(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】車体塗装用ロボット
(51)【国際特許分類】
B05B 12/00 20180101AFI20221006BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20221006BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20221006BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B05B12/00 A
B05C11/10
B05C11/00
B25J13/08 Z
(21)【出願番号】P 2022052327
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-04-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 輝澄
(72)【発明者】
【氏名】多和田 孝達
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 徳夫
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/205537(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/049718(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/255896(WO,A1)
【文献】特許第6948482(JP,B1)
【文献】特表2019-511377(JP,A)
【文献】特開2016-221958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B41J 2/01-2/215
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に向けて塗料を吐出することが可能な塗装ヘッドと、
前記塗料を貯留する貯留部と前記塗装ヘッドとの間で前記塗料を循環させる循環路を有し、前記循環路を流れる前記塗料の圧力を制御することが可能な供給装置と、
前記塗装ヘッドと、前記供給装置を有するアームと、
を備える車体塗装用ロボットであって、
前記アームは、複数のアーム部材と、各アーム部材を互いに連結する可動軸部とを備えた多軸アームであり、
前記可動軸部により連結された複数のアーム部材のうち、先端側に位置するアーム部材は、前記供給装置の一部を有するとともに、自身が有する複数の軸部のいずれかの軸部を回動中心として前記塗装ヘッドを回動させるリスト部を介して前記塗装ヘッドを保持するものであり、
前記塗装ヘッドによる前記車体の塗装時に、前記塗装ヘッドにおける前記車体の塗装方向に沿って、前記多軸アームを移動させる移動機構と、
前記多軸アーム、前記リスト部及び前記移動機構を駆動制御する姿勢制御手段と、
を有し、
前記姿勢制御手段は、
前記塗装ヘッドによる前記車体の塗装時に、前記多軸アームの姿勢を制御しながら前記移動機構を駆動して、前記先端側に位置するアーム部材を水平状態に維持しながら前記塗装ヘッドを前記車体の塗装方向に沿って移動させることで、前記塗装ヘッドと、前記先端側に位置するアーム部材に設けた前記供給装置の一部との相対位置を一定に保持するとともに、
前記先端側に位置するアーム部材を水平状態に維持しながら前記塗装ヘッドを前記車体の塗装方向に沿って移動している過程で、前記リスト部を駆動して前記塗装ヘッドを回動させることで、前記相対位置の変動を所定の許容範囲内に抑える、車体塗装用ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載の車体塗装用ロボットにおいて、
前記循環路は、前記貯留部に貯留された前記塗料を前記塗装ヘッドに供給する供給路と、前記塗装ヘッドにより使用されなかった前記塗料を前記貯留部に戻す戻り流路と、を有し、
前記供給装置は、
前記貯留部に貯留された前記塗料を前記供給路に送り出す送出手段と、
前記塗装ヘッドから前記塗料を前記戻り流路に引き込む引込み手段と
前記供給路に送り込まれた前記塗料の圧力を検出する第1の検出手段と、
前記戻り流路に引き込まれた前記塗料の圧力を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段による検出結果に基づいて前記送出手段による前記塗料の送り出し量を制御するとともに、前記第2の検出手段による検出結果に基づいて前記引込み手段による前記塗料の引き込み量を制御する圧力制御手段と、
を有する車体塗装用ロボット。
【請求項3】
請求項2に記載の車体塗装用ロボットにおいて、
前記姿勢制御手段は、前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段からの検出結果に基づいて、前記多軸アームを構成する前記複数のアーム部材の姿勢を制御する車体塗装用ロボット。
【請求項4】
請求項1に記載の車体塗装用ロボットにおいて、
前記アームは、前記可動軸部を介して連結される前記複数のアーム部材を、2軸方向に回転自在に支持する基部を有し、
前記移動機構は、
前記塗装ヘッドの塗装方向に沿って延びるガイド部材と、
前記基部を前記ガイド部材に沿って移動させる駆動手段と、
を有し、
前記ガイド部材は、前記車体を塗装する塗装室の床面に設けられる車体塗装用ロボット。
【請求項5】
請求項1に記載の車体塗装用ロボットにおいて、
前記アームは、前記可動軸部を介して連結される前記複数のアーム部材を、2軸方向に回転自在に支持する基部を有し、
前記移動機構は、
前記塗装ヘッドの塗装方向に沿って延びるガイド部材と、
前記基部を前記ガイド部材に沿って移動させる駆動手段と、
を有し、
前記ガイド部材は、前記車体を塗装する塗装室の側面、又は塗装される前記車体の上方となる位置に設けられる車体塗装用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料を噴出するノズルを複数有する塗装ヘッドを備えた車体塗装用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
