(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】化粧品濃縮乳化マトリックス及びその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20221006BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20221006BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/04
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/67
A61K8/86
A61K8/891
A61Q19/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132127
(22)【出願日】2021-08-16
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】202110104051.9
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520317240
【氏名又は名称】広東丸美生物技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫雲起
(72)【発明者】
【氏名】裴運林
(72)【発明者】
【氏名】▲ジョウ▼艶峰
(72)【発明者】
【氏名】佐佐木公夫
(72)【発明者】
【氏名】孫懐慶
(72)【発明者】
【氏名】胡露
(72)【発明者】
【氏名】郭朝万
(72)【発明者】
【氏名】蒲艶
(72)【発明者】
【氏名】王娟
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/099074(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/159154(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131845(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104666144(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0044920(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0142153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタンジオール20~30重量部、グリセリン16~20重量部、エリトリトール1~3重量部、ベヘニルアルコール3~7重量部、ステアリルアルコール1.5~3.5重量部、エステル油3~7重量部、炭化水素5~10重量部、PEG-60 3~7重量部、ステアリン酸グリセリル1.5~3.5重量部、ポリジメチルシロキサン3~7重量部及び酢酸トコフェロール0.3~0.7重量部を含む、ことを特徴とする化粧品濃縮乳化マトリックス。
【請求項2】
ブタンジオール23~27重量部、グリセリン17~19重量部、エリトリトール1~1.5重量部、ベヘニルアルコール4~6重量部、ステアリルアルコール2~3重量部、エステル油4~6重量部、炭化水素7~8重量部、PEG-60 4~6重量部、ステアリン酸グリセリル2~3重量部、ポリジメチルシロキサン4~6重量部及び酢酸トコフェロール0.4~0.6重量部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の化粧品濃縮乳化マトリックス。
【請求項3】
水をさらに含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧品濃縮乳化マトリックス。
【請求項4】
前記エステル油は、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸ミリスチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、炭酸ジカプリリル、ヤシ脂肪酸デシル又はパルミチン酸セチルのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧品濃縮乳化マトリックス。
【請求項5】
前記炭化水素は、スクアラン、イソドデカン又はイソヘキサデカンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧品濃縮乳化マトリックス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧品濃縮乳化マトリックスの調製方法であって、
ブタンジオール、グリセリン及びエリトリトールを混合して混合物Aを得て、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、エステル油、炭化水素、水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合して加熱し、混合物Bを得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた混合物Aを混合物Bと混合して加熱してから冷却し、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを得るステップ(2)とを含む、ことを特徴とする化粧品濃縮乳化マトリックスの調製方法。
