(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】バッテリー電流を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20221007BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20221007BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221007BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221007BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/00 302C
H02J7/10 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018042877
(22)【出願日】2018-03-09
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500521843
【氏名又は名称】オーツー マイクロ, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グオシン・リ
【審査官】猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-316237(JP,A)
【文献】特開2010-110200(JP,A)
【文献】特開2014-143808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0222117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02J 7/10
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーパックを備えるバッテリーシステムであって、前記複数のバッテリーパックのうちのバッテリーパックが、
バッテリーと、
前記バッテリーのバッテリー電圧および前記バッテリーパックの入力電圧を感知する電圧感知回路と、
前記電圧感知回路に結合された制御回路であって、前記バッテリーパックに関連した属性データと、前記バッテリー電圧と前記入力電圧の間の差とに基づいて、参照信号のレベルを調節するように動作可能な制御回路と、
前記バッテリーを通してバッテリー電流を流すように動作可能な制御スイッチと、
前記制御回路および前記制御スイッチに結合された電流調整回路であって、前記参照信号に応じて前記制御スイッチを制御して前記バッテリー電流を調整するように動作可能な電流調整回路とを備え
、
前記電流調整回路が、
前記バッテリー電流を表す感知信号を前記参照信号と比較して比較結果を生成する比較回路を備え、
前記制御スイッチが前記比較結果に応じて制御されるバッテリーシステム。
【請求項2】
前記バッテリー電圧と前記入力電圧の間の前記差が減少すると、前記制御回路が前記参照信号を増加させる請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項3】
前記バッテリーパックが、
前記バッテリー電流を感知する電流感知要素をさらに備え、前記バッテリー電流が閾値未満に減少すると、前記制御回路が前記制御スイッチを完全にオンにする請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項4】
前記電流調整回路が、
前記バッテリー電流を表す感知信号を前記参照信号と比較して比較結果を生成する比較回路と、
前記比較回路に結合された電流生成回路であって、前記制御スイッチの制御端子を充電するかまたは放電させるための制御電流を生成し、それによって前記バッテリー電流に目標平均レベルを与えるように調節する電流生成回路であって、
プリセット電流を生成して前記制御端子を充電する電流源と、
前記電流源に結合された電流調整器であって、前記プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込んで、前記比較結果に応じて前記制御電流を調整する電流調整器と
を備える電流生成回路と、を備える請求項1に記載のバッテリーシステム。
【請求項5】
前記電流調整器は、調整信号の制御下でシンク電流を通して前記プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込む、前記制御端子に結合された第1のスイッチを備え、前記比較回路は、増幅器であって、補償電流を生成し、前記感知信号と前記参照信号の間の差に応じて前記第1のスイッチに結合されている補償キャパシタを充電するかまたは放電させて前記調整信号を制御する増幅器を備える請求項
4に記載のバッテリーシステム。
【請求項6】
前記増幅器が、前記感知信号が前記参照信号よりも小さければ前記シンク電流を減少させ、前記感知信号が前記参照信号よりも大きければ前記シンク電流を増加させ、前記シンク電流を前記プリセット電流のレベルに維持することにより、前記感知信号を前記参照信号のレベルに維持する請求項
5に記載のバッテリーシステム。
【請求項7】
複数のバッテリーパックを備えるバッテリーシステムであって、前記複数のバッテリーパックのうちのバッテリーパックが、
バッテリーと、
前記バッテリーのバッテリー電圧および前記バッテリーパックの入力電圧を感知する電圧感知回路と、
前記電圧感知回路に結合された制御回路であって、前記バッテリーパックに関連した属性データと、前記バッテリー電圧と前記入力電圧の間の差とに基づいて、参照信号のレベルを調節するように動作可能な制御回路と、
前記バッテリーを通してバッテリー電流を流すように動作可能な制御スイッチと、
前記制御回路および前記制御スイッチに結合された電流調整回路であって、前記参照信号に応じて前記制御スイッチを制御して前記バッテリー電流を調整するように動作可能な電流調整回路とを備え、
前記制御回路が、ホストコントローラからの指令に応じて前記制御スイッチを制御するようにさらに動作可能である、バッテリーシステム。
【請求項8】
バッテリーパックのバッテリー電圧を感知するステップと、
前記バッテリーパックの入力電圧を感知するステップと、
前記バッテリーパックに関連した属性データと、前記バッテリー電圧と前記入力電圧の間の差とに基づいて参照信号のレベルを調節するステップと、
前記参照信号に応じて制御スイッチを制御して、前記制御スイッチおよび前記バッテリーパックのバッテリーを流れるバッテリー電流を調整するステップとを含
み、
前記バッテリー電流を表す感知信号を前記参照信号と比較して比較結果を生成するステップと、
前記比較結果に応じて前記制御スイッチを制御するステップとをさらに含む方法。
【請求項9】
前記バッテリー電圧と前記入力電圧の間の前記差が減少すると、前記参照信号を増加させるステップをさらに含む請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記バッテリー電流を感知するステップと、
前記バッテリー電流が閾値未満に減少すると前記制御スイッチを完全にオンにするステップとをさらに含む請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記バッテリー電流を表す感知信号を前記参照信号と比較して比較結果を生成するステップと、
前記制御スイッチの制御端子を充電するかまたは放電させるための制御電流を生成することによって前記バッテリー電流に目標平均レベルを与えるように調節するステップであって、前記制御電流を生成する前記ステップが、
プリセット電流を生成して前記制御端子を充電するステップと、
前記プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込んで、前記比較結果に応じて前記制御電流を調整するステップとをさらに含む請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込んで、前記比較結果に応じて前記制御電流を調整する前記ステップが、
前記制御端子に結合され、前記プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込むためのシンク電流を通して前記制御電流を調整する第1のスイッチを制御するための調整信号を生成するステップと、
前記感知信号と前記参照信号の間の差に応じて補償電流を生成して、前記第1のスイッチに結合されている補償キャパシタを充電するかまたは放電させて前記調整信号を制御するステップとを含む請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記感知信号が前記参照信号よりも小さければ前記シンク電流を減少させるステップと、
前記感知信号が前記参照信号よりも大きければ前記シンク電流を増加させるステップと、
前記シンク電流を前記プリセット電流のレベルに維持することにより、前記感知信号を前記参照信号のレベルに維持するステップとをさらに含む請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
