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特許7153965樹皮及び廃食油の共処理方法及び共処理装置、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置及び粉砕樹皮フライ体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】樹皮及び廃食油の共処理方法及び共処理装置、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置及び粉砕樹皮フライ体
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20221007BHJP
   B09B 3/20 20220101ALI20221007BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20221007BHJP
   B09B 3/65 20220101ALI20221007BHJP
   C10L 3/08 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
C10L5/44
B09B3/20
B09B3/40
B09B3/65
C10L3/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021141209
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2021-08-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-15
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517045093
【氏名又は名称】タオ・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅波 耕三
(72)【発明者】
【氏名】ナカムラ カイル ジョージス
【合議体】
【審判長】蔵野 雅昭
【審判官】瀬下 浩一
【審判官】亀ヶ谷 明久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-242047(JP,A)
【文献】特開2009-102468(JP,A)
【文献】特開2011-207920(JP,A)
【文献】特開平4-247300(JP,A)
【文献】高野了一、「廃油加熱処理による高含水樹皮の燃料化」、富山県林業技術センター研究報告、第7号、1993年12月、p.57~60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L5/44-5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹皮を粉砕する機械的粉砕処理工程、
粉砕した該粉砕樹皮を150~200℃の範囲にある廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理工程、及び
当該粉砕樹皮フライ体からバイオマス燃料を形成するバイオマス燃料化処理工程
を含んで形成されることを特徴とする樹皮及び廃食油の共処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載された樹皮及び廃食油の共処理方法において、
バイオマス燃料化処理工程が粉砕樹皮フライ体を発酵原料として発酵槽で発
酵させ、メタンガスを生成する発酵処理工程であること
を特徴とする樹皮及び廃食油の共処理方法。
【請求項3】
樹皮及び廃食物をそれぞれ粉砕する機械的粉砕処理工程、
粉砕した該粉砕樹皮を150~200℃の範囲にある廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理工程、及び
当該粉砕樹皮フライ体及び粉砕した廃食物を混合してバイオマス燃料ペレットを形成するバイオマス燃料ペレット形成工程
を含んで形成されることを特徴とする樹皮、廃食油及び廃食物の共処理方法。
【請求項4】
樹皮を粉砕する機械的粉砕処理手段、
粉砕した該粉砕樹皮を廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理手段、及び
当該粉砕樹皮フライ体からバイオマス燃料を形成するバイオマス燃料化処理手段
を含んで形成されることを特徴とする樹皮及び廃食油の共処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載された樹皮及び廃食油の共処理装置において、
バイオマス燃料化処理手段が粉砕樹皮フライ体を発酵原料として発酵槽で発
酵させ、メタンガスを生成する発酵処理手段であること
を特徴とする樹皮及び廃食油の共処理装置。
【請求項6】
