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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】セットアップ支援装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20221006BHJP
   G05B 19/418 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022095487
(22)【出願日】2022-06-14
(62)【分割の表示】P 2022019279の分割
【原出願日】2016-11-17
(65)【公開番号】P2022121466
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2022-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩二
(72)【発明者】
【氏名】林 英輝
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-204824(JP,A)
【文献】特開2012-230995(JP,A)
【文献】特開2005-101574(JP,A)
【文献】特開2007-19320(JP,A)
【文献】特開2009-130160(JP,A)
【文献】特開2012-94663(JP,A)
【文献】特開2012-134565(JP,A)
【文献】特開2016-146381(JP,A)
【文献】特開2017-28196(JP,A)
【文献】国際公開第2016/139793(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/092250(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に電子部品を装着する種々の生産ジョブを実行して基板製品を生産する部品装着機において前記生産ジョブを実行可能な状態にするために前記電子部品を供給するフィーダの補給処理であるセットアップを支援するセットアップ支援装置であって、
複数の前記生産ジョブの実行順序を示す生産スケジュールと、前記生産スケジュールに含まれる複数の前記生産ジョブのうち1回の前記セットアップの対象として選択された前記生産ジョブを記憶する記憶部と、
選択された前記生産ジョブに基づいて、前記部品装着機の部品供給装置の各スロットに何れの前記フィーダをセットし、前記部品供給装置から何れの前記フィーダを回収するのかをオペレータに対して案内する案内部と、
を備え、
前記部品装着機は、選択された前記生産ジョブで使用する各々の前記フィーダの補給処理の終了の少なくとも一部を次回実行する前記生産ジョブの開始条件として設定され、
前記案内部は、選択された前記生産ジョブの前記補給処理を案内する場合に、それぞれの前記補給処理が次回実行される前記生産ジョブの前記開始条件とするのか否かを案内するセットアップ支援装置。
【請求項2】
前記生産スケジュールにおける所定の前記生産ジョブの前記開始条件の編集を受け付けるとともに、編集された前記開始条件を前記部品装着機に転送して更新する条件編集部をさらに備える、請求項1に記載のセットアップ支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セットアップ支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セットアップ支援装置は、電子部品を回路基板に装着する種々の生産ジョブを実行して複数種類の基板製品を生産する部品装着機のセットアップを支援する。部品装着機は、複数のフィーダを用いて種々の電子部品を供給する部品供給装置を備える。部品装着機のセットアップでは、対象が上記のフィーダの場合には、部品供給装置における複数のスロットのそれぞれに、最適化処理などによって予め設定された部品種を供給可能なフィーダをセットすることが求められる。
【0003】
また、セットアップの内容や実行のタイミングは、上記と同様に最適化処理などによってセットアップリストとして予め設定され、作業の効率化が図られている(特許文献1を参照)。オペレータは、例えばプリントアウトされたセットアップリストや、特許文献2に示すように表示装置に表示されたセットアップを確認して、生産スケジュールに従ったセットアップを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-059090号公報
【文献】特開2012-004431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生産予定になかった基板製品の生産が必要となったり、生産予定にあった特定の基板製品の生産が中止となったりするなど、生産スケジュールが変更されることがある。このような場合には、オペレータにセットアップの案内をするために、セットアップの内容や実行のタイミングの変更に伴ってセットアップリストを再度生成する必要が生じ、生産時間が延びることが懸念される。
【0006】
また、次回実行する生産ジョブの開始時間が迫っているなどの生産状態によっては、予定されたセットアップの全てを完了させると却って部品装着機の稼働率が低下することがある。さらには、オペレータの作業状態によっては、現在は案内されていない先のセットアップを併せて行った方が効率的な場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、生産スケジュールの変更等に応じてセットアップを編集して、部品装着機のセットアップの効率化を図ることができるセットアップ支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示するセットアップ支援装置は、回路基板に電子部品を装着する種々の生産ジョブを実行して基板製品を生産する部品装着機において前記生産ジョブを実行可能な状態にするために前記電子部品を供給するフィーダの補給処理であるセットアップを支援するセットアップ支援装置であって、複数の前記生産ジョブの実行順序を示す生産スケジュールと、前記生産スケジュールに含まれる複数の前記生産ジョブのうち1回の前記セットアップの対象として選択された前記生産ジョブを記憶する記憶部と、選択された前記生産ジョブに基づいて、前記部品装着機の部品供給装置の各スロットに何れの前記フィーダをセットし、前記部品供給装置から何れの前記フィーダを回収するのかをオペレータに対して案内する案内部と、を備え、前記部品装着機は、選択された前記生産ジョブで使用する各々の前記フィーダの補給処理の終了の少なくとも一部を次回実行する前記生産ジョブの開始条件として設定され、前記案内部は、選択された前記生産ジョブの前記補給処理を案内する場合に、それぞれの前記補給処理が次回実行される前記生産ジョブの前記開始条件とするのか否かを案内する。
本明細書で開示するセットアップ支援装置は、回路基板に電子部品を装着する種々の生産ジョブを実行して基板製品を生産する部品装着機において前記生産ジョブを実行可能な状態にするために前記電子部品を供給するフィーダの補給処理であるセットアップを支援するセットアップ支援装置あって、複数の前記生産ジョブの実行順序を示す生産スケジュールと、前記生産スケジュールに含まれる複数の前記生産ジョブのうち1回の前記セットアップの対象として選択された前記生産ジョブを記憶する記憶部と、前記生産スケジュールに従った生産中に、前記生産ジョブを追加するように前記生産スケジュールが変更された場合に、前記生産スケジュールの変更に応じて前記セットアップの対象とする前記生産ジョブを編集する編集部と、編集された前記セットアップに基づいて、前記部品装着機の部品供給装置の各スロットに何れの前記フィーダをセットし、前記部品供給装置から何れの前記フィーダを回収するのかをオペレータに対して案内する案内部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