バッテリーおよび制御スイッチを通って流れるバッテリー電流を表す感知信号を参照信号と比較して比較結果を生成する比較回路と、
前記比較回路に結合された電流生成回路であって、前記制御スイッチの制御端子を充電するかまたは放電するための制御電流を生成し、それによって前記バッテリー電流に目標平均レベルを与えるように調節する電流生成回路であって、
プリセット電流を生成して前記制御端子を充電する電流源と、
前記電流源に結合された電流調整器であって、前記プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込んで、前記比較結果に応じて前記制御電流を調整する電流調整器とを備える電流生成回路と、を備えるバッテリー管理モジュール。
【請求項15】
前記制御スイッチが電界効果トランジスタを備え、前記制御端子が前記電界効果トランジスタのゲート端子を備え、前記制御電流が前記ゲート端子を充電して前記電界効果トランジスタのゲート電圧を増加させ、それによって前記バッテリー電流を増加させる請求項
14に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項16】
前記電流調整器が前記制御端子に結合された第1のスイッチを備え、前記第1のスイッチは、オンになったとき、前記プリセット電流を吸い込んで前記制御端子を放電させ、前記感知信号が前記参照信号よりも大きければ前記比較回路が前記第1のスイッチをオンにする請求項
14に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項17】
前記電流調整器は、調整信号の制御下でシンク電流を通して前記プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込む、前記制御端子に結合された第2のスイッチを備え、前記比較回路は、増幅器であって、補償電流を生成し、前記感知信号と前記参照信号の間の差に応じて、前記第2のスイッチに結合されている補償キャパシタを充電するかまたは放電させて前記調整信号を制御する増幅器を備える請求項
14に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項18】
前記増幅器が、前記感知信号が前記参照信号よりも小さければ前記シンク電流を減少させ、前記感知信号が前記参照信号よりも大きければ前記シンク電流を増加させて、前記シンク電流を前記プリセット電流のレベルに維持することにより、前記感知信号を前記参照信号のレベルに維持する請求項
17に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項19】
前記電流生成回路が、第1の時間間隔中に、前記制御端子を充電することにより前記バッテリー電流が前記バッテリーを通って流れることを可能にし、第2の時間間隔中に、前記制御端子を放電させることにより前記バッテリー電流を抑止して、前記バッテリー電流を交互に有効にしたり抑止したりする請求項
14に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項20】
前記制御スイッチが、電源からの充電電流を通して前記バッテリーを充電する充電スイッチを備え、前記バッテリー管理モジュールが、前記バッテリーの電圧が増加すると前記第1の時間間隔と前記第1の時間間隔と前記第2の時間間隔の合計との比を増加させる制御回路をさらに備える請求項
19に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項21】
前記制御スイッチが、前記バッテリーからの放電電流を通して負荷を給電する放電スイッチを備え、前記バッテリー管理モジュールが、前記負荷の状態に応じて前記第1の時間間隔と前記第1の時間間隔と前記第2の時間間隔の合計との比を制御する制御回路をさらに備える請求項
19に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項22】
前記制御電流が、前記バッテリー電流が前記参照信号によって決定された範囲内にあれば前記制御端子を充電し、前記バッテリー電流が前記範囲の外にあれば前記制御端子の充電を終結し、前記バッテリー管理モジュールが、前記参照信号を調節することによって前記目標平均レベルを調節する制御回路をさらに備える請求項
14に記載のバッテリー管理モジュール。
【請求項23】
前記制御回路が、前記バッテリーの電圧が増加すると、前記参照信号を増加させて前記目標平均レベルを増加させる請求項
22に記載のバッテリー管理モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー電流を制御するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は従来のバッテリー管理モジュール100を示す。バッテリー管理モジュール100において、バッテリー102のバッテリー電圧が通常の動作範囲内にあれば、バッテリー管理ユニット(BMU)104は、充電スイッチN
CHGをオンにして通常の充電電流I
CHGを通し、バッテリー102を充電することができる。バッテリー電圧が通常の動作範囲未満であると、たとえばバッテリー102が過放電し(over-drained)、BMU 102は、予充電スイッチP
CHGをオンにして、たとえばトリクル電流といった予充電電流I
PCHGを通し、バッテリー102を充電する。予充電スイッチP
CHGに結合された予充電抵抗R
PCHGは、過放電したバッテリー102を保護するために、予充電電流I
PCHGを比較的小さい値に制御するように、比較的大きい抵抗値を有する。
【0003】
バッテリー管理モジュール100にはいくつかの短所がある。たとえば、予充電電流IPCHGは、IPCHG=(VPACK+-VBATT)/RPCHGによって示すことができ、この式で、VPACK+は入力端子PACK+の電圧を表し、VBATTはバッテリー102のプラス端子の電圧を表す。したがって、バッテリー電圧VBATTが増加すると予充電電流IPCHGが減少し、これによって予充電プロセスが低速化する。加えて、予充電電流IPCHGが予充電抵抗RPCHGを流れるとき、予充電抵抗RPCHGがさらなる電力を消費する。その上、予充電抵抗RPCHGおよび予充電スイッチPCHGは、入力電圧VPACK+とバッテリー電圧VBATTの間の高電圧差を維持することができる大電力素子であるため、比較的割高であり、バッテリー管理モジュール100のコストが増加する。その上、予充電抵抗RPCHGおよび予充電スイッチPCHGのために、バッテリー管理モジュール100のPCBサイズが増大する。
【0004】
前述の短所に対処するバッテリー管理モジュールは有益であると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
バッテリーシステムは複数のバッテリーパックを備える。複数のバッテリーパックのうちのバッテリーパックは、バッテリー、電圧感知回路、制御回路、制御スイッチ、および電流調整回路を含む。電圧感知回路は、バッテリーのバッテリー電圧およびバッテリーパックの入力電圧を感知する。制御回路は、感知回路に結合されており、バッテリーパックに関連した属性データと、バッテリー電圧と入力電圧の間の差とに基づいて、参照信号のレベルを調節するように動作可能である。制御スイッチは、バッテリーを通してバッテリー電流を流すように動作可能である。電流調整回路は、制御回路および制御スイッチに結合されており、参照信号に応じて制御スイッチを制御してバッテリー電流を調整するように動作可能である。
【0006】
図面を参照しながら、以下の詳細な説明が進むにつれて、特許請求された主題の実施形態の特徴および利点が明瞭になるはずであり、類似の数字は類似の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】従来のバッテリー管理モジュールのトポロジを示す図である。
【
図2A】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールのトポロジの一例を示す図である。
【
図2B】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールのトポロジの一例を示す図である。
【
図3A】本発明の一実施形態における
図2Bのバッテリー管理モジュールの信号波形の一例を示す図である。
【
図3B】本発明の一実施形態における
図2Bのバッテリー管理モジュールの信号波形の一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールのトポロジの一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態におけるバッテリーシステムのトポロジの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールの動作例の流れ図である。
【
