装できる。本明細書で説明される実施例は、単独でまたは組み合わせて利用することができ、実施例の機能は、所望の実装による任意の手段を通じて実装することができる。
【0010】
本明細書に記載されている例示的な実施例は、切り替え検出方法およびシステムに向けられている。
【0011】
図1は、実施例に係る切り替え検出システムのシステム図を示す。例示のシステムは、少なくとも1つの、製造現場システム100、資産(asset)管理サーバ170、ITサーバ160、及び切り替え検出サーバ180を含む。
【0012】
製造現場システム100は、ITネットワーク110、制御ネットワーク111、1以上の環境デバイス120、MES130、1以上のPLC140、141、142、及び1以上の資産150、151、152を含む。ITネットワーク110は、1以上の環境デバイス120、切り替え検出サーバ180、及びITサーバ160の間の通信を可能とする。制御ネットワーク111は、MES130、1以上のPLC140、141、142、1以上の資産150、151、152、切り替え検出サーバ180、及びITサーバ160の間の通信を可能とする。環境デバイス120は、1以上の、カメラ121、アンドン122、及びセンサ123等、様々なデバイスを含むことができる。
【0013】
ITサーバ160は、1以上のデータ取得部161、データストレージ162、及び1以上のソリューションアプリケーション163を含む。ITサーバ160は、制御ネットワーク111に接続されている。データ取得部161は、MES130およびPLC140-142からデータを取得し、取得したデータにメタデータを付して、付したデータをデータストレージ162に格納する。例えば、取得したデータが「0.71、0.69」であり、PLC-Aから取得したものである場合、データ取得部161は、「PLC-A、スクリュ#1トルク、0.71、スクリュ#2トルク、0.69」のような付記データを作成する。ソリューションアプリケーション163は、データストレージ162から付記データを読み出し、分析し、分析結果を製造管理者164に提供する。
【0014】
資産管理サーバ170は、資産管理部171と資産リポジトリ172とを含む。資産管理部171は、資産リポジトリ172に基づいて、データ取得部161の構成を提供する。その構成は、取得したデータにどのようにメタデータを付すかを示す。
【0015】
切り替え検出サーバ180は、動作ベース切り替え検出部181、操作信号追跡部187、切り替え学習部183、最近操作信号184、切り替え検出モデル185、信号監視ベース切り替え検出部186を含む。
【0016】
図2は、実施例に係る、切り替え検出サーバ180におけるデータフローを示す。実施例においては、201において、切り替え検出サーバ180は、環境デバイス120及びMES130から最近のPLC稼働情報182を取得する。同時に、202において、操作信号追跡部187は、1以上の操作信号を監視し、監視結果を最近操作信号184に格納する。
【0017】
次に、動作ベース切り替え検出部181は、取得したデータ201、資産リポジトリ172及びデータストレージ162を使用して、切り替えが発生したかどうかを評価する。動作ベース切り替え検出部181は、切り替えが発生した場合、資産管理部171及び切り替え学習部183に切り替え通知202を送信する。切り替え学習部183は、切り替え通知202と最近操作信号184を使用して学習処理を実行し、その結果を切り替え検出モデル185に反映する。
【0018】
信号監視ベース切り替え検出部186は、最近操作信号184と切り替え検出モデル185を使用して、切り替えが発生したか評価する。切り替えが発生した場合、信号監視ベース切り替え検出部186は、切り替え通知203を資産管理部171に送信する。
【0019】
図3は、実施例に係る資産リポジトリ172の一例を示す。301および302に示す生産モデル#1及び生産ライン#1は、310、311、及び312に示すPLC#1、#2、及び#3を、対応する製造機械320、321、及び322と関連付けている。
【0020】
図4は、実施例に係るデータストレージ162の一例を示す。データストレージ162は、データ取得部161がMES130及び1以上のPLC140-142から取得したデータを時系列で格納する。データは、データの日付401、送信元のPLC402、メトリック番号403、及びPLCから記録された値404を含むことができる。
【0021】
データストレージ162は、1以上のエントリ411-415を管理することができる。例えば、エントリ411は、「2019-11-05 10:36:01」の日付で、ソースPLC#1からであり、メトリック#1の値が0.765であることを示している。
