IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大林 憲二の特許一覧

<>
  • 特許-吊り下げ式クレーン用ゴンドラ 図1
  • 特許-吊り下げ式クレーン用ゴンドラ 図2
  • 特許-吊り下げ式クレーン用ゴンドラ 図3
  • 特許-吊り下げ式クレーン用ゴンドラ 図4
  • 特許-吊り下げ式クレーン用ゴンドラ 図5
  • 特許-吊り下げ式クレーン用ゴンドラ 図6
  • 特許-吊り下げ式クレーン用ゴンドラ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-05
(45)【発行日】2022-10-14
(54)【発明の名称】吊り下げ式クレーン用ゴンドラ
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/00 20060101AFI20221006BHJP
   A01G 23/08 20060101ALI20221006BHJP
   E04G 3/30 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A01G23/00 551Z
A01G23/08 A
E04G3/30 303C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022114479
(22)【出願日】2022-07-19
【審査請求日】2022-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522089468
【氏名又は名称】大林 憲二
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】大林 憲二
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3124057(JP,U)
【文献】実開昭52-48300(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0087497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00
A01G 23/08
E04G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ式クレーン用ゴンドラ(1)であって
作業者(H)が搭乗及び作業ができる空間を確保する搭乗用枠部(10)を有し、
上部にクレーン(K)を利用して吊り下げられる被吊り下げ環(20)を有し、前記搭乗用枠部(10)の底部には枝を除けながら進行出来る円錐又は多角垂の形状に形成された下部枝除け錐形部(30)を有したことを特徴とする吊り下げ式クレーン用ゴンドラ(1)。
【請求項2】
前記搭乗用枠部(10)の上部にも枝を除けながら進行出来る円錐又は多角垂の形状に形成された上方枝除け錐形部(40)を有したことを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ式クレーン用ゴンドラ(1)。
【請求項3】
前記クレーン(K)をフック(F)の上下をバイパスして連結する安全帯(50)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吊り下げ式クレーン用ゴンドラ(1)。
【請求項4】
前記搭乗用枠体(10)の底部又は下方枝除け錐形部(30)に重り(60)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吊り下げ式クレーン用ゴンドラ(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業用ゴンドラの技術に関し、詳しくは枝を除けながら効率よく木の伐採を行え、作業者の安全を確保できる吊り下げ用ゴンドラの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、日本において、庭木や山林など伐採しなければならない膨大な木の本数があり、庭木などでも年数を経て大きくなりすぎてしまい、素人の手には負えなくなっているのが現状である。そんな時に、造園業者などプロに委託することとなるが、特に道路際から遠くに生えている木を伐採するときや、30メートル以上の大きな木、又は周辺に建物が隣接しているときの伐採などは木に登って伐採の作業を行う空師やクレーン車の力を借りることとなる。
【0003】
しかし、空師の作業は、特別で危険な作業であり、木に登り高所での長時間の作業となるために、体力は基より木登りの技術や経験による判断が必要となる。近年では林業で年間50名前後の死者数が出ており、多い年では80名弱の死者数のデータがある。このようにいつも死と隣り合わせの作業となることから、林業の中でも特に空師は減少傾向にあるのに対して、大きな樹木の伐採数は増加傾向にあり、今後益々増加が見込まれるといった危機的な状況である。
【0004】
その他に大きな木の伐採を行うには、安全の確保ができるクレーン車にゴンドラを付けての作業でも可能であるが、命がけの空師や、一台数千万円もするクレーン車を使う作業となると伐採に有する費用は高額な負担となるのは言うまでもない。
【0005】
また、クレーン車の作業においても、空師の作業に比べれば安全といえるが、クレーンの先にゴンドラを吊るし、そこに人が乗っての作業となる。この作業にも危険が伴い、大きな木の伐採をするのは、手順を踏むことが大切である。先ずは邪魔となる枝を切り落とす作業をするが、所望するところにゴンドラを付けるにも多くの枝をかき分けることとなり、その度にクレーンを操作したり、邪魔となる枝を切り落とす作業を繰り返すこととなる。これでは効率が良い作業とは言えないのが現状であり、危険を回避し、効率よく木の伐採が出来る技術が求められているといえる。