【請求項7】
ステップ(1)に記載のブタンジオール、グリセリン及びエリトリトールを混合することは水と混合することをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の化粧品濃縮乳化マトリックスの調製方法。
【請求項8】
ステップ(1)において、温度が83~87℃となるまで加熱し、
好ましくは、ステップ(2)において、温度が83~87℃となるまで加熱する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の化粧品濃縮乳化マトリックスの調製方法。
【請求項9】
ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール及び水を混合して混合物Aを得て、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、エステル油、炭化水素、水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合して83~87℃まで加熱し、混合物Bを得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた混合物Aを混合物Bと混合して83~87℃まで加熱してから冷却し、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを得るステップ(2)とを含む、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の化粧品濃縮乳化マトリックスの調製方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧品濃縮乳化マトリックスの化粧品の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品の分野に属し、具体的には、化粧品濃縮乳化マトリックス及びその調製方法と使用に関し、特にエモリエント効果を有する化粧品濃縮乳化マトリックス及びその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、化粧品の開発は、製品計画に基づいてそれぞれの処方と製造方法を決定し、且つそれに基づいて量産のデバイスを選択し、製造基準を決定する。現在、化粧品業界は大きく2種類に分かれている。1種は少数のカテゴリで量産されるクリーン・ケア化粧品(シャンプー、シャワージェルなど)であり、もう1種は多数のカテゴリで少量生産される化粧品(スキンケア製品、カラーメイクなど)である。多数のカテゴリで少量生産とは異なり、少数のカテゴリで量産の場合、一般的に全自動デバイスの製造を前提として処方と調製方法を開発し、多数のカテゴリで少量生産される製品は一般的に高価レベルにあり、且つ製品の要求が多様性を有するため、開発段階でコンセプト成分の選択とマトリックス処方の多様性を考慮してから設計処方を形成可能であり、その後、デバイスの選択などを考慮し、開発期間が比較的長い。また、カテゴリの数が多く、剤形が異なることが多いため、量産に必要なデバイスと製造時間も増加する。したがって、一般的な剤形(化粧水、乳液など)に適した高い汎用性を有するマトリックス処方を独自に開発してから、希釈して使用することは、処方設計及び量産の効率の向上に寄与する。
【0003】
CN111991268Aは、皮膚修復効果を有する化粧品マトリックスを開示しており、その成分は、オリゴペプチド-3 1~5重量部、トリペプチド-1 1~5重量部、マンニトール10~20重量部、トレハロース10~20重量部、デキストラン10~20重量部、助剤15~25重量部、残部の水を含み、この発明は、さらに上記した化粧品マトリックスの調製方法に関し、この発明は、また皮膚修復効果を有する化粧品に関し、この発明に係る皮膚修復効果を有する化粧品マトリックスは皮膚修復効果を有し、且つ化粧水、乳液、クリームなどの異なる化粧品に調製可能である。
【0004】
CN112006939Aは、肌の色を明るくする効果を有する化粧品マトリックスを開示しており、その成分は、ニコチンアミド1~5重量部、グルタチオン1~5重量部、デキストラン15~25重量部、マンニトール15~25重量部、トレハロース15~25重量部、助剤10~20重量部、残部の水を含み、この発明は、さらに上記した化粧品マトリックスの調製方法に関し、この発明は、また肌の色を明るくする効果を有する化粧品に関し、この発明に係る肌の色を明るくする効果を有する化粧品マトリックスは、肌に損傷を与えることなく、肌の色を明るくする効果を有し、さらに化粧水、乳液、クリームなどの異なる化粧品に調製可能である。
【0005】
現在、製品要求の多様性により、化粧品の開発期間が長いという問題を引き起こす。そのため、高い汎用性を有し、処方設計及び量産の効率を向上させる化粧品マトリックスを提供することは緊急の課題となっている。
【発明の概要】
【0006】
従来の技術の不足について、本発明の目的は、化粧品濃縮乳化マトリックス及びその調製方法と使用を提供し、特にエモリエント効果を有する化粧品濃縮乳化マトリックス及びその調製方法と使用を提供することにある。本発明に係る化粧品濃縮乳化マトリックスは、汎用性が高く、調製された化粧品は、エモリエント効果が良好で安定性がよく、処方設計及び量産の効率を向上させる。
【0007】
