(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】蒸気を用いて食品を処理する装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/04 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
A47J27/04 Z
(21)【出願番号】P 2020530511
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018082485
(87)【国際公開番号】W WO2019110340
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】102017128767.1
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520113572
【氏名又は名称】カログスト・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】CAROGUSTO AG
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】グレンデルマイヤー・トーマス
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-070644(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204494(JP,U)
【文献】中国実用新案第202544044(CN,U)
【文献】実開平05-087066(JP,U)
【文献】特表2004-505700(JP,A)
【文献】独国実用新案第202004011935(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00-29/06
A47J 33/00-36/42
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収められた食品
を処理する装置(1)であって、
蒸気を生成する蒸気生成ユニットと、
前記蒸気生成ユニットに蒸気供給ラインを介して蒸気導通可能に接続されており、
少なくとも1つの蒸気吐出口を含む蒸気プローブを具備した蒸気送出ユニットと、
前記蒸気送出ユニットを濯ぎ装置
(2)に対して変
位させる駆動手段と、
を備え、前記濯ぎ装置(2)は、汚れた濯ぎ水を排出する排水ラインセクション(13)と流体連通する濯ぎタンク(3)、および食品処理過程後に前記蒸気プローブを濯ぐ濯ぎ水適用手
段を有する濯ぎ水適用手段を含む、装置(1)において、
前記排水ラインセクション(13)には排水ファンネル(10)が固定されており、当該排水ファンネル(10)は、清掃及び/又は交換目的のために前記濯ぎタンク(3)から取り外すことが可
能であり、かつ、シール手段(11)で前記濯ぎタンク(3)に対してシールされて
おり、
前記排水ファンネル(10)は、前記濯ぎタンク(3)の上側開口(15)側向きの取外し力によって工具を使うことなく、濯ぎタンク(3)から取り外し可能であり、
前記シール手段(11)と前記濯ぎタンク(3)は、二成分射出成形法によって作り出される一体型エレメントとして形成されている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記シール手段(11)が、前記排水ファンネル(10)を支持する固定手
段として実現されていることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)が、前記シール手段(11)を少なくとも一部実現するエラストマー材料および当該エラストマー材料に比べて高剛性なプラスチック材料を含む多成分プラスチック部
品として実現されていることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置において、前記排水ファンネル(10)が、前記濯ぎタンク(3)の下側取付開口に挿入されており、かつ、鉛直方向沿いで前記蒸気送出ユニットの方向に取外し力を加えることで前記濯ぎタンク(3)から取り外すことが可能であるように、前記濯ぎタンク(3)に着脱可能に固定されていることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置において、前記排水ラインセクション(13)が、可撓性の排水ホー