【0006】
前記技術で大いに進歩が期待できる一つとしては、ゴンドラの改良がある。このゴンドラに着目し改良することで、前記の問題を解決する方法があるのではないかと考えるところである。
【0007】
そこで、上記問題に鑑み、従来からも種々の技術提案がなされている。例えば、発明の名称を「ユニックアーム吊設用足場」とする技術が開示されている(特許文献1参照)。係る技術は、「ユニックのアーム先端部に取付けて、ユニックの置かれた側と、被作業物を跨いでの反対側の作業を行なうのに好適なユニックアーム吊設用足場を提供する。」という課題を解決するもので、具体的には「足場が、底面に足場板を敷設し、上部は四方を手摺枠で囲んで形成されたゴンドラ状の足場で、足場の背部には昇降ガイド用の支持棒の下端部を嵌入させる支持ソケットを設け、該支持ソケットに下端部を嵌入した支持棒を手摺枠の背部にクランプ部材で着脱できるように取付けると共に、巻上げ機はフックを掛けて支持棒にクランプ部材に着脱できるように取付けてなり、ワイヤーロープの巻き込みにより足場は、支持棒の上端部がアームの先端部に取付けられたガイド穴にガイドされて昇降するようにしたユニックアーム吊設用足場である。」というものである。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、ユニックアームに吊るす足場であって、底部が平面であることから、樹木の枝を縫って移動することはできず、枠体が軽微なものであることから、樹木の伐採などには向かず、伐採した木などが作業にぶつかる恐れもあり、安全に作業が出来るゴンドラとは言えないものである。
【0008】
また、発明の名称を「クレーン車取り付け用のゴンドラ」とする技術が開示されている(特許文献2参照)。具体的には、「クレーン車のビーム先端部におけるジグテンションロッド取付部の穴に取り付け可能な取り付け具を備えたアームとジグフートビン取り付け部のブラケットに吊り付け可能な取り付け具を備えたアームとを二又状に形成したものを両側に配して両アーム間を連結杆で連結して構成して成る支持枠の先端部分を後ろ側一部が内方に凹陥しているかごとを籠Bの重心から後方にたった位置で固定軸を介して連結せしめ、前記固定軸の方Hプにラチェットホイルを固着し、このラチェットホイルの係合する爪を備えたロック装置及び固定軸の他方にブレーク円板を固着して、このブレーキ円板を抱持するブレーキバンドを設けたハンドブレーキ装置を籠内に備えてなることを特徴とする。」という解決手段としたものが公開され公知技術となっている。しかしながら、特許文献2に記載の技術は、クレーン車に取り付けるゴンドラという点では本発明と共通しているが、伐採にかかる問題となる木の間を縫って移動できるゴンドラを提供するという本発明の課題を解決するには至っていない。
【0009】
また、発明の名称を「高所作業車用ゴンドラ」とする技術が開示されている(特許文献3参照)。具体的には、「高所作業用ゴンドラに於いて、ゴンドラの下段に操作用足場を設けるとともに、該ゴンドラの上段に作業用足場を設け、かつ前記ゴンドラの前面部を湾曲形状としたことを特徴とする高所作業用ゴンドラ」というものである。特許文献3に記載の技術は、高所作業用のゴンドラである点や、作業をしやすくするためにゴンドラの形状を前面部において湾曲させることで作業をしやすくするという点では本発明と共通するが、ゴンドラの側面の形状の改善では、上下に移動を余儀なくされる樹木の伐採作業においてはあまり効果があるとは言えず、前後の形状を改善し、木の枝の間を縫って伐採作業の効率を上げるという本発明の技術とは異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】実用新案登録第3124057号
【文献】公開実用S53-7650号
【文献】公開実用S60-96400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、クレーンに吊り下げられたゴンドラが、邪魔な枝を除けながら枝の間を縫って入り込み、所望する位置へ効率よく移動させることを可能とし、木の伐採時に起きる事故から作業者を守り、安全と効率を重視することができるゴンドラの技術の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、吊り下げ式クレーン用ゴンドラであって、作業者が搭乗及び作業ができる空間を確保する搭乗用枠部を有し、前記搭乗用枠部の底部には枝を除けながら進行出来る円錐又は多角垂の形状に形成された下部枝除け錐形部を有した構成を採用する。
【0013】
また、本発明は、前記搭乗用枠部の上部及び底部には枝を除けながら進行出来る円錐又は多角垂の形状に形成された上方枝除け錐形部及び底部枝除け錐形部を有した構成を採用することもできる。
【0014】
前記クレーンをフックの上下をバイパスして連結する安全帯を備えた構成を採用することもできる。
【0015】
前記搭乗用枠体の底部又は下方枝除け錐形部に重りを備えた構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラによれば、既存の吊り下げ式ゴンドラでは、ゴンドラ底部が平面形状であるため、降下時において底面部が枝に引っかかるなどして降下をスムーズにすることができないという難点があったが、本発明では、係る吊り下げ式ゴンドラに於ける搭乗用枠部底部に備えられた下部枝除け錐形部により搭乗用枠部が下降時に樹木の枝の間を縫って移動が可能になるという優れた効果を発揮する。
