(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】健康指導支援装置および健康指導支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20221007BHJP
【FI】
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2017188857
(22)【出願日】2017-09-28
【審査請求日】2020-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 安子
(72)【発明者】
【氏名】片桐 径子
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 三重子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】本多 裕之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美智予
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-113393(JP,A)
【文献】特開2004-062509(JP,A)
【文献】特開2006-227463(JP,A)
【文献】特開2002-123612(JP,A)
【文献】特開2004-164343(JP,A)
【文献】特開2002-329006(JP,A)
【文献】特開2014-207027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
献立をユーザに提供する健康指導支援装置であって、
献立データベースから、ユーザに提供する献立を取得する献立データ取得部と、
生活習慣病に関する複数のクイズの問題および解説を記憶するクイズデータベースから、ユーザに提供する問題および解説を取得する
クイズデータ取得部と、
前記献立データ取得部で取得した献立、
前記
クイズデータ取得部で取得した問題および解説を、ユーザの端末装置に送信する送信部と、
ユーザの端末装置から、問題に対する回答を受信する受信部と、
前記受信部が受信した回答から、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出する評価部と、
前記評価部により導出された理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成する評価データ生成部と、を備え、前記送信部は、評価データを、ユーザの端末装置に送信するものであって、
前記送信部は、ユーザに提供した献立に含まれる複数の食品であって、ユーザが食べた食品を選択させるための質問を、ユーザの端末装置に送信し、
前記受信部は、ユーザが選択した食品のリストを受信し、
前記送信部は、ユーザが選択した食品のリストの評価に関するコメントを、ユーザの端末装置に送信する、
ことを特徴とする健康指導支援装置。
【請求項2】
前記評価部が導出した理解度を記憶するリテラシ記憶部をさらに備え、
ユーザがクイズの解説画面においてクイズを終了するための操作を行うと、前記評価部は、今回のクイズの採点結果と、前記リテラシ記憶部に記憶されている過去の理解度にもとづいて、今回のクイズの採点結果を反映した理解度を導出し、
前記評価データ生成部は、導出された理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成し、
前記送信部は、評価データを、ユーザの端末装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の健康指導支援装置。
【請求項3】
前記クイズデータベースは、生活習慣病に関して分類された複数のカテゴリごとに、クイズの問題および解説を記憶しており、前記評価部は、ユーザの生活習慣病に関する理解度を、複数のカテゴリごとに評価するものであって、
前記取得部は、相対的に理解度の低いカテゴリの問題および解説を、クイズデータベースから取得して、前記送信部が、問題および解説を、ユーザの端末装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の健康指導支援装置。
【請求項4】
前記評価データ生成部は、複数のカテゴリごとの理解度をレーダーチャートの形式で表現するための評価データを生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の健康指導支援装置。
【請求項5】
健康指導支援装置が、
献立データベースから献立を取得するステップと、
取得した献立をユーザに送信するステップと、
生活習慣病に関する複数のクイズの問題および解説を記憶するクイズデータベースから、ユーザに提供する問題および解説を取得するステップと、
取得した問題および解説を、ユーザの端末装置に送信するステップと、
ユーザの端末装置から、問題に対する回答を受信するステップと、
受信した回答から、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出するステップと、
導出した理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成するステップと、
