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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021111656
(22)【出願日】2021-07-05
(62)【分割の表示】P 2020530841の分割
【原出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2021166305
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】千賀 章弘
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-162845(JP,A)
【文献】特開2000-196298(JP,A)
【文献】特開2012-049276(JP,A)
【文献】特開2004-356604(JP,A)
【文献】特開2003-097916(JP,A)
【文献】国際公開第2015/181898(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダセット部にセットされたテープフィーダが供給する部品を回路基板に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドと一体的に移動するように設けられ、前記回路基板の基板マークを撮像するマーク撮像用のカメラと、
前記マーク撮像用のカメラで撮像した画像を処理する画像処理装置と、
前記テープフィーダが供給する部品の上面に付された文字、記号、マーク(以下「認識対象」という)を斜め上方から照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置で斜め上方から照明された前記部品上面の認識対象をその上方から前記マーク撮像用のカメラで撮像し、その画像を前記画像処理装置で処理して前記認識対象を認識するように構成された部品実装機において、
前記照明装置は、前記実装ヘッドと一体的に移動するように設けられていると共に、前記実装ヘッドとは別に前記照明装置を移動又は旋回させる駆動部を備え、
前記駆動部は、前記マーク撮像用のカメラが前記部品上面の認識対象を撮像するときには前記照明装置を前記認識対象を斜め上方から照明する照明位置まで移動又は旋回させ、前記画像処理装置が前記部品上面の認識対象を認識できなかった場合には、前記照明装置の照明角度を変更して再び当該部品上面の認識対象を撮像して画像処理を行うように構成され、
前記照明装置と前記マーク撮像用のカメラとの位置関係は、前記フィーダセット部にセットされた前記テープフィーダに装填された部品供給テープのトップテープを剥離する位置からテープ送り方向に所定距離離れた位置を撮像位置としてその撮像位置の部品上面の認識対象を前記マーク撮像用のカメラで撮像するときに、前記照明装置が前記撮像位置よりもテープ送り方向側に位置して前記撮像位置の部品上面の認識対象をテープ送り方向側の斜め上方から照明するように構成されている、部品実装機。
【請求項2】
前記画像処理装置が前記部品上面の認識対象を認識できなかった場合には、前記照明装置の照明光の明るさを変更して再び当該部品上面の認識対象を撮像して画像処理を行うようにする、請求項1に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、テープフィーダ等の部品供給装置が供給する部品の上面に付された文字、記号、マーク(以下「認識対象」という)を認識する機能を備えた部品実装機に関する技術を開示したものである。
【背景技術】
【0002】
この種の部品実装機としては、特許文献1(特開2004-356604号公報)に記載されているように、部品を実装する回路基板の基板マークを撮像するマーク撮像用のカメラを使用して、テープフィーダ等の部品供給装置が供給する部品の上面の文字やマーク等の認識対象をその上方から撮像して、その画像を処理して部品上面の認識対象を認識するようにしたものがある。この場合、部品上面の認識対象を撮像する際の照明光源は、マーク撮像用のカメラに設けられたリング状の照明光源を用いるようにしている。
