(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】コーンセット
(51)【国際特許分類】
E01F 9/654 20160101AFI20221007BHJP
E01F 13/02 20060101ALI20221007BHJP
E01F 9/688 20160101ALI20221007BHJP
E01F 9/646 20160101ALI20221007BHJP
G09F 15/00 20060101ALN20221007BHJP
【FI】
E01F9/654
E01F13/02 A
E01F9/688
E01F9/646
G09F15/00 L
(21)【出願番号】P 2018058298
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】500459029
【氏名又は名称】株式会社赤ん坊カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】三島 世記
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-098501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0131469(US,A1)
【文献】実開昭63-181609(JP,U)
【文献】実開昭56-064425(JP,U)
【文献】実開昭49-063888(JP,U)
【文献】特開平10-147914(JP,A)
【文献】実開昭54-096593(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01544117(EP,A1)
【文献】特開2000-248520(JP,A)
【文献】特開平11-319186(JP,A)
【文献】特開2003-096503(JP,A)
【文献】特開2003-206515(JP,A)
【文献】特開平10-102445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/654
E01F 13/02
E01F 9/688
E01F 9/646
G09F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の切頭角錐の第1コーン、及び第1コーンの内側に重ね合わせることのできる中空の切頭角錐の第2コーンを含むコーンセットであって、第1コーンの側面の辺の外面の曲率半径R1及び第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2が、下記式(1):
R1=R2+m (1)
(式中、mは第1コーンの壁の厚さであ
り、R1は第1コーンの側面の辺の外面の任意の位置の曲率半径であり、R2は第2コーンの側面の辺の外面の任意の位置の曲率半径である)
で表され
、
前記第1コーンの側面の辺の内面の曲率半径R1’がR2と同じである前記コーンセット。
【請求項2】
前記切頭角錐が、切頭三角錐又は切頭四角錐である、請求項1に記載のコーンセット。
【請求項3】
前記第1コーン及び第2コーンを重ね合わせた場合に、2つのコーンの切頭面が略同一面であり、前記第2コーンの高さが、前記第1コーンの高さの略2倍であり、そして前記第1のコーンの壁の厚さ及び第2のコーンの壁の厚さが略同一である、請求項1又は2に記載のコーンセット。
【請求項4】
前記第2コーンの内側に重ね合わせることができる中空の切頭角錐の第3コーンを、更に含む請求項1に記載のコーンセットであって、
第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2及び第3コーンの側面の辺の外面の曲率半径R3が、下記式(2):
R2=R3+n (2)
(式中、nは第2コーンの壁の厚さであ
り、R2は第2コーンの側面の辺の外面の任意の位置の曲率半径であり、R3は第3コーンの側面の辺の外面の任意の位置の曲率半径である)
で表され
、
前記第2コーンの側面の辺の内面の曲率半径R2’がR3と同じである前記コーンセット。
【請求項5】
前記切頭角錐が、切頭三角錐又は切頭四角錐である、請求項4に記載のコーンセット。
【請求項6】
前記第1コーン、第2コーン及び第3コーンを重ねわせた場合に、3つのコーンの切頭面が略同一面であり、前記第3コーンの高さが第2コーンの高さの略1.5倍であり、第2コーンの高さが、前記第1コーンの高さの略2倍であり、そして前記第1のコーンの壁の厚さ、第2のコーンの壁の厚さ、及び第3コーンの壁の厚さが略同一である、請求項4又は5に記載のコーンセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーンセットに関する。本発明によれば、工場などで製品分類のための表示具として使用するコーンを、輸送時又は収納時において、嵩張らず、コンパクトに輸送又は保管できる。
