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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/06 20060101AFI20221007BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20221007BHJP
   G06K 13/067 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
G06K13/06 C
G06K7/08 040
G06K13/067 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018095935
(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2019200682
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一徳
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-027249(JP,U)
【文献】特開2001-160116(JP,A)
【文献】特許第4210217(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 13/00-13/30
G06K 7/00-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録されたデータの読取りおよび前記カードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、
前記カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、前記カード移動路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード移動路を開放する開放位置との間で回動可能なシャッタ部材と、前記シャッタ部材よりも前記カードリーダの奥側に配置されるとともに前記カード移動路に臨むように配置され所定の動作を行う可動部材とを備え、
前記シャッタ部材は、前記カード移動路を移動する前記カードの移動方向と前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向とに直交する前記カードの幅方向を回動の軸方向として回動可能となっており、
前記閉鎖位置にある前記シャッタ部材が奥側に向かって回動すると、前記開放位置に移動し、
前記カードの厚さ方向における前記カード移動路の側面の、前記シャッタ部材よりも奥側の部分には、前記開放位置に向かって回動する前記シャッタ部材と前記本体フレームとの干渉を防止するとともに前記カード移動路から異物を排出するための第1開口部、および、前記可動部材と前記本体フレームとの干渉を防止するための第2開口部のみが形成されており、前記第1開口部および前記第2開口部以外の開口部が形成されていないことを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記可動部材として、前記カードの一方の面に形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックと、前記外部接続端子と前記IC接点バネとを所定の接触圧で接触させるために前記カードの他方の面に接触して前記カードを支持する支持部材とを備え、
前記支持部材と前記本体フレームとの干渉を防止するための前記第2開口部は、前記カードの厚さ方向における前記カード移動路の一方の側面に形成され、
前記IC接点ブロックと前記本体フレームとの干渉を防止するための前記第2開口部は、前記カードの厚さ方向における前記カード移動路の他方の側面に形成されていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
カードに記録されたデータの読取りおよび前記カードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、
前記カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、前記カード移動路を閉鎖する閉鎖位置と前記カード移動路を開放する開放位置との間で回動可能なシャッタ部材とを備え、
前記シャッタ部材は、前記カード移動路を移動する前記カードの移動方向と前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向とに直交する前記カードの幅方向を回動の軸方向として回動可能となっており、
前記閉鎖位置にある前記シャッタ部材が前記カードリーダの奥側に向かって回動すると、前記開放位置に移動し、
前記カードの厚さ方向における前記カード移動路の側面の、前記シャッタ部材よりも奥側の部分には、前記開放位置に向かって回動する前記シャッタ部材と前記本体フレームとの干渉を防止するとともに前記カード移動路から異物を排出するための第1開口部のみが形成されており、前記第1開口部以外の開口部が形成されていないことを特徴とするカードリーダ。
【請求項4】
前記本体フレームは、前記シャッタ部材を回動可能に保持するシャッタ保持部と、前記カードの厚さ方向における前記カード移動路の一方の側面の一部を構成するとともに前記シャッタ部材よりも奥側に配置されるガイド部とを備え、
