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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】保管庫
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20221006BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021552078
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2019041124
(87)【国際公開番号】W WO2021075050
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明伸
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/142336(WO,A1)
【文献】特表2018-501167(JP,A)
【文献】特開2008-33049(JP,A)
【文献】特開2018-16434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0073159(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品を入庫するときに前記物品が一時的に載置される載置部と、
作業者が前記物品を前記載置部に載置するときに、外形寸法が互いに異なる前記物品の種類ごとの載置位置を前記載置部に表示させて、入庫する前記物品を載置可能な前記載置位置を案内する案内部と、
前記物品を収納する収納部と、
前記載置部に載置された前記物品を前記収納部に移動させる移動部と、
を備える保管庫。
【請求項2】
前記案内部は、投影装置を用いて、前記載置部の上方から前記物品の種類ごとの外形形状を投影させる請求項1に記載の保管庫。
【請求項3】
前記載置部は、水平面に対して上方に所定角度傾斜しており、
前記案内部は、前記作業者が前記載置部に投影された前記物品の前記外形形状を視認できるように、前記載置部の傾斜角度に合わせて前記載置部に投影する前記外形形状を変形させる請求項2に記載の保管庫。
【請求項4】
前記案内部は、発光装置を用いて、前記物品の種類ごとの外形形状に沿って前記載置部に配置されている発光素子を発光させる請求項1に記載の保管庫。
【請求項5】
前記案内部は、前記物品の前記外形形状ごとに、光色を変更させる請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の保管庫。
【請求項6】
前記案内部は、前記物品の前記外形形状と共に、前記物品に関する関連情報を表示させる請求項2~請求項5のいずれか一項に記載の保管庫。
【請求項7】
前記案内部は、前記作業者の使用言語に合致した言語で前記物品の前記関連情報を表示させる請求項6に記載の保管庫。
【請求項8】
前記移動部は、移動装置を用いて、前記物品を前記収納部に移動させ、
前記案内部は、前記載置部に前記物品が載置されておらず、且つ、前記移動装置の前記載置部における現在の作業または所定期間の作業予定がない表示条件が成立するときに、前記物品の種類ごとの前記載置位置を表示させる請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の保管庫。
【請求項9】
前記案内部は、前記表示条件が成立しなくなってから所定時間が経過したときに、前記載置位置の表示を中止させる請求項8に記載の保管庫。
【請求項10】
前記物品が入庫する開口部を介した前記作業者による前記物品の入庫作業を検出する作業者検出器をさらに備え、
前記案内部は、前記作業者検出器によって前記作業者による前記物品の前記入庫作業が検出されているときに、前記所定時間の延長または前記所定時間の経過後の前記載置位置の再表示を行わせる請求項9に記載の保管庫。
【請求項11】
前記載置部に載置された前記物品を撮像する撮像装置と、
前記載置部に載置された前記物品の少なくとも一部分を前記撮像装置に撮像させて、前記撮像装置が取得した画像データを画像処理して前記物品の前記外形寸法を取得する取得部と、
をさらに備え、
前記案内部は、前記撮像装置が前記物品を撮像するときに、前記載置位置の表示を中止させる請求項8~請求項10のいずれか一項に記載の保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、保管庫に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の部品管理支援システムは、撮影部と、表示部と、支援情報表示処理部とを備えており、作業者による部品置き場への部品の出し入れを支援しようとしている。具体的には、表示部は、撮影部により撮影されている情報に基づいて、部品置き場の映像または作業者の視野に、部品置き場への部品の出し入れを支援するための支援情報を重ねて表示する。また、支援情報表示処理部は、表示部に支援情報を重ねて表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-56253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入庫した物品を収納部に収納する収納作業が自動化されている保管庫では、物品を移動する移動装置が当該物品を取り扱うことができるように、作業者は、物品を所定の載置位置に載置する必要がある。また、保管庫に入庫する物品は、種類によって外形寸法が異なる場合があり、外形寸法に応じて載置位置が指定される場合がある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、入庫した物品を収納部に収納する収納作業が自動化されている保管庫であって、外形寸法が互いに異なる物品の種類ごとの載置位置を作業者に案内可能な保管庫を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、載置部と、案内部と、収納部と、移動部とを備える保管庫を開示する。前記載置部は、基板に所定の対基板作業を行う対基板作業機に用いられる物品を入庫するときに前記物品が一時的に載置される。前記案内部は、作業者が前記物品を前記載置部に載置するときに、外形寸法が互いに異なる前記物品の種類ごとの載置位置を前記載置部に表示させて、入庫する前記物品を載置可能な前記載置位置を案内する。前記収納部は、前記物品を収納する。前記移動部は、前記載置部に載置された前記物品を前記収納部に移動させる。