本発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術案を講じた。
第1の態様では、本発明は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、前記化粧品濃縮乳化マトリックスは、ブタンジオール20~30重量部、グリセリン16~20重量部、エリトリトール1~3重量部、ベヘニルアルコール3~7重量部、ステアリルアルコール1.5~3.5重量部、エステル油3~7重量部、炭化水素5~10重量部、PEG-60(水添ヒマシ油)3~7重量部、ステアリン酸グリセリル1.5~3.5重量部、ポリジメチルシロキサン3~7重量部及び酢酸トコフェロール0.3~0.7重量部を含む。
【0008】
そのうち、ブタンジオールの重量部の数は20重量部、21重量部、22重量部、23重量部、24重量部、25重量部、26重量部、27重量部、28重量部、29重量部又は30重量部などであってもよく、グリセリンの重量部の数は16重量部、17重量部、18重量部、19重量部又は20重量部などであってもよく、エリトリトールの重量部の数は1重量部、1.5重量部、2重量部、2.5重量部又は3重量部などであってもよく、ベヘニルアルコールの重量部の数は3重量部、3.5重量部、4重量部、4.5重量部、5重量部、5.5重量部、6重量部、6.5重量部又は7重量部などであってもよく、ステアリルアルコールの重量部の数は1.5重量部、2重量部、2.5重量部、3重量部又は3.5重量部などであってもよく、エステル油の重量部の数は3重量部、3.5重量部、4重量部、4.5重量部、5重量部、5.5重量部、6重量部、6.5重量部又は7重量部などであってもよく、炭化水素の重量部の数は5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部又は10重量部などであってもよく、PEG-60の重量部の数は3重量部、3.5重量部、4重量部、4.5重量部、5重量部、5.5重量部、6重量部、6.5重量部又は7重量部などであってもよく、ステアリン酸グリセリルの重量部の数は1.5重量部、2重量部、2.5重量部、3重量部又は3.5重量部などであってもよく、ポリジメチルシロキサンの重量部の数は3重量部、3.5重量部、4重量部、4.5重量部、5重量部、5.5重量部、6重量部、6.5重量部又は7重量部などであってもよく、酢酸トコフェロールの重量部の数は0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部又は0.7重量部などであってもよいが、以上に挙げられた数値に限定されず、上記数値の範囲内の他の挙げられていない数値も同様に適用可能である。
【0009】
上記特定の成分とその配合比の化粧品濃縮乳化マトリックスは、グリセリン、エステル油、PEG-60及びポリジメチルシロキサンを選択して複合調製することにより、顕著なエモリエント効果を果たし、化粧品乳化マトリックスの一般的な処方として汎用性が高く、処方設計及び量産の効率を向上させ、同時に、化粧品を調製する前に前記化粧品濃縮乳化マトリックスを調製することにより、化粧品原料の一部を事前に混合し、調製された化粧品の安定性を向上させることができる。
【0010】
グリセリンはグリセロールとも呼ばれ、柔軟剤、保湿剤、メイク落とし剤及び潤滑剤として使用できる。グリセリンは吸水効果を有し、保湿系スキンケア製品では、空気中の水分子を吸着して、覆われている角質層をしっとりと保持するように使用されることが多い。
【0011】
PEG-60は、化粧品で溶剤、O/Wイオン性乳化剤及び界面活性剤として使用され、その成分を製品に添加すると滑らかな感が得られる。
【0012】
ポリジメチルシロキサンはジメチコンとも呼ばれ、潤滑性能、光沢、抗紫外線輻射性能、帯電防止性能、通気性がよく、芳香保持期間が長く、安定性が高く、化学的不活性であり、化粧品の他の成分に、特に活性成分にいずれの不良影響を与えず、整合性がよく、且つ無毒・無臭・無味であり、皮膚に刺激とアレルギーを起こさず、安全性が高い。
【0013】
好ましくは、前記化粧品濃縮乳化マトリックスは、ブタンジオール23~27重量部、グリセリン17~19重量部、エリトリトール1~1.5重量部、ベヘニルアルコール4~6重量部、ステアリルアルコール2~3重量部、エステル油4~6重量部、炭化水素7~8重量部、PEG-60 4~6重量部、ステアリン酸グリセリル2~3重量部、ポリジメチルシロキサン4~6重量部及び酢酸トコフェロール0.4~0.6重量部を含む。
【0014】
好ましくは、前記化粧品濃縮乳化マトリックスは水をさらに含む。
【0015】
好ましくは、前記エステル油は、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸ミリスチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、炭酸ジカプリリル、ヤシ脂肪酸デシル又はパルミチン酸セチルのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せを含み、例えば、ステアリン酸グリセリルとミリスチン酸ミリスチル的組合せ、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルと炭酸ジカプリリルの組合せ、又はパルミチン酸エチルヘキシルと炭酸ジカプリリルの組合せなどを含むが、以上に挙げられた組合せに限定されず、上記組合せ範囲内の他の挙げられていない組合せも同様に適用可能である。