【0017】
また、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラにおいて、搭乗用枠部上部に上部枝除け錐形部を備える構成を採用した場合には、搭乗用枠部が上昇時に樹木の枝の間を縫って移動が可能になるという優れた効果を発揮する。
【0018】
また、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラにおいて、搭乗用枠部の上下に枝除け錐形部をともに備えた構成にした場合には、下部枝除け錐形部及び上部枝除け錐形部により上昇時及び下降時共に樹木の枝の間を縫って移動が可能になるという優れた効果を発揮する。
【0019】
また、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラにおいて、搭乗用枠部の上下に枝除け錐形部を共に備えた構成にした場合には、雨が降ってきた時でも濡れることを最小限に抑えた状態で作業が可能となるという優れた効果を発揮し、また、天候に左右されないことにより、クレーン車等のリース料や職人の日当など、天候による予定変更の損害の負担を軽減できるといった優れた効果を発揮する。
【0020】
また、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラによれば、下部枝除け錐形部内に重りを付けた構成とした場合には、太い立木Tの枝においても間を縫っての移動が容易になるという優れた効果を発揮する。
【0021】
また、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラによれば、搭乗用枠部と下部枝除け錐形部及び上部枝除け錐形部を有している構成である場合には、作業者が搭乗する空間を前記各部材により覆われ、切断した枝などが作業者に当たってしまうなどの事故防止ができるという優れた効果を発揮する。
【0022】
また、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラにおいて、主巻きフックと補巻きフックを有するクレーンを用いれば、枝を切る前にクレーンに引き掛ける作業もゴンドラに乗ったまま作業でき、他方、ゴンドラを移動して切り落とし作業を出来ることから従来の空師による枝の固定作業等の負担が軽減できるとともに、経験の少ない者でも安全に作業できるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの基本構成を説明する基本構成説明図である。
図2】本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの状態を説明する実施例を示す実施状態説明図である。
図3】本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの作業状態を説明する第一作業状態説明図である。
図4】本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの作業状態を説明する第二作業状態説明図である。
図5】本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの作業状態を説明する第三作業状態説明図である。
図6】本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの実施例を説明する第一実施例説明図である。
図7】本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの実施例を説明する第二実施例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、吊り下げ式クレーン用ゴンドラであって、作業者が搭乗及び作業ができる空間を確保する搭乗用枠部を有し、前記搭乗用枠部の底部には枝を除けながら進行出来る円錐又は多角垂の形状に形成された下部枝除け錐形部を有したことを最大の特徴としたものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0025】
図1は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの基本構成を説明する基本構成説明図であり、図1(a)は、下部枝除け錐形部と上部枝除け錐形部双方を設けた構成を示し、図1(b)は、下部枝除け錐形部のみを設けた構成を示している。図1(c)は、搭乗用枠部10の一部に作業者Hが出入りするための開閉ドア11を設けた構成を示している。
【0026】
本発明は、吊り下げ式クレーン用ゴンドラであって、作業者Hが搭乗及び作業ができる空間を確保する搭乗用枠部10を有し、該搭乗用枠部10の底部には枝を除けながら進行出来る円錐又は多角垂の形状に形成された下部枝除け錐形部30を有したものである。
【0027】
搭乗用枠部10は、作業者Hを乗せるための空間領域を作る枠部であってゴンドラを形成する枠組みのことである。形状は平面視において丸形乃至多角形に形成され、図面に示したものは六角形に構成されたものである。素材については鉄、アルミ、ステンレス等の金属製が考えられる。通常の構造物については軽量化を図るものが殆どであるが、本発明では枝などの回避に都合が良い重量が大きい方が都合が良いといえる。従って、搭乗用枠部10は設計等において強固な構成とすることができる。
【0028】