【0003】
しかしながら、この構成では、部品上面の文字等の認識対象に対する照明角度(照明光の光軸角度)が60°程度となり、部品上面の文字等の認識対象の認識に適した照明角度10°~45°よりも大きいため、部品上面の文字等の認識対象の認識が困難な場合がある。特に、部品上面の文字等の認識対象がレーザ等で刻印されている場合には、照明角度が大きいと、認識対象とその周囲の部品上面との輝度差がほとんどなく、全く文字等の認識対象を認識できない。
【0004】
そこで、特許文献2(特開2017-162845号公報)に記載されているように、マーク撮像用のカメラの照明ユニットをX方向両側に拡大して、基板マークの照明に使用する通常の照明光源の両外側に文字認識用の照明光源を配置し、部品上面の文字を認識する場合には、通常の照明光源の両外側に位置する文字認識用の照明光源で部品上面の文字を照明することで、部品上面の文字に対する照明角度を小さくして、部品上面の文字を撮像して認識するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-356604号公報
【文献】特開2017-162845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2の構成では、基板マークの照明に使用する通常の照明光源の両外側に文字認識用の照明光源が配置されているため、マーク撮像用のカメラの下側に取り付けられた照明ユニットがカメラの両外側に大きく張り出した構成となる。この場合、マーク撮像用のカメラは、実装ヘッドに取り付けられて両者が部品吸着・実装動作時に一体的に移動するため、部品吸着・実装動作時に実装ヘッドと一体的に移動するマーク撮像用のカメラの照明ユニットがその周囲に存在する物体や回路基板上の実装部品と干渉してこれらを損傷するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、フィーダセット部にセットされたテープフィーダが供給する部品を回路基板に実装する実装ヘッドと、前記実装ヘッドと一体的に移動するように設けられ、前記回路基板の基板マークを撮像するマーク撮像用のカメラと、前記マーク撮像用のカメラで撮像した画像を処理する画像処理装置と、前記テープフィーダが供給する部品の上面に付された文字、記号、マーク(以下「認識対象」という)を斜め上方から照明する照明装置と、を備え、前記照明装置で斜め上方から照明された前記部品上面の認識対象をその上方から前記マーク撮像用のカメラで撮像し、その画像を前記画像処理装置で処理して前記認識対象を認識するように構成された部品実装機において、前記照明装置は、前記実装ヘッドと一体的に移動するように設けられていると共に、前記実装ヘッドとは別に前記照明装置を移動又は旋回させる駆動部を備え、前記駆動部は、前記マーク撮像用のカメラが前記部品上面の認識対象を撮像するときには前記照明装置を前記認識対象を斜め上方から照明する照明位置まで移動又は旋回させ、前記画像処理装置が前記部品上面の認識対象を認識できなかった場合には、前記照明装置の照明角度を変更して再び当該部品上面の認識対象を撮像して画像処理を行うように構成され、更に、前記照明装置と前記マーク撮像用のカメラとの位置関係は、前記フィーダセット部にセットされた前記テープフィーダに装填された部品供給テープのトップテープを剥離する位置からテープ送り方向に所定距離離れた位置を撮像位置としてその撮像位置の部品上面の認識対象を前記マーク撮像用のカメラで撮像するときに、前記照明装置が前記撮像位置よりもテープ送り方向側に位置して前記撮像位置の部品上面の認識対象をテープ送り方向側の斜め上方から照明するように構成されている。
この構成では、部品供給テープを押えるテープ押えカバーのテープ送り方向側の端縁部の近くに撮像位置が位置しても、照明装置の照明光がテープ押えカバーで遮られずに撮像位置を照明することができる。
【0008】
この場合、前記画像処理装置が前記部品上面の認識対象を認識できなかった場合には、前記照明装置の照明光の明るさを変更して再び当該部品上面の認識対象を撮像して画像処理を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施例1の部品実装機の主要部の構成を示す側面図である。
