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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/588 20210101AFI20221007BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/548 301
H01M10/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018074562
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019185995
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】大島 正稔
(72)【発明者】
【氏名】神戸 健吾
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-063278(JP,A)
【文献】特開2008-147047(JP,A)
【文献】特開2010-161044(JP,A)
【文献】特開2008-147089(JP,A)
【文献】特開2004-006141(JP,A)
【文献】特開2006-252960(JP,A)
【文献】特開2009-146797(JP,A)
【文献】特開2014-212033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両側部から夫々左右外方へ突出する電極端子を有する蓄電素子が、上下方向に複数積層されているとともに、
上下方向で隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子同士を上下から挟み込んで接触させる絶縁性部材が、上下方向に肉厚な本体と、前記本体の左右何れか一方の側壁から左右方向へ突出する上下方向に薄肉な凸部とを有し、左方へ突出する前記電極端子側においては前記凸部を右側へ向けた姿勢で、右方へ突出する前記電極端子側においては前記凸部を左側へ向けた姿勢で夫々上下に積層されており、
さらに、上下で隣り合う前記絶縁性部材の前記凸部同士の間隙に、絶縁性材料からなり、且つ、前記間隙に対応した形状を有する間隙部材が配置される一方、
積層されている前記蓄電素子及び前記絶縁性部材が、外壁部材により上下から挟み込まれてなる蓄電装置の製造方法であって、
前記蓄電素子を上下方向に積層するとともに、上下で隣り合う前記電極端子同士の隙間のうち、所定の隙間に前記間隙部材を配置する第1工程と、
前記間隙部材が配置されている前記隙間の一つ上の前記隙間と、前記間隙部材が配置されている前記隙間の一つ下の前記隙間とに前記絶縁性部材を夫々挿入して、両前記絶縁性部材の前記凸部同士の間隙に前記間隙部材を位置させることにより、前記間隙部材が配置されている前記隙間の上下の前記電極端子を、両前記絶縁性部材の表面及び前記間隙部材の表面に沿って変形させるとともに、両前記絶縁性部材により上下から挟み込んだ状態で接触させる第2工程とを実行することを特徴とする蓄電装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記蓄電素子の左右何れか一方の側の前記隙間については、一つ置きに前記間隙部材を配置する一方、他方の側における前記隙間については、前記一方の側で前記間隙部材が配置されていない上下位置にある前記隙間に前記間隙部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の蓄電装置がある。特許文献1に記載の蓄電装置は、複数の蓄電素子を直列に接続する電極接続具を備えている。電極接続具は、クリップと、スライド枠とにより構成されている。この電極接続具では、隣り合う2つの蓄電素子のうちの一方の蓄電素子の電極端子と他方の蓄電素子の電極端子とをクリップにより挟持した後、クリップにスライド枠を押し込んでクリップの位置ずれを規制することで、2つの蓄電素子のそれぞれの電極端子を挟持して接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-118625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の蓄電装置では、3つ以上の蓄電素子を直列に接続する場合、隣り合う蓄電素子のそれぞれの電極端子を接続する箇所が2つ以上存在することになるため、クリップ及びスライド枠がそれぞれ2つ以上必要となる。このような構造の場合、複数のクリップのそれぞれに対してスライド枠を押し込む作業が必要となるため、クリップに対する押し込み力が不十分なスライド枠が存在する可能性がある。仮にクリップに対する押し込み力が十分でないスライド枠が存在する場合、そのスライド枠がクリップから外れるおそれがある。スライド枠がクリップから外れることにより、いずれか2つの蓄電素子のそれぞれの電極端子の接続が遮断されると、複数の蓄電素子の電気的な接続が遮断されることになるため、蓄電装置としての機能を担保することができない。