スとして実現されていることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置において、前記排水ラインセクション(13)が、サイフォンに固定されているかもしくは当該サイフォン内に緩く挿入されているか、または受入容
器に繋がってい
ることを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)が、板状の取付プレートセクション
(8)により取り囲まれていることを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)は、前記取付プレートセクション(8)に載置された作業面(5)の作業面開口(4)を介してアクセスすることが可能であり、前記取付プレートセクション(8)および/または前記濯ぎタンク(3)は、エラストマーシー
ルにより径方向にシールされてい
ることを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の装置において、前記取付プレートセクション(8)には前記蒸気送出ユニットに対する支持セクション
(7)が実現されており、前記蒸気送出ユニットは、下方濯ぎ位置にて当該支持セクション(7)上に載置されるものであ
ることを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項
7から9のいずれか一項に記載の装置において、前記取付プレートセクション(8)には、残留蒸気排出ラインが受け入れられる開口が実現され
ていることを特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)には濯ぎノズル取付開口が実現されており、前記蒸気プローブに濯ぎ水スプレー噴射を適用する濯ぎノズル(
18)が当該濯ぎノズル取付開口に配置されていることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおり、容器に収められた食品、特には調理済み食品を(蒸気を用いて)処理(Aufbereiten)する装置に関する。当該装置は、蒸気を生成する蒸気生成ユニットと、上記蒸気生成ユニットに蒸気供給ラインを介して蒸気導通可能に接続されており、少なくとも1つの蒸気吐出口を含む蒸気プローブを具備した蒸気送出ユニットと、上記蒸気送出ユニットを、濯ぎ装置(リンス装置; Spuelwanne)、好ましくは鉛直方向に沿って当該蒸気送出ユニット下方に位置した濯ぎ装置に対して並進変位させる駆動手段と、を備える。上記濯ぎ装置は、汚れた濯ぎ水を排出する排水ラインセクションと流体連通する濯ぎタンク、および食品処理過程後に上記蒸気プローブを(濯ぎ水を用いて)濯ぐ、特には上記蒸気プローブに対して噴射を行う濯ぎ水適用手段、特には濯ぎノズルを有する濯ぎ水適用手段を含む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、容器に収められた食品を蒸気で処理する装置であって、蒸気生成ユニットから蒸気が供給される蒸気送出ユニットが濯ぎ装置に対して鉛直方向に並進変位することが可能である、装置が知られている。その濯ぎ装置は、作業面(Arbeitflaeche)へ上方から取り付けられた管付き濯ぎタンクを含む。この既知の装置の作動時には、当該濯ぎタンクと流体連通した剛体の排水ラインが詰まる可能性があり、詰まりを解消するには、その固定された管を取り外す必要があって労力を伴い得る。
【0003】
特許文献2にも、管付き濯ぎタンクを備えた食品調理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第10 2015 221 005 1号明細書
【文献】独国特許発明第10 2012 202 318 B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の先行技術を起点として、本発明の目的は、容器に収められた食品を処理して、容易に清掃することが可能な装置を提供することである。好ましくは、当該装置又は当該装置の濯ぎ装置は、簡単に又は大きな手間をかけずに装着可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、請求項1の構成を備える装置、すなわち、一般的な装置について、前記排水ラインセクションに排水ファンネルを固定し、当該排水ファンネルを、清掃及び/又は交換目的のために濯ぎタンクから取り外すことが可能、特にはいかなる道具も必要とすることなく取り外すことが可能で、かつ、シール手段で当該濯ぎタンクに対してシールされているものとすることによって達成される。前記排水ラインセクションは、前記排水ファンネルと一体的に、特には前記排水ファンネルとの一体品として実現されてもよいし、あるいは、前記排水ファンネルに固定された別体の部品として実現されてもよい。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0008】