【0022】
図5は、実施例による最近のPLC稼働情報の一例を示す図である。 最近のPLC稼働情報182は、環境デバイス120およびMES130から収集した情報を、一定期間(例えば1日)の間、時系列的に格納する。このような情報は、情報501の日付、PLC502の最新状態、PLCID503、情報504の発信元を含むことができる。
【0023】
最近PLC稼働情報182は、1以上のエントリ511-516を管理することができる。例えば、エントリ511は、日付「2019-11-05 10:37:01」に、PLC#3のIDを有するPLCが、ソース(パワーセンサ)がPLC#3が停止したことを示した後、状態を停止に変更したことを示している。PLC稼働情報により、様々なPLCの停止及び再起動を知ることができ、また、PLCが停止及び再起動した時間も知ることができる。
【0024】
図6(a)は、実施例に係る動作ベース切り替え検出部181の一例のフローチャートを示す。動作ベース切り替え検出部181は、最近PLC稼働情報182、資産リポジトリ172及びデータストレージ162のデータを使用して、切り替え通知203を生成し、送信する。切り替え通知203は、切り替えが発生した時刻、及び、1以上の資産リポジトリ172関連情報を含む。資産リポジトリ172関連情報は、例えば、301に示す生産モデル、302に示す生産ライン、310-312に示すPLC等である。
【0025】
フローは、600において起動される。601において、フローは、301で示される現在の生産IDに関連する310-312で示されるPLC系列を、資産リポジトリ172から取得する。602において、フローは、511-516で示され、601で取得されたPLC系列に関連するPLC稼働情報を、最近PLC稼働情報182から取得する。603において、PLC系列が短期間(例えば2分)内に停止し、その後、短期間(例えば2分)内に再起動されたか、判定される。そうでなければ(N)、フローは601に戻る。そうでなければ(Y)、切り替えが発生している可能性があるので、フローは604に進む。
【0026】
604において、フローは、603で評価された停止前の所定期間(例えば30分)内に601で取得された全てのPLC系列の全てのメトリクス403の全ての値404(以下、前値)と、603で評価された再起動後の所定期間(例えば30分)内の値(以下、後値)とを、データストレージ162から取得する。
【0027】
605において、フローは、604において取得された前値及び後値から、様々な種類の特徴量(例えば、平均、中央値、分散、偏差等)を抽出する。
【0028】
606において、フローは、前値及び後値からの特徴量の間で、微分(差)スコアを計算する。微分スコアの計算は、各特徴量の微分が大きいとより高いスコアを示す式を使用する。ここで、高微分スコアを有する特徴量が連続して現れるようにする。例えば、Π[全特徴量](f(特徴量の微分、連続する高微分スコアの数))や、所望の実装に適合する他の式を使用できる。別の計算式の候補は、各PLCの特徴量を使用し、高微分スコア(例えば、閾値を超える)を有する特徴量の数を考慮して、子スコアを計算し、それら子スコアに基づいて最終スコアを計算する。この実施例により、この数式は、少数のPLCに影響を与える部分的な切り替え含む状況を考慮している。
【0029】
607において、606において算出されたスコアが閾値よりも大きいか判定される。そうでない場合(N)、フローは601に進む。そうである場合(Y)、切り替えイベントが発生したと判定され、フローは608に進み、切り替え通知203が資産管理部171及び切り替え学習部183に送信される。
図6(b)は、実施例に係る全ての値の特徴量抽出の一例を示す。特徴量のグラフは、PLCから収集した各特徴量を示し、縦の点線の間の領域は、1つのPLCからの特徴量系列を示する。後値期間における特徴量の一部は、停止期間前の前値と明らかに異なる。このような特徴量抽出が、
図6(a)のフローにより実行される。
【0030】
図7は、実施例に係る最近操作信号184の一例を示す。最近操作信号184は、MES130とPLC140-142との間の所定期間(例えば1日)内の監視信号を、時系列的に格納する。
図7に示されるように、最近操作信号184は、日付701、操作信号702の送信元、操作信号703の送信先、及び操作信号704を含むことができる。
【0031】