【0005】
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より的確に複数の蓄電素子の接続状態を確保することの可能な蓄電装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、左右両側部から夫々左右外方へ突出する電極端子を有する蓄電素子が、上下方向に複数積層されているとともに、上下方向で隣り合う蓄電素子の電極端子同士を上下から挟み込んで接触させる絶縁性部材が、上下方向に肉厚な本体と、本体の左右何れか一方の側壁から左右方向へ突出する上下方向に薄肉な凸部とを有し、左方へ突出する電極端子側においては凸部を右側へ向けた姿勢で、右方へ突出する電極端子側においては凸部を左側へ向けた姿勢で夫々上下に積層されており、さらに、上下で隣り合う絶縁性部材の凸部同士の間隙に、絶縁性材料からなり、且つ、間隙に対応した形状を有する間隙部材が配置される一方、積層されている蓄電素子及び絶縁性部材が、外壁部材により上下から挟み込まれてなる蓄電装置の製造方法において、蓄電素子を上下方向に積層するとともに、上下で隣り合う電極端子同士の隙間のうち、所定の隙間に間隙部材を配置する第1工程と、間隙部材が配置されている隙間の一つ上の隙間と、間隙部材が配置されている隙間の一つ下の隙間とに絶縁性部材を夫々挿入して、両絶縁性部材の凸部同士の間隙に間隙部材を位置させることにより、間隙部材が配置されている隙間の上下の電極端子を、両絶縁性部材の表面及び間隙部材の表面に沿って変形させるとともに、両絶縁性部材により上下から挟み込んだ状態で接触させる第2工程とを実行することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1工程において、蓄電素子の左右何れか一方の側の隙間については、一つ置きに間隙部材を配置する一方、他方の側における隙間については、一方の側で間隙部材が配置されていない上下位置にある隙間に間隙部材を配置することを特徴とする。
【0007】
なお、所定方向に並べて配置される複数の蓄電素子と、所定方向に積層して配置される複数の絶縁性部材と、複数の絶縁性部材を所定方向において挟み込む外壁部材と、を備え、複数の蓄電素子のうちの少なくとも2つの蓄電素子の電極端子が、所定方向において隣り合う2つの絶縁性部材の間に挟み込まれて接触しているように構成してもよい。
この構成のように、複数の絶縁性部材を外壁部材により挟み込むようにすれば、複数の絶縁性部材のそれぞれに略均一な力を付与することができる。したがって、隣り合う絶縁性部材の間に配置されている蓄電素子の電極端子を略均一な力で挟み込むことができるため、複数の蓄電素子のうちのいずれかの電極端子を挟み込む力が不足するような状況が発生し難くなる。そのため、より的確に複数の蓄電素子の接続状態を確保することが可能となる。
【0008】
上記の蓄電装置において、絶縁性部材は、蓄電素子に対向する部分に凸部を有していることが好ましい。
この構成によれば、絶縁性部材を蓄電素子に組み付ける際に、絶縁性部材の凸部により蓄電素子の電極端子を変形させることができるため、隣り合う蓄電素子のそれぞれの電極端子を容易に接触させることが可能となる。
【0009】
上記の蓄電装置において、所定方向において隣り合う2つの絶縁性部材のそれぞれの凸部の間に配置される間隙部材を更に備えることが好ましい。
この構成によれば、絶縁性部材を蓄電素子に組み付ける際に、蓄電素子の電極端子が絶縁性部材の凸部と間隙部材との間に挟み込まれることにより、蓄電素子の電極端子を更に変形させ易くなる。そのため、隣り合う蓄電素子の電極端子を更に容易に接触させることができる。
【0010】
上記の蓄電装置において、間隙部材は、絶縁性材料からなることが好ましい。
この構成によれば、複数の蓄電素子の間における意図しない電気的な導通を回避することができる。
上記の蓄電装置において、間隙部材は、所定方向の隣り合う2つの絶縁性部材のそれぞれの凸部の間の隙間に対応した形状を有していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、複数の絶縁性部材のそれぞれの凸部の間の隙間を間隙部材により埋めることができるため、各部材の位置ずれを抑制することができる。
【0012】
上記の蓄電装置において、複数の前記蓄電素子、複数の絶縁性部材、及び外壁部材の間に形成される隙間に配置される間隙部材を更に備えることが好ましい。
