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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】胆道用ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/95 20130101AFI20221007BHJP
   A61F 2/90 20130101ALI20221007BHJP
【FI】
A61F2/95
A61F2/90
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021151825
(22)【出願日】2021-09-17
(65)【公開番号】P2022053513
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0124140
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516374842
【氏名又は名称】ビーシーエム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】ミョン,ビョン チョル
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0127529(KR,A)
【文献】特表2013-517912(JP,A)
【文献】特開2009-178545(JP,A)
【文献】特表2006-516001(JP,A)
【文献】特表2012-521854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0233221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
A61F 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超弾性の形状記憶合金からなるワイヤ(111)が中空円筒形の網状に編組または交差されて複数の空間部(112)が形成されながら、両端には円周に沿って複数の折曲部(113)が形成された円筒形ボディ(110)を含み、
前記円筒形ボディ(110)の一端で複数の折曲部(113)の空間部(112)に編組されて、前記円筒形ボディ(110)の一端から相異なる長さの両側が突出し、前記相異なる長さの両側が結ばれて結び目(121)が形成され、長尺の一方側が身体(1)の外部に突出する引張紐(120)を含み、前記身体(1)の胆道(2)に発生した狭窄もしくは閉塞した病変部位(3)に留置されるステント(100)と、
前記身体(1)の外部に突出した引張紐(120)が固定及び固定解除されるフック(210)が備えられた引張棒(200)と、
前記引張棒(200)の引張によって身体(1)の外部へ長く引き抜かれるフック(210)に固定された引張紐(120)が内部に挿入され、前記引張紐(120)に案内されてステント(100)に近接するように身体(1)の内部に留置され、前記身体(1)の外部に露出する一方側に雄ねじ部(310)が形成された軟質管(300)と、
前記雄ねじ部(310)と締結される雌ねじ部(410)が内面に形成され、前記引張棒(200)の引張によって身体(1)の外部へ長く引き抜かれた後にフック(210)から固定解除される引張紐(120)によって貫通される貫通孔(420)が外面に形成され、前記雌ねじ部(410)と前記雄ねじ部(310)との締結で貫通孔(420)を貫通しながら留置された軟質管(300)の外面に巻き取られる引張紐(120)を圧着して身体(1)の皮膚に固定する蓋(400)と、
前記引張紐(210)を身体(1)の皮膚に固定した蓋(400)を覆って身体(1)の皮膚に固定させる固定部材(500)と、を含むことを特徴とする胆道用ステント。
【請求項2】
前記ステント(100)は、シリコーンまたはPTFE(Polytetrafluoroethylene)材質の皮膜部(114)が円筒形ボディ(110)に形成されて複数の空間部(112)を閉鎖し、
前記引張紐(120)は、複数の折曲部(113)の空間部(112)及び皮膜部(114)に編組されることを特徴とする、請求項1に記載の胆道用ステント。
【請求項3】
複数の前記折曲部(113)の空間部(112)に引張紐(120)が編組された円筒形ボディ(110)の一端と、結び目(121)との間には間隔(122)が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の胆道用ステント。
【請求項4】
前記間隔(122)は3mm~10mmに形成されることを特徴とする、請求項3に記載の胆道用ステント。
【請求項5】
前記引張紐(120)は抗菌剤でコーティングされていることを特徴とする、請求項1に記載の胆道用ステント。
【請求項6】
前記引張紐(120)はナイロン材質からなることを特徴とする、請求項1に記載の胆道用ステント。
【請求項7】
前記引張紐(120)は単糸で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の胆道用ステント。