図7】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールのトポロジの一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールのトポロジの一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールのトポロジの一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態における拡張可能なバッテリーシステムのトポロジの一例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュールの動作例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照する。本発明は、これらの実施形態とともに説明されるが、実施形態は本発明をそれらの実施形態に限定する意図はないことが理解されよう。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲に含まれ得る代替形態、修正形態および等価物を対象として含むように意図されている。
【0009】
その上、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解をもたらすために、多くの特別な細部が説明される。しかしながら、本発明は、これらの特別な細部なしで実施され得ることが当業者には理解されよう。他の事例では、公知の方法、手順、構成要素、および回路は、本発明の態様を不必要に不明瞭にすることのないように、詳細には説明されない。
【0010】
本発明の一実施形態では、バッテリー管理モジュールは、バッテリーの状態に応じて充電スイッチを制御してバッテリーを充電することができる。たとえば、バッテリー管理モジュールは、バッテリー電圧が通常の動作範囲内にあれば、充電スイッチを完全にオンにして、通常の充電モードで動作させることができる。バッテリー管理モジュールは、バッテリー電圧が通常の動作範囲未満であれば、充電スイッチを交互にオン/オフして、予充電モードで動作させることもできる。予充電モードでは、バッテリー管理モジュールは、バッテリー電圧が増加するにつれて、充電スイッチを流れる予充電電流を増加させてよい。その結果、本発明の一実施形態のバッテリー管理モジュールは、従来のバッテリー管理モジュール100と比較して予充電プロセスを速めることができる。加えて、
図1において言及された予充電抵抗R
PCHGおよびスイッチP
CHGが省略され、したがって、本発明の一実施形態のバッテリー管理モジュールは、従来のバッテリー管理モジュール100と比較して、消費電力をより小さくすることができ、より低コストであり、より小さいPCBサイズを有する。
【0011】
図2Aは、本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュール200の一例のトポロジを示す。バッテリー管理モジュール200はバッテリーパックに統合され得る。一実施形態では、バッテリー管理モジュール200は、バッテリー202(たとえば複数のバッテリーセルを含む)、制御スイッチ220(たとえば充電スイッチまたは放電スイッチ)、電流感知要素(たとえば抵抗R
SENを含む)、およびバッテリー管理ユニット(BMU)204を含む。
図2Aの例では、たとえば充電スイッチといった制御スイッチ220は、入力端子PACK+に結合された電源(図示せず)からの、たとえば予充電電流といったバッテリー電流I
CHGを通して、バッテリー202を充電することができる。BMU 204は、感知抵抗R
SENから、たとえばバッテリー電流I
CHGを表す電圧信号といった第1の感知信号V
SENを受け取り、バッテリー202の電圧V
BATTを表す第2の感知信号を受け取って、これらの感知信号に応じて制御スイッチ220を制御することができる。
【0012】
より具体的には、一実施形態では、BMU 204は、比較回路214、電流生成回路238、制御回路212(たとえば制御論理を有する)、バッテリー電圧(VBATT)感知回路208、および入力電圧(VPACK)感知回路210を含む。比較回路214は、感知信号VSENを参照信号222と比較して、たとえば信号ライン236および/または信号ライン224に比較結果を生成することができる。電流生成回路238は、比較結果に応じて制御電流ICTLを生成して制御スイッチ220の制御端子GCを充放電し、それによってバッテリー電流ICHGに目標の平均レベルを与えるように調節することができる。例として、制御スイッチ220は、たとえば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタといった電界効果トランジスタを含み、制御端子GCは電界効果トランジスタのゲート端子を含む。制御電流ICTLは、ゲート端子GCを充電して制御スイッチ220のゲート電圧VGを増加させてスイッチ220を部分的にオンにすることができ、それによってバッテリー電流ICHGを増加させる。制御電流ICTLは、ゲート端子GCを放電させてゲート電圧VGを低下させることもでき、それによって制御スイッチ220をオフにして、バッテリー電流ICHGを抑止する/遮断する。したがって、バッテリー電流ICHGの平均レベルは、制御電流ICTLを調節することによって調節され得る。前述の比較結果は、電流生成回路238に供給され得て、バッテリー電流ICHGに目標平均レベルを与えるように制御電流ICTLを調節する。
【0013】
加えて、一実施形態では、制御回路212は、感知抵抗RSENならびに感知回路208および210によってバッテリー電流ICHG、バッテリー電圧VBATT、および入力電圧VPACK+を監視して、監視された情報に応じて目標平均レベルを制御する。例として、電流生成回路238は、第1の時間間隔TONにおいて、制御端子GCを充電することによってバッテリー電流ICHGがバッテリー202を流れることを可能にし、第2の時間間隔TOFFにおいて、制御端子GCを放電させることによってバッテリー電流ICHGを抑止し/遮断し、監視されたバッテリー電流ICHGに応じて、バッテリー電流ICHGを、交互に有効にしたり抑止したりする。制御回路212は、第1の時間間隔の、第1の時間間隔と第2の時間間隔の合計TCYC(たとえばTCYC=TON+TOFF)に対する比(たとえばTON/TCYC)を増加させることができ、それによって、バッテリー電圧VBATTが増加した場合、またはバッテリー電圧VBATTと入力電圧VPACK+の間の差が減少した場合、目標の平均レベルを増加させる。
【0014】
したがって、バッテリー管理モジュール200における、たとえば、バッテリー電圧V
BATTがバッテリー202の過放電した電圧レベルから通常の動作範囲の電圧レベルまで増加する、予充電プロセスのための時間が、従来のバッテリー管理モジュール100のものよりも短くなり得る。加えて、バッテリー管理モジュール200では、
図1において言及された予充電抵抗R
PCHGおよびスイッチP
CHGが省略され得、したがって、バッテリー管理モジュール200は、従来のバッテリー管理モジュール100と比較して、消費電力をより小さく、コストをより低くすることができ、より小さいPCBサイズを有する。
【0015】
一実施形態では、電流生成回路238は、電流源206、チャージポンプ218、および電流調整器216を含む。電流源206は、制御端子GCを充電するためのプリセット電流ISRCを生成することができる。一実施形態では、電流源206は、プリセット電流を供給することができる限り、任意の構造を有することができる。たとえば、電流源206は電流ミラーを含み得る。別の例については、電流源206は、プリセット電圧が印加されている抵抗素子(たとえば抵抗)を含み得る。さらに別の例については、電流源206は、ゲートとソースの間にプリセット電圧が印加されている電界効果トランジスタを含み得る。さらに別の例については、電流源206は、プリセット差動入力電圧が印加されている演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)を含み得る。一実施形態では、チャージポンプ218は、バッテリー電圧VBATTよりも高い供給電圧を供給して、電流源206に給電することができる。加えて、電流調整器216は、プリセット電流ISRCの少なくとも一部分を吸い込むことができ、比較回路214からの比較結果に応じて制御電流ICTLを調整する。たとえば、バッテリー電流ICHGが、たとえば前述の参照信号222によって指示された参照電流レベル未満であることを比較結果が示す場合には、電流調整器216がオフにされ得て、プリセット電流ISRCで制御端子GCを充電することができる。バッテリー電流ICHGが参照電流レベルよりも大きいことを比較結果が示す場合には、電流調整器216は、シンク電流IBPを生成して、プリセット電流ISRCの少なくとも一部分を吸い込む。一実施形態では、シンク電流IBPがプリセット電流ISRC未満であると、制御電流ICTLが制御端子GCを充電することができ、バッテリー電流ICHGを増加させる。シンク電流IBPがプリセット電流ISRCよりも大きければ、制御電流ICTLが制御端子GCを放電させることもでき、バッテリー電流ICHGを減少させる。制御電流ICTLは、シンク電流IBPがプリセット電流ISRCのレベルにとどまっていれば制御端子GCの充電および放電を終結することもでき、バッテリー電流ICHGを維持する。したがって、電流調整器216は、シンク電流IBPを制御することによってバッテリー電流ICHGを調整することができる。
