特許 7153805 シミュレーション装置およびシミュレーション方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-10-05

(45)【発行日】2022-10-14

(54)【発明の名称】シミュレーション装置およびシミュレーション方法

(51)【国際特許分類】

   H05K 13/00 20060101AFI20221006BHJP

【ＦＩ】

H05K13/00 Z

【請求項の数】 13

(21)【出願番号】P 2021548305

(86)(22)【出願日】2019-09-27

(86)【国際出願番号】 JP2019038386

(87)【国際公開番号】W WO2021059535

(87)【国際公開日】2021-04-01

【審査請求日】2021-12-08

(73)【特許権者】

【識別番号】000237271

【氏名又は名称】株式会社ＦＵＪＩ

(74)【代理人】

【識別番号】110000604

【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】高木 章太

(72)【発明者】

【氏名】石川 浩平

【審査官】小川 悟史

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１８－１１６９９０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１１－２３２３３９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１８－６４０１９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１２－６４９６４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００８－２７７４４８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－２０１７３６（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１６－２２５３８６（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１２－３３０７０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００２－１１１２９８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平６－７７７００（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０１８／０８７８５４（ＷＯ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１６／１４２９８８（ＷＯ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０５Ｋ １３／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機の稼働状況、および、前記基板製品の生産に必要な物品を前記対基板作業機に供給する物品移動装置の稼働状況を、前記基板製品の生産計画に基づいてシミュレーションする模擬部と、
前記模擬部によるシミュレーション結果である前記対基板作業機の稼働状況の経時変化および前記物品移動装置の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力する出力部と、
を備えるシミュレーション装置。

【請求項2】

前記出力部によって出力された前記時系列情報に基づいて、前記対基板作業機が稼働している第一稼働時間帯および前記対基板作業機が停止している第一停止時間帯と、前記物品移動装置が稼働している第二稼働時間帯および前記物品移動装置が停止している第二停止時間帯とを対比可能に表示装置にタイムライン表示させる表示部をさらに備える請求項１に記載のシミュレーション装置。

【請求項3】

前記表示部は、前記基板製品の生産開始から生産終了までの生産時間帯を前記生産計画ごとに前記タイムライン表示させる請求項２に記載のシミュレーション装置。

【請求項4】

前記表示部は、前記第一稼働時間帯のうち、前記対基板作業機における前記物品の不足によって予定の前記生産計画が変更されて前記対基板作業機が変更後の前記生産計画に基づいて前記対基板作業を行っているリカバリ生産時間帯を、前記対基板作業機の他の稼働時間帯と識別可能に表示させる請求項２または請求項３に記載のシミュレーション装置。

【請求項5】

前記表示部は、前記第二稼働時間帯のうち、前記対基板作業機における前記物品の不足または段取り替えによって必要になった前記物品を供給するために前記物品移動装置が稼働している第一供給時間帯を、前記物品移動装置の他の稼働時間帯と識別可能に表示させる請求項２～請求項４のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。

【請求項6】

前記表示部は、前記第二稼働時間帯のうち、前記対基板作業機に前記物品を予備的に供給するために前記物品移動装置が稼働している第二供給時間帯を、前記物品移動装置の他の稼働時間帯と識別可能に表示させる請求項２～請求項５のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。

【請求項7】

前記表示部は、前記第二稼働時間帯のうち、前記対基板作業機で不要になった前記物品を回収するために前記物品移動装置が稼働している回収時間帯を、前記物品移動装置の他の稼働時間帯と識別可能に表示させる請求項２～請求項６のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。

【請求項8】

前記表示部は、前記対基板作業機および前記物品移動装置を備える基板生産ラインを仮想空間に模擬表示して、タイムラインの時間経過に応じて、前記対基板作業機の稼働状況の経時変化および前記物品移動装置の稼働状況の経時変化を立体的に表示させる請求項２～請求項７のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。

【請求項9】

前記表示部は、前記物品移動装置が保管装置に保管されている前記物品を供給すべき前記対基板作業機に搬送して供給する供給動作、および、前記物品移動装置が前記対基板作業機で不要になった前記物品を前記保管装置に搬送して回収する回収動作を立体的に表示させる請求項８に記載のシミュレーション装置。

【請求項10】

前記対基板作業機は、
前記基板製品の生産に使用する前記物品を交換可能に保持する第一スロットと、
前記物品を予備的に保持可能、または、回収する前記物品を一時的に保持可能な第二スロットと、
を備え、
前記物品移動装置は、前記第一スロットと前記第二スロットとの間で前記物品の交換作業を行い、
前記表示部は、前記第一スロットにおける前記物品の占有領域、および、前記第二スロットにおける前記物品の占有領域を立体的に表示させる請求項８または請求項９に記載のシミュレーション装置。

【請求項11】

前記物品移動装置は、前記物品を保持して前記対基板作業機との間で前記物品の搬入および搬出を行う保持部を備え、
前記表示部は、前記保持部による前記物品の搬入状態および搬出状態を表示させる請求項８～請求項１０のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。

【請求項12】

前記表示部は、前記対基板作業機における前記物品の不足によって予定の前記生産計画が変更されて変更後の前記生産計画に基づいて前記対基板作業を行っている前記対基板作業機であるリカバリ生産機と、予定の前記生産計画に基づいて前記対基板作業を行っている前記対基板作業機と、前記対基板作業を行わずに停止している前記対基板作業機とを識別可能に表示させる請求項８～請求項１１のいずれか一項に記載のシミュレーション装置。

【請求項13】

基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機の稼働状況、および、前記基板製品の生産に必要な物品を前記対基板作業機に供給する物品移動装置の稼働状況を、前記基板製品の生産計画に基づいてシミュレーションする模擬工程と、
前記模擬工程によるシミュレーション結果である前記対基板作業機の稼働状況の経時変化および前記物品移動装置の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力する出力工程と、
を備えるシミュレーション方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本明細書は、シミュレーション装置およびシミュレーション方法に関する技術を開示する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１に記載の部品実装ラインは、部品装着機と、フィーダ保管庫と、交換ロボットとを備えている。部品装着機は、フィーダから供給される部品を基板に装着する。フィーダ保管庫は、部品装着機に着脱可能なフィーダを保管する。交換ロボットは、フィーダを搬送し、フィーダ保管庫との間および部品装着機との間でフィーダを交換する。これにより、特許文献１に記載の部品実装ラインは、フィーダ保管庫に保管されているフィーダを部品装着機に供給するフィーダの供給作業を自動化しようとしている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】国際公開第２０１７／０３３２６８号

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１に記載の部品実装ラインでは、部品装着機は、交換ロボットによるフィーダの供給を受けつつ基板製品の生産を行う。そのため、部品装着機の稼働状況の経時変化および交換ロボットの稼働状況の経時変化を把握したいという要請がある。

【0005】

このような事情に鑑みて、本明細書は、対基板作業機の稼働状況の経時変化および物品移動装置の稼働状況の経時変化を出力可能なシミュレーション装置およびシミュレーション方法を開示する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本明細書は、模擬部と、出力部とを備えるシミュレーション装置を開示する。前記模擬部は、基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機の稼働状況、および、前記基板製品の生産に必要な物品を前記対基板作業機に供給する物品移動装置の稼働状況を、前記基板製品の生産計画に基づいてシミュレーションする。前記出力部は、前記模擬部によるシミュレーション結果である前記対基板作業機の稼働状況の経時変化および前記物品移動装置の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力する。

【0007】

また、本明細書は、模擬工程と、出力工程とを備えるシミュレーション方法を開示する。前記模擬工程は、基板に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機の稼働状況、および、前記基板製品の生産に必要な物品を前記対基板作業機に供給する物品移動装置の稼働状況を、前記基板製品の生産計画に基づいてシミュレーションする。前記出力工程は、前記模擬工程によるシミュレーション結果である前記対基板作業機の稼働状況の経時変化および前記物品移動装置の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力する。

【発明の効果】

【0008】

シミュレーション装置は、模擬部および出力部を備える。よって、シミュレーション装置は、対基板作業機の稼働状況の経時変化および物品移動装置の稼働状況の経時変化を出力することができる。シミュレーション装置について上述したことは、シミュレーション方法についても同様に言える。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】基板生産ラインの構成例を示す平面図である。