前記第1開口部は、前記シャッタ保持部と前記ガイド部との間に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記ガイド部の前端部には、前側に向かうにしたがって前記カード移動路から離れる方向に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記本体フレームは、前記カードの厚さ方向における前記カード移動路の他方の側面と前記カードの幅方向における前記カード移動路の両側面とを構成する第2ガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記第2ガイド部と別体で形成され、前記第2ガイド部に固定されていることを特徴とする請求項4または5記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記シャッタ部材よりも奥側に配置される静電容量センサを備え、
前記ガイド部は、樹脂で形成され、
前記静電容量センサは、前記ガイド部に取り付けられていることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記開放位置にある前記シャッタ部材の、前記第1開口部の中に配置される部分を開口部配置部とすると、
前記カードの移動方向における前記第1開口部の最大幅は、前記カードの移動方向における前記開口部配置部の幅の1.3~2倍となっていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項9】
前記カードの幅方向における前記カード移動路の側面の、前記シャッタ部材よりも奥側の部分には、前記カード移動路から異物を排出するための第3開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行う手動式のカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダは、いわゆるディップ式のカードリーダである。このカードリーダには、カードが移動するカード移動路が形成されている。また、このカードリーダは、カード移動路が形成されるフレームと、複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックと、磁気ヘッドとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダでは、フレームの前端側部分に、ユーザによるカードの挿入および引抜きが可能となるように切り欠かれた切欠き部が形成されている。切欠き部は、フレームの前端から奥側に向かって切り欠かれており、切欠き部の両側には、突出部が形成されている。磁気ヘッドは、2個の突出部のうちの一方の突出部に取り付けられている。IC接点ブロックは、切欠き部よりも奥側でフレームに取り付けられている。また、IC接点ブロックは、カード移動路を移動するカードの厚さ方向におけるカード移動路の一方の側面からカード移動路に臨むように配置されている。
【0004】
特許文献1に記載のカードリーダでは、カードの厚さ方向におけるカード移動路の一方の側面に、IC接点ブロックとフレームとの干渉を防止するための開口部が形成されている。また、カードの厚さ方向におけるカード移動路の他方の側面の、切欠き部よりも奥側の部分には、比較的大きな開口部が形成されている。特許文献1に記載のカードリーダでは、カードの厚さ方向におけるカード移動路の他方の側面に形成される比較的大きな開口部を利用して、カード挿入口からカード移動路に入り込んだ異物をカード移動路から排出することが可能になっている。
【0005】
また、従来、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行うカード搬送式のカードリーダが知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のカードリーダには、カードが搬送されるカード搬送路が形成されている。このカードリーダは、カード搬送路を閉鎖する位置とカード搬送路を開放する位置との間で移動可能なシャッタ部材と、複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックと、磁気ヘッドとを備えている。
【0006】
また、特許文献2に記載のカードリーダは、カード搬送路に異物が取り付けられたことを検知するための静電容量センサを備えている。静電容量センサは、シャッタ部材よりもカードリーダの奥側に配置されている。特許文献2に記載のカードリーダでは、カードに記録されたデータを犯罪者が不正に読み取るためのスキミング装置がカードリーダの内部に取り付けられたことを、静電容量センサを用いて検知することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-192053号公報
【文献】特開2017-219971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のカードリーダの場合、カードの厚さ方向におけるカード移動路の他方の側面に形成される比較的大きな開口部を利用して、カードリーダの内部にスキミング装置が取り付けられるおそれがある。特許文献1に記載のカードリーダの内部にスキミング装置が取り付けられるのを防止して、スキミング装置によるデータの不正な読取りを防止するためには、カード移動路の他方の側面に形成される開口部を塞げば良い。しかしながら、この開口部を塞ぐと、塵埃等の異物をカード移動路から排出することが困難になる。