(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】触覚提示用パネル、触覚提示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 495
(21)【出願番号】P 2021148847
(22)【出願日】2021-09-13
(62)【分割の表示】P 2016125802の分割
【原出願日】2016-06-24
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】519380923
【氏名又は名称】天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】杉本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 浩史
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/127270(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307789(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2000885(EP,A1)
【文献】特表2013-511082(JP,A)
【文献】特開2001-283643(JP,A)
【文献】特開2013-152714(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344119(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上に1枚の平板状に設けられた駆動電極と、
前記支持基板上に設けられ、前記駆動電極を覆う第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に配置され、互いに電気的に独立した複数個の浮遊電極と、
前記複数個の浮遊電極を覆う第2の絶縁膜と
を有し、
前記浮遊電極は導体により形成され、
前記駆動電極と前記浮遊電極との間に形成されるコンデンサの静電容量のインピーダンスは、人体に流れる電流が最小感知電流より小さくなるように設定される
触覚提示用パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の触覚提示用パネルにおいて、
個々の前記浮遊電極は矩形形状であり、複数個の前記浮遊電極が前記第1の絶縁膜上に2次元アレイ状に配列されている
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の触覚提示用パネルにおいて、
前記浮遊電極の面積は9mm
2 以下である
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【請求項4】
請求項1に記載の触覚提示用パネルにおいて、
個々の前記浮遊電極は導電性粒子であり、複数個の前記浮遊電極は前記第2の絶縁膜により覆われている
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【請求項5】
請求項4に記載の触覚提示用パネルにおいて、
前記第2の絶縁膜と複数個の前記浮遊電極とはアンチグレア層を構成する
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の触覚提示用パネルにおいて、
前記駆動電極と複数個の前記浮遊電極とはいずれも透明電極である
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の触覚提示用パネルにおいて、
前記第1の絶縁膜はSiO
2 、SiN、ダイヤモンドライクカーボンのうちのいずれかで構成される
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の触覚提示用パネルにおいて、
前記第2の絶縁膜はSiO
2 、SiN、ダイヤモンドライクカーボンのうちのいずれかで構成される
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の触覚提示用パネルと
前記駆動電極に接続され、触覚を提示するための電圧信号を前記駆動電極に供給する信号電源と
を有する触覚提示装置。
【請求項10】
備えられたプロセッサによる処理結果を表示し、当該処理結果に対応する操作入力を受け付けるタッチパネル式表示装置と、
前記処理結果の表示に対応したテクスチャ感を提示する請求項9に記載の触覚提示装置と
を有する電子機器。
【請求項11】
支持基板と、
前記支持基板上に設けられた複数の駆動電極と、
前記支持基板上に設けられ、前記複数の駆動電極を覆う第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に配置され、互いに電気的に独立した複数の浮遊電極と、