【図2】図１の交換システムおよび部品装着機の概略構成を示す斜視図である。

【図3】図２のフィーダの外観を示す斜視図である。

【図4】物品移動装置と部品装着機の部品供給装置との間におけるフィーダの交換作業の一例を示す平面図である。

【図5】シミュレーション装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。

【図6】シミュレーション装置によるシミュレーション手順の一例を示すフローチャートである。

【図7】出力部による出力結果の一例を示す模式図である。

【図8】表示部による表示結果の一例を示す模式図である。

【図9】第一表示領域の表示例を示す模式図である。

【図10】第四表示領域の表示例を示す模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

１．実施形態
１－１．基板生産ライン１の構成例
図１に示すように、基板生産ライン１は、少なくとも一つ（同図では、４つ）の部品装着機１０と、交換システム３０と、物品移動装置４０と、保管装置５と、ライン制御コンピュータ６とを備えている。４つの部品装着機１０は、図２に示す基板９０の搬送方向に沿って設置されている。部品装着機１０は、基板９０に所定の対基板作業を行う対基板作業機ＷＭに含まれる。部品装着機１０による対基板作業には、基板９０の搬入作業および搬出作業、部品の採取作業および装着作業などが含まれる。部品装着機１０には、例えば、カセット式のフィーダ２０が着脱可能に設けられる。

【0011】

基板生産ライン１の基板搬入側（図１の紙面左側）には、例えば、フィーダ２０の保管に用いられる保管装置５が設置されている。また、基板生産ライン１には、交換システム３０および物品移動装置４０が設けられており、フィーダ２０の補給作業、交換作業および回収作業を行う。なお、基板生産ライン１は、例えば、生産する基板製品の種別などに応じて、その構成を適宜追加、変更され得る。具体的には、基板生産ライン１には、例えば、はんだ印刷機、検査機、リフロー炉などの対基板作業機ＷＭが適宜設置され得る。

【0012】

基板生産ライン１を構成する各装置は、ネットワークを介してライン制御コンピュータ６と種々のデータを入出力可能に構成されている。例えば、保管装置５は、複数のスロットを備えている。保管装置５は、複数のスロットに装備されたフィーダ２０をストックする。保管装置５のスロットに装備されたフィーダ２０は、ライン制御コンピュータ６との間で通信可能な状態になる。これにより、保管装置５のスロットと当該スロットに装備されたフィーダ２０の識別符号が関連付けられて、ライン制御コンピュータ６に記録される。

【0013】

また、ライン制御コンピュータ６は、基板生産ライン１の動作状況を監視し、部品装着機１０などの対基板作業機ＷＭ、交換システム３０、物品移動装置４０および保管装置５を統括制御する。ライン制御コンピュータ６には、対基板作業機ＷＭ、交換システム３０、物品移動装置４０および保管装置５を制御するための各種データが記憶されている。ライン制御コンピュータ６は、例えば、部品装着機１０による部品の装着処理の実行に際して、制御プログラムなどの各種データを送出する。

【0014】

１－２．部品装着機１０の構成例
図２に示すように、４つの部品装着機１０の各々は、基板搬送装置１１と、部品供給装置１２と、ヘッド駆動装置１３とを備えている。以下の説明において、部品装着機１０の水平幅方向であり基板９０の搬送方向をＸ方向とし、部品装着機１０の水平奥行き方向をＹ方向とし、Ｘ方向およびＹ方向に垂直な鉛直方向（図２の紙面上下方向）をＺ方向とする。

【0015】

基板搬送装置１１は、例えば、ベルトコンベアおよび位置決め装置などによって構成されている。基板搬送装置１１は、基板９０を搬送方向へ順次搬送するとともに、機内の所定位置に基板９０を位置決めする。基板搬送装置１１は、部品装着機１０による装着処理が終了した後に、基板９０を部品装着機１０の機外に搬出する。

【0016】

部品供給装置１２は、基板９０に装着される部品を供給する。部品供給装置１２は、複数のフィーダ２０を装備可能な第一スロット１２１および第二スロット１２２を備えている。本実施形態では、第一スロット１２１は、部品装着機１０の前部側の上部に配置され、装備されたフィーダ２０を動作可能に保持する。第一スロット１２１に装備されたフィーダ２０は、部品装着機１０による装着処理において動作を制御され、当該フィーダ２０の上部の規定位置に設けられた取り出し部において部品を供給する。

【0017】

本実施形態では、第二スロット１２２は、第一スロット１２１の下方に配置され、装備されたフィーダ２０をストックする。つまり、第二スロット１２２は、生産に用いられるフィーダ２０を予備的に保持し、または、生産に用いられた使用済みのフィーダ２０を一時的に保持する。なお、第一スロット１２１と第二スロット１２２との間におけるフィーダ２０の交換作業は、物品移動装置４０によって行われる。

【0018】

また、フィーダ２０は、部品供給装置１２の第一スロット１２１または第二スロット１２２に装備されると、コネクタを介して部品装着機１０から電力が供給される。そして、フィーダ２０は、部品装着機１０との間で通信可能な状態となる。第一スロット１２１に装備されたフィーダ２０は、部品装着機１０による制御指令などに基づいて、部品を収容するキャリアテープの送り動作が制御される。これにより、フィーダ２０は、フィーダ２０の上部に設けられた取り出し部において、装着ヘッド１３２の保持部材によって部品を採取可能に供給する。

【0019】

ヘッド駆動装置１３は、直動機構によって移動台１３１を水平方向（Ｘ方向およびＹ方向）に移動させる。移動台１３１には、クランプ部材によって装着ヘッド１３２が交換可能（着脱可能）に固定されている。装着ヘッド１３２は、ヘッド駆動装置１３の直動機構によって移動台１３１と一体的にＸＹ方向に移動される。装着ヘッド１３２は、部品供給装置１２によって供給された部品を保持部材によって採取する。保持部材は、例えば、供給される負圧エアによって部品を吸着する吸着ノズル、部品を把持するチャックなどを用いることができる。

【0020】

装着ヘッド１３２は、保持部材をＺ方向に移動可能に、且つ、Ｚ軸に平行なＱ軸周りに回転可能に保持する。装着ヘッド１３２は、採取した部品の姿勢に応じて保持部材の位置および角度を調整する。そして、装着ヘッド１３２は、制御プログラムによって指令される基板９０の装着位置に部品を装着する。上記の部品のピックアンドプレースサイクルの所定サイクル数分の所要時間と、基板９０の搬入および搬出に要する所要時間との合計時間は、基板９０一枚当たりのサイクルタイムである。

【0021】

なお、装着ヘッド１３２に設けられる保持部材は、基板９０に部品を装着する装着処理において部品の種別に応じて適宜変更され得る。部品装着機１０は、例えば、実行する装着処理にて用いる吸着ノズルが装着ヘッド１３２に取り付けられていない場合に、ノズルステーションに収容されている吸着ノズルを、装着ヘッド１３２に取り付ける。ノズルステーションは、部品装着機１０の機内の所定位置に着脱可能に装備される。

【0022】

１－３．フィーダ２０の構成例
図３に示すように、フィーダ２０は、フィーダ本体２１と、駆動装置２２とを備えている。本実施形態のフィーダ本体２１は、扁平な箱形状に形成されている。フィーダ本体２１は、多数の部品を収容するキャリアテープが巻回されたリールを着脱可能（交換可能）に保持する。駆動装置２２は、キャリアテープに設けられた送り穴に係合するスプロケットを備えている。駆動装置２２は、スプロケットを回転させてキャリアテープを送り移動させる。

【0023】

フィーダ２０は、制御装置（図示略）によって駆動装置２２の動作が制御される。フィーダ２０は、部品装着機１０の第一スロット１２１に装備されると、コネクタを介して部品装着機１０から電力の供給を受ける。これにより、フィーダ２０の制御装置は、部品装着機１０との間で通信可能な状態になる。第一スロット１２１について上述したことは、第二スロット１２２についても同様に言える。これにより、部品装着機１０は、第一スロット１２１および第二スロット１２２におけるフィーダ２０の補給および回収を検出することができる。

【0024】

１－４．交換システム３０および物品移動装置４０の構成例
図１および図２に示すように、交換システム３０は、第一レール３１と、第二レール３２とを備えている。第一レール３１および第二レール３２は、物品移動装置４０の走行路を形成する。第一レール３１は、４つの部品装着機１０の配置方向に沿って設けられ、上下方向（Ｚ方向）において、第一スロット１２１と、第二スロット１２２との間に設けられている。第二レール３２は、４つの部品装着機１０の配置方向に沿って設けられ、上下方向（Ｚ方向）において、第二スロット１２２の下方に設けられている。第一レール３１および第二レール３２は、基板生産ライン１において、基板９０の搬送方向の概ね全域に亘って延伸している。