【請求項8】
前記結び目(121)は、
円筒形ボディ(110)の一端から突出する引張紐(120)の一方側(121a)と、前記円筒形ボディ(110)の一端から引張紐120の一方側(121a)よりも短く突出する引張紐(120)の反対側の他方側(121b)とを当接させた後、
前記引張紐(120)の一方側(121a)と前記引張紐(120)の反対側の他方側(121b)とを撚って環部(121c)を形成し、前記環部(121c)を形成して残った引張紐(120)の一方側(121a)及び前記引張紐(120)の反対側の他方側(121b)に前記環部(121c)を通過させ、
前記環部(121c)を通過した引張紐(120)の一方側(121a)と前記引張紐(120)の反対側の他方側(121b)とを引っ張ると、前記環部(121c)が小さくなるとともに、引張紐(120)の一方側(121a)と引張紐(120)の反対側の他方側(121b)とが結束されることにより形成されることを特徴とする、請求項1に記載の胆道用ステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胆道用ステントに関し、特に身体の外部、すなわち、皮膚に引張紐を固定させて身体の揺れ及び外部で発生した外力によってステントが胆道に発生した病変部位から脱落することを防ぐとともに、引張紐を保護する柔軟性のある軟質管を通じて身体の揺れ及び外部で発生した外力によって生じる身体の内部への刺激を減らす胆道用ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ステントは狭窄もしくは閉塞した病変部位によって狭くなった身体の内腔を拡張させながら、当該病変部位によって再び狭まらないようにするのに使われた。
【0003】
これと係わって、特許文献1は、一本またはそれ以上の本数の形状記憶合金ワイヤを互いに編組したり、ジグザグ状に交差させたりして空間部を形成し、両端には複数個の折曲端部が円周に沿って形成された円筒形ボディで構成されるステントを形成し、前記円筒形ボディの空間部にジグザグ状に円形帯状になるように編組される引張紐の両端を結んでフックを長尺にして身体の外部に露出するように留置することで、ステントが胆管内で滑らないようにするとともに、ステントの抜去時は、フックを身体の外部から引っ張ると、ステントの端部の円周が中央に向けてしぼみながら引き出されて容易に抜去されるように構成し、前記引張紐のフックは、ステント留置術を受ける身体の一部分に挿入される管型のポートカテーテルの内部を通過した後、前記ポートカテーテルの一端に延びて身体の外部に位置付けられるポートボディに結ばれて固定させるポートチャンバを形成することでフックがポートカテーテルの内部に位置付けられることにより汚染が防止されるように構成することを特徴とする胆道用ステントを提供した。
【0004】
しかし、特許文献1の場合は、ポートカテーテルが硬質の材質からなるため柔軟性がないことから、身体の揺れ及び外部で発生した外力によって身体の内部への刺激の大きくなるおそれがあった。
【0005】
つまり、胆道用ステントが留置された患者が苦痛を感じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10-1065365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、身体の外部、すなわち、皮膚に引張紐を固定させて身体の揺れ及び外部で発生した外力によってステントが胆道に発生した病変部位から脱落することを防ぐとともに、引張紐を保護する柔軟性のある軟質管を通じて身体の揺れ及び外部で発生した外力によって生じる身体の内部への刺激を減らすことができる胆道用ステントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、超弾性の形状記憶合金からなるワイヤが中空円筒形の網状に編組または交差されて複数の空間部が形成されながら、両端には円周に沿って複数の折曲部が形成された円筒形ボディを含み、円筒形ボディの一端で複数の折曲部の空間部に編組されて、円筒形ボディの一端から相異なる長さの両側が突出し、相異なる長さの両側が結ばれて結び目が形成され、長尺の一方側が身体の外部に突出する引張紐を含み、身体の胆道に発生した狭窄もしくは閉塞した病変部位に留置されるステントと、身体の外部に突出した引張紐が固定及び固定解除されるフックが備えられた引張棒と、引張棒の引張によって身体の外部へ長く引き抜かれるフックに固定された引張紐が内部に挿入され、引張紐に案内されてステントに近接するように身体の内部に留置され、身体の外部に露出する一方側に雄ねじ部が形成された軟質管と、雄ねじ部と締結される雌ねじ部が内面に形成され、引張棒の引張によって身体の外部へ長く引き抜かれた後にフックから固定解除される引張紐に貫通される貫通孔が外面に形成され、雌ねじ部と雄ねじ部との締結で貫通孔を貫通しながら留置された軟質管の外面に巻き取られる引張紐を圧着して身体の皮膚に固定する蓋と、引張紐を身体の皮膚に固定した蓋を覆って身体の皮膚に固定させる固定部材と、を含むことを特徴とする胆道用ステントを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、軟質管と結合された蓋によって引張紐が身体の外部、すなわち皮膚に固定されながら、固定部材によって蓋が身体の外部、すなわち皮膚に固定されるという効果がある。