前記複数の浮遊電極を覆う第2の絶縁膜と、
前記複数の駆動電極に接続され、触覚を提示するために前記複数の駆動電極に電圧信号を供給する信号電源と
を有し、
前記複数の浮遊電極は、前記複数の駆動電極が存在しない層に設けられており、前記第2の絶縁膜側から平面視した場合、前記複数の駆動電極により画定される領域に収まるように配置される
ことを特徴とする触覚提示用パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚提示用パネル、触覚提示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、タッチパネルを搭載する情報装置が数多く存在する。タッチパネルは、人体(例えば指)による操作位置を直接検出して入力に用いることができ、利用者の使い勝手の向上に有効である。現在では、利用者に触知覚、圧覚又は振動感覚(以下「触覚」という。)を提示できる技術を採用したタッチパネルも存在する。この触覚として物体表面のテクスチャ感を提示するには、例えばパネル表面に発生される静電気力が使用される。ここでの静電気力は、絶縁膜を挟んで対向する電極と人体との間に形成される容量結合を通じて発生される。
【0003】
この種の技術には、特許文献1に記載される触覚提示装置がある。この触覚提示装置は、下層側から人体が触れる上層側に順番に、信号電圧が直接印加される導電体、絶縁層、半導体層、表面絶縁層を積層した構成を有し、半導体層と人体との間に形成された容量結合を通じて利用者に触覚を知覚させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2014/0266648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、触覚の提示に用いられるパネルの表面には、使用中に傷が付くことがあり、その傷が深さ方向に成長して電極に到達する可能性もある。更には、その傷の内側に例えば、水等といった導電性の異物が侵入する可能性もある。特許文献1の例であれば、表面絶縁層の表面から半導体層にまで達した傷に、導電性の異物が進入する可能性がある。
【0006】
しかし、傷の深さやその内部の状態は、表面側からの目視では認識が難しい。このため、傷の進行したパネルを利用者が使用する可能性がある。この状態のパネルが使用されると、利用者が傷の部分に触れた際に、電極に蓄積されている電荷が異物を通じて人体に漏れ出してしまう。このとき流れる電荷を以下では「漏れ電流」という。
【0007】
仮に漏れ電流が流れても、その大きさが十分小さければ、人体への影響はない。しかし、特許文献1に記載の触覚提示装置には、当該電流を低減する必要性や仕組みは示されていない。例えば半導体層には、導電体との間で形成されるコンデンサの静電容量の大きさに比例した電荷が蓄積されることになるが、静電容量の大きさは半導体層の面積に比例する。ところで、特許文献1に記載の触覚提示装置で用いられる半導体層の面積は、利用者が操作する操作領域の大きさとほぼ同じである。このため、半導体層と導電体との間で形成されるコンデンサの静電容量の大きさは大きな値にならざるを得ず、漏れ電流の大きさを抑制することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は、操作面に形成された傷を通じて人体に漏れ電流が流れることがあっても、その大きさを抑制することができる触覚提示用パネル、触覚提示装置および電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る触覚提示用パネルは、支持基板と、前記支持基板上に1枚の平板状に設けられた駆動電極と、前記支持基板上に設けられ、前記駆動電極を覆う第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に配置され、互いに電気的に独立した複数個の浮遊電極と、前記複数個の浮遊電極を覆う第2の絶縁膜とを有し、前記浮遊電極は導体により形成され、前記駆動電極と前記浮遊電極との間に形成されるコンデンサの静電容量のインピーダンスは、人体に流れる電流が最小感知電流より小さくなるように設定される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作面に形成された傷を通じて人体に漏れ電流が流れることがあっても、その大きさを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1に係る触覚提示装置の概略構成を示す断面図である(
図2のI-Iの位置に対応)。
【
図2】浮遊電極の配置例を表面側の絶縁膜の側から平面視した図である。
【
図3】浮遊電極に達する傷に導電性の異物が侵入した状態での使用を模式的に説明する図である。
【
図4】異物が最も多くの浮遊電極と接する場合の位置関係を示す図である。
【
図5A】シミュレーションに使用した比較例1の断面構造を示す図である。
【