【0025】

物品移動装置４０は、第一レール３１および第二レール３２によって形成される走行路に沿って走行可能に設けられている。物品移動装置４０は、例えば、第一レール３１に設けられる送電部と対向して設けられる受電部を介して、非接触給電によって送電部から電力の供給を受ける。受電部が受け取った電力は、受電回路を介して物品移動装置４０の走行、所定作業などに用いられる。なお、物品移動装置４０は、例えば、位置検出装置によって走行路上の位置（現在位置）を検出する。位置検出装置には、例えば、光学的な検出方式、電磁誘導を用いた検出方式などを適用できる。

【0026】

上記の「所定作業」には、部品装着機１０などの対基板作業機ＷＭに着脱可能に設けられる機器ＤＤ０を、対基板作業機ＷＭとの間で交換する交換作業が含まれる。本実施形態では、物品移動装置４０は、基板９０に装着される部品を供給するフィーダ２０を機器ＤＤ０として、対基板作業機ＷＭである部品装着機１０との間、および、保管装置５との間でフィーダ２０の交換作業を行う。

【0027】

本実施形態では、物品移動装置４０は、保管装置５から部品装着機１０の第一スロット１２１または第二スロット１２２にフィーダ２０を搬送して、フィーダ２０の補給作業を行う。また、物品移動装置４０は、部品装着機１０の第一スロット１２１と第二スロット１２２との間で、フィーダ２０の交換作業を行う。さらに、物品移動装置４０は、不要になったフィーダ２０を部品装着機１０から保管装置５に搬送して、フィーダ２０の回収作業を行う。

【0028】

図４に示すように、物品移動装置４０は、少なくとも一つ（同図では、２つ）の保持部４１と、制御装置４２とを備えている。本実施形態では、２つの保持部４１の各々は、複数（同図では、２つ）のフィーダ２０を同時にクランプ可能であり、複数（２つ）のフィーダ２０を同時に保持することができる。また、２つの保持部４１の各々は、例えば、直動機構などによって、フィーダ２０の着脱方向（本実施形態ではＹ方向）に沿って独立して移動可能であり、複数（２つ）のフィーダ２０を同時にＹ方向に沿って移動させることができる。

【0029】

さらに、２つの保持部４１は、例えば、直動機構などによって、上下方向（Ｚ方向）に一体的に移動可能であり、複数（４つ）のフィーダ２０を同時にＺ方向に移動させることもできる。なお、物品移動装置４０は、例えば、複数（４つ）の保持部４１を備えることもできる。この場合、複数（４つ）の保持部４１の各々が一つのフィーダ２０をクランプして、複数（４つ）のフィーダ２０を独立にＹ方向およびＺ方向に移動させることができる。また、保持部４１の形態は、クランプ機構、直動機構に限定されるものではなく、種々の形態をとり得る。例えば、保持部４１は、フィーダ２０に設けられる穴部と嵌合可能な突出部を備えることもできる。この場合、保持部４１の突出部がフィーダ２０の穴部と嵌合することにより、フィーダ２０が保持される。

【0030】

制御装置４２は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている（いずれも図示略）。制御装置４２は、４つの部品装着機１０、交換システム３０、保管装置５およびライン制御コンピュータ６と通信可能に接続されている。制御装置４２は、物品移動装置４０の走行、２つの保持部４１の動作などを制御する。上記の構成により、物品移動装置４０は、第一レール３１および第二レール３２に沿って所定位置まで移動するとともに、停止位置においてフィーダ２０の交換作業を行うことができる。

【0031】

１－５．シミュレーション装置５０の構成例
基板生産ライン１では、部品装着機１０は、物品移動装置４０によるフィーダ２０の供給を受けつつ基板製品の生産を行う。そのため、部品装着機１０の稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を把握したいという要請がある。そこで、本実施形態では、シミュレーション装置５０が設けられている。

【0032】

シミュレーション装置５０は、種々の電子計算機、制御装置などに設けることができる。図５に示すように、本実施形態のシミュレーション装置５０は、電子計算機７に設けられている。電子計算機７は、公知の演算装置、記憶装置、入力装置および出力装置を備えている。シミュレーション装置５０は、例えば、ライン制御コンピュータ６、複数の基板生産ライン１を管理するホストコンピュータ、クラウド上などに形成することもできる。

【0033】

また、図５に示すように、シミュレーション装置５０は、制御ブロックとして捉えると、模擬部５１と、出力部５２とを備えている。シミュレーション装置５０は、表示部５３をさらに備えることもできる。本実施形態では、シミュレーション装置５０は、模擬部５１と、出力部５２と、表示部５３とを備えている。また、シミュレーション装置５０は、図６に示すフローチャートに従って、演算処理を実行する。模擬部５１は、ステップＳ１１～ステップＳ１６に示す処理および判断を行う。出力部５２は、ステップＳ１７に示す処理を行う。表示部５３は、ステップＳ１８に示す処理を行う。

【0034】

１－５－１．模擬部５１
模擬部５１は、基板９０に所定の対基板作業を行って基板製品を生産する対基板作業機ＷＭの稼働状況、および、基板製品の生産に必要な物品ＡＲ０を対基板作業機ＷＭに供給する物品移動装置４０の稼働状況を、基板製品の生産計画に基づいてシミュレーションする（図６に示すステップＳ１１～ステップＳ１６）。

【0035】

図１に示すように、本実施形態の基板生産ライン１は、部品装着機１０を含む対基板作業機ＷＭと、物品移動装置４０と、保管装置５とを備えている。保管装置５は、フィーダ２０に限らず、対基板作業機ＷＭによる基板製品の生産に必要な物品ＡＲ０を保管することができる。例えば、既述した対基板作業機ＷＭに着脱可能に設けられる機器ＤＤ０は、物品ＡＲ０に含まれる。

【0036】

対基板作業機ＷＭが部品装着機１０の場合、例えば、フィーダ２０、複数の部品を収容するリールまたは部品トレイ、装着ヘッド１３２、保持部材（吸着ノズル、チャックなど）、ノズルステーションなどは、機器ＤＤ０に含まれる。対基板作業機ＷＭが基板９０にはんだを印刷するはんだ印刷機の場合、例えば、はんだカップ、マスク、スキージ、ディスペンスヘッドなどは、機器ＤＤ０に含まれる。対基板作業機ＷＭが検査機の場合、例えば、検査ヘッドなどは、機器ＤＤ０に含まれる。検査機には、基板９０に印刷されたはんだを検査するはんだ検査機、基板９０に装着された部品を検査する外観検査機などが含まれる。

【0037】

同様に、物品移動装置４０は、フィーダ２０に限らず、保管装置５に保管されている物品ＡＲ０を対基板作業機ＷＭに供給し、対基板作業機ＷＭで不要になった物品ＡＲ０を保管装置５に回収することができる。また、本実施形態では、対基板作業機ＷＭである部品装着機１０は、第一スロット１２１および第二スロット１２２を備えている。他の対基板作業機ＷＭにおいても第一スロット１２１および第二スロット１２２を備えることができ、保持する物品ＡＲ０もフィーダ２０に限定されない。

【0038】

つまり、対基板作業機ＷＭは、基板製品の生産に必要な物品ＡＲ０を交換可能に保持する第一スロット１２１と、物品ＡＲ０を予備的に保持可能、または、回収する物品ＡＲ０を一時的に保持可能な第二スロット１２２とを備えることができる。物品移動装置４０は、第一スロット１２１と第二スロット１２２との間で物品ＡＲ０の交換作業を行うことができる。

【0039】

また、図５に示すように、ライン制御コンピュータ６は、記憶装置６ＤＳを備えている。記憶装置６ＤＳは、例えば、ハードディスク装置などの磁気記憶装置、フラッシュメモリなどの半導体素子を使用した記憶装置などを用いることができる。記憶装置６ＤＳには、基板製品の生産計画が記憶されている。

【0040】

模擬部５１は、生産計画を管理する管理装置ＬＣ０から生産計画を取得して、取得した生産計画に基づいてシミュレーションすることができる。本実施形態では、ライン制御コンピュータ６は、管理装置ＬＣ０に相当する。これにより、模擬部５１は、シミュレーション条件に含まれる生産計画を容易に設定することができる。