【0010】
すなわち、身体の皮膚に引張紐を固定させて身体の揺れ及び外部で発生した外力によってステントが胆道に発生した病変部位から脱落することを防止するという効果がある。
【0011】
本発明は、引張紐を保護する柔軟性のある軟質管を通じて、身体の揺れ及び外部で発生した外力によって発生される身体の内部への刺激を減らすという効果がある。
【0012】
すなわち、軟質管による痛みの発生を抑える効果がある。
【0013】
本発明は、蓋が固定部材に覆われて引張紐が外部に露出しないという効果がある。
【0014】
すなわち、外部への露出による引張紐の汚染を防ぐ効果がある。
【0015】
本発明は、2週間~16週間の治療後、引張紐を引っ張るとステントが軟質管に案内されて身体の内部から抜去されるという効果がある。
【0016】
すなわち、身体の内部に通路、すなわち、パスを生成した軟質管によってステントが身体の内部から容易に抜去される効果がある。
【0017】
また、ステントが身体の臓器に係止されることを軟質管によって防止するという効果がある。
【0018】
本発明は、2週間~16週間の治療後、結び目を通じて引張紐の両方ではない片方のみを引っ張ってステントを抜去することができるという効果がある。
【0019】
本発明は、引張紐が引張棒のフックに固定されるので、引張紐を身体の外部へ容易に長く引き出しながら軟質管の内部に引張紐を容易に挿入させるという効果がある。
【0020】
本発明は、2週間~16週間の治療期間の間、引張紐と身体の臓器との狭窄を軟質管によって防止するという効果がある。
【0021】
本発明は、圧縮されたステントが拡張されながら結び目に係止されてしまう現象を、ステントと結び目との間に形成された間隔により阻止するという効果がある。
【0022】
すなわち、ステントがまともに拡張されることができなく、これにより病変部位における通路の狭くなった胆道が拡張できないことを防ぐ効果がある。
【0023】
本発明は、間隔を3mm~10mmに形成することで、圧縮されたステントが拡張されながら結び目に係止される現象や、ステント伝達装置の装着時に係止される現象を防ぐという効果がある。
【0024】
すなわち、病変部位へのステント留置術と、ステント伝達装置へのステントの装着が容易に行われる効果がある。
【0025】
また、ステント抜去の際、引張紐を引っ張ると円筒形ボディの一端が3mm~10mmに形成されている間隔によってしぼみやすいので、ステントが軟質管の入口に係止されにくいという効果がある。
【0026】
すなわち、2週間~16週間の治療後、ステント抜去が容易に行われる効果がある。
【0027】
本発明は、引張紐にコーティングされた抗菌剤により、身体の外部において細菌による汚染を防ぐので、汚染による身体の皮膚炎症の発生を抑えるという効果がある。
【0028】
本発明は、ナイロン材質の引張紐に胆汁が染みこまないから、ステント抜去時に胆汁が身体の外部へ排出されることを防止するという効果がある。
【0029】
本発明は引張紐が単糸で形成されるから、胆汁の染みこむ隙間が形成されないという効果がある。
【0030】
また、ステント抜去時、胆汁が身体の外部へ排出されることを防止するという効果がある。
【0031】
本発明は、引張紐の両方がフック部に結束されて引張紐の引張によって結び目が解けないため、引張紐の引張によって引張紐がステントから脱落することを防止するという効果がある。
【0032】
すなわち、2週間~16週間の治療後、ステントが抜去されずに身体の胆道に残存することを防ぐ効果がある。
【0033】
本発明は、シリコーンまたはPTFE(Polytetrafluoroethylene)材質の皮膜部により胆汁の移動を助けるとともに、胆汁が空間部に介在することを阻害するという効果がある。
【0034】
また、ステント抜去の際に胆汁が身体の外部へ排出されることを防ぐという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図2】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図3】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図4】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図5】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図6】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図7】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図8】本発明の実施形態による胆道用ステントの構成図である。
