(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】AC-AC電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20221007BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20221007BHJP
【FI】
H02M7/12 P
H02M7/48 F
(21)【出願番号】P 2018042376
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2021-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰生
(72)【発明者】
【氏名】ハイダー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ボルティス ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】コラー ヨハン ベー
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0001227(US,A1)
【文献】特開2012-151962(JP,A)
【文献】特開2007-244193(JP,A)
【文献】特開2011-036020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M7/00-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交流電圧を第2の交流電圧に変換するAC-AC電力変換装置であって、
前記第1の交流電圧を整流して整流電圧を生成する整流回路と、
前記整流電圧から前記第2の交流電圧を生成するインバータと、
前記整流回路および前記インバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の交流電圧が発生する電力および前記整流電圧が発生する電力の持つ脈動を外部機器に出力するように前記整流回路および前記インバータを制御
し、
前記整流回路と前記インバータとの間に、昇圧回路が設けられていることを特徴とするAC-AC電力変換装置。
【請求項2】
第1の交流電圧を第2の交流電圧に変換するAC-AC電力変換装置であって、
前記第1の交流電圧を整流して整流電圧を生成する整流回路と、
前記整流電圧から前記第2の交流電圧を生成するインバータと、
前記整流回路および前記インバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記整流電圧が発生する電力の持つ脈動を外部機器に出力するように前記整流回路および前記インバータを制御
し、
前記整流回路と前記インバータとの間に、昇圧回路が設けられていることを特徴とするAC-AC電力変換装置。
【請求項3】
前記整流回路と前記インバータとの間に、DCリンクキャパシタを備えるDCリンクが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のAC-AC電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の交流電圧が発生する電力の値を、外部機器と前記DCリンクとに分散して出力するように前記整流回路および前記インバータを制御する
ことを特徴とする請求項3に記載のAC-AC電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記整流回路に出力される電力の脈動値に含まれる高周波を抑制する共振制御部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のAC-AC電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相交流電源からの電力を3相交流電力に変換するAC-AC電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単相交流電源からの電力を3相交流電力に変換するAC-AC電力変換装置として、整流回路と、平滑コンデンサと、インバータ回路と、を備えるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-289769号公報
【文献】特開平2003-284387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
数kWクラスの交流電力を供給する電源装置の多くは、単相電源から入力された交流電力を三相交流電力に変換して出力する。このようなAC-AC電力変換装置は通常、交流電源からの電力を直流電力に変換する整流回路と、整流された直流電力を所望の仕様の交流電力に変換するインバータ回路と、を含んで構成される。
【0005】