【0016】
図2Bは、本発明の一実施形態における電流調整器216および比較回路214の例示の回路図を示す。
図2Bは
図2Aと組み合わせて説明される。
図2Bに示されるように、電流調整器216は、第1のスイッチSW1、第2のスイッチSW2(たとえば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを含む)、補償キャパシタ230、および放電スイッチ234を含み、比較回路214は、比較器214Aと、たとえば演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)といった増幅器214Bと、基準電圧源226および228とを含む。一実施形態では、バッテリー管理モジュール200'は、感知抵抗R
SENに応じて第1のモードまたは第2のモードで選択的に動作することができる。例として、感知抵抗R
SENが小さすぎる、たとえば指定された抵抗値よりも小さい場合には、バッテリー管理モジュール200'は第1のモードで動作し、制御回路212は、比較器214AおよびスイッチSW1と協働してバッテリー電流I
CHGを調節する。感知抵抗R
SENが小さすぎない、たとえば指定された抵抗値よりも大きい場合には、バッテリー管理モジュール200'は第2のモードで動作し、制御回路212は、増幅器214BおよびスイッチSW2と協働してバッテリー電流I
CHGを調節する。
【0017】
より具体的には、一実施形態における第1のモードでは、電圧源226が第1の参照電圧VCOCを供給し、比較器214Aが、感知信号VSENを参照電圧VCOCと比較して、たとえば論理信号といった比較結果SCOCを生成する。感知信号VSENが参照電圧VCOCよりも大きければ、制御回路212は、比較結果SCOCによってスイッチSW1をオンにすることができる。一実施形態では、スイッチSW1とSW2の両方がオフになったとき、プリセット電流ISRCが制御端子GCを充電することができ、バッテリー電流ICHGを増加させる。スイッチSW1は、オンになったとき、プリセット電流ISRCを吸い込んで制御端子GCを放電させることができる。そのような一実施形態では、制御回路212は、スイッチSW1を交互にオン/オフさせることができ、それによって、バッテリー電流ICHGに目標平均レベルを与えるように調節する。
【0018】
一実施形態における第2のモードでは、電圧源228が第2の参照電圧VCCRを供給し、増幅器214Bは、感知信号VSENと参照信号VCCRの間の差に応じて補償電流ICOMを生成し、補償キャパシタ230を充電するかまたは放電させて調整信号SCCRを制御する。調整信号SCCRは、放電スイッチ234をオンにすることによっても制御され得る。調整信号SCCRは、スイッチSW2のゲートとソースの間の電圧を制御するキャパシタ230の電圧を含む。たとえば、感知信号VSENが参照信号VCCRよりも大きければ、増幅器214Bは、電流ICOMを出力して補償キャパシタ230を充電し、調整信号SCCRを増加させる。感知信号VSENが参照信号VCCR未満であると、増幅器214Bが電流ICOMを引き込んで補償キャパシタ230を放電させ、調整信号SCCRが低下する。感知信号VSENが参照信号VCCRに等しければ、増幅器214Bによる補償キャパシタ230の充放電はなく、調整信号SCCRが維持される。放電スイッチ234がオンになると、補償キャパシタ230が放電され得て調整信号SCCRを引き下げる。一実施形態では、スイッチSW2は、シンク電流ISINKを、たとえば電流源206から低電圧端子(たとえば基準接地)へ通すことができ、調整信号SCCRの制御下でプリセット電流ISRCの少なくとも一部分を吸い込む。たとえば、シンク電流ISINKは、調整信号SCCRが増加すると増加し、調整信号SCCRが減少すると減少し、調整信号SCCRが変わらなければ変わらない。加えて、制御電流ICTLは、シンク電流ISINKがプリセット電流ISRC未満であると、制御端子GCを充電してバッテリー電流ICHGを増加させ、シンク電流ISINKがプリセット電流ISRCよりも大きければ、制御端子GCを放電させてバッテリー電流ICHGを減少させることができる。そのような一実施形態では、制御回路212は、調整信号SCCRを増減することができ、それによって、バッテリー電流ICHGに目標平均レベルを与えるように調節する。
【0019】
図2Bの例では、バッテリー管理モジュール200'は、スイッチSW1およびSW2と、比較器214Aと、増幅器214Bとを含み、したがって、異なる電流感知抵抗を有するより多くのバッテリーパックに適合する。しかしながら、本発明がそのように限定されることはない。別の実施形態では、バッテリー管理モジュールはスイッチSW1および比較器214Aを含むことができ、スイッチSW2および増幅器214Bは含まない。さらに別の実施形態では、バッテリー管理モジュールはスイッチSW2および増幅器214Bを含むことができ、スイッチSW1および比較器214Aは含まない。
【0020】
図3Aは、本発明の一実施形態における前述の第1のモードのバッテリー電流I
CHGの信号波形の一例を示す。
図3Aは、
図2Aおよび
図2Bと組み合わせて説明される。
図3Aの例では、第1の時間間隔T
ON1の間、バッテリー電流I
CHGは参照信号V
COCによって決定された範囲内にあり、たとえばI
COC=V
COC/R
SENによって与えられる第1の参照電流レベルI
COC未満である。したがって、スイッチSW1がオフになり、制御スイッチ220の制御端子G
Cが制御電流I
CTLによって充電されて、バッテリー電流I
CHGを増加させる。バッテリー電流I
CHGが範囲外まで増加して、たとえば電流レベルI
COC以上になったとき、制御回路212が比較結果S
COCによって制御されてスイッチSW1をオンにする。その故に、制御電流I
CTLが、制御端子G
Cを放電させて制御スイッチ220をオフにする。第2の時間間隔T
OFF1中に、バッテリー電流I
CHGはたとえばゼロアンペアまで減少する。したがって、バッテリー電流I
CHGの平均レベルI
AVEは、I
AVE=0.5I
COC×T
ON1/T
CYC1によって与えられ得、T
CYC1は、たとえば時間間隔T
ON1とT
OFF1の合計といった、バッテリー電流I
CHGのサイクル期間を表す。
【0021】
一実施形態では、制御回路212は、平均レベルI
AVEを調節することによって比T
ON1/ T
CYC1を調節する。たとえば、バッテリー電圧V
BATTが増加した場合、またはバッテリー電圧V
BATTと入力電圧V
PACK+の間の差が減少した場合、制御回路212は、(たとえばサイクル期間T
CYC1を減少させて)比T
ON1/T
CYC1を増加させることにより、平均電流I
AVEを増加させることができる。別の実施形態では、制御回路212は、平均レベルI
AVEを調節することによって参照電圧V
COCを調節する。たとえば、制御回路212は、バッテリー電圧V
BATTが上昇すると、参照電圧V
COCを増加させて平均レベルI
AVEを増加させることができる。その結果、本発明の実施形態における予充電プロセスの時間は、
図1に関連して説明された従来の予充電プロセスの時間未満になり得る。
【0022】
一実施形態では、感知抵抗RSENは比較的小さくてよく、たとえば指定された抵抗値未満でよい。有利には、前述の第1のモードでは、バッテリー管理モジュール200'は、抵抗値RSENが比較的小さくてもバッテリー電流ICHGを比較的正確に調節することができる。その理由は、感知信号VSENのピーク電圧レベル(たとえばバッテリー電流ICHGのピーク電流レベルを表す)を参照電圧VCOCと比較することによって比較結果SCOCが生成され、このピーク電圧レベルは、感知抵抗RSENの抵抗値が比較的小さくても、比較器214Aを比較的正確に制御するほど十分に高いものであり得るからである。
【0023】
図3Bは、本発明の一実施形態における前述の第2のモードのバッテリー電流I
CHGの信号波形の一例を示す。
図3Bは、
図2Aおよび
図2Bと組み合わせて説明される。
図3Bの例では、第1の時間間隔T
ON2の間、バッテリー電流I
CHGは参照信号V
CCRによって決定された範囲内にあり、たとえばI
CCR=V
CCR/R
SENによって与えられる第2の参照電流レベルI
CCR未満である。したがって、スイッチSW2がオフになり、制御スイッチ220の制御端子G
Cが制御電流I
CTLによって充電されて、バッテリー電流I
CHGを増加させる。バッテリー電流I
CHGが範囲外まで増加して、たとえば電流レベルI
CCR以上になったとき、制御電流I
CTLは制御端子G
Cの充電を終結することができる。一実施形態では、バッテリー電流I
CHGが電流レベルI
CCRまで増加したとき、バッテリー管理モジュールは、たとえば
図3Bに示された第3の時間間隔T