塗料を吐出するノズルを複数備えた塗装ヘッドを搭載した塗装ロボットを用いて、自動車の車体を塗装する技術が普及している。このような塗装ロボットは、例えば複数のアーム部材と、各アーム部材を互いに連結する可動軸部とを有する多軸アームを有し、複数のアーム部材のうち、先端となるアーム部材に塗装ヘッドや、塗装ヘッドに塗料の供給を行う塗料供給装置などが設けられた構成となっている(例えば特許文献1参照)。塗料供給装置は、例えば、塗料を貯留するタンクと、塗装ヘッドへと塗料を供給する供給路と、塗装ヘッドにより使用されなかった塗料をタンクへと還流させる還流路と、を有しており、塗料はタンクと塗装ヘッドとの間で循環されている。このような塗料供給装置では、塗料を供給路へと送り出す供給ポンプと、塗料を還流路へと引き込む引込ポンプと、が設けられている。供給ポンプや引込ポンプは、供給路や還流路に設けられた圧力センサなどの検出手段による検出結果に基づいて制御されている。この制御により、供給路や還流路を流れる塗料の圧力だけでなく、塗装ヘッド内に存在する塗料の圧力を適切な圧力の範囲に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した塗装ロボットを用いた車体の塗装では、塗装ヘッドによる車体の塗装位置の変化に伴い、多軸アームの姿勢、すなわち、多軸アームを構成する複数のアーム部材のそれぞれにおける姿勢が変化する。上述した塗料供給装置が多軸アームを構成する複数のアーム部材のいずれかに設けた場合、多軸アームの姿勢が変化したときには、塗装ヘッドに対する塗料供給装置の姿勢(傾き)も変化している。したがって、塗料供給装置において供給路や還流路を流れる塗料の圧力を制御していても、塗装ヘッドの内部に存在する塗料の圧力を適正な圧力の範囲に保つことは困難である。例えば塗装ヘッド内で塗料の圧力を検出し、その検出結果に基づいて、塗料供給装置の供給ポンプや引込ポンプを制御することも可能であるが、これら圧力を適正な圧力に保つために複雑な制御を行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記に記載した課題を解決するために発明されたものであり、多軸アームの姿勢の変化を極力抑えることで、塗料供給装置の供給路や還流路を流れる塗料の圧力だけでなく、塗装ヘッドの内部に存在する塗料の圧力を適正な圧力の範囲に保持することができるようにした技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に記載した課題を解決するために、本発明の車体塗装用ロボットは、車体に向けて塗料を吐出することが可能な塗装ヘッドと、前記塗料を貯留する貯留部と前記塗装ヘッドとの間で前記塗料を循環させる循環路を有し、前記循環路を流れる前記塗料の圧力を制御することが可能な供給装置と、前記塗装ヘッド及び前記供給装置を有するアームと、を備える車体塗装用ロボットであって、前記アームは、複数のアーム部材と、各アーム部材を互いに連結する可動軸部とを備えた多軸アームであり、前記塗装ヘッドによる前記車体の塗装時に、前記多軸アームを構成する前記複数のアーム部材の姿勢を制御して、前記塗装ヘッド及び前記供給装置の相対位置を一定に保持する、又は当該相対位置の変動を所定の許容範囲内に抑える姿勢制御手段と、前記塗装ヘッドによる前記車体の塗装時に、前記塗装ヘッドにおける前記車体の塗装方向に沿って、前記多軸アームを移動させる移動機構と、を有するものである。
【0007】
また、前記循環路は、前記貯留部に貯留された前記塗料を前記塗装ヘッドに供給する供給路と、前記塗装ヘッドにより使用されなかった前記塗料を前記貯留部に還流する戻り流路と、を有し、前記供給装置は、前記タンクに貯留された前記塗料を前記供給路に送り出す送出手段と、前記塗装ヘッドから前記塗料を前記戻り流路に引き込む引込み手段と、前記供給路に送り込まれた前記塗料の圧力を検出する第1の検出手段と、前記戻り流路に引き込まれた塗料の圧力を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段による検出結果に基づいて前記送出手段による前記塗料の送り出し量を制御するとともに、前記第2の検出手段による検出結果に基づいて前記引込み手段による前記塗料の引き込み量を制御する圧力制御手段と、を有するものである。
【0008】
この場合、前記姿勢制御手段は、前記第1及び前記第2の検出手段からの検出結果に基づいて、前記多軸アームを構成する前記複数のアーム部材の姿勢を制御することが好ましい。
【0009】
また、前記アームは、前記可動軸部を介して連結される複数のアーム部材を、2軸方向に回転自在に支持する基部を有し、前記移動機構は、前記塗装ヘッドの塗装方向に沿って延びるガイド部材と、前記基部を前記ガイド部材に沿って移動させる駆動手段と、を有し、前記ガイド部材は、前記車体を塗装する塗装室の床面に設けられるものである。
【0010】
また、前記アームは、前記可動軸部を介して連結される複数のアーム部材を、2軸方向に回転自在に支持する基部を有し、前記移動機構は、前記塗装ヘッドの塗装方向に沿って延びるガイド部材と、前記基部を前記ガイド部材に沿って移動させる駆動手段と、を有し、前記ガイド部材は、前記車体を塗装する塗装室の側面、又は塗装される車体の上方となる位置に設けられるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、多軸アームの姿勢の変化を極力抑えることで、塗料供給装置の供給路や還流路を流れる塗料の圧力だけでなく、塗装ヘッドの内部に存在する塗料の圧力を適正な圧力の範囲に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明を実施した車体塗装用ロボットの構成を示す上面図である。
【
図2】
図1に示す車体塗装用ロボットを塗装ラインの上流側から見た図である。
【
図3】
図1に示す車体塗装用ロボットを車体側から見た図である。
【
図6】塗装ロボットに設けられる塗装ヘッドの移動軌跡の一例を示す図である。
【
図7】(a)は、ロボットアーム15の第2回動アーム23を水平状態として塗装を行ったときの、塗装ヘッド56の入力側における塗料の圧力の変化を示す図、(b)は、塗装ヘッド56の出力側における塗料の圧力の変化を示す図である。
【
図8】(a)は、ロボットアーム15の第2回動アーム23の姿勢を変化させて塗装を行ったときの、塗装ヘッド56の入力側における塗料の圧力の変化を示す図、(b)は、塗装ヘッド56の出力側における塗料の圧力の変化を示す図である。
【
図9】塗装ロボットを塗装室の床面ではなく、塗装室の側壁又は天井面など、車体の上方に設置した場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施した車体塗装用ロボット10について、図面に基づいて説明する。以下、車体塗装用ロボット10を塗装ロボット10と称して説明する。本実施の形態の塗装ロボット10は、例えば、自動車製造工場における塗装ラインの側方に配置され、塗装ラインに沿って搬送される車体FRを塗装するものである。
【0014】
なお、本実施の形態において、塗装ロボット10が塗装を行う対象物(以下、塗装対象物と称する)として、自動車の車体FRを一例として説明するが、塗装対象物としては、例えば車体以外の自動車部品でもよく(一例としては、ドア、ボンネットや各種パネルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない)、その他、自動車以外の各種部品(一例としては飛行機や鉄道の外装部品)など、塗装を行う必要があるものであれば、自動車の車体に限定される必要はない。
【0015】
塗装は、塗膜を塗装対象物の表面に形成して、その表面の保護や美観を与えることを目的として行われるものである。したがって、塗装としては、特定色の塗料、又は特定の機能を有する塗料を用いて塗装対象物を塗装することの他に、複数色の塗料を順に用いて塗装対象物を塗装することを含む。また、塗装は、例えば模様、イラストあるいは画像などの塗装を含む。
【0016】
図1から
図3に示すように、塗装ロボット10は、一例として、ロボットアーム15と、移動装置16と、塗装ヘッドユニット17を有する。ここで、移動装置16は、請求項に記載の移動機構に相当する。ロボットアーム15は、基台21と、複数(