図5B】シミュレーションに使用した実施例1の断面構造を示す図である。
【
図6】人体と浮遊電極との実施例1に係る接触モデルを説明する透視斜視図である。
【
図7A】人体の状態毎に得られたシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図7B】人体が乾燥指である場合のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図8】実施例2に係る触覚提示装置の概略構成を示す断面図である(
図9のVIII-VIIIの位置に対応)。
【
図9】実施例2に係る駆動電極の構成例を表面側の絶縁膜の側から平面視した図である。
【
図10】
図9に符号Xで示す駆動電極の一部分を拡大して示す図である。
【
図11】実施例2に係る菱形電極と浮遊電極との対応関係を説明する透視斜視図である。
【
図12】浮遊電極に達する傷に導電性の異物が侵入した状態での使用状態を模式的に説明する図である。
【
図13】異物が最も多くの浮遊電極と接する場合の位置関係を示す図である。
【
図14A】シミュレーションに使用した比較例2の断面構造を示す図である。
【
図14B】シミュレーションに使用した実施例2の断面構造を示す図である。
【
図15A】人体の状態毎に得られたシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図15B】人体が乾燥指である場合のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図16】実施例3に係る駆動電極の概略構成を示す断面図である。
【
図17】実施例4に係る駆動電極の概略構成を示す断面図である。
【
図18】触覚提示装置を搭載する電子機器の外観例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。言うまでもなく、後述する実施の形態は、発明の範囲に属する一例に過ぎない。
【0013】
(実施例1)
図1に、実施例1に係る触覚提示装置1の概略構成を示す。触覚提示装置1は、触覚提
示用パネル2と信号電源3で構成される。触覚提示用パネル2は、信号電源3から印加される駆動信号、例えば電圧信号により駆動され、パネル表面を操作領域として使用する利用者に触覚を知覚させることができる。本実施例では、触覚提示用パネル2に対して信号電源3が外部接続された構成を想定する。もっとも、信号電源3は、触覚提示用パネル2と一体でも良い。
【0014】
触覚提示用パネル2は、支持基板11と、駆動電極12と、第1の絶縁膜13と、浮遊電極14と、第2の絶縁膜15によって構成される。支持基板11の上面には、下層側から人体が触れる上層側に、駆動電極12、第1の絶縁膜13、浮遊電極14、第2の絶縁膜15が順番に積層される。各部材には後述する既知の材料を使用する。もっとも、触覚提示装置1を透過して文字、画像、映像その他の情報を視認する必要がある場合には、触覚提示用パネル2を構成する各部材は透明な材料であることが求められる。触覚提示装置1を透過して情報を視認する必要がない場合には、触覚提示用パネル2を構成する各部材は不透明な材料であっても良い。
【0015】
駆動電極12は、支持基板11とほぼ同じ面積を有する単一の電極である。第1の絶縁膜13は、支持基板11の上面に設けられ、駆動電極12の表面全体を覆うように配置される。本実施例の場合、第1の絶縁膜13としてアクリル樹脂を使用する。本実施例の場合、第1の絶縁膜13の膜厚D1は5μmである。勿論、この数値は一例である。
【0016】
図2は、第2の絶縁膜15の側から浮遊電極14を平面視した図である。第1の絶縁膜13の上面には、互いに電気的に独立した複数個の浮遊電極14が配置される。本実施例の場合、複数個の浮遊電極14は、
図2に示すように、2次元アレイ状に配置される。勿論、
図2に示す浮遊電極14の配置は一例である。
図1に示すように、個々の浮遊電極14は、対向する駆動電極12とコンデンサを形成し、駆動電極12との容量結合によって電圧が誘起される。各浮遊電極14と駆動電極12とが形成するコンデンサの静電容量は、浮遊電極14の面積によって決まる。
【0017】
本実施例の場合、
図2に示すように、複数個の浮遊電極14は、いずれも同形状かつ同面積を有している。もっとも、各浮遊電極14の形状は同一である必要は無く、面積も異なっていても良い。なお、本実施例では、第2の絶縁膜15に生じる傷の形状が、直径3mmの概略円筒形状であると想定する。
【0018】
この場合に、傷が収まる最小の浮遊電極14の形状は、1辺が3mmの正方形である。そこで、本実施例では、浮遊電極14の形状を1辺が3mmの正方形とする。この場合、浮遊電極14の面積は9mm2 となる。勿論、浮遊電極14の個々の形状や面積は一例であり、想定する傷の形状や寸法に応じて定めれば良い。本実施例の場合、隣接する浮遊電極14は、互いに0.5mmの隙間を挟んで平面的に配列される。
【0019】