【発明の効果】
【0007】
上記の保管庫によれば、載置部と、案内部と、収納部と、移動部とを備えている。よって、上記の保管庫は、入庫した物品を収納部に収納する収納作業が自動化され、且つ、外形寸法が互いに異なる物品の種類ごとの載置位置を作業者に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】基板生産設備の構成例を示す構成図である。
図2】着荷部において物品が収容ケースに収容されている状態の一例を示す平面図である。
図3A】保管庫の一例を示す正面図である。
図3B図3Aの保管庫の平面図である。
図3C図3Aの保管庫の斜視図である。
図4図3Cの保管庫の矢印IV方向視の側面図である。
図5】保管庫の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図6A】物品の入庫作業における制御手順の一例を示すフローチャートである。
図6B】物品の出庫作業における制御手順の一例を示すフローチャートである。
図7】載置部に投影される物品の種類ごとの載置位置および外形形状の一例を示す模式図である。
図8】投光方向と外形形状の関係の一例を示す模式図である。
図9】発光素子が発光することにより、物品の種類ごとの載置位置および外形形状が表示される形態の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
図1に示すように、本実施形態の保管庫40は、基板生産設備80に設けられている。基板生産設備80は、対基板作業ライン10Lと、着荷部20と、搬送車30と、保管庫40とを備えている。
【0010】
1-1.対基板作業ライン10L
対基板作業ライン10Lでは、基板90に所定の対基板作業を行う。対基板作業ライン10Lを構成する対基板作業機10の種類および数は、限定されない。図1に示すように、本実施形態の対基板作業ライン10Lは、印刷機10a、印刷検査機10b、部品装着機10c、リフロー炉10dおよび外観検査機10eの複数(5つ)の対基板作業機10を備えており、基板90は、基板搬送装置によって、この順に搬送される。
【0011】
印刷機10aは、基板90の複数の部品の装着位置に、はんだを印刷する。基板90に印刷されるはんだは、所定の粘性を有し、はんだは、基板90と、基板90に装着される部品とを接合する接合材として機能する。図2に示すように、はんだ容器21dは、はんだを収容している。はんだ容器21dは、例えば、有底筒状またはチューブ状の密閉可能な容器を用いることができる。
【0012】
印刷検査機10bは、印刷機10aによって印刷されたはんだの印刷状態を検査する。部品装着機10cは、はんだが印刷された基板90に複数の部品を装着する。部品装着機10cは、一つであっても良く、複数であっても良い。部品装着機10cが複数設けられる場合は、複数の部品装着機10cが分担して、基板90に複数の部品を装着することができる。
【0013】
部品装着機10cは、基板90に装着される部品を供給する部品供給装置を備えている。部品供給装置は、例えば、図2に示すリール21aを備えるフィーダ21b、トレイ21cなどを用いて部品を供給することができる。リール21aは、部品を収容する部品テープ(キャリアテープ)が巻回されている。リール21aは、フィーダ21bに回転可能かつ着脱可能に設けられる。部品テープの先端部が、フィーダ21bに設けられる部品取出し部まで引き出されて、部品が順次供給される。
【0014】
リール21aは、例えば、チップ部品などの比較的小型の部品を供給することができる。トレイ21cには、部品が配列されている。トレイ21cは、例えば、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)などの比較的大型の部品を供給することができる。リフロー炉10dは、部品装着機10cによって複数の部品が装着された基板90を加熱し、はんだを溶融させて、はんだ付けを行う。外観検査機10eは、部品装着機10cによって装着された複数の部品の装着状態などを検査する。
【0015】
このように、対基板作業ライン10Lは、複数(5つ)の対基板作業機10を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品を生産することができる。なお、対基板作業ライン10Lは、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などの対基板作業機10を必要に応じて備えることもできる。
【0016】
対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10および管理装置19は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。管理装置19は、対基板作業ライン10Lを構成する複数(5つ)の対基板作業機10の制御を行い、対基板作業ライン10Lの動作状況を監視する。管理装置19には、複数(5つ)の対基板作業機10を制御する種々の制御データが記憶されている。管理装置19は、複数(5つ)の対基板作業機10の各々に制御データを送信する。また、複数(5つ)の対基板作業機10の各々は、管理装置19に動作状況および生産状況を送信する。
【0017】
1-2.着荷部20および搬送車30
物品21が着荷部20に到着すると、所定の着荷作業が行われる。そして、物品21は、例えば、収容ケース23に収容されて搬送車30に搭載され、保管庫40に搬送される。物品21は、保管庫40に保管された後、必要に応じて対基板作業ライン10Lに供給される。
【0018】
既述したように、対基板作業ライン10Lは、印刷機10aを備えている。この場合、例えば、はんだを収容しているはんだ容器21dは、物品21に相当する。また、対基板作業ライン10Lは、部品装着機10cを備えている。この場合、部品を収容する部品テープが巻回されているリール21aは、物品21に相当する。
【0019】
また、リール21aが回転可能かつ着脱可能に設けられるフィーダ21bは、物品21に相当する。さらに、部品が配列されているトレイ21cは、物品21に相当する。また、部品を保持する保持部材は、物品21に相当する。保持部材には、例えば、吸着ノズル、チャックなどが含まれる。さらに、保持部材を収容する保持部材収容装置(例えば、ノズルステーション)は、物品21に相当する。このように、物品21は、基板90に所定の対基板作業を行う対基板作業機10に用いられるものであれば良く、限定されない。
【0020】