図9】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図10】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図11】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図12】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図13】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図14】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図15】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図16】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図17】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図18】本発明の実施形態による胆道用ステントの留置術状態図である。
図19】本発明の他の実施形態による胆道用ステントのステント示す正面図である。
図20】本発明の他の実施形態による胆道用ステントのステント示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の多様な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図1図20に示されているように、本発明の多様な実施形態による胆道用ステント1000は、肝臓4と十二指腸5との間に身体1の胆道2に留置され、前記身体1の胆道2に発生した狭窄もしくは閉塞した病変部位3を拡張させる時に使われる。
【0038】
すなわち、前記胆道用ステント1000は、肝臓癌と肝硬変による肝切除及び肝移植後に身体1の胆道2に発生する病変部位3、または胆道癌によって前記身体1の胆道2に発生する病変部位3に留置される。
【0039】
ここで、前記胆道用ステント1000は、病変部位3の治療が完了するまで2週間~16週間の間、手術された位置に留置するようになる。
【0040】
そして、図1図18に示されているように、本発明の実施形態による前記胆道用ステント1000は、ステント伝達装置を通じて身体1の胆道2に発生した狭窄もしくは閉塞した病変部位3に留置されるステント100を含む。
【0041】
そして、前記ステント100は、超弾性の形状記憶合金からなる少なくとも一つ以上のワイヤ111が中空円筒形の網状に編組または交差されて複数の空間部112が形成されながら、両端には円周に沿って複数の折曲部113が形成された円筒形ボディ110を含む。
【0042】
ここで、前記ステント100の円筒形ボディ110は、ステント伝達装置に圧縮されて装着されてから、前記ステント伝達装置による病変部位3への留置術の際に前記ステント伝達装置から脱落して拡張される。
【0043】
また、前記ステント100は、円筒形ボディ110の一端で複数の折曲部113の空間部112に編組されて前記円筒形ボディ110の一端から相異なる長さの両側が突出し、前記相異なる長さの両側が結ばれて結び目121が形成され、長尺の一方側が身体1の外部に突出する引張紐120を含む。
【0044】
ここで、前記ステント100の円筒形ボディ110は、ステント伝達装置で身体1の皮膚、肝臓4、及び胆道2を貫通する方向と反対側の方向に引張紐120が位置付けられるように前記ステント伝達装置に装着される。
【0045】
そして、前記引張紐120は、抗菌剤がコーティングされて外面に抗菌剤コーティング層120aが形成される。
【0046】
さらに、前記引張紐120はナイロン材質からなる。
【0047】
また、前記引張紐120は、複数本が撚られて形成されたものではない単糸で形成される。
【0048】
そして、複数の前記折曲部113の空間部112に引張紐120が編組された円筒形ボディ110の一端と、結び目121との間には間隔122が形成されている。
【0049】
ここで、前記間隔122が3mm未満に形成されると、円筒形ボディ110の一端と結び目121との間が非常に近いため、留置術時に圧縮されたステント100が拡張されながら前記結び目121に係止されてしまうため、まともに拡張されないおそれがあった。
【0050】
また、前記間隔122が10mm超に形成されると、円筒形ボディ110の一端と結び目121との間が非常に遠いため、ステント100の抜去時、引張紐120を引っ張ったら前記円筒形ボディ110の一端がしぼみ難いおそれがあった。
【0051】
また、前記間隔122が10mm超に形成されると、円筒形ボディ110の一端と結び目121との間が非常に遠いため、ステント伝達装置へのステント100の装着時に、前記結び目121がステント伝達装置によく係止される現象が発生してステント100を装着し難かった。
【0052】
したがって、前記間隔122は3mm~10mmに形成される。
【0053】