評価データを、ユーザの端末装置に送信するステップと、を
実行して、ユーザの健康指導を支援する方法であって、
前記健康指導支援装置が、
ユーザに提供した献立に含まれる複数の食品であって、ユーザが食べた食品を選択させるための質問を、ユーザの端末装置に送信するステップと、
ユーザが選択した食品のリストを受信するステップと、
ユーザが選択した食品のリストの評価に関するコメントを、ユーザの端末装置に送信するステップと、を
実行する、健康指導支援方法。
【請求項6】
前記健康指導支援装置が、
導出した理解度をリテラシ記憶部に記憶するステップを
実行し、
理解度を導出するステップは、ユーザがクイズの解説画面においてクイズを終了するための操作を行うと、今回のクイズの採点結果と、前記リテラシ記憶部に記憶されている過去の理解度にもとづいて、今回のクイズの採点結果を反映した理解度を導出
するステップを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の健康指導支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、
献立データベースから献立を取得する機能と、
取得した献立をユーザに送信する機能と、
生活習慣病に関する複数のクイズの問題および解説を記憶するクイズデータベースから、ユーザに提供する問題および解説を取得する機能と、
取得した問題および解説を、ユーザの端末装置に送信する機能と、
ユーザの端末装置から、問題に対する回答を受信する機能と、
受信した回答から、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出する機能と、
導出した理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成する機能と、
評価データを、ユーザの端末装置に送信する機能と、を実現させるためのプログラムであって、
ユーザに提供した献立に含まれる複数の食品であって、ユーザが食べた食品を選択させるための質問を、ユーザの端末装置に送信する機能と、
ユーザが選択した食品のリストを受信する機能と、
ユーザが選択した食品のリストの評価に関するコメントを、ユーザの端末装置に送信する機能と、を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、導出した理解度をリテラシ記憶部に記憶する機能をさらに実現させるためのプログラムであって、
理解度を導出する機能は、ユーザがクイズの解説画面においてクイズを終了するための操作を行うと、今回のクイズの採点結果と、前記リテラシ記憶部に記憶されている過去の理解度にもとづいて、今回のクイズの採点結果を反映した理解度を導出する機能を含
む、
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの健康指導を支援する技術であって、特に生活習慣病の予防指導を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生活習慣病は生活習慣が原因で発症する疾患であり、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、糖尿病などがある。糖尿病の予防や治療に関しては、運動により血糖値が高くなりにくい体質に改善すること、血糖値が高くならないように食生活を改善することが重要であると言われている。他の生活習慣病に関しても運動習慣および食習慣の改善は、予防や治療に重要であることが知られている。
【0003】
一方で生活習慣病の予防や治療に適正な食習慣は分かりにくく、浸透していない現状がある。家庭における食習慣の改善を目的として対象者が管理栄養士のもとに出向き、数か月かけて対面指導を受けるケースもあるが、対象者の負担が大きく、また指導が一方的になりやすいという問題がある。
【0004】
対面指導による負担を軽減するために、インターネットを利用して対象者の食習慣の改善指導を行う試みも行われている。この試みでは対象者が、問診票、1日の食事内容および体重測定結果を管理栄養士に送信し、管理栄養士は、ビデオメッセージとお奨めメニュー、食事バランスガイドおよび食の診断アドバイスを対象者に送信する(非特許文献1参照)。この試みは複数の対象者に対して実施され、食習慣改善指導の一定の効果が確認されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】橋本通子ほか、「インターネットを利用した対面指導と同レベルでの栄養指導の試み-第2報-」、日本未病システム学会雑誌、日本未病システム学会、2007年、13(1)、p.122-124
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来より、生活習慣病の予備軍に対し献立を送信して、生活習慣病の予防指導を行う試みは行われているが、家庭で献立にしたがった料理が毎日作られるかというと、必ずしもそうではないことが経験上分かっている。本発明者が、その原因を探ったところ、家庭で食事を作る人(対象者)が生活習慣病と食習慣との関係性を十分に理解していないために、食習慣改善の必要性を認識しておらず、結果として食べたい食事を作ってしまっている現実があることを突き詰めた。そこで本発明者は、献立どおりに食事を作ってもらうためには、食事を作る人の食習慣に関する理解度(リテラシ)をまずは向上させる必要があるという結論に至った。