物品21には、識別コード22が設けられる。識別コード22には、物品21を識別する識別情報が記憶される。識別コード22は、例えば、一次元コード、二次元コード、無線タグなどを用いることができる。着荷部20に物品21が到着すると、着荷部20の作業者は、例えば、物品管理装置を用いて、識別情報を発行する。また、作業者は、バーコードリーダなどを用いて、供給元(ベンダ)によって物品21に設けられているバーコードなどを読み取る。そして、作業者は、物品21に関する物品情報が登録されているデータベースから、当該物品21の物品情報を取得することもできる。作業者は、物品管理装置を用いて、識別情報および物品情報のうちの少なくとも識別情報を識別コード22に記憶させる。
【0021】
着荷部20の作業者は、少なくとも識別情報が記憶されている識別コード22を物品21に取り付けて、物品21を収容ケース23に収容する。収容ケース23は、少なくとも一つの物品21を収容することができれば良く、種々の形態をとり得る。また、収容ケース23には、特定コード24が設けられている。特定コード24には、収容ケース23を特定する特定情報が記憶されている。特定コード24は、例えば、一次元コード、二次元コード、無線タグなどを用いることができる。
【0022】
作業者は、物品21を収容ケース23に収容するときに、特定コード24を読み取り装置を用いて読み取り、当該物品21に設けられている識別コード22を読み取り装置を用いて読み取る。これにより、物品21を収容する収容ケース23を特定する特定情報と、当該物品21を識別する識別情報との間の対応関係が生成され、対応関係が管理装置19の記憶部に送信され記憶される。
【0023】
着荷部20の作業者は、物品21が収容された収容ケース23を搬送車30に搭載する。搬送車30は、例えば、作業者が牽引することができる。また、搬送車30は、例えば、自動走行可能な無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)を用いることもできる。本実施形態の搬送車30は、無人搬送車である。対基板作業ライン10L、着荷部20、搬送車30および保管庫40は、有線または無線の通信部によって、互いに通信可能に設けられている。搬送車30に物品21が搭載されると、管理装置19は、搬送車30に搬送指令を送信する。搬送指令には、物品21の搬送先が含まれる。管理装置19は、当該物品21を収納可能な保管庫40を選定して搬送先を決定する。搬送車30は、搬送指令を受信すると、搬送先に指定された保管庫40に物品21を搬送する。
【0024】
なお、搬送車30は、収容ケース23を用いることなく、物品21を搬送することもできる。また、搬送車30を用いることなく、作業者が物品21を搬送することもできる。さらに、上述した作業者が行う作業の少なくとも一部は、搬送装置(例えば、ベルトコンベアなど)、アクチュエータ(例えば、ロボットアームなど)、物品管理装置などを用いて自動化することもできる。
【0025】
1-3.保管庫40
保管庫40は、物品21を保管することができれば良く、種々の形態をとり得る。図3A図3Cに示すように、本実施形態の保管庫40は、例えば、八角柱形状に形成されている。なお、図3Cでは、保管庫40の上部が開放されており、保管庫40の内部の様子が示されている。また、図4は、図3Cに示す矢印IV方向から視た保管庫40の内部の模式図であり、入庫部41および収納部42の位置関係が主に図示されている。
【0026】
保管庫40は、入庫部41と、収納部42と、制御装置40aと、移動装置40bとを備えている。入庫部41は、開口部41aと、載置部40cとを備えている。収納部42は、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の二種類の収納ユニットを備えている。また、保管庫40は、入庫部41に作業者検出器41bを備えることができる。さらに、保管庫40は、投影装置43または発光装置44を備えることができる。また、保管庫40は、測定装置45を備えることができ、撮像装置46を備えることもできる。
【0027】
図5に示すように、制御装置40aは、制御ブロックとして捉えると、移動部51と、案内部52と、取得部53とを備えている。なお、保管庫40は、読み取り装置40dを備えることもできる。また、保管庫40は、表示装置40eを備えることもできる。図3A図3C図4および図5に示すように、本実施形態の保管庫40は、図9に示す発光装置44を除く上述した装置および部位をすべて備えている。また、撮像装置46は、読み取り装置40dと兼用されている。
【0028】
1-3-1.保管庫40の概略構成
入庫部41は、開口部41aと、作業者検出器41bと、載置部40cとを備えており、物品21が少なくとも入庫する。図3Aに示すように、保管庫40の正面には、開口部41aが設けられている。物品21は、開口部41aを介して保管庫40に入庫する。本実施形態の開口部41aは、物品21が入庫可能または出庫可能な入出庫兼用口であり、物品21は、開口部41aを介して出庫することもできる。開口部41aは、物品21が入庫可能または出庫可能に物品21より大形に形成されている。また、保管庫40は、開口部41aと異なる開口部に出庫口を設けることもできる。
【0029】
図3Bおよび図4に示すように、作業者検出器41bおよび載置部40cは、開口部41aの近傍の作業スペースに設けられている。作業者検出器41bは、物品21が入庫する開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業を検出する。作業者検出器41bは、作業者による物品21の入庫作業を検出することができれば良く、種々の形態をとり得る。作業者検出器41bは、例えば、投光器および受光器を備える光センサ(例えば、レーザセンサ)などを用いることができる。この場合、作業者検出器41bは、投光器から受光器に照射されているレーザ光が作業者によって遮光されることによって、作業者による物品21の入庫作業を検出することができる。
【0030】
載置部40cは、開口部41aを介して物品21を入庫するときに物品21が一時的に載置される。開口部41aを介して物品21を搬入し載置部40cに載置する物品21の入庫作業は、作業者によって行われる。また、載置部40cには、開口部41aを介して出庫する物品21が載置される。載置部40cに載置されている物品21を、開口部41aを介して搬出する物品21の出庫作業は、入庫作業と同様に作業者によって行われる。
【0031】