図2図2は部品実装機の前面扉内側に取り付けた照明装置と撮像位置(照明範囲)を部品実装機の内側から見た部品実装機内部の破断斜視図である。
図3図3はテープフィーダの部品吸着位置と撮像位置との位置関係を示す上面図である。
図4図4は部品実装機の制御系の構成を示すブロック図である。
図5図5は実施例2の部品実装機の主要部の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書で開示する2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0011】
実施例1を図1乃至図4に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、部品実装機11の前面側に設けられたフィーダセット部12には、多数のテープフィーダ13(部品供給装置)が部品実装機11の前面側から着脱可能にセットされる。各テープフィーダ13には、部品供給テープ14(図3参照)を巻回したテープリール(図示せず)が装填されていると共に、そのテープリールから部品供給テープ14を引き出して部品供給位置へピッチ送りするテープ送り装置15が内蔵されている。このテープ送り装置15には、モータ16を駆動源とするスプロケット(図示せず)が設けられ、そのスプロケットの歯を部品供給テープ14の送り孔18(図3参照)に噛み合わせて該スプロケットを間欠的に回転させることで、部品供給テープ14をピッチ送りするようになっている。
【0012】
図3に示すように、各テープフィーダ13の上端部のうちの部品供給テープ14が通るテープ通路20には、部品供給位置へピッチ送りする部品供給テープ14の浮き上がりを押えるテープ押えカバー21が設けられている。このテープ押えカバー21のテープ送り方向側の端縁部21aは、部品吸着位置の手前に位置し、部品供給テープ14の上面から剥離したトップテープ17をテープ押えカバー21のテープ送り方向側の端縁部21aに引っ掛けてトップテープ剥離機構(図示せず)によってテープ送り方向とは反対方向に引き出すことで、部品吸着位置の手前で部品供給テープ14の上面からトップテープ17を引き剥がして当該部品供給テープ14内の部品19を露出させながら部品吸着位置へピッチ送りするようになっている。
【0013】
図1及び図2に示すように、部品実装機11のフィーダセット部12には、各テープフィーダ13の着脱時に各テープフィーダ13の上下方向の動きを規制して各テープフィーダ13の挿入/抜き出しを前後方向にガイドする上部ガイドフレーム22が設けられている。部品実装機11の前面側のうちの上部ガイドフレーム22の上方側の部分は、メンテナンス用の前面開口部23となり、この前面開口部23が前面扉24によって開閉される。
【0014】
部品実装機11の内部には、テープフィーダ13上端の部品吸着位置で部品供給テープ14内の部品19を吸着する吸着ノズル(図示せず)を交換可能に保持する実装ヘッド30と、この実装ヘッド30をXY方向(左右前後方向)に移動させるヘッド移動装置31(図4参照)と、実装ヘッド30の吸着ノズルに吸着した部品19を実装する回路基板(図示せず)を搬入/搬出するコンベア32(図4参照)等が設けられている。
【0015】
実装ヘッド30の取付フレーム30aには、回路基板の基板マーク(図示せず)をその上方から撮像するマーク撮像用のカメラ34が取り付けられ、実装ヘッド30とマーク撮像用のカメラ34がヘッド移動装置31によって一体的にXY方向に移動するようになっている。マーク撮像用のカメラ34には、回路基板の基板マークを撮像する際にその基板マークを上方から照明するリング状の基板マーク照明ユニット35と、基板マークの像をカメラ34の受光面に結像させるプリズム、レンズ等の光学系ユニット36とが設けられている。
【0016】
また、フィーダセット部12にセットしたテープフィーダ13とコンベア32との間には、実装ヘッド30の吸着ノズルに吸着した部品19をその下方から撮像する部品撮像用のカメラ37(図4参照)が上向きに設置されている。
【0017】