図1に示すように、複数個の浮遊電極14の上面には、これらを覆う第2の絶縁膜15が配置される。第2の絶縁膜15は、利用者が直接触れる操作面でもあり、人体4と浮遊電極14との接触を防いでいる。本実施例の場合、第2の絶縁膜15には例えばアクリル樹脂を使用する。また、第2の絶縁膜15の膜厚D2は5μmである。勿論、この数値は一例である。本実施例の場合、第1の絶縁膜13の膜厚D1と第2の絶縁膜15の膜厚D2とは同じである。もっとも、第2の絶縁膜15の膜厚D2は、第1の絶縁膜13の膜厚D1と同じである必要はない。
【0020】
続いて、本実施例に係る触覚提示装置1の使用例について説明する。第2の絶縁膜15に傷が無い場合、または、傷があっても浮遊電極14に達していない場合、人体4の一部が第2の絶縁膜15に触れると、当該接触位置について第2の絶縁膜15を挟んで対向す
る1つ又は複数個の浮遊電極14と人体4との間にコンデンサが形成され、浮遊電極14に誘起されている電圧の大きさに応じた静電気力が人体4に作用する。
【0021】
本実施例の場合、駆動電極12には信号周波数として100Hzが印加されている。この信号周波数は、利用者が触覚を知覚できる範囲(5~500Hz)を満たしている(特開2015-97076号公報を参照)。従って、この静電気力の変化を利用者は触覚として知覚することができる。
【0022】
図3に、第2の絶縁膜15に浮遊電極14に達する傷が生じ、その内側に水などの導電性の異物20が進入した状態を示す。前述したように、本実施例では、直径3mmの略円筒形状を有する傷が形成されているものと仮定する。この場合、異物20は、
図4に示すように、最大で4個の浮遊電極14と電気的に接触する。図中、a及びbは浮遊電極14の各辺の長さであり、cは異物20の直径である。この実施例の場合、a、b及びcはいずれも3mmである。この際、人体4が異物20に触れると、4個分の浮遊電極14の総面積(36mm
2 )に相当するコンデンサに蓄積されている電荷が漏れ電流Iとして人体4に流れる。ただし、この漏れ電流Iは、36mm
2 相当の面積を有する電極に蓄積されている電荷量と同等であり、漏れ電流Iに対する対策が施されていない触覚提示装置に比べると格段に小さく済む。
【0023】
以下では、本実施例に係る触覚提示装置1で流れ得る漏れ電流と、対策の無い触覚提示装置で流れ得る漏れ電流との大きさの違いをシミュレーションした結果について説明する。まず、
図5Aおよび
図5Bに、シミュレーションに使用したモデルの構造例を示す。
図5Aは、漏れ電流に対する対策が施されていない比較例1の断面構造であり、
図5Bは本実施例の断面構造である。なお、
図5Bに示す断面構造は、
図6に示す構造に相当する。ここで、
図6は、触覚提示装置1を斜め上方から透視した図である。
【0024】
図5Aおよび
図5Bにおいて、第1の絶縁膜13の厚さD1と第2の絶縁膜15の厚さD2とはいずれも5μmである。傷は直径が3mmの円筒形状であり、この内側に異物20が進入した状態を想定している。人体4のインピーダンスはZで表している。なお、真空の誘電率ε
0 を8.85×10
-12 F・m
-1とし、各絶縁膜の比誘電率εを3.0とする。
図5Aの場合、150V、100Hzの駆動信号が駆動電極12に印加される。一方、
図5Bの場合、184V、100Hzの駆動信号が駆動電極12に印加される。
【0025】
本実施例における浮遊電極14は、前述したように1辺が3mmの正方形である。このため、
図5Bに示す本実施例の場合、異物20は、
図6に示したように、最大で4つの浮遊電極14に接触する。従って、人体4が異物20を通じて接触する電極の最大の面積は36mm
2 となる。一方、
図5Aに示す比較例1の場合、指が異物20を通じて接触する面積は、駆動電極12の全面積となる。
【0026】
なお、本実施例と比較例1とは、絶縁膜の膜厚が異なる。このため、本実施例と比較例1を同じ大きさの信号電圧で駆動すると、パネル表面で知覚される触覚の強さに差が生じてしまう。そこで、このシミュレーションでは、本実施例の信号電圧として184Vを印加し、パネル表面で知覚される触覚の強さを比較例1と揃えている。
【0027】
図7A及び
図7Bは、シミュレーション結果を示している。
図7Bは、
図7Aの一部を拡大した図である。本シミュレーションは、[1]パネル表面に接触する人体4の一部が乾燥していて且つGNDに接触していない場合、[2]人体4の一部が乾燥していて且つGNDに接触している場合、[3]人体4の全身が水で濡れていて且つGNDに接触している場合の3つのパターンについて実施した。図中、白抜きの棒グラフは漏れ電流の低減化策が施されていない触覚提示用パネル(比較例1)についての漏れ電流I1の大きさを
示し、網掛けで示す棒グラフは漏れ電流の低減化策を施した触覚提示用パネル(実施例1)についての漏れ電流I2の大きさを示す。なお、人が感知可能な電流値を、「最小感知電流」という。最小感知電流は、一般には、