図4に示すように、載置部40cの上方には、読み取り装置40dが設けられている。読み取り装置40dは、物品21に設けられる識別コード22を読み取って物品21を識別する識別情報を取得する。読み取り装置40dは、公知の読み取り装置(例えば、一次元コード、二次元コードを読み取るコードリーダ、無線タグと無線通信を行う無線リーダなど)を用いることができる。読み取り装置40dは、開口部41aを介して物品21が入庫したときに、物品21に設けられる識別コード22を読み取って、識別情報および物品情報のうちの少なくとも識別情報を取得することができる。
【0032】
収納部42は、物品21を収納する。収納部42は、物品21を収納することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、物品21がリール21aの場合、図3Cおよび図4に示すように、収納部42は、本体部42aと、仕切り部42bとを備えると良い。本体部42aは、鉛直方向(Z軸方向)視においてU字形状に形成されている。仕切り部42bは、本体部42aに対して所定の角度で上方に突出するように設けられており、リール21aを収納することができる。仕切り部42bの角度は、リール21aの脱落を抑制可能に設定される。
【0033】
また、各収納ユニットの仕切り部42bは、複数対(図4では、15対30個)設けられており、複数(15個)のリール21aを収納することができる。複数対(15対)の仕切り部42bの各々は、移動装置40bと干渉しないように、2つの仕切り部42bが離間して設けられている。なお、図3Cおよび図4では、図示の便宜上、一部の部材に符号番号が付されており、すべての部材に符号番号が付されていない。
【0034】
図3Bおよび図3Cに示すように、本実施形態の収納部42は、鉛直方向(Z軸方向)視において楕円状に配置されている。また、本実施形態の収納部42は、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の二種類の収納ユニットを備えており、第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2の各々は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って複数設けられている。第一収納ユニット42t1は、第二収納ユニット42t2と比べて幅広に形成されており、第二収納ユニット42t2が収納可能なリール21aと比べて大型のリール21aを収納することができる。
【0035】
図3Cおよび図4に示すように、第一収納ユニット42t1は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。また、第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって鉛直方向(Z軸方向)に沿って連結されている。さらに、隣接する第一収納ユニット42t1同士は、連結部42jによって連結され、隣接する第二収納ユニット42t2同士は、連結部42jによって連結されている。また、隣接する第一収納ユニット42t1と第二収納ユニット42t2は、連結部42jによって連結されている。
【0036】
なお、収納ユニットの種類、数および配置は、適宜変更することができる。また、収納ユニットは、収納する物品21に合わせて形状およびサイズ(幅、奥行き、および、高さ)を設定することができ、収納部42は、リール21a以外の物品21を収納することもできる。さらに、物品21は、適合するいずれの収納ユニットに収納しても良く、基板生産設備80が複数の保管庫40を備える場合、適合する収納ユニットを備える保管庫40であれば、いずれの保管庫40に保管しても良い。
【0037】
制御装置40aは、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置40aは、移動装置40b、読み取り装置40dと兼用される撮像装置46、表示装置40e、作業者検出器41b、投影装置43および測定装置45と通信可能に設けられており、これらを制御することができる。また、保管庫40が投影装置43の代わりに図9に示す発光装置44を備える場合、制御装置40aは、発光装置44を制御することができる。
【0038】
なお、制御装置40aは、物品21に関する物品情報を記憶することができ、当該物品情報を管理装置19に通知することもできる。例えば、物品21がリール21aの場合、物品情報は、リール21aに収容されている部品の部品種、部品数(残数)、リール径、リール厚み、型式および供給元(ベンダ)、使用期限などを含むことができる。
【0039】
移動装置40bは、入庫部41に入庫した物品21を収納部42に移動する。具体的には、移動装置40bは、物品21の入庫作業において載置部40cに載置された物品21を収納部42に移動する。また、移動装置40bは、物品21を出庫するときに収納部42に収納されている物品21を載置部40cに移動することもできる。これにより、物品21の出庫作業が可能になる。
【0040】
図3Bおよび図3Cに示すように、本実施形態の移動装置40bは、鉛直方向(Z軸方向)視において、収納ユニット(第一収納ユニット42t1および第二収納ユニット42t2)より内側に設けられている。移動装置40bは、物品21を移動することができれば良く、種々の形態をとり得る。移動装置40bは、例えば、ロボットアーム(多関節ロボット)、昇降スライド機構などを用いることができる。例えば、物品21がリール21aの場合、図3Cに示すように、移動装置40bは、昇降部40b1と把持部40b2を備えると良い。
【0041】
昇降部40b1は、鉛直方向(Z軸方向)に沿った軸線回りに回転することができ、鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降することができる。把持部40b2は、図4に示す載置部40cの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することができる。また、把持部40b2は、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1と同じ角度で、前進または後退することができる。
【0042】
このように、本実施形態の保管庫40は、載置部40cの傾斜角度θ1と、収納部42の仕切り部42bの傾斜角度θ1とが一致している。よって、本実施形態の保管庫40は、載置部40cからリール21aを取り出すときの入庫時取り出し作業と、取り出したリール21aを収納部42に収納するときの入庫時収納作業とを、移動装置40bの昇降動作、回転動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。また、本実施形態の保管庫40は、収納ユニットからリール21aを取り出すときの出庫時取り出し作業と、取り出したリール21aを載置部40cに送出するときの出庫時送出作業とを、移動装置40bの昇降動作、回転動作、前進動作および後退動作によって行うことができる。