最近操作信号184は、エントリ711-715を含むことができる。例えば、エントリ711は、日付「2019-11-05 9:36:01」において、MESが操作信号「038sadbalea3sdafge」を、PLC#3に送信したことを示す。
【0032】
図8(a)は、実施例に係る切り替え学習部183の例のフローチャートを示す。切り替え学習部183は、動作ベース切り替え検出部181から切り替え通知203を受け取り、切り替え通知203を最近操作信号184からの検索信号系列に対応させ、切り替え検出モデル185に再強化学習を適用する。切り替え検出モデル185は、1以上の逐次入力を受け付け、切り替え可能性を表す1つのスコアを出力する。例えば、リカレントニューラルネットワーク(RNN)や、その他のタイプの機械学習モデルを、所望の実装に応じて使用できる。RNNの例において、複数の連続した入力712、713、714を入力し、切り替え可能性を示す1から0のスコアの出力を提供できる。
【0033】
800において、フローが起動される。801において、フローは、動作ベース切り替え検出部181から切り替え通知203を受信する。802において、フローは、最近操作信号184を検索し、切り替えPLCと関連し、切り替えが連続して発生した時刻の直前に記録された1以上の信号を含む信号系列を取得する(例えば、5分以内に記録され、信号間隔が1分未満であり、切り替え前の最後の操作信号が含まれる)。803において、フローは、802で取得した信号系列を使用して、再強化学習を切り替え検出モデル185に適用する。
【0034】
図8(b)は、
図8(a)のフローの802でのデータ抽出の例を示す。
図8(b)の例では、10時41分45秒に切り替えが発生し、操作データのタイムスタンプに基づいて、
図8(b)に示す信号系列が得られる。再強化学習の例は、送信元702、送信先703、操作信号704を含む信号系列と、切り替えが行われたかを示す結果を使用し、学習モデルを強化する。
【0035】
図9は、実施例に係る、信号監視ベースの切り替え検出部186の例のフローチャートを示す。信号監視ベースの切り替え検出部186は、最近操作信号184を間欠的(例えば30分間隔)にスクレイピングし、1以上の信号系列を収集し、切り替え検出モデル185を使用してスコアを評価し、スコアが閾値を超えた場合に、切り替え通知203を資産管理部171に送信する。
【0036】
900において、フローが起動される。901において、フローは、最近操作信号184を検索し、連続して記録された(例えば、5分以内に記録され、信号間隔が1分未満の)1以上の信号を含む1以上の信号系列を検索する。902において、信号系列が存在するか判定される。そうである場合(Y)、フローは903に進み、そうでない場合(N)、フローは901に戻る。
【0037】
903-905において、901において取得された各信号系列を処理するための反復プロセスが開始される。903において、切り替え検出モデル185が使用され、各信号系列がそこに入力されて出力モデルスコアが決定される。904において、903からの出力モデルスコアが閾値を超えているか判定される。そうでない場合(N)、反復は次の信号系列に進み、そうである場合(Y)、フローは905に進み、切り替え通知203を資産管理部171に送信する。
【0038】
図10は、他の実施例に係る切り替え検出システムを模式的に示す。システム例において、1以上のスマートPLC1000が存在する。スマートPLC1000は、制御プログラム実行環境1010、ITコンテナ実行環境1020、共有メモリ1030、及び複数のネットワークインタフェース(IF)1041、1042、1043を含む。
【0039】
制御プログラム実行環境1010は、制御プログラム1011を含むことができる。制御プログラム1011は、少なくとも1つのアセット150-1、150-2を駆動し、制御ネットワーク111を介してMES130から操作信号を受信し、共有メモリ1030を介してMES130から資産の制御状態及び操作信号に関するデータを共有する。
【0040】
ITコンテナ実行環境1020は、切り替え検出プログラム1021、及びデータ取得プログラム1022を含む。切り替え検出プログラム1021は、
図1の切り替え検出サーバ180と同様の機能を含む。切り替え検出プログラム1021は、MES130から操作信号を取得し、共有メモリ1030を介して制御プログラム1011からPLC稼働情報を取得する。データ取得プログラム1022は、
図1のデータ取得部161と同様に、共有メモリ1030を介して、制御プログラム1011からPLC制御データを取得する。
【0041】