【背景技術】
【0002】
工場などで使用されているコーンは、製品の分類のための表示具と使用されることがある(特許文献1及び2)。また、色を付したコーンは、陸上競技、サッカー、フットサル、又はバスケットボールなどのスポーツの練習においてマーカーとして用いられ、俊敏性や判断力を養う練習が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-306912号公報
【文献】特開2011-237745号公報
【文献】特開2014-29060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記コーンは、輸送時又は収納時において、重ね合わせて輸送又は保管している。コーンを重ね合わせると、高く積み上げることになり、輸送において嵩張り、輸送コストの上昇につながる。また、収納時においても、広い保管場所を必要とすることになる。
従って、本発明の目的は、輸送時又は収納時において、嵩張らず、コンパクトに輸送又は保管できるコーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、輸送時又は収納時において、嵩張らず、コンパクトに輸送又は収納できるコーンについて、鋭意研究した結果、驚くべきことに、角錐状のコーンを作製し、重ね合わせる外側のコーンの辺のRを、内側のコーンの辺のRより大きく設定することによって、嵩張らず、コンパクトに輸送又は保管できるコーンセットが得られることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]中空の切頭角錐の第1コーン、及び第1コーンの内側に重ね合わせることのできる中空の切頭角錐の第2コーンを含むコーンセットであって、第1コーンの側面の辺の外面の曲率半径R1及び第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2が、下記式(1):R1=R2+m (1)(式中、mは第1コーンの壁の厚さである)
で表される前記コーンセット、
[2]前記切頭角錐が、切頭三角錐又は切頭四角錐である、[1]に記載のコーンセット、
[3]前記第1コーン及び第2コーンを重ね合わせた場合に、2つのコーンの切頭面が略同一面であり、前記第2コーンの高さが、前記第1コーンの高さの略2倍であり、そして前記第1のコーンの壁の厚さ及び第2のコーンの壁の厚さが略同一である、[1]又は[2]に記載のコーンセット、
[4]前記第2コーンの内側に重ね合わせることができる中空の切頭角錐の第3コーンを、更に含む[1]に記載のコーンセットであって、
第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2及び第3コーンの側面の辺の外面の曲率半径R3が、下記式(2):R2=R3+n (2)(式中、nは第2コーンの壁の厚さである)で表される前記コーンセット、
[5]前記切頭角錐が、切頭三角錐又は切頭四角錐である、[4]に記載のコーンセット、及び
[6]前記第1コーン、第2コーン及び第3コーンを重ねわせた場合に、3つのコーンの切頭面が略同一面であり、前記第3コーンの高さが第2コーンの高さの略1.5倍であり、第2コーンの高さが、前記第1コーンの高さの略2倍であり、そして前記第1のコーンの壁の厚さ、第2のコーンの壁の厚さ、及び第3コーンの壁の厚さが略同一である、[4]又は[5]に記載のコーンセット、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のコーンセットによれば、輸送時又は収納時において、嵩張らず、コンパクトに輸送又は保管できるコーンを提供することができる。
また、本発明のコーンセットは、工場などで製品を分類するための、製品の表示具として使用することができる。更に、大きさの異なるコーンセットとすることにより、表示具として用いた場合、表示されている文字だけでなく、その大きさから分類されている製品を瞬時に見分けることができ、有用である。また、本発明のコーンは、角錐のコーンであり側面が台形状の平面であるため、円錐形のコーンと比較して製品分類などの表示がしやすく、そして見やすくなっている。更に、それぞれのコーンに紐を用いて吊り下げるための孔を設けることにより、吊り下げて用いる表示具とすることができる。更に、前記孔に指を引っ掛けることによって、本発明のコーンを容易に取り扱うことができる。