しかしながら、単相-三相電力変換を行うと、必然的に入力電力と出力電力との間に差が生じるため、電力に脈動が発生する。この脈動を吸収し補償するためにバッファが必要となる。従来このバッファは、大容量のDCリンクキャパシタにより構成されることが一般的であった。AC-AC電力変換装置が数kWおよび数100Vで動作する場合、DCリンクキャパシタに要求される容量はmFのオーダとなる。これを実現するためには、大容量の電解コンデンサを用いる必要がある。しかしながら電解コンデンサは体積が大きく寿命が短いため、サイズ、コストおよび装置寿命などの面で大きなデメリットを伴う。従って電解コンデンサを必要としないAC-AC電力変換装置が求められる。
【0006】
このような電解コンデンサレスAC-AC電力変換装置を実現する先行技術の一例として、DCリンク部分に小型のキャパシタ、インダクタおよびスイッチ素子からなる部品を追加し、電力脈動のみを追加回路により補償するものがある。この追加回路により、DCリンクキャパシタに必要な役割はスイッチングノイズなどの除去に限定されるため、大容量の電解コンデンサは不要となる。しかしながらこの技術には、追加回路に伴う部品コストの増加、制御の複雑化といった課題がある。
【0007】
別の先行技術の一例として、入力電力の脈動を直接DCリンク電圧に供給し、DCリンクの直流電圧が脈動を有していても、インバータのスイッチングを制御することにより、適切なモータ制御を実現するものがある(例えば、特許文献2参照)。換言すれば、この技術は、モータまたはその負荷のイナーシャを電力脈動の補償手段として利用している。この技術によれば、特別な付加部品を必要とすることなく、電解コンデンサを割愛することができる。しかしながらこの技術ではDCリンクの直流電圧が大きく脈動するため、直流昇圧回路を適用することができない。このため、入力電圧より高い出力電圧を得ることができず、モータの応用性が限定されるという課題がある。
【0008】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、追加部品を必要とすることなく、AC-AC電力変換装置のDCリンクキャパシタの容量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のAC-AC電力変換装置は、第1の交流電圧を第2の交流電圧に変換するAC-AC電力変換装置であって、第1の交流電圧を整流して整流電圧を生成する整流回路と、整流電圧から前記第2の交流電圧を生成するインバータと、整流回路および前記インバータを制御する制御部と、を備え、制御部は、第1の交流電圧が発生する電力および整流電圧が発生する電力の持つ脈動を外部機器に出力するように整流回路およびインバータを制御する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、追加部品を必要とすることなく、AC-AC電力変換装置の小型化およびコスト削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係るAC-AC電力変換装置を示すブロック図である。
【
図2】従来のAC-AC電力変換装置を示すブロック図である。
【
図3】
図2のAC-AC電力変換装置の制御部を示すブロック図である。
【
図4】(a)は、
図2のAC-AC電力変換装置の入力電圧、入力電流および入力電力の時間変化を示す図であり、(b)は、
図2のAC-AC電力変換装置のDCリンクキャパシタ電圧、DCリンクキャパシタ電流およびDCリンクキャパシタ電力の時間変化を示す図であり、(c)は、
図2のモータ回転速度、モータトルクおよびモータ電力の時間変化を示す図である。
【
図5】
図1のAC-AC電力変換装置の制御部を示すブロック図である。
【
図6】(a)は、
図1のAC-AC電力変換装置の入力電圧、入力電流および入力電力の時間変化を示す図であり、(b)は、
図1のAC-AC電力変換装置のDCリンクキャパシタ電圧、DCリンクキャパシタ電流およびDCリンクキャパシタ電力の時間変化を示す図であり、(c)は、
図1のモータ回転速度、モータトルクおよびモータ電力の時間変化を示す図である。
【
図7】
図1のAC-AC電力変換装置の制御部の変形例を示すブロック図である。
【
図8】
図1のAC-AC電力変換装置の制御部の変形例を示すブロック図である。
【
図9】
図1のAC-AC電力変換装置の制御部の変形例を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態に係るAC-AC電力変換装置の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また説明の便宜のため、各図面では構成要素の一部を適宜省略する。特に断りのない限り、数値Aに関し、<A>はAの平均値、A*はAの目標値を示す。
【0014】