【0007】
本開示はこうした状況に鑑みてなされており、その目的とするところの1つは、ユーザの食習慣に関する理解度を高めるように生活習慣病の予防指導を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の健康指導支援装置は、生活習慣病に関する複数のクイズの問題および解説を記憶するクイズデータベースから、ユーザに提供する問題および解説を取得する取得部と、取得部で取得した問題および解説を、ユーザの端末装置に送信する送信部と、ユーザの端末装置から、問題に対する回答を受信する受信部と、受信部が受信した回答から、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出する評価部と、評価部により導出された理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成する評価データ生成部とを備える。送信部は評価データをユーザの端末装置に送信する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、ユーザの健康指導を支援する方法であって、生活習慣病に関する複数のクイズの問題および解説を記憶するクイズデータベースから、ユーザに提供する問題および解説を取得するステップと、取得した問題および解説を、ユーザの端末装置に送信するステップと、ユーザの端末装置から、問題に対する回答を受信するステップと、受信した回答から、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出するステップと、導出した理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成するステップと、評価データを、ユーザの端末装置に送信するステップと、を含む。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、生活習慣病の予防指導を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例の健康指導支援システムの概要を示す図である。
【
図2A】病識カテゴリにおけるクイズデータの例を示す図である。
【
図2B】食事内容カテゴリにおけるクイズデータの例を示す図である。
【
図2C】食行動カテゴリにおけるクイズデータの例を示す図である。
【
図2D】嗜好品カテゴリにおけるクイズデータの例を示す図である。
【
図2E】運動カテゴリにおけるクイズデータの例を示す図である。
【
図4】(a)は問題画面の例を示し、(b)は解説画面の例を示す図である。
【
図5】ユーザ理解度を表現する評価画像を含む評価画面の例を示す図である。
【
図6】ユーザの理解度が高くなるにつれて変化するキャラクタの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施例の健康指導支援システム1の概要を示す。健康指導支援システム1は、当該システムに参加する対象者ならびにその家族の食習慣改善を目的として、生活習慣病の予防指導を支援する。実施例の健康指導支援システム1は、主として食習慣の改善指導を支援するが、運動習慣の改善指導の支援もあわせて実施してよい。
【0014】
参加する対象者は、家庭の中で主として食事を作る人であることが好ましく、夫婦2人と子供2人の4人家族であれば母親が対象者となることが多いと考えられるが、父親であってもよい。健康指導支援システム1では、対象者(以下「ユーザ」と呼ぶこともある)の生活習慣病に関する理解度(またはリテラシ)を高めて、対象者およびその家族が、適正な食習慣を確立して、健康を維持できるようにすることを目的とする。
【0015】
健康指導支援システム1において、健康指導支援装置2はサーバ装置として機能し、ユーザの端末装置5はクライアント装置として機能してよいが、健康指導支援装置2がクラウドコンピューティングシステムとして構成されてもよい。端末装置5は、スマートフォンやタブレットなどの通信機能および画像表示機能を有する装置であってよい。なお端末装置5は携帯型であって、ユーザにより持ち運び可能であることが好ましいが、家屋内に設置された据置型であってもよい。
【0016】
ユーザは、端末装置5で所定のアプリケーション(以下、「クイズアプリ」と呼ぶ)を起動し、健康指導支援装置2にログインすることで、健康指導支援装置2によるサービスの提供を受けられる。従来より、生活習慣病に関する指導は対面式またはインターネットを通じて実施されているが、いずれも一方向的な指導であり、ユーザが楽しみながら知識を深めていくという要素についてはあまり考慮されていない。特に生活習慣病の病識であったり、食事の栄養学的な内容などは、専門性が高く簡単に覚えられるものではないために、従来の指導では内容の理解を断念するユーザも多かった。そこで実施例の健康指導支援装置2は、特に糖尿病患者や、その予備軍となる未病者を家族にもつユーザに対して、糖尿病に関する理解度を効率的に向上させることのできるサービスを提供する。
【0017】