そして、図2図4に示されているように、前記結び目121は、円筒形ボディ110の一端から突出する引張紐120の一方側121aと、前記円筒形ボディ110の一端から引張紐120の一方側121aよりも短く突出する引張紐120の反対側の他方側121bとを当接させた後、前記引張紐120の一方側121aと引張紐120の他方側121bとを撚って環部121cを形成し、前記環部121cを形成して残った引張紐120の一方側121a及び引張紐120の他方側121bに前記環部121cを通過させて、前記環部121cを通過した引張紐120の一方側121aと引張紐120の他方側121bとを引っ張ると、前記環部121cが小さくなるとともに、引張紐120の一方側121aと引張紐120の他方側121bとが結束されることにより形成される。
【0054】
すなわち、前記結び目121は、引張紐120を引っ張るときに解けないように形成される。
【0055】
ここで、前記引張紐120の一方側121aが身体1の外部に突出する。
【0056】
そして、前記胆道用ステント1000は、身体1の外部に突出した引張紐120が固定及び固定解除されるフック210が備えられた引張棒200を含む。
【0057】
ここで、前記引張棒200は、長尺の鉄心と類似した形態で形成される。
【0058】
また、前記引張紐120は、フック210に係止されて固定されるように前記フック210に巻回するか、前記フック210が掛けられる環が形成されることができる。
【0059】
そして、前記胆道用ステント1000は、引張棒200の引張によって身体1の外部へ長く引き出されるフック210に固定された引張紐120が内部に挿入され、前記引張紐120に案内されてステント100に近接するように身体1の内部に留置され、前記身体1の外部へ露出する一方側に雄ねじ部310が形成された軟質管300を含む。
【0060】
ここで、前記軟質管300は、チューブと類似した形態で形成され、シリコーンまたはゴム材質からなる。
【0061】
そして、前記胆道用ステント1000は、雄ねじ部310と締結される雌ねじ部410が内面に形成され、引張棒200の引張によって身体1の外部へ長く引き抜かれた後にフック210から固定解除される引張紐120によって貫通される貫通孔420が外面に形成され、前記雌ねじ部410と雄ねじ部310との締結で貫通孔420を貫通しながら留置された軟質管300の外面に巻き取られる引張紐120を圧着して身体1の皮膚に固定する蓋400を含む。
【0062】
ここで、前記蓋400はシリコーンまたはゴム材質からなる。
【0063】
そして、前記胆道用ステント1000は、引張紐120を身体1の皮膚に固定した蓋400を覆うことにより、前記身体1の皮膚に固定させる固定部材500を含む。
【0064】
ここで、前記固定部材500としては、引張紐120を身体1の皮膚に固定した蓋400を覆うガーゼや包帯と、前記ガーゼや包帯を身体1の皮膚に貼り付ける接着剤またはテープなどとが含まれる。
【0065】
そして、図19及び図20に示されているように、本発明の他の実施形態による前記胆道用ステント1000のステント100は、シリコーンまたはPTFE(Polytetrafluoroethylene)材質の皮膜部114が円筒形ボディ110に形成される。
【0066】
ここで、複数の前記空間部112は皮膜部114によって閉鎖される。
【0067】
また、前記引張紐120は、複数の折曲部113の空間部112及び皮膜部114に編組される。
【0068】
次に、上述したように構成された本発明の前記胆道用ステント1000の作用について説明する。
【0069】
図1図18に示されているように、本発明の実施形態による前記胆道用ステント1000は、身体1の胆道2に発生した狭窄もしくは閉塞した病変部位3に留置される。
【0070】
より詳しくは、前記身体1の皮膚を切開した後に内視鏡で視野を確保してステント100が装着されたステント伝達装置をもって前記身体1の皮膚、肝臓4及び胆道2を貫通させ、前記内視鏡で病変部位3の位置を確認した後にステント伝達装置を通じてステント100を前記病変部位3に留置して前記病変部位3を拡張させる。
【0071】
ここで、前記ステント100の円筒形ボディ110の一端と、結び目121との間には3mm~10mmで間隔122が形成されているので、圧縮された前記ステント100が結び目121に係止されることなく病変部位3で容易に拡張されるようになる。
【0072】
また、前記ステント100の空間部112に病変部位3が挿入される。
【0073】
そして、前記身体1からのステント伝達装置の除去時、前記ステント伝達装置によって引張紐120が身体1の外部に突出する。
【0074】
すなわち、前記円筒形ボディ110の一端から突出する長尺の引張紐120の一方側121aが身体1の外部に突出する。
【0075】
それから、前記引張棒200のフック210に身体1の外部に突出した引張紐120を固定した後、前記引張棒200を引っ張ることでフック210に固定された引張紐120を身体1の外部へ長く抜き出す。
【0076】
それと同時に、前記フック210に固定された引張紐120を軟質管300の内部に挿入させる。
【0077】