このような構成によると、オペレータは、例えば開始条件に該当するセットアップのみを優先して行うことで、次回実行される生産ジョブの開始条件を満たすことができる。これにより、生産状態によっては、部品装着機の停止時間(セットアップ時間)を短縮することができる。また、開始条件であるセットアップが完了した後に、開始条件でないセットアップがなされることによって、その後に実行される生産ジョブを実行可能な状態にすることができる。
セットアップ支援装置は、生産スケジュールの変更に応じてセットアップを編集する。これにより、生産の管理側で変更された生産スケジュールを反映させてセットアップの内容を変動させることができ、不要なセットアップがなされることを防止できる。上記のようにセットアップを編集することにより、セットアップの効率化を図ることができる。また、例えば次回の生産ジョブには不要なセットアップを後回しにでき、優先すべきセットアップを行うようにオペレータ等の人的資源を有効に活用することが可能となる。また、生産スケジュールに変更があった場合に、セットアップリストを再度生成することなく対応することができる。よって、生産時間が延びることを防止するとともに、部品装着機の稼働率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態におけるセットアップ支援装置が適用される生産ラインの構成を示す模式図である。
図2】部品装着機を示す模式図である。
図3】セットアップ支援装置の構成を示すブロック図である。
図4】セットアップリストを含む各種データを示す図である。
図5】セットアップの案内により表示される内容を示す図である。
図6】開始条件の編集後のセットアップリストに基づくセットアップの案内により表示される内容を示す図である。
図7】フィーダデータおよび積載情報を示す図である。
図8】セットアップの案内処理を示すフローチャートである。
図9】生産ジョブごとのフィーダの必要数を示す図である。
図10】フィーダの必要数と使用可能数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、セットアップ支援装置を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。セットアップ支援装置は、部品装着機による所定の生産ジョブの実行を可能とするセットアップを支援する。部品装着機は、吸着ノズルやチャック装置などの保持部材により電子部品を採取し、回路基板上の所定の座標位置に電子部品を移載する装置である。部品装着機は、例えば回路基板の搬送方向に複数並設され、基板製品を生産する生産ラインを構成する。
【0012】
<実施形態>
(生産ラインの構成)
生産ラインは、複数の部品装着機1が回路基板90の搬送方向(図1の左右方向)に並設されて構成される。生産ラインには、例えばスクリーン印刷機や装着検査機、リフロー炉などが含まれ得る。複数の部品装着機1は、ネットワークを介してホストコンピュータ60およびセットアップ支援装置70と通信可能に接続されている。
【0013】
(部品装着機1の構成)
部品装着機1は、図2に示すように、基板搬送装置10と、部品供給装置20と、部品移載装置30と、部品カメラ41と、基板カメラ42と、制御装置50とを備える。以下の説明において、部品装着機1の水平幅方向(図1および図2の左右方向)をX軸方向とし、部品装着機1の水平奥行き方向(図1および図2の上下方向)をY軸方向とし、X軸およびY軸に垂直な鉛直方向(図1および図2の前後方向)をZ軸方向とする。
【0014】
基板搬送装置10は、ベルトコンベアなどにより構成され、回路基板90を搬送方向(本実施形態においてはX軸方向)へと順次搬送する。基板搬送装置10は、部品装着機1の機内における所定の位置に回路基板90を位置決めする。そして、基板搬送装置10は、部品装着機1による装着処理が実行された後に、回路基板90を部品装着機1の機外に搬出する。
【0015】
部品供給装置20は、部品装着機1の前部側(図2の下側)に設けられている。部品供給装置20は、回路基板90に装着される電子部品を供給する。部品供給装置20は、X軸方向に並んで配置された複数のスロット21を有する。複数のスロット21には、生産ジョブの実行前に当該生産ジョブのセットアップにおいてフィーダ23が交換可能にそれぞれセットされる。フィーダ23は、多数の電子部品を収納するキャリアテープが巻回されたリールを交換可能に装填される。フィーダ23は、キャリアテープを送り移動させて、フィーダ23の先端側に位置する供給位置において電子部品を採取可能に供給する。
【0016】
また、部品供給装置20には、識別コードが設けられている。識別コードには、部品供給装置20の固有の識別情報である識別符号(ID)が記録されている。識別コードとしては、バーコードや二次元コードなどを適用し得る。本実施形態において、識別コードは、後述する準備台車80と無線通信を行うタグ24に記録され、無線通信により準備台車80に転送される。タグ24は、部品供給装置20の前面において、部品装着機1が設置された床面から所定の高さの位置に設けられている。
【0017】
部品移載装置30は、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成される。部品移載装置30は、ヘッド駆動装置31、移動台32、および装着ヘッド33を備える。ヘッド駆動装置31は、直動機構により移動台32をXY軸方向に移動可能に構成されている。装着ヘッド33は、部品供給装置20により供給される電子部品を採取して回路基板90に移載する作業に用いられる。装着ヘッド33は、図示しないクランプにより移動台32に固定される。
【0018】
また、装着ヘッド33は、着脱可能に設けられる複数の吸着ノズル34を有する。装着ヘッド33は、Z軸と平行なR軸回りに回転可能に、且つ昇降可能に各吸着ノズル34を支持する。吸着ノズル34は、装着ヘッド33に対する昇降位置や角度、負圧の供給状態を制御される。吸着ノズル34は、負圧を供給されることにより、部品供給装置20のフィーダ23により供給される電子部品を吸着する。上記の装着ヘッド33および吸着ノズル34は、生産ジョブのセットアップにおいて当該生産ジョブに応じて交換または専用の載置台に自動交換可能に載置される。
【0019】
部品カメラ41および基板カメラ42は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有するデジタル式の撮像装置である。部品カメラ41および基板カメラ42は、通信可能に接続された制御装置50による制御信号に基づいてカメラ視野に収まる範囲の撮像を行い、当該撮像により取得した画像データを制御装置50に送出する。
【0020】
部品カメラ41は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の上向きとなるように部品装着機1の基台に固定されている。部品カメラ41は、部品移載装置30の下方から装着ヘッド33の吸着ノズル34に保持された電子部品を撮像可能に構成されている。基板カメラ42は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きとなるように部品移載装置30の移動台32に設けられる。基板カメラ42は、回路基板90を撮像可能に構成されている。また、本実施形態において、基板カメラ42は、上記の載置台に載置された装着ヘッド33や吸着ノズル34に付された識別コードの読み取りに利用可能に構成されている。
【0021】
制御装置50は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置50は、回路基板90に電子部品を装着する装着処理を含む生産ジョブを制御する。上記の装着処理は、制御プログラムに基づいて実行され、部品供給装置20により供給される電子部品を採取し、電子部品を回路基板90における所定位置に移載するピックアンドプレースサイクルを複数回に亘って繰り返す処理である。生産ジョブの実行により生産される基板製品の種類である製品種は、実行される生産ジョブの種類によって定まる。