図7Aにおいて破線で示すように1mAとされる(「感電の基礎と過去30年間の死亡災害の統計」、独立行政法人 労働安全衛生総合研究所、2009、第14頁、1.2.1節)。
【0028】
パネル表面に接触する人体の一部が乾燥していて且つGNDに接触している[2]の場合、
図7Aに示すように、漏れ電流の低減化対策が施されていない比較例1における漏れ電流I1の大きさは2.53mAであったのに対し、漏れ電流低減化策を施した本実施例における漏れ電流I2の大きさは22.1μAに減少した。全身が水で濡れていて且つGNDに接触している[3]の場合も、比較例1における漏れ電流I1の大きさは300mAであったのに対し、本実施例における漏れ電流I2の大きさは22.1μAに減少した。乾燥指の場合には、
図7Bの拡大図に示すように、比較例1における漏れ電流I1の大きさは9.42μAであったのに対し、本実施例における漏れ電流I2の大きさは7.60μAに減少した。
【0029】
図7A及び
図7Bより明らかなように、[1]~[3]のいずれの場合も、本実施例の触覚提示装置1の漏れ電流I2は、比較例1の漏れ電流I1に比して小さくなっている。しかも、漏れ電流I2の大きさは、最小感知電流よりも格段に小さい。特に、[2]および[3]の場合においては、比較例1に対応する漏れ電流I1が最小感知電流を超えていたのに対し、本実施例に対応する漏れ電流I2は大幅に低減され、最小感知電流を下回る結果となった。このシミュレーション結果によれば、本実施例で提案する構造を採用した触覚提示装置1を用いることにより、第2の絶縁膜15に傷が付いてその傷の内部に導電性の異物20が進入したとしても、安全な水準まで漏れ電流を低減することができ、利用者は漏れ電流を感知せずに済む。
【0030】
(実施例2)
図8に、実施例2に係る触覚提示装置101の概略構成を示す。
図8には、
図1との対応部分に同一符号を付して示す。
図8は、後述する
図9のVIII-VIIIの位置における断面構成を表している。触覚提示装置101の基本構成は、実施例1に係る触覚提示装置1と同様である。相違部分は、触覚提示用パネル102を構成する駆動電極112が複数個の電極に分割されている点である。
【0031】
図9に、本実施例で使用する駆動電極112の平面視構造を示す。駆動電極112は、支持基板11上の第1の方向(X方向)に延長する複数本のX電極112Aと、同じく支持基板11上の第2の方向(Y方向)に延長する複数本のY電極112Bとで構成される。複数本のX電極112Aは不図示のX電極駆動回路に接続され、複数本のY電極112Bは不図示のY電極駆動回路に接続されている。
【0032】
図10は、
図9の符号Xで表す部分を拡大した図である。1本のX電極112Aは、複数個の菱形電極114Aを、それぞれ接続部113を介して数珠状に連結した形状を有している。他方、1本のY電極112Bは、複数個の菱形電極114Bを、接続部113を介して数珠状に連結した形状を有している。本実施例の場合、菱形電極114AのY方向の寸法dは1668μmであり、X方向の寸法eは1692μmである。菱形電極114Bについても同様である。
【0033】
X電極112AとY電極112Bとは各接続部113においてのみ重なり、且つ、菱形電極114Aと114Bとが同一面上で隙間を挟んで隣り合う形状となっている。すなわち、菱形電極114Aと114Bが重なる部分は無い。なお、X電極112AとY電極112Bとは、各接続部113において間に絶縁膜を介して交差しており、両者の電気的な
絶縁が保たれている。
【0034】
本実施例に係る触覚提示装置101において、X電極駆動回路は、150V、1000HzでX電極112Aを駆動し、Y電極駆動回路は、150V、1240HzでY電極112Bを駆動する。このように、X電極112A及びY電極112Bのそれぞれに異なる信号周波数の信号電圧を印加するのは、うなりの現象を利用して触覚を提示するためである。そのため、各浮遊電極14と人体4との間には、菱形電極114Aに起因する静電気力と菱形電極114Bに起因する静電気力との両方がそれぞれ作用する必要がある。
【0035】
そこで、本実施例では、
図10に示すように、X電極112AとY電極112Bとが平面視上での重なる部分である接続部113の面積を可能な限り小さくしている。これにより、X電極112A及びY電極112Bに交流電圧信号を印加した際の負荷容量が小さく済む。その結果、触覚提示装置101の大型化や空間解像度の向上が可能となり、電極同士の容量結合によって発生し得る不要な電圧の誘起も抑制することができる。
【0036】
本実施例における浮遊電極14は、平面視で、菱形電極114A及び114Bのそれぞれと同じ形状を有している。また、
図11に示すように、上層の浮遊電極14と、下層の菱形電極114A及び114Bとは一対一で対向し、コンデンサを形成するように配置される。すなわち、浮遊電極14は、各菱形電極114A及び114Bの真上に配置される。さらに、菱形電極114A及び114Bのそれぞれと各浮遊電極14とは、平面視で位置ずれないように配置されることが望ましい。