開閉ドア11は作業者Hが搭乗用枠部10への出入りを容易にするものである。なお、図面には特に示していないが、係る開閉ドア11には、安全面を考慮して開閉を規制する固定機構を設けることが望ましい。
【0029】
被吊り下げ環20は、搭乗用枠部10をクレーンKに吊るすフックFであって、搭乗用枠部10と作業者H、及び伐採に使用する機材などを搭載しても十分に耐えられるだけの強固なものである必要があり、強風や雨などにも耐えられることも必須である。なお、係る被吊り下げ環20は、主巻きと補巻きとの二つの巻き上げ装置のうち補巻き側の補巻きフックF2に係着される。
【0030】
下部枝除け錐形部30は、伐採作業の際に下部方向に吊り下げ式クレーン用ゴンドラを移動させる時に、所望する場所への移動を妨げる枝などを除けるために、邪魔となる枝を伐採しながら移動するという非効率的な方法を採用している現状であったが、搭乗用枠部10の底部に錐形部形状な枝除け錐形部を設けることによって、枝と枝の間を縫って移動が効率よく出来るものである。
【0031】
上方枝除け錐形部40は、伐採作業の際に上部方向に吊り下げ式クレーン用ゴンドラを移動させる時に、所望する場所への移動を妨げる枝などを除けるために、邪魔となる枝を伐採しながら移動するという非効率的な方法を採用している現状であったが、搭乗用枠部10の上部に錐形部形状な枝除け錐形部を設けることによって、枝と枝の間を縫って移動が効率よく出来るものである。
【0032】
安全帯は50、フックFに掛けるワイヤーなどの紐状のものであって、吊り下げ式クレーン用ゴンドラが万が一フックFから外れたり、重量が大きな樹木等がぶつかってしまったりと思いがけない事態となった時にでも吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1が落下しないようにするための命を守る補助的な用具である。
【0033】
重り60は、搭乗用枠部10の底部に設けた錐形部形状な枝除け錐形部30が、下部への移動がスムーズに出来るように付けるための重り60のことである。この重り60はあくまでも枝を除けながら搭乗用枠部10を下部へと移動させ易くするための補助的なものである。
【0034】
クレーンKは、本発明の説明の中では伐採用に使用する移動クレーン車C1とも呼ばれる作業車に備えられる巻き上げ式の揚程装置のことであり、高く成長した樹木の伐採をするために伐採場所まで届く長いブームB1を備え、伐採した枝や立木Tを吊り下げて運ぶことも行えるように、安定したものである必要がある。
【0035】
フックFは、クレーンKに付属されたフックFのことであって、クレーンKの先に吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1を引っ掛けて留めるためのものである。フックFは、ゴンドラを吊るすためのフックF2と剪定した枝等を吊るすためのフックF1である。所謂、主巻きフックF1と補巻きフックF2の二つが必要である。また、ゴンドラの重量はゴンドラ本体と作業者Hと伐採に使う基材などの重量を想定することと、強風など様々な条件なども考え、強固なものであることが必須であるといえる。
【0036】
図2は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの状態を説明する実施例を示す実施状態説明図であり、図2(a)は、作業者Hが伐採等をチェーンソー等の剪定具を用いて作業をしている状態を示している。図2(a)は、下部枝除け錐形部30と上部枝除け錐形部40の双方を設けた構成において作業者Hが伐採等のためにチェーンソー等の剪定具を用いて作業をしている状態を示し、図2(b)は、下部枝除け錐形部30のみを設けた構成において作業者Hが伐採等のためにチェーンソー等の剪定具を用いて作業をしている状態を示している。
【0037】
図3は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの作業状態を説明する第一作業状態説明図であり、樹木の上方から本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラを樹木や枝の間をすり抜けるように下降させている状態を示し、図3(a)は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラが横向きに置かれた状態を示し、図3(b)は、作業者Hが搭乗用枠部10を垂直になるところまで引き上げ、搭乗できる状態を示し、図3(c)は、クレーンKより本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1を吊り上げた状態を示し、図3(d)は、吊り上げられた状態からクレーンKのフックFを下げて吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1を降下させる状態を示している。
【0038】
図4は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの作業状態を説明する第二作業状態説明図であり、図4(a)は、立木Tの枝の間を縫うように降下する状態を示し、図4(b)は、枝を、底部の下部枝除け錐形部30により掻き分けて枝の間に侵入して作業する状態を示している。
【0039】