【0022】
また、制御装置50は、装着ヘッド33の位置や吸着機構の動作を制御する。詳細には、制御装置50は、装着処理において、部品装着機1に複数設けられた各種センサから出力される情報、画像処理などによる認識処理の結果を入力する。そして、装着制御部51は、制御プログラム、各種センサによる情報、各種の認識処理の結果に基づいて、部品移載装置30へと制御信号を送出する。これにより、装着ヘッド33に支持された吸着ノズル34の位置および回転角度が制御される。
【0023】
(ホストコンピュータ60および各種データ)
ホストコンピュータ60は、生産ラインの動作状況を監視し、複数の部品装着機1を含む生産ラインの構成機器の制御を行う。また、ホストコンピュータ60は、部品装着機1による生産の進行の度合いなどを集計する。ホストコンピュータ60には、生産ラインを構成する複数の部品装着機1の制御に用いられる各種データが記憶されている。また、ホストコンピュータ60は、後述するセットアップ支援装置70の制御に用いられる生産スケジュールおよびセットアップリストを生成する。
【0024】
生産スケジュールは、図4の表3に示すように、複数種類の基板製品の生産順序として生産ジョブ(JobA,JobB,JobC,・・・)の実行順序を示す。生産スケジュールは、生産計画(図4の表1を参照)、および製品データ(図4の表2を参照)に基づいて生成される。本実施形態において、生産スケジュールが示す複数の生産ジョブ(JobA,JobB,JobC,・・・)の実行順序は、生産ジョブの種類数に対してセットアップの回数が少なくなるように最適化する最適化処理により予め設定されている。
【0025】
上記の最適化処理は、例えば異なる製品種間で必要な電子部品の部品種の一部が共通する場合に、これらの製品種に対応する複数種類の生産ジョブを連続で実行するように順序を設定する。これにより、共通する部品種を供給するフィーダ23については生産ジョブ間でのセットアップが不要となる。また、異なる製品種間で必要な電子部品の部品種の総数が部品供給装置20のスロット21の数以下であれば、それぞれのスロット21に異なる部品種を供給可能なフィーダ23をセットすることでセットアップの回数を低減できる。
【0026】
具体的には、製品種(U1,U2,U3)に対応する複数種類の生産ジョブ(JobA,JobB,JobC)をグループ(Gr01)化する。これにより、当該グループ(Gr01)については1回のセットアップ(Set1)で複数の生産ジョブ(Gr01に属するJobA~JobC)が実行可能となる。また、生産ジョブの実行順序は、製品種ごとの生産の優先度等に基づいて最適化される。そのため、上記のようなグループ化がなされずに生産ジョブ(JobF)の前後でセットアップ(Set3,Set4)が実行される場合がある。
【0027】
上記の生産計画は、図4の表1に示すように、基板製品の製品種(U1,U2,U3,・・・)ごとの目標生産数(T1,T2,T3,・・・)を示す。製品データは、図4の表2に示すように、基板製品の生産に必要とされる電子部品の部品種(Pa,Pb,Pc,Pd,・・・)および部品数が製品種(U1,U2,U3,・・・)ごとに記録されたデータである。換言すると、製品データは、所定の製品種の基板製品を1枚生産する場合に消費する部品数を部品種ごとに示す。
【0028】
セットアップリストは、図4の表4に示すように、生産スケジュールに含まれる複数の生産ジョブ(JobA,JobB,JobC,・・・)のうち部品装着機1において生産ジョブを実行可能な状態にするセットアップの対象として選択された1または複数の生産ジョブを示す。セットアップリストは、例えば、セットアップの対象として複数の生産ジョブ(JobA~JobE)が選択された場合、またはこれらの生産ジョブ(JobA~JobE)に対応するグループ(Gr01,Gr02)が選択された場合に、必要なセットアップ(Set1,Set2)に複数の生産ジョブ(JobA~JobE)を対応させて示す。
【0029】
(セットアップ支援装置70)
セットアップ支援装置70は、回路基板90に電子部品を装着する種々の生産ジョブ(JobA,JobB,JobC,・・・)を実行して複数種類の基板製品(U1,U2,U3,・・・)を生産する部品装着機1に適用される。セットアップ支援装置70は、生産ラインを構成する複数の部品装着機1およびホストコンピュータ60と通信可能に接続されている。セットアップ支援装置70は、図3に示すように、記憶部71と、リスト編集部72と、案内部73と、条件編集部74と、準備台車80とを備える。
【0030】
本実施形態において、上記の記憶部71、リスト編集部72、案内部73、および条件編集部74は、準備台車80に設けられた制御装置に組み込まれている。記憶部71は、ハードディスク装置などの光学ドライブ装置、またはフラッシュメモリなどにより構成される。この記憶部71には、セットアップ支援装置70によるセットアップの案内等を制御するための各種データが記憶されている。記憶部71は、ホストコンピュータ60にて生成された生産スケジュール(図4の表3)と、セットアップリスト(図4の表4)とをホストコンピュータ60から転送されて記憶する。
【0031】
リスト編集部72は、部品装着機1に対してセットアップを行うオペレータの要求または生産スケジュール(図4の表3)の変更に応じてセットアップリスト(図4の表4)に含まれる生産ジョブを増減させるように編集する。リスト編集部72は、図示しない入力デバイスを介して、オペレータによるセットアップリストの変更を受け付ける。このオペレータの要求には、例えば生産スケジュールに存在し且つ現在のセットアップリストにない生産ジョブを追加する要求、セットアップリストに含まれている一部の生産ジョブを削除する要求が含まれる。
【0032】
また、上記のオペレータの要求は、種々の態様が想定される。リスト編集部72は、現在のセットアップリストおよび生産スケジュールを表示し、個々の生産ジョブ(JobA,JobB,JobC,・・・)、グループ(Gr01,Gr02,・・・)、セットアップ(Set1,Set2,Set3,・・・)を直接的に指定されて、追加および削除の要求として受け付けてもよい。
【0033】
また、リスト編集部72は、生産スケジュール(図4の表3)に含まれる複数の生産ジョブのうち指定時刻までに実行開始が可能な1または複数の生産ジョブをセットアップの対象にするように要求された場合に、オペレータの要求に応じてセットアップリストを編集する。具体的には、リスト編集部72は、図4の表3に示すように、生産スケジュールに含まれる生産ジョブごとの所要時間(R1,R2,R3,・・・)に基づいて算出される予定開始日時と、入力された指定時刻と基づいて、何れの生産ジョブをセットアップの対象にするかを割り出す。リスト編集部72は、割り出された1または複数の生産ジョブをセットアップの対象とするようにセットアップリストを編集する。
【0034】
また、上記のようなオペレータによる要求については、一定の制約が生じてセットアップリストの編集を許容できないことがある。ここで、セットアップがフィーダ23の補給処理である場合に、上記の「一定の制約」には、例えば要求された全ての生産ジョブに用いられる部品種の数に対して交換可能な複数のフィーダ23の数が不足することに起因して、要求された全てのセットアップを完了できない事情に基づく制約が含まれる。そこで、本実施形態において、セットアップ支援装置70は、オペレータによる要求のうち一定の制約により許容される範囲でセットアップリストを編集する。
【0035】