また、カード移動路の中の異物が排出されずにカード移動路の中に異物が残っていると、カードの移動が阻害されて、カードリーダが使用できなくなるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、塵埃等の異物をカード移動路から排出することが可能であっても、カードリーダの内部へのスキミング装置の取付を防止しやすくなるとともに、万が一、カードリーダの内部にスキミング装置が取り付けられても、スキミング装置によるデータの不正な読取りを防止することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録されたデータの読取りおよびカードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、カード移動路を閉鎖する閉鎖位置とカード移動路を開放する開放位置との間で回動可能なシャッタ部材と、シャッタ部材よりもカードリーダの奥側に配置されるとともにカード移動路に臨むように配置され所定の動作を行う可動部材とを備え、シャッタ部材は、カード移動路を移動するカードの移動方向とカード移動路を移動するカードの厚さ方向とに直交するカードの幅方向を回動の軸方向として回動可能となっており、閉鎖位置にあるシャッタ部材が奥側に向かって回動すると、開放位置に移動し、カードの厚さ方向におけるカード移動路の側面の、シャッタ部材よりも奥側の部分には、開放位置に向かって回動するシャッタ部材と本体フレームとの干渉を防止するとともにカード移動路から異物を排出するための第1開口部、および、可動部材と本体フレームとの干渉を防止するための第2開口部のみが形成されており、第1開口部および第2開口部以外の開口部が形成されていないことを特徴とする。
【0011】
本発明において、たとえば、カードリーダは、可動部材として、カードの一方の面に形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックと、外部接続端子とIC接点バネとを所定の接触圧で接触させるためにカードの他方の面に接触してカードを支持する支持部材とを備え、支持部材と本体フレームとの干渉を防止するための第2開口部は、カードの厚さ方向におけるカード移動路の一方の側面に形成され、IC接点ブロックと本体フレームとの干渉を防止するための第2開口部は、カードの厚さ方向におけるカード移動路の他方の側面に形成されている。
【0012】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録されたデータの読取りおよびカードへのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うカードリーダにおいて、カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、カード移動路を閉鎖する閉鎖位置とカード移動路を開放する開放位置との間で回動可能なシャッタ部材とを備え、シャッタ部材は、カード移動路を移動するカードの移動方向とカード移動路を移動するカードの厚さ方向とに直交するカードの幅方向を回動の軸方向として回動可能となっており、閉鎖位置にあるシャッタ部材がカードリーダの奥側に向かって回動すると、開放位置に移動し、カードの厚さ方向におけるカード移動路の側面の、シャッタ部材よりも奥側の部分には、開放位置に向かって回動するシャッタ部材と本体フレームとの干渉を防止するとともにカード移動路から異物を排出するための第1開口部のみが形成されており、第1開口部以外の開口部が形成されていないことを特徴とする。
【0013】
本発明のカードリーダでは、カードの厚さ方向におけるカード移動路の側面の、シャッタ部材よりも奥側の部分に、開放位置に向かって回動するシャッタ部材と本体フレームとの干渉を防止するとともにカード移動路から異物を排出するための第1開口部が形成されている。そのため、本発明では、第1開口部を利用して塵埃等の異物をカード移動路から排出することが可能になる。
【0014】
また、本発明では、カードの厚さ方向におけるカード移動路の側面の、シャッタ部材よりも奥側の部分に、可動部材と本体フレームとの干渉を防止するための第2開口部および第1開口部のみが形成されており、第1開口部および第2開口部以外の開口部が形成されていない。あるいは、本発明では、カードの厚さ方向におけるカード移動路の側面の、シャッタ部材よりも奥側の部分に、第1開口部のみが形成されており、第1開口部以外の開口部が形成されていない。そのため、本発明では、カードリーダの内部へのスキミング装置の取付を防止しやすくなる。
【0015】
さらに、本発明では、カード移動路から異物を排出するための第1開口部は、開放位置に向かって回動するシャッタ部材と本体フレームとの干渉を防止する機能も果たしているため、万が一、第1開口部にスキミング装置が取り付けられたときには、開放位置に向かって回動するシャッタ部材とスキミング装置とが干渉してシャッタ部材が開放位置に移動しなくなる。したがって、本発明では、第1開口部にスキミング装置が取り付けられると、カードリーダにカードを挿入してもシャッタ部材が閉鎖位置から開放位置に回動しなくなって、カードリーダにカードを取り込むことができなくなる。その結果、本発明では、万が一、カードリーダの内部にスキミング装置が取り付けられても、スキミング装置によるデータの不正な読取りを防止することが可能になる。
【0016】
このように本発明では、塵埃等の異物をカード移動路から排出することが可能であっても、カードリーダの内部へのスキミング装置の取付を防止しやすくなるとともに、万が一、カードリーダの内部にスキミング装置が取り付けられても、スキミング装置によるデータの不正な読取りを防止することが可能になる。また、本発明では、開放位置に向かって回動するシャッタ部材と本体フレームとの干渉を防止するための第1開口部が、カード移動路から異物を排出する機能も果たしており、シャッタ部材のすぐ奥側に第1開口部が形成されている。そのため、本発明では、カード挿入口から入り込んだ塵埃をシャッタ部材のすぐ奥側でカード移動路から排出することが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、本体フレームは、シャッタ部材を回動可能に保持するシャッタ保持部と、カードの厚さ方向におけるカード移動路の一方の側面の一部を構成するとともにシャッタ部材よりも奥側に配置されるガイド部とを備え、第1開口部は、シャッタ保持部とガイド部との間に形成されている。