そして、前記軟質管300を抜け出したフック210から引張紐120を固定解除した後、前記軟質管300を引張紐120に沿って移動させてステント伝達装置によって貫通された身体1の皮膚、肝臓4及び胆道2に挟み込む。
【0078】
すなわち、前記軟質管300は、引張紐120に案内されながら、ステント伝達装置によって貫通された身体1の皮膚、肝臓4及び胆道2に位置付けられるようになる。
【0079】
そのため、前記軟質管300は、ステント100に近接して身体1の内部に留置される。
【0080】
ここで、前記軟質管300は、2週間~16週間の治療後にステント100を容易に抜去するための通路、すなわちパスを身体1の内部に生成する。
【0081】
そして、前記フック210から固定解除された引張紐120をもって蓋400の貫通孔420を貫通させた後、前記引張紐120を身体1の外部に露出した軟質管300の一方側の外面に巻き取る。
【0082】
次いで、前記身体1の外部に露出した軟質管300の雄ねじ部310と蓋400の雌ねじ部410とを締結して、前記蓋400で軟質管300の外面に巻回された引張紐120を圧着する。
【0083】
すると、前記引張紐120は、蓋400に圧着されて身体1の皮膚に固定される。
【0084】
そして、前記固定部材500により引張紐120を身体1の皮膚に固定した蓋400を覆うことで前記身体1の皮膚に固定する。
【0085】
すると、前記引張紐120は、身体1の外部、すなわち皮膚に固定され、ステント100は、前記身体1の内部、すなわち胆道2に発生した病変部位3に固定される。
【0086】
これにより、本発明の実施形態による前記胆道用ステント1000のステント100は、身体1の揺れ及び外部で発生した外力によって、病変部位3から脱落できなくなる。
【0087】
また、前記軟質管300は、身体1の揺れ及び外部で発生される外力が伝達されれば変形されてから、前記身体1の揺れ及び外部で発生される外力が伝達されなくなると、弾性によって元の状態に戻る。
【0088】
また、前記引張紐120の外面には抗菌剤コーティング層120aが形成されるので、前記引張紐120が身体1の外部に長期間露出される場合に細菌による汚染を防止するようになる。
【0089】
また、前記引張紐120はナイロン材質からなるため、胆道2に流れる胆汁が前記引張紐120に染みこむことを防ぐ。
【0090】
そして、前記2週間~16週間の間に病変部位3の治療が完了すれば、胆道用ステント1000を抜去するようになる。
【0091】
より詳しく説明すれば、前記身体1の皮膚から蓋400に対する固定部材500の固定を解除した後、前記蓋400の雌ねじ部410と軟質管300の雄ねじ部310との締結を解除する。
【0092】
ここで、前記蓋400は、引張紐120に対する圧着を解除するようになる。
【0093】
それから、前記引張紐120を引っ張る。
【0094】
すると、前記引張紐120の引張によって、前記引張紐120が設置された円筒形ボディ110の一端がしぼみながら、軟質管300の内部に挿入される。
【0095】
ここで、前記引張紐120が設置された円筒形ボディ110の一端は3mm~10mmに形成された間隔122によってしぼみやすくなり、ステント100は前記引張紐120の引張によって軟質管300の内部へ容易に挿入される。
【0096】
そうすると、前記ステント100は身体1の胆道2から外れるようになる。
【0097】
ここで、前記引張紐120の両側、すなわち一方側121a及び他方側121bが環部121cに結束されているので、前記引張紐120の引張によって結び目121は解けない。
【0098】
そして、前記ステント100は引張紐120の引張によって軟質管300に案内されてから前記軟質管300から抜け出る。
【0099】
すなわち、前記ステント100は、身体1の内部に通路、すなわち、パスを作り出した軟質管300に容易に案内されてから前記軟質管300から抜け出ながら抜去される。
【0100】
その後、前記軟質管300を引っ張ることで身体1の内部から取り出す。
【0101】
そして、図19及び図20に示されているように、本発明の他の実施形態による前記胆道用ステント1000のステント100は、シリコーンまたはPTFE(Polytetrafluoroethylene)材質の皮膜部114で胆道2に流れる胆汁を十二指腸5へ容易に案内するようになる。
【0102】
ここで、前記病変部位3は、皮膜部114によって閉鎖された空間部112に挿入されない。
【0103】
以上、本発明を特定の好適な実施形態を例えて図示し説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0104】
100 ステント
111 ワイヤ
112 空間部
113 折曲部
114 皮膜部
120 引張紐
121 結び目
122 間隔
200 引張棒
210 フック
300 軟質管
310 雄ねじ部
400 蓋
410 雌ねじ部
420 貫通孔
500 固定部材
1000 胆道用ステント
図1
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