具体的に実施例では、ユーザに生活習慣病に関するクイズを出題し、それに回答させることで、ユーザが自然に生活習慣病の知識を深められるサービスを実現する。ユーザは自身の好きなときに健康指導支援装置2にアクセスし、好きな数だけクイズを楽しんでよい。ユーザは一方向的な指導を受けるわけではなく、自発的に生活習慣病に関する知識に触れることで、自然に生活習慣病に関するリテラシを高め、食習慣を積極的に改善しようとする意識を持つようになる。
【0018】
クイズデータベース(以下「クイズDB」と呼ぶ)3は、生活習慣病に関する複数のクイズの問題と正解および解説を少なくとも記憶する。なお実施例では、生活習慣病に関する知識を複数のカテゴリに分類し、クイズDB3は、分類された複数のカテゴリごとに、クイズの問題と正解および解説を記憶している。
【0019】
実施例で生活習慣病に関する知識は、以下の5つのカテゴリに分類される。
(a)病識(病気についての理解)
(b)食事内容
(c)食行動
(d)嗜好品
(e)運動
実施例のクイズDB3は、クイズの問題と回答の選択肢、正解および解説を、カテゴリごとに記憶する。以下、問題と回答の選択肢、正解および解説のセットを「クイズデータ」とも呼ぶ。
【0020】
図2Aは、病識カテゴリにおけるクイズデータの例を示す。この例では、1)~4)のクイズデータが示されているが、実際のクイズDB3は、ユーザの病気に関する理解度を高めるために、病識カテゴリに関し多数のクイズデータを記憶している。
【0021】
図示されるようにクイズデータ1)は、以下のデータ要素により構成されている。
<問題>
「HbA1cは何か知っていますか」
<選択肢>
(1) 糖尿病の指標
(2) 貧血の指標
(3) 肝機能の指標
(4) 日本が開発している新型ロケット
<正解および解説>
選択肢(1)~(4)に対する正解、不正解と、問題の解説
【0022】
図示されるようにクイズデータ2)、3)も、クイズデータ1)のデータ要素を有する。クイズデータ4)は、<選択肢>については用意されておらず、ユーザが回答を手動で入力するようなクイズ形式となっている。
【0023】
図2Bは、食事内容カテゴリにおけるクイズデータの例を示す。この例では、1)~4)のクイズデータが示されているが、実際のクイズDB3は、ユーザの食事に関する理解度を高めるために、食事内容カテゴリに関し多数のクイズデータを記憶している。クイズデータ1)~3)は、問題、選択肢、正解および解説のデータ要素により構成されている。
【0024】
食事内容カテゴリのクイズデータ4)は、クイズというよりは、ユーザの食事内容を健康指導支援装置2側で収集するための質問である。たとえばクイズデータ4)は、ユーザが健康指導支援装置2にアクセスするたびに、ユーザに提示されてよい。クイズデータ4)の質問が端末装置5に出力される場合、端末装置5のディスプレイには、複数の食品が表示され、ユーザは、食べた食品をタップして選択する。たとえば健康指導支援装置2が献立を配信している場合、端末装置5のディスプレイには、当日の献立内容にしたがった食品が主として表示されるようにしてもよい。このときの「正解および解説」は、健康指導支援装置2がユーザが食べた食品のリストから食事の評価点数を算出して生成したコメントとなる。
【0025】
図2Cは、食行動カテゴリにおけるクイズデータの例を示す。この例では、1)~3)のクイズデータが示されているが、実際のクイズDB3は、ユーザの食行動に関する理解度を高めるために、食行動カテゴリに関し多数のクイズデータを記憶している。クイズデータ1)~3)は、問題、選択肢、正解および解説のデータ要素により構成されている。
【0026】
図2Dは、嗜好品カテゴリにおけるクイズデータの例を示す。この例では、1)~5)のクイズデータが示されているが、実際のクイズDB3は、ユーザの嗜好品に関する理解度を高めるために、嗜好品カテゴリに関し多数のクイズデータを記憶している。
【0027】
図2Eは、運動カテゴリにおけるクイズデータの例を示す。この例では、1)~4)のクイズデータが示されているが、実際のクイズDB3は、ユーザの運動習慣に関する理解度を高めるために、運動カテゴリに関し多数のクイズデータを記憶している。
【0028】
図3は、健康指導支援装置2の構成を示す。健康指導支援装置2は、データ取得部10、通信部20、受付部30、回答取得部32、回答判定部34、評価部36、評価データ生成部38およびリテラシ記憶部50を備える。データ取得部10は、クイズDB3からユーザに提供するクイズデータを取得するクイズデータ取得部12、および献立DB4からユーザに提供する献立データを取得する献立データ取得部14を有する。通信部20はユーザの端末装置5とデータ送受信を行う機能を有し、送信部22および受信部24を有する。
【0029】
図3において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0030】
健康指導支援装置2は、ユーザごとに、生活習慣病に関する理解度(リテラシ)を評価し、ユーザに対して理解度の評価結果を提示する機能をもつ。ユーザは、評価結果を日々確認することで、自身の理解度の向上を確認し、さらなる知識吸収への意欲を高める。リテラシ記憶部50は、ユーザごとに評価された理解度(リテラシ)を記憶する。たとえば健康指導支援装置2は、サービスに参加する複数のユーザに対して、理解度の高低に応じた順位を付けて、上位ユーザをランキング形式で公表するようにしてもよい。健康指導支援装置2は、参加するユーザの生活習慣病に関するリテラシを高めて、社会全体で適正な食習慣を実現できるようにする仕組みを提供する。