【0018】
本発明において、ガイド部の前端部には、前側に向かうにしたがってカード移動路から離れる方向に傾斜する傾斜面が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1開口部の奥側に移動するカードの端部がガイド部の前端部で引っ掛かるのを防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、本体フレームは、カードの厚さ方向におけるカード移動路の他方の側面とカードの幅方向におけるカード移動路の両側面とを構成する第2ガイド部を備え、ガイド部は、第2ガイド部と別体で形成され、第2ガイド部に固定されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、ガイド部が取り付けられていないカードリーダがすでに市場に設置されている場合に、このカードリーダにガイド部を追加で取り付けることが可能になる。
【0020】
本発明において、カードリーダは、シャッタ部材よりも奥側に配置される静電容量センサを備え、ガイド部は、樹脂で形成され、静電容量センサは、ガイド部に取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、万が一、カードリーダの内部にスキミング装置が取り付けられたときに、静電容量センサによってスキミング装置が取り付けられたことを検知することが可能になる。
【0021】
本発明において、開放位置にあるシャッタ部材の、第1開口部の中に配置される部分を開口部配置部とすると、カードの移動方向における第1開口部の最大幅は、カードの移動方向における開口部配置部の幅の1.3~2倍となっていることが好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、第1開口部へのスキミング装置の取付を効果的に防止しやすくなるとともに、第1開口部を利用して塵埃等の異物をカード移動路から排出しやくなる。
【0022】
本発明において、カードの幅方向におけるカード移動路の側面の、シャッタ部材よりも奥側の部分には、カード移動路から異物を排出するための第3開口部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、カードの幅方向と鉛直方向とが一致するようにカードリーダが設置された場合に、第3開口部を利用して塵埃等の異物をカード移動路から排出することが可能になる。なお、カードの幅方向におけるカード移動路の側面に形成される第3開口部の、カードの厚さ方向の幅は狭いため、第3開口部を利用して、カードリーダの内部にスキミング装置を取り付けることは困難である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明のカードリーダでは、塵埃等の異物をカード移動路から排出することが可能であっても、カードリーダの内部へのスキミング装置の取付を防止しやすくなるとともに、万が一、カードリーダの内部にスキミング装置が取り付けられても、スキミング装置によるデータの不正な読取りを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
図2図1に示すカードリーダの底面図である。
図3図1に示すカードリーダからガイド部を取り外した状態の斜視図である。
図4図1に示すカードリーダからベゼル等を取り外した状態の平面図である。
図5図2のE-E断面の断面図である。
図6図5においてシャッタ部材が開放位置に配置されている状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1の底面図である。図3は、図1に示すカードリーダ1から第2フレーム15を取り外した状態の斜視図である。図4は、図1に示すカードリーダ1からベゼル5等を取り外した状態の平面図である。図5は、図2のE-E断面の断面図である。図6は、図5においてシャッタ部材10が開放位置10Bに配置されている状態の断面図である。
【0027】
本形態のカードリーダ1は、ユーザが手動でカード2を操作して、カード2に記録されたデータの読取りおよびカード2へのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うための装置であり、いわゆるディップ式のカードリーダである。このカードリーダ1は、所定の上位装置(図示省略)に搭載されて使用される。カードリーダ1の内部には、カード2が移動するカード移動路3が形成されている。カードリーダ1は、カード移動路3が形成される本体フレーム4と、カード移動路3に通じるカード挿入口が形成されるとともに本体フレーム4に取り付けられるベゼル(前面フレーム)5とを備えている。
【0028】
また、カードリーダ1は、複数のIC接点バネを有するIC接点ブロック6(図4参照)と、磁気ヘッド7と、カードリーダ1の内部に挿入されたカード2の引抜きを阻止するレバー部材8(図4参照)と、レバー部材8を回動させる駆動機構9とを備えている。さらに、カードリーダ1は、カード移動路3を閉鎖する閉鎖位置10A(図5参照)とカード移動路3を開放する開放位置10B(図6参照)との間で回動可能なシャッタ部材10を備えている。
【0029】