図1においては2本)のアーム部材22,23と、を有する多軸アームから構成される。基台21は、後述する移動台31に固定される固定部24と、固定部24に対して回転可能な回転部25と、を有する。ここで、基台21は、請求項に記載の基部に相当する。固定部24は内部にモータM1(
図5参照)を有している。回転部25は、モータM1の駆動により、塗装ラインの床面に垂直となる方向(
図2又は
図3中z方向又は-z方向)を回転中心として回転する。
【0017】
以下、複数のアーム部材22,23のうち、回転部25に連結されるアーム部材22を第1回動アーム22、第1回動アーム22に連結されるアーム部材23を第2回動アーム23と称する。
【0018】
第1回動アーム22は、当該第1回動アーム22の延伸方向における一端部において、回転部25に設けた可動軸部26に連結されている。回転部25に設けた可動軸部26には、モータM2(
図5参照)が設けられており、連結される第1回動アーム22を、塗装ラインの床面に直交する平面(例えばロボットアーム15が
図2の状態にあるときには、yz平面)上で回動させる。
【0019】
第1回動アーム22の延伸方向において、回転部25の可動軸部26に連結される一端部とは反対側となる他端部には、可動軸部27を介して第2回動アーム23が連結される。可動軸部27には、後述するモータM3(
図5参照)が設けられており、連結される第2回動アーム23を、塗装ラインの床面に直交する平面(例えばロボットアーム15が
図2の状態にあるときには、yz平面)上で回動させる。なお、図示は省略するが、回転部25の可動軸部26の中心軸線と、第1回動アーム22に設けた可動軸部27の中心軸線とは、平行となる。なお、第2回動アーム23には、後述する塗料循環装置51が内部に設けられる。
【0020】
第2回動アーム23の延伸方向における他端部には、リスト部28が設けられる。リスト部28は、塗装ヘッドユニット17を保持する。構成についての詳細は省略するが、リスト部28は、駆動軸の軸線方向が各々異なる複数(ここでは3個)のモータM4,M5,M6(
図5参照)を有しており、これらモータのいずれかを駆動させることで、リスト部28が有する複数の軸部のいずれかの軸部を回動中心として、保持した塗装ヘッドユニット17を回動させる。なお、軸部の個数は、2つ以上であればよい。
【0021】
移動装置16は、例えば塗装室の床面に設置され、ロボットアーム15を、塗装室の床面に沿って一方向(
図1又は
図3においてはx方向又は-x方向)に往復動させる。なお、移動装置16によるロボットアーム15の移動方向は、後述する塗装ヘッド56の塗装方向(主走査方向)となる。移動装置16は、ロボットアーム15の基台21が固定される移動台31と、移動台31の移動をガイドするレール32と、移動台31をレール32に沿って往復動させる駆動機構33とを有する。レール32は、図示を省略したフレームにより、例えばレール32の延伸方向が
図1中x方向又は-x方向に沿った状態で塗装室の床面に固定される。ここで、レール32は、請求項に記載のガイド部材に相当する。
【0022】
駆動機構33は、図示を省略したフレームにより、例えば塗装室の床面に固定される。駆動機構33は、一例として、駆動モータ110(
図5参照)と、駆動側スプロケット41と、従動側スプロケット42と、これらスプロケット41,42に巻き掛けられる駆動ベルト43とから構成される。ここで、駆動機構33は、請求項に記載の駆動手段に相当する。図示は省略するが、駆動側スプロケット41及び従動側スプロケット42は、例えば外周面に複数の歯が形成される2枚の円板と、これら円板を同軸に保持する駆動軸とから各々構成される。なお、駆動側スプロケット41及び従動側スプロケット42は、塗装室の床面に沿って(
図1では、これらスプロケットの回転中心がy方向及び-y方向に沿って)配置される。駆動ベルト43は、一例として、駆動側スプロケット41及び従動側スプロケット42が有する2つの円板の各々に巻き掛けられる2つのチェーンベルトと、駆動側スプロケット41及び従動側スプロケット42に各々巻き掛けられる2つのチェーンベルトに対して複数の位置で跨って配置される複数の連結ロッドとを有する。なお、チェーンベルトを用いるのではなく、ゴムを用いた無端ベルトであってもよい。
【0023】
したがって、駆動側スプロケット41と従動側スプロケット42に巻き掛けられた駆動ベルト43は、
図3中x方向又は-x方向に走行する。上述したように、駆動ベルト43には、移動台31が固定されているので、駆動ベルト43が
図3中x方向又は-x方向に走行すると、移動台31がレール32の延伸方向に沿って
図3中x方向又は-x方向に移動する。
【0024】
塗装ヘッドユニット17は、後述する塗装ヘッド56や、当該塗装ヘッド56の動作を制御するヘッド制御部(
図5参照)等を備える。
【0025】
次に、塗料循環装置51について説明する。
図4に示すように、塗料循環装置51は、例えば、塗料タンク55に貯留される塗料を塗装ヘッド56に供給する供給路57と、塗装ヘッド56にて使用されてない塗料を塗装ヘッド56から塗料タンク55に戻す戻り流路(還流路)58と、を有する他、塗料を塗装ヘッド56へ供給せずに、供給路57から戻り流路58に流すバイパス流路59を有する。また、塗料循環装置51は、塗料タンク55、ギヤポンプ62,80を塗装室の床面に載置し、また、例えば、除去フィルタ63、脱気モジュール64、切替弁や比例弁や圧力計などの部品を第2回動アーム23の内部に収納している。ここで、塗料循環装置51は、請求項に記載の供給装置に相当する。また、塗料タンク55は、請求項に記載の貯留部に相当する。なお、ギヤポンプ62,80は、たとえば第2回動アーム23の内部に収納される構成を採用してもよい。また、除去フィルタ63、脱気モジュール64、切替弁や比例弁や圧力計などの内の少なくとも1つの部品を、床面に載置する構成を採用してもよい。
【0026】
塗料循環装置51は、車体FRの塗装時に、塗料タンク55に貯留された塗料を塗装ヘッド56に供給するとともに、塗装ヘッド56にて使用されなかった塗料を塗装ヘッド56から塗料タンク55に戻すことで、塗料を塗料タンク55と塗装ヘッド56との間で循環させる。また、塗料循環装置51は、車体FRに塗装を行わないとき、塗料タンク55に貯留された塗料を、供給路57、バイパス流路59及び戻り流路58の順で流し、塗料タンク55に戻す。なお、
【0027】
ところで、車体FRへの塗装に用いられる塗料は、例えば顔料を用いた水性塗料や溶剤系塗料である。したがって、塗料循環装置51により塗料を循環させることで、塗料に含まれる顔料の分離や、顔料の凝集化を防止している。
【0028】
以下、塗料循環装置51の供給路57の構成を説明するにあたり、塗料の供給方向において、塗料タンク55側を上流側、塗装ヘッド56側を下流側とする。また、塗料循環装置51の戻り流路58の構成を説明するにあたり、塗装ヘッド56側を上流側、塗料タンク55側を下流側とする。
【0029】