CCの間、定常状態になり得る。定常状態では、感知信号V
SENは実質的に参照電圧レベルV
CCRにとどまり、たとえばバッテリー電流I
CHGは実質的に電流レベルI
CCRにとどまる。例として、感知信号V
SENが参照電圧V
CCRよりも大きく、たとえばバッテリー電流I
CHGが電流レベルI
CCRよりも大きければ、調整信号S
CCRによってシンク電流I
SINKが増加されてプリセット電流I
SRCよりも大きくなり、それによって感知信号V
SENが減少する。感知信号V
SENが参照電圧V
CCRよりも小さく、たとえばバッテリー電流I
CHGが電流レベルI
CCRよりも小さければ、調整信号S
CCRによってシンク電流I
SINKが減少されてプリセット電流I
SRCよりも小さくなり、それによって感知信号V
SENを増加させる。したがって、定常状態では、増幅器214Bは、シンク電流をプリセット電流I
SRCのレベルに維持することができ、それによって感知信号V
SENを参照電圧V
CCRのレベルに維持し、たとえばバッテリー電流I
CHGを電流レベルI
CCRに維持する。一実施形態では、第2の時間間隔T
OFF2の間、制御回路212は放電スイッチ234をオンにすることによってシンク電流I
SINKを抑止することができる。
【0024】
図3Bの例では、バッテリー電流I
CHGの平均レベルI
AVEは、第1の時間間隔T
ON2、バッテリー電流I
CHGのサイクル期間T
CYC2、および/または参照電圧V
CCRを調節することによって調節され得る。たとえば、バッテリー電圧V
BATTが増加すると、制御回路212は、第1の時間間隔T
ON2を増加させ、かつ/またはサイクル期間T
CYC2を減少させ、かつ/または参照電圧V
CCRを増加させることができ、それによってバッテリー電流I
CHGの平均レベルI
AVEを増加させる。その結果、本発明の実施形態における予充電プロセスの時間は、
図1に関連して説明された従来の予充電プロセスの時間未満になり得る。
【0025】
一実施形態では、感知抵抗RSENは、比較的小さくなく、たとえば指定された抵抗値よりも大きいものでよく、したがって、感知信号VSENは、バッテリー電流ICHGが比較的小さくても、増幅器214Bを適切に制御するほど十分に大きくなり得る。そのような一実施形態では、バッテリー管理モジュール200'は、前述の第2のモードで動作することができ、第1の時間間隔TON2の間はバッテリー電流ICHGを増加させ、第3の時間間隔TON2の間はバッテリー電流ICHGを電流レベルICCRに維持し、第2の時間間隔TOFF2の間はバッテリー電流ICHGを抑止する。一実施形態では、バッテリー管理モジュール200'は、第2のモードでは、第1のモードと比較して、バッテリー電流ICHGの平均レベルIAVEをより正確に制御し得る。一実施形態では、第2のモードの参照電流レベルICCR(たとえばICCR=VCCR/RSEN)は、第1のモードの参照電流レベルICOC(たとえばICOC=VCOC/RSEN)未満である。
【0026】
上記で論じられたように、バッテリー管理モジュール200'は、感知抵抗RSENに応じて第1のモードまたは第2のモードで選択的に動作することができる。しかしながら、本発明はそのように限定されることなく、別の実施形態では、バッテリー管理モジュール200'は、第1のモードと第2のモードで並行して動作し得る。例として、比較器214Aと増幅器214Bは比較プロセスを並行して遂行することができ、第1の参照信号VCOCは第2の参照信号VCCRよりも大きく設定される。一実施形態では、バッテリー電流ICHGが円滑に変化する場合、バッテリー電流ICHGは、増幅器214Bとキャパシタ230を組み合わせた回路によって調節され得る。別の実施形態では、バッテリー電流ICHGが急速に変化する場合、バッテリー電流ICHGの中に、たとえば過渡電流、衝撃電流などが存在し、増幅器214Bとキャパシタ230と組み合わせた回路は、応答速度が低いので、バッテリー電流ICHGを適切に調節することができない可能性がある。そのような一実施形態では、バッテリー電流ICHGは比較器214Aによって調節され得る。たとえば、バッテリー電流ICHGが非常に急速に増加するために、増幅器214Bがバッテリー電流ICHGを前述の第2の参照電流レベルICCR(たとえば第2の参照信号VCCRによって決定される)に維持することができない場合、バッテリー電流ICHGが前述の第1の参照電流レベルICOCまで増加するとき、比較器214Aがバッテリー電流ICHGを減少させることができる。その結果、バッテリー電流ICHGが適切に調節され得る。
【0027】
前述のように、本発明の実施形態では、バッテリー管理モジュール200'は、時間間隔TON1、TCYC1、TON2、TCC、および/またはTCYC2、ならびに/あるいは参照電圧VCOCおよび/またはVCCRなどの調節可能パラメータを調節することにより、バッテリー電流ICHGの平均レベルIAVEを調節することができる。加えて、本発明の実施形態では、調節可能パラメータは、最高接合部温度、接合部周囲間係数(junction-to-ambient factor)、および室温における最大のパルス消費電力など、制御スイッチ220(たとえば充電スイッチまたは放電スイッチ)の性能パラメータに基づいて調節され得る。制御スイッチ220に対する最高の許容温度上昇を設定した後、最大の許容平均消費電力が、性能パラメータに基づいて推定され得る。一実施形態では、第1の時間間隔TON1もしくはTON2、または制御スイッチ220のデューティサイクル、または参照電圧VCOCもしくはVCCRは、制御スイッチ220の平均消費電力が前述の最大の許容平均消費電力未満である限り、できるだけ大きく設定され得る。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュール400の一例のトポロジを示す。
図4は、
図2A、
図2B、
図3A、および
図3Bと組み合わせて説明される。
図4の例では、放電スイッチ420は、バッテリー管理モジュール400によって、バッテリー202の放電を制御するように制御され、放電スイッチ420の制御は、
図2A、
図2B、
図3A、および
図3Bに関連して説明された充電スイッチ220の制御に類似である。言い換えれば、
図4におけるBMU 404、電流源406、制御回路412、比較器414A、増幅器414B、電流調整器416、チャージポンプ418、補償キャパシタ430、放電スイッチ434、第3のスイッチSW3、および第4のスイッチSW4は、それぞれ前述のBMU 204、電流源206、制御回路212、比較器214A、増幅器214B、電流調整器216、チャージポンプ218、補償キャパシタ230、放電スイッチ234、第1のスイッチSW1、および第2のスイッチSW2と類似の機能を有する。
【0029】
一実施形態では、放電スイッチ420は、バッテリー202からの放電電流IDSGを通して、端子PACK+およびPACK-に結合された負荷(図示せず)に給電する。電流調整器416は、電流源418と協働して、第1の時間間隔TONにおいて放電電流IDSGがバッテリー202を流れることを可能にし、第2の時間間隔TOFFにおいて放電電流IDSGを抑止し/遮断して、放電電流IDSGを交互に有効にしたり抑止したりする。一実施形態では、制御回路412は、負荷の状態に応じて、第1の時間間隔TONと、第1の時間間隔と第2の時間間隔の合計TCYC(たとえばTCYC=TON+TOFF)との比を制御する。別の実施形態では、制御回路412は、負荷の状態に応じて参照電圧VDOCおよび/またはV'CCRを制御する。
【0030】
例として、バッテリー管理モジュール400は、端子PACK+およびPACK-に対する予放電電流IDSG(たとえば比較的低レベルの放電電流)を生成することにより、端子PACK+およびPACK-に結合された負荷の状態を検知することができる。バッテリー管理モジュール400は、上記で論じられた予充電電流ICHGの生成と類似のやり方で予放電電流IDSGを生成することができ、たとえばパラメータTON、TON/TCYC、VDOC、および/またはV'CCRを比較的小さくするように制御することによって予放電電流IDSGを比較的小さくするように制御する。一実施形態では、予放電電流IDSGが端子PACK+へ流れるとき、端子PACK+とPACK-の間の電圧が所定の電圧範囲内にあれば、バッテリー管理モジュール400は端子PACK+とPACK-に結合された負荷があると判定する。電圧が電圧範囲よりも小さければ、バッテリー管理モジュール400は、端子PACK+とPACK-が短絡していると判定してよい。電圧が電圧範囲よりも大きければ、バッテリー管理モジュール400は、端子PACK+とPACK-には負荷が結合されていないと判定してよい。一実施形態では、負荷の消費電力がより小さければ(またはより大きければ)、バッテリー管理モジュール400は、(たとえばパラメータTON、TON/TCYC、VDOC、および/またはV'CCRを減少させる(または増加させる)ことによって)予放電電流IDSGを減少させる(または増加させる)ことができる。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態の、複数のバッテリーパックを含んでいるバッテリーシステムの一例のトポロジを示す。