更に、本実施例1では、テープフィーダ13上端のテープ通路20を通る部品供給テープ14内の部品19の上面に付された文字、記号、マーク(以下「認識対象」という)をその斜め上方から照明する照明装置38が部品実装機11の前面扉24の内側に取り付けられている。この照明装置38は、多数のLED等の発光素子をフィーダセット部12上のテープフィーダ13の列に沿って配列して構成されている。図2に示すように、照明装置38は、フィーダセット部12にセットした全てのテープフィーダ13上端の後述する撮像位置を斜め上方からほぼ均一に照明できるようにフィーダセット部12の幅寸法とほぼ同じ幅寸法に構成されている。
【0018】
また、本実施例1では、照明装置38の高さ位置は、テープフィーダ13上端に位置する部品19上面の認識対象に対する照明角度(照明光の光軸角度)がほぼ15°となるように設定されている。一般的には、照明角度が10°~45°の範囲内、より好ましくは、10°~30°の範囲内に収まるように設定すれば良い。
【0019】
その他、部品実装機11には、図4に示すように、部品実装機11の各機能を制御する制御装置41と、この制御装置41が実行する各種プログラムや各種データが記憶された記憶装置42と、各種情報を表示する表示装置43と、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置44等が設けられている。
【0020】
部品実装機11の制御装置41は、1台又は複数台のコンピュータ(CPU)を主体に構成され、コンベア32で回路基板を搬入/搬出する動作を制御すると共に、テープフィーダ13がピッチ送りする部品供給テープ14内の部品19を実装ヘッド30の吸着ノズルで吸着して回路基板に実装する部品吸着・実装動作を制御する。
【0021】
更に、部品実装機11の制御装置41は、回路基板の基板マークをその上方からマーク撮像用のカメラ34で撮像する動作と、実装ヘッド30の吸着ノズルに吸着した部品19をその下方から部品撮像用のカメラ37で撮像する動作を制御すると共に、各カメラ34,37で撮像した画像を処理して認識対象を認識する画像処理装置としても機能する。
【0022】
本実施例1では、マーク撮像用のカメラ34は、回路基板の基板マークを撮像する他に、テープフィーダ13上端のテープ通路20に位置する部品供給テープ14内の部品19の上面に付された文字等の認識対象をその上方から撮像するカメラとしても使用される。このマーク撮像用のカメラ34で部品19上面の認識対象を撮像する際の照明光源として、マーク撮像用のカメラ34に設けられた基板マーク照明ユニット35を使用すると、部品19上面の認識対象に対する照明角度が60°程度となり、部品19上面の認識対象の認識に適した照明角度10°~45°よりも大きいため、部品19上面の認識対象の認識が困難な場合がある。
【0023】
そこで、本実施例1では、マーク撮像用のカメラ34で部品19上面の認識対象を撮像する際の照明光源として、部品実装機11の前面扉24の内側に取り付けた照明装置38を使用する。この照明装置38からテープフィーダ13上端に位置する部品19上面の認識対象を照明すると、部品19上面の認識対象に対する照明角度を10°~45°の範囲内、より好ましくは10°~30°の範囲内に収めることが可能となり、部品19上面の認識対象の認識精度を向上させることができる。
【0024】
ところで、部品供給テープ14内の部品19上面の認識対象を撮像する撮像位置は、部品供給テープ14の上面からトップテープ17が剥離されて部品19が露出している位置(テープ押えカバー21のテープ送り方向側の端縁部21aよりもテープ送り方向側の位置)である必要がある。更に、テープフィーダ13上端のテープ通路20を通る部品供給テープ14は、テープ押えカバー21によって浮き上がりを押えるようになっているため、撮像位置がトップテープ17の剥離位置(テープ押えカバー21のテープ送り方向側の端縁部21aの位置)に近すぎると、照明装置38の照明光がテープ押えカバー21で遮られて撮像位置を照明できない。
【0025】