塗料タンク55は、塗装ヘッド56を用いた車体FRの塗装時に用いる塗料を貯留する。塗料タンク55は、例えば塗装ロボット10の外部(例えば塗装室の床面等)に配置される。なお、塗料タンク55には、塗装ヘッド56を用いた車体FRの塗装を行う過程で、必要に応じて、外部から塗料が供給される。また、戻り流路58から塗料タンク55に塗料が戻された場合、その塗料と共に流れ込んだ気泡は、塗料タンク55内の液面上に浮かぶが、当該塗料タンク55は、その気泡を除去する機能を有していてもよい。
【0030】
塗装ヘッド56は、複数のノズル61が二次元状に配列されたノズル形成面56aを有し、供給路57を介して供給される塗料を、複数のノズル61の各々から吐出することで、車体FRの表面に塗膜を形成する。なお、塗装ヘッド56の詳細な構成については省略する。
【0031】
供給路57は、塗料タンク55に貯留された塗料を塗装ヘッド56に向けて供給する経路である。供給路57は、後述する流路57a,57b,・・・,57h,57iを有する。また、供給路57の中途には、当該供給路57の上流側から、ギヤポンプ62、除去フィルタ63、脱気モジュール64の順で配置されている。
【0032】
ギヤポンプ62は、塗料タンク55に貯留された塗料を引き込み、引き込んだ塗料を塗装ヘッド56に向けて送り出す。したがって、ギヤポンプ62を駆動すると、当該ギヤポンプ62の上流側、すなわち、塗料タンク55とギヤポンプ62との間の流路57a,57bの内部の圧力は負圧となり、塗料タンク55に貯留される塗料が、当該流路57a,57bに引き込まれる。そして、ギヤポンプ62からギヤポンプ62の下流側に接続された流路57cに送り出される。ここで、ギヤポンプ62は、請求項に記載の送出手段に相当する。
【0033】
供給路57を構成する流路57a及び流路57bは、三方弁66にて接続される。三方弁66は、流路57aと流路57bとを連通する状態と、流路57bと排液槽83に接続された排液路とを連通する状態とのいずれかの状態に切り替えることが可能である。三方弁66は、例えば車体FRを塗装するとき、流路57aと流路57bとを連通する状態に保持される。また、三方弁66は、供給路57内を洗浄する際に、流路57bと排液槽83(詳細には排液槽83に接続した不図示の流路)とを連通する状態となる。
【0034】
供給路57において、ギヤポンプ62は、出力側において流路57cと接続されている。流路57cの下流側端部には、切替弁67が設けられている。切替弁67は、4つの弁部67a,67b,67c,67dを有する。例えば弁部67aは、流路57cに接続しており、また、弁部67bは、除去フィルタ63に向けた流路57dに接続している。また、弁部67cは、洗浄タンク82(詳細には洗浄タンク82に接続した不図示の流路)に接続している。さらに、弁部67dは、排液槽83(詳細には排液槽83に接続した不図示の流路)に接続している。これら弁部のうち、弁部67a及び弁部67bは、通常、開き状態に保持されている。一方、弁部67c、67dは、通常、閉じ状態に保持され、塗料循環装置51の洗浄時に閉じ状態から開き状態へと切り替えられる。
【0035】
切替弁67の弁部67bに接続した流路57dの下流側には、除去フィルタ63が設けられる。除去フィルタ63は、塗料に含まれている粗大異物や顔料凝集物などの異物の他、塗料に含まれる気泡のうち、所定の大きさを超える気泡を除去する。除去フィルタ63は、例えば金網や樹脂性の網等の網目状体、多孔質体や、微細な貫通孔を穿設した金属板である。網目状体としては、例えば金属メッシュフィルターや金属繊維、たとえばSUSといった金属の細線をフェルト状にしたもの、圧縮焼結させた金属焼結フィルタ、エレクトロフォーミング金属フィルタ、電子線加工金属フィルタ、レーザービーム加工金属フィルタなどを挙げることができる。
【0036】
除去フィルタ63の出力側に接続した流路57eの下流側には、切替弁68が設けられる。切替弁68は、切替弁67と同様に、4つの弁部68a,68b,68c,68dを有する。例えば弁部68aは、流路57eに接続しており、また、弁部68bは、脱気モジュール64に向けた流路57fに接続している。また、弁部68cは、洗浄タンク82(詳細には洗浄タンク82に接続した不図示の流路)に接続している。また、弁部68dは、排液槽83(詳細には排液槽83に接続した不図示の流路)に接続している。これら弁部のうち、弁部68a及び弁部68bは、通常、開き状態に保持されている。一方、弁部68c、68dは、通常、閉じ状態に保持され、塗料循環装置51の洗浄時に閉じ状態から開き状態へと切り替えられる。
【0037】
切替弁の弁部68bに接続した流路57fの下流側には、脱気モジュール64が設けられる。脱気モジュール64は、塗料に溶存している溶存気体や気泡を除去(脱気)する。脱気モジュール64としては、例えば複数の中空糸膜を束ねた中空糸膜束を挙げることができる。
【0038】
脱気モジュール64の出力側に接続される流路57gには、圧力計69が設けられている。圧力計69は、脱気モジュール64から送出された塗料の圧力を測定する。圧力計69による測定結果は、塗料供給制御部103(
図5参照)に出力される。ギヤポンプ62は、圧力計69により検出された圧力値が一定値となるように、塗料供給制御部103により駆動制御される。なお、圧力計69は、請求項に記載の第1の検出手段に相当する。また、供給路57においては、圧力計69以外の圧力計が、単数または複数設けられていても良い。
【0039】
上述した流路57gの下流側端部には、切替弁70が設けられている。切替弁70は、切替弁67及び切替弁68と同様に、4つの弁部70a,70b,70c,70dを有する。例えば弁部70aは、流路57gを接続しており、また、弁部70bは、流路57hを接続している。また、弁部70cは、洗浄タンク82(詳細には洗浄タンク82に接続した不図示の流路)に接続している。また、弁部70dは、排液槽83(詳細には排液槽83に接続した不図示の流路)に接続している。これら弁部のうち、弁部70a及び弁部70bは、通常、開き状態に保持されている。一方、弁部70c、70dは、通常、閉じ状態に保持され、塗料循環装置51の洗浄時に閉じ状態から開き状態へと切り替えられる。
【0040】
切替弁の弁部70bに接続した流路57hの下流側端部には、比例弁71が接続される。比例弁71は、比例弁71の下流側を流れる塗料の圧力値が一定となるように塗料供給制御部103により開閉制御される。
【0041】
比例弁71の下流側には、流路57iが設けられている。流路57iには、圧力計72及び一方弁73が設けられている。圧力計72は、比例弁71から塗装ヘッド56に向けて流れる塗料の圧力を測定する。一方弁73は、塗料を一方向(この場合は、比例弁71から塗装ヘッド56に向けた方向)に流し、当該一方向とは逆方向に流れることを防止する。なお、流路57hには、圧力計72と一方弁73との間で、バイパス流路59の上流側の端部が接続される。
【0042】
戻り流路58は、車体FRへの塗装時に塗装ヘッド56により使用されなかった塗料、又は、バイパス流路59を介して循環される塗料を、塗料タンク55に向けて戻す流路である。戻り流路58は、流路58a,58b,58c,58d,58eを有する。
【0043】