本形態では、カード移動路3においてカード2は、図1等のX方向に直線的に移動する。すなわち、X方向は、カード移動路3を移動するカード2の移動方向である。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード移動路3を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード移動路3を移動するカード2の幅方向である。本形態では、たとえば、鉛直方向(上下方向)とカード2の厚さ方向とが一致するようにカードリーダ1が設置されている。
【0030】
以下の説明では、X方向を「前後方向」とし、Y方向を「左右方向」とし、Z方向を「上下方向」とする。また、前後方向の一方側であるX1方向側を「後ろ(奥)」側とし、その反対側であるX2方向側を「前」側とし、左右方向の一方側であるY1方向側を「右」側とし、その反対側であるY2方向側を「左」側とし、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側とし、その反対側であるZ2方向側を「下」側とする。本形態では、カード挿入口は、カードリーダ1の前端に形成されており、カード2は、後ろ側に向かってカードリーダ1に挿入される。また、カード2は、前側に向かってカードリーダ1から引き抜かれる。
【0031】
カード2は、厚さが0.7~0.8mm程度の略長方形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の裏面には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。また、カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2のおもて面には、ICチップの外部接続端子が形成されている。カード2は、カード2のおもて面が上側を向くとともに、カード2の長手方向が前後方向と一致した状態で、カード挿入口に挿入される。
【0032】
本体フレーム4は、全体として、上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。図4に示すように、本体フレーム4の前端側の一部分は、カードリーダ1の前端から奥側に向かって切り欠かれた切欠き部4aとなっている。切欠き部4aは、本体フレーム4の前端側の、左右方向の中間位置に形成されており、左右方向における切欠き部4aの両側には、突出部4b、4cが形成されている。右側に配置される突出部4bの前端および左端は、カードリーダ1へのカード2の挿入が可能となるように開口している。左側に配置される突出部4cの前端および右端は、カードリーダ1へのカード2の挿入が可能となるように開口している。
【0033】
また、本体フレーム4は、カード移動路3の上側面(カード2の厚さ方向におけるカード移動路3の他方の側面)とカード移動路3の左右方向の両側面(カード2の幅方向におけるカード移動路3の両側面)とを構成する第1フレーム14と、カード移動路3の下側面(カード2の厚さ方向におけるカード移動路3の一方の側面)の奥側部分を構成する第2フレーム15と、カード移動路3の下側面の前側部分を構成する第3フレーム16とから構成されている。本形態では、第1フレーム14がカード移動路3の後側面を構成している。(図5図6参照)。
【0034】
突出部4b、4cは、第1フレーム14の前側部分と第3フレーム16の前側部分とによって構成されている。シャッタ部材10は、第3フレーム16に回動可能に保持されている。本形態の第1フレーム14は、第2ガイド部であり、第2フレーム15は、ガイド部材であり、第3フレーム16は、シャッタ保持部である。本体フレーム4の具体的な構成については後述する。
【0035】
ベゼル5は、本体フレーム4の前端側部分を覆うように、本体フレーム4の前端側部分に取り付けられている。ベゼル5には、本体フレーム4の切欠き部4aの形状に応じた切欠き部5aが形成されている。切欠き部5aは、ユーザによるカード2の挿入およびカード2の引抜きが可能となるように形成されており、カード挿入口から挿入されたカード2の先端(奥端)がカード移動路3の奥端側まで到達したときに、カード2の前端は、切欠き部5aの中に配置されている。また、ベゼル5の後面は、開口しており、ベゼル5は、本体フレーム4の前端側部分に前側から取り付けられる。
【0036】
磁気ヘッド7は、突出部4bに取り付けられている。また、磁気ヘッド7は、第3フレーム16に取り付けられている。磁気ヘッド7は、磁気ヘッド7の磁気ギャップが下側からカード移動路3に臨むように配置されている。磁気ヘッド7は、図示を省略する板バネに固定されており、この板バネの付勢力によって上側に付勢されている。磁気ヘッド7は、カードリーダ1にカード2が挿入されると、カード2の下面に接触してカード2の厚さ分、下降する。また、磁気ヘッド7は、カード2が引き抜かれると、カード2の厚さ分、上昇する。
【0037】
IC接点ブロック6は、カードリーダ1の奥側部分に配置されている。IC接点ブロック6は、IC接点バネが上側からカード移動路3に臨むように、カード移動路3の上側に配置されている。また、IC接点ブロック6は、平行リンク機構18(図4参照)を介して第1フレーム14に連結されており、前後方向にスライドしながら上下動する。IC接点ブロック6は、引張りコイルバネ19(図4参照)によって前側に付勢されている。
【0038】
本形態では、カードリーダ1の奥側へのカード2の挿入操作に伴って、IC接点ブロック6が奥側にスライドしながら下降して、カード2の外部接続端子に複数のIC接点バネが接触する。また、奥側に挿入されたカード2が前側に引き抜かれると、カード2のおもて面からIC接点バネが離れるように、引張りコイルバネ19の付勢力によって、IC接点ブロック6が前側にスライドしながら上昇する。