【0041】

また、模擬部５１は、生産計画をオペレータに入力させて、オペレータによって入力された生産計画に基づいてシミュレーションすることもできる。この場合、オペレータは、シミュレーション条件に含まれる生産計画を個別に設定することができ、シミュレーション条件の変更も容易に行うことができる。なお、模擬部５１は、管理装置ＬＣ０から生産計画を取得し、取得した生産計画の一部をオペレータに変更させて、生産計画を含むシミュレーション条件を設定しても良い。

【0042】

いずれの場合も、基板製品の生産計画は、基板製品の種類および生産予定数、並びに、物品ＡＲ０の種類および必要数を少なくとも含む。対基板作業機ＷＭは、物品移動装置４０による物品ＡＲ０の供給を受けつつ基板製品の生産を行う。よって、模擬部５１が対基板作業機ＷＭの稼働状況および物品移動装置４０の稼働状況をシミュレーションするためには、シミュレーション条件として、上記の情報が少なくとも必要になる。

【0043】

また、例えば、図１に示す基板生産ライン１は、４つの部品装着機１０を備えている。基板９０は、４つの部品装着機１０に順に搬送されるので、部品装着機１０による基板製品の生産時間は、４つの部品装着機１０のうちの最も生産時間が長い部品装着機１０の影響を受ける。同様に、基板製品の生産時間は、上流側のはんだ印刷機、はんだ検査機などの影響を受ける。また、基板製品の生産時間は、下流側のリフロー炉、外観検査機などの影響を受ける。よって、シミュレーション条件には、ボトルネックになる対基板作業機ＷＭの生産所要時間が含まれると良い。例えば、対基板作業機ＷＭが部品装着機１０の場合、生産所要時間は、サイクルタイムを用いて表すことができる。

【0044】

さらに、例えば、４つの部品装着機１０がすべて生産を停止してから段取り替えを開始する場合と、段取り替えが可能になった部品装着機１０から段取り替えを開始する場合とでは、段取り替えによって発生する部品装着機１０の生産停止時間が異なる。よって、シミュレーション条件には、対基板作業機ＷＭの段取り替えの方法が含まれると良い。なお、段取り替えは、例えば、基板製品の生産計画が切り替わるときに行われ、必要に応じて対基板作業機ＷＭの各装置の構成（物品ＡＲ０を含む。）が変更され、必要に応じて対基板作業機ＷＭを駆動制御する制御プログラムが変更される。

【0045】

また、例えば、物品ＡＲ０が基板製品の生産に必要になる前に事前に物品ＡＲ０の供給を予告して、対基板作業機ＷＭの第二スロット１２２に物品ＡＲ０を予備的に保持させることができる場合がある。この場合、物品ＡＲ０が基板製品の生産に必要になる予定時間と、物品ＡＲ０の供給を予告する予告時間との時間差によって、事前に第二スロット１２２に準備可能な物品ＡＲ０の種類および数が変動し、対基板作業機ＷＭの稼働状況、および、物品移動装置４０の稼働状況が変動する可能性がある。よって、シミュレーション条件には、物品ＡＲ０の供給を予告する予告時間が含まれると良い。

【0046】

上述したことは、物品ＡＲ０から供給される供給品の不足についても同様に言える。例えば、物品ＡＲ０がフィーダ２０の場合、リールに巻回されているキャリアテープに収容されている部品は、供給品に相当する。この場合、シミュレーション条件には、フィーダ２０から供給される部品の不足を予告する予告時間が含まれると良い。このことは、例えば、物品ＡＲ０が部品トレイ、ノズルステーション、はんだカップなどの場合についても同様に言える。

【0047】

また、物品ＡＲ０から供給される供給品の残数の初期値によって、供給する物品ＡＲ０が基板製品の生産に必要になる予定時間が変動する。よって、シミュレーション条件には、物品ＡＲ０から供給される供給品の残数の初期値が含まれると良い。なお、物品ＡＲ０がフィーダ２０であり供給品が部品の場合、供給品の残数の初期値は、例えば、キャリアテープのテープ幅ごとに設定することができる。テープ幅が大きくなるほど収容されている部品のサイズが大型化し、収容されている部品数が少なくなり易い。

【0048】

また、対基板作業機ＷＭに着脱可能に設けられる機器ＤＤ０の第一スロット１２１および第二スロット１２２における初期配置によって、例えば、機器ＤＤ０の使用順序、使用頻度などが変動する可能性がある。よって、シミュレーション条件には、対基板作業機ＷＭに着脱可能に設けられる機器ＤＤ０の第一スロット１２１および第二スロット１２２における初期配置が含まれると良い。既述した事項のうちの少なくとも一つがシミュレーション条件に含まれることにより、模擬部５１は、実際の対基板作業機ＷＭの稼働状況および物品移動装置４０の稼働状況に近いシミュレーションを行うことができる。

【0049】

模擬部５１は、基板製品の生産計画を含むシミュレーション条件に基づいて、対基板作業機ＷＭの稼働状況および物品移動装置４０の稼働状況をシミュレーションする。模擬部５１は、まず、シミュレーションの初期設定を行う（図６に示すステップＳ１１）。初期設定には、既述したシミュレーション条件の設定、物品ＡＲ０の供給計画および物品ＡＲ０から供給される供給品の供給計画、不要になった物品ＡＲ０の回収計画の作成などが含まれる。

【0050】

本実施形態では、模擬部５１は、物品ＡＲ０であるフィーダ２０の供給計画と、フィーダ２０から供給される部品の供給計画と、不要になったフィーダ２０の回収計画とを作成する。部品の供給計画には、部品を供給するフィーダ２０、部品を採取する保持部材、部品を装着する基板９０における装着位置、部品を供給する順序（部品を基板９０に装着する順序）、部品の供給数などが含まれる。部品の供給計画は、基板製品の生産計画に基づいて、サイクルタイムが最適になるように最適化される。最適化の手法は、限定されず、公知の手法を用いることができる。

【0051】

フィーダ２０の供給計画または回収計画には、供給または回収する部品装着機１０、第一スロット１２１または第二スロット１２２における位置、フィーダ２０を供給または回収するタイミング、順序、フィーダ２０の数などが含まれる。フィーダ２０の供給計画または回収計画は、例えば、一度に供給または回収するフィーダ２０の数、物品移動装置４０の移動量、移動回数などが最適になるように最適化される。最適化の手法は、限定されず、公知の手法を用いることができる。

【0052】

次に、模擬部５１は、物品ＡＲ０の供給計画、供給品の供給計画および物品ＡＲ０の回収計画を順次実行し、これらの計画を実行するのに要する実行時間を電子計算機７の記憶装置に記憶させる（ステップＳ１２）。本実施形態では、模擬部５１は、部品装着機１０によって部品が供給されて基板９０に部品が装着される度に所要時間（部品装着機１０の稼働時間）を算出し、記憶装置に記憶させる。本明細書では、対基板作業機ＷＭが稼働している時間帯を第一稼働時間帯ＴＤ１という。

【0053】

模擬部５１は、フィーダ２０の供給作業、交換作業または回収作業などが行われる度に所要時間（物品移動装置４０の稼働時間）を算出し、記憶装置に記憶させる。同様に、模擬部５１は、物品移動装置４０が停止している時間（物品移動装置４０が上記の作業を行わず待機している時間）を算出し、記憶装置に記憶させる。本明細書では、物品移動装置４０が稼働している時間帯を第二稼働時間帯ＴＤ２という。物品移動装置４０が停止している時間帯を第二停止時間帯ＴＮ２という。

【0054】

また、模擬部５１は、物品ＡＲ０から供給される供給品の残数を算出して、供給品の残数を記憶装置に記憶させる（ステップＳ１３）。本実施形態では、フィーダ２０から部品が供給される度に、部品の残数を減じて、記憶装置に記憶させる。部品の残数がゼロになると、供給する部品の不足が発生する。

【0055】

さらに、模擬部５１は、基板製品の生産停止が発生したか否かを判断する（ステップＳ１４）。本実施形態では、模擬部５１は、基板製品の生産に必要なフィーダ２０が第一スロット１２１に装備されていない場合（段取り替えの発生）、部品装着機１０による基板製品の生産停止が発生したと判断することができる。また、模擬部５１は、第一スロット１２１に装備されているフィーダ２０から供給される部品の残数がゼロになった場合（部品の不足、フィーダ２０の不足）、部品装着機１０による基板製品の生産停止が発生したと判断することができる。