【0037】
菱形電極114A及び114Bのそれぞれと各浮遊電極14とが一対一で対応付けられることにより、X電極112AとY電極112Bとに印加される電圧信号の両方に起因する静電気力を無駄なく各浮遊電極14と人体4との間に作用させることができる。また、触覚を提示するための駆動信号を印加した菱形電極114A及び114Bの位置と、パネル表面において触覚が提示される位置とを一致させることができる。これにより、触覚の解像度を落とさずに済む。もっとも、菱形電極114A及び114Bのそれぞれと浮遊電極14との位置関係は、製造上許される範囲でズレが認められる。勿論、本実施例の場合も、浮遊電極14どうしは、電気的に分離されている。
【0038】
続いて、本実施例に係る触覚提示装置101の使用例について説明する。第2の絶縁膜15に傷が無い場合、または、傷があっても浮遊電極14に達していない場合、人体4の一部が第2の絶縁膜15に触れると、当該接触位置について第2の絶縁膜15を挟んで対向する1つ又は複数個の浮遊電極14と人体4との間にコンデンサが形成され、浮遊電極14に誘起されている電圧の大きさに応じた静電気力が利用者に作用する。
【0039】
前述したように、X電極112Aに印加される信号周波数とY電極112Bに印加される信号周波数は共に500Hz以上であり、2つの信号周波数の差分の絶対値は240Hzである。この駆動条件は、利用者がテクスチャ感を知覚できる条件(2つの信号周波数が500Hz以上、かつ、2つの信号周波数の差分の絶対値が10Hzより大きく1000Hz未満)を満たしている(特開2015-97076号公報を参照)。従って、この静電気力の変化を利用者はテクスチャ感として知覚することができる。
【0040】
図12に、第2の絶縁膜15に浮遊電極14に達する傷が生じ、その内側に水等の導電性の異物20が進入した状態を示す。ここでも、直径3mmの略円筒形状を有する傷が形成されているものと仮定する。この実施例の場合、異物20は、
図13に示すように、最大で14個の浮遊電極14と電気的に接触する。
図13では、接触する浮遊電極14を網掛けで示している。勿論、接触位置によっては、その個数は少なくなる。
【0041】
人体4が異物20に触れると、浮遊電極14の14個分の総面積(19.7mm2 )に相当するコンデンサに蓄積されている電荷が漏れ電流Iとして人体4に流れる。しかし、ここでの漏れ電流Iの大きさは、19.7mm2 相当の面積を有する電極に蓄積されている電荷量と同等であり、漏れ電流に対する対策が施されていない触覚提示装置に比べると格段に小さく済む。
【0042】
以下では、本実施例に係る触覚提示装置101で流れ得る漏れ電流と、対策の無い触覚提示装置で流れ得る漏れ電流の大きさの違いをシミュレーションした結果について説明する。
図14A及び
図14Bに、シミュレーションに使用したモデルの構造例を示す。
図14Aは、漏れ電流に対する対策が施されていない比較例2の断面構造であり、
図14Bは本実施例の断面構造である。
【0043】
図14A及び
図14Bにおいて、第1の絶縁膜13の厚さD1と第2の絶縁膜15の厚さD2とはいずれも5μmである。傷は直径が3mmの円筒形状であり、この内側に異物20が進入した状態を想定している。人体のインピーダンスはZで表している。真空の誘電率ε
0 を8.85×10
-12 F・m
-1とし、絶縁膜の比誘電率εを3.0とする。
図14Aの場合、150V、1240Hzの駆動信号が駆動電極112に印加される。一方、
図14Bの場合、184V、1240Hzの駆動信号が駆動電極112に印加される。
【0044】
また、実施例における浮遊電極14は、Y方向の寸法が1668μm、X方向の寸法が1692μmの菱形形状であるものとする。本実施例と比較例2は絶縁膜の膜厚が異なるため、これらを同じ大きさの信号電圧で駆動すると、パネル表面で知覚される触覚の強さに差が生じてしまう。そこで、このシミュレーションでは、本実施例の信号電圧として184Vを印加し、パネル表面で知覚される触覚の強さを比較例2と揃えている。なお、周波数の増加と共にインピーダンスZが低くなるため、漏れ電流I2は流れ易くなる。このため、本シミュレーションでは、X電極112Aの駆動に用いられる1000HzとY電極112Bの駆動に用いられる1240Hzとのうち周波数の高い1240Hzを用いている。1240Hzの場合に安全であれば、より電流の流れ難い1000Hzで駆動しても安全だからである。
【0045】
図15A及び
図15Bは、シミュレーション結果を示している。
図15Bは、
図15Aの一部を拡大した図である。本シミュレーションも、
図7Aの場合と同じく、[1]パネル表面に接触する人体4の一部が乾燥していて且つGNDに接触していない場合、[2]人体4の一部が乾燥していて且つGNDに接触している場合、[3]人体4の全身が水で濡れていて且つGNDに接触している場合の3つのパターンについて実施した。図中、白抜きの棒グラフは漏れ電流の低減化策が施されていない触覚提示用パネル(比較例2)についての漏れ電流I1の大きさを示し、網掛けで示す棒グラフは漏れ電流の低減化策を施した触覚提示用パネル(実施例2)についての漏れ電流I2の大きさを示す。