図1は、実施の形態に係るAC-AC電力変換装置100の一例を示すブロック図である。AC-AC電力変換装置100は、単相電源300からの電力に基づき三相電力を生成する電力変換装置として機能する。一例として、AC-AC電力変換装置100は、ポンプ、コンプレッサ、船や飛行機の電動アクチュエータ、ロボットアームなど多様な装置を駆動するために使用することができる。AC-AC電力変換装置100は、PFC整流回路10と、DCリンク20と、インバータ30と、制御部40と、を備える。AC-AC電力変換装置100によって生成された三相電力は、モータ400などの外部機器に対して出力される。モータ400は入力された三相電力により駆動され、負荷500を駆動する。本明細書において、単相電源300から三相電力の出力に向かう電力または信号の流れに沿って、上流側を前段または入力と、下流側を後段または出力と表記することがある。
【0015】
単相電源300は、例えば商用電源や発電機であってよい。単相電源300は、AC-AC電力変換装置100のPFC整流回路10に入力電圧vGを出力する。
【0016】
PFC整流回路10は、PFC(Power Factor Correction)機能を備えた整流回路であり、公知技術を用いて実現されてよい。PFC整流回路10は、単相電源300から入力された入力電圧vGを全波整流して整流電圧を生成した後、PFC機能を用いて電流波形から高周波を除去する。PFC整流回路10は、整流電圧をDCリンク20に出力する。
【0017】
DCリンク20は、PFC整流回路10の後段に配置され、DCリンクキャパシタ22を備える。DCリンクキャパシタ22は、例えばフィルムやセラミックコンデンサなどにより構成された小容量のコンデンサである。DCリンクキャパシタ22は、スイッチングノイズなどの除去手段として機能する。整流電圧は、後述する制御により脈動が除去されているため、DCリンクキャパシタ22は大容量の電解コンデンサである必要はない。DCリンク20は、DCリンク電圧vDCをインバータ30に出力する。
【0018】
インバータ30は、DCリンク20の後段に配置され、DCリンク電圧vDCに基づいて三相交流電圧を生成する。インバータ30は公知技術を用いて実現されてよい。三相交流電圧は、例えばU相、V相およびW相からなり、2π/3の位相差で交番するものであってよい。インバータ30は、生成した交流電圧をモータ400に供給する。
【0019】
制御部40は、DCリンク電圧制御部42と、PFC整流回路制御部44と、速度制御部46と、インバータ制御部48と、を備える。制御部40は、PFC整流回路10およびインバータ30を制御して、生成される入力電流、整流電圧および三相交流電圧を調整する。制御部40の制御の詳細については後述する。
【0020】
モータ400は、インバータ30から供給された三相電力により駆動され、得られた動力を負荷500に伝達して負荷500を運動させる。
【0021】
負荷500は、モータ400によって運動するフライホイールなどの負荷であって、イナーシャJTOT(例えば慣性モーメント)を有する。
【0022】
整流回路は、必ずしもPFC機能を備えていなくてもよい。すなわち、PFC整流回路10は、交流電圧から直流電圧を生成する任意のタイプの整流回路で置き換えられてもよい。
【0023】
DCリンク20は完全に割愛されてもよい。この場合、PFC整流回路10は、整流電圧をインバータ30に出力する。
【0024】
[従来の電圧制御]
実施の形態に係るAC-AC電力変換装置の電圧制御を説明する前に、従来のAC-AC電力変換装置の電圧制御を説明する。
図2は、従来のAC-AC電力変換装置200を示すブロック図である。
図1のAC-AC電力変換装置100との第1の相違点は、DCリンクキャパシタ24が大容量の電解コンデンサで構成される点である。これは後述のように、入力電力と出力電力との差をバッファして補償するためである。第2の相違点は、
図1のAC-AC電力変換装置100では一体的であった制御部40が、第1制御部50と第2制御部60とに分離されている点である。第1制御部50は、DCリンク電圧制御部52と、PFC整流回路制御部54と、を備える。第2制御部60は、速度制御部66と、インバータ制御部68と、を備える。第1制御部50はPFC整流回路10を、第2制御部60はインバータ30を、それぞれ独立に制御する。AC-AC電力変換装置200のその他の構成は、AC-AC電力変換装置100の構成と共通である。特に
図1および
図2に示される制御部はあくまでも抽象的な機能ブロックであり、ハードウェア、ソフトウェアその他によるいかなる具体的な実現形態も、これらの図面に限定されないことに注意されたい。
【0025】
図3は、
図2のAC-AC電力変換装置200の第1制御部50および第2制御部60を示すブロック図である。DCリンク電圧制御部52は、第1入力端52bと、第2入力端52cと、出力端52dと、を備える。PFC整流回路制御部54は、入力端54bと、出力端54cと、を備える。速度制御部66は、第1入力端66bと、第2入力端66cと、出力端66dと、を備える。インバータ制御部68は、入力端68bと、第1出力端68cと、第2出力端68dと、第3出力端68eと、を備える。第1制御部50は、DCリンク電圧制御部52の第2入力端52cの前段に、ローパスフィルタ53を備える。
【0026】