本発明のコーンセットのコーンは、スポーツの練習用マーカーとして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のコーンセットのそれぞれのコーンを示した斜視図である。
【
図2】本発明の2つのコーンを含むコーンセットの斜視図である。
【
図3】本発明の2つのコーンを含むコーンセットの上面図である
【
図4】2つのコーンを組み合わせたコーンセットの内側のコーンと外側のコーンのそれぞれのR2とR1との関係を示した図である。
【
図5】本発明の3つのコーンを含むコーンセットの斜視図である。
【
図6】本発明の3つのコーンを含むコーンセットの上面図である。
【
図7】3つのコーンを組み合わせたコーンセットのそれぞれのコーンのR1、R2及びR3の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のコーンセットは、中空の切頭角錐の第1コーン、及び第1コーンの内側に重ね合わせることのできる中空の切頭角錐の第2コーンを含むコーンセットである。そして、第1コーンの側面の辺の外面の曲率半径R1及び第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2が、下記式(1):
R1=R2+m (1)
(式中、mは第1コーンの壁の厚さである)で表される。
第1コーンの側面の3つの辺の外面の3つの曲率半径R1は実質的に同一であり、第2コーンの側面の3つの辺の外面の3つの曲率半径R2は実質的に同一である。
【0009】
本発明のコーンの形状は切頭角錐の形状である。切頭角錐は角錐から、その上部の一部分を除いた形態である。上部を除く前の角錐は、特に限定されるものではなく、三角錐、四角錐、五角錐、六角錐、七角錐、八角錐、九角錐、又は十角錐などを挙げることができる。すなわち、コーンを形成する角錐の角の数は限定されるものではないが、側面を表示領域として使用する観点からは、側面が比較的広い三角錐又は四角錐が好ましい。
本発明のコーンにおける発明の原理は、角数が異なる角錐においても同じであるので、以下の説明は、三角錐の上部を除いた切頭三角錐をコーンとして用いた場合を、例として説明する。
切頭三角錐は、
図1に示すように、三角錐から、その上部の一部分を三角錐状に除いた形態である。除かれる三角錐の形状は限定されるものではないが、元の三角錐の同じ形状を除くことが好ましく、従って一部分が除かれた切頭面(5a、5b、5c)は、元の三角錐の底面と平行な面であることが好ましい。この場合、切頭三角錐の側面(6a、6b、6c)は、等脚台形の形状となる。また、コーンが均等三角錐の場合、3つの等脚台形の形状は、実質的に同一である。
本発明のコーンは中空であり、従って底面を有さない。底面を有さないことによって、2つ以上のコーンを重ね合わせて輸送、又は保管することができる。但し、最も内側のコーンは他のコーンに重ねることがないため、底面を有していてもよい。
前記三角錐の形状は、特に限定されるものではなく、例えば正三角錐でもよい。正三角錐の切頭三角錐のコーンは、例えばスポーツのマーカーとして用いることができる。また、コーンを工場などの表示具として用いる場合は、例えば、比較的高さを有する切頭三角錐のコーンが好ましい。コーンの側面の台形の部分が広くなるために、製品の分類等を表示しやすいからである。
更に、コーンの三角錐の形状は限定されるものではないが、均等三角錐が好ましい。すなわち切頭面の三角形の形状は限定されるものではないが、
図3又は
図6に示すように、3つの角度が60度の正三角形である三角錐が好ましい。均等三角錐であることにより、3つの側面の台形が同じ形で同じ面積となり、表示具として用いる場合、表示が見やすいからである。
なお、コーンの三角錐の形状が均等三角錐ではない場合は、切頭面の三角形の形状が正三角形ではなく、コーンの側面は等脚台形ではないことがある。
【0010】
本発明の2つのコーンを組み合わせたコーンセットについて、
図2~4を用いて説明する。
本発明のコーンセットにおいては、第1コーンの内側に、第2コーンを重ね合わせることができる。第1コーンの側面の辺の外面の曲率半径R1及び第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2の関係は、下記式(1):
R1=R2+m (1)
で表される。式中mは第1コーンの壁の厚さを示す。
図4に示すように、第1コーンの側面の辺の外面の曲率半径R1は、第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2及び第1コーンの壁の厚さmによって示すことができる。また、第1コーンの辺における内面の曲率半径をR1´とすると、R1´は、実質的にR2と同じである。すなわち、第1コーンと第2コーンとは、実質的に隙間が無いように接触しており、従ってR1´≒R2となる。