樹皮及び廃食物をそれぞれ粉砕する機械的粉砕処理手段、
粉砕した該粉砕樹皮を廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を発
させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理手段、及び
当該粉砕樹皮フライ体及び粉砕した廃食物を混合してバイオマス燃料ペレットを形成するバイオマス燃料ペレット形成手段
を含んで形成されることを特徴とする樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置。
【請求項7】
樹皮及び廃食物をそれぞれ粉砕する機械的粉砕処理手段、
粉砕した該粉砕樹皮を廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理手段、
当該粉砕樹皮フライ体の一部を発酵原料として発酵槽で発酵させ、メタンガスを生成する発酵処理手段、及び
当該粉砕樹皮フライ体の一部及び粉砕した廃食物を混合してバイオマス燃料ペレットを形成するバイオマス燃料ペレット形成手段
を含んで形成されることを特徴とする樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹皮及び廃食油の共処理方法及び共処理装置、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置及び粉砕樹皮フライ体に係る。
【背景技術】
【0002】
化石資源の急速な消費に伴い代替エネルギー源として木材類の有機物の有効利用が注目されるに至った。木材類の大部分は木化されているので、直接化学的あるいは生物的手法で分解したり、エネルギー変換して利用することが困難である。このため、例えば木材類を有効に利用するために木材類を爆砕して爆砕生成物を生成する前処理を行なうことで、各種の木材類の有機物を有効利用することが研究されてきた。
【0003】
非特許文献1には、高濃度共発酵法を用いた油脂のメタン化技術が記載され、油脂を加温して液状化させ、濃縮汚泥や生ゴミなどの有機性固形廃棄物を添加して生物分解しやすい均一な油脂スラリーを作り、調質した油脂スラリーを嫌気性微生物でメタンまで分解するメタン発酵工程が記載される。
【0004】
非特許文献2には、「中温メタン発酵のための廃食油の前処理法の検討」が記載され、前処理段階で油を加水分解することで、低級脂肪酸を生成し、後段でメタン発酵することが記載される。
【0005】
非特許文献3には、「廃油加熱処理による高含水樹皮の燃料化」が記載され、裁断した樹皮を約190℃の廃油中で15~20分間加熱し、脱水・乾燥することで廃油加熱樹皮が形成され、当該廃油加熱樹皮は、20~30%の油分を含浸することで、廃油加熱樹皮の燃料的価値が高まり、また廃油加熱樹皮の粉砕性が高まることが記載される。
【0006】
特許文献1には、セルロース系繊維懸濁液と樹皮や葉などの生細胞バイオマスとを混合し、嫌気状態に保ち、微生物の作用でメタンを主成分とする可燃性ガスを発生させることが記載される。
【0007】
特許文献2には、樹皮を発酵させて、炭素率が35よりも高い発酵物を得る発酵物の製造方法が記載される。
【0008】
特許文献3には、廃食油を用いた混合バイオマス燃料の製造装置、製造方法が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第4028588号公報
【文献】特開2018-145036号公報
【文献】特開2011-246560号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】環境技術 Vol.32 No 8 635~640ページ
【文献】第24回廃棄物質資源循環学会研究発表会講演論文集2013 中温メタン発酵のための廃食油の前処理法の検討 401~402ページ
【文献】富山県林業技術センター研究報告7号 1993年発行 57~60ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
バイオマス発電のための原料として多種多様な有機物が活用されてきた。その処理方法も多様である。
【0012】
有機物の内、廃有機物として樹皮(バークともいう。以下、樹皮を用いる)及び廃食油が多量に貯蔵されており、また廃食物が多量に発生している状況にあり、従来活用が困難とされてきたこれら樹皮と廃食油を、又はこれら樹皮と廃食油と廃食物を原料としてバイオマス発電のために利用することができると、多量の代替エネルギー源が確保することができる。
【0013】
本特許出願に関与した発明者らの研究、実験によれば、樹皮を発酵槽に入れて発酵させてメタンガスを生成する工程ではバイオマス発電に十分なメタンガスを発生させることが困難で安価に簡便に確保できないこと、また廃食油を利用しようとした場合、廃食油を嫌気性条件で生物分解するに適した分散状態に調質することが必要であることが分かった。