本発明の思想は、濯ぎタンクの下部に排水ファンネルを設け、当該排水ファンネルにより、汚れた濯ぎ水を、当該排水ファンネルと一体的に実現された又は好ましくは当該排水ファンネルの出口側に当該排水ファンネルの排水開口を介して固定された排水ラインセクションへと流出可能とすることである。
本発明では、前記排水ファンネルが、当該排水ファンネル及び/又は前記排水ラインセクションの清掃及び/又は交換目的のために前記濯ぎタンクから取り外すことが可能、特にはいかなる道具も必要とすることなく取り外すことが可能であるように、前記濯ぎタンクに又は前記濯ぎタンク内に着脱可能に固定されている。前記排水ファンネルと前記濯ぎタンクとの間の部分で濯ぎ水が漏れないよう確実にするために、前記濯ぎタンク及び/又は前記排水ファンネルに着脱可能に配置されたシール手段が設けられている。好ましくは、当該シール手段は、前記濯ぎタンクと前記排水ファンネルとの間の着脱可能な連結部を実現するための後述のような固定機能も有している。排水部又は前記排水ラインセクションが実際に詰まった場合には、前記排水ファンネルおよび当該排水ファンネルに連結又は固定された前記排水ラインセクションを、いかなる道具も必要とすることなく前記濯ぎタンクから簡単に取り外すことができて前記排水ファンネルを清掃することが可能となる。また、摩耗時には、これによって前記排水ファンネルおよび/または前記排水ラインセクションを簡単に交換することも可能である。後で詳述する極めて好ましい一実施形態において、前記排水ラインセクションは例えばサイフォン、受入容器等に繋がる自由端部を有しており、当該自由端部は前記サイフォン又は前記受入容器内へと、前記排水ファンネル及び前記排水ラインセクションを取り外す前に当該排水ラインセクションを連結相手(特には、パイプスリーブ又は同様の排水ライン連結部)から切り離しておく必要がないように挿入されている又は突出している、特には緩く挿入されている又は緩く突出している。前記排水ファンネルは、前記濯ぎタンクの排水部であり、かつ、好ましくは前記濯ぎタンクの下側における取付開口へと着脱可能に挿入、特には上方から、すなわち、濯ぎタンク上側開口の方向から挿入されている。
【0009】
極めて好ましくは、前述したように、前記排水ファンネルと前記濯ぎタンクとの間の着脱可能な連結部をシールする前記シール手段が、前記排水ファンネルを支持する固定手段、特には形状嵌合及び/又は挟持及び/又はロックによって支持する固定手段、特には単一の固定手段として実現されている。すなわち、極めて好ましい一実施形態では、前記シール手段により、前記濯ぎタンクと前記排水ファンネルとの間に着脱可能な固定(言うまでもなくシール)された連結部が実現される。極めて好ましくは、この目的のために、前記シール手段が前記濯ぎタンクおよび/または前記排水ファンネルに少なくとも一部固定、特には多成分射出成形法などの一体的実現によって少なくとも一部固定されている。例示ではあるが、前記シール手段が前記濯ぎタンクにおける前記取付開口の領域に及び/又はその相手側となる前記排水ファンネルに周溝を実現するものとし、相手部品のうちの対応する周方向ビードを当該周溝へと形状嵌合で、特にはロックおよび/または挟持によって径方向に係合させることにより、あるいは、これらの構成を入れ替えることにより、形状嵌合による連結部が実現され得る。
【0010】
極めて有用には、前述したように、前記濯ぎタンクが多成分プラスチック部品、極めて好ましくは多成分射出成形部品として実現されている。多成分からなる当該濯ぎタンクは、前記シール手段を少なくとも一部実現するエラストマー材料および当該エラストマー材料に比べて高剛性なプラスチック材料を含む。特には、当該プラスチック材料が、タンク形状および/または後述の、設けられているのが好ましい取付プレートセクション形状を実現している。前記濯ぎタンクに多成分射出成形法の範囲内で固定される前記エラストマー材料は、前記濯ぎタンクと前記排水ファンネルとのシール連結部のシール手段機能のほかにも前記濯ぎタンクの(後述する)さらなる機能的部位を実現し得て、残留蒸気排出ライン開口を画定したり例えば作業面等に対するシールを実現したりし得る。
【0011】