具体的には、リスト編集部72は、オペレータによりセットアップの対象に1または複数の生産ジョブを追加するように要求があった場合に、追加後の複数の生産ジョブのセットアップに必要なフィーダ23の必要数と、セットアップの案内時に使用可能なフィーダ23の使用可能数とに基づいて、オペレータの要求に応じたセットアップリストの編集の可否を判定する。セットアップ支援装置70は、要求に応じたセットアップリストの編集が可能である場合には、要求に応じて1または複数の生産ジョブをセットアップリストに追加するように編集する。
【0036】
ここで、上記の「フィーダ23の必要数」は、セットアップの対象とされる全ての生産ジョブのセットアップに必要なフィーダ23の数であって、セットアップの対象に生産ジョブが追加されるほど増加する。例えば、図9に示すように、セットアップの対象が3つの生産ジョブ(JobA,JobB,JobC)の場合には、フィーダ23の必要数は、それぞれの必要数を加算した数(Ev3)となる。これにセットアップの対象として3つの生産ジョブ(JobD,JobE,JobF)が追加された場合には、フィーダ23の必要数は、それぞれの必要数を加算した数(Ev6)となる。
【0037】
また、上記の「セットアップの案内時」とは、オペレータに対してセットアップリストに基づく生産ジョブのセットアップを案内する時である。よって、セットアップの案内中であれば現在がセットアップの案内時であり、例えば実行されている生産ジョブの終了後に案内予定であれば案内予定時がセットアップの案内時である。また、上記の「フィーダ23の使用可能数」とは、セットアップの案内時において部品供給装置20へのセットが許容されるフィーダ23の数である。具体的には、フィーダ23の使用可能数Mv1は、図10に示すように、例えば生産ラインが設置された施設におけるフィーダ23の保有数Nwから、生産ラインを構成する複数の部品装着機1の部品供給装置20にセットされている使用数Nuを差し引いた在庫数Nsに相当する(Mv1=Ns=Nw-Nu)。
【0038】
リスト編集部72は、オペレータによりセットアップの対象に第五の生産ジョブ(JobE)まで追加するように要求があった場合には、フィーダ23の使用可能数Mv1よりもフィーダ23の必要数(Ev5)が小さい(Mv1>Ev5)ことから、要求に応じて第五の生産ジョブ(JobE)までがセットアップリストに追加されるように編集する。一方で、リスト編集部72は、オペレータによりセットアップの対象に第六の生産ジョブ(JobF)まで追加するように要求があった場合には、フィーダ23の使用可能数Mv1よりフィーダ23の必要数(Ev6)が大きい(Mv1<Ev6)ことから、要求に応じた編集を許可しない。
【0039】
リスト編集部72は、上記のようにフィーダ23の必要数(Ev6)が使用可能数Mv1を超える場合に(Mv1<Ev6)、追加するように要求された複数の生産ジョブ(JobD,JobE,JobF)ごとの必要数(Ev4,Ev5,Ev6)を算出し、これらの必要数(Ev4,Ev5,Ev6)が使用可能数Mv1を超えない範囲においてオペレータの要求に応じて1または複数の生産ジョブをセットアップリストに追加するように編集する。つまり、上記の例においては、リスト編集部72は、使用可能数Mv1を超えないフィーダ23の必要数(Ev5)となる第五の生産ジョブ(JobE)までがセットアップリストに追加されるように編集する。
【0040】
また、上記の例においては説明を簡易にするために、フィーダ23の在庫数Nsと使用可能数Mv1が等しい態様とした。これに対して、フィーダ23の使用可能数は、フィーダ23の在庫数Nsよりも少数となることがある。例えば、フィーダ23の使用可能数Mv2は、図10に示すように、生産ラインが設置された施設においてフィーダ23を共用する他の生産ラインがある場合に、当該他の生産ラインにおける生産ジョブの実行に用いられるフィーダ23が予約的に確保される分(予約数Nr)が在庫数Nsから差し引かれて算出される(Mv2=Ns-Nr)。このように、予約数Nr等によって在庫数Nsよりも少数の使用可能数Mv2が取得された場合には、第四の生産ジョブ(JobD)の必要数(Ev4)が使用可能数Mv2を超えることから、リスト編集部72は、使用可能数Mv2以下となる必要数(Ev3)に対応した第三の生産ジョブ(JobC)までのセットアップリストへの追加を許容する。
【0041】
また、フィーダ23の在庫数Nsには、後述する回収の案内によってセットアップの案内時に回収されるフィーダ23の数が含まれるようにしてもよい。上記のように、リスト編集部72は、オペレータの要求に応じたフィーダ23の必要数(Ev4,Ev5,Ev6,・・・)と、セットアップの案内時に応じて変動し得る使用可能数Mv1,Mv2とに基づいて、一定の制約により許容される範囲でセットアップリストを編集する。
【0042】
また、使用可能数Mv1,Mv2は、上記のような保有数Nwに代えて、生産ジョブに使用可能(使い回し可能)なフィーダ23の最大数を用いて算出されてもよい。フィーダ23の最大数は、例えば生産ラインの管理者やオペレータによって設定される。リスト編集部72は、オペレータによりセットアップの対象に追加するように要求された複数の生産ジョブで用いられるフィーダ23の使用数(複数の部品装着機1の部品供給装置20にセットされている使用数Nuを含む)が上記の最大数を超える場合に、使用数が最大数を超えない範囲においてオペレータの要求に応じて生産ジョブをセットアップリストに追加するように編集する。なお、オペレータの要求とは異なる範囲での編集を行った場合には、リスト編集部72は、要求に応じたフィーダ23の必要数(Ev4,Ev5,Ev6,・・・)と、セットアップの案内時のフィーダ23の使用可能数Mv1(Mv2)をオペレータに示すとともに、許容範囲で行われた編集の内容をオペレータに通知するようにしてもよい。
【0043】
また、「一定の制約」には上記の他に、セットアップの準備が不足して要求された全てのセットアップを完了できない事情に基づく制約が含まれる。具体的には、フィーダ23に適切な部品種のリールが装填されてない場合、またはフィーダ23にリールが装填されて適切な部品種がフィーダ23に関連付けされているが後述する準備台車80にそのフィーダ23が積載されていない場合が想定される。このような場合には、リスト編集部72は、最終的に何れのフィーダ23を部品供給装置20における何れのスロット21にセットすべきかを案内できないと判断し、オペレータの要求に対してセットアップを完了できる範囲で案内をするようにしてもよい。
【0044】
ここで、ホストコンピュータ60は、生産の実行前または実行中に生産計画における目標生産数が変更された場合には、変更後の生産計画および製品データに基づいて、生産スケジュールを変更する。このような場合に、リスト編集部72は、生産スケジュールの変更に応じてセットアップリストに含まれる生産ジョブを増減させるように編集する。具体的には、例えば第二製品種U2の生産が中止された場合には、ホストコンピュータ60により第二製品種U2の目標生産数T2が0とされ、生産スケジュールから第二の生産ジョブ(JobB)が削除される。
【0045】
そして、リスト編集部72は、生産スケジュールの変更に応じて、セットアップリストのうち第二の生産ジョブ(JobB)のセットアップであって、同一のグループ(Gr01)に属する他の生産ジョブ(JobA,JobC)に影響しないセットアップをセットアップリストから削除する編集を行う。上記の削除対象のセットアップは、例えば第二の生産ジョブ(JobB)のみで使用される部品種を装填されたフィーダ23の補給処理である。
【0046】
案内部73は、ホストコンピュータ60により生成された初期のセットアップリスト、またはリスト編集部72により編集されたセットアップリストに基づいてオペレータに対して生産ジョブのセットアップを案内する。具体的には、案内部73は、例えばオペレータが携帯するタブレット端末(図示しない)に、セットアップの内容を表示することで案内する。本実施形態において、案内部73は、準備台車80に設けられた表示装置82にセットアップの内容を表示する。また、上記の「セットアップの内容」とは、セットアップがフィーダ23の補給処理である場合に、部品供給装置20の各スロット21(SL01,SL02,・・・)に何れのフィーダ23(Fdx10,Fdx11,・・・)をセットするかを示す内容である(図5の表1を参照)。