流路58aには、上流側端部において塗装ヘッド56が接続されている。流路58aには、一方弁75と圧力計76とが設けられている。一方弁75は、塗料を一方向(この場合は、塗装ヘッド56から圧力計76に向けた方向)に流し、当該一方向とは逆方向に流れることを防止する。なお、流路58aには、一方弁75と圧力計76との間で、バイパス流路59の下流側の端部が接続されている。圧力計76は、比例弁77の上流側の(すなわち、塗装ヘッド56から比例弁77に向けて流れる)塗料の圧力を測定する。
【0044】
流路58aの下流側には、比例弁77が設けられている。比例弁77は、塗料供給制御部103により開閉制御され、塗装ヘッド56から比例弁77に向けて流れる塗料の圧力値を一定に保持する。
【0045】
比例弁77の出力側に接続される流路58bの下流側には、切替弁78が設けられている。切替弁78は、供給路57に設けられた切替弁67,68,70と同様に、4つの弁部78a,78b,78c,78dを有する。例えば弁部78aは、流路58bに接続しており、また、弁部78bは、ギヤポンプ80に向けた流路58cに接続している。また、弁部78cは、洗浄タンク82(詳細には洗浄タンク82に接続した不図示の流路)に接続している。また、弁部78dは、排液槽83(詳細には排液槽83に接続した不図示の流路)に接続している。これら弁部のうち、弁部78a及び弁部78bは、通常、開き状態に保持されている。一方、弁部78c,78dは、通常、閉じ状態に保持され、塗料循環装置51の洗浄時に閉じ状態から開き状態へと切り替えられる。
【0046】
流路58cには、圧力計79が設けられている。圧力計79は、流路58cに流れ込んだ塗料の圧力を測定する。圧力計79による測定結果は、塗料供給制御部103に出力される。なお、圧力計79は、請求項に記載の第2の検出手段に相当する。
【0047】
流路58cの下流側端部には、ギヤポンプ80が設けられている。ギヤポンプ80は、流路58cに塗料を引き込み、引き込んだ塗料を塗料タンク55に向けて送り出す。したがって、ギヤポンプ80を駆動することで当該ギヤポンプ80の上流側、すなわち、流路58cの内部の圧力は負圧となり塗料が流路58cに引き込まれる。そして、塗料は、ギヤポンプ80から当該ギヤポンプ80の下流側に接続された流路58dに送り出される。このとき、ギヤポンプ80は、圧力計79により検出された圧力値が一定値となるように塗料供給制御部103により駆動制御される。ここで、ギヤポンプ80は、請求項に記載の引込み手段に相当する。
【0048】
ギヤポンプ80の出力側に接続される流路58dの下流側には、三方弁81が接続されている。三方弁81は、流路58dと、塗料タンク55に接続した流路58eとを連通する状態と、流路58dと排液槽83とを連通する状態とのいずれかの状態で切り替わる。三方弁81は、塗装ヘッド56による車体FRの塗装時、又は塗料の循環時に、流路58dと流路58eとを連通する状態に保持される。また、三方弁81は、洗浄時に、流路58dと流路58eとを連通する状態から、流路58dと排液槽83とを連通する状態に切り替わる。これにより、流路58dを流れる洗浄液や空気は、三方弁81を介して排液槽83に排出される。
【0049】
バイパス流路59は、流路57iと流路58aとに接続され、塗装ヘッド56による塗料の塗装を行わないとき、供給路57を流れる塗料の一部を、塗装ヘッド56に流すことなく、戻り流路58に流すものである。バイパス流路59には、制御弁84が設けられている。制御弁84は、塗装ヘッド56による車体FRへの塗装時には、閉じ状態に保持され、塗装ヘッド56による車体FRへの塗装を行わないときに、開き状態に切り替えられる。
【0050】
次に、上述した塗装ロボット10を制御する構成(以下、制御システムと称する)について説明する。
図5は、制御システムの構成を示す図である。
図5に示すように、制御システム100は、主制御部101、アーム制御部102、塗料供給制御部103、ヘッド制御部104及び移動台制御部105を有する。図示は省略するが、主制御部101、アーム制御部102、塗料供給制御部103、ヘッド制御部104及び移動台制御部105は、CPU(Central Processing Unit)、記憶部位(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発メモリ等)、その他の要素から構成されている。
【0051】
主制御部101は、ロボットアーム15、移動装置16、塗料循環装置51及び塗装ヘッド56が協働して塗装対象物に対する塗装が実行されるように、アーム制御部102、塗料供給制御部103、ヘッド制御部104及び移動台制御部105の各々に所定の制御信号を送信する。
【0052】
アーム制御部102は、自身が有するアーム用メモリ106に格納された各種データに基づいて、ロボットアーム15に設けられるモータM1、M2,M3,M4,M5,M6の各々に対する駆動制御を行う。ここで、アーム用メモリ106に記憶される各種データは、塗装ロボット10による車体FRの塗装時に必要となるものであり、例えば、塗装を行う車体FRの外形形状のデータ、当該車体FRの塗装時における塗装ヘッドユニット17の移動軌跡を示す軌跡データ、ロボットアーム15及び塗装ヘッドユニット17の姿勢を示す姿勢データなどを含む。ここで、アーム制御部102は、請求項に記載の姿勢制御手段に相当する。
【0053】
ここで、本実施の形態に示す塗装ロボット10を用いた車体FRの塗装は、第2回動アーム23の延伸方向が水平面に含まれる状態、すなわち、第2回動アーム23を水平状態に維持しながら実行される。したがって、上記姿勢データは、例えば第2回動アーム23が水平状態に維持されるときの、第1回動アーム22の姿勢(モータM1やモータM2の回転量)のデータだけでなく、第1回動アーム22に対する第2回動アーム23の姿勢(モータM3の回転量)のデータも含まれる。
【0054】
なお、上述した各種データは、塗装ロボット10により、外形形状が異なる複数の車体FRを塗装する場合には、外形形状の異なる複数の車体FRの各々に対応してアーム用メモリ106に格納される。
【0055】
塗料供給制御部103は、上述した塗料循環装置51に設けられた圧力計69,72,76,79による測定結果に基づいて、ギヤポンプ62,80の駆動制御や、比例弁71,77の開閉制御を行い、塗料循環装置51の塗料タンク55に貯留される塗料を、塗料タンク55と塗装ヘッド56との間で循環させる。ここで、塗料供給制御部103は、請求項に記載の圧力制御手段に相当する。
【0056】
ヘッド制御部104は、位置センサ107により検出される塗装ヘッド56の位置情報に基づいて、圧電基板108を作動する。ここで、ヘッド制御部104は、圧電基板108の作動を制御するだけでなく、圧電基板108に対する作動周波数の制御や、圧電基板108に印加する電圧の制御を行い、塗装ヘッド56のノズル形成面56aに設けられる複数のノズル61の各々から吐出される塗料の液滴量を制御することも可能である。
【0057】
位置センサ107は、アーム制御部102の制御により移動する塗装ヘッド56の位置を検出して、その検出信号を主制御部101に出力する。
【0058】
移動台制御部105は、上述した移動装置16が有する駆動モータ110の作動を制御して、駆動側スプロケット41を回転させて、駆動側スプロケット41及び従動側スプロケット42の各々に巻き掛けられた駆動ベルト43を所望の速度で走行させる。駆動ベルト43の走行により、当該駆動ベルト43に固定された移動台31が、