【0046】
最小感知電流は、
図15Aにおいて破線で示すように1mAとされる。パネル表面に接触する人体の一部が乾燥していて且つGNDに接触している[2]の場合、漏れ電流低減化策を施していない比較例2における漏れ電流I1の大きさは6.36mAであったのに対し、漏れ電流低減化策を施した本実施例における漏れ電流I2の大きさは148μAに減少した。全身が水で濡れていて且つGNDに接触している[3]の場合も、比較例2における漏れ電流I1の大きさは300mAであったのに対し、本実施例における漏れ電流I2の大きさは150μAに減少した。乾燥指の場合には、
図15Bの拡大図に示すように、比較例2における漏れ電流I1の大きさは117μAであったのに対し、本実施例における漏れ電流I2の大きさは73.4μAに減少した。
【0047】
図15A及び
図15Bより明らかなように、[1]~[3]のいずれの場合も、本実施
例の触覚提示装置1の漏れ電流I2は、比較例2の漏れ電流I1に比して小さくなっている。しかも、漏れ電流I2の大きさは、最小感知電流よりも格段に小さい。特に、[2]及び[3]の場合においては、比較例2に対応する漏れ電流I1が最小感知電流を超えていたのに対し、本実施例に対応する漏れ電流I2は大幅に低減され、最小感知電流を下回る結果となった。このシミュレーション結果によれば、本実施例で提案する構造を採用した触覚提示装置101を用いることにより、第2の絶縁膜15に傷が付いてその傷の内部に導電性の異物20が進入したとしても、安全な水準まで漏れ電流を低減することができ、利用者は漏れ電流を感知せずに済む。
【0048】
(実施例3)
図16に、実施例3に係る触覚提示装置201の概略構成を示す。
図16には、
図8との対応部分に同一符号を付して示す。触覚提示装置201の基本構成は、実施例2に係る触覚提示装置101と同様である。相違部分は、触覚提示用パネル202を構成する駆動電極212と第1の絶縁膜213とが以下の構成を有する点である。
(a)駆動電極212
駆動電極212を構成する菱形電極114A及び114Bの面積を実施例2における菱形電極114A及び114Bの面積の5分の1とする。
(b)第1の絶縁膜213
第1の絶縁膜213の膜厚D11を実施例2における第1の絶縁膜13の膜厚D1の5分の1とする。すなわち、D11はD1/5である。
【0049】
このため、浮遊電極14と対応する菱形電極114A又は114Bとの間で構成されるコンデンサの静電容量は、次式で与えられる。
【0050】
【0051】
ここで、C201は、浮遊電極14と対応する菱形電極114A又は114Bとの間で構成されるコンデンサの静電容量である。また、S201は、本実施例における菱形電極114A及び114Bの面積であり、S101は、実施例2の場合における菱形電極114A及び114Bの面積である。
【0052】
右辺第2の式を見ると、その分子と分母は共に定数、すなわち1/5を有している。そこで、この定数を消去すると、消去後の値は、実施例2の場合に浮遊電極14と対応する菱形電極114A又は114Bとの間で構成されるコンデンサの静電容量と同じ値になる。すなわち、浮遊電極14と対応する菱形電極114A又は114Bとの間に形成されるコンデンサの静電容量は、実施例2の場合と同じ値になる。このため、X電極112A及びY電極112Bに印加される信号周波数に対するインピーダンスも実施例2の場合と同じ値になる。
【0053】
よって、触覚提示装置201の第2の絶縁膜15に浮遊電極14に達する傷が生じ、当該傷に侵入した導電性の異物20を通じて漏れ電流I2が人体4に流れたとしても、その低減効果は実施例2の場合と同じになる。なお、本実施例の場合にも、浮遊電極14の寸法は実施例2の場合と同じであるため、人体4と浮遊電極14とが対向する面積と、人体4と浮遊電極14との間の電位差も同じになる。このため、触覚提示装置201は、実施例2の触覚提示装置101を用いる場合と同じ触覚を利用者に与えることができる。加え
て、本実施例の場合、第1の絶縁膜213を薄くできるため、触覚提示装置201の全体的な厚みも薄くできる。
【0054】
(実施例4)
図17に、実施例4に係る触覚提示装置301の概略構成を示す。
図17には、
図8との対応部分に同一符号を付して示す。触覚提示装置301の基本構成は、実施例2に係る触覚提示装置101と同様である。相違部分は、浮遊電極14と第2の絶縁膜15に代えて、第1の絶縁膜13の上面にアンチグレア層316を積層した触覚提示用パネル302を用いる点である。
【0055】
アンチグレア層316は、いわゆる反射防止層である。本実施例のアンチグレア層316は、浮遊電極として機能する導電性の粒子314と、第2の絶縁膜として機能する絶縁性のコート層315によって形成される。アンチグレア層316は、絶縁性のコート層315として用いられる材料に導電性の粒子314を均一に含む材料を、第1の絶縁膜13の表面に塗布する等して形成する。アンチグレア層316の膜厚D12は、例えば5μmとする。勿論、この値は一例である。