極めて好ましくは、前記排水ファンネルと前記濯ぎタンクとの間の着脱可能な連結部は、前記排水ファンネルの上方に位置した前記蒸気送出ユニットの方向に、すなわち、鉛直方向に沿って上方に取外し力を加えることによって前記排水ファンネルを前記濯ぎタンクから取り外すことが可能であるように実現されている。言い換えれば、好ましくは、前記排水ファンネルは下側取付開口(すなわち、濯ぎタンク下部の部分に設けられた取付開口)へと、当該ファンネルを当該取付開口から取り外すことが可能であるように、好ましくは濯ぎタンク上側開口の方向への好ましくは純粋な並進運動の範囲内での力によって、特には対応する保持力、好ましくは前記シール手段により実現される保持力を上回る力によって取り外すことが可能であるように挿入されている。当然ながら、例えばねじ連結部を実現する等して回転運動による固定部又は着脱部を実現することも可能であるが、鉛直方向に沿った押し力および/または引き力を加えることによる着脱部のほうが好適である。好ましくは、取付に関しては、上述の直線方向の取外し力とは逆方向に固定力を加えて前記排水ファンネルを前記濯ぎタンクのストッパ部又は当接部に押し付ける、好ましくは軸方向に押し付けることによって簡単に実現可能とされる。
【0012】
前記装置の極めて有用な一実施形態では、前記排水ラインセクションが、剛体ではなく可撓性の排水ホースとして、好ましくは前記排水ファンネルに着脱可能に固定された可撓性の排水ホースとして実現されている。当該ホースの材料の選択に関して言えば、様々な選択肢が利用可能である。例えば、前記ホースをプラスチック製のホース(特には、コルゲートホース)や、略平滑な押出成形ホース(特には、強度を上げるための内部布帛を具備した略平滑な押出成形ホース)として実現することが考えられ得る。極めて好ましくは、前記排水ホースは、金属ファブリックホースまたは金属コルゲートホースとして堅牢に実現されている。
【0013】
前述したように、前記排水ラインセクション、特には前記排水ホースのうちの前記排水ファンネルとは反対側の自由端部は、当該排水ラインセクションをパイプスリーブ、クランプなどの連結相手から取り外しておかなくても当該排水ラインセクションの取外しが、特には前記排水ファンネルと一緒に前記排水ホースを取り外すことが特にはいかなる道具も必要とすることなく可能であるように、サイフォン開口内に緩く挿入されていて且つ/或いは受入容器、特には前記装置の受入容器内に緩く挿入されている。極めて好ましくは、前記装置の受入容器は、後述する作業面よりも下方の領域に配置されている。当然ながら、前記連結相手(特には、排水パイプ及び/又はサイフォン)と前記排水ラインセクションとの取付部を固定かつシールされたものとして実現することも可能である。
【0014】
好ましい一実施形態では、前記濯ぎタンクが、板状の又は平坦な取付プレートセクション、極めて好ましくは当該濯ぎタンクと一体的に(モノリシックに)特には射出成形法で実現された板状の又は平坦な取付プレートセクションにより取り囲まれている。変形例では、前記取付プレートセクションが別体の取付プレートで実現され得る。好ましくは、当該別体の取付プレートはプラスチックからなる。好ましくは、当該別体の取付プレートは例えば螺合等により前記濯ぎタンクに、特には前記濯ぎタンクのエッジに連結されている。
【0015】
極めて有用には、前記取付プレートセクションが作業面の下側に配置されているか、あるいは、前記作業面が前記取付プレートセクション上に載置されており、前記濯ぎタンクには作業面開口を介して、すなわち、鉛直方向に沿って上方からアクセスすることが可能である。前記濯ぎタンクの上側周縁は、前記作業面開口周りに広がって、且つ/或いは前記作業面開口の作業面上面と面一である。また、前記濯ぎタンクの全体を前記作業面の上側作業面よりも下方に配置することも考えられ得る。好ましくは、前記取付プレートセクションの上側の領域(すなわち、前記作業面と前記取付プレートセクションとの間の部分)に水が浸入しないようにするために、前記取付プレートセクションおよび/または前記濯ぎタンクがエラストマーシールにより径方向にシールされている、特には前記作業面の下側に対して且つ/或いは前記作業面開口の周縁に対して径方向にシールされている。極めて有用には、前記エラストマーシールは、前記取付プレートセクション及び/又は前記濯ぎタンクとの一体的なエラストマーシールである。好ましくは、当該一体的なエラストマーシールは、射出成形法で前記取付プレートセクション及び/又は前記濯ぎタンクと一緒に実現されている。
【0016】