【0039】
IC接点ブロック6の下側には、カード2の外部接続端子とIC接点バネとを所定の接触圧で接触させるための支持部材21が配置されている。支持部材21は、下側からカード移動路3に臨むように配置されている。支持部材21は、左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように第1フレーム14の後端部に支持されている。また、支持部材21は、支持部材21の後端部を回動中心にして第1フレーム14に対して回動可能となっている。支持部材21の後端部には、支持部材21の後端部を上側に付勢する引張りコイルバネの一端が取り付けられている。引張りコイルバネの一端は、支持部材21の回動中心よりも後ろ側で支持部材21に係合している。
【0040】
本形態では、カードリーダ1の奥側へのカード2の挿入操作に伴って、引張りコイルバネの付勢力に抗して支持部材21の前端側が持ち上がり、カード2の外部接続端子とIC接点バネとが所定の接触圧で接触するように、支持部材21がカード2の裏面(下面)に接触してカード2を下側から支持する。また、奥側に挿入されたカード2が前側に引き抜かれると、引張りコイルバネの付勢力によって、支持部材21の前端側が下降してカード移動路3から退避する。
【0041】
後述のように、シャッタ部材10は、IC接点ブロック6および支持部材21よりも前側に配置されている。すなわち、IC接点ブロック6および支持部材21は、シャッタ部材10よりも奥側に配置されている。本形態のIC接点ブロック6および支持部材21は、シャッタ部材10より奥側に配置されるとともにカード移動路3に臨むように配置され所定の動作を行う可動部材である。
【0042】
レバー部材8は、左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように第1フレーム14に支持されている。駆動機構9は、ソレノイド24と、ソレノイド24の動力をレバー部材8に伝達する動力伝達機構とを備えている。レバー部材8の前端部は、突出部4bの前端側に配置されている。レバー部材8は、レバー部材8の前端部がカード移動路3の中に配置されて、挿入されたカード2の引抜きを阻止する引抜き阻止位置と、レバー部材8の前端部がカード移動路3から上側に退避して、カード2の引抜きが可能となる退避位置との間で回動可能になっている。なお、レバー部材8は、ネジリコイルバネ等のバネ部材によって引抜き阻止位置に向かって付勢されており、ソレノイド24の動力で退避位置から引抜き阻止位置へ回動する。
【0043】
シャッタ部材10は、左右方向を回動の軸方向として回動可能になっている。上述のように、シャッタ部材10は、第3フレーム16に回動可能に保持されている。具体的には、シャッタ部材10は、第3フレーム16の後端部に回動可能に保持されている。シャッタ部材10は、磁気ヘッド7よりも奥側に配置されるとともに、IC接点ブロック6および支持部材21よりも前側に配置されている。また、シャッタ部材10は、切欠き部4aよりも奥側に配置されている。
【0044】
シャッタ部材10は、カード移動路3を塞ぐシャッタ本体部10aと、第3フレーム16に保持される2個の保持部10bとを備えている。シャッタ本体部10aは、左右方向の長さが長い長尺状に形成されている。シャッタ本体部10aの左右方向の幅は、カード移動路3の左右方向の幅よりも若干狭くなっている。2個の保持部10bは、シャッタ本体部10aの左右方向の両端側のそれぞれに繋がっている。保持部10bは、シャッタ部材10が閉鎖位置10Aに配置されている状態において、シャッタ本体部10aから下側に向かって伸びており、保持部10bの下端部が第3フレーム16の後端部に回動可能に保持されている。
【0045】
本形態では、閉鎖位置10Aにあるシャッタ部材10が奥側に向かって回動すると、シャッタ部材10が開放位置10Bに移動する。具体的には、シャッタ部材10の下端部を回動中心にしてシャッタ部材10の上端部が奥側へ移動するように、閉鎖位置10Aにあるシャッタ部材10が回動すると、シャッタ部材10が開放位置10Bに移動する。
【0046】
また、本形態では、シャッタ部材10は、ネジリコイルバネによって閉鎖位置10Aに向かって付勢されており、カードリーダ1の奥側へ挿入されるカード2の先端(奥端)がシャッタ本体部10aの前面に接触した後のカード2の挿入操作に伴って、閉鎖位置10Aにあるシャッタ部材10が開放位置10Bに移動する。また、奥側に挿入されたカード2が前側に引き抜かれると、開放位置10Bにあるシャッタ部材10が閉鎖位置10Aに移動する。
【0047】
また、カードリーダ1は、閉鎖位置10Aにあるシャッタ部材10の回動を規制する回動規制部材25を備えている。回動規制部材25は、上下方向を回動の軸方向として回動可能になっている。カードリーダ1にカード2が挿入されていないときに、回動規制部材25は、閉鎖位置10Aにあるシャッタ部材10の左右方向の端部に係合してシャッタ部材10の回動を規制している。短手方向の幅が正規の幅となっているカード2がカードリーダ1に挿入されると、回動規制部材25が回動して、回動規制部材25とシャッタ本体部10aとの係合状態が解除され、シャッタ部材10の規制が解除される。なお、回動規制部材25は、所定のバネ部材によって、シャッタ部材10と係合する位置に向かって付勢されている。
【0048】
(本体フレームの構成)