図5は、
図2A、
図2B、
図2A、
図3B、および
図4と組み合わせて説明される。
図5の例には、2つのバッテリーパック500Aおよび500Bしか示されていない。しかしながら、本発明はそのように限定されることなく、本発明の他の実施形態では、システムは任意数のバッテリーパックを含み得る。一実施形態では、BMU 504Aおよび504Bは、BMU 204および/またはBMU 404のものと類似の回路および機能を含むことができる。BMU 504Aは、バッテリーパック500Aの端子PACK+から、バッテリー502Aのバッテリー電圧と、バッテリーシステムの電圧(たとえば入力電圧)とを測定することができる。BMU 504Bは、バッテリーパック500Bの端子PACK+から、バッテリー502Bのバッテリー電圧と、バッテリーシステムの電圧(たとえば入力電圧)とを測定することができる。
【0032】
一実施形態では、バッテリーパック500Aと500Bは並列に結合されており、それらのバッテリー502Aと502Bは異なる電圧レベルを有し得る。バッテリーパック500Aおよび500Bが、電源532(たとえば充電器)によって充電されるとき、または負荷に給電して放電するとき、それらの充電スイッチQCHGAおよびQCHGBと、放電スイッチQDSGAおよびQDSGBとが、完全にオンになると、バッテリーパック500Aと500Bの間に大電流が流れて、バッテリーパック500Aの回路およびバッテリーパック500Bの回路を破壊する可能性がある。有利には、BMU 504Aおよび/またはBMU 504Bは、これらのスイッチを部分的にオンにして予充電電流ICHGまたは予放電電流IDSGを生成することができ、電流ICHGまたはIDSGを比較的小さくするように制御する。その結果、バッテリーパック500Aおよび500Bが保護され得る。
【0033】
一実施形態では、電源532が接続されず、新規のバッテリーパック(たとえばバッテリーパック500B)が、バッテリー500Aまたはより多くのバッテリーパックを含んでいるバッテリーシステムにプラグ接続されると想定する。バッテリー502Aのバッテリー電圧がバッテリー502Bのバッテリー電圧よりも高ければ、バッテリー502Bのバッテリー電圧がバッテリー502Aのバッテリー電圧と実質的に等しくなるまで上昇するように、バッテリーパック500Bは予充電モードに設定され得る。予充電電流は、BMU 504Bによって調整され、かつ制御される。バッテリー502Aのバッテリー電圧がバッテリー502Bのバッテリー電圧よりも低ければ、バッテリー502Bのバッテリー電圧がバッテリー502Aのバッテリー電圧と実質的に等しくなるまで低下するように、バッテリーパック500Bは予放電モードに設定され得る。予放電電流は、BMU 504Bによって調整され、かつ制御される。
【0034】
別の実施形態では、電源532が接続されており、新規のバッテリーパック(たとえばバッテリーパック500B)が、バッテリー500Aまたはより多くのバッテリーパックを含んでいるバッテリーシステムに接続され、電源532の電圧は、バッテリー502Aおよびバッテリー502Bのバッテリー電圧よりも高いと想定する。この場合、バッテリーパック500Aとバッテリーパック500Bの両方が充電モードに設定される。バッテリー502Aのバッテリー電圧がバッテリー502Bのバッテリー電圧よりも高ければ、バッテリー502Aの充電電流がバッテリー502Bの充電電流よりも小さくなるように、BMU 504Aがバッテリー502Aの充電電流を調整し、BMU 504Bがバッテリー502Bの充電電流を調整する。結果的に、バッテリー502Bがより速く充電されて、バッテリーパック間のバランスをとる。
【0035】
加えて、さらに別の実施形態では、電源532が端子PACK+およびPACK-に電力を供給する充電プロセスにおいて、バッテリー502Aの電圧がバッテリー502Bの電圧よりも高ければ、BMU 504Bが充電スイッチQCHGBを完全にオンにし、BMU 504Aが放電スイッチQDSGAを部分的にオンにして、予放電電流を生成する。バッテリー502Aと502Bのバランスをとるように、予放電電流が電源532からの電流とともに流れることができ、バッテリー502Bを充電する。別の例として、バッテリーパック500Aおよび500Bが負荷に電力を供給する放電プロセスでは、バッテリー502Aの電圧がバッテリー502Bの電圧よりも高ければ、バッテリー502Aと502Bのバランスをとるように、BMU 504Aが放電スイッチQDSGAを完全にオンにし、BMU 504Bが充電スイッチQCHGBを部分的にオンにして、バッテリー502Aからの予充電電流でバッテリー502Bを充電することを可能にする。さらに他の例では、バッテリーパック500Aと500Bのどちらにも、電源による充電や、負荷に給電するための放電がないとき、バッテリー502Aの電圧がバッテリー502Bの電圧よりも高ければ、BMU 504Aが放電スイッチQDSGAを部分的にオンにして予放電電流を生成することができ、BMU 504Bが充電スイッチQCHGBを完全にオンにすることができて、バッテリー502Aからの予放電電流によるバッテリー502Bの充電を可能にし、あるいは、BMU 504Aが充電スイッチQCHGAおよび放電スイッチQDSGAを完全にオンにすることができ、BMU 504Bが充電スイッチQCHGBを部分的にオンにすることができて、バッテリー502Aからの予充電電流によるバッテリー502Bの充電を可能にする。その結果、バッテリー502Aと502Bのバランスをとることができる。
【0036】
図6は、本発明の一実施形態の、たとえば200、200'、400、または500といったバッテリー管理モジュールの動作例の流れ図を示す。
図6は、
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、
図4、および
図5と組み合わせて説明される。
【0037】
ブロック602において、比較回路214は、バッテリー202および制御スイッチ(たとえば220または410)を流れるバッテリー電流(たとえば充電電流ICHGまたは放電電流IDSG)を表す感知信号VSENを、参照信号(たとえばVCOC、VCCR、VDOC、またはV'CCR)と比較して、比較結果(たとえばSCOC、SCCR、SDOC、またはS'CCR)を生成する。
【0038】
ブロック604において、電流生成回路238は、制御スイッチの制御端子(たとえばゲート端子GCまたはGD)を充電するかまたは放電させるための制御電流ICTLを生成することにより、バッテリー電流に目標平均レベルを与えるように調節する。
【0039】
ブロック606において、電流源(たとえば206または406)は、プリセット電流を生成して制御端子を充電する。
【0040】
ブロック608において、電流調整器(たとえば216または416)は、プリセット電流の少なくとも一部分を吸い込んで、比較結果に応じて制御電流を調整する。
【0041】
図7は、本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュール700の一例のトポロジを示す。
図2Aと同一の符号を付けられた要素は、類似の機能を有する。バッテリー管理モジュール700はバッテリーパックに統合され得る。
【0042】
一実施形態では、バッテリー管理モジュール700は、バッテリー202、制御スイッチ220(たとえば
図7および
図8の例示の充電スイッチまたは
図9の例示の放電スイッチ)、電流感知要素(たとえば抵抗R
SENを含む)およびバッテリー管理ユニット(BMU)704を含む。BMU 704は、電圧感知回路、記憶ユニット702、制御回路712および電流調整回路を含む。
図7の例では、入力端子PACK+における入力電圧がバッテリー202のバッテリー電圧V
BATTよりも高ければ、たとえば充電スイッチといった制御スイッチ220が、たとえば予充電電流といったバッテリー電流I
CHGを、入力端子PACK+からバッテリー202へ通すことができる。電流感知要素は、バッテリー電流I
CHGを表す感知信号V
SENを供給する。電圧感知回路は、バッテリー202の電極(たとえば陽極)におけるバッテリー電圧V
BATTを感知するためのバッテリー電圧感知回路208と、バッテリーパックの電力端子(たとえばPACK+)における入力電圧V
PACKを感知するための入力電圧感知回路210とを含む。記憶ユニット702は、バッテリーパックに関連した属性データを記憶することができる。属性データは、制御スイッチ220の、ドレインとソースの間のオン抵抗(Rdson)、最大の許容DC電力、最大のパルス電力、パッケージタイプおよび熱抵抗などのパラメータを含み得る。属性データは、BMU 704を実装するプリント回路基板(PCB)の、PCBレイアウト特性および伝熱能力などのパラメータも含み得る。記憶ユニット702は、バッテリーパックの内部または外部に実装され得る。記憶ユニット702がバッテリーパックの外部にある場合、記憶されたデータは、制御回路712によって通信インターフェースを介してアクセスされ得る。電圧感知回路および記憶ユニット702に結合された制御回路712は、記憶ユニット702に記憶された属性データと、バッテリー電圧V