前記装置の極めて有用な一実施形態において、前記取付プレートセクションには前記蒸気送出ユニットに対する支持セクション、好ましくはプラスチックからなる支持セクションが実現されており、前記蒸気送出ユニットは、下方濯ぎ位置にて当該支持セクション上に載置されるものである。好ましくは、前記支持セクションは、濯ぎタンク上側開口から径方向に離間しており且つ/或いは前記取付プレートセクションにより実現されている(または変形例になるが前記取付プレートセクションに固定されている)。好ましくは、前記支持セクションには、前記作業面における対応する開口が割り当てられている。好ましくは、当該開口は、前記濯ぎタンクへと割り当てられた前記作業面開口から離間している。好ましくは、前記支持セクションは、前記開口が鉛直方向上方にある。
【0017】
本発明の有利なさらなる実施形態又は有利な代替的実施形態において、前記取付プレートセクションには残留蒸気排出ラインが受け入れられる開口が実現されており、好ましくは、当該開口が、濯ぎタンク上側開口から径方向に離間しており且つ/或いはエラストマー材料、極めて好ましくは多成分射出成形法の範囲内で実現又は射出されたエラストマー材料により画定されている。このような実施形態は多成分射出成形法で好適に実現することが可能であり、前記取付プレートセクション及び前記濯ぎタンクを含むアッセンブリの機能性を高める。
【0018】
極めて好ましい一実施形態において、前記濯ぎタンクには濯ぎノズル取付開口が実現されており、前記蒸気プローブに濯ぎ水スプレー噴射を適用する濯ぎノズルが当該濯ぎノズル取付開口に配置されている。
【0019】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、例示的な好適な実施形態についての以下の説明および図面から導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】容器に収められた食品を処理する装置であって、鉛直方向に変位することが可能な蒸気生成ユニットと作業面に組み込まれた図示の濯ぎタンクとを備える装置を部分図示した図である。
【
図2】
図1の濯ぎタンクおよび当該濯ぎタンクに着脱可能に挿入することが可能な排水ファンネルの斜視図であり、その排水ファンネルには可撓性のホースとして実現された排水ラインセクションが固定されている。
【
図3】作業面を省略した前記濯ぎタンクの図であり、当該濯ぎタンクは、当該濯ぎタンクとの一体品として実現された取付プレートセクションにより取り囲まれている。
【
図4】前記濯ぎタンクおよび前記取付プレートセクションを下方からみた図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面では、同一の構成要素および同一の機能を有する構成要素に対して同じ参照符号を付している。
【0022】
図1は、容器に収められた食品、特には調理済み食品を処理する装置1を部分図示した図である。具体的に述べると、
図1には、鉛直方向上方から作業面開口4を介してアクセスすることが可能な濯ぎタンク3を備えた濯ぎ装置2が描かれている。作業面開口4は、例えばステンレス鋼等からなる水平方向に向いた作業面5に設けられている。
【0023】
前記装置のうち、蒸気を生成する蒸気生成ユニット、および当該蒸気生成ユニットに蒸気供給ラインを介して蒸気導通可能に接続された蒸気送出ユニットは図示していない。当該蒸気送出ユニットは、例えば特許文献1等に記載のように、且つ、同開示の図面(特には、
図1)に図示のように実現され得る。前記蒸気送出ユニットは、食品が収められる容器に対して鉛直軸に沿って対応する駆動手段により並進変位されて当該食品を調理又は加熱することが可能である。当該容器は、
図1に示す濯ぎタンク3よりも上側の領域に配置されており、特には水平方向に変位することが可能な支持キャリッジにより支持されている。好ましくは、前記蒸気送出ユニットは、前記容器を覆い密封して、スチームチャンバーを形成するカバーを具備している。蒸気は、例えば特許文献1等に図示のような蒸気プローブから食品に適用される。好ましくは、当該蒸気プローブは、食品を蒸熱調理すると同時に当該食品を混ぜて熱エネルギー分布を良好にするように実現かつ配置又は駆動される。
【0024】
濯ぎ水適用手段、特には濯ぎノズルを有する濯ぎ水適用手段は図示していない。当該濯ぎノズルは、濯ぎタンク3のうちの
図2に示す濯ぎノズル開口6に挿入され得る又は取り付けられ得る。
【0025】
一又はいくつかの調理プロセス後、前記蒸気生成ユニットは、鉛直方向に沿って下方に、特には前記蒸気プローブが図示の濯ぎタンク3内に突き出て且つ当該濯ぎタンク3が前記蒸気送出ユニットの前述したカバーで閉じられるまで変位され得る。前記蒸気送出ユニットは、前述した(下方)濯ぎ位置にて、支持セクション7により支えられる。当該支持セクション7は、濯ぎタンク3と一体的に実現された