現在のDCリンク電圧vDCがローパスフィルタ53に入力される。ローパスフィルタ53は、vDCから高周波成分を除去して平均DCリンク電圧<VDC>を生成し、これをDCリンク電圧制御部52の第2入力端52cに入力する。DCリンク電圧制御部52の第1入力端52bには、目標平均DCリンク電圧<VDC>*が入力される。DCリンク電圧制御部52は、<VDC>*と<VDC>との差分ΔvDC(図示しない)を基に目標平均キャパシタ電力<PC>*を算出し、これを出力端52dから出力する。
【0027】
速度制御部66の第1入力端66bには、モータ400の目標平均速度<ω>*が入力される。第2入力端66cには、モータ400の現在の平均速度<ω>が入力される。速度制御部66は、<ω>*と<ω>との差分Δω(図示しない)を基に目標平均インバータ出力<PINV>*を算出し、これを出力端66dから出力する。
【0028】
速度制御部66の出力端66dから出力された<PINV>*は分岐点v1で2つに分岐され、一方は、DCリンク電圧制御部52の出力端52dから出力された<PC>*と足し合わされる。その結果、目標平均整流電力<PPFC>*が、<PPFC>*=<PINV>*+<PC>*として算出される。算出された<PPFC>*は、PFC整流回路制御部54の入力端54bに入力される。分岐点v1で分岐された<PINV>*の他方は、インバータ制御部68の入力端68bに入力される。
【0029】
PFC整流回路制御部54は、
入力された目標平均整流電力<PPFC>*を基に目標入力電流iG
*(図示しない)を算出し、インダクタ電流差からPFC出力デューティ比dBを求め、これを出力端54cから出力する。出力されたPFC出力デューティ比dBは、パルス幅変調器(図示しない)を介してPFC整流回路10に入力されて所望の制御が実現する。
【0030】
インバータ制御部68は、
入力された目標モータ電力<PINV>*を基にインバータ出力デューティ比dU、dVおよびdWを求め、これらをそれぞれ第1出力端68c、第2出力端68dおよび第3出力端68eから出力する。出力されたインバータ出力デューティ比dU、dVおよびdWは、パルス幅変調器(図示しない)を介してインバータ30に入力されて所望の制御が実現する。
【0031】
図4(a)は、
図2のAC-AC電力変換装置200の入力電圧、入力電流および入力電力の時間変化を示す。
図4(b)は、
図2のAC-AC電力変換装置200のDCリンクキャパシタ電圧、DCリンクキャパシタ電流およびDCリンクキャパシタ電力の時間変化を示す。
図4(c)は、
図2のモータ回転速度、モータトルクおよびモータ電力の時間変化を示す。
【0032】
本明細書では、入力電圧(単相電源300によって供給される交流電圧)vGは、振幅VG、周波数fGの正弦波であるとし、以下のように表す。
vG=VG・sin(2πfGt)
力率=1条件を満足するために、PFC整流回路10に入力される入力電流iGは、vGと同一の周波数および同一の位相を持つ正弦波となるように制御される。すなわちiGは、振幅をIGとおくと、以下のように表される。
iG=IG・sin(2πfGt)
従って、PFC整流回路10に入力される入力電力pGは、以下のようになる。
pG=vG・iG=VG・sin(2πfGt)・IG・sin(2πfGt)=P0・(1-cos(2π・2fGt))
ただしP0=VG・IG/2とおいた。
このように入力電力pGは、入力電圧vGの周波数fGの2倍の周波数2fGで振動する。一方モータ電力pMは、時間的に一定な値P0(入力電力pGの平均値)となるように第2制御部60によって制御されている。
【0033】
図4(a)および
図4(c)に示されるように、入力電力p
Gとモータ電力p
Mとは、その波形が一致しない。DCリンク20のDCリンクキャパシタ24は、この入力電力p
Gとモータ電力p
Mとの差をバッファすることにより補償する。以下、この点について説明する。
DCリンクキャパシタ24は、内部に静電エネルギーE
Cを蓄積する。
E
C=1/2・C
DC・v
DC
2
ただしDCリンクキャパシタ24の容量をC
DCとおいた。
これにより、DCリンク20にコンデンサ電流i
Cが流れる。そしてDCリンク電圧v
DCには、入力電圧v
Gの周波数f
Gの2倍の周波数2f
Gで振動するDCリンク電圧脈動Δv
DC(リップル)が発生する。DCリンク電圧脈動Δv
DCは、平均出力電力P
0、平均DCリンク電圧V
DC、入力電圧v
Gの周波数f
GおよびDCリンクキャパシタ24の容量C
DCに依存し、以下のように表される
【数1】
すなわちこの脈動を補償して抑制するためには、DCリンクキャパシタ24の容量C
DCを十分大きくする必要がある。一般に正常なインバータ機能を実現するためには、DCリンク電圧脈動Δv
DCを平均DCリンク電圧V
DCの数%以内に抑制する必要がある。式5によれば、例えば、P
0が5kW、V
DCが100V、f
Gが50H
zで、Δv
DC/V
DCを5%に抑制する場合、約3mFのC
DCが必要となることが分かる。
【0034】
[実施の形態に係る電圧制御]
本発明の実施の形態に係る電圧制御について説明する。
図5は、