BATTと電圧感知回路によって感知された入力電圧V
PACKの間の差とに基づいて、参照信号722のレベルを調節するように動作可能である。参照信号722のレベルが、バッテリー電流I
CHGの目標レベルを決定し得る。電流調整回路は、参照信号に応じて制御スイッチ220を制御して、制御スイッチ220およびバッテリー202を流れるバッテリー電流I
CHGを調整するように動作可能である。
図7の例では、電流調整回路は比較回路714および電流生成回路738を含む。
【0043】
比較回路714は、感知信号VSENを参照信号722と比較して比較結果を生成することができる。電流生成回路738は、比較結果に応じて制御電流ICTLを生成して制御スイッチ220の制御端子GCを充放電し、それによってバッテリー電流ICHGに目標の平均レベルを与えるように調節することができる。制御スイッチ220は、たとえば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタといった電界効果トランジスタを含み、制御端子GCは電界効果トランジスタのゲート端子を含む。制御電流ICTLは、ゲート端子GCを充電して制御スイッチ220のゲート電圧VGを増加させてスイッチ220を部分的にオンにすることができ、それによってバッテリー電流ICHGを増加させる。制御電流ICTLは、ゲート端子GCを放電させてゲート電圧VGを低下させることもでき、それによってバッテリー電流ICHGを減少させるかまたは遮断する。したがって、バッテリー電流ICHGは、制御電流ICTLを調節することによって調節され得る。前述の比較結果は、それに応じてバッテリー電流ICHGが調節されるように制御電流ICTLを調節するために、電流生成回路738に供給され得る。
【0044】
一実施形態では、電流生成回路738は、電流源206、チャージポンプ218、および電流調整器716を含む。電流源206は、制御端子GCを充電するためのプリセット電流ISRCを生成することができる。チャージポンプ218は、供給電圧を提供することができ、電流源206に給電する。制御回路712は、制御スイッチ220を完全にオンにするように、制御端子GCを、チャージポンプ218によって供給された供給電圧に接続することができ、または制御スイッチ220を部分的にオンにするように、制御端子GCを電流源206に接続することができる。制御スイッチ220が(たとえば線形モードで動作して)部分的にオンになると、電流調整器716はプリセット電流ISRCの少なくとも一部分を吸い込むことができ、比較回路714からの比較結果に応じて制御電流ICTLを調整する。一実施形態では、バッテリー電流ICHGが閾値未満に減少すると、制御回路712は制御スイッチ220を完全にオンにする。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態における電流調整器716および比較回路714の例示の回路図を示す。
図2Bと同一の符号を付けられた要素は、類似の機能を有する。
図8に示されるように、電流調整器716は、スイッチSW2(たとえば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを含む)、補償キャパシタ230、および放電スイッチ234を含む。比較回路714は増幅器214Bおよび基準電圧源228を含む。電圧源228は、制御回路712の制御下で参照信号V
CCRを供給し、増幅器214Bは、感知信号V
SENと参照信号V
CCRの間の差に応じて補償電流I
COMを生成して補償キャパシタ230を充電するかまたは放電させ、調整信号S
CCRを制御する。調整信号S
CCRは、放電スイッチ234をオンにすることによっても制御され得る。調整信号S
CCRに含まれるキャパシタ230上の電圧が、スイッチSW2のゲートとソースの間の電圧を制御する。
【0046】
制御回路712、電流調整器716および比較回路714は、
図2Bのバッテリー管理モジュール200'の第2のモードと類似のやり方でバッテリー電流I
CHGを調整する。制御回路712は、属性データと、バッテリー電圧V
BATTと入力電圧V
PACKの間の差とに応じて参照信号V
CCRのレベルを調節することによってバッテリー電流を調整することができ、大きな電流サージを防止する。一実施形態では、制御回路712は、バランスをとる時間を短くするとともに回路の被害を防止するように、参照信号V
CCRを調節して、属性データによって決定される安全な範囲内でバッテリー電流を最大化する。その上、制御回路712は、バッテリー電圧V
BATTと入力電圧V
PACKの間の差が減少すると、参照信号V
CCRを増加させることができる。
【0047】
図3Bで説明された実施形態と同様に、バッテリー管理モジュール800は、参照信号V
CCRを調節することに加えて、制御スイッチ200がオンになる時間間隔T
ON2および/または制御スイッチ220のデューティサイクルをさらに調節することができ、バッテリー電流I
CHGの平均レベルを調節する。
【0048】
図9は、本発明の一実施形態におけるバッテリー管理モジュール900の一例のトポロジを示す。
図4および
図8と同一の符号を付けられた要素は類似の機能を有する。
図9の例では、バッテリー管理モジュール900は、放電スイッチ420を制御してバッテリー202の放電を制御する。端子PACK+における入力電圧がバッテリー202のバッテリー電圧V
BATT未満であれば、放電スイッチ420は、バッテリー電流I
DSG(たとえば予放電電流)をバッテリー202から端子PACK+へ通すことができる。放電スイッチ420の制御は、
図8で説明された充電スイッチ220の制御に類似である。
図9におけるBMU 904、電流源406、制御回路912、増幅器414B、電流調整器916、チャージポンプ418、補償キャパシタ430、放電スイッチ434、およびSW4は、それぞれ前述のBMU 704、電流源206、制御回路712、増幅器214B、電流調整器716、チャージポンプ218、補償キャパシタ230、放電スイッチ234、およびSW2と類似の機能を有する。
【0049】
図7~
図9の例に加えて、制御スイッチ220を制御するために他の手法を利用し得ることが理解され得る。たとえば、一実施形態では、バッテリー管理モジュールは、バッテリー電流を表す感知信号とバッテリー電流の目標レベルを表す参照信号を比較して比較結果(たとえば電圧信号)を出力する比較回路(たとえば増幅器)を含むことができる。電圧信号のレベルは、感知信号と参照信号の間の差に応じて変化する。制御スイッチは、電圧信号に応じて線形モードで制御される。その結果、制御スイッチを流れるバッテリー電流が、それに応じて調整される。
【0050】
図7~
図9の例では、制御スイッチは、バッテリー202の陽極とバッテリーパックのプラス端子PACK+の間に結合されたN型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(NMOSFET)によって実施されている。他の実施形態では、制御スイッチは、バッテリー202の陰極とバッテリーパックのマイナス端子PACK-の間に結合されたNMOSFETによって実施され得る。
【0051】
図10は、本発明の一実施形態の、複数のバッテリーパックを含んでいる拡張可能なバッテリーシステム1000のトポロジを示す。
図10は、
図7~
図9と組み合わせて説明される。
図10の例には、2つのバッテリーパック1001Aおよび1001Bしか示されていない。しかしながら、本発明はそのように限定されることなく、本発明の他の実施形態では、システムは任意数のバッテリーパックを含み得る。一実施形態では、BMU 1004Aおよび1004Bは、BMU 704および/またはBMU 904のものと類似の回路および機能を含むことができる。
【0052】
拡張可能なバッテリーシステム1000は、エネルギー貯蔵システム(ES)、無停電電源装置(UPS)または動力器具などであり得る。従来の拡張可能なバッテリーシステムでは、ホットスワップのプラグ接続中に、バッテリーパック間の電圧差によってバッテリーパックの間の大電流サージが生じるのを防止するために、双方向DC/DCコンバータが使用され得る。しかしながら、双方向DC/DCコンバータを使用すると、コストが増加するばかりでなく信頼性が低下する。対照的に、本発明による拡張可能なバッテリーシステム1000は、バッテリー間の電流を調整するとともに大電流サージを防止するための、低コストで信頼できる解決策を提供するものである。
【0053】
当初は、バッテリーパック1001Aが動作中で、その充電スイッチQCHGAおよび放電スイッチQDSGAが完全にオンになっていると想定する。バッテリーシステム1000の総容量を拡張するために、バッテリーパック1001Bはバッテリーパック1001Aと組み合わされる(プラグ接続される)ように計画されている。バッテリーパック1001Bの充電スイッチQCHGBおよび放電スイッチQDSGBは、最初にオフにされる。バッテリーパック1001Bは、バッテリーパック1001Aと接続された後に、端子PACK+における入力電圧VPACKおよびバッテリー1002Bのバッテリー電圧VBATT2を感知する。入力電圧VPACKは、バッテリーパック1001Aにおけるバッテリー1002Aのバッテリー電圧によって決定される。