【0043】
表示装置40eは、公知の表示装置を用いることができ、作業者が各種データを視認可能に表示する。表示装置40eは、例えば、収納部42に収納されている物品21に関する物品情報などを作業者の操作に応じて表示する。なお、本実施形態の表示装置40eは、タッチパネルによって構成されており、表示装置40eは、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。
【0044】
また、制御装置40aは、収納部42における物品21の位置情報、入出庫情報および保管情報を記憶することができ、表示装置40eは、これらの情報を表示することもできる。位置情報は、物品21の収納場所を示す。入出庫情報は、物品21の入庫日時および出庫日時を示す。保管情報には、例えば、収納部42の雰囲気温度、収納部42の湿度などの情報が含まれる。制御装置40aは、物品21の収納時に物品21の位置情報および入庫日時を記憶する。制御装置40aは、物品21の保管中に保管情報を記憶する。制御装置40aは、物品21の出庫時に物品21の出庫日時を記憶する。
【0045】
1-3-2.物品21の入出庫の制御例
図5に示すように、制御装置40aは、制御ブロックとして捉えると、移動部51と、案内部52と、取得部53とを備えている。また、制御装置40aは、図6Aおよび図6Bに示すフローチャートに従って、制御プログラムを実行する。図6Aは、物品21の入庫作業における制御手順の一例を示し、図6Bは、物品21の出庫作業における制御手順の一例を示している。
【0046】
移動部51は、載置部40cに載置された物品21を収納部42に移動させる。具体的には、移動部51は、物品21の入庫作業において載置部40cに載置された物品21を、移動装置40bを用いて収納部42に移動させる。また、移動部51は、物品21を出庫するときに収納部42に収納されている物品21を、移動装置40bを用いて載置部40cに移動させることもできる。移動部51は、移動装置40bを駆動制御して、物品21を移動させる。
【0047】
開口部41aと載置部40cとの間には、前扉が設けられている。制御装置40aは、例えば、移動装置40bの載置部40cにおける現在の作業または所定期間の作業予定があるときに、開口部41aを介した物品21の入庫作業または出庫作業を禁止する。このとき、制御装置40aは、前扉を閉状態に制御する。逆に、制御装置40aは、移動装置40bの載置部40cにおける現在の作業または所定期間の作業予定がないときに、開口部41aを介した物品21の入庫作業または出庫作業を許可する。このとき、制御装置40aは、前扉を開状態に制御することができる。
【0048】
物品21(例えば、リール21a)を入庫する場合、例えば、作業者は、タッチパネル(入力装置として機能する表示装置40e)を用いて、前扉の開動作を指示する。制御装置40aは、物品21の入庫作業が許可されるときに、前扉の開動作を行う(図6Aに示すステップS11)。前扉が開状態になると、作業者は、開口部41aを介して載置部40cの所定の載置位置P1にリール21aを載置する(ステップS12)。このとき、後述するように、案内部52は、外形寸法が互いに異なるリール21aの種類ごとの載置位置P1,P2,P3を載置部40cに表示させて、入庫するリール21aを載置可能な載置位置P1を案内する。作業者は、リール21aの入庫作業が終了すると、タッチパネルを用いて、入庫作業の終了を制御装置40aに知らせる。入庫作業の終了が報知されると、制御装置40aは、前扉の閉動作を行う(ステップS13)。
【0049】
前扉が閉状態に制御されると、移動部51は、移動装置40bの把持部40b2を載置部40cに移動させる(ステップS14)。具体的には、移動装置40bの昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が載置部40cに載置されているリール21aに到達するように、必要に応じて回転して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降させる。次に、把持部40b2は、前進してリール21aを把持して、リール21aを把持した状態で後退する(ステップS15)。
【0050】
上記の入庫時取り出し作業の後に、移動部51は、リール21aを収納する収納部42に把持部40b2を移動させる(ステップS16)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が所定の収納場所(第一収納ユニット42t1または第二収納ユニット42t2の一対の仕切り部42b)に到達するように、必要に応じて回転して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。次に、把持部40b2は、前進してリール21aを当該収納場所(一対の仕切り部42b)に挿入して、リール21aの把持を解除し後退する(ステップS17)。上記の入庫時収納作業によって、物品21であるリール21aは、収納部42に収納される。
【0051】
物品21(例えば、リール21a)を出庫する場合、例えば、作業者は、タッチパネルを用いて保管庫40から出庫させる所望のリール21aを指定する。移動部51は、指定されたリール21aが収納されている収納部42に把持部40b2を移動させる(図6Bに示すステップS21)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2が所望の収納場所(一対の仕切り部42b)に収納されているリール21aに到達するように、必要に応じて回転して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。
【0052】
次に、把持部40b2は、前進して当該収納場所(一対の仕切り部42b)に収納されているリール21aを把持して、リール21aを把持した状態で後退する(ステップS22)。上記の出庫時取り出し作業の後に、移動部51は、把持部40b2を載置部40cに移動させる(ステップS23)。具体的には、昇降部40b1は、把持部40b2が前進したときに把持部40b2によって把持されているリール21aが載置部40cに到達するように、必要に応じて回転して鉛直方向(Z軸方向)に沿って把持部40b2を昇降する。