【0014】
従来利用困難とされてきた有機物についてバイオマス処理の前処理で廃有機物に爆砕法を適用してバイオマス処理を行なうことが提案されてきた。ただ、爆砕のための装置を要して簡便な方法とはいえない。
【0015】
非特許文献には、濃縮汚泥や生ゴミなどの有機性固形廃棄物を添加して生物分解しやすい均一な油脂スラリーを作ること、廃油を利用して燃料材に活用すること、あるいは裁断した樹皮を廃油加熱処理でもって燃料的価値を高め、また廃油加熱樹皮の粉砕性を高めることを記載するが、樹皮を粉砕して準備することで、粉砕樹皮に廃食油を十分に含浸させ得て、燃料的価値が高まった廃食油含有の粉砕樹皮を何らの処置を施すことなく簡便にバイオマス燃料材料として活用することが記載されない。
【0016】
特許文献には、現在多量に存在する樹皮と廃食油、あるいは樹皮と廃食油と廃食物とを原料としてバイオマス発電のために利用するに当たっての技術が記載されない。
【0017】
本発明は、係る点に鑑み、現在多量に存在する樹皮と廃食油、あるいは樹皮と廃食油と廃食物とを原料としてバイオマス発電のために利用するに当たって、樹皮を粉砕して準備することで、粉砕樹皮に廃食油を十分に含浸させ得て、燃料的価値が高まった廃食油含有の粉砕樹皮を何らの処置を施すことなく簡便にバイオマス燃料材料として活用することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、粉砕樹皮と廃食油から形成され、フライヤー処理された粉砕樹皮内に廃食油を内蔵する新規な粉砕樹皮フライ体を特徴とする。
【0019】
本発明は、樹皮及び廃食油、あるいは樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置になり、当該共処理装置が、樹皮、あるいは樹皮及び廃食物を各粉砕する機械的粉砕処理手段、粉砕した該粉砕樹皮を廃食油中に浸漬し、当該粉砕樹皮をフライヤー処理するフライヤー処理手段を有して構成される前処理装置を備え、この前処理ステップで、粉砕樹皮フライ体を形成することを特徴とする。
【0020】
前処理装置で形成されたフライヤー処理された粉砕樹皮を原料としてメタンガスを生成するメタンガス生成装置、あるいは/及びフライヤー処理された粉砕樹皮を原料としてペレットを形成するバイオマス燃料ペレット形成装置が形成される。そして、
前処理装置のフライヤー手段が、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する新規な粉砕樹皮フライ体を形成する。
【0021】
フライヤー処理は、粉砕した該粉砕樹皮を、高温状態にある廃食油中に浸漬し、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成する処理を意味する。
【0022】
したがって、粉砕樹皮フライ体とは、フライヤー装置によって粉砕樹皮が粉砕樹皮のまま廃食油で加熱されるフライヤー処理がなされ、フライヤー処理以外の何らの処理が施されない粉砕樹皮のままフライ処理された形態にあって、各独立形態にあることを示す。
【0023】
粉砕樹皮フライ体は、次のステップバイオマス燃料を形成するバイオマス燃料化処理装置・工程のための前処理状態にある。
【0024】
粉砕樹皮フライ体は、フライヤー装置によって粉砕樹皮が粉砕樹皮のまま廃食油で加熱されるフライヤー処理によって形成されるに際して、粉体であり、フライヤー処理に要する時間を数十秒~数分とすることができ、従来例のように幅5cm、長さ30cmのような長さに裁断された樹皮のフライヤー処理に比べて、極めて長さが短いあるいは粒径が小さく、処理効率よく形成され、廃食油の含有量が多い。
【0025】
粉砕樹皮フライ体は、バイオマス燃料を形成するバイオマス燃料化処理装置・工程にこの形態のままで供給される。バイオマス燃料化処理装置として、メタンガス生成装置及びバイオマス燃料ペレット形成装置がある。
【0026】
メタンガス生成装置に、前処理装置で形成された熱源価の高い粉砕樹皮フライ体の全部もしくは一部が原料として供給され、メタンガス生成装置は、メタンガスを生成する。
【0027】
バイオマス燃料ペレット形成装置に、前処理装置で形成された熱源価の高い粉砕樹皮フライ体の全部もしくは一部が原料として供給され、バイオマス燃料ペレット形成装置は、粉砕樹皮フライ体を供給された廃食物と混合し、固化してペレットを形成する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、前処理段階で、熱源価の高い粉砕樹皮フライ体が形成される。メタンガス生成装置又は/及びバイオマス燃料ペレット形成装置で、当該前処理段階で形成された熱源価の高い粉砕樹皮フライ体が使用され活用される。
【0029】