図11は、実施例での使用に適したコンピュータ装置例を備えた例示的なコンピューティング環境を示している。コンピュータ装置例は、環境デバイスに接続されたネットワークと、
図1に図示されているようにPLC及びMESに接続された別のネットワークに接続された切り替え検出サーバ、または、
図10に示されているように、PLCを管理するように構成されたスマートPLCなどがある。
【0042】
コンピューティング環境1100内のコンピュータ装置1105は、1以上の処理ユニット、コア、またはプロセッサ1110、メモリ1115(例えば、RAM、ROMなど)、内部ストレージ1120(例えば、磁気ストレージ、光学ストレージ、ソリッドステートストレージ及び/またはオーガニックストレージ)、及び/またはI/Oインターフェイス1125を含むことができる。これらのいずれのデバイスも、情報を通信するための通信機構またはバス1130に結合されるか、またはコンピュータ装置1105に埋め込まれ得る。I/Oインターフェイス1125は、所望の実装に応じて、カメラから画像を受信し、又は、プロジェクタ若しくはディスプレイに画像を提供するように構成され得る。
【0043】
コンピュータ装置1105は、入力/ユーザインターフェイス1135及び出力デバイス/インターフェイス1140に通信可能に結合され得る。入力/ユーザインターフェイス1135及び出力デバイス/インターフェイス1140のいずれか一方または両方は、有線または無線インターフェイスであってよく、取り外し可能であり得る。入力/ユーザインターフェイス1135には、入力を提供するために使用できる物理的または仮想的なデバイス、コンポーネント、センサ、またはインターフェイスが含まれる(たとえば、ボタン、タッチスクリーンインターフェイス、キーボード、ポインティング/カーソルコントロール、マイク、カメラ、点字、モーションセンサ、光学式リーダなど)。出力デバイス/インターフェイス1140は、ディスプレイ、テレビ、モニタ、プリンタ、スピーカ、点字などを含み得る。いくつかの実施例では、入力/ユーザインターフェイス1435及び出力デバイス/インターフェイス1140は、コンピュータ装置1105に埋め込むか、または物理的に結合することができる。タッチスクリーンディスプレイ、テレビディスプレイ、または他の任意の形態のディスプレイを含む実施例では、ディスプレイは、ユーザインターフェイスを提供するように構成されている。
【0044】
コンピュータ装置1105の例は、これらに限定されないが、特にモバイル性が高いデバイス(例えば、スマートフォン、車両及び他の機械内のデバイス、人間及び動物によって運ばれるデバイスなど)、モバイルデバイス(例えば、タブレット、ノートブック、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、ポータブルテレビ、ラジオなど)、及びモバイル向けに設計されていないデバイス(デスクトップコンピュータ、他のコンピュータ、情報キオスク、1以上のプロセッサが埋め込まれた、または結合されたテレビ、ラジオなど)が含まれ得る。
【0045】
コンピュータ装置1105は、(例えば、I/Oインターフェイス1125を介して)外部ストレージ1145及びネットワーク1150に通信可能に結合され、同一または異なる構成の1以上のコンピュータ装置を含む、多くのネットワーク化されたコンポーネント、デバイス、及びシステムと通信することができる。コンピュータ装置1105または任意の接続されたコンピュータ装置は、サーバ、クライアント、シンサーバ、汎用機械、専用機械、または別の名称で参照され、サービスを提供するように機能することができる。
【0046】
I/Oインターフェイス1125は、任意の通信またはI/Oプロトコルまたは標準(例えば、イーサネット、802.11x、ユニバーサルシステムバス、WiMax、モデム、携帯電話ネットワークプロトコルなど)、コンピューティング環境1100の少なくともすべての接続されたコンポーネント、デバイス、及びネットワークと情報をやり取りするための、有線及び/または無線インターフェイスを含むことができるが、これらに限定されない。ネットワーク1150は、任意のネットワークまたはネットワークの組み合わせであってよい(たとえば、インターネット、ローカルエリア、広域ネットワーク、電話ネットワーク、携帯電話ネットワーク、衛星ネットワークなど)。
【0047】