また、第1コーンと第2コーンとが実質的に隙間なく接触することにより、コーンセットを嵩張らず、そしてコンパクトに輸送又は保管することができる。
【0011】
曲率半径Rとは、曲線上の点(a,f(a))の近傍の曲線を最もよく近似する円の半径である。曲率半径Rは以下のように求めることができる。
ある任意の曲線において、線上の点P0を基点として、そこから曲線上の任意の点P(位置ベクトルrpで表される)までの距離をsとする。
このとき、点Pの位置は、
r
P=r(s)
として、変数sの関数として表すことができる。(以下、rp=rとする)このとき、点Pで接する方向の単位ベクトル(tp)は、
【数1】
となる。(位置ベクトルの変位分Δrが十分小さいとき、|Δr|=Δsであるから単位ベクトルである。)
同様にして、
rQ=r(s+Δs)
と表される点Qを考えるとき、点Q上の単位接線ベクトルt
Qは、
t
Q=t(s+Δs)
であり、2つの単位接線ベクトルt
P、t
Qのなす角をΔθとすると
【数2】
であり、Δθが十分小さい、すなわちΔsが十分小さいとき(点Pと点Qが十分接近しているとき)
Δθ=sinΔθ=|t
P-t
Q|
と見做せる。
ここで、接線傾斜Δθの変動率であるXは、以下のように定義できる。
【数3】
この式において、Xが曲率、Xの逆数であるRが曲率半径である。
【0012】
前記第1コーン及び第2コーンを重ね合わせた場合に、2つの切頭面は同一の面でなくてもよい。すなわち、第1コーンの切頭面が第2コーンの切頭面よりも上部となってもよく、逆に第2コーンの切頭面が第1コーンの切頭面より上部となってもよい。しかしながら、
図2及び3に示すように、好ましくは2つの切頭面は略同一面である。同一面であることにより、コーンセットとしてコンパクトにすることができる。
第1コーンの切頭面の3つの辺(10)の長さは、特に限定されるものではないが、例えば1~10cmであり、好ましくは2~8cmであり、より好ましくは3~6cmである。第2コーンの切頭面の3つの辺(10)の長さは、特に限定されるものではないが、例えば1~10cmであり、好ましくは2~8cmであり、より好ましくは3~6cmである。第1コーン及び第2コーンの切頭面の3つの辺の長さは、均等三角錐の場合は同一であるが、均等三角錐でない場合は異なっていてもよい。
【0013】
第1コーンの高さ及び第2コーンとの高さは、特に限定されないが、第2コーンの高さが第1コーンの高さよりも高い方が好ましく、例えば第2コーンの高さが第1コーンの高さの略2倍が好ましい。第2コーンの高さが第1コーンの高さよりも高いことによって、コーンセットをコンパクトに収納することができる。
第2コーンの高さは、特に限定されるものではないが、例えば5~50cmであり、好ましくは10~40cmであり、より好ましくは20~35cmであり、更に好ましくは25~35cmである。第1コーンの高さは、特に限定されるものではないが、例えば5~50cmであり、好ましくは10~40cmであり、より好ましくは10~30cmであり、更に好ましくは10~20cmである。
【0014】
前記第1コーンの壁の厚さ(m)及び第2コーンの壁の厚さ(n)は、特に限定されない。すなわち、第1コーンの壁の厚さ及び第2コーンの壁の厚さは異なっていてもよい。しかしながら、好ましくは第1コーンの壁の厚さ及び第2コーンの壁の厚さは略同一である。
第1コーンの壁の厚さは、特に限定されないが、例えば0.5~5mmであり、好ましくは1~3mmであり、より好ましくは1.5~2.5mmである。第2コーンの壁の厚さは、特に限定されないが、例えば0.5~5mmであり、好ましくは1~3mmであり、より好ましくは1.5~2.5mmである。
【0015】
前記第1コーンの底面の辺の長さ(11a)、及び前記第2コーンの底面の辺の長さ(11b)は同じか、又は第2コーンの底面の辺が長い。第1コーンの底面の辺が、第2コーンの底面の辺より長い場合、第2コーンに第1コーンを隙間なく重ね合わせることが困難になるからである。
第2コーンの底面の辺の長さは、特に限定されないが、例えば5~20cmであり、好ましくは7~17mmであり、より好ましくは10~15cmである。第1コーンの底面の辺の長さは、特に限定されないが、例えば5~20cmであり、好ましくは6~15mmであり、より好ましくは7~12cmである。
【0016】
第1コーン及び第2コーンは、