図1のAC-AC電力変換装置100の制御部を示すブロック図である。DCリンク電圧制御部42は、第1入力端42bと、第2入力端42cと、出力端42dと、を備える。PFC整流回路制御部44は、入力端44bと、出力端44cと、を備える。速度制御部46は、第1入力端46bと、第2入力端46cと、出力端46dと、を備える。インバータ制御部48は、入力端48bと、第1出力端48cと、第2出力端48dと、第3出力端48eと、を備える。制御部40は、DCリンク電圧制御部42の出力端42dと、PFC整流回路制御部44の入力端44bとの間に、ローパスフィルタ43aを備える。制御部40は、速度制御部46の第2入力端46cの前段に、ローパスフィルタ43bを備える。
【0035】
DCリンク電圧制御部42の第1入力端42bには、目標DCリンク電圧v
DC
*が入力される。第2入力端42cには、現在のDCリンク電圧v
DCが入力される。後述するように、DCリンク電圧v
DCは、時間的に一定な値(脈動を持たない)となるように制御されている。従って
図2のAC-AC電力変換装置200と異なり、高周波成分を除くためのローパスフィルタを第2入力端42cの前段に置く必要はない。DCリンク電圧制御部42は、v
DC
*とv
DCとの差分Δv
DC(図示しない)を基に、目標キャパシタ電力p
C
*を求め、これを出力端42dから出力する。
【0036】
DCリンク電圧制御部42の出力端42dから出力された目標キャパシタ電力pC
*は分岐点v2で2つに分岐され、一方は、ローパスフィルタ43aに入力される。DCリンク電圧制御部42によって生成されたpC
*は、モータのインダクタに起因するノイズや入力電源のノイズ等に起因する高周波の電圧ノイズを含んでいる。ローパスフィルタ43aは、pC
*からこれらの高周波成分を除去して目標平均キャパシタ電力<PC>*を生成し、これを出力する。分岐点v2で分岐されたpC
*の他方は、目標整流電力pPFC
*から減算されて、目標モータ電力pM
*が算出される(pM
*=pPFC
*-pC
*)。算出されたpM
*は、インバータ制御部48の入力端48bに入力される。
【0037】
このように、インバータ制御部48に入力される目標モータ電力pM
*は、目標整流電力pPFC
*から目標キャパシタ電力pC
*を減算したものである。すなわち、モータ400には、入力電力pGおよびDCリンクの脈動ΔpDCが入力される。モータ400は、負荷500が持つイナーシャによりこの脈動を補償する。その結果DCリンクの脈動はゼロとなり、pM=pGが成立する。すなわち、モータ電力pMは入力電力pGに一致する。
【0038】
後述するように、モータの速度ωは、モータ400による入力電力pGの補償に起因して、入力電力pGの周波数fGの2倍の周波数2fGで脈動する。そこで、以下のようにローパスフィルタを用いてωの高周波成分を除去する。現在のモータの速度ωはローパスフィルタ43bに入力される。ローパスフィルタ43bは、ωから高周波成分を除去して現在のモータの平均速度<ω>を生成し、これを速度制御部46の第2入力端46cに入力する。速度制御部46の第1入力端46bには、モータ400の目標平均速度<ω>*が入力される。速度制御部46は、<ω>*と<ω>との差分Δω(図示しない)を基に目標平均インバータ出力<PINV>*を求め、これを出力端46dから出力する。
【0039】
速度制御部46の出力端46dから出力された目標平均インバータ出力<PINV>*は、ローパスフィルタ43aから出力された目標平均キャパシタ電力<PC>*と足し合わされる。その結果、目標平均整流電力<PPFC>*が、<PPFC>*=<PC>*+<PINV>*として算出される。算出された<PPFC>*は、PFC整流回路制御部44の入力端44bに入力される。PFC整流回路制御部44は、入力された目標平均整流電力<PPFC>*を基に目標入力電流iG
*(図示しない)を算出し、インダクタ電流差からPFC出力デューティ比dBを求め、これを出力端44cから出力する。出力されたPFC出力デューティ比dBは、パルス幅変調器(図示しない)を介してPFC整流回路10に入力されて所望の制御が実現する。
【0040】
インバータ制御部48は、入力された目標モータ電力pM
*を基にインバータ出力デューティ比dU、dVおよびdWを求め、これらをそれぞれ第1出力端48c、第2出力端48dおよび第3出力端48eから出力する。出力されたインバータ出力デューティ比dU、dVおよびdWは、パルス幅変調器(図示しない)を介してインバータ30に入力されて所望の制御が実現する。
【0041】
図6(a)は、
図1のAC-AC電力変換装置100の入力電圧、入力電流および入力電力の時間変化を示す。
図6(b)は、
図1のAC-AC電力変換装置100のDCリンクキャパシタ電圧、DCリンクキャパシタ電流およびDCリンクキャパシタ電力の時間変化を示す。
図6(c)は、
図1のモータ回転速度、モータトルクおよびモータ電力の時間変化を示す。
【0042】
図6(a)は
図4(a)と同じであるので、説明を省略する。前述のように、モータ電力p
Mと入力電力p
Gとが一致するように制御されているため、p
Mとp
Gの波形は一致する(
図6(a)および
図6(c))。すなわちp