【0016】
好ましくは、前記炭化水素は、スクアラン、イソドデカン又はイソヘキサデカンのいずれか1種又は少なくとも2種の組合せを含み、例えば、スクアランとイソドデカンの組合せ、イソドデカンとイソヘキサデカンの組合せ、又はスクアランとイソヘキサデカンの組合せなどを含むが、以上に挙げられた組合せに限定されず、上記組合せ範囲内の他の挙げられていない組合せも同様に適用可能である。
【0017】
第2の態様では、本発明は上記した化粧品濃縮乳化マトリックスの調製方法を提供しており、前記調製方法は、
ブタンジオール、グリセリン及びエリトリトールを混合して混合物Aを得て、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、エステル油、炭化水素、水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合して加熱し、混合物Bを得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた混合物Aを混合物Bと混合して加熱してから冷却し、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを得るステップ(2)とを含む。
【0018】
上記調製方法は操作が簡単で容易であり、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを迅速且つ効率的に調製することができる。
【0019】
好ましくは、ステップ(1)に記載のブタンジオール、グリセリン及びエリトリトールを混合することは水と混合することをさらに含む。
【0020】
好ましくは、ステップ(1)において、温度が83~87℃となるまで加熱する。
【0021】
好ましくは、ステップ(2)において、温度が83~87℃となるまで加熱する。
【0022】
そのうち、ステップ(1)において、温度が83℃、84℃、85℃、86℃又は87℃などとなるまで加熱してもよく、ステップ(2)において、温度が83℃、84℃、85℃、86℃又は87℃などとなるまで加熱してもよいが、以上に挙げられた数値に限定されず、上記数値の範囲内の他の挙げられていない数値も同様に適用可能である。
【0023】
本発明の好ましい技術案として、前記調製方法は、
ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール及び水を混合して混合物Aを得て、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、エステル油、炭化水素、水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合して83~87℃まで加熱し、混合物Bを得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた混合物Aを混合物Bと混合して83~87℃まで加熱してから冷却し、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを得るステップ(2)とを含む。
【0024】
第3の態様では、本発明は上記した化粧品濃縮乳化マトリックスの化粧品の調製における使用をさらに提供する。
【0025】
従来の技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明は特定の組合せとその配合比の原料を選択して調製することにより、化粧品濃縮乳化マトリックスを得て、グリセリン、エステル油、PEG-60及びポリジメチルシロキサンを選択して複合調製することにより、顕著なエモリエント効果を果たし、化粧品乳化マトリックスの一般的な処方として汎用性が高く、処方設計及び量産の効率を向上させ、同時に、化粧品を調製する前に前記化粧品濃縮乳化マトリックスを調製することにより、化粧品原料の一部を事前に混合し、調製された化粧品の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明で採用される技術的手段及びその効果をさらに説明するために、本発明の好ましい実施例を参照して本発明の技術案をさらに説明するが、本発明は実施例の範囲内に限定されるものではない。
【0027】
以下の実施例、比較例及び使用例において、ポリジメチルシロキサンはダウコーニング社から購入し、型番はBELSIL(登録商標) DM 350であり、
アクリル酸(アルキル)類/C10-30アルカノールアクリレート架橋重合体はLubrizol社から購入、型番はCARBOPOL(登録商標) ULTREZ 21 POLYMERであった。
【0028】
以下の使用例及び比較使用例において、濃縮化粧水マトリックスの供給源は、出願人が本願の同日に出願した「濃縮化粧水マトリックス及びその製造方法と使用」という特許出願を参照し、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0029】
【0030】
実施例1
本実施例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0031】
【0032】
調製方法は次のとおりであった。