【0031】
健康指導支援システム1において、ユーザは任意のタイミングで、端末装置5から健康指導支援装置2にアクセスして、クイズを楽しむことができる。ユーザが端末装置5でクイズアプリを起動し、ユーザIDとともにクイズの配信リクエストを健康指導支援装置2に送信すると、受信部24がユーザIDおよびクイズ配信リクエストを受信し、受付部30に提供する。受付部30は、ユーザIDおよびクイズ配信リクエストを受け付けると、データ取得部10に提供する。
【0032】
クイズデータ取得部12は、クイズDB3から、ユーザに提供するクイズデータを取得する。上記したように実施例のクイズDB3は、クイズデータ、つまりクイズの問題と回答の選択肢、正解および解説を、カテゴリごとに記憶している。後述するように、ユーザの生活習慣病に関する理解度は、カテゴリごとに導出されてリテラシ記憶部50に記憶されており、クイズデータ取得部12は、相対的に理解度の低いカテゴリのクイズデータをクイズDB3から取得してもよい。これは、ユーザの苦手なカテゴリを無くそうとするポリシーによるものである。送信部22はクイズデータ取得部12で取得したクイズデータを、ユーザの端末装置5に送信する。なおユーザが何個のクイズ問題に回答するかは不明であるが、クイズデータ取得部12は予め複数のクイズデータを取得して、送信部22が複数のクイズデータを端末装置5に送信してもよい。
【0033】
端末装置5は、クイズデータを受信すると、クイズアプリが、ディスプレイに1つのクイズ問題および選択肢を表示する。
図4(a)は、端末装置5のディスプレイに表示される問題および選択肢を含む問題画面の例を示す。問題画面には、ユーザのキャラクタ100も表示される。詳細については後述するが、キャラクタ100はユーザの理解度を反映した外見をもち、ユーザの理解度に応じて外見を変化させる。
【0034】
問題画面において、ユーザは4つの選択肢のいずれかを選択する。なおディスプレイがタッチパネルで構成されている場合、ユーザは1つの選択肢をタップして選択する。実施例では端末装置5がクイズデータとして、クイズの問題および選択肢だけでなく、正解および解説も受信しているため、クイズアプリは、ユーザの回答の正解、不正解を判定して、その判定結果および解説をディスプレイに出力する。
【0035】
なお端末装置5が受信するクイズデータに、正解および解説が含まれていない場合、クイズアプリは、ユーザが回答を入力すると、クイズの番号およびユーザの回答を健康指導支援装置2に送信する。健康指導支援装置2において、受信部24がクイズ番号およびユーザ回答を受信し、回答取得部32に供給すると、回答取得部32は、クイズ番号およびユーザ回答を回答判定部34に渡す。このとき回答判定部34は、クイズ番号をクイズデータ取得部12に通知し、クイズデータ取得部12は、クイズDB3からクイズ番号に対応する正解および解説を取得して、回答判定部34に提供する。回答判定部34は、ユーザ回答の正解、不正解を判定して、判定結果および解説を送信部22から端末装置5に送信させる。これにより端末装置5において、クイズアプリは、ユーザ回答の判定結果および解説をディスプレイに出力する。
【0036】
図4(b)は、端末装置5のディスプレイに表示される判定結果および解説を含む解説画面の例を示す。このように実施例のユーザはクイズ形式で生活習慣病に関する知識に接するため、一方的に指導される場合と比べて、主体的に知識の吸収に取り組むことができ、理解度向上のモチベーションを高く維持できるようになる。ユーザが続行ボタン102を操作すると、次の問題画面がディスプレイに表示され、終了ボタン104を操作すると、今回のクイズ回答を反映した評価結果がディスプレイに表示されて、クイズアプリが終了される。このようにユーザが自由にクイズアプリを開始し、また終了できる点も、知識の吸収を継続するモチベーションを維持するための要素となる。
【0037】
実施例において、終了ボタン104が操作されると、端末装置5のクイズアプリは、今回ユーザに出題した全てのクイズの番号とユーザ回答を、健康指導支援装置2に送信する。健康指導支援装置2において、受信部24がクイズ番号およびユーザ回答を受信し、回答取得部32に供給すると、回答取得部32は、クイズ番号およびユーザ回答を評価部36に渡す。このとき評価部36は、クイズ番号をクイズデータ取得部12に通知し、クイズデータ取得部12は、クイズDB3からクイズ番号に対応する正解を取得して、評価部36に提供する。評価部36は、ユーザ回答を採点し、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出する。このとき評価部36は、ユーザの生活習慣病に関する理解度を、複数のカテゴリごとに評価することが好ましく、導出した理解度を、カテゴリごとにリテラシ記憶部50に記憶する。具体的に評価部36は、今回のクイズの採点結果と、これまでの理解度、つまりリテラシ記憶部50に保持されている過去の理解度とを加味して、今回のクイズの採点結果を反映した理解度を導出し、リテラシ記憶部50に上書きする。
【0038】