図2及び3に記載のように、側面に孔を設けてもよい。孔を有することにより、例えばコーンを紐を用いて吊り下げて表示具として用いることができる。また、孔に指を引っ掛けることによって、本発明のコーンを容易に取り扱うことができる。孔の位置は、その使用の態様によって、適宜決定することができるが、好ましくはコーンの上部である。また、孔の数は限定されるものではなく、例えば孔は3つの側面のすべてに設けてもよいが、1つ又は2つの側面に設けてもよい。
孔の形状は特に限定されるものではなく、円形、三角形、四角形、又は五角形などとすることができる。孔が円の場合、円の直径は特に限定されるものではないが、例えば0.5~2cmであり、好ましくは1~1.5cmである。
【0017】
本発明のコーンセットは、前記第2コーンの内側に重ね合わせることができる中空の切頭角錐の第3コーンを、更に含むことができる。そして、第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2及び第3コーンの側面の辺の外面の曲率半径R3が、下記式(2):
R2=R3+n (2)
(式中、nは第2コーンの壁の厚さである)
で表される。
第2コーンの側面の3つの辺の外面の3つの曲率半径R2は実質的に同一であり、第3コーンの側面の3つの辺の外面の3つの曲率半径R3は実質的に同一である。
また、前記第3コーンの形状は、前記第1コーン及び第2コーンの形状と同じように、で、切頭角錐の形状である。従って、第1コーン及び第2コーンと同じように、上部を除く前の角錐は、特に限定されるものではなく、三角錐、四角錐、五角錐、六角錐、七角錐、八角錐、九角錐、又は十角錐などを挙げることができるが、三角錐又は四角錐が好ましい。以下の説明も、三角錐の上部を除いた切頭三角錐をコーンとして用いた場合を、例として説明する。
【0018】
本発明の3つのコーンを組み合わせたコーンセットの実施態様について、
図5~7を用いて説明する。
本発明のコーンセットにおいては、第2コーンの内側に、更に第3コーンを重ね合わせることができる。第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2及び第3コーンの側面の3つの辺の外面の曲率半径R2の関係は、下記式(2):
R2=R3+n (2)
で表される。式中、nは第2コーンの壁の厚さを示す。
図7に示すように、第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径R2は、第3コーンの側面の辺の外面の曲率半径R3及び第2コーンの壁の厚さnによって示すことができる。また、第2コーンの辺における内面の曲率半径をR2´とすると、R2´は、実質的にR3と同じである。すなわち、第2コーンと第3コーンとは、実質的に隙間が無いように接触しており、従ってR2´≒R3となる。
また、第2コーンと第3コーンとが実質的に隙間なく接触することにより、コーンセットを嵩張らず、そしてコンパクトに輸送又は保管することができる。
前記第3コーンの曲率半径R3は、前記の計算方法により求めることができる。
【0019】
前記第1コーン、第2コーン及び第3コーンを重ね合わせた場合に、3つの切頭面は同一の面でなくてもよい。すなわち、第1コーン、第2コーン、及び第3コーンのいずれかの切頭面が、一致しなくてもよい。しかしながら、
図5に示すように好ましくは3つの切頭面は略同一面である。同一面であることにより、コーンセットとしてコンパクトにすることができる。
第1コーンの切頭面の3つの辺(10)の長さは、特に限定されるものではないが、例えば1~10cmであり、好ましくは2~8cmであり、より好ましくは3~6cmである。第2コーンの切頭面の3つの辺(10)の長さは、特に限定されるものではないが、例えば1~10cmであり、好ましくは2~8cmであり、より好ましくは3~6cmである。第3コーンの切頭面の3つの辺(10)の長さは、特に限定されるものではないが、例えば1~10cmであり、好ましくは2~8cmであり、より好ましくは3~6cmである。
第1コーン、第2コーン、及び第3コーンの切頭面の3つの辺の長さは、均等三角錐の場合は同一であるが、均等三角錐でない場合は異なっていてもよい。
【0020】
第1コーンの高さ、第2コーンとの高さ及び第3コーンの高さは、特に限定されないが、第2コーンの高さが第1コーンの高さよりも高く、第3コーンの高さが第2コーンの高さより高い方が好ましい。例えば第3コーンの高さが第2コーンの高さの略1.5倍が好ましく、第2コーンの高さが第1コーンの高さの略2倍が好ましい。第3コーンの高さが第2コーンの高さよりも高く、第2コーンの高さが第1コーンの高さよりも高いことによって、コーンセットをコンパクトに収納することができる。