【0056】

基板製品の生産停止が発生した場合（ステップＳ１４でＹｅｓの場合）、模擬部５１は、対基板作業機ＷＭの生産停止時間を算出して、生産停止時間を記憶装置に記憶させる（ステップＳ１５）。本明細書では、対基板作業機ＷＭが停止している時間帯（対基板作業機ＷＭが対基板作業を行わず待機している時間帯）を第一停止時間帯ＴＮ１という。基板製品の生産が継続している場合（ステップＳ１４でＮｏの場合）、模擬部５１は、ステップＳ１５に示す処理を実行しない。次に、模擬部５１は、供給計画に含まれるすべての供給品（部品）が供給されたか否かを判断する（ステップＳ１６）。

【0057】

供給計画に含まれるすべての供給品（部品）が供給された場合（ステップＳ１６でＹｅｓの場合）、出力部５２は、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力する（ステップＳ１７）。また、表示部５３は、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を表示装置７ＤＰにタイムライン表示および三次元表示させる（ステップＳ１８）。

【0058】

供給計画に含まれるすべての供給品（部品）が供給されていない場合（ステップＳ１６でＮｏの場合）、制御は、ステップＳ１２に示す処理に戻り、供給計画に含まれるすべての供給品（部品）が供給されるまで、ステップＳ１２～ステップＳ１６に示す処理および判断が繰り返される。また、模擬部５１は、上記のシミュレーションにおいて、対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を取得する。

【0059】

１－５－２．出力部５２
出力部５２は、模擬部５１によるシミュレーション結果である対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力する（図６に示すステップＳ１７）。

【0060】

出力部５２は、模擬部５１によるシミュレーション結果に基づいて、種々の時系列情報を出力することができる。例えば、対基板作業機ＷＭが部品装着機１０の場合、出力部５２は、図２に示す基板搬送装置１１、部品供給装置１２およびヘッド駆動装置１３の各装置（部品装着機１０に着脱可能に設けられる機器ＤＤ０を含む。）の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力することができる。

【0061】

例えば、部品供給装置１２の第一スロット１２１の所定位置に装備されている所定のフィーダ２０から所定の部品（供給品）が供給されるときの部品供給装置１２の動作および状態並びにそれらの変化は、部品装着機１０の稼働状況の経時変化に含まれる。所定の装着ヘッド１３２の所定の保持部材によって部品が採取され保持されて、基板９０の所定の装着位置に部品が装着されるときのヘッド駆動装置１３の動作および状態並びにそれらの変化は、部品装着機１０の稼働状況の経時変化に含まれる。

【0062】

同様に、出力部５２は、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を示す時系列情報を出力することができる。例えば、保管装置５のスロットの所定位置に装備されている所定のフィーダ２０が所定の部品装着機１０に搬送され、当該部品装着機１０の所定のスロットの所定位置に搬入されるときの物品移動装置４０の動作および状態並びにそれらの変化は、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化に含まれる。既述したように、部品装着機１０のスロットは、第一スロット１２１および第二スロット１２２を備えている。

【0063】

また、第一スロット１２１に装備されているフィーダ２０と第二スロット１２２に装備されているフィーダ２０とが交換されるときの物品移動装置４０の動作および状態並びにそれらの変化は、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化に含まれる。さらに、部品装着機１０で不要になったフィーダ２０が部品装着機１０から保管装置５に回収されるときの物品移動装置４０の動作および状態並びにそれらの変化は、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化に含まれる。いずれの場合も、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化には、図４に示す保持部４１がフィーダ２０を搬入または搬出するときの保持部４１の動作および状態並びにそれらの変化が含まれる。

【0064】

図７は、出力部５２による出力結果の一例を示している。同図は、所定時間（例えば、シミュレーションのステップ時間）ごとの部品の供給情報および装着情報、並びに、フィーダ２０の供給情報、交換情報および回収情報を模式的に示している。部品の供給情報は、部品供給装置１２の各動作および各状態の経時変化を示す時系列情報の集合である。部品の装着情報は、ヘッド駆動装置１３の各動作および各状態の経時変化を示す時系列情報の集合である。フィーダ２０の供給情報、交換情報および回収情報は、保持部４１の動作および状態を含む物品移動装置４０の各動作および各状態の経時変化を示す時系列情報の集合である。

【0065】

具体的には、時刻Ｔ１１における部品の供給情報が情報Ｄ１１で示され、部品の装着情報が情報Ｄ２１で示されている。また、時刻Ｔ１１におけるフィーダ２０の供給情報が情報Ｄ３１で示され、交換情報が情報Ｄ４１で示され、回収情報が情報Ｄ５１で示されている。同様に、時刻Ｔ１２における部品の供給情報が情報Ｄ１２で示され、部品の装着情報が情報Ｄ２２で示されている。また、時刻Ｔ１２におけるフィーダ２０の供給情報が情報Ｄ３２で示され、交換情報が情報Ｄ４２で示され、回収情報が情報Ｄ５２で示されている。

【0066】

出力部５２によって出力された時系列情報は、種々の方法で利用することができる。例えば、出力部５２によって出力された時系列情報は、公知の表計算ソフトなどによって、グラフ化することができる。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、所望の対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化と、所望の物品移動装置４０の稼働状況の経時変化とを容易に対比することができる。

【0067】

１－５－３．表示部５３
表示部５３は、出力部５２によって出力された時系列情報に基づいて、第一稼働時間帯ＴＤ１および第一停止時間帯ＴＮ１と、第二稼働時間帯ＴＤ２および第二停止時間帯ＴＮ２とを対比可能に表示装置７ＤＰにタイムライン表示させる（図６に示すステップＳ１８）。

【0068】

図８は、表示部５３による表示結果の一例を示している。第一表示領域ＤＡ１は、表示装置７ＤＰが対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化をタイムライン表示する領域を示している。第二表示領域ＤＡ２は、表示装置７ＤＰが物品移動装置４０の稼働率などを表示する領域を示している。第三表示領域ＤＡ３は、表示装置７ＤＰが対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を三次元表示する領域を示している。第四表示領域ＤＡ４は、表示装置７ＤＰが物品移動装置４０の動作状態などを表示する領域を示している。

【0069】

図９は、第一表示領域ＤＡ１の表示例を示している。第一表示領域ＤＡ１は、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況の経時変化を示す上段領域ＴＬ１と、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を示す下段領域ＴＬ２と、生産時間帯ＴＰ０を示す中段領域ＴＬ３とを備えている。また、第一表示領域ＤＡ１では、シミュレーションの基準時刻Ｔ０からの経過時間に応じて、タイムラインバーＴＢ０が移動する。同図では、タイムラインバーＴＢ０が時刻Ｔ１を示しており、図８に示す第二表示領域ＤＡ２～第四表示領域ＤＡ４では、時刻Ｔ１の状態が示されている。

【0070】

上段領域ＴＬ１では、第一稼働時間帯ＴＤ１および第一停止時間帯ＴＮ１が識別可能に表示される。同図では、第一稼働時間帯ＴＤ１は、紙面と同色で示され、図示の便宜上、第一稼働時間帯ＴＤ１が破線で示されている。表示装置７ＤＰは、例えば、第一稼働時間帯ＴＤ１を透明で表示することができる。第一停止時間帯ＴＮ１は、第一稼働時間帯ＴＤ１と異なる彩色で表示される。表示装置７ＤＰは、例えば、第一停止時間帯ＴＮ１を赤色で表示することができる。

【0071】

また、本明細書では、第一稼働時間帯ＴＤ１のうち、対基板作業機ＷＭにおける物品ＡＲ０の不足によって予定の生産計画が変更されて対基板作業機ＷＭが変更後の生産計画に基づいて対基板作業を行っている時間帯をリカバリ生産時間帯ＴＰ１という。既述したように、生産計画は、管理装置ＬＣ０によって管理されている。例えば、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）において必要な物品ＡＲ０の一部が不足すると、対基板作業機ＷＭは、予定の生産計画に基づいて対基板作業を実行できなくなる。しかしながら、対基板作業機ＷＭは、現存する物品ＡＲ０のみを使用して対基板作業を行う先行作業が可能な場合がある。この場合、管理装置ＬＣ０は、対基板作業機ＷＭが先行作業を実行するように生産計画を変更することができる。対基板作業機ＷＭが先行作業を行っている時間帯は、リカバリ生産時間帯ＴＰ１に含まれる。