(1)ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール及び水を混合して混合物Aを得て、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、エステル油、炭化水素、水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合して85℃まで加熱し、混合物Bを得て、
(2)ステップ(1)で得られた混合物Aを混合物Bと混合して85℃まで加熱してから冷却し、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを得た。
【0033】
実施例2
本実施例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0034】
【0035】
調製方法は次のとおりであった。
(1)ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール及び水を混合して混合物Aを得て、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、エステル油、炭化水素、水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合して83℃まで加熱し、混合物Bを得て、
(2)ステップ(1)で得られた混合物Aを混合物Bと混合して83℃まで加熱してから冷却し、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを得た。
【0036】
実施例3
本実施例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0037】
【0038】
調製方法は次のとおりであった。
(1)ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール及び水を混合して混合物Aを得て、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、エステル油、炭化水素、水添ヒマシ油、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合して87℃まで加熱し、混合物Bを得て、
(2)ステップ(1)で得られた混合物Aを混合物Bと混合して87℃まで加熱してから冷却し、前記化粧品濃縮乳化マトリックスを得た。
【0039】
実施例4
本実施例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0040】
【0041】
調製方法は実施例1と一致した。
【0042】
実施例5
本実施例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0043】
【0044】
調製方法は実施例1と一致した。
【0045】
比較例1
本比較例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0046】
【0047】
調製方法は実施例1と一致した。
【0048】
比較例2
本比較例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0049】
【0050】
調製方法は実施例1と一致した。
【0051】
比較例3
本比較例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分にグリセリンを含まず、減少される部分を比率でトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、PEG-60及びポリジメチルシロキサンに割り当てることに加えて、他は実施例1と一致した。
調製方法は実施例1を参照した。
【0052】
比較例4
本比較例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分にトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含まず、減少される部分を比率でグリセリン、PEG-60及びポリジメチルシロキサンに割り当てることに加えて、他は実施例1と一致した。
調製方法は実施例1を参照した。
【0053】
比較例5
本比較例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分にPEG-60を含まず、減少される部分を比率でトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、グリセリン及びポリジメチルシロキサンに割り当てることに加えて、他は実施例1と一致した。
調製方法は実施例1を参照した。
【0054】
比較例6
本比較例は化粧品濃縮乳化マトリックスを提供しており、その成分にポリジメチルシロキサンを含まず、減少される部分を比率でトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、PEG-60及びグリセリンに割り当てることに加えて、他は実施例1と一致した。
調製方法は実施例1を参照した。
【0055】
使用例1
本使用例はクリームを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0056】
【0057】
調製方法は次のとおりであった。
(1)カルボマー、アクリル酸(アルキル)類/C10-30アルカノールアクリレート架橋重合体及び水を混合して攪拌して混合物Aを得て、
(2)ステップ(1)で得られた混合物Aを濃縮化粧水マトリックスと混合して攪拌して混合物Bを得て、