Mは、入力電圧v
Gの周波数f
Gの2倍の周波数2f
Gで振動する。またp
M=p
Gが成立しているため、DCリンクキャパシタ電力p
Cはゼロとなる(
図6(b))。従って、DCリンクキャパシタ電流i
Cは流れず、DCリンクキャパシタ電圧v
DCは時間的に一定な値となる。このように、本実施の形態の電圧制御によれば、DCリンク電圧に脈動Δv
DCが発生しない。従ってこれを補償するための大容量電界コンデンサは不要となる。
【0043】
モータ電力p
Mが周波数2f
Gで振動するため、モータトルクt
Mも、周波数2f
Gで振動する(
図6(c))。モータトルクt
Mが負荷トルクt
L=T
0より大きいとき負荷500は加速され、モータのエネルギーは以下の運動エネルギーE
KINに変換される。
E
KIN=1/2・J
TOT・ω
2
逆にモータトルクt
Mが負荷トルクt
L=T
0より小さいとき負荷500は減速され、負荷500が持つ運動エネルギーE
KINはモータ400に供給される。こうしてモータ400の速度ωは、平均速度Ωを中心に周波数2f
Gで振動する脈動(リップル)Δωを持つ。このモータ速度の脈動Δωは、平均モータ電力P
0、平均速度Ω、入力電圧v
Gの周波数f
GおよびイナーシャJ
TOTに依存し、以下のように表される。
【数2】
すなわち、十分大きなイナーシャを持つ負荷を適用することにより、脈動を補償してこれを抑制することができる。
【0044】
以上述べたように、実施の形態に係るAC-AC電力変換装置によれば、モータまたはその負荷のイナーシャを用いて電力脈動を補償することにより、モータの目標平均速度を出力したまま、DCリンク電圧を時間的に一定な値とすることができる。これにより、追加部品を必要とすることなく、DCリンクキャパシタの容量を低減することができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を基に説明した。この実施の形態は例示であり、種々の変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0046】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施の形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施の形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0047】
(第1変形例)
前述の実施の形態では、入力電力およびDCリンク電力の脈動をモータに入力し、モータまたはその負荷のイナーシャを用いてDCリンクの電圧脈動を補償したが、本発明はこれに限られない。例えば、DCリンクの脈動のみが抽出されて、モータに入力されてもよい。この場合も、モータまたはその負荷のイナーシャを用いてDCリンクの電圧脈動を吸収し補償することができる。
【0048】
図7は、
図1のAC-AC電力変換装置100の制御部40の変形例である制御部4010を示すブロック図である。制御部4010の部品構成は、
図5の制御部40の部品構成と共通する。以下、制御と信号の流れに関し、
図5と相違する点に焦点を当てて説明する。
【0049】
DCリンク電圧制御部42の出力端42dから出力された目標キャパシタ電力PC
*は分岐点v3で2つに分岐され、一方は、ローパスフィルタ43aに入力される。ローパスフィルタ43aは、PC
*から高周波成分を除去して目標平均キャパシタ電力<PC>*を生成し、これを出力する。ローパスフィルタ43aから出力された<PC>*は分岐点v4で2つに分岐され、一方は、速度制御部46の出力端46dから出力された目標平均インバータ出力<PINV>*と足し合わされる。その結果、目標平均整流電力<PPFC>*が、<PPFC>*=<PC>*+<PINV>*として算出される。算出された<PPFC>*は、PFC整流回路制御部44の入力端44bに入力される。分岐点v4で分岐された<PC>*の他方は、分岐点v3で分岐されたPC
*の他方から減算され、入力電力脈動pC,ACが生成される。すなわち入力電力脈動pC,ACは、目標キャパシタ電力PC
*からその脈動部分のみを抽出したものである。入力電力脈動pC,ACは、目標整流電力pPFC
*から減算されて、目標モータ電力pM
*が算出される(pM
*=pPFC
*-pC,AC)。算出されたpM
*は、インバータ制御部48の入力端48bに入力される。
【0050】
このように、インバータ制御部48に入力される目標モータ電力pM
*は、目標整流電力pPFC
*から入力電力脈動pC,ACを減算したものである。すなわち、モータ400には、DCリンクの脈動ΔpDCが入力される。モータ400は、負荷500が持つイナーシャによりこの脈動を補償する。その結果DCリンクの脈動はゼロとなり、pM=pGが成立する。すなわち、モータ電力pMは入力電力pGに一致する。
【0051】
PFC整流回路制御部44は、入力された<PPFC>*を基に目標入力電流iG