そこで、本実施例1では、部品供給テープ14内の部品19上面の認識対象を撮像する撮像位置は、トップテープ17の剥離位置からテープ送り方向に所定距離離れた位置、つまり照明装置38から部品19上面の認識対象に向かって照射される照明光がテープ押えカバー21で遮られない位置に設定されている。
【0026】
部品供給テープ14内の部品19を吸着ノズルで吸着する部品吸着位置は、トップテープ17の剥離位置よりもテープ送り方向側に位置しているため、照明装置38からの照明光がテープ押えカバー21で遮られずに部品吸着位置を照明できれば、部品吸着位置をそのまま撮像位置としても良い。
【0027】
しかし、部品吸着位置は、テープ押えカバー21のテープ送り方向側の端縁部21aに近いため、部品19上面の認識対象に対する照明角度が小さい場合や、テープ押えカバー21の肉厚が厚い場合には、照明装置38からの照明光が部品吸着位置の手前でテープ押えカバー21で遮られて部品吸着位置を照明できない。このような場合は、撮像位置を部品吸着位置よりもテープ送り方向側に設定する必要がある。
【0028】
部品19上面の認識対象の認識は、テープフィーダ13に装填した部品供給テープ14の全ての部品19について行っても良いが、一般的には、テープフィーダ13に部品供給テープ14を装填する毎や、フィーダセット部12にテープフィーダ13をセットする毎、或は、生産切り替え毎(段取り替え毎)に1回行えば良い。
【0029】
また、撮像位置が部品吸着位置よりもテープ送り方向側に位置する場合には、部品実装機11の制御装置41は、テープフィーダ13に装填した部品供給テープ14の先頭の部品19を撮像位置へ送って当該撮像位置で当該部品19上面の認識対象を照明装置38で照明しながらマーク撮像用のカメラ34で撮像した後、当該部品供給テープ14の先頭の部品19を部品吸着位置に戻して当該部品19を吸着ノズルで吸着するように制御する。この際、撮像位置の部品19上面の認識対象に対する照明装置38の照明は、マーク撮像用のカメラ34で撮像するときのみ行えば良く、撮像終了後は照明装置38を消灯するようにすれば良い。
【0030】
尚、照明装置38は、その全ての発光領域を一括して点灯/消灯するようにしても良いし、複数の発光領域に分割して、各発光領域を独立して点灯/消灯できるように構成しても良い。後者の場合は、複数の発光領域の中から、照明する認識対象の位置(テープフィーダ13の位置)に近い1つ又は2つ以上の発光領域を選択して点灯するようにしても良い。要は、マーク撮像用のカメラ34で撮像する認識対象を均等に照明できれば良い。
【0031】
ところで、部品19のサイズ、部品19上面の認識対象の位置、認識対象の状態、部品19上面の材質等によって、部品19上面の認識対象の認識に最適な撮像位置が異なる場合がある。
【0032】
この点を考慮して、本実施例1では、部品供給テープ14内の部品19の種類毎に撮像位置のデータが生産ジョブ(生産プログラム)又は画像処理用の部品データに設定されている。画像処理用の部品データは、吸着ノズルに吸着した部品19の画像処理に使用する部品19の各部の寸法等を含むデータである。これにより、部品実装機11の制御装置41は、部品供給テープ14内の部品19上面の認識対象を認識する場合に、生産ジョブ又は画像処理用の部品データに設定されている部品19の種類毎の撮像位置で当該部品19上面の認識対象を撮像することで、当該部品19の種類に応じた最適な撮像位置で当該部品19上面の認識対象を認識することができる。
【0033】
また、部品実装機11の制御装置41は、部品19上面の認識対象を認識できなかった場合には、撮像位置を変更して部品供給テープ14の先頭の部品19を変更後の撮像位置へ送って当該変更後の撮像位置で再び当該部品19上面の認識対象を照明装置38で照明しながらマーク撮像用のカメラ34で撮像して画像処理を行うように制御する。このような再認識動作を部品19上面の認識対象の認識に成功するまで繰り返し、その繰り返し回数が所定回数に達しても、部品19上面の認識対象を認識できなかった場合には、何等かの異常が発生していると判断してエラー停止する。
【0034】
尚、部品19上面の認識対象を認識できなかった場合には、撮像位置を変更すると共に照明装置38の照明光の明るさを変更するようにしても良いし、撮像位置を変更せずに照明装置38の照明光の明るさのみを変更するようにしても良い。