この構成によれば、各部材の間の隙間を間隙部材により埋めることができるため、各部材の位置ずれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、より的確に複数の蓄電素子の接続状態を確保することの可能な蓄電装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態の蓄電装置の斜視構造を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態の蓄電装置の正面構造を示す正面図である。
図3図3は、実施形態の蓄電素子の斜視構造を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態の絶縁性部材の斜視構造を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態の蓄電装置における蓄電素子の電極端子の接続部分周辺の拡大構造を示す拡大図である。
図6図6は、実施形態の間隙部材の斜視構造を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態の蓄電装置の分解斜視構造を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態の外壁部材の斜視構造を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態の蓄電装置の分解斜視構造を示す斜視図である。
図10図10は、実施形態の蓄電装置の組み立て工程の一部を示す正面図である。
図11図11は、実施形態の蓄電装置の組み立て工程の一部を示す正面図である。
図12図12は、実施形態の蓄電装置の組み立て工程の一部を示す正面図である。
図13図13は、他の実施形態の蓄電装置の正面構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、蓄電装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1及び図2に示されるように、蓄電装置10は、複数の蓄電素子20と、これらを直列に接続する接続部材30とを備えている。
【0016】
図3に示されるように、蓄電素子20は、正極と負極とをセパレータを介して交互に重ねたものをラミネートにより封止した、いわゆるラミネート型の蓄電池である。蓄電素子としては、例えばラミネート型のリチウムイオン電池を用いることができる。蓄電素子20は、矢印Zで示される方向において扁平状に形成されている。Z軸方向に直交する蓄電素子20の断面形状は略矩形状をなしている。蓄電素子20は、その中央部分に略直方体状の肉厚部23を有するとともに、肉厚部23の外縁に薄肉部24を有している。肉厚部23の内部には、正極、負極、及びセパレータ等が収容されている。
【0017】
なお、以下では、蓄電素子20の長手方向を「X軸方向」と称し、蓄電素子20の短手方向を「Y軸方向」と称する。また、Z軸方向のうちの一方向であるZ1軸方向を「上方向」とも称し、その反対方向であるZ2軸方向を「下方向」とも称する。
X軸方向における蓄電素子20の両側面には、電極端子21,22がそれぞれ設けられている。電極端子21は、正極端子及び負極端子のいずれか一方であり、電極端子22は、正極端子及び負極端子のいずれか他方である。図2に示されるように、複数の蓄電素子20は、Z軸方向に積層するように並べて配置されている。本実施形態では、Z軸方向が所定方向に相当する。
【0018】
図1及び図2に示されるように、接続部材30は、複数の絶縁性部材31と、複数の間隙部材32と、外壁部材33,34とを備えている。
図4に示されるように、絶縁性部材31は、Y軸方向に延びるように形成された略直方体棒状の部材からなる。絶縁性部材31は、樹脂等の絶縁性材料により形成されている。X軸方向における絶縁性部材31の一方の側壁部は、外側に向かうほど、Z軸方向の幅が徐々に狭くなるように形成されている。これにより、Z軸方向における絶縁性部材31の側壁部の両側面には、テーパ面311が形成されている。また、絶縁性部材31の側壁部には、そのZ軸方向の中央部からX軸方向に突出するように凸部312が形成されている。
【0019】
図1及び図2に示されるように、複数の絶縁性部材31は、蓄電素子20の積層構造のX軸方向の一端部と、その反対側の他端部とに積層して配置されている。図5に示されるように、絶縁性部材31の凸部312に沿って蓄電素子20の薄肉部24が配置されるとともに、絶縁性部材31のテーパ面311に沿って蓄電素子20の電極端子21,22が配置されている。隣り合う絶縁性部材31,31の間には、隣り合う蓄電素子20,20のそれぞれの一端部に設けられた電極端子21,22が挟み込まれている。これにより、複数の蓄電素子20の一端部に設けられた電極端子21,22のそれぞれの先端部が接触して電気的に接続されている。このような絶縁性部材31の接続構造により、複数の蓄電素子20が電気的に直列に接続されている。