図1中x方向又は-x方向に移動する。また、傾斜装置111を備えている場合には、移動台制御部105は、移動装置16の他に、傾斜装置111の作動を制御する。
【0059】
位置センサ112は、移動台制御部105の制御により移動する移動台31の位置を検出して、その検出信号を、移動台制御部105を介して主制御部101に出力する。
【0060】
傾斜装置111は、移動装置16を傾斜させる装置である。図示を省略するが、傾斜装置111は、例えば、空気の供給によりロッドがシリンダ本体に対して伸縮するエアシリンダの他、複数のギヤやカムを用いた装置を用いることができる。なお、傾斜装置111は、移動台制御部105で駆動制御される構成とはせずに、移動装置16のセッティングの際に、たとえば送りネジ機構等の調整で、人手または外部の駆動手段等で作動させるものであっても良い。
【0061】
次に、塗装ロボット10を用いた車体FRの塗装における制御について説明する。なお、
図6は、車体TRへの塗装時における塗装ヘッド56の移動軌跡の一例を示している。
図6に示すように、塗装ロボット10が車体FRの塗装を行っていないとき、塗装ヘッド56は、例えば待機位置(
図6中、位置P1)に保持されている。塗装ロボット10による塗装が開始されると、移動台制御部105は、駆動モータ110を駆動する。駆動モータ110の駆動により駆動側スプロケット41及び従動側スプロケット42に巻き掛けられた駆動ベルト43が走行して、移動台31が
図6中x方向に移動する。移動台31の
図6中x方向への移動に伴い、移動台31に固定されるロボットアーム15が
図6中x方向に移動する。なお、位置P1から位置P2へのロボットアーム15、すなわち、塗装ヘッド56の移動速度は、一例として300mm/sである。
【0062】
このとき、制御の一例としては、アーム制御部102は、モータM1,M2,M3,M4,M5,M6のいずれのモータも駆動させないものがある。この場合、移動台31の
図6中x方向への移動時には、ロボットアーム15の第1回動アーム22及び第2回動アーム23の姿勢は一定に保持される。
【0063】
移動台31の
図6中x方向への移動により、塗装ヘッド56が位置P2まで移動すると、移動台制御部105は、駆動モータ110の駆動を停止する。
【0064】
駆動モータ110の駆動が停止させられると、アーム制御部102は、モータM2,M3を駆動して、塗装ヘッド56を位置P2から位置P3まで移動させる。このとき、アーム制御部102は、第2回動アーム23が水平状態を維持するように、モータM2,M3を駆動する。そして、塗装ヘッド56が位置P3まで移動すると、アーム制御部102は、モータM2,M3の駆動を停止させる。ここで、位置P2から位置P3へのロボットアーム15、すなわち、塗装ヘッド56の移動速度は、一例として300mm/sである。
【0065】
塗装ヘッド56が位置P3まで移動すると、移動台制御部105は、駆動モータ110を駆動して、移動台31及び当該移動台31に固定されたロボットアーム15を
図6中-x方向に移動させる。これにより、塗装ヘッド56は位置P3から位置P4まで移動する。ここで、位置P3から位置P4へのロボットアーム15、すなわち、塗装ヘッド56の移動速度は、一例として300mm/sである。
【0066】
ここで、塗装ヘッド56による車体FRの塗装では、位置P4及び位置P5の間を
図6中-x方向又はx方向に往復動させ、位置P4から位置P5までの移動、又は位置P5から位置P4までの移動のいずれかの移動時に、塗装ヘッド56のノズル形成面56aに設けた複数のノズル61を用いた塗装(以下、ノズル形成面56aに設けた複数のノズルの全てを用いた塗装を1ライン分の塗装と称する)を行い、1ライン分の塗装が終了すると、塗装ヘッド56を-y方向に1ライン分移動させる動作が行われる。したがって、位置P4から位置P5の間が、塗装ヘッド56による塗装が行われる塗装領域となる。なお、塗装ヘッド56による車体FRの塗装において、塗装ヘッド56の移動速度は、例えば30mm/sから200mm/sの範囲に設定される。
【0067】
塗装ヘッド56が位置P4に到達した後、アーム制御部102は、アーム用メモリ106に格納された車体FRの外形形状のデータを参照してM4,M5,M6を駆動する。同時に、移動台制御部105は、傾斜装置111を駆動する。
【0068】
これにより、塗装ヘッド56の
図6中-x方向への移動とともにリスト部28が回動する。また、傾斜装置111の駆動により、塗装ヘッド56が鉛直方向(
図1中z方向又は-z方向)に移動する。したがって、塗装ヘッド56のノズル形成面56aが車体FRの塗装部位に対して一定の間隔を保持した状態が維持される。このとき、第2回動アーム23は、水平状態に保持される。したがって、リスト部28が回動しないときには、塗料循環装置51と塗装ヘッド56との相対位置は変化しない状態となり、また、リスト部28の回動により塗装ヘッド56が移動する時には、塗料循環装置51と塗装ヘッド56との相対位置は、リスト部28の回動に基づいた所定範囲の変化となる。この状態で、ヘッド制御部104は、圧電基板108を作動させる。
【0069】
塗装ヘッド56が位置P5まで移動すると、塗装ヘッド56による1ライン分の塗装が終了する。したがって、移動台制御部105は駆動モータ110の駆動を停止する。同時に、アーム制御部102は、モータM2,M3(必要に応じてモータM1)を駆動して、ロボットアーム15の姿勢を変化させる。これにより、塗装ヘッド56が、1ライン分、
図6中-y方向に移動する。
【0070】
移動台制御部105は、駆動モータ110を駆動して、移動台31及び当該移動台31に固定されたロボットアーム15を
図6中x方向に移動させる。これにより、塗装ヘッド56は位置P5から位置P4に向けて移動する。このとき、ヘッド制御部104は、圧電基板108を作動させる。これにより、塗装ヘッド56による車体FRの塗装が行われる。この場合も、アーム制御部102は、第2回動アーム23に固定されるリスト部28のモータM4,M5,M6を駆動して、塗装ヘッド56の姿勢を変化させ、当該塗装ヘッド56のノズル形成面56aが車体FRの塗装部位に対して一定の間隔に保持する。そして、塗装ヘッド56が位置P4に到達すると、移動台制御部105は、駆動モータ110の駆動を停止する。これにより、次の1ライン分の塗装が車体FRに対して行われる。
【0071】
車体FRの塗装では、塗装ヘッド56を位置P4から位置P5に向けて(又はその逆)移動させた後、1ライン分-y方向に移動させる動作を複数回行う。そして、車体FR全体の塗装が行われて、位置P5まで移動すると、アーム制御部102は、モータM2,M3,M4,M5,M6を駆動して、塗装ヘッドを位置P5から位置P1へと移動させる。
【0072】
なお、上述した塗装ヘッド56の移動時には、塗料循環装置51の供給路57に設けた圧力計69や、戻り流路58に設けた圧力計79による検出結果に基づいて、供給路57や戻り流路58を流れる塗料の圧力が制御される他、圧力計72による比例弁71の開閉制御や、圧力計76による比例弁77の開閉制御が行われる。
【0073】