評価データ生成部38は、評価部36により導出された理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成する。この評価データは、画像データであってもよく、また端末装置5のクイズアプリが評価画像を表示する際に必要となるパラメータデータであってもよい。いずれにしても評価データ生成部38は、端末装置5のディスプレイに評価画像を表示するための評価データを生成し、送信部22は、評価データを端末装置5に送信する。
【0039】
なお端末装置5が受信するクイズデータに正解および解説が含まれていない場合、ユーザがクイズに回答すると、クイズアプリがクイズの番号およびユーザの回答を健康指導支援装置2に送信することを説明した。このとき回答取得部32は、クイズ番号およびユーザ回答を回答判定部34に供給するが、同時に評価部36にも供給して、評価部36がユーザの回答ごとに、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出する。この場合、評価部36は、ユーザが回答するたびに回答結果を理解度に反映するため、リテラシ記憶部50に記憶されている理解度は、ユーザの回答ごとに更新されてよい。
【0040】
図5は、カテゴリごとのユーザ理解度を表現する評価画像を含む評価画面の例を示す。
図4(b)に示す解説画面において、ユーザが終了ボタン104を操作すると、評価データ生成部38が、今回のクイズの採点結果が反映された理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成し、送信部22が、評価データを端末装置5に送信する。
【0041】
評価画面には、2つの評価画像が示されている。1つの評価画像は、理解度が高くなるにつれて変化するキャラクタ100であり、もう1つの評価画像は、理解度をグラフ化したレーダーチャート110である。端末装置5が、健康指導支援装置2から評価データを受信すると、クイズアプリは、評価データを用いてディスプレイに評価画面を表示する。
【0042】
図示されるように、評価データ生成部38は、複数のカテゴリごとの理解度をレーダーチャート110の形式で表現するための評価データを生成する。レーダーチャート110の形式は、複数のカテゴリの理解度を比較参照するために好適であり、ユーザは、レーダーチャート110を見ることで、カテゴリごとの得意、不得意を一目で区別できる。
【0043】
また評価データ生成部38は、全体の理解度が高くなるにつれてキャラクタ100が変化する評価画像を表示するための評価データを生成している。
図6は、ユーザの理解度が高くなるにつれて変化するキャラクタ100の例を示す。評価データ生成部38は、キャラクタ100を表示するための評価データを生成するうえで、各カテゴリの理解度を合算した全体の理解度を利用する。このキャラクタ100は、サービス開始時からユーザの理解度が高くなるにつれて、卵→幼虫→成虫と変態する。ユーザはキャラクタ100の成長していく変化を、自身の理解度の向上に重ねてみることができ、キャラクタ100の変化が、ユーザのモチベーションの維持に寄与することが期待される。
【0044】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。献立データ取得部14は、ユーザの家族構成や季節に応じて献立DB4からユーザに提供する献立データを取得し、送信部22がユーザの端末装置5に送信してもよい。
【0045】
本開示の態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の健康指導支援装置は、生活習慣病に関する複数のクイズの問題および解説を記憶するクイズデータベースから、ユーザに提供する問題および解説を取得する取得部と、取得部で取得した問題および解説を、ユーザの端末装置に送信する送信部と、ユーザの端末装置から、問題に対する回答を受信する受信部と、受信部が受信した回答から、ユーザの生活習慣病に関する理解度を導出する評価部と、評価部により導出された理解度を表現する評価画像を表示するための評価データを生成する評価データ生成部とを備える。送信部は、評価データをユーザの端末装置に送信する。
【0046】
この態様によると、クイズを利用することで、ユーザが楽しみながら生活習慣病に関する理解度を向上させることが可能となる。
【0047】
クイズデータベースは、生活習慣病に関して分類された複数のカテゴリごとに、クイズの問題および解説を記憶しており、評価部は、ユーザの生活習慣病に関する理解度を、複数のカテゴリごとに評価してもよい。また取得部は、相対的にユーザの理解度の低いカテゴリの問題および解説をクイズデータベースから取得して、送信部が問題および解説をユーザの端末装置に送信してもよい。
【0048】
評価データ生成部は、理解度が高くなるにつれてキャラクタが変化する評価画像を表示するための評価データを生成してもよい。また評価データ生成部は、複数のカテゴリごとの理解度をレーダーチャートの形式で表現するための評価データを生成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・健康指導支援システム、2・・・健康指導支援装置、3・・・クイズDB、4・・・献立DB、5・・・端末装置、10・・・データ取得部、12・・・クイズデータ取得部、14・・・献立データ取得部、20・・・通信部、22・・・送信部、24・・・受信部、30・・・受付部、32・・・回答取得部、34・・・回答判定部、36・・・評価部、38・・・評価データ生成部、50・・・リテラシ記憶部。