【0020】
図4に示されるように、Y軸方向における絶縁性部材31の両端部には、ボルト挿入孔313がZ軸方向に貫通するように形成されている。ボルト挿入孔313には、図1及び図2に示されるボルト35が挿入される。複数の絶縁性部材31が積層されたとき、各絶縁性部材31のボルト挿入孔313はZ軸方向に連通される。
【0021】
なお、以下では、蓄電素子20の積層構造のX軸方向の一端部に設けられる絶縁性部材31を「第1絶縁性部材31a」とも称し、その他端部に設けられる絶縁性部材31を「第2絶縁性部材31b」とも称する。
図6に示されるように、間隙部材32は、Y軸方向に延びるように形成された略直方体棒状の部材からなる。間隙部材32は、樹脂等の絶縁性材料により形成されている。X軸方向における間隙部材32の一方の側壁部は、外側に向かうほど、Z軸方向の幅が徐々に狭くなるように形成されている。これにより、Z軸方向における絶縁性部材31の側壁部の両側面には、テーパ面321が形成されている。
【0022】
図1及び図2に示されるように、間隙部材32は、隣り合う絶縁性部材31,31のそれぞれの凸部312,312の間の隙間に配置されている。間隙部材32は、隣り合う絶縁性部材31,31のそれぞれの凸部312,312の間の隙間に対応した形状を有している。図5に示されるように、間隙部材32と絶縁性部材31の凸部312との間には、蓄電素子20の薄肉部24が挟み込まれている。また、間隙部材32のテーパ面321と絶縁性部材31のテーパ面311との間に形成された隙間には、蓄電素子20の電極端子21,22のそれぞれの基端部が位置している。
【0023】
図7に示されるように、隣り合う絶縁性部材31,31の間には、電圧端子50が挟み込まれている。電圧端子50は、隣り合う蓄電素子20,20のそれぞれの電極端子21,22の接続部分に電気的に接続されている。電圧端子50は、X軸方向における絶縁性部材31の側面から突出するように形成されている。電圧端子50は、隣り合う絶縁性部材31,31の間に挟み込まれることにより、隣り合う蓄電素子20,20のそれぞれの電極端子21,22に電気的に接続された状態で固定されている。
【0024】
なお、以下では、隣り合う第1絶縁性部材31a,31aのそれぞれの凸部312,312の間に設けられる間隙部材32を「第1間隙部材32a」とも称する。また、隣り合う第2絶縁性部材31b,31bのそれぞれの凸部312,312の間に設けられる間隙部材32を「第2間隙部材32b」とも称する。
【0025】
図1及び図2に示されるように、蓄電装置10では、複数の第1絶縁性部材31aのうち、最も上方に配置されている第1絶縁性部材31aの上半分が蓄電素子20の積層構造の上端面よりも上方に飛び出している。また、複数の第1間隙部材32aのうち、最も下方に配置されている第1間隙部材32aの下半分が蓄電素子20の積層構造の下端面よりも下方に飛び出している。
【0026】
さらに、蓄電装置10では、複数の第2絶縁性部材31bのうち、最も下方に配置されている第2絶縁性部材31bの下半分が蓄電素子20の積層構造の下端面よりも下方に飛び出している。また、複数の第2間隙部材32bのうち、最も上方に配置されている第2間隙部材32bの上半分が蓄電素子20の積層構造の上端面よりも上方に飛び出している。
【0027】
図1及び図2に示されるように、上側外壁部材33は、蓄電素子20の積層構造の上端部に設けられている。下側外壁部材34は、蓄電素子20の積層構造の下端部に設けられている。外壁部材33,34は、樹脂等の絶縁性材料からなり、略直方体状に形成されている。上側外壁部材33の底面には、最も上方に配置された第1絶縁性部材31aの上半分が挿入される挿入溝330、及び最も上方に配置された第2間隙部材32bの上半分が挿入される挿入溝331が形成されている。下側外壁部材34の上面には、最も下方に配置された第2絶縁性部材31bの下半分が挿入される挿入溝340、及び最も下方に配置された第1間隙部材32aの下半分が挿入される挿入溝341が形成されている。
【0028】