【0054】
バッテリー電圧VBATT2が入力電圧VPACK未満であると、BMU 1004Bは、充電スイッチQCHGBを部分的にオンにして、充電スイッチQCHGBを線形モードで制御する。より具体的には、BMU 1004Bの制御回路が、バッテリー電圧VBATT2と入力電圧VPACKの間の差と、バッテリーパック1001Bに関連した属性データとに基づいて、参照信号のレベルを調節する。属性データは、記憶ユニットにあらかじめ記憶されている。参照信号のレベルは、端子PACK+から充電スイッチQCHGBを通ってバッテリー1002Bへ流れるバッテリー電流の目標レベルを決定することができる。それゆえに、バッテリー1002Bは調整された電流によって充電される。制御回路は、参照信号に応じて、充電スイッチQCHGBを制御してバッテリー電流を調整する。その結果、バッテリーパック1001Aとバッテリーパック1001Bの間の大電流サージが防止され得て、バッテリーパック1001Aとバッテリーパック1001Bのバランスをとることができる。一実施形態では、制御回路は、バッテリー電圧VBATT2と入力電圧VPACKの間の差が減少すると、参照信号VCCRを増加させる。BMU 1004Bにおける電流感知要素によって感知されるバッテリー電流が閾値未満に減少すると、2つのバッテリーパックのバランスがとられたことを示す。そのような状況では、BMU 1004Bは、バッテリーパック1001Bの充電スイッチQCHGBおよび放電スイッチQDSGBを完全にオンにすることができ、バッテリーパック1001Bの通常動作を可能にする。
【0055】
バッテリー電圧VBATT2が入力電圧VPACKよりも高いと、BMU 1004Bは、放電スイッチQDSGBを部分的にオンにして、放電スイッチQDSGBを線形モードで制御する。より具体的には、BMU 1004Bの制御回路が、バッテリー電圧VBATT2と入力電圧VPACKの間の差と、バッテリーパック1001Bに関連した属性データとに基づいて、参照信号のレベルを調節する。属性データは、記憶ユニットにあらかじめ記憶されている。参照信号のレベルは、バッテリー1002Bから放電スイッチQDSGBを通って端子PACK+へ流れるバッテリー電流の目標レベルを決定することができる。それゆえに、バッテリー1002Bは調整された電流によって充電される。制御回路は、参照信号に応じて、放電スイッチQDSGBを制御してバッテリー電流を調整する。その結果、バッテリーパック1001Aとバッテリーパック1001Bの間の大電流サージが防止され得て、バッテリーパック1001Aとバッテリーパック1001Bのバランスをとることができる。一実施形態では、制御回路は、バッテリー電圧VBATT2と入力電圧VPACKの間の差が減少すると、参照信号VCCRを増加させる。BMU 1004Bにおける電流感知要素によって感知されるバッテリー電流が閾値未満に減少すると、2つのバッテリーパックのバランスがとられたことを示す。そのような状況では、BMU 1004Bは、バッテリーパック1001Bの充電スイッチQCHGBおよび放電スイッチQDSGBを完全にオンにすることができ、バッテリーパック1001Bの通常動作を可能にする。
【0056】
一実施形態では、拡張可能なバッテリーシステム1000は、ホストコントローラ1034およびシステム電源(たとえば充電器)1032をさらに含む。システム電源1032は、システム1000および負荷1038に電力を供給することができる。バッテリーパック1001Aおよび1001B、負荷1038およびホストコントローラ1034は、すべて通信回線(たとえばバス)1136に結合されている。ホストコントローラ1034は、通信回線1136を通じて、バッテリーパックからデータを受け取ったり、バッテリーパックを制御する指令を送ったりすることができる。たとえば、ホストコントローラ1034は、バッテリーパックへ、充電電流もしくは放電電流を調節するための指令、またはバッテリーパックの充電もしくは放電を可能にするかもしくは抑止するための指令を送ることができる。有利には、各バッテリーパックの充電電流および放電電流は、システム1000の安全で効率的な動作を達成するために、各バッテリーパックに関連した属性データ、電源1032の電力状態、各バッテリーパックの状態および負荷の状態に応じて制御され得る。
【0057】
図11は、本発明の一実施形態の、たとえば700、800、900といったバッテリー管理モジュールの動作例の流れ図を示す。
図11は、
図7~
図9と組み合わせて説明される。
【0058】
ブロック1102において、電圧感知回路は、バッテリーパックにおけるバッテリー202のバッテリー電圧VBATTを感知する。
【0059】
ブロック1104において、電圧感知回路は、バッテリーパックの入力電圧VPACKを感知する。
【0060】
ブロック1106において、制御回路(たとえば712または912)は、バッテリーパックに関連した属性データと、バッテリー電圧VBATTと入力電圧VPACKの間の差とに基づいて、参照信号のレベルを調節する。別の実施形態では、バッテリーシステム(たとえば拡張可能なバッテリーシステム1000)がホストコントローラ(たとえば1134)を含んでいれば、ホストコントローラは、各バッテリーパックからの決定を上書きすることができる。言い換えれば、そのような実施形態では、参照信号のレベルを調節するのは、バッテリーパックの内部の制御回路ではなくホストコントローラである。参照信号のレベルは、ホストコントローラによって、バッテリーパックに関連した属性データ、システム電源の状態、負荷の状態およびバッテリーパックの状態に基づいて調節され得る。ホストコントローラは、通信回線(たとえばバス)を介して各バッテリーパックへ指令を伝送して、参照信号を調節することができる。ホストコントローラは、各バッテリーパックへ、制御スイッチ(たとえば充電スイッチおよび/または放電スイッチ)をオンにするかまたはオフにするための指令も伝送することができる。
【0061】
ブロック1108において、電流調整回路は、制御スイッチおよびバッテリーを流れるバッテリー電流を、参照信号に応じて調整するように制御スイッチを制御する。
【0062】
前述の説明および図面は本発明の実施形態を表しているが、そこに、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の原理の精神および範囲から逸脱することなく、様々な追加、変更および置換がなされ得ることが理解されよう。当業者なら、本発明が、本発明の実践において使用される、本発明の原理から逸脱することなく特別な環境および動作条件に対して特に適合された形状、構造、機構、割合、材料、要素、ならびに部品およびその他の多くの変更を伴って使用され得ることを理解するであろう。したがって、現在開示された実施形態は、すべての点で、例示であって限定ではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの有効な等価物によって示されており、前述の説明に限定されない。
【符号の説明】
【0063】
100 バッテリー管理モジュール
102 バッテリー
104 バッテリー管理ユニット
200 バッテリー管理モジュール
200' バッテリー管理モジュール
202 バッテリー
204 バッテリー管理ユニット
206 電流源
208 バッテリー電圧感知回路
210 入力電圧感知回路
212 制御回路
214 比較回路
214A 比較器
214B 増幅器
216 電流調整器
218 チャージポンプ
220 制御スイッチ
222 参照信号
224 信号ライン
226 基準電圧源
228 基準電圧源
230 補償キャパシタ
234 放電スイッチ
236 信号ライン
238 電流生成回路
400 バッテリー管理モジュール
404 バッテリー管理ユニット
406 電流源
414A 比較器
414B 増幅器
416 電流調整器
418 チャージポンプ
420 放電スイッチ
430 補償キャパシタ
434 放電スイッチ
500A バッテリーパック
500B バッテリーパック
502A バッテリー
502B バッテリー
504A バッテリー管理ユニット
504B バッテリー管理ユニット
532 電源
700 バッテリー管理モジュール
702 記憶ユニット
704 バッテリー管理ユニット
712 制御回路
714 比較回路
716 電流調整器
722 参照信号
738 電流生成回路
800 バッテリー管理モジュール
900 バッテリー管理モジュール
904 バッテリー管理ユニット
912 制御回路
916 電流調整器
1000 バッテリーシステム
1001A バッテリーパック
1001B バッテリーパック
1002A バッテリー
1002B バッテリー
1004A バッテリー管理ユニット
1004B バッテリー管理ユニット
1032 システム電源
1034 ホストコントローラ
1038 負荷
1136 通信回線