【0047】
ここで、生産ジョブのセットアップには、部品装着機1に交換可能にセットされる交換要素の補給処理が含まれる。具体的には、交換要素としては、部品供給装置20にセットされるフィーダ23、載置台に載置された装着ヘッド33や吸着ノズル34、複数の吸着ノズル34を載置された載置台などが想定される。案内部73は、セットアップリストに基づいて交換要素の補給を案内するとともに、セットアップリストが編集された場合、または生産スケジュールのうち一部の生産ジョブの実行が終了した場合に、セットアップリストに基づいて交換要素の回収を案内する(図5の表2を参照)。
【0048】
ここで、生産スケジュールに含まれる複数の生産ジョブのそれぞれには、図4の表3に示すように、それぞれの生産ジョブの実行開始の許否の判定に用いられる開始条件が設定されている(例えば、「JobA」の開始条件は「Set1」であり、「JobF」の開始条件は「Set3」であることが示されている)。部品装着機1は、所定の生産ジョブの実行する場合に、上記の開始条件が満たされているかを判定し、開始条件が満たされて生産ジョブを開始する。本実施形態において、部品装着機1は、複数の生産ジョブのうち指定された1または複数の生産ジョブのセットアップの終了を次回実行する生産ジョブの開始条件として設定される。
【0049】
詳細には、1回のセットアップで実行可能となるようにグループ(Gr01)化された複数の生産ジョブ(JobA,JobB,JobC)は、これらの生産ジョブを一連で実行するグループ生産を実行するものとして初期にはグループ化された複数の生産ジョブ全てのセットアップ(Set1)の終了を開始条件とされる。これに対して、グループ化されていない単独の生産ジョブ(JobF)は、当該生産ジョブのセットアップ(Set3)の終了が開始条件とされる。案内部73は、複数の生産ジョブ(例えば、JobA~JobE)のセットアップ(Set1,Set2)をまとめて案内する場合に、図5の表1に示すように、それぞれのセットアップが次回実行される生産ジョブ(JobA)の開始条件であるか否かを示す情報をそれぞれのセットアップに併せて案内する。図5の表1の「開始条件」の列において、黒丸はスロット21へのフィーダ23のセットが「開始条件」に設定されていることを示し、「-」は上記セットが「開始条件」に設定されていないことを示す。
【0050】
条件編集部74は、生産スケジュールにおける所定の生産ジョブの開始条件の編集を受け付けるとともに、編集された開始条件を部品装着機1に転送して更新する。これにより、部品装着機1は、編集された開始条件に基づいて生産ジョブの実行開始の許否を判定する。条件編集部74は、例えば図示しない入力デバイスやホストコンピュータ60を介して、生産ジョブの開始条件の編集を受け付ける。このとき、条件編集部74は、グループ(Gr01)に属する生産ジョブ(JobA,JobB,JobC)のそれぞれについての開始条件を個々に編集可能とする。
【0051】
つまり、初期では、同一のグループ(Gr01)に属する複数の生産ジョブは、1回のセットアップ(Set1)で実行可能となることから、当該セットアップ(Set1)を開始条件に設定される。しかし、同一のグループ(Gr01)であっても例えば最初に実行される生産ジョブ(JobA)は、当該生産ジョブ(JobA)のセットアップが終了すれば実際には実行可能な状態となる。そこで、条件編集部74は、グループ化されている複数の生産ジョブについても、複数の生産ジョブのそれぞれに開始条件が設定される場合に編集を受け付ける。
【0052】
条件編集部74により所定の生産ジョブ(例えば、JobA,JobB,JobC)の開始条件が編集された場合に、案内部73は、図5の表3に示すように、それぞれのセットアップが次回実行される生産ジョブ(JobA)の開始条件であるか否かを示す情報をセットアップ(Set1)に併せて案内する。図5の表3では、複数の生産ジョブ(JobA,JobB,JobC)が所定のグループ(Gr01)に属し、且つ最初の生産ジョブ(JobA)の実行に必要なセットアップの一部(Set1-1)のみが開始条件となるように編集された場合に、案内部73により案内される内容を例示している。この例によると、最初の生産ジョブ(JobA)と異なる生産ジョブ(JobB,JobC)は、最初の生産ジョブ(JobA)と同一のグループ(Gr01)に属するが最初の生産ジョブ(JobA)の開始条件とはならない。つまり、上記の生産ジョブ(JobB,JobC)の実行に必要なセットアップ(Set1-2,Set1-3)が終了する前に、最初の生産ジョブ(JobA)の開始が可能となる。
【0053】
準備台車80は、図1に示すように、生産ラインにおける回路基板90の搬送方向に沿って移動可能に構成されている。準備台車80は、生産ジョブのセットアップにおける交換処理により部品装着機1にセットされる交換要素を積載する。本実施形態において、準備台車80は、複数の生産ジョブの実行に用いられる複数のフィーダ23を交換要素として積載する。準備台車80は、図3に示すように、複数のスロット81と、表示装置82と、リーダー装置83とを有する。複数のスロット81は、部品供給装置20における複数のスロット21と同様に構成され、交換用のフィーダ23を支持する。
【0054】
準備台車80は、水平方向に配置された複数のスロット81の列を、上下方向に2段となるように構成されている(図示しない)。また、複数のスロット81のそれぞれにセットされた交換用のフィーダ23は、準備台車80と電気的に接続され、給電されて外部から制御可能な状態となる。表示装置82は、セットアップ支援装置70の案内部73により案内される内容(図5の表1-表3)をオペレータに表示する。本実施形態において、表示装置82は、タッチパネルにより構成され、オペレータによる種々の操作を受け付ける入力デバイスとして機能する。
【0055】
ここで、準備台車80に積載される交換用のフィーダ23は、それぞれに所定の部品種のリールを装填される際に、当該フィーダ23に部品種を関連付ける処理を予め実行されている。これにより、フィーダ23の固有の識別情報であるフィーダIDに、リールIDおよび部品種が関連付けられたフィーダデータ(図7の表1を参照)が生成される。フィーダデータは、ホストコンピュータ60およびセットアップ支援装置70に共有される。
【0056】
そして、準備台車80のスロット81に交換用のフィーダ23がセットされると、当該フィーダ23のフィーダIDが読み込まれて、セットアップ支援装置70に認識される。これにより、準備台車80に積載された交換用の複数のフィーダ23を示す積載情報(図7の表2)が生成される。上記の積載情報は、準備台車80のスロット81(スロットID)に、交換用のフィーダ23(フィーダID)、装填されたリール(リールID)、および部品種(Pa,Pb,Pc,・・・)が関連付けられた情報である。上記の積載情報は、準備台車80のスロット81に対してフィーダ23が抜き挿しされる度に更新される。
【0057】
リーダー装置83は、部品供給装置20の識別情報を取得する識別装置を構成する。リーダー装置83は、準備台車80の部品装着機1の前面に対向する側面において、部品供給装置20のタグ24と同程度の高さに設けられ、タグ24と無線通信を行う通信装置を有する。この通信装置は、タグ24との無線通信により部品供給装置20の識別情報を読み取り可能に構成されている。
【0058】
このような構成によると、生産ラインにおいて準備台車80が回路基板90の搬送方向に沿って移動されて、所定の部品供給装置20に準備台車80が所定距離まで接近した場合に、タグ24とリーダー装置83との無線通信が行われる。これにより、セットアップ支援装置70は、タグ24に記録された識別コードを読み取って、当該識別コードに記録された部品供給装置20の識別情報を取得する。