上述のように、本体フレーム4は、第1フレーム14と第2フレーム15と第3フレーム16とから構成されている。第1フレーム14と第2フレーム15と第3フレーム16とは、別体で形成されている。また、第1フレーム14、第2フレーム15および第3フレーム16は、樹脂で形成されている。第2フレーム15は、第1フレーム14に固定されている。具体的には、第2フレーム15は、ネジ30によって第1フレーム14の奥側部分に固定されている。ネジ30は、第2フレーム15の後端部に配置されるとともに、第2フレーム15の左右の両端部に配置されている。
【0049】
第1フレーム14には、第2フレーム15の前端部が係合する係合溝14aが形成されている。係合溝14aは、第1フレーム14の左右の両端側に形成されている。係合溝14aによって、第1フレーム14に対する第2フレーム15の上下左右方向および前方向への相対移動が規制されている。なお、第3フレーム16も、ネジによって第1フレーム14の前側部分に固定されている。また、第2フレーム15は、金属で形成されていても良い。
【0050】
上述のように、シャッタ部材10は、第3フレーム16の後端部に回動可能に保持されている。第2フレーム15は、シャッタ部材10よりも奥側に配置されている。第3フレーム16と第2フレーム15との間には、開放位置10Bに向かって回動するシャッタ部材10と本体フレーム4との干渉(具体的には、シャッタ部材10と第2フレーム15との干渉)を防止するとともにカード移動路3から異物を排出するための開口部31が形成されている。
【0051】
すなわち、カード移動路3の下側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、開口部31が形成されている。具体的には、前後方向において、第3フレーム16の後端面と第2フレーム15の前端面との間には隙間が形成されており、この隙間が開口部31となっている。開口部31は、本体フレーム4の下面からカード移動路3まで通じている。本形態の開口部31は、第1開口部である。
【0052】
第3フレーム16の後端面は、前後方向に直交する平面となっている。第2フレーム15の前端面は、前後方向に略直交する平面状の第1前端面15aと、第1前端面15aの左右の両端に繋がる平面状の2個の第2前端面15bとから構成されている。第2前端面15bは、左右方向の外側に向かうにしたがって前側に向かうように傾斜する傾斜面である。第2フレーム15の前端部には、前側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面15cが形成されている。すなわち、第2フレーム15の前端部には、前側に向かうにしたがってカード移動路3から離れる方向に傾斜する傾斜面15cが形成されている。具体的には、第2フレーム15の前端部の上面に、傾斜面15cが形成されている。傾斜面15cの前端は、第1前端面15aの上端に繋がっている。
【0053】
開口部31の左右方向の幅は、シャッタ本体部10aの左右方向の幅よりも広くなっている。また、第1前端面15aの左右方向の幅は、シャッタ本体部10aの左右方向の幅とほぼ等しくなっている。図6に示すように、開放位置10Bにあるシャッタ部材10の、開口部31の中に配置される部分を開口部配置部10cとすると、開口部31の前後方向の最大幅W1は、開口部配置部10cの前後方向の幅W2の1.3~2倍となっている。すなわち、第3フレーム16の後端面と第1前端面15aとの前後方向の距離である最大幅W1は、幅W2の1.3~2倍となっている。本形態では、最大幅W1は、幅W2の約1.5倍となっている。
【0054】
第1フレーム14には、IC接点ブロック6と本体フレーム4との干渉(具体的には、IC接点ブロック6と第1フレーム14との干渉)を防止するための開口部32が形成されている。すなわち、カード移動路3の上側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、開口部32が形成されている。開口部32は、上下方向で第1フレーム14を貫通しており、本体フレーム4の上面からカード移動路3まで通じている。開口部32の大きさは、前後方向にスライドしながら上下動するIC接点ブロック6と第1フレーム14とが干渉しない程度の必要最小限の大きさとなっている。本形態の開口部32は、第2開口部である。
【0055】
第2フレーム15には、支持部材21と本体フレーム4との干渉(具体的には、支持部材21と第2フレーム15との干渉)を防止するための開口部33が形成されている。すなわち、カード移動路3の下側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、開口部33が形成されている。開口部33は、上下方向で第2フレーム15を貫通しており、本体フレーム4の下面からカード移動路3まで通じている。開口部33の大きさは、後端部を回動中心にして回動する支持部材21と第2フレーム15とが干渉しない程度の必要最小限の大きさとなっている。本形態の開口部33は、第2開口部である。
【0056】
本形態では、カード移動路3の上下の両側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、開口部31~33のみが形成されている。すなわち、カード移動路3の上下の両側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、開口部31~33以外の開口部は形成されておらず、カード移動路3の上下の両側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分は、開口部31~33を除いて塞がっている(埋まっている)。なお、第3フレーム16の前端部には、磁気ヘッド7の上端部が配置される開口部34が形成されている。開口部34は、上下方向で第3フレーム16を貫通している。また、第1フレーム14の前端部には、レバー部材8の前端部が配置される開口部が形成されている。この開口部は、上下方向で第1フレーム14を貫通している。