図8に示されるように、上側外壁部材33の各角部には、ボルト35が挿入されるボルト挿入孔332が形成されている。同様に、下側外壁部材34の各角部にも、ボルト35が挿入されるボルト挿入孔342が形成されている。上側外壁部材33のボルト挿入孔332及び下側外壁部材34のボルト挿入孔342は、絶縁性部材31のボルト挿入孔313に連通される。図1及び図2に示されるように、上側外壁部材33のボルト挿入孔332、下側外壁部材34のボルト挿入孔342、及び絶縁性部材31のボルト挿入孔313に挿入されたボルト35と、その先端部にねじ込まれるナット36とにより、上側外壁部材33及び下側外壁部材34がZ軸方向において挟み込まれている。また、上側外壁部材33及び下側外壁部材34により、第1絶縁性部材31a及び第2絶縁性部材31bがZ軸方向において挟み込まれている。さらに、第1絶縁性部材31a,31aのそれぞれの凸部312,312の間に、隣り合う蓄電素子20の薄肉部24及び第1間隙部材32aが挟み込まれている。また、第2絶縁性部材31b,31bのそれぞれの凸部312,312の間に、隣り合う蓄電素子20の薄肉部24及び第2間隙部材32bが挟み込まれている。このような挟持構造により、蓄電素子20、絶縁性部材31、及び間隙部材32の積層構造が図1及び図2に示される状態で保持されている。
【0029】
図9に示されるように、最も上方に配置される最上段蓄電素子20aの電極端子21,22のうち、他の蓄電素子20に接続されていない電極端子22には、板状の電流端子41が電気的に接続されている。電流端子41は、第2絶縁性部材31bの側面から突出するように形成されている。電流端子41は、上側外壁部材33と第2絶縁性部材31bとの間に挟み込まれることにより、最上段蓄電素子20aの電極端子22に電気的に接続された状態で固定されている。
【0030】
同様に、最も下方に配置される最下段蓄電素子20bの電極端子21には、板状の電流端子40が電気的に接続されている。電流端子40は、第1絶縁性部材31aの側面から突出するように形成されている。電流端子40は、下側外壁部材34と第1絶縁性部材31aとの間に挟み込まれることにより、最下段蓄電素子20bの電極端子21に電気的に接続された状態で固定されている。
【0031】
この蓄電装置10では、所要の機器の配線が電流端子40,41に接続される。これにより、蓄電装置10から所要の機器への放電、並びに所要の機器から蓄電装置10への充電が可能となる。
また、蓄電装置10では、電圧端子50に電圧センサを接続することにより、各蓄電素子20の端子間電圧を電圧センサにより検出することができる。
【0032】
次に、本実施形態の蓄電装置10の製造方法について説明する。
蓄電装置10の製造の際には、はじめに、図10に示されるような蓄電素子20及び間隙部材32の積層構造を成形する。具体的には、複数の蓄電素子20を積層して配置するとともに、隣り合う蓄電素子20,20のそれぞれの薄肉部24の隙間に間隙部材32を配置する。具体的には、X軸方向における複数の蓄電素子20の一端部に形成される薄肉部24,24の間に形成される複数の隙間に第1間隙部材32aを一つ置きに配置する。同様に、X軸方向における複数の蓄電素子20の他端部に形成される薄肉部24,24の間に形成される複数の隙間に第2間隙部材32bを一つ置きに配置する。この際、第1間隙部材32a及び第2間隙部材32bはX軸方向において対向しないように配置する。また、最も下方に配置される蓄電素子20bの薄肉部24の一端部の底面に当接するように第1間隙部材32aを配置するとともに、最も上方に配置される蓄電素子20aの薄肉部24の他端部の上面に当接するように第2間隙部材32bを配置する。これにより、図10に示されるような蓄電素子20及び間隙部材32の積層構造が成形される。
【0033】
続いて、図11に示されるように、隣り合う蓄電素子20,20のそれぞれの電極端子21,22の間に電圧端子50を挟み込みつつ、複数の蓄電素子20の薄肉部24の隙間のうち、間隙部材32の配置されていない隙間に絶縁性部材31の凸部312が挿入されるように、蓄電素子20及び間隙部材32の積層構造に絶縁性部材31を組み付ける。この際、隣り合う蓄電素子20,20のそれぞれの電極端子21,22が、間隙部材32のテーパ面321と絶縁性部材31のテーパ面311との間に挟み込まれることにより、間隙部材32のテーパ面321及び絶縁性部材31のテーパ面311に沿って変形する。そして、隣り合う蓄電素子20,20のそれぞれの電極端子21,22が、隣り合う絶縁性部材31,31の間に電圧端子50と共に挟み込まれる。これにより、図12に示されるような蓄電素子20、絶縁性部材31、及び間隙部材32の積層構造が成形される。
【0034】
次に、図12に示されるように、最下段蓄電素子20bの電極端子21に接触するように電流端子40を配置するとともに、最上段蓄電素子20aの電極端子22に接触するように電流端子41を配置した後、蓄電素子20、絶縁性部材31、及び間隙部材32の積層構造を上側外壁部材33及び下側外壁部材34により挟み込む。そして、上側外壁部材33のボルト挿入孔332、下側外壁部材34のボルト挿入孔342、及び絶縁性部材31のボルト挿入孔313にボルト35を挿入した後、ボルト35の先端部にナット36をねじ込むことにより、蓄電装置10の製造が完了する。