これによれば、現在多量に存在する樹皮と廃食油、あるいは樹皮と廃食油と廃食物とを原料としてバイオマス発電に利用するに当たって、当該前処理段階で形成された熱源価の高い粉砕樹皮フライ体を利用することを可能となり、十分に安価に簡便にメタンガスを生成し、又は/及びペレットを形成することができる。
【0030】
また、本発明によれば、前処理段階で形成した熱源価の高い粉砕樹皮フライ体をメタンガス生成装置及びバイオマス燃料ペレット形成装置の双方に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施例である樹皮及び廃食油の共処理方法及び共処理装置、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置を示す図。
図2】本発明の実施例である樹皮及び廃食油の共処理方法及び共処理装置、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置及び粉砕樹皮フライ体を示す図。
図3】フライヤー処理及び粉砕樹皮フライ体の形態を示す図。
図4】メタンガス発生量を示すデータ表。
図5】発酵によるバイオガス発生量を示すグラフ。
図6】メタンガス発生経過を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施例である樹皮及び廃食油の共処理方法及び共処理装置、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置を示す図である。
【0034】
図1において、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置100は、前処理装置101,メタンガス生成装置102及びバイオマス燃料ペレット形成装置103を備える。
【0035】
前処理装置101は、機械的粉砕手段1及びフライヤー処理手段2を有して構成され、粉砕樹皮をフライヤー処理することで廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成することができる。
【0036】
機械的粉砕手段1は、ウイレーミルなどの粉砕機として用いられる粉砕機を用いて樹皮を機械的に粉砕1Aする。
【0037】
フライヤー処理手段2は、ステンレス製のフライヤー装置で構成され、当該フライヤー装置は固液分離手段を備え、廃食油含有粉砕樹皮体を形成し、廃食油含有粉砕樹皮体をフライヤー装置に残存する廃食油から分離することで、粉砕樹皮フライ体を取得2Aする。
【0038】
メタンガス生成装置102は、発酵手段を有して構成され、取得された粉砕樹皮フライ体を発酵させメタンガスを生成することができる。取得された粉砕樹皮フライ体は、固形状あるいはスラリー状で使用される。
【0039】
発酵手段3は、発酵槽を備えて発酵槽における発酵3Aを行う。
【0040】
バイオマス燃料ペレット形成装置103は、機械的粉砕手段4、混合手段5及びペレット形成手段6を有して構成され、粉砕樹皮フライ体を使用してバイオマス燃料となるペレットを形成6Aする。
【0041】
機械的粉砕手段4は、廃食物を粉砕し、粒度、含水率を調整し、粉砕された廃食物の形成状態を調質4Aする。
【0042】
混合手段5は、前処理装置101で形成された廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体の供給を受け、粉砕された廃食物と混合5Aし、ペレットの原料を形成する。
【0043】
図2は、本発明の実施例である樹皮及び廃食油の共処理方法及び共処理装置、樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置及び粉砕樹皮フライ体を示す図である。
【0044】
本発明の実施例は、準備段階11、前処理段階12、バイオマス燃料化処理段階13及び利用段階14から構成される。バイオマス燃料化処理段階13は、メタンガス生成装置102及びバイオマス燃料ペレット形成装置103を備える。
【0045】
準備段階11で、廃食材が収集されて収集された廃食材21が準備され、廃食油24と廃食物41に分離22される。これによって廃食油24が準備される。
【0046】
別途、木材15が各種用途のために加工され、廃棄物として原材料としての樹皮(バークともいう)16が生じ、貯蔵される。樹皮16は、機械的粉砕手段1によって粉砕23され、粉砕樹皮1Aが準備される。
【0047】
粉砕樹皮1A及び廃食油24は、フライヤー装置に供給され、フライヤー処理25がなされる。
【0048】
粉砕した該粉砕樹皮を150~200℃の範囲にある廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理工程が形成される。
【0049】
この場合に、適用圧力は、フライヤー装置の蓋が開放されたとき大気圧とされ、フライヤー装置の蓋が閉じられたとき多少の圧力が高まるが、他の手段による圧力負荷手段を用いることを要しないので、ここでは大気圧として取り扱うことができる。