なお、本実施の形態では、塗装ヘッド56の移動速度は、塗装ヘッド56が位置P4に到達したときに減速している。しかしながら、塗装ヘッド56の移動速度を減速させる位置は位置P4に限定される必要はなく、例えば位置P2に到達したときに、減速させてもよい。
【0074】
次に、上述した塗装ロボット10により車体FRの塗装を行うに当たり、第2回動アーム23の状態に基づく、塗料循環装置51の内部の圧力の変化(変動)について考慮する。
【0075】
図7(a)は、ロボットアーム15の第2回動アーム23を水平状態として塗装を行ったときの、塗装ヘッド56の入力側における塗料の圧力の変化を示す図である。また、
図7(b)は、ロボットアーム15の第2回動アーム23を水平状態として塗装を行ったときの、塗装ヘッド56の出力側における塗料の圧力の変化を示す図である。また、
図8(a)は、ロボットアーム15の第2回動アーム23の姿勢を変化させて塗装を行ったときの、塗装ヘッド56の入力側における塗料の圧力の変化を示す図である。また、
図8(b)は、ロボットアーム15の第2回動アーム23の姿勢を変化させて塗装を行ったときの、塗装ヘッド56の出力側における塗料の圧力の変化を示す図である。これら図においては、位置P4から位置P5まで塗装ヘッドを移動させた場合についての測定結果を示している。なお、塗装ヘッド56の入力側における塗料の圧力は、その目標値を例えば0.1barとし、塗装ヘッド56の出力側における塗料の圧力は、その目標値を例えば-0.1barとしている。
【0076】
図7(a),
図7(b)に示すように、第2回動アーム23を水平状態として塗装を行った場合、塗装ヘッド56の入力側における、すなわち、塗装ヘッド56に向けて流れる塗料の圧力は、0.09barから0.1075barの範囲で変化している。すなわち、塗装ヘッド56に向けて流れる塗料の圧力は、目標値の前後で変位しており、塗料を安定して塗装ヘッド56に向けて供給されていることが分かった。また、塗装ヘッド56の出力側における、すなわち、塗装ヘッド56から送り出される塗料の圧力は、-0.0925barから-0.1075barの範囲で変化している。すなわち、塗装ヘッド56から送り出される塗料の圧力は、目標値の前後で変化しており、塗料を安定して塗装ヘッド56から送り出されていることがわかった。
【0077】
一方、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、塗装ヘッド56が下方に位置するように第2回動アーム23を傾斜させて塗装を行った場合、塗装ヘッド56の入力側における、すなわち、塗装ヘッド56に向けて流れる塗料の圧力は、0.093barから0.106barの範囲で変位している。すなわち、塗装ヘッド56に向けて流れる塗料の圧力は、目標値の前後で変位しており、塗料を安定して塗装ヘッド56に向けて流れていることが分かった。しかしながら、塗装ヘッド56の出力側における、すなわち、塗装ヘッド56から送り出される塗料の圧力は、-0.078barから-0.0975barの範囲で変位している。すなわち、塗装ヘッド56から送り出される塗料の圧力は、目標値から外れた値で変位しており、塗料を安定して塗装ヘッド56から送り出されていないことが分かった。
【0078】
このような結果から、第2回動アーム23を水平状態として塗装を行った場合、第2回動アーム23を傾斜させて塗装を行った場合に比べて、塗装ヘッド56及び塗料循環装置51の水頭差の影響が小さく、安定して塗料を循環させることができることがわかった。すなわち、塗装ロボット10においては、塗装ヘッド56による車体FRへの塗装時に、第2回動アーム23を水平状態とすることが望ましく、第2回動アーム23を水平状態が困難な場合にのみ、第2回動アーム23を所定の角度傾ける。これにより、塗装ヘッド56及び塗料循環装置51の水頭差の影響を抑制することで、塗料循環装置51の供給路57、戻り流路58を流れる塗料の圧力を安定させる、すなわち、塗料タンク55と塗装ヘッド56との間で塗料を安定して循環させることができる。
【0079】
本実施の形態では、移動装置16を塗装室の床面に設置した場合を説明しているが、これに限定する必要はなく、
図9に示すように、例えば移動装置16を塗装室の側壁や塗装室の天井面など、塗装対象物である車体FRよりも上方に設置することも可能である。これによれば、床面に塗装を行う上で必要となる要素を配置する必要がなくなるので、車体FRの塗装を行う際に必要となる床面積を小さくした塗装室を提供することが可能となる。
【0080】
本実施の形態では、ロボットアーム15の第2回動アーム23を水平状態に保持した状態で塗装ヘッド56による塗装を行うことで、塗料循環装置51と塗装ヘッド56との水頭差の発生やその変化を抑制している。例えば車体FRに設けられるボンネット及びルーフなど、高低差がある塗装面を有する塗装対象物の場合には、塗装ヘッド56を上下動させるために、ロボットアーム15の第1回動アーム22や第2回動アーム23を回動させる必要があり、これら回動によって第2回動アーム23を水平状態に保つことが困難となる場合もある。このような場合に対応するために、例えば、ロボットアーム15の基台21に回転部25を昇降させるための昇降装置を設け、回転部25を固定部24に対して昇降させることで、第2回動アーム23を水平状態に保持することも可能である。
【0081】
なお、例えば車体FRに設けられるボンネット及びルーフなど、高低差がある塗装面を有する塗装対象物の場合には、ボンネットを塗装する塗装ロボットと、ルーフを塗装する塗装ロボットとを設けるなど、塗装箇所によって異なる塗装ロボットを用いて塗装を行うことで、各々の塗装ロボットによる塗装動作において、第2回動アームを水平状態に保持したまま塗装を行うことができる。
【0082】
また、塗装ヘッド56をルーフやボンネットなどの外形形状に沿って移動させる場合、塗装ロボット10の第1回動アーム22や第2回動アーム23を回動させることもあるが、このような場合には、塗装ヘッド56は
図1中z方向又は-z方向に多少移動するが、圧力変動は生じることはない。また、塗装ヘッド56を急激に移動させる、或いは、塗装ヘッド56を広範囲に上下動させるなどの場合、塗装ロボット10の第1回動アーム22や第2回動アーム23の姿勢を急激に変化させるため、塗料の圧力変動が生じることになるが、本実施の形態では、塗装ロボット10の第1回動アーム22や第2回動アーム23の姿勢が一定に保たれるので、これらアームの姿勢の変化に伴なった圧力変動の発生を防止できる。
【0083】
本実施の形態では、アーム制御部102は、アーム用メモリ106に記憶された車体FRの外形形状のデータに基づいてロボットアーム15における第2回動アーム23の姿勢を制御しているが、アーム制御部102は、車体FRの外形形状のデータの他に、塗料循環装置51に設けた圧力計69,79により測定される圧力値を用いて第2回動アーム23の姿勢を水平状態に維持するように制御することも可能である。この場合、圧力計69,79により測定される圧力値が一定、又は圧力値の変動が所定の範囲となるように、アーム制御部102は、モータM2,M3を駆動して、第2回動アーム23を水平状態で保持する。
【0084】
(効果について)