【0035】
以上説明した本実施例1によれば、テープフィーダ13上端に位置する部品19上面の認識対象を斜め上方から照明する照明装置38は、部品実装機11の前面扉24に取り付けられているため、部品吸着・実装動作時に実装ヘッド30が移動しても、照明装置38は移動しない。このため、部品吸着・実装動作時に照明装置38がその周囲に存在する物体や回路基板上の実装部品と干渉することはない。しかも、前面扉24には、照明装置38を取付可能なスペースが多く存在するため、テープフィーダ13が供給する部品19の上面の認識対象に対する照明角度が適切な角度となる高さ位置に照明装置38を取り付けることができ、部品19上面の認識対象の認識に好適な照明を実現できる。
【実施例2】
【0036】
次に、図5を用いて実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同じ部分については同一符号を付して説明を省略又は簡略化して、主として異なる部分について説明する。
【0037】
前記実施例1では、部品19上面の認識対象を斜め上方から照明する照明装置38は、部品実装機11の前面扉24に取り付けられているが、図5に示す実施例2では、部品19上面の認識対象を斜め上方から照明する照明装置51は、マーク撮像用のカメラ34と共に実装ヘッド30の取付フレーム30aに組み付けられ、ヘッド移動装置31によって実装ヘッド30とマーク撮像用のカメラ34と照明装置51とが一体的にXY方向に移動するようになっている。
【0038】
照明装置51を旋回させる駆動部52は、実装ヘッド30の取付フレーム30aに取り付けられ、この駆動部52の下部側に旋回軸54を介して照明装置51が旋回可能に支持されている。駆動部52は、駆動源となるモータ53と、このモータ53の回転を照明装置51の旋回軸54に伝達するギア機構55とを備えた構成となっている。
【0039】
照明装置51は、テープフィーダ13上端の撮像位置に位置する部品19上面の認識対象を斜め上方から照明する照明位置(図5に実線で示す照明装置51の位置)と、実装ヘッド10が部品吸着・実装動作を行うときに照明装置51がその周囲に存在する物体や回路基板上の実装部品と干渉しない退避位置(図5に二点鎖線で示す照明装置51の位置)との間を旋回可能となっている。更に、本実施例2では、部品19上面の認識対象に対する照明装置51の照明角度(照明光の光軸角度)をモータ53によって調整する照明角度調整機能を備えている。
【0040】
本実施例2の照明装置51は、部品19上面の認識対象を撮像するマーク撮像用のカメラ34の撮像範囲をスポット的に均一に照明できる小型の照明光源であれば良く、全てのテープフィーダ13の認識対象を一括して照明できる大型の照明光源を用いる必要はない。
【0041】
更に、照明装置51とマーク撮像用のカメラ34との位置関係は、フィーダセット部12上のテープフィーダ13に装填された部品供給テープ14のトップテープ17を剥離する位置(テープ押えカバー21のテープ送り方向側の端縁部21aの位置)からテープ送り方向に所定距離離れた位置を撮像位置としてその撮像位置の部品19上面の認識対象をマーク撮像用のカメラ34で撮像するときに、照明装置51が撮像位置よりもテープ送り方向側に位置して撮像位置の部品19上面の認識対象をテープ送り方向側の斜め上方から照明するように構成されている。この構成では、撮像位置がテープ押えカバー21のテープ送り方向側の端縁部21aに近くても、照明装置51の照明光がテープ押えカバー21で遮られずに撮像位置を照明できる。従って、撮像位置は、部品吸着位置と同じ位置とすれば良い。撮像位置が部品吸着位置と同じ位置であれば、部品19上面の認識対象を認識するための部品供給テープ14のテープ送り/戻し動作を行う必要がなく、その分、部品19上面の認識対象の認識動作に必要な時間を短縮することができる。但し、撮像位置を部品吸着位置よりもテープ送り方向側の位置に設定しても良い。
【0042】
また、本実施例2では、マーク撮像用のカメラ34がテープフィーダ13上端に位置する部品19上面の認識対象を撮像するときに、照明装置51の高さ位置は、当該部品19上面の認識対象に対する照明角度(照明光の光軸角度)がほぼ15°となるように設定されているが、一般的には、照明角度が10°~45°の範囲内、より好ましくは、10°~30°の範囲内に収まるように設定すれば良い。