コンピュータ装置1105は、一過性媒体及び非一過性媒体を含むコンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体を、使用する、及び/または、使用して通信することができる。一過性媒体には、伝送媒体(金属ケーブル、光ファイバーなど)、信号、搬送波などが含まれる。非一過性の媒体には、磁気メディア(ディスクやテープなど)、光学メディア(CDROM、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスクなど)、ソリッドステートメディア(RAM、ROM、フラッシュメモリ、ソリッドステートストレージなど)、及びその他の不揮発性ストレージまたはメモリが含まれる。
【0048】
コンピュータ装置1105は、いくつかの例示的なコンピューティング環境において、技術、方法、アプリケーション、プロセス、またはコンピュータ実行可能命令を実装するために使用することができる。コンピュータで実行可能な命令は、一過性の媒体から取得し、非一過性の媒体に格納して取得できる。実行可能命令は、1以上の任意のプログラミング、スクリプト、及びマシン言語(C、C++、C#、Java(登録商標)、Visual Basic、Python、Perl、JavaScript(登録商標)など)から生成できる。
【0049】
プロセッサ1110は、ネイティブまたは仮想的な環境で、任意のオペレーティングシステム(OS)(図示せず)の下で実行することができる。論理ユニット1160、アプリケーションプログラミングインターフェイス(API)ユニット1165、入力ユニット1170、出力ユニット1175、及び、相互間で、OSと、そして他のアプリケーション(図示せず)と通信するための異なるユニット用のユニット間通信メカニズム1195を含む、1以上のアプリケーションを展開することができる。上記ユニット及び要素は、設計、機能、構成、または実装が異なる可能性があり、提供された説明に限定されない。プロセッサ1110は、メモリ1115からロードされた命令を実行するように構成された物理プロセッサまたは中央処理装置(CPU)の形態であり得る。
【0050】
いくつかの実施例では、情報または実行命令がAPIユニット1165によって受信されると、それは1以上の他のユニット(たとえば、論理ユニット1160、入力ユニット1170、出力ユニット1175)に通信され得る。いくつかの例では、論理ユニット1160は、ユニット間の情報フローを制御し、上記のいくつかの実施例においてAPIユニット1165、入力ユニット1170、出力ユニット1175によって提供されるサービスを指示するように構成され得る。たとえば、1以上のプロセスまたは実装のフローは、論理ユニット1160によって単独で、またはAPIユニット1165と連動して制御され得る。入力ユニット1170は、実施例で説明した計算のための入力を取得するように構成され得る。ユニット1175は、実施例で説明される計算に基づいて出力を提供するように構成され得る。
【0051】
プロセッサ1110は、
図6(a)に示すように、閾値期間内のPLCの停止及び再起動の検出に対して、停止前のPLCからの第1メトリクスを取得し、再起動後のPLCからの第2メトリクスを取得し、第1メトリクスから第1特徴量を抽出し、第2メトリクスから第2特徴量を抽出し、第1特徴量と第2特徴量の差が閾値を超えている場合、PLCの資産の切り替えを示す通知を資産管理サーバに送信するできる。
【0052】
図6(b)に示されるように、第1特徴量は、複数の異なる種類の特徴量を含むことができ、第2特徴量は、複数の異なる種類の特徴量を含むことができ、差は、所定期間にわたる第1特徴量と第2特徴量との間の複数の異なる種類の特徴量にわたる差に基づいて、決定される。また、所望の実装に応じて、
図6(a)および6(b)に示するように、第1特徴量と第2特徴量との間の複数の異なる種類の特徴量にわたる差の予め設定されている閾値を超える数に基づいて、管理されているPLC毎に、差を決定することができる。
【0053】
図7に示されるデータを使用して
図9に示されるように、1以上のプロセッサ1110は、PLCの操作信号から、PLCに対応する系列データを取得し、PLCの系列データに対して実行される切り替え検出モデルのスコアが、予め設定された閾値を超える場合に、PLCの資産の切り替えを示す通知を、資産管理サーバに送信してもよい。
【0054】
図8(a)に示されるように、1以上のプロセッサ1110は、資産の切り替えを示す通知の前のPLCに対応する系列データの一部に基づいて、切り替えが発生したか否かに関する指摘を使用して、切り替え検出モデルに強化学習を適用し、を行うように構成され得る。