【0035】
以上説明した本実施形態の蓄電装置10によれば、以下の(1)~(5)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)複数の絶縁性部材31を外壁部材33,34により挟み込むようにすれば、複数の絶縁性部材31のそれぞれに略均一な力を付与することができる。したがって、隣り合う絶縁性部材31,31の間に配置されている蓄電素子20の電極端子21,22を略均一な力で挟み込むことができるため、複数の蓄電素子20のうちのいずれかの蓄電素子20の電極端子21,22を挟み込む力が不足するような状況が発生し難くなる。そのため、より的確に複数の蓄電素子20の接続を確保することが可能となる。また、仮にいずれかの蓄電素子20の電極端子21,22に接続不良が生じた場合でも、蓄電装置10の各要素を分解した後に再度組み立てれば、それらの蓄電素子20の接続状態を容易に修正することができる。また、蓄電素子20の位置ずれ等にも容易に対応することができる。また、蓄電素子20の電極端子21,22を溶接する必要がないため、その組み立て工程において溶接機等の設備が不要となる。よって、蓄電装置10の組み立てコストを低減することができる。
【0036】
(2)絶縁性部材31は、蓄電素子20に対向する部分に凸部312を有している。これにより、絶縁性部材31を蓄電素子20に組み付ける際に、絶縁性部材31の凸部312により蓄電素子20の電極端子21,22を変形させることができるため、隣り合う蓄電素子20の電極端子21,22を容易に接触させることが可能となる。
【0037】
(3)蓄電装置10は、Z軸方向において隣り合う2つの絶縁性部材31,31のそれぞれの凸部312,312の間に配置される間隙部材32を更に備えている。これにより、絶縁性部材31を蓄電素子20に組み付ける際に、蓄電素子20の電極端子21,22が絶縁性部材31の凸部312と間隙部材32とにより挟み込まれることにより、蓄電素子20の電極端子21,22を更に変形させ易くなる。そのため、隣り合う蓄電素子20の電極端子21,22を更に容易に接触させることができる。
【0038】
(4)間隙部材32は、絶縁性材料からなる。これにより、複数の蓄電素子20の間における意図しない電気的な導通を回避することができる。
(5)間隙部材32は、Z軸方向に隣り合う2つの絶縁性部材31,31のそれぞれの凸部312,312の間の隙間に対応した形状を有している。これにより、複数の絶縁性部材31,31のそれぞれの凸部312,312の間の隙間を間隙部材32により埋めることができるため、各部材の位置ずれを抑制することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・絶縁性部材31、及び間隙部材32のそれぞれの形状は適宜変更可能である。また、それらの形状に合わせて、外壁部材33,34の形状を適宜変更してもよい。
【0040】
・上記実施形態の蓄電装置10の構造を利用して、複数の蓄電素子20を電気的に並列に接続してもよい。このような蓄電装置10としては、例えば図13に示されるような構造を採用することができる。図13に示される蓄電装置10では、全ての蓄電素子20の電極端子21がX1軸方向側に配置され、全ての蓄電素子20の電極端子22がX2軸方向側に配置されている。この蓄電装置10は、全ての蓄電素子20の電極端子21を挟み込んで接触させる一対の絶縁性部材60a,60bと、全ての蓄電素子20の電極端子22を挟み込んで接触させる一対の絶縁性部材60a,60bとを有している。全ての蓄電素子20の電極端子21は、電流端子40に接続されている。また、全ての蓄電素子20の電極端子22は、電流端子41に接続されている。さらに、この蓄電装置10は、複数の蓄電素子20、絶縁性部材60a,60b,61a,61b、及び外壁部材33,34の間に形成される隙間に配置される複数種類の間隙部材70a~70cを備えている。このような構成によれば、複数の蓄電素子10が電気的に並列に接続された蓄電装置10を実現することができる。なお、図13では、5つの蓄電素子20を備える蓄電装置10について例示したが、蓄電装置10は、少なくとも2つの蓄電素子を備えるものであればよい。また、絶縁性部材60a,60bは、少なくとも2つの蓄電素子の電極端子を挟み込むものであればよい。
【0041】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0042】
10:蓄電装置
20:蓄電素子
21,22:電極端子
31,60a,60b:絶縁性部材
32,70a~70c:間隙部材
33,34外壁部材
312:凸部
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