(3)ステップ(2)で得られた混合物Bと実施例1に係る化粧品濃縮乳化マトリックスをそれぞれ85℃まで加熱してから、混合して乳化まで攪拌し、攪拌し続けて45℃以下まで冷却し、アミノメチルプロパノールを加え、15分間攪拌して前記クリームを得た。
【0058】
使用例2~5
使用例2~5はそれぞれクリームを提供しており、それらの成分に実施例1に係る化粧品濃縮乳化マトリックスをそれぞれ等量の実施例2~5に係る化粧品濃縮乳化マトリックスに置き換えることに加えて、他は使用例1と一致した。
調製方法は使用例1を参照した。
【0059】
比較使用例1~6
比較使用例1~6はそれぞれクリームを提供しており、それらの成分に実施例1に係る化粧品濃縮乳化マトリックスをそれぞれ等量の比較例1~6に係る化粧品濃縮乳化マトリックスに置き換えることに加えて、他は使用例1と一致した。
調製方法は使用例1を参照した。
【0060】
比較使用例7
本比較使用例はクリームを提供しており、その成分及び配合比は次のとおりであった。
【0061】
【0062】
調製方法は次のとおりであった。
(1)カルボマー、アクリル酸(アルキル)類/C10-30アルカノールアクリレート架橋重合体及び一部の水を混合して攪拌して混合物Aを得て、
(2)ステップ(1)で得られた混合物A、ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール、濃縮化粧水マトリックスを残った水と混合して攪拌して混合物Bを得て、
(3)ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、スクアラン、PEG-60、ステアリン酸グリセリル、ポリジメチルシロキサン及び酢酸トコフェロールを混合し、85℃まで加熱して溶解させ、混合物Cを得て、
(4)ステップ(2)で得られた混合物Bとステップ(3)で得られた混合物Cを85℃まで加熱してから、混合して乳化まで攪拌し、攪拌し続けて45℃以下まで冷却し、アミノメチルプロパノールを加え、15分間攪拌して前記クリームを得た。
【0063】
エモリエント効果のテストについて
1、テストサンプルと対象
(1)テストサンプル:使用例1~5に係るクリーム及び比較使用例1~6に係るクリーム。
(2)対象の選択基準:20~45歳の肌が正常な中国人成人女性40人を選択し、急性皮膚炎症又は他の皮膚疾患のあるもの、アレルギー体質又は化粧品アレルギーの既往歴のあるもの、妊娠中又は授乳中のものを除外した。
(3)テスト部位:腕の内側。
【0064】
2、テスト環境
温度:22℃11℃、湿度:50%±5%、光が均一な恒温恒湿環境。テストの前に、被験者はこの環境で20分間静かに座っている必要があった。
【0065】
3、テスト方法
テスト方法はT/GDCA 1-2020「化粧品の官能評価に関する一般原則」を参照した。テストサンプル1gを取り、腕の内側の半径2cmの円形領域内に塗布し、テストサンプルの質感、明るさ、広がり性、潤い感、厚み、滑らかさ、吸収性などの指標をそれぞれ採点し、その記録結果は次の表のとおりであった。
【0066】
【0067】
以上のデータから、グリセリン、エステル油、PEG-60及びポリジメチルシロキサンの複合調製により、本発明に係る化粧品濃縮乳化マトリックスで調製された化粧品は、顕著なエモリエント効果を有することが分かり、本発明の好ましい範囲内でエモリエント効果がさらに向上する。
【0068】
安定性テストについて
使用例1及び比較使用例7のクリームサンプルをそれぞれ下記の条件で6ヶ月間放置し、製品の品質、色、香りの変化を観察し、その結果を記録した。
条件1(耐熱性):45℃恒温インキュベーター
条件2(耐寒性):-18℃の冷蔵庫
条件3(サイクル):高温・低温交互インキュベーター(7日サイクル)
高高温・低温交互インキュベーター(7日サイクル)
条件4(日差し):日差し/紫外線気候インキュベーター
【0069】
使用例1の安定性テスト結果は次の表のとおりであった。
【0070】
【0071】
比較使用例7の安定性テスト結果は次の表のとおりであった。
【0072】
【0073】
以上のデータから、本発明に係る化粧品濃縮乳化マトリックスで調製された化粧品は、初期原料で調製された化粧品よりも高い安定性を有することが分かった。
【0074】
本発明は上記実施例によって本発明の化粧品濃縮乳化マトリックス及びその調整方法と使用を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、即ち、本発明は上記実施例によって実施しなければならないものではないと出願人は声明する。当業者にとって、本発明に対するいずれの改良、本発明の製品の各原料への等価置換及び補助成分の添加、具体の実施形態の選択などはいずれも本発明の保護範囲及び開示範囲に入ることが明瞭である。
【0075】
上記は本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上記の実施形態の具体的な詳細に限定されず、本発明の技術思想の範囲内で、様々な簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更はすべて、本発明の保護範囲に属する。
【0076】
なお、上記の具体の実施形態に記載されたそれぞれの具体的な技術の特徴は、矛盾しない場合、任意の適切な方法で組み合わせることができ、不必要な繰り返しを避けるために、本発明では様々な可能な組み合わせを個別に説明しない。