【0055】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ内の動作のアルゴリズム及び記号的表現に関して提示されている。これらのアルゴリズム記述及び記号的表現は、データ処理技術の当業者が、その革新の本質を他の当業者に伝えるために使用する手段である。アルゴリズムは、目的の最終状態または結果に至る一連の定義済みステップでる。実施例では、実行されるステップは、具体的な結果を得るために具体的な量を物理的に操作する必要がある。
【0056】
議論から明らかなように、以下のことが理解される。説明全体を通して、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「表示」などの用語を利用する議論は、コンピュータシステムまたは他の情報処理装置の動作及び処理を含むことができる。これら装置は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、その他の情報ストレージ、送信または表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び変換する。
【0057】
実施例はまた、本明細書のオペレーションを実行するための装置に関連してもよい。この装置は、必要な目的のために特別に構築されてもよいし、1以上のコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される1以上の汎用コンピュータを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体またはコンピュータ可読信号媒体などのコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、限定ではないが、電子情報を保存するための、光ディスク、磁気ディスク、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、ソリッドステートデバイス及びドライブ、またはその他の適切な有形または非一過性の媒体などの有形媒体を含み得る。コンピュータ可読信号媒体には、搬送波などの媒体が含まれ得る。本明細書で提示されるアルゴリズム及び表示は、特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関連するものではない。コンピュータプログラムには、目的の実装のオペレーションを実行する命令を含む純粋なソフトウェア実装を含めることができる。
【0058】
本明細書の例に従って、様々な汎用システムをプログラム及びプログラムモジュールとともに使用することができ、または所望の方法ステップを実行するための専用の装置を構築することがより適切であることが判明する場合がある。さらに、実施例は、特定のプログラミング言語を参照して説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書で説明する実施例の教示を実装できることが理解される。プログラミング言語の命令は、1以上の処理デバイス、たとえば中央処理装置(CPU)、プロセッサ、またはコントローラによって実行されてよい。
【0059】
当技術分野で知られているように、上記オペレーションは、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェアとハードウェアの何らかの組み合わせによって実行することができる。実施例のさまざまな態様は、回路及び論理デバイス(ハードウェア)を使用して実装できるが、他の態様は、プロセッサによって実行されるとプロセッサに本願の実装を実行する方法を実行させる、機械可読媒体(ソフトウェア)に格納された命令を使用して実装できる。さらに、本願のいくつかの実施例は、ハードウェアのみで実行されてもよく、他の実施例は、ソフトウェアのみで実行されてもよい。さらに、説明されているさまざまな機能は、単一のユニットで実行することも、さまざまな方法で多数のコンポーネントに分散させることもできる。ソフトウェアによって実行される場合、これらの方法は、コンピュータ可読媒体に格納された命令に基づいて、汎用コンピュータなどのプロセッサによって実行され得る。必要に応じて、命令は圧縮及び/または暗号化された形式で媒体に保存できる。
【0060】
さらに、本願の他の実装は、本願の教示の仕様及び実施を考慮することにより、当業者には明らかであろう。説明した実施例の様々な態様及び/または構成要素は、単独でまたは任意の組み合わせで使用することができる。本明細書及び実施例は、例としてのみ考慮されることが意図されており、本願の真の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって示される。