第3コーンの高さは、特に限定されるものではないが、例えば5~50cmであり、好ましくは10~40cmであり、より好ましくは20~35cmであり、更に好ましくは25~35cmである。第2コーンの高さは、特に限定されるものではないが、例えば5~50cmであり、好ましくは10~40cmであり、より好ましくは10~30cmであり、更に好ましくは15~25cmである。第1コーンの高さは、特に限定されるものではないが、例えば5~50cmであり、好ましくは5~40cmであり、より好ましくは5~20cmであり、更に好ましくは5~15cmである。
【0021】
前記第1コーンの壁の厚さ(m)、第2コーンの壁の厚さ(n)、及び第3コーンの壁の厚さ(l)は、特に限定されない。すなわち、第1コーンの壁の厚さ、第2コーンの壁の厚さ、及び第3コーンの壁の厚さは異なっていてもよい。しかしながら、好ましくは第1コーンの壁の厚さ、第2コーンの壁の厚さ、及び第3コーンの壁の厚さは略同一である。
第1コーンの壁の厚さは、特に限定されないが、例えば0.5~5mmであり、好ましくは1~3mmであり、より好ましくは1.5~2.5mmである。第2コーンの壁の厚さは、特に限定されないが、例えば0.5~5mmであり、好ましくは1~3mmであり、より好ましくは1.5~2.5mmである。第3コーンの壁の厚さは、特に限定されないが、例えば0.5~5mmであり、好ましくは1~3mmであり、より好ましくは1.5~2.5mmである。
【0022】
前記第1コーンの底面の辺の長さ(11a)、第2コーンの底面の辺の長さ(11b)、及び第3コーンの底面の辺の長さ(11c)は同じか、又は第3コーンの底面の辺が、第2コーンの底面の辺の長さ及び第1コーンの底面の辺の長さより長く、第2コーンの底面の辺の長さが第1コーンの底面の辺の長さより長い。
第3コーンの底面の辺の長さは、特に限定されないが、例えば5~20cmであり、好ましくは7~17mmであり、より好ましくは10~15cmである。第2コーンの底面の辺の長さは、特に限定されないが、例えば5~20cmであり、好ましくは6~15mmであり、より好ましくは7~12cmである。第1コーンの底面の辺の長さは、特に限定されないが、例えば3~20cmであり、好ましくは4~15mmであり、より好ましくは4~8cmである。
【0023】
第1コーン、第2コーン、及び第3コーンは、
図5に記載のように、側面に孔を設けてもよい。第3コーンの孔も、前記第1コーン及び第2コーンと同じように設けることができる。
【0024】
《作用》
従来の段積み可能な三角錐型のコーンは、同じ形態で製造されている(特許文献3)。従って、段積みによって重ね合わせた場合、2つ目のコーンは上方にずれて段積みされ、3つ目のコーンは更に上方にずれて段積みされる。
一方、本発明のコーンセットは、第1コーン及び第2コーンの側面の辺の外面の曲率半径が、第1コーン及び第2コーンの壁の厚さに応じて大きく設計されている。従って、第1コーンと第2コーンとの間の隙間、第2コーンと第3コーンとの間の壁の隙間が無くなり、コンパクトに重ね合わせることができる。更に、切頭三角錐とすることにより、それぞれの接頭面を同一の面とすることが可能であり、これによってもそれぞれのコーンをコンパクトに重ね合わせることが可能である。また、本発明のコーンが切頭三角錐以外の切頭四角錐等の場合、側面の辺が3つから4つ以上に増えるが、それぞれの第1コーンと第2コーンとの辺の外面の曲率半径の関係、第1コーン、第2コーン及び第3コーンの辺の外面の曲率半径の関係は、切頭三角錐の場合と同じであり、頭四角錐等の場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
更に、本発明のコーンセットは、外側又は内側に第4のコーン、又は第5のコーンなどをいくつも重ね合わせることができ、同様の効果を得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のコーンセットのコーンは、工場等において、製品の分類のための表示具として用いることができる。また、スポーツの練習においてマーカーとして用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1・・・第1コーン;
2・・・第2コーン;
3・・・第3コーン;
4、4a、4b、4c・・・コーンの辺;
5、5a、5b、5c・・・コーンの切頭面;
6、6a、6b、6c・・・コーンの側面;
7、7a、7b、7c・・・孔;
8a・・・第1コーンの辺の外面;
8b・・・第2コーンの辺の外面;
8c・・・第3コーンの辺の外面;
9a・・・第1コーンの辺の内面;
9b・・・第2コーンの辺の内面;
9c・・・第3コーンの辺の内面;
10・・・切頭面の辺;
11a、11b、11c・・・底面の辺。