【0059】
(セットアップの案内処理)
セットアップ支援装置70による生産ジョブのセットアップの案内処理について、図4図8を参照して説明する。ここで、上記のセットアップは、部品装着機1に交換可能にセットされる交換要素(フィーダ23)の補給処理であるものとする。また、準備台車80には、生産スケジュールのうち複数の生産ジョブ(JobA~JobG)の実行に用いられる交換用のフィーダ23が積載されているものとする。
【0060】
上記の交換用のフィーダ23のそれぞれには、装填されたリールに応じた部品種が予め関連付けられている。ホストコンピュータ60およびセットアップ支援装置70は、上記の関連付けに基づいて生成されたフィーダデータ(図7の表1)、および準備台車80に積載された複数のフィーダ23を示す積載情報(図7の表2)を共有している。なお、上記の生産スケジュールは、図4に示すように、生産計画および製品データに基づいて生成され、セットアップ支援装置70の記憶部71に記憶されている。生産スケジュールにおける複数の生産ジョブの実行順は、ホストコンピュータ60において予め最適化されている。
【0061】
また、本実施形態において、複数の生産ジョブの実行に要する時間の短縮を目的として、複数の生産ジョブにおける装着処理が最適化されている。その結果、装着処理における装着ヘッド33の移動距離を短縮すべく、部品供給装置20における複数のスロット21のそれぞれで供給する部品種が予め設定される。換言すると、リールの装填によって部品種を関連付けられたフィーダ23は、部品供給装置20における何れのスロット21にセットされるかが予め設定されている。
【0062】
また、ホストコンピュータ60は、生産スケジュールのうちセットアップの対象として選択されている2つのグループ(Gr01,Gr02)に基づいて、初期のセットアップリストLs1を生成し、セットアップ支援装置70の記憶部71に記憶する。このセットアップリストLs1には、図4の表4に示すように、2つのグループ(Gr01,Gr02)に属する複数の生産ジョブ(JobA~JobE)が含まれている。生成されたセットアップリストLs1は、ネットワークを介してセットアップ支援装置70に転送され、記憶部71に記憶される。
【0063】
セットアップ支援装置70は、例えば表示装置82を介してオペレータからセットアップの案内を要求された場合に、図8に示すように、セットアップの案内処理を開始する。このとき、オペレータは、生産ラインを構成する複数の部品装着機1のうち何れの部品装着機1の部品供給装置20に対してセットアップを行うのかをセットアップ支援装置70に入力する。入力方法としては、入力デバイスに表示された選択肢から選択する方法や、部品供給装置20の識別情報を直接入力する方法を採用し得る。
【0064】
上記の他に、セットアップ支援装置70は、例えば準備台車80が回路基板90の搬送方向に移動されて複数の部品装着機1のうち所定の部品装着機1の部品供給装置20に対して所定距離まで接近し、準備台車80のリーダー装置83が部品供給装置20のタグ24と無線通信して部品供給装置20の識別情報を取得した場合に、セットアップの案内処理を開始してもよい。これにより、部品供給装置20の識別情報の入力操作を省略することが可能となる。
【0065】
セットアップの案内処理において、セットアップ支援装置70は、先ず生産スケジュールの進行の度合いを含む生産状態を取得する(ステップ11(以下、「ステップ」を「S」と表記する))。セットアップ支援装置70は、生産状態に基づいて、生産スケジュールのうち現在実行している生産ジョブ、実行終了している生産ジョブ、実行予定の生産ジョブをそれぞれ認識する。ここでは、セットアップ支援装置70は、生産スケジュールの先頭にある第一の生産ジョブ(JobA)を次回実行される生産ジョブとして認識する。
【0066】
次に、案内部73は、上記のように生成されたセットアップリストLs1に基づいて生産ジョブのセットアップを案内する(S12)。具体的には、案内部73は、図4の表4に示すように、初期のセットアップリストLs1に2つのセットアップ(Set1,Set2)に対する複数の生産ジョブ(JobA~JobE)が設定されている場合に、フィーダデータ(図7の表1)および積載情報(図7の表2)に基づいて、複数の生産ジョブ(JobA~JobE)を実行可能とするために必要なフィーダ23を部品供給装置20の特定のスロット21にセットするように、そのセット内容を表示装置82に表示する(図5の表1)。
【0067】
このとき、案内部73は、それぞれのセットアップが次回実行される生産ジョブ(JobA)の開始条件であるか否かを示す情報をそれぞれのセットアップに併せて案内する。ここで、第一の生産ジョブ(JobA)は、第一のグループ(Gr01)に属しており、第一のグループ(Gr01)に属する他の生産ジョブ(JobB,JobC)を実行可能とするセットアップを開始条件とされている。そのため、案内部73は、図5の表1に示すように、第一のセットアップ(Set1)全体が開始条件であることを併せて案内する。
【0068】
続いて、案内部73は、セットアップリストLs1に基づいて交換要素であるフィーダ23の回収を案内する(S13)。具体的には、セットアップ支援装置70は、S11にて取得した生産状態や、後述するようにセットアップリストLs1が編集されて一部のセットアップが不要となった場合に、部品供給装置20における複数のスロット21にセットされたフィーダ23のうち不要なものを特定する。そして、案内部73は、S12にて交換用のフィーダ23の補給を案内するとともに、図5の表2に示すように、不要なものとして特定されたフィーダ23の回収を案内する。案内部73は、不要なフィーダ23がない場合や、スロット21にセットされた状態でもその後の生産ジョブの実行に影響がない場合には、フィーダ23の回収の案内を省略する。
【0069】
リスト編集部72は、表示されたセットアップの内容に対して編集するようにオペレータの要求があるか否かを判定する(S21)。リスト編集部72は、例えば表示装置82に対するオペレータの操作によってセットアップリストLs1の編集の要求があった場合には(S21:Yes)、要求に応じた生産ジョブの特定を行う(S22)。ここで、オペレータの要求は、種々の態様が考えられる。例えば、オペレータの要求は、特定の1または複数の生産ジョブを指定し、または複数の生産ジョブが属する1または複数のグループを指定し、または生産スケジュールに応じて実行される日時(時刻)を指定することによりなされる。そして、これらにより指定された1または複数の生産ジョブをセットアップの対象に追加するように、またはセットアップの対象から削除するように要求される。
【0070】
ここで、上記の日時(時刻)の指定は、例えば生産スケジュールに含まれる複数の生産ジョブのうち指定時刻までに実行開始が可能な1または複数の生産ジョブをセットアップの対象にするように要求される。この場合に、リスト編集部72は、S11にて取得した生産状態、生産スケジュールに含まれる各生産ジョブの所要時間、および予定開始日時に基づいて、指定時刻までに実行開始が可能な1または複数の生産ジョブを特定する。なお、リスト編集部72は、日時(時刻)として、時分の他に、午前や本日のように時間帯による指定を受け付けることができる。
【0071】
続いて、リスト編集部72は、オペレータによりセットアップの対象に追加するように要求された複数の生産ジョブで用いられるフィーダ23の必要数がセットアップの案内時(ここでは、案内時は「現在」)に使用可能なフィーダ23の使用可能数を超えるか否かを判定する(S23)。なお、リスト編集部72は、S22にて時刻指定によって1または複数の生産ジョブが特定された場合であって、且つ特定した生産ジョブが現在のセットアップリストLs1において不足する場合には追加する要求とみなす。一方で、リスト編集部72は、S22にて時刻指定によって1または複数の生産ジョブが特定された場合であって、且つ現在のセットアップリストLs1において過剰な場合には削除する要求とみなす。