【0072】

また、不足していた物品ＡＲ０が対基板作業機ＷＭに供給されると、対基板作業機ＷＭは、供給された物品ＡＲ０を使用して対基板作業を行う後行作業が可能になる。この場合、管理装置ＬＣ０は、先行作業が完了した後に若しくは先行作業と共に、対基板作業機ＷＭが後行作業を実行するように生産計画を変更することができる。対基板作業機ＷＭが後行作業を行っている時間帯は、リカバリ生産時間帯ＴＰ１に含まれる。なお、後行作業は、物品ＡＲ０の不足が発生した対基板作業機ＷＭにおいて行うことができ、当該対基板作業機ＷＭより後段（下流側）の対基板作業機ＷＭにおいて行うこともできる。

【0073】

このように変更された生産計画は、予定の生産計画と比べて生産効率が低下する可能性があるので、リカバリ生産時間帯ＴＰ１は、対基板作業機ＷＭの他の稼働時間帯と識別可能であると好ましい。そこで、本実施形態の表示部５３は、リカバリ生産時間帯ＴＰ１を対基板作業機ＷＭの他の稼働時間帯と識別可能に表示させる。なお、表示部５３は、リカバリ生産時間帯ＴＰ１のうち、対基板作業機ＷＭが先行作業を行っている時間帯のみを、対基板作業機ＷＭの他の稼働時間帯と識別可能に表示させることもできる。

【0074】

リカバリ生産時間帯ＴＰ１は、リカバリ生産時間帯ＴＰ１を除く第一稼働時間帯ＴＤ１と異なる彩色で表示される。表示装置７ＤＰは、例えば、リカバリ生産時間帯ＴＰ１を黄色で表示することができる。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、リカバリ生産時間帯ＴＰ１と、物品移動装置４０の稼働状況との関係を視認することができる。なお、同図では、図示の便宜上、リカバリ生産時間帯ＴＰ１は、一部の時間帯について符号が付されている。上段領域ＴＬ１において、実線の四角形で示される符号が付されていない時間帯は、リカバリ生産時間帯ＴＰ１を示している。

【0075】

下段領域ＴＬ２では、第二稼働時間帯ＴＤ２および第二停止時間帯ＴＮ２が識別可能に表示される。同図では、第二停止時間帯ＴＮ２は、紙面と同色で示され、図示の便宜上、第二停止時間帯ＴＮ２が破線で示されている。表示装置７ＤＰは、例えば、第二停止時間帯ＴＮ２を透明で表示することができる。第二稼働時間帯ＴＤ２は、第二停止時間帯ＴＮ２と異なる彩色で表示される。

【0076】

表示部５３は、第一供給時間帯ＴＳ１を物品移動装置４０の他の稼働時間帯と識別可能に表示させることができる。第一供給時間帯ＴＳ１は、第二稼働時間帯ＴＤ２のうち、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）における物品ＡＲ０の不足または段取り替えによって必要になった物品ＡＲ０を供給するために物品移動装置４０が稼働している時間帯をいう。

【0077】

同図では、第一供給時間帯ＴＳ１は、補給時間帯ＴＳ１１および段取り替え時間帯ＴＳ１２が識別可能に表示されている。補給時間帯ＴＳ１１は、第二稼働時間帯ＴＤ２のうち、対基板作業機ＷＭにおける物品ＡＲ０の不足によって必要になった物品ＡＲ０を供給するために物品移動装置４０が稼働している時間帯をいう。段取り替え時間帯ＴＳ１２は、第二稼働時間帯ＴＤ２のうち、対基板作業機ＷＭにおける段取り替えによって必要になった物品ＡＲ０を供給するために物品移動装置４０が稼働している時間帯をいう。

【0078】

表示装置７ＤＰは、例えば、補給時間帯ＴＳ１１を黄色で表示し、段取り替え時間帯ＴＳ１２を赤色で表示することができる。なお、同図では、図示の便宜上、補給時間帯ＴＳ１１は、一部の時間帯について符号が付されている。下段領域ＴＬ２において、実線の四角形で示される符号が付されていない時間帯は、時間帯ＴＺ１を除いて、補給時間帯ＴＳ１１を示している。時間帯ＴＺ１では、後述する第二供給時間帯ＴＳ２と補給時間帯ＴＳ１１とが交互に繰り返されている。

【0079】

これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、第一供給時間帯ＴＳ１と、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況との関係を視認することができる。例えば、シミュレーション装置５０の利用者は、補給時間帯ＴＳ１１の直後にリカバリ生産時間帯ＴＰ１が発生する場合が多いことを認識することができる。また、シミュレーション装置５０の利用者は、段取り替え時間帯ＴＳ１２の直前または直後に、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）が停止している第一停止時間帯ＴＮ１が発生していることを認識することができる。なお、表示部５３は、物品ＡＲ０が基板製品の生産に必要になる前に事前に物品ＡＲ０の供給が予告されたときに、第二稼働時間帯ＴＤ２のうち、当該物品ＡＲ０を供給するために物品移動装置４０が稼働している時間帯を、他の稼働時間帯と識別可能に表示させることもできる。

【0080】

表示部５３は、第二供給時間帯ＴＳ２を物品移動装置４０の他の稼働時間帯と識別可能に表示させることができる。第二供給時間帯ＴＳ２は、第二稼働時間帯ＴＤ２のうち、対基板作業機ＷＭに物品ＡＲ０を予備的に供給するために物品移動装置４０が稼働している時間帯をいう。表示装置７ＤＰは、例えば、第二供給時間帯ＴＳ２を青色などで表示することができる。

【0081】

これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、第二供給時間帯ＴＳ２と、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況との関係を視認することができる。なお、表示部５３は、次の生産計画において用いる物品ＡＲ０を予備的に供給するために物品移動装置４０が稼働している時間帯と、それ以降の生産計画において用いる物品ＡＲ０を予備的に供給するために物品移動装置４０が稼働している時間帯とを識別可能に表示させることもできる。

【0082】

表示部５３は、回収時間帯ＴＳ３を物品移動装置４０の他の稼働時間帯と識別可能に表示させることができる。回収時間帯ＴＳ３は、第二稼働時間帯ＴＤ２のうち、対基板作業機ＷＭで不要になった物品ＡＲ０を回収するために物品移動装置４０が稼働している時間帯をいう。なお、回収時間帯ＴＳ３には、物品ＡＲ０の供給と回収の両方が行われる時間帯は含まれない。表示装置７ＤＰは、例えば、回収時間帯ＴＳ３を灰色で表示することができる。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、回収時間帯ＴＳ３と、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況との関係を視認することができる。

【0083】

本実施形態では、表示部５３は、出力部５２によって出力された時系列情報に基づいて、第一稼働時間帯ＴＤ１および第一停止時間帯ＴＮ１と、第二稼働時間帯ＴＤ２および第二停止時間帯ＴＮ２とを対比可能に表示装置７ＤＰにタイムライン表示させる。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化（第一稼働時間帯ＴＤ１および第一停止時間帯ＴＮ１）と、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化（第二稼働時間帯ＴＤ２および第二停止時間帯ＴＮ２）との関係を視認することができる。

【0084】

例えば、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）が停止している第一停止時間帯ＴＮ１が生じる回数が多く、かつ、物品移動装置４０が稼働している第二稼働時間帯ＴＤ２が長くなる（物品移動装置４０の稼働率が高くなる）ほど、物品移動装置４０による物品ＡＲ０の供給ラッシュが発生している可能性が高い。また、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）が停止している第一停止時間帯ＴＮ１が生じる回数が多く、かつ、物品移動装置４０が稼働している第二稼働時間帯ＴＤ２が短くなる（物品移動装置４０の稼働率が低くなる）ほど、物品移動装置４０が物品ＡＲ０を供給できない状態が発生している可能性が高い。