図5は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの作業状態を説明する第三作業状態説明図であり、図5(a)は、枝を切り落とす際の手順を説明する説明状態を正面視により示し、図5(b)は、枝を切り落とす際の手順を説明する説明状態を平面視により示したものである。図5(a)に示すように、先ず搭乗用枠部10を吊っている補巻きクレーンKを操作して剪定する枝の重量バランスを考慮し、枝の重心となる結束位置P1にシャックルやワイヤー等を用いて結束し、これを主巻きフックF1に引き掛けする。係る結束位置P1は作業者Hの経験や感覚に頼ることになるが、枝の状態や葉の付き具合等によってその位置はそれぞれ異なるものである。次に補巻きクレーンKを操作して切り落とす切断位置P2へ吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1を移動させ、枝を切り落とす。図5(b)に示されるように平面視により上方から見たゴンドラは中心付近の方が入り込める領域が広く枝の先へ行くにつれて細い枝は密集し、真直に降下するには枝を回避しなくてはならない。本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラでは、底部に設けた下部枝除け錐形部30により枝を掻き分け侵入していくことが可能である。また、図面に示すように結束位置P1において、主巻きフックF1に結束した後その枝の根元へとクレーンKを操作して吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1を切断位置P2へと移動することが示されているものである。
【0040】
主巻きフックF1は、移動式クレーンKには、通常、巻上装置が2つ設けられており、巻上用ワイヤロープの巻き掛数を三本掛けや四本掛けのように増やした重荷重用のものを主巻きといい、これに吊されるのが主巻きフックF1(親フックとも呼ばれる)である。本発明では、伐採する枝の重心を予測してロープを掛け、切り落とした枝を吊り上げて所望する位置に移動させるために繋ぐフックFのことである。
【0041】
移動式クレーンKにおいて、単索で荷をつる補助用のものを補巻きといい、これに吊されるのが補巻きフックF2(孫フックとも呼ばれる)である。本発明では、伐採作業者Hを乗せた吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1を昇降するために繋ぐフックFのことである。最大定格総荷重が25tの主巻きの場合、補巻きは約4tのつり上げ荷重を有するので、例えば、200Kgにも満たない本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1に100Kgの重り60を積載し、体重150Kgの大柄な作業者Hが搭乗しても、総荷重は問題とはならない。
【0042】
安全帯50は、伐採作業者Hの安全を確保するために、万が補巻きフックF2が外れたときにも吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1が落下しないようにするため、シャックルやワイヤー等を用いて予備的に繋いでおくものである。
【0043】
図6は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの実施例を説明する第一実施例説明図である。図面に示す実施例では家屋が邪魔となり、高所作業車C2ではゴンドラが届かないところでも、移動クレーン車C1のクレーンKを利用する本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1であれば、広い範囲において作業場所へ到達可能であることを示している。
【0044】
図7は、本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラの実施例を説明する第二実施例説明図である。また、図面に示す実施例では崖等に育成した樹木等の剪定や伐採が必要となった場合で、低所側から高所作業車C2によるアプローチでは、ブームB2を伸ばしてもゴンドラが届かない場合がある。このような状況でも、総揚程のうち地上面から下の揚程(地下揚程)の範囲内であれば、移動クレーン車C1のクレーンKを利用して高所側から作業が可能となる事を示している。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る吊り下げ式クレーン用ゴンドラ1によれば、危険を伴う立木の伐採等が安全かつ効率良く行えることを可能とすることから、林業における産業上利用可能性は高いと思慮されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 吊り下げ式クレーン用ゴンドラ
10 搭乗用枠部
11 開閉ドア
20 被吊り下げ環
30 下部枝除け錐形部
40 上方枝除け錐形部
50 安全帯
60 重り
K クレーン
F フック
F1 主巻きフック
F2 補巻きフック
H 作業者
T 立木
P1 結束位置
P2 切断位置
B1 ブーム
B2 ブーム
C1 移動クレーン車
C2 高所作業車
【要約】
本発明は、高所作業用のクレーンに用いられるゴンドラが、邪魔な枝を除けながら枝の間を縫って入り込み、所望する位置へ効率よく位置させることを可能とし、木の伐採時に起きる事故から作業者を守り、安全と効率を重視することができるゴンドラの技術の提供を課題とするものである。
【課題】
【解決手段】
本発明は、吊り下げ式クレーン用ゴンドラであって前記ゴンドラは作業者が搭乗及び作業ができる空間を確保する搭乗用枠部を有し、前記搭乗用枠部の底部には枝を除けながら進行出来る円錐又は多角垂の形状に形成された下部枝除け錐形部を有した構成を最大の特徴としたものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7