*(図示しない)を算出し、インダクタ電流差からPFC出力デューティ比dBを求め、これを出力端44cから出力する。出力されたPFC出力デューティ比dBは、パルス幅変調器(図示しない)を介してPFC整流回路10に入力されて所望の制御が実現する。
【0052】
インバータ制御部48は、入力された目標モータ電力pM
*を基にインバータ出力デューティ比dU、dVおよびdWを求め、これらをそれぞれ第1出力端48c、第2出力端48dおよび第3出力端48eから出力する。出力されたインバータ出力デューティ比dU、dVおよびdWは、パルス幅変調器(図示しない)を介してインバータ30に入力されて制御が実現する。
【0053】
このように本変形例でも、前述の実施の形態と同様、DCリンクの電圧脈動がモータで補償されることにより、モータ電力pMが入力電力pGと等しくなるように制御される。これにより、DCリンクキャパシタ電力pCはゼロとなる。
【0054】
本変形例によれば、モータの目標平均速度を出力したまま、DCリンク電圧を時間的に一定な値とすることができる。これにより、追加部品を必要とすることなく、DCリンクキャパシタの容量を低減することができる。
【0055】
(第2変形例)
前述の実施の形態では、DCリンク電圧の脈動をすべてモータを用いて補償した。しかしながら、モータによる補償には、前述のようにモータの速度が入力電圧の周波数の2倍の周波数で脈動するというトレードオフが伴う(
図6(c))。これはアプリケーションによっては好ましくない場合もある。モータ速度の脈動を抑制するために、入力電力脈動の全部でなく一部のみをモータで補償し、残りをDCリンクキャパシタで補償してもよい。
【0056】
DCリンク電圧の脈動補償に関し、モータによる寄与分の割合をk(0<k≦1)とする(以下、このkを分配係数と呼ぶ)。すなわち、
pM,AC=k・pPFC,AC
ただしpM,AC、pPFC,ACはそれぞれ、モータ電力pMと整流電力PPFCの平均値からの変動を表す(pM=<pM>+pM,AC、PPFC=<PPFC>+pPFC,AC)。
従ってモータ出力は以下のようになる。
pM=<pM>+pM,AC=<pM>+k・pPFC,AC=<PPFC>-<pc>+k・(PPFC-<PPFC>)
=k・pPFC,AC-<pc>+(1-k)・<PPFC>
分配係数kを適当な値で選択することにより、モータとDCリンクキャパシタとの間で、所望の割合でDCリンク電圧脈動の補償を分配することができる。
【0057】
図8は、
図1のAC-AC電力変換装置100の制御部40の変形例である制御部4020を示すブロック図である。制御部4020の構成は、PFC整流回路制御部44の前段に減衰器45aと、インバータ制御部48の前段に減衰器45bと、をさらに備える点で、
図5の制御部40の構成と異なる。減衰器45aは、目標平均整流電力<P
PFC>
*の強度を1-k倍に減衰させる。減衰器45bは、目標整流電力p
PFC
*の強度をk倍に減衰させる。制御部4020のその他の構成は、制御部40の構成と共通する。
【0058】
DCリンク電圧制御部42の出力端42dから出力された後ローパスフィルタ43aで高周波成分を除去された目標平均キャパシタ電力<PC>*は、分岐点v5で2つに分岐される。分岐点v5で分岐された<PC>*の一方は、速度制御部46の出力端46dから出力された目標平均インバータ出力<PINV>*に加算され、目標平均整流電力<PPFC>*が算出される。算出された<PPFC>*は、分岐点v6で2つに分岐され、一方は、PFC整流回路制御部44の入力端44bに入力される。分岐点v6で分岐された<PPFC>*の他方は、減衰器45aに入力される。<PPFC>*は、減衰器45aにより1-k倍に減衰された後、分岐点v5で分岐された<PC>*が減算される。この(1-k)・<PPFC>*-<PC>*で表される電力は、減衰器45bによりk倍に減衰された目標整流電力k・pPFC
*と加算されてpM
*として算出され、インバータ制御部48の入力端48bに入力される。すなわち、
pM
*=k・pPFC-<PC>*+(1-k)<PPFC>*
【0059】
本変形例によれば、モータとDCリンクキャパシタとの間で、所望の割合でDCリンク電圧脈動の補償を分配することができる。これにより、モータの速度の脈動を抑制しつつ、DCリンクキャパシタの容量を低減することができる。
【0060】
(第3変形例)
前述の実施の形態では、入力電圧の周波数の2倍の周波数で振動するDCリンク電圧の脈動をモータで補償することにより、DCリンク電圧の平滑化を実現した。しかしながら実際の実現形態では、DCリンク電圧の脈動が入力電圧の周波数の4倍(2次高周波)、8倍(4次高周波)、12倍(6次高周波)といった高周波成分を持つこともある。これらの高周波成分が共振することによって発生する高周波ノイズは、前述の手法だけでは完全に抑制することができない。この場合、DCリンクキャパシタ電圧の完全な平滑化は困難となる。これを解決するために、高周波ノイズを抑制するための共振制御が、DCリンク電圧制御に追加されてもよい。
【0061】
図9は、
図1のAC-AC電力変換装置100の制御部40の変形例である制御部4030を示すブロック図である。制御部4030の構成は、PFC整流回路制御部44の前段に共振制御部49をさらに備える点で、