【0085】

保管装置５に対する物品ＡＲ０の補給は、作業者または無人搬送車（Ａｕｔｏｍａｔｉｃ Ｇｕｉｄｅｄ Ｖｅｈｉｃｌｅ）によって行われる。また、現在（図９に示す時刻Ｔ１）の生産計画で用いられる物品ＡＲ０は、それ以降の生産計画で用いられる物品ＡＲ０と比べて、供給の優先度が高い。そのため、物品移動装置４０が物品ＡＲ０を供給できない状態は、例えば、保管装置５に対基板作業機ＷＭが必要な物品ＡＲ０を保管していない場合、供給の優先度が低く生産計画の都合により第二スロット１２２に事前に物品ＡＲ０を供給できない場合などが想定される。このように、シミュレーション装置５０の利用者は、対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化と、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化とを容易に対比することができ、物品移動装置４０による物品ＡＲ０の供給および回収に関する課題を分析することができる。

【0086】

また、表示部５３は、基板製品の生産開始から生産終了までの生産時間帯ＴＰ０を生産計画ごとにタイムライン表示させることができる。例えば、図９に示す中段領域ＴＬ３では、生産計画ごとに生産時間帯ＴＰ０が表示される。表示装置７ＤＰは、例えば、生産時間帯ＴＰ０を青色で表示することができる。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化（第一稼働時間帯ＴＤ１および第一停止時間帯ＴＮ１）と、物品移動装置４０の稼働状況の経時変化（第二稼働時間帯ＴＤ２および第二停止時間帯ＴＮ２）と、生産時間帯ＴＰ０との関係を視認することができる。

【0087】

例えば、シミュレーション装置５０の利用者は、一の生産計画による生産時間帯ＴＰ０と、次の生産計画による生産時間帯ＴＰ０との間の時間帯に、段取り替え時間帯ＴＳ１２が発生する場合が多いことを認識することができる。また、シミュレーション装置５０の利用者は、上記の時間帯に段取り替え時間帯ＴＳ１２が発生しない場合に、回収時間帯ＴＳ３が発生していることを認識することができる。

【0088】

なお、表示装置７ＤＰは、図８に示す第二表示領域ＤＡ２に、物品移動装置４０の稼働率などを表示することができる。表示部５３は、模擬部５１によるシミュレーション結果に基づいて、時間ＴＭ１、時間ＴＭ２および稼働率ＬＲ１を表示装置７ＤＰに表示させることができる。時間ＴＭ１は、シミュレーションの全体の時間（積算時間）を示している。時間ＴＭ２は、物品移動装置４０の稼働時間（第二稼働時間帯ＴＤ２の積算時間）を示している。稼働率ＬＲ１は、物品移動装置４０の稼働率を示しており、時間ＴＭ２を時間ＴＭ１で除して算出される。

【0089】

また、表示部５３は、対基板作業機ＷＭおよび物品移動装置４０を備える基板生産ライン１を仮想空間に模擬表示して、タイムラインの時間経過に応じて、対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を立体的に表示させることができる（図６に示すステップＳ１８）。例えば、表示装置７ＤＰは、図８に示す第三表示領域ＤＡ３に、これらを表示することができる。

【0090】

図８では、タイムラインバーＴＢ０が示す時刻Ｔ１（図９を参照）における対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況および物品移動装置４０の稼働状況が立体的に表示（三次元表示）されている。タイムラインの時間経過に応じて、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況が経時変化し、物品移動装置４０の稼働状況が経時変化する。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の動作および物品移動装置４０の動作を模擬的に認識することができる。なお、図１に示す基板生産ライン１は、４つの対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）を備えているが、図８では、９つの対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）が図示されている。

【0091】

表示部５３は、リカバリ生産機ＷＭ０と、予定の生産計画に基づいて対基板作業を行っている対基板作業機ＷＭと、対基板作業を行わずに停止している対基板作業機ＷＭとを識別可能に表示させることができる。既述したリカバリ生産時間帯ＴＰ１と同様に、リカバリ生産機ＷＭ０は、対基板作業機ＷＭにおける物品ＡＲ０の不足によって予定の生産計画が変更されて変更後の生産計画に基づいて対基板作業を行っている対基板作業機ＷＭをいう。

【0092】

表示部５３は、例えば、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況を示す表示灯ＬＰ１を模擬的に表示させることができる。表示灯ＬＰ１は、対基板作業機ＷＭに設けられる表示灯を模擬したものであり、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）の稼働状況に応じて発光色が変化する。表示装置７ＤＰは、例えば、予定の生産計画に基づいて対基板作業を行っている対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）を緑色の表示灯ＬＰ１で表示することができる。表示装置７ＤＰは、例えば、リカバリ生産機ＷＭ０（部品装着機１０）を黄色の表示灯ＬＰ１で表示することができる。表示装置７ＤＰは、例えば、対基板作業を行わずに停止している対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）を赤色の表示灯ＬＰ１で表示することができる。なお、表示部５３は、物品移動装置４０の稼働状況を示す表示灯ＬＰ２を模擬的に表示させることもできる。

【0093】

表示部５３は、物品移動装置４０が保管装置５に保管されている物品ＡＲ０を供給すべき対基板作業機ＷＭに搬送して供給する供給動作、および、物品移動装置４０が対基板作業機ＷＭで不要になった物品ＡＲ０を保管装置５に搬送して回収する回収動作を立体的に表示させることができる。具体的には、表示部５３が表示装置７ＤＰに供給動作を表示させる場合、図８に示す物品移動装置４０は、保管装置５から、物品ＡＲ０を供給すべき対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）に向かって移動する。表示部５３が表示装置７ＤＰに回収動作を表示させる場合、物品移動装置４０は、対基板作業機ＷＭ（部品装着機１０）から、保管装置５に向かって移動する。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、物品移動装置４０の供給動作および回収動作を模擬的に視認することができる。

【0094】

また、本実施形態では、対基板作業機ＷＭは、基板製品の生産に使用する物品ＡＲ０を交換可能に保持する第一スロット１２１と、物品ＡＲ０を予備的に保持可能、または、回収する物品ＡＲ０を一時的に保持可能な第二スロット１２２とを備えている。また、物品移動装置４０は、第一スロット１２１と第二スロット１２２との間で物品ＡＲ０の交換作業を行う。この形態において、表示部５３は、第一スロット１２１における物品ＡＲ０の占有領域、および、第二スロット１２２における物品ＡＲ０の占有領域を立体的に表示させることができる。

【0095】

例えば、物品ＡＲ０がフィーダ２０の場合、図８に示すように、表示部５３は、フィーダ２０を模擬した直方体によって、第一スロット１２１における物品ＡＲ０の占有領域、および、第二スロット１２２における物品ＡＲ０の占有領域を立体的に表示させることができる。この場合、第一スロット１２１において、直方体が占有している領域が、第一スロット１２１におけるフィーダ２０の占有領域に相当する。第二スロット１２２において、直方体が占有している領域が、第二スロット１２２におけるフィーダ２０の占有領域に相当する。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、第一スロット１２１および第二スロット１２２における物品ＡＲ０（フィーダ２０）の占有状態若しくは空き状態を視認することができる。

【0096】

また、表示部５３は、装備されている物品ＡＲ０（この場合、フィーダ２０）に応じて表示色を変更させることもできる。表示装置７ＤＰは、例えば、初期配置されたフィーダ２０を緑色で表示することができる。表示装置７ＤＰは、例えば、フィーダ２０（フィーダ２０から供給される部品）の不足によって必要になったフィーダ２０を黄色で表示することができる。表示装置７ＤＰは、例えば、段取り替えによって必要になったフィーダ２０を赤色で表示することができる。表示装置７ＤＰは、例えば、次の生産計画に用いられるフィーダ２０を青色で表示することができる。上記の表示色は、タイムライン表示における表示色と一致している。なお、表示装置７ＤＰは、現在（図９に示す時刻Ｔ１）の生産計画に用いられるフィーダ２０と、次の生産計画以降の生産計画に用いられるフィーダ２０とを識別可能に表示することもできる。

【0097】

図１０は、第四表示領域ＤＡ４の表示例を示している。表示部５３は、出力部５２によって出力された時系列情報に基づいて、生産計画情報ＤＢ１、物品移動装置４０の動作状態情報ＤＢ２、カメラ情報ＤＢ３、物品移動装置４０の動作内容情報ＤＢ４、保持部４１の使用状態情報ＤＢ５および設定情報ＤＢ６などを表示装置７ＤＰに表示させることができる。