【0050】
図3は、フライヤー処理及び粉砕樹皮フライ体の形態を示す図である。
【0051】
フライヤー処理によって粉砕樹皮フライ体が形成される。
【0052】
粉砕樹皮は、例えば1mm~10mmに粉砕された樹皮が採用される。粉砕された状態にあればよく、1mm~10mmの長さあるいは粒径に限定されない。
【0053】
フライヤー処理に伴い、廃食油加熱による水分の蒸発に伴って粉砕樹皮は、例えば1mm~10mmに粉砕された樹皮であることに起因して樹皮周囲で多量・多数に割れ、拡張し、多孔化し、多孔内に廃食油を吸収する状況が、150~200℃、例えば175℃で、数十秒から数分、例えば1分で形成され、廃食油を含有する廃食油含有粉砕樹皮体が形成され、フライヤー装置内の残存する廃食油と分離されることで粉砕樹皮フライ体が取得される。
【0054】
樹皮を粉砕して準備することで、粉砕樹皮に廃食油を十分に含浸させ得て、燃料的価値が高まった廃食油含有の粉砕樹皮を何らの処置を施すことなく簡便にバイオマス燃料材料として活用することが可能となる。
【0055】
図2に戻って、フライヤー処理に伴って、廃食油を含有する廃食油含有粉砕樹皮体26Aが形成され、フライヤー装置内の残存する廃食油と分離27されることで粉砕樹皮フライ体28Aが取得28される。
【0056】
この粉砕樹皮フライ体28Aは、嫌気性条件で生物分解するに適した分散状態に調質され、廃食油を内蔵して高カロリーを呈した発酵物原料となり、発酵手段3の発酵槽に送られ、発酵槽における発酵3Aがなされる。発酵は、例えば40℃の環境の下になされる。
【0057】
廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体28Aは、乾燥された樹皮に比べて揮発分が多く、固定炭素が少ないことで、発熱量は、例えば乾燥樹皮の約4700cal/gより大きい約5400cal/gを示し、高発熱量を持つ。
【0058】
粉砕樹皮フライ体28Aに、高濃度の嫌気性微生物が添加され、メタンまで発酵、分解するガス攪拌と機械撹拌を併用して発酵槽内で十分に攪拌される。メタン発酵は、嫌気条件下で複数種の嫌気性細菌の代謝作用により廃食油含有爆砕物をメタンと二酸化炭素にまで分解する反応であり、メタン発酵プロセスについては、多くの報告があり、本実施例に参照され採用される。
【0059】
発生したメタンガスは、ガスホルダーに送られてガス保持31され、次いでガス精製32がなされる。ガス精製されたメタンガスは、発電装置に送られ、発電33がなされる。得られた電力は、電力供給(1)34され、売電される。他の電力は、電力供給(2)35され、自家消費される。
【0060】
以上のように、
樹皮を粉砕する機械的粉砕処理工程、
粉砕した該粉砕樹皮を150~200℃の範囲にある廃食油中に浸漬し、フライヤー処
理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理工程、及び
当該粉砕樹皮フライヤー体からバイオマス燃料を形成するバイオマス燃料化処理工程
を含んで形成されることを特徴とする樹皮及び廃食油の共処理方法が構成される。
【0061】
また、バイオマス燃料化処理工程が粉砕樹皮フライ体を発酵原料として発酵槽で発
酵させ、メタンガスを生成する発酵処理工程であること
を特徴とする樹皮及び廃食油の共処理方法が構成される。
【0062】
別途、バイオマス燃料ペレット形成装置103が設けられる。
廃食物41が準備される。
【0063】
廃食物41は、粉砕される。また、廃食物41は、粉砕樹皮フライ体の性状に合わせた粒度、含水率の調節がなされる。これによって、粉砕・調質42された粉砕廃食物が準備される。
【0064】
粉砕樹皮フライ体の一部が分岐され、分岐された粉砕樹皮フライ体と粉砕・調質42された粉砕廃食物が混合43される。
【0065】
混合されたペレット材料は、固形化44され、ペレット形成45がなされる。
【0066】
形成されたペレットは、発電燃料として取得46される。
【0067】
形成されたペレットは、生成されたメタンガス共に燃焼器(ボイラー)に送って、燃焼させて、発電に供することができる。
【0068】
これによって、収集された廃食材21及び樹皮16の準備から燃焼器(ボイラー)まで一貫した流れになる廃食材21及び樹皮16のリサイクルシステムが形成され、廃食材21及び樹皮16を有効利用するプラントを形成し得る。
【0069】
以上のように、樹皮及び廃食物をそれぞれ粉砕する機械的粉砕処理工程、
粉砕した該粉砕樹皮を150~200℃の範囲にある廃食油中に浸漬し、フライヤー処
理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理工程、及び
当該粉砕樹皮フライヤー体及び粉砕した廃食物を混合してバイオマス燃料ペレットを形成するバイオマス燃料ペレット形成工程
を含んで形成されることを特徴とする樹皮、廃食油及び廃食物の共処理方法が構成される。