【0053】
次に、把持部40b2は、前進してリール21aを載置部40cに移動して、リール21aの把持を解除し後退する(ステップS24)。上記の出庫時送出作業が終了すると、載置部40cと移動装置40bとの間に設けられる後扉が閉鎖される。そして、制御装置40aは、前扉の開動作を行い、作業者は、開口部41aを介したリール21aの出庫作業が可能になる(ステップS25)。
【0054】
1-3-3.物品21の載置位置の案内例
案内部52は、作業者が物品21を載置部40cに載置するときに、外形寸法が互いに異なる物品21の種類ごとの載置位置P1,P2,P3を載置部40cに表示させて、入庫する物品21を載置可能な載置位置P1を案内する。
【0055】
例えば、案内部52は、図4に示す投影装置43を用いて、載置部40cの上方から物品21の種類ごとの外形形状SP1,SP2,SP3を投影させることができる。投影装置43は、例えば、プロジェクタなどの公知の投影装置を用いることができる。図7は、載置部40cに投影されている物品21(リール21a)の種類ごとの載置位置P1,P2,P3および外形形状SP1,SP2,SP3の一例を示している。
【0056】
具体的には、案内部52は、投影装置43を用いて、リール径が直径D11で示されるリール21aの外形形状SP1を載置部40cに投影させて、当該リール21aの載置位置P1を載置部40cに表示させる。また、案内部52は、投影装置43を用いて、外形形状SP1のリール21aより大径のリール21aの外形形状SP2を載置部40cに投影させて、当該リール21aの載置位置P2を載置部40cに表示させる。
【0057】
さらに、案内部52は、投影装置43を用いて、外形形状SP2のリール21aより大径のリール21aの外形形状SP3を載置部40cに投影させて、当該リール21aの載置位置P3を載置部40cに表示させる。物品21がリール21aの場合、外形形状SP1,SP2,SP3の各々は、円形であり、本実施形態では、直径の異なる三つの同心円が投影されている。なお、投影される外形形状SP1,SP2,SP3の各々は、円形の一部(円弧)であっても良い。
【0058】
作業者は、例えば、リール径が直径D11で示されるリール21aを載置部40cに載置するときに、投影されている外形形状SP1に合わせてリール21aを載置することにより、載置すべき載置位置P1に当該リール21aを載置することができる。このことは、作業者が載置位置P2に載置すべきリール21aを載置する場合についても同様に言える。また、このことは、作業者が載置位置P3に載置すべきリール21aを載置する場合についても同様に言える。なお、案内部52が載置部40cに表示させる載置位置の種類数(外形寸法が互いに異なるリール21aの種類数)は、三種類に限定されず、一種類であっても良く、三種類以外の複数種類であっても良い。
【0059】
また、図4に示すように、本実施形態の載置部40cは、水平面に対して上方に所定角度(傾斜角度θ1)傾斜している。このとき、投影装置43がリール21aの外形形状SP1,SP2,SP3を投影する際の投光方向によっては、作業者がリール21aの外形形状SP1,SP2,SP3を正しく視認できない可能性がある。例えば、投光方向がリール21aの回転軸AX0に沿った方向(図4参照)である場合、投影装置43が円形を投光すると、載置部40cには図8に示す円形SP10が投影され、作業者は、リール21aの外形形状として円形SP10を視認することができる。
【0060】
しかしながら、例えば、投光方向が鉛直方向(Z軸方向)に沿った方向である場合、投影装置43が円形を投光すると、載置部40cには図8に示す楕円形SP11が投影され、作業者は、リール21aの外形形状として円形SP10を視認することができない。そこで、案内部52は、作業者が載置部40cに投影された物品21の外形形状SP1,SP2,SP3を視認できるように、載置部40cの傾斜角度θ1に合わせて載置部40cに投影する外形形状SP1,SP2,SP3を変形させると良い。これにより、作業者は、載置部40cに投影された物品21の外形形状SP1,SP2,SP3を視認することができる。
【0061】
上記の例では、案内部52は、投影装置43を用いて、鉛直方向(Z軸方向)に沿った方向から図8に示す楕円形SP12を投光する。これにより、載置部40cには図8に示す円形SP10が投影され、作業者は、リール21aの外形形状として円形SP10を認識することができる。楕円形SP12の長径(長軸の長さ)は、円形SP10の直径と一致するように設定される。また、楕円形SP12の短径(短軸の長さ)は、載置部40cに投影されたときに円形SP10になるように設定される。載置部40cの傾斜角度θ1が大きくなるほど、楕円形SP12の短径は、小さく設定される。
【0062】
また、案内部52は、物品21の外形形状SP1,SP2,SP3ごとに、光色を変更させることもできる。具体的には、案内部52は、投影装置43を用いて、所定の波長(第一波長)の光線で外形形状SP1を投影する。また、案内部52は、投影装置43を用いて、第一波長と異なる所定の波長(第二波長)の光線で外形形状SP2を投影する。さらに、案内部52は、投影装置43を用いて、第一波長および第二波長と異なる所定の波長(第三波長)の光線で外形形状SP3を投影する。これにより、作業者は、物品21の種類ごとの外形形状SP1,SP2,SP3を識別し易くなる。
【0063】
さらに、案内部52は、物品21の外形形状SP1,SP2,SP3と共に、物品21に関する関連情報RI1,RI2,RI3を表示させることもできる。これにより、作業者は、関連情報RI1,RI2,RI3を参照しつつ、物品21の種類ごとの外形形状SP1,SP2,SP3を視認することができる。関連情報RI1,RI2,RI3は、物品21に関する情報であれば良く、限定されない。
【0064】
例えば、物品21がリール21aの場合、関連情報RI1,RI2,RI3は、複数種類(この場合、三種類)のリール21aのリール径、リール厚み、リール21aに収容されている部品の部品種、型式、供給元(ベンダ)などを含むことができる。リール径は、物品21の幅寸法および奥行き寸法に相当し、リール厚みは、物品21の高さ寸法に相当する。このように、関連情報RI1,RI2,RI3は、物品21の外形寸法に関する情報を含むことができる。この場合、作業者は、物品21の外形寸法に関する情報を参照することができ、外形寸法が互いに異なる物品21の種類ごとの載置位置P1,P2,P3を視認し易くなる。
【0065】