【0072】
リスト編集部72は、フィーダ23の必要数が使用可能数を超える場合に(S23:Yes)、追加するように要求された複数の生産ジョブごとの必要数を算出し、フィーダ23の必要数が使用可能数以下となるように、S22にて特定された複数の生産ジョブのうち実行順序が後のものからセットアップリストLs1への追加をキャンセルする(S24)。これにより、例えばフィーダ23の保有数Nwおよび在庫数Nsに基づく使用可能数を超えない範囲においてオペレータの要求に最大限応じることが可能となる。
【0073】
リスト編集部72は、フィーダ23の必要数が使用可能数以下の場合に(S23:No)、またはS24にてセットアップリストLs1へ追加する生産ジョブが調整された場合に、特定された生産ジョブに基づいて、セットアップリストLs1に含まれる生産ジョブを増減させるように編集する(S25)。これにより、S23の処理がなされた場合には、リスト編集部72は、必要数が使用可能数を超えない範囲においてオペレータの要求に応じて生産ジョブをセットアップリストLs1に追加するように編集することになる。
【0074】
また、上記のような処理によると、具体的には、例えばオペレータにより本日(M/D1)中に実行される生産ジョブのセットアップを案内するように要求があった場合には(S21:Yes)、リスト編集部72は、先ず、本日(M/D1)中に予定開始日時が設定されている複数の生産ジョブ(JobA~JobF)を特定する(S22)。そして、リスト編集部72は、必要に応じて追加する生産ジョブを調整しつつ(S23)、特定された生産ジョブ(JobA~JobF)に対応するセットアップ(Set1~Set3)が含まれるように、現在のセットアップリストLs1を編集する(S25)。これにより、当初のセットアップリストLs1は、図4の表5に示すように、上記のセットアップ(Set1~Set3)が含まれる編集されたセットアップリストLs2となる。
【0075】
リスト編集部72は、セットアップリストの編集の要求がなかった場合には(S21:No)、生産スケジュールの変更があったか否かを判定する(S31)。生産スケジュールは、例えばホストコンピュータ60において生産ラインの管理者が新たに生産する製品種を追加したり、所定の製品種の生産を中止したり、生産順序を変更したりすることによって変更され得る。ホストコンピュータ60において生産スケジュールが変更されると、変更された生産スケジュールがネットワークを介してセットアップ支援装置70に転送されて記憶部71に記憶される。
【0076】
生産スケジュールの変更があった場合には(S31:Yes)、リスト編集部72は、生産スケジュールの変更に応じてセットアップリストに含まれる生産ジョブを増減させるように編集する(S32)。リスト編集部72は、例えば所定の製品種の基板製品を優先的に生産するように生産スケジュールが変更された場合には、当該製品種に応じた生産ジョブの実行順序やグループ、オペレータにより指定されている日時などに基づいて、要求に応じた生産ジョブを特定する。そして、特定の1または複数の生産ジョブをセットアップリストに追加するように編集する。
【0077】
S25またはS32にてセットアップリストが編集された場合には、生産状態が再度取得され(S11)、案内部73が編集されたセットアップリストに基づいてセットアップを案内する(S12)。具体的には、例えば元のセットアップリストLs1が編集されて(S25)、セットアップリストLs2となった場合に、案内部73は、セットアップリストLs2、フィーダデータ(図7の表1)、および積載情報(図7の表示2)に基づいて、複数の生産ジョブ(JobA~JobF)を実行可能とするために必要なフィーダ23を部品供給装置20の特定のスロット21にセットするように、そのセット内容を表示装置82に表示する(図6の表1)。また、案内部73は、生産状態の変動またはセットアップリストLs2の編集状態によっては、交換要素であるフィーダ23の回収を併せて案内する(S13)。
【0078】
セットアップ支援装置70は、オペレータの要求も生産スケジュールの変更もなかった場合には(S31:No)、セットアップの案内を継続するか否かを判定する(S41)。セットアップ支援装置70は、例えばオペレータが作業中でありセットアップの案内を継続すると判定した場合には(S41:Yes)、定期的に生産状態を再度取得(S11)するなど、上記処理を繰り返す。一方で、セットアップ支援装置70は、準備台車80から案内した全てのフィーダ23が部品供給装置20のスロット21にセットされたり、回収を案内した全てのフィーダ23が準備台車80に積載されたり、準備台車80が移動されたりした場合に、セットアップの案内を継続しないものと判定し(S41:No)、セットアップの案内処理を終了する。
【0079】
(実施形態の構成による効果)
セットアップ支援装置70は、回路基板90に電子部品を装着する種々の生産ジョブを実行して複数種類の基板製品を生産する部品装着機1に適用される。セットアップ支援装置70は、複数種類の基板製品の生産順序として生産ジョブの実行順序を示す生産スケジュールと、生産スケジュールに含まれる複数の生産ジョブのうち部品装着機1において生産ジョブを実行可能な状態にするセットアップの対象として選択された1または複数の生産ジョブを示すセットアップリストとを記憶する記憶部71と、部品装着機1に対してセットアップを行うオペレータの要求または生産スケジュールの変更に応じてセットアップリストに含まれる生産ジョブを増減させるように編集するリスト編集部72と、編集されたセットアップリストに基づいてオペレータに対して生産ジョブのセットアップを案内する案内部73と、を備える。
【0080】
このような構成によると、セットアップ支援装置70は、オペレータの要求に応じてセットアプリストを編集する(S21~S25)。これにより、セットアップ支援装置70は、オペレータにより認識される生産状態や作業状態に応じてセットアップの内容を変動させることが可能となる。また、セットアップ支援装置70は、生産スケジュールの変更に応じてセットアップを編集する(S31,S32)。これにより、生産の管理側で変更された生産スケジュールを反映させてセットアップの内容を変動させることができ、不要なセットアップがなされることを防止できる。上記のようにセットアップリストを編集することにより(S25,S32)、セットアップの効率化を図ることができる。また、例えば次回の生産ジョブには不要なセットアップを後回しにでき、優先すべきセットアップを行うようにオペレータ等の人的資源を有効に活用することが可能となる。また、生産スケジュールに変更があった場合に、セットアップリストを再度生成することなく対応することができる。よって、生産時間が延びることを防止するとともに、部品装着機1の稼働率の低下を防止することができる。
【0081】
また、リスト編集部72は、生産スケジュールに含まれる一部の生産ジョブをセットアップの対象に追加するように、またはセットアップの対象から削除するようにオペレータにより要求された場合に、オペレータの要求に応じてセットアップリストを編集する。案内部73は、編集されたセットアップリストに基づいてセットアップを案内する。
【0082】
セットアップ支援装置70は、最適化処理などによって予め生成されたセットアップの内容や実行のタイミングを示すセットアップリストに基づいて、オペレータに対してセットアップを案内する。しかしながら、オペレータの作業状態によっては、必ずしもセットアップリストに示されるタイミングでセットアップすることが最適でないことがある。これに対して、セットアップ支援装置70は、オペレータの要求に応じて予定しているセットアップの対象(生産ジョブ)を増減させる編集を許容し、編集されたセットアップリストに基づいてセットアップの案内を行う。これにより、オペレータの作業状態や見通しが反映され、結果として部品装着機1の稼働率を向上できるので、生産に要する時間を短縮できる。