図3に示す取付プレートセクション8との一体品として、濯ぎタンク3と共に実現されている。変形例では、取付プレートセクション8が(したがって、支持セクション7も)、濯ぎタンク3とは別体の、当該濯ぎタンク3に固定された部品とされる。前述した取付プレートセクション8は(当該取付プレートセクション8が濯ぎタンク3と一体的に実現されているのか濯ぎタンク3とは別体であるのかにかかわらず)作業面5の下側に配置されており、すなわち、作業面5は取付後の状態で取付プレートセクション8に載置されている。取付プレートセクション8と濯ぎタンク3との組合体は、例えば二成分射出成形法等で当該取付プレートセクション8および/または当該濯ぎタンク3に射出された環状のエラストマーシール9により、作業面5に対して、詳細には作業面5の下側に対してシールされている。
【0026】
図3に、排水ファンネル10が濯ぎタンク3の下部に配置されて、シール手段11により当該濯ぎタンク3に対してシールされている様子を示す。排水ファンネル10は、排水ラインセクション13に繋がる中央排水開口12を有している。排水ラインセクション13は、コルゲートホースとして実現されており、かつ、排水ファンネル10(詳細には、排水ファンネル10の延長部)に本例では固定クランプ14により固定されている。
【0027】
可撓性の排水ホースまたは排水ラインセクション13は、いかなる道具も必要とすることなく、濯ぎタンク3から排水ファンネル10と一緒に取り外すことが可能である。唯一必要になるのは、鉛直方向で濯ぎタンク上側開口15側向きの取外し力を排水ファンネル10に加えることだけである。
【0028】
図示の例示的な実施形態において、排水ファンネル10は、シール手段11によって
図3に示す固定位置に保持されている。当該シール手段11は、二成分射出成形法の範囲内で濯ぎタンク3と一体的に実現されており、かつ、排水ファンネル10のうちの対応する周方向ビードが受け入れられる環状溝を有している。
【0029】
図2には、排水ファンネル10および可撓性のホースとして実現された排水ラインセクション13が、取り外された状態で描かれている。
【0030】
前述したように、支持セクション7は、取付プレートセクション8に実現されている。当該支持セクション7は、作業面5のうちの当該支持セクション7に対して割り当てられた、実際には濯ぎタンク3から径方向に距離をもって隔てられている開口16を通り越している。支持セクション7を取り囲み且つ取付プレートセクション8と好ましくは二成分射出成形法の範囲内で一体的に実現されたエラストマーシール17により、取付プレートセクション8と作業板5の下側との間の部分に水が浸入しないようにする目的のシールが実現されている。
【0031】
前述したように、濯ぎタンク3には濯ぎノズル開口6が設けられている(
図2を参照)。
図3によれば、当該濯ぎノズル開口6に、前記濯ぎ水適用手段の濯ぎノズル18が取り付けられている。
【0032】
取付プレートセクション8には、濯ぎタンク3から径方向に距離をもって隔てられた(さらなる)開口19が設けられており、当該開口19はエラストマー材料により取り囲まれていて且つ残留蒸気排出ラインを受け入れるのに用いられる。
【0033】
開口19に対しては、作業面5における対応する又は位置を揃えられた開口が割り当てられている。
以下、本発明に含まれる態様を記す。
〔態様1〕容器に収められた食品、特には調理済み食品を処理する装置(1)であって、
蒸気を生成する蒸気生成ユニットと、
前記蒸気生成ユニットに蒸気供給ラインを介して蒸気導通可能に接続されており、少なくとも1つの蒸気吐出口を含む蒸気プローブを具備した蒸気送出ユニットと、
前記蒸気送出ユニットを濯ぎ装置(2)、好ましくは鉛直方向に沿って当該蒸気送出ユニット下方に位置した濯ぎ装置(2)に対して変位、特には並進変位させる駆動手段と、
を備え、前記濯ぎ装置(2)は、汚れた濯ぎ水を排出する排水ラインセクション(13)と流体連通する濯ぎタンク(3)、および食品処理過程後に前記蒸気プローブを濯ぐ濯ぎ水適用手段、特には濯ぎノズル(18)を有する濯ぎ水適用手段を含む、装置(1)において、
前記排水ラインセクション(13)には排水ファンネル(10)が固定されており、当該排水ファンネル(10)は、清掃及び/又は交換目的のために前記濯ぎタンク(3)から取り外すことが可能、特にはいかなる工具も必要とすることなく、取り外すことが可能であり、かつ、シール手段(11)で前記濯ぎタンク(3)に対してシールされていることを特徴とする、装置(1)。