また、案内部52は、作業者の使用言語に合致した言語で物品21の関連情報RI1,RI2,RI3を表示させることもできる。これにより、例えば、使用言語が異なる複数の作業者が物品21の入庫作業を行う場合であっても、各作業者は、関連情報RI1,RI2,RI3を認識し易くなる。
【0066】
例えば、本実施形態の保管庫40は、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する表示装置40eを備えている。作業者は、表示装置40eを用いて、作業開始時に表示装置40eに表示する言語を選択することができる。案内部52は、例えば、作業開始時に作業者によって選択された言語で、物品21の関連情報RI1,RI2,RI3を表示させることができる。また、案内部52は、関連情報RI1,RI2,RI3を載置部40cに表示させる際に、表示装置40eを用いて、作業者に使用言語を入力させることもできる。
【0067】
載置部40cに物品21が既に載置されていると、作業者は、入庫する物品21を載置部40cに載置することができない。また、既述したように、移動装置40bの載置部40cにおける現在の作業または所定期間の作業予定がないときに、開口部41aを介した物品21の入庫作業が許可される。よって、案内部52は、載置部40cに物品21が載置されておらず、且つ、移動装置40bの載置部40cにおける現在の作業または所定期間の作業予定がない表示条件が成立するときに、物品21の種類ごとの載置位置P1,P2,P3を表示させることができる。これにより、案内部52は、載置位置P1,P2,P3の表示が必要なときに、載置位置P1,P2,P3を表示させることができる。
【0068】
なお、載置部40cに物品21が載置されているか否かは、例えば、測定装置45の測定結果を用いて判断することができる。図4に示す測定装置45は、入庫部41に入庫した物品21の上方から物品21の外形寸法を測定する。測定装置45は、例えば、超音波センサ、光センサ、三次元測定機器などの公知の測定機器を用いることができる。測定装置45として超音波センサを用いる場合、測定装置45は、載置部40cに載置された物品21の上方から超音波を発信し受信する。具体的には、測定装置45は、物品21の上方に設けられるヘッドから物品21に対して鉛直方向(Z軸方向)に沿って超音波を発信する。そして、測定装置45は、物品21で反射された超音波をヘッドで受信する。
【0069】
測定装置45は、物品21に超音波を発信してから物品21で反射された超音波を受信するまでの時間を測定して、ヘッドから物品21までの距離を測定する。そして、測定装置45は、予め取得されているヘッドから載置部40cまでの距離から、測定されたヘッドから物品21までの距離を減じて、減算値(距離差)を物品21の高さ寸法として出力する。測定装置45は、物品21の上方においてヘッドを順に移動することにより、若しくは、複数のヘッドを備えることにより、物品21の幅寸法および奥行き寸法を測定することもできる。
【0070】
載置部40cに物品21が載置されている場合、測定装置45は、物品21の高さ寸法を出力する。載置部40cに物品21が載置されていない場合、測定装置45は、ゼロ若しくはゼロに近い値を出力する。よって、案内部52は、測定装置45によって測定された物品21の高さ寸法が、想定される物品21の高さ寸法の範囲に含まれる場合、載置部40cに物品21が載置されていると判断することができる。逆に、案内部52は、測定装置45によって測定された物品21の高さ寸法が、想定される物品21の高さ寸法と比べて、極端に小さい場合(例えば、ゼロ)、載置部40cに物品21が載置されていないと判断することができる。
【0071】
案内部52は、表示条件が成立しなくなったときに、載置位置P1,P2,P3の表示を中止させることができる。しかしながら、例えば、作業者が物品21を一旦、載置した後に、物品21の載置位置を変更する可能性がある。物品21が載置部40cに一旦、載置されると、表示条件が成立しなくなる。案内部52が表示条件の不成立と同時に載置位置P1,P2,P3の表示を中止させ、その後、載置位置P1,P2,P3の再表示を行わない場合、作業者は、物品21の載置位置を変更することが困難になる。
【0072】
そこで、案内部52は、表示条件が成立しなくなってから所定時間が経過したときに、載置位置P1,P2,P3の表示を中止させると良い。これにより、作業者による物品21の入庫作業の作業性が向上する。なお、所定時間は、作業者による物品21の入庫作業の実測値を予め取得しておき、取得した入庫作業の実測値に基づいて設定することができる。また、所定時間は、移動装置40bの作業予定における所定期間と比べて、十分、短い。
【0073】
なお、例えば、入庫作業が不慣れな作業者は、上記の実測値より入庫作業に時間を要する可能性がある。また、入庫作業が不慣れな作業者ほど、載置位置P1,P2,P3の表示が必要である。そこで、案内部52は、作業者検出器41bによって作業者による物品21の入庫作業が検出されているときに、所定時間の延長または所定時間の経過後の載置位置P1,P2,P3の再表示を行わせると良い。これにより、案内部52は、作業者による物品21の入庫作業の完了に合わせて、載置位置P1,P2,P3の表示を中止させることができる。
【0074】
具体的には、作業者が物品21の載置位置の変更を繰り返している場合、作業者検出器41bは、開口部41aを介した作業者による物品21の入庫作業を検出する。よって、案内部52は、作業者検出器41bによって作業者による物品21の入庫作業が検出されているときに、所定時間の延長または所定時間の経過後の載置位置P1,P2,P3の再表示を行わせる。作業者による物品21の入庫作業が完了すると、作業者検出器41bは、作業者による物品21の入庫作業を検出しなくなる。よって、案内部52は、載置位置P1,P2,P3の表示を中止させる。
【0075】
本実施形態の保管庫40は、載置部40cに載置された物品21を撮像する撮像装置46を備えている。また、取得部53は、載置部40cに載置された物品21の少なくとも一部分を撮像装置46に撮像させて、撮像装置46が取得した画像データを画像処理して物品21の外形寸法を取得する。
【0076】
撮像装置46は、載置部40cに載置された物品21を撮像することができれば良く、公知の撮像装置を用いることができる。図4に示すように、本実施形態の撮像装置46は、光軸が鉛直方向に沿った方向になるように、載置部40cの上方の基台に固定されている。図7に示す領域AR1は、撮像装置46の撮像視野の一例を示している。取得部53は、撮像装置46が取得した画像データを画像処理して物品21の外形寸法を取得する。