【0056】
導電性の粒子314は、コート層315の内部において互いに電気的に絶縁された状態で存在している。このため、導電性の粒子314は、実施例2における浮遊電極14と同様に機能する。コート層315内の粒子314は、コート層315に直径3mmの円筒状の傷が形成された場合に、人体4と接触する粒子314の総面積が19.7mm2 以下となることが好ましい。
【0057】
本実施例に係るアンチグレア層316は、前述したように実施例2に係る触覚提示用パネル102だけなく、実施例1に係る触覚提示用パネル2や実施例3に係る触覚提示用パネル202に対しても適用することができる。そのいずれにおいても、浮遊電極14及び第2の絶縁膜15の製造工程を簡略化できる。
【0058】
(他の構造例)
(a)前述の実施例においては、第1の絶縁膜13の素材としてアクリル樹脂を例示したが、より強度に優れるSiO
2 、SiN、ダイヤモンドライクカーボン等の透明素材を用いることもできる。その場合、駆動電極12、112と浮遊電極14は透明電極となる。勿論、触覚提示装置を透過させて文字、画像、映像その他の情報を視認する必要がない場合には、アクリル樹脂よりも強度に優れる不透明な素材を用いることもできる。強度に優れる材料を用いることにより、第1の絶縁膜13にクラックが生じ難くなる。また、第2の絶縁膜15及びコート層315にクラックが生じたとしても、そのクラックが第1の絶縁膜13まで拡がり難くなる。その結果、第1の絶縁膜13の薄膜化が可能になる。この第1の絶縁膜13の薄膜化は、実施例3における第1の絶縁膜213(
図16参照)の薄膜化にも応用できる。また、膜厚が薄く済むため、成膜に長時間を要する絶縁材料の採用が可能になる。
【0059】
(b)前述の実施例においては、第2の絶縁膜15の素材としてアクリル樹脂を例示したが、より強度に優れるSiO2 、SiN、ダイヤモンドライクカーボン等の透明素材を用いることもできる。その場合、駆動電極12、112と浮遊電極14は透明電極となる。勿論、触覚提示装置を透過させて文字、画像、映像その他の情報を視認する必要がない場合には、アクリル樹脂よりも強度に優れる不透明な素材を用いることもできる。強度に優れる材料を用いることにより、第2の絶縁膜15にクラックが生じ難くなり、またクラックの成長リスクも低下できる。また、第2の絶縁膜15の薄膜化が可能となり、成膜に長時間を要する絶縁材料の採用が可能になる。なお、第2の絶縁膜15の材料は、第1の絶縁膜13と同じでも良い。
【0060】
(応用例)
図18に、前述の各実施例に係る触覚提示装置1、101、201、301を応用した電子機器400の外観例を示す。電子機器400は、具体的には、スマートフォン、タブレット型電子ブックリーダー、ノートブック型パーソナルコンピュータなどである。
【0061】
電子機器400は、タッチパネル式表示装置401と触覚提示装置402を有している。触覚提示装置402は、前述した実施例のいずれかに係る触覚提示装置であり、タッチパネル式表示装置401の表示画面側又は背面側に配設される。ただし、タッチパネル式表示装置401の入力方式には、現在の主流である静電容量方式以外の入力方式(例えば光学式、抵抗膜式など)を使用する。前述した各実施例に係る触覚提示装置402と静電容量方式のタッチパネル式表示装置401は共に人体との間での容量結合を利用するため、機能の両立を図れないためである。
【0062】
電子機器400には、プロセッサ403が内蔵されており、その処理結果がタッチパネル式表示装置401に表示される。利用者は、複数の操作キー404等に対するタッチ操作を通じ、タッチパネル式表示装置401の表示画面に表示された内容に対する入力を行う。なお、電子機器400は、ケーブルや無線通信を通じて外部接続された外部装置(例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータなど)からの処理結果を表示し、操作入力を外部装置に返すものでもよい。
【0063】
以上、図面を参照しつつ本発明の幾つかの実施例を説明したが、本発明は前述の実施例に限らない。人体に流れる漏れ電流の低減効果が得られる限り、本発明は、既知の任意の構成を採用した構成も可能である。
【符号の説明】
【0064】
1、101、201、301、402…触覚提示装置
2、102、202、302…触覚提示用パネル
3…信号電源
4…人体
11…支持基板
12、112、212…駆動電極
13、213…第1の絶縁膜
14…浮遊電極
15…第2の絶縁膜
20…異物
112A…X電極
112B…Y電極
113…接続部
114A、114B…菱形電極
314…粒子
315…コート層
316…アンチグレア層
400…電子機器
401…タッチパネル式表示装置
403…プロセッサ
404…操作キー