【0083】
また、リスト編集部72は、生産スケジュールに含まれる複数の生産ジョブのうち指定時刻までに実行開始が可能な1または複数の生産ジョブをセットアップの対象にするように要求された場合に、オペレータの要求に応じてセットアップリストを編集する。案内部73は、編集されたセットアップリストに基づいてセットアップを案内する。
【0084】
このような構成によると、オペレータ等は、自己のスケジュールや見通しを勘案して、生産ジョブの開始時刻に応じたセットアップの案内を要求することができる。これにより、オペレータは、単にセットアップの案内を待機するだけでなく、例えば時間的に余裕があるときに先のセットアップを先取りで行うことができる。よって、オペレータ等の人的資源をより有効に活用することが可能となる。
【0085】
また、セットアップには、部品装着機1に交換可能にセットされる交換要素の補給処理が含まれる。案内部73は、セットアップリストに基づいて交換要素の補給を案内するとともに、セットアップリストが編集された場合、または生産スケジュールのうち一部の生産ジョブの実行が終了した場合に、セットアップリストに基づいて交換要素の回収を案内する。
【0086】
このような構成によると、セットアップ支援装置70は、交換要素の補給を案内するとともに、セットアップリストの編集や生産ジョブの終了によって不要となった交換要素の回収を案内する。これにより、交換要素の回収が促され、交換要素のメンテナンスや他への流用のための準備を行うことができる。また、回収された交換要素がセットされていた部位には、他の交換要素をセットすることが可能となる。
【0087】
また、部品装着機1は、複数の生産ジョブのうち指定された1または複数の生産ジョブのセットアップの終了を次回実行する生産ジョブの開始条件として設定される。案内部73は、複数の生産ジョブのセットアップをまとめて案内する場合に、それぞれのセットアップが次回実行される生産ジョブの開始条件であるか否かを示す情報をそれぞれのセットアップに併せて案内する。
【0088】
このような構成によると、セットアップ支援装置70は、セットアップをまとめて案内する場合に、それぞれのセットアップがなされなければ次回実行される生産ジョブが開始できないのかを併せて案内する。これにより、オペレータは、例えば要求によってセットアップリストを編集させなくとも、例えば開始条件に該当するセットアップのみを優先して行うことで、次回実行される生産ジョブの開始条件を満たすことができる。これにより、生産状態によっては、部品装着機1の停止時間(セットアップ時間)を短縮することができる。また、開始条件であるセットアップが完了した後に、開始条件でないセットアップがなされることによって、その後に実行される生産ジョブを実行可能な状態にすることができる。
【0089】
また、セットアップ支援装置70は、部品装着機1と通信可能に接続される。セットアップ支援装置70は、生産スケジュールにおける所定の生産ジョブの開始条件の編集を受け付けるとともに、編集された開始条件を部品装着機1に転送して更新する条件編集部74をさらに備える。
【0090】
このような構成によると、セットアップ支援装置70は、セットアップリストが生成された後に所定の生産ジョブの開始条件の編集を許容する。また、セットアップ支援装置70は、編集された開始条件を部品装着機1に転送して更新し、以降は当該開始条件を併せて案内する。これにより、当初の計画に対して生産状態などを勘案したセットアップが可能となり、また編集された開始条件を反映させたセットアップの案内が可能となる。
【0091】
また、セットアップには、部品装着機1に交換可能にセットされて電子部品を供給するフィーダ23の補給処理が含まれる。案内部73は、セットアップに含まれる生産ジョブにおいて用いられるフィーダ23の補給を案内する。
【0092】
電子部品を供給するフィーダ23は、生産ジョブに必要とされる部品種の変動に伴って交換される交換要素であって、セットアップの対象として他の交換要素と比較して交換数が多い。そのため、セットアップにおけるフィーダ23の交換(補給と回収)を効率化することは特に有用である。
【0093】
また、リスト編集部72は、オペレータによりセットアップの対象に1または複数の生産ジョブを追加するように要求が合った場合に、追加後の複数の生産ジョブのセットアップに必要なフィーダの必要数と、セットアップの案内時に使用可能なフィーダの使用可能数とに基づいて、オペレータの要求に応じたセットアプリストの編集の可否を判定する。
【0094】
このような構成によると、セットアップ支援装置70は、オペレータによるセットアップリストの編集の要求があった場合に、フィーダ23の必要数と、セットアップの案内時におけるフィーダ23の使用可能数Mv1(Mv2)に基づいて、セットアップリストの編集の可否を決定できる。例えば、オペレータがセットアップの対象を過剰に増加するように要求した場合には、フィーダ23が不足するような現実的でないセットアップを案内することは不適切である。そこで、セットアップ支援装置70は、上記のような構成によって、セットアップリストが不適切に編集されることを防止できる。
【0095】
また、リスト編集部72は、フィーダ23の必要数が使用可能数を超える場合に(S23:No)、追加するように要求された複数の生産ジョブごとの必要数を算出し、必要数が使用可能数を超えない範囲においてオペレータの要求に応じて1または複数の生産ジョブをセットアップリストに追加するように編集する(S24,S25)。案内部73は、編集されたセットアップリストに基づいてセットアップを案内する(S12)。
【0096】
このような構成によると、セットアップ支援装置70は、オペレータによるセットアップリストの編集の要求においてフィーダ23の必要数が使用可能数を超える場合に、必要数が使用可能数を超えない範囲においてオペレータの要求に応じることが可能となる。これにより、セットアップリストが不適切に編集されることを防止しつつ、適切に編集されたセットアップリストに基づいて現実的なセットアップの案内を行うことができる。
【0097】
<実施形態の変形態様>
(セットアップ案内に対象について)
実施形態において、セットアップ支援装置70により案内されるセットアップの内容は、交換要素としてのフィーダ23の補給および回収に係るものとした(S12,S13)。これに対して、セットアップ支援装置70は、他の交換要素として、装着ヘッド33や吸着ノズル34、これらを複数保持する載置台の補給および回収をセットアップの内容としてもよい。また、セットアップ支援装置70は、交換要素の他に、所定の生産ジョブの実行前に必要な校正処理や、廃棄物の除去処理などの実行を促すことをセットアップの内容としてもよい。
【0098】
(セットアップ支援装置の適用)
実施形態において、セットアップ支援装置70の各部(記憶部71、リスト編集部72、案内部73、および条件編集部74)は、準備台車80に設けられた制御装置に組み込まれた構成とした。これに対して、セットアップ支援装置70の各部は、一部または全部を部品装着機1やホストコンピュータ60に組み込まれる構成としてもよい。このような構成においても実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0099】
1:部品装着機
10:基板搬送装置
20:部品供給装置
21:スロット、 23:フィーダ(交換要素)、 24:タグ
30:部品移載装置
31:ヘッド駆動装置、 32:移動台
33:装着ヘッド、 34:吸着ノズル
41:部品カメラ、 42:基板カメラ
50:制御装置
60:ホストコンピュータ
70:セットアップ支援装置
71:記憶部、 72:リスト編集部
73:案内部、 74:条件編集部
80:準備台車
81:スロット、 82:表示装置、 83:リーダー装置
90:回路基板
図1
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図10