【0077】
画像処理の方法は、限定されず、公知の方法を用いることができる。取得部53は、例えば、二値化などの画像処理によってリール21aの本体部の外観形状を認識して、リール21aの直径D11を計測することにより、リール21aの直径D11を取得することができる。
【0078】
また、図7に示す領域AR1の撮像画像は、載置部40cに載置されているリール21aの一部分が撮像され、撮像されるリール21aの外縁は、円弧AC1で示される。この場合、取得部53は、リール21aの直径D11を直接計測することができない。そのため、取得部53は、リール21aの一部分(円弧AC1)を認識して、リール21aの直径D11を算出することにより、リール21aの直径D11を推定する。具体的には、取得部53は、例えば、円弧AC1に基づいて、リール21aの外縁を示す円の曲率半径を算出し、リール21aの直径D11を推定することができる。
【0079】
このように、撮像装置46が物品21を撮像するときに、載置位置P1,P2,P3が表示されていると、取得部53は、載置位置P1,P2,P3の表示を、物品21の外形形状(リール21aの外縁)と誤認識する可能性がある。そこで、案内部52は、撮像装置46が物品21を撮像するときに、載置位置P1,P2,P3の表示を中止させると良い。これにより、案内部52は、物品21の外形形状(リール21aの外縁)の誤認識を軽減することができる。
【0080】
なお、本実施形態の撮像装置46は、リール21aに付されている識別コード22を読み取る読み取り装置40dと兼用されている。そのため、領域AR1には、識別コード22が含まれる。よって、取得部53は、リール21aを識別する識別情報を取得する際に、リール21aの直径D11を取得することができる。本実施形態の保管庫40は、別途、撮像装置46を設ける場合と比べて、装置の小型化を図ることができ、載置部40cの上方の作業スペースを有効活用することができる。
【0081】
1-4.変形形態
上述したいずれの形態においても、保管庫40は、投影装置43の代わりに、発光装置44を備えることができる。案内部52は、発光装置44を用いて、物品21の種類ごとの外形形状SP1,SP2,SP3に沿って載置部40cに配置されている発光素子44aを発光させることができる。発光素子44aは、LED(Light Emitting Diode)などの公知の発光素子を用いることができる。
【0082】
既述した実施形態では、物品21は、リール21aであり、案内部52は、三種類のリール21aの外形形状SP1,SP2,SP3を同心円状に投影させる。この場合、発光素子44aは、外形形状SP1,SP2,SP3に沿って同心円状に配置される。発光装置44は、発光素子44aの点灯および消灯を駆動制御する。発光装置44は、案内部52から発光素子44aの点灯指令を受けると、発光素子44aを発光させる。発光装置44は、案内部52から発光素子44aの消灯指令を受けると、発光素子44aを消灯させる。
【0083】
図9は、発光素子44aが発光することにより、物品21の種類ごとの載置位置P1,P2,P3および外形形状SP1,SP2,SP3が表示されることを模式的に示している。なお、発光素子44aの数および配置は、適宜変更することができる。また、図9では、図示の便宜上、発光素子44aの一部に符号番号が付されており、すべての発光素子44aに符号番号が付されていない。
【0084】
この形態においても、案内部52は、物品21の外形形状SP1,SP2,SP3ごとに、光色を変更させることができる。また、案内部52は、物品21の外形形状SP1,SP2,SP3と共に、物品21に関する関連情報RI1,RI2,RI3を表示させることができる。さらに、案内部52は、作業者の使用言語に合致した言語で物品21の関連情報RI1,RI2,RI3を表示させることができる。また、案内部52は、実施形態と同様に、載置位置P1,P2,P3を表示させ、載置位置P1,P2,P3の表示を中止させることができる。
【0085】
載置部40cの載置位置P1,P2,P3には、例えば、規制部材を設けることができる。規制部材は、載置位置P1,P2,P3の各々に設けられ、載置されるべき物品21の外形寸法と異なる外形寸法の物品21が載置されることを規制する。載置部40cに規制部材が設けられる形態では、案内部52による載置位置P1,P2,P3の表示が不要とも思われる。しかしながら、外形寸法が近似する物品21は、複数の載置位置に載置可能な場合があり、実施形態および変形形態で既述されている事項を適用すると好適である。上述したことは、載置位置P1,P2,P3の各々の高さ位置が異なる場合についても、同様に言える。
【0086】
なお、案内部52は、例えば、表示装置40eを用いて、載置部40cに表示されている載置位置P1,P2,P3に合わせて物品21を載置するように表示させることもできる。また、作業者は、表示装置40eを用いて、載置部40cに表示する載置位置P1,P2,P3の種類および数を選択することもできる。さらに、作業者は、表示装置40eを用いて、載置部40cに表示する関連情報RI1,RI2,RI3の種類および数を選択することもできる。
【0087】
1-5.その他
上述した実施形態および変形形態では、主に、物品21がリール21aの場合を例に説明されている。しかしながら、物品21は、例えば、既述したフィーダ21b、トレイ21c、はんだ容器21d、保持部材、保持部材収容装置などであっても良い。保管庫40は、物品21に適合する収納ユニットを備えることができ、物品21に適合する移動装置を備えることができる。
【0088】
2.実施形態の効果の一例
保管庫40によれば、載置部40cと、案内部52と、収納部42と、移動部51とを備えている。よって、保管庫40は、入庫した物品21を収納部42に収納する収納作業が自動化され、且つ、外形寸法が互いに異なる物品21の種類ごとの載置位置P1,P2,P3を作業者に案内することができる。
【符号の説明】
【0089】
10:対基板作業機、21:物品、40:保管庫、40b:移動装置、
40c:載置部、41a:開口部、41b:作業者検出器、42:収納部、
43:投影装置、44:発光装置、44a:発光素子、46:撮像装置、
51:移動部、52:案内部、53:取得部、90:基板、
P1,P2,P3:載置位置、RI1,RI2,RI3:関連情報、
SP1,SP2,SP3:外形形状、θ1:傾斜角度。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9