【0043】
部品実装機11の制御装置41は、テープフィーダ13の撮像位置の部品19上面の認識対象をマーク撮像用のカメラ34で撮像する場合は、ヘッド移動装置31によってマーク撮像用のカメラ34を当該部品19上面の認識対象の上方の位置まで移動させると共に、モータ53を正転させて照明装置51を照明位置まで旋回させて、当該照明装置51を点灯して当該部品19上面の認識対象を斜め上方から照明しながら、当該部品19上面の認識対象をマーク撮像用のカメラ34で撮像する。撮像終了後は、照明装置38を消灯すると共に、モータ53を逆転させて照明装置51を退避位置まで旋回させて、実装ヘッド10が部品吸着・実装動作を行うときに照明装置51がその周囲に存在する物体や回路基板上の実装部品と干渉しないようにする。
【0044】
更に、部品実装機11の制御装置41は、部品19上面の認識対象を認識できなかった場合には、照明装置51の照明角度を変更して再び当該部品19上面の認識対象を撮像して画像処理を行うようにする。このような再認識動作を部品19上面の認識対象の認識に成功するまで繰り返し、その繰り返し回数が所定回数に達しても、部品19上面の認識対象を認識できなかった場合には、何等かの異常が発生していると判断してエラー停止する。
【0045】
尚、部品19上面の認識対象を認識できなかった場合には、照明装置51の照明角度を変更すると共に照明装置38の照明光の明るさを変更するようにしても良いし、照明装置51の照明角度を変更せずに照明装置38の照明光の明るさのみを変更するようにしても良い。
以上説明した本実施例2においても、前記請求項1と同様の効果を得ることができる。
【0046】
尚、本実施例2では、照明装置51とマーク撮像用のカメラ34との位置関係は、マーク撮像用のカメラ34が撮像位置の部品19上面の認識対象を撮像するときに、照明装置51が撮像位置よりもテープ送り方向側に位置して撮像位置の部品19上面の認識対象をテープ送り方向側の斜め上方から照明するようにしたが、これとは異なる方向に照明装置51を配置して、異なる方向の斜め上方から部品19上面の認識対象を照明するようにしても良い。要は、部品19上面の認識対象に対する照明角度が10°~45°の範囲内となるように照明装置51を配置すれば良い。また、照明装置51の取付構造も変更しても良く、照明装置51は実装ヘッド30と一体的に移動するように設けられていれば良い。
【0047】
また、本実施例2では、照明装置51を照明位置と退避位置との間で旋回させるように構成したが、照明装置51を照明位置と退避位置との間で移動させるように構成しても良い。要は、実装ヘッド10が部品吸着・実装動作を行うときに照明装置51がその周囲に存在する物体や回路基板上の実装部品と干渉しない位置を退避位置として照明装置51を移動又は旋回させるようにすれば良い。
【0048】
尚、前記実施例1,2では、テープフィーダ13が供給する部品19の上面の認識対象を認識するようにしたが、テープフィーダ以外の部品供給装置(例えばトレイフィーダ、スティックフィーダ等)が供給する部品の上面の認識対象を認識するようにしても良い。
【0049】
その他、本発明は、前記実施例1,2に限定されず、例えば、マーク撮像用のカメラ34の構成を変更したり、或は、部品19上面の認識対象を撮像するカメラをマーク撮像用のカメラ34とは別に設けても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
11…部品実装機、12…フィーダセット部、13…テープフィーダ(部品供給装置)、14…部品供給テープ、15…テープ送り装置、17…トップテープ、19…部品、20…テープ通路、21…テープ押えカバー、23…前面開口部、24…前面扉、30…実装ヘッド、31…ヘッド移動装置、34…マーク撮像用のカメラ、35…基板マーク照明ユニット、38…照明装置、41…制御装置(画像処理装置)、51…照明装置、52…駆動部、53…モータ、55…ギア機構
図1
図2
図3
図4
図5