【0098】

生産計画情報ＤＢ１には、生産計画に関する情報が含まれる。生産計画は、識別番号によって識別されている。表示装置７ＤＰは、例えば、シミュレーションの現在（図９に示す時刻Ｔ１）の生産計画の識別番号と、生産計画の総数とを、生産計画情報ＤＢ１として表示することができる。物品移動装置４０の動作状態情報ＤＢ２には、物品移動装置４０の動作状態に関する文字情報が含まれる。表示装置７ＤＰは、例えば、シミュレーションの現在（図９に示す時刻Ｔ１）のステップ番号と、ステップの総数と、物品移動装置４０の動作状態（文字情報）とを、動作状態情報ＤＢ２として表示することができる。

【0099】

カメラ情報ＤＢ３には、図８に示す第三表示領域ＤＡ３において、表示装置７ＤＰが対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を立体的に表示する際の視線方向に関する情報が含まれる。本実施形態では、視線方向は、５つの方向を含む。表示装置７ＤＰは、指定された番号に規定されている視線方向から、対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を立体的に表示する。

【0100】

物品移動装置４０の動作内容情報ＤＢ４には、物品移動装置４０の動作内容に関する情報と、対象の物品ＡＲ０（例えば、フィーダ２０）に関する情報が含まれる。表示装置７ＤＰは、例えば、物品移動装置４０の移動中８１ａと、物品移動装置４０が保持部４１を用いて物品ＡＲ０（例えば、フィーダ２０）を搬出している搬出中８１ｂと、物品ＡＲ０を搬入している搬入中８１ｃとを選択的に表示することができる。表示装置７ＤＰは、第一対象８１ｄと、第二対象８１ｅと、第三対象８１ｆと、第四対象８１ｇとを選択的に表示することができる。第一対象８１ｄは、現在（図９に示す時刻Ｔ１）の生産計画に用いられる物品ＡＲ０についての作業を示している。第二対象８１ｅは、次の生産計画に用いられる物品ＡＲ０についての作業を示している。第三対象８１ｆは、次の次の生産計画に用いられる物品ＡＲ０についての作業を示している。第四対象８１ｇは、それ以降の生産計画に用いられる物品ＡＲ０についての作業を示している。

【0101】

また、表示装置７ＤＰは、段取り替えに用いられる物品ＡＲ０を示す第一用途８１ｈと、不足によって必要になった物品ＡＲ０を示す第二用途８１ｉと、不足してから必要になった物品ＡＲ０を示す第三用途８１ｊと、不足が予告された物品ＡＲ０を示す第四用途８１ｋとを選択的に表示することができる。

【0102】

保持部４１の使用状態情報ＤＢ５には、タイムラインバーＴＢ０が示す時刻Ｔ１（図９を参照）における保持部４１の使用状態に関する情報が含まれる。本実施形態では、物品移動装置４０は、図４に示す２つの保持部４１の各々が２つのフィーダ２０を保持してスロットに搬入またはスロットから搬出することができる。保持部４１が保持しているフィーダ２０は、識別番号１～識別番号４によって識別される。表示装置７ＤＰは、例えば、保持部４１が保持しているフィーダ２０の識別番号と、対象のスロット（第一スロット１２１または第二スロット１２２）を表示することができる。

【0103】

識別番号の表示は、保持部４１がフィーダ２０を保持してスロットに搬入している搬入状態またはスロットからフィーダ２０を搬出している搬出状態であること（保持部４１の使用中）を示している。識別番号の非表示は、保持部４１がフィーダ２０を保持していない状態であること（保持部４１の不使用）を示している。本実施形態では、物品移動装置４０は、物品ＡＲ０を保持して対基板作業機ＷＭとの間で物品ＡＲ０の搬入および搬出を行う保持部４１を備えている。この形態において、表示部５３は、保持部４１による物品ＡＲ０の搬入状態および搬出状態を表示させることができる。これにより、シミュレーション装置５０の利用者は、保持部４１の使用状態を認識することができる。

【0104】

設定情報ＤＢ６には、シミュレーションに関する種々の設定情報が含まれる。表示装置７ＤＰは、タッチパネルにより構成されており、表示装置７ＤＰは、利用者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ａを操作すると、シミュレーションの設定ファイルの選択が可能になる。シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ｂを操作すると、シミュレーションの再生速度（タイムラインの時間経過の速度）の設定が可能になる。シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ｃを操作すると、シミュレーションの再生速度が、減速（例えば、１／２倍）に設定される。シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ｄを操作すると、シミュレーションの再生が一時停止される。シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ｅを操作すると、シミュレーションの再生速度が、増速（例えば、２倍）に設定される。

【0105】

シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ｆを操作すると、シミュレーション結果を記録したファイルが表示される。シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ｇを操作すると、図８に示す第三表示領域ＤＡ３に表示される基板生産ライン１の表示（簡素化された表示または図８に示す表示）が変更される。シミュレーション装置５０の利用者が操作部８２ｈを操作すると、設定情報ＤＢ６の表示または非表示が変更される。

【0106】

２．その他
図１に示すように、本実施形態では、保管装置５は、基板生産ライン１に設けられ、物品移動装置４０は、交換システム３０の第一レール３１および第二レール３２によって形成される走行路に沿って走行することができる。しかしながら、保管装置５および物品移動装置４０は、上記形態に限定されるものではなく、種々の形態をとり得る。例えば、保管装置５は、基板生産ライン１から離間した位置に設けることができ、複数の基板生産ライン１に物品ＡＲ０を供給し、複数の基板生産ライン１から物品ＡＲ０を回収することもできる。

【0107】

また、例えば、物品移動装置４０は、無人搬送車を用いることができる。無人搬送車は、作業者による運転操作が不要な自動走行可能な搬送車（ＡＧＶ：Ａｕｔｏｍａｔｉｃ Ｇｕｉｄｅｄ Ｖｅｈｉｃｌｅ）である。物品移動装置４０である無人搬送車は、例えば、基板生産ライン１から離間した位置に設けられる保管装置と、対基板作業機ＷＭ（例えば、部品装着機１０）との間を走行することができる。なお、無人搬送車は、複数の走行経路が想定される場合がある。

【0108】

また、複数の無人搬送車が走行する場合、複数の無人搬送車において優先度が設定される場合がある。例えば、段取り替えのために物品ＡＲ０を搬送する無人搬送車の優先度と比べて、物品ＡＲ０の不足の発生によって物品ＡＲ０を搬送する無人搬送車の優先度は、高く設定される。また、保管装置が複数の基板生産ライン１に物品ＡＲ０を供給する場合、搬送先の基板生産ライン１における生産優先度に応じて、無人搬送車の優先度が設定される場合もある。さらに、物品ＡＲ０を回収する無人搬送車の優先度と比べて、物品ＡＲ０を供給する無人搬送車の優先度は、高く設定される。このように、物品移動装置４０が無人搬送車の場合、模擬部５１は、無人搬送車の走行経路および優先度、他の無人搬送車の稼働状況、他の基板生産ライン１の稼働状況などを含めて、対基板作業機ＷＭの稼働状況および物品移動装置４０の稼働状況をシミュレーションすることができる。

【0109】

３．シミュレーション方法
シミュレーション装置５０について既述したことは、シミュレーション方法についても同様に言える。具体的には、シミュレーション方法は、模擬工程と、出力工程とを備えている。模擬工程は、模擬部５１が行う制御に相当する。出力工程は、出力部５２が行う制御に相当する。シミュレーション方法は、表示工程をさらに備えることができる。表示工程は、表示部５３が行う制御に相当する。

【0110】

４．実施形態の効果の一例
シミュレーション装置５０は、模擬部５１および出力部５２を備える。よって、シミュレーション装置５０は、対基板作業機ＷＭの稼働状況の経時変化および物品移動装置４０の稼働状況の経時変化を出力することができる。シミュレーション装置５０について上述したことは、シミュレーション方法についても同様に言える。

【符号の説明】

【0111】

１：基板生産ライン、１２１：第一スロット、１２２：第二スロット、
４０：物品移動装置、４１：保持部、５：保管装置、
５０：シミュレーション装置、５１：模擬部、５２：出力部、
５３：表示部、７ＤＰ：表示装置、９０：基板、ＡＲ０：物品、
ＴＤ１：第一稼働時間帯、ＴＮ１：第一停止時間帯、
ＴＤ２：第二稼働時間帯、ＴＮ２：第二停止時間帯、
ＴＰ０：生産時間帯、ＴＰ１：リカバリ生産時間帯、
ＴＳ１：第一供給時間帯、ＴＳ２：第二供給時間帯、
ＴＳ３：回収時間帯、ＷＭ：対基板作業機、ＷＭ０：リカバリ生産機。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】