【0070】
また、樹皮及び廃食物をそれぞれ粉砕する機械的粉砕処理手段、
粉砕した該粉砕樹皮を廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、
廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理手段、
当該粉砕樹皮フライ体の一部を発酵原料として発酵槽で発酵させ、メタンガスを生成する発酵処理手段、及び
当該粉砕樹皮フライ体の一部及び粉砕した廃食物を混合してバイオマス燃料ペレットを形成するバイオマス燃料ペレット形成手段
を含んで形成されることを特徴とする樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置が構成される。
【0071】
図4は、メタンガス発生量を示すデータ表である。
【0072】
粉砕樹皮フライ体使用による発酵、樹皮単体使用による発酵でのバイオガス発生量を示す。粉砕樹皮フライ体使用による発酵でバイオガスを発生させると、樹皮単体使用による発酵に比べて5.66倍のバイオガスの発生があり、バイオガス発生量が顕著に多い。
【0073】
メタンガスの算出方法:8日までのメタンガス量+1日あたりのメタンガス量(=メタンガス発生総量/8)

図5は、発酵によるバイオガス発生量を示すグラフである。
【0074】
図5において、サンプルは、粉砕樹皮フライ体、樹皮単体及びブランクからなる。ブランクは、発酵菌が生存するに必要な栄養素が添加して用いられて基礎データ比較値を取得するためのものである。
粉砕樹皮フライ体を用いて発酵によるバイオガスを発生させると、樹皮単体の場合に比べバイオガス発生量が顕著に多い。
【0075】
図6は、メタンガス発生経過を示すグラフである。
【0076】
図6において、サンプルとしての粉砕樹皮フライ体、樹皮単体及びブランクについての測定時間ごとの発酵によるバイオガス発生量を示す。
粉砕樹皮フライ体を用いてバイオガスを発酵させると、樹皮単体、ブランクの倍に比べてバイオガス発生量が顕著に多い。
【0077】
メタンガス発生量において、本実施例は、樹皮単体発酵の場合に比べて収量が5.66倍、発酵時間においては、発酵槽内での発酵が促進され、樹皮単体の場合、例えば、30日であったものが10日に短縮可能となった。よって、経済的にもイニシャル及びランニング共に大きな経済性が見込めることが分かった。
【0078】
これによれば、現在多量に存在する樹皮と廃食油、あるいは樹皮と廃食油と廃食物とを原料としてバイオマス発電に利用するに当たって、現在多量に存在する樹皮と廃食油、あるいは樹皮と廃食油と廃食物とを原料としてバイオマス発電のために利用するに当たって、樹皮を粉砕して準備することで、粉砕樹皮に廃食油を十分に含浸させ得て、燃料的価値が高まった廃食油含有の粉砕樹皮を何らの処置を施すことなく簡便にバイオマス燃料材料として活用することができる。
【0079】
また、本発明によれば、前処理段階で形成した燃料的価値の高い粉砕樹皮フライ体をメタンガス生成装置及びバイオマス燃料ペレット形成装置の双方に使用することができる。
【符号の説明】
【0080】
100…樹皮、廃食油及び廃食物の共処理装置、101…前処理装置、102…メタンガス生成装置、103…バイオマス燃料ペレット生成装置、1…機械的粉砕手段、1A…粉砕樹皮、2…フライヤー処理手段、2A…粉砕樹皮フライ体の形成、3…発酵手段、3A…発酵槽における発酵、4…機械的粉砕手段、4A…廃食物粉砕・調質、5…混合手段、5A…粉砕樹皮フライヤー体と粉砕廃食物との混合、6…ペレット形成手段、6A…ペレット形成、11…準備段階、12…前処理段階、13…バイオマス燃料化処理段階(バイオマス燃料化処理工程)、14…利用段階、15…木材、16…樹皮(バーク)、21…収集された廃食材、22…分離、23…粉砕、24…廃食油、25…フライヤー処理、26…廃食油含有粉砕樹皮体の生成、26A…廃食油含有粉砕樹皮体、27…分離、28…粉砕樹皮フライ体の取得、28A…粉砕樹皮フライ体、30…発酵、31…ガス保持、32…ガス精製、33…発電、34、35…電力供給、41…廃食物、42…粉砕・調質、43…混合、44…固形化、45…ペレット形成、46…発電燃料取得。
【要約】
【課題】樹皮及び廃食油を調質して、バイオマス発電に際して樹皮と廃食油、あるいは樹皮と廃食油と廃食物とを原料として利用することを可能として、メタンガス又は/及びペレットを十分に安価に簡便に確保する。
【解決手段】粉砕した該粉砕樹皮を150~200℃の範囲にある廃食油中に浸漬し、フライヤー処理して、粉砕樹皮中の水分を蒸発させ、粉砕樹皮を多孔質にし、孔中に廃食油を含有させ、廃食油を含有する粉砕樹皮フライ体を形成するフライヤー処理工程が用いられる。
【選択図】図2
図1
図2
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図5
図6