図5の制御部40の構成と異なる。共振制御部49は、制御すべき次数の高周波の数だけ配置される。例えば
図9では、2次高周波、4次高周波および6次高周波を抑制するための3種類の共振制御部49が示されている。制御部4030のその他の構成は、制御部40の構成と共通する。
【0062】
共振制御部49には、DCリンク電圧の極性を反転した-v
DCが入力される。共振制御部49の各々は、以下の関数G
R,n(s)を用いて高周波を制御し、DCリンク電圧の各次数の高周波に関する目標キャパシタ電力を出力する。
【数3】
ここでゲインをK
I、高周波の次数をnとおいた。
共振制御部49からは、各次数の高周波に関する目標キャパシタ電力が出力される。出力された各次数の高周波に関する目標キャパシタ電力は、DCリンク電圧制御部42から出力された目標キャパシタ電力に加算される。これにより高周波ノイズが抑制された目標キャパシタ電力P
C
*が生成される。その他の制御と信号の流れは、
図5の制御部40と共通である。
【0063】
本変形例によれば、DCリンクの電圧脈動の高周波ノイズを抑制することができ、より高い精度でDCリンク電圧を平滑化することができる。
【0064】
(第4変形例)
前述の実施の形態では、DCリンク電圧は入力電圧と同じであった。本発明の電圧制御によれば、DCリンクの直流電圧の脈動が抑制されているため、例えばDCリンクの後段に直流昇圧回路を配置することにより、目標DCリンク電圧を入力電圧より高い値に設定することができる。
【0065】
図10は、
図1のAC-AC電力変換装置100の変形例であるAC-AC電力変換装置110を示すブロック図である。AC-AC電力変換装置110は、DCリンク20の後段に昇圧回路70をさらに備えており、その他の構成はAC-AC電力変換装置100の構成と共通する。
【0066】
昇圧回路70は、モータ400によって脈動が補償されて平滑化されたDCリンク電圧を昇圧する。一例として昇圧回路70は、単相電源300から供給された200Vの単相交流電圧に関し、平滑化された200VのDCリンク電圧を2倍に昇圧して400Vの整流電圧を生成し、これをインバータ30に入力する。インバータ30は、400Vの3相交流電圧を生成する。
【0067】
本変形例によれば、入力単相交流電圧より高い三相交流電圧を得ることができる。
【0068】
(第5変形例)
本発明の一変形例は、AC-AC電力変換システムを制御する方法である。すなわち本発明のある態様の方法は、AC-AC電力変換システムを制御する方法であって、AC-AC電力変換システムは、単相交流電圧を整流して整流電圧を生成する整流回路と、整流電圧から三相交流電圧を生成するインバータと、整流回路とインバータとの間の中間段階としてのDCリンクキャパシタと、を備え、該方法は、単相交流電圧から正弦波の入力電流を生成するステップと、平均入力電力および入力電力の脈動をインバータの出力側に供給するステップと、整流電圧を基準整流電圧に一致させるステップと、を備える。
【0069】
(第6変形例)
本発明の一変形例は、AC-AC電力変換システムを制御する方法である。すなわち本発明のある態様の方法は、AC-AC電力変換システムを制御する方法であって、AC-AC電力変換システムは、単相交流電圧を整流して整流電圧を生成する整流回路と、整流電圧から三相交流電圧を生成するインバータと、入力電力の脈動の一部を補償するためのDCリンクキャパシタと、を備え、該方法は、単相交流電圧から正弦波の入力電流を生成するステップと、平均入力電力および入力電力の脈動の調整可能な部分をインバータの出力側に供給するステップと、平均整流電圧を基準整流電圧に一致させるステップと、を備える。
【0070】
本発明の第5変形例または第6変形例に係る方法では、三相の外部機器がインバータに接続されており、三相の外部機器のイナーシャおよびその負荷により出力電力の脈動が補償され、該方法は、三相の外部機器の平均回転速度を基準回転速度に一致させるステップをさらに備えてよい。
【0071】
本発明の第5変形例または第6変形例に係る方法では、AC-AC電力変換システムは整流器に代えて三相整流器を備え、三相整流器は三相電源に接続されており、該方法は、三相電源内にアンバランスが生じた場合に発生する入力電力脈動を補償するステップをさらに備えてよい。
【0072】
本発明の第5変形例または第6変形例に係る方法では、AC-AC電力変換システムは、低周波歪を低減するための共振制御部をさらに備えていてよい。
【0073】
本発明の第6変形例に係る方法では、時間および負荷の条件に応じて、入力電力の脈動を、外部機器とDCリンクとに分散して出力するステップをさらに備えてよい。
【符号の説明】
【0074】
100・・AC-AC電力変換装置、 10・・PFC整流回路、 20・・DCリンク、 30・・インバータ、 40・・制御部、 42・・DCリンク電圧制御部、 44・・PFC整流回路制御部、 46・・速度制御部、 48・・インバータ制御部、 300・・単相電源、 400・・モータ、 500・・負荷