本発明に係る塗装ロボット10は、車体FRに向けて塗料を吐出することが可能な塗装ヘッド56と、塗料を貯留する塗料タンク55と塗装ヘッド56との間で塗料を循環させる供給路57及び戻り流路58を有し、供給路57及び戻り流路58を流れる塗料の圧力を制御することが可能な塗料循環装置51と、塗装ヘッド56及びギヤポンプ62,80を有するロボットアーム15と、を備える塗装ロボット10であって、ロボットアーム15は、第1回動アーム22及び第2回動アーム23と、これらアームを互いに連結する可動軸部26,27と、を備えた多軸アームであり、塗装ヘッド56による車体FRの塗装時に、多軸アームを構成する第1回動アーム22及び第2回動アーム23の姿勢を制御して、塗装ヘッド56及び塗料循環装置51の相対位置を一定に保持する、又は当該相対位置の変動を所定の許容範囲内に抑えるアーム制御部102と、塗装ヘッド56による車体FRの塗装時に、塗装ヘッド56における車体FRの塗装方向に沿って、多軸アームを移動させる移動装置16と、を有するものである。
【0085】
例えば移動装置がない場合には、多軸アームの基部は所定位置に固定されることになる。このとき、多軸アームの基部の位置から塗装ヘッドによる塗装位置が近い場合には、多軸アームを構成するアーム部材は起立した状態となる一方で、多軸アームの基部の位置から塗装ヘッドによる塗装位置が遠い場合には、多軸アームを構成するアーム部材は水平状態になる。すなわち、多軸アームの基部が固定されたとき、循環路を流れる塗料の圧力制御では、多軸アームの動作だけでなく、供給装置及び塗装ヘッド間の水頭差を考慮する必要があり、循環路を流れる塗料の圧力制御が複雑になる。
【0086】
一方、本発明では、塗装ヘッド56と塗料循環装置51の相対位置を一定に保持する、又は当該相対位置の変動を所定の許容範囲内に抑えられる。したがって、供給路57や戻り流路58を流れる塗料の圧力制御において、塗料循環装置51及び塗装ヘッド56間の水頭差の影響を大幅に軽減できるので、供給路57や戻り流路58における塗料の圧力制御が容易となる。
【0087】
また、供給路57は、塗料タンク55に貯留された塗料を塗装ヘッド56に供給するもので、戻り流路58は、塗装ヘッド56により使用されなかった塗料を塗料タンク55に戻すものであり、塗料タンク55に貯留された塗料を供給路57に送り出すギヤポンプ62と、塗装ヘッド56から塗料を戻り流路58に引き込むギヤポンプ80と、供給路57に送り込まれた塗料の圧力を検出する圧力計69と、戻り流路58に引き込まれた塗料の圧力を検出する圧力計79と、圧力計69による検出結果に基づいてギヤポンプ62による塗料の送り出し量を制御するとともに、圧力計79による検出結果に基づいてギヤポンプ80による塗料の引き込み量を制御する塗料供給制御部103と、を有するものである。
【0088】
この構成によれば、塗装ヘッド56による車体FRの塗装時に、塗料循環装置51の供給路57に送り込まれた塗料の圧力と戻り流路58に引き込まれた塗料の圧力とに基づき、ギヤポンプ62,80を制御することができるので、各流路における塗料の圧力を適正な圧力に保つことができる。
【0089】
また、アーム制御部102は、圧力計69,79からの検出結果に基づいて、ロボットアーム15の第1回動アーム22及び第2回動アーム23の姿勢を制御するものである。
【0090】
例えば、塗料循環装置51では、圧力計69,79による検出結果に基づいて塗装ヘッド56に供給される塗料の圧力や、塗料タンク55に還流される塗料の圧力が制御されている。例えば圧力計69,79により検出される圧力値は、ロボットアーム15の姿勢変化に基づいて変化する。したがって、アーム制御部102は、塗料循環装置51や塗装ヘッド56に高さなどを検出するセンサなどを設けなくとも、これら検出手段による検出結果を利用することで、車体FRの高さ方向において塗料循環装置51と塗装ヘッド56とを同一高さに保持、又は所定の許容高さ範囲内での変動に抑えることが可能となる。
【0091】
また、ロボットアーム15は、可動軸部26,27を介して連結される第1回動アーム22及び第2回動アーム23を、2軸方向に回転自在に支持する基台21を有し、移動装置16は、塗装ヘッド56による車体FRの塗装方向に沿って延びるレール32と、基台21をレール32に沿って移動させる、駆動側スプロケット41、従動側スプロケット42、駆動ベルト43及び駆動モータ110を有し、レール32は、車体FRを塗装する塗装室の床面に設けられるものである。
【0092】
これによれば、塗装ヘッド56と塗料循環装置51とが常に同一高さに保持された状態で、ロボットアーム15を、塗装ヘッド56による車体FRの塗装位置に合わせて移動させることができる。
【0093】
また、ロボットアーム15は、可動軸部26,27を介して連結される第1回動アーム22及び第2回動アーム23を、2軸方向に回転自在に支持する基台21を有し、移動装置16は、塗装ヘッド56による車体FRの塗装方向に沿って延びるレール32と、基台21をレール32に沿って移動させる、駆動側スプロケット41、従動側スプロケット42、駆動ベルト43及び駆動モータ110を有し、前記レール32は、車体FRを塗装する塗装室の側面、又は塗装される車体の上方となる位置に設けられるものである。
【0094】
これによれば、塗装ヘッド56と塗料循環装置51とが常に同一高さに保持された状態で、ロボットアーム15を、塗装ヘッド56による車体FRの塗装位置に合わせて移動させることができる。また、レール32を、塗装室の側面、又は塗装される車体FRの上方となる位置に設けることで、塗装室の床面に、塗装を行う上で必要となる要素を配置する必要がなくなるので、車体FRの塗装を行う際に必要となる床面積を小さくした塗装室を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0095】
10…塗装ロボット(車体塗装用ロボット)
15…ロボットアーム
16…移動装置
21…基台(基部)
22…第1回動アーム
23…第2回動アーム
33…駆動機構(駆動手段)
55…塗料タンク(貯留部)
56…塗装ヘッド
57…供給路
58…戻り流路(還流路)
62…ギヤポンプ(送出手段)
69…圧力計(第1の検出手段)
79…圧力計(第2の検出手段)
80…ギヤポンプ(引込み手段)
102…アーム制御部(姿勢制御手段)
103…塗料供給制御部(圧力制御手段)
【要約】 (修正有)
【課題】多軸アームの姿勢の変化を極力抑えることで、塗料供給装置の供給路や還流路を流れる塗料の圧力だけでなく、塗装ヘッドの内部に存在する塗料の圧力を適正な圧力の範囲に保持する。
【解決手段】車体塗装用ロボット10は、塗装ヘッドと、塗料を貯留する貯留部と、塗装ヘッド及び貯留部の間に設けた循環路を流れる塗料の圧力を制御することが可能な供給装置と、塗装ヘッド及び供給装置を有するアーム15を備えており、アームは、複数のアーム部材22、23と、各アーム部材を互いに連結する可動軸部26、27とを備えた多軸アームであり、塗装ヘッドによる車体FRの塗装時に、複数のアーム部材の姿勢を制御して塗装ヘッド及び供給装置の相対位置を一定に保持、又は相対位置の変動を所定の許容範囲内に抑える姿勢制御手段と、塗装ヘッドによる車体の塗装時に、塗装ヘッドにおける車体の塗装方向に沿って多軸アームを移動させる移動機構と、を有する。
【選択図】
図1