〔態様2〕態様1に記載の装置において、前記シール手段(11)が、前記排水ファンネル(10)を支持する固定手段、特には形状嵌合及び/又は挟持及び/又はロックによって支持する固定手段、特には単一の固定手段として実現されていることを特徴とする、装置。
〔態様3〕態様2に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)が、前記シール手段(11)を少なくとも一部実現するエラストマー材料および当該エラストマー材料に比べて高剛性なプラスチック材料を含む多成分プラスチック部品、特には多成分射出成形部品として実現されていることを特徴とする、装置。
〔態様4〕態様1から3のいずれか一態様に記載の装置において、前記排水ファンネル(10)が、前記濯ぎタンク(3)の下側取付開口に挿入されており、かつ、鉛直方向沿いで前記蒸気送出ユニットの方向に取外し力を加えることで前記濯ぎタンク(3)から取り外すことが可能であるように、前記濯ぎタンク(3)に着脱可能に固定されていることを特徴とする、装置。
〔態様5〕態様1から4のいずれか一態様に記載の装置において、前記排水ラインセクション(13)が、可撓性の排水ホース、特には前記排水ファンネル(10)に着脱可能に固定された可撓性の排水ホースとして実現されていることを特徴とする、装置。
〔態様6〕態様1から5のいずれか一態様に記載の装置において、前記排水ラインセクション(13)が、サイフォンに固定されているかもしくは当該サイフォン内に緩く挿入されているか、または受入容器、好ましくは当該装置(1)の受入容器に繋がっている、好ましくは緩く繋がっていることを特徴とする、装置。
〔態様7〕態様1から6のいずれか一態様に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)が、板状の取付プレートセクション(8)、好ましくは当該濯ぎタンク(3)と一体的に実現された板状の取付プレートセクション(8)により取り囲まれていることを特徴とする、装置。
〔態様8〕態様7に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)は、前記取付プレートセクション(8)に載置された作業面(5)の作業面開口(4)を介してアクセスすることが可能であり、前記取付プレートセクション(8)および/または前記濯ぎタンク(3)は、エラストマーシール、好ましくは当該取付プレートセクション(8)および/または当該濯ぎタンク(3)と一体的に実現されたエラストマーシールにより径方向にシールされている、特には前記作業面の下側に対して且つ/或いは前記作業面開口のエッジに対して径方向にシールされていることを特徴とする、装置。
〔態様9〕態様7または8に記載の装置において、前記取付プレートセクション(8)には前記蒸気送出ユニットに対する支持セクション(7)、好ましくはプラスチックからなる支持セクション(7)が実現されており、前記蒸気送出ユニットは、下方濯ぎ位置にて当該支持セクション(7)上に載置されるものであり、好ましくは、前記支持セクション(7)が、濯ぎタンク上側開口(15)から径方向に離間しており且つ/或いは前記取付プレートセクション(8)により実現されていることを特徴とする、装置。
〔態様10〕態様1から9のいずれか一態様に記載の装置において、前記取付プレートセクション(8)には、残留蒸気排出ラインが受け入れられる開口が実現されており、好ましくは、当該開口が、濯ぎタンク上側開口(15)から径方向に離間しており且つ/或いはエラストマー材料、好ましくは一体的なエラストマー材料により画定されていることを特徴とする、装置。
〔態様11〕態様1から10のいずれか一態様に記載の装置において、前記濯ぎタンク(3)には濯ぎノズル取付開口が実現されており、前記蒸気プローブに濯ぎ水スプレー噴射を適用する濯ぎノズル(3)が当該濯ぎノズル取付開口に配置されていることを特徴とする、装置。
【符号の説明】
【0034】
1 装置
2 濯ぎ装置(Spueleinrichtung)
3 濯ぎタンク
4 作業面開口(Arbeitsplattenoeffnung)
5 作業面(Arbeitsplatte)
6 濯ぎノズル開口
7 支持セクション
8 取付プレートセクション
9 エラストマーシール
10 排水ファンネル
11 シール手段
12 排水開口
13 排水ラインセクション
14 固定クランプ
15 濯ぎタンク上側開口
16 作業面における開口
17 エラストマーシール
18 濯ぎノズル
19 取付プレートセクションにおける開口