【0057】
第1フレーム14の左右方向の側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、カード移動路3から異物を排出するための開口部35が形成されている。すなわち、カード移動路3の左右方向の側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、開口部35が形成されている。開口部35は、たとえば、第1フレーム14の左側面に形成されている。開口部35は、左右方向で第1フレーム14を貫通しており、本体フレーム4の左側面からカード移動路3まで通じている。また、開口部35は、前後方向に細長い長方形の角穴状に形成されている。本形態の開口部35は、第3開口部である。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カード移動路3の下側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分に、開放位置10Bに向かって回動するシャッタ部材10と第2フレーム15との干渉を防止するとともにカード移動路3から異物を排出するための開口部31が形成されている。そのため、本形態では、開口部31を利用して塵埃等の異物をカード移動路3から排出することが可能になる。
【0059】
本形態では、カード移動路3の上下の両側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分に、開口部31~33のみが形成されており、開口部31~33以外の開口部は形成されていない。そのため、本形態では、カードリーダ1の内部へのスキミング装置の取付を防止しやすくなる。なお、カード移動路3の左側面に形成される開口部35の上下方向の幅は狭いため、カード移動路3の左側面に開口部35が形成されていても、開口部35を利用して、カードリーダ1の内部にスキミング装置を取り付けることは困難である。
【0060】
本形態では、カード移動路3から異物を排出するための開口部31は、開放位置10Bに向かって回動するシャッタ部材10と第2フレーム15との干渉を防止する機能も果たしている。そのため、本形態では、万が一、開口部31にスキミング装置が取り付けられたときには、開放位置10Bに向かって回動するシャッタ部材10とスキミング装置とが干渉してシャッタ部材10が開放位置10Bに移動しなくなる。したがって、本形態では、開口部31にスキミング装置が取り付けられると、カードリーダ1にカード2を挿入してもシャッタ部材10が閉鎖位置10Aから開放位置10Bに回動しなくなって、カードリーダ1にカード2を取り込むことができなくなる。その結果、本形態では、万が一、カードリーダ1の内部にスキミング装置が取り付けられても、スキミング装置によるデータの不正な読取りを防止することが可能になる。
【0061】
本形態では、開口部31の前後方向の最大幅W1は、開口部配置部10cの前後方向の幅W2の1.3~2倍となっている。そのため、本願発明者の検討によれば、開口部31へのスキミング装置の取付を効果的に防止しやすくなるとともに、開口部31を利用して塵埃等の異物をカード移動路3から排出しやくなる。また、本形態では、シャッタ部材10のすぐ奥側に開口部31が形成されているため、カード挿入口から入り込んだ塵埃をシャッタ部材10のすぐ奥側でカード移動路3から排出することが可能になる。
【0062】
本形態では、第2フレーム15の前端部に、前側に向かうにしたがって下側に向かうように傾斜する傾斜面15cが形成されている。そのため、本形態では、開口部31の奥側に移動するカード2の先端(奥端)が第2フレーム15の前端部で引っ掛かるのを防止することが可能になる。また、本形態では、第2フレーム15は、第1フレーム14と別体で形成され、第1フレーム14に固定されているため、たとえば、第2フレーム15が取り付けられていないカードリーダ1がすでに市場に設置されている場合に、このカードリーダ1に第2フレーム15を追加で取り付けることが可能になる。
【0063】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0064】
上述した形態において、カードリーダ1は、シャッタ部材10よりも奥側に配置される静電容量センサ40を備えていても良い(図2の二点鎖線参照)。この場合には、静電容量センサ40は、樹脂製の第2フレーム15に取り付けられている。たとえば、静電容量センサ40は、第2フレーム15の下面に取り付けられている。この場合には、万が一、カードリーダ1の内部にスキミング装置が取り付けられたときに、静電容量センサ40によってスキミング装置が取り付けられたことを検知することが可能になる。
【0065】
上述した形態において、カードリーダ1は、IC接点ブロック6および支持部材21を備えていなくても良い。この場合には、本体フレーム4に、開口部32、33は形成されていない。すなわち、この場合には、カード移動路3の上下の両側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分に、開口部31のみが形成されており、開口部31以外の開口部は形成されていない。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
上述した形態において、磁気ヘッド7がシャッタ部材10よりも奥側に配置されていても良い。この場合には、第2フレーム15に、磁気ヘッド7と第2フレーム15との干渉を防止するための開口部が形成されている。すなわち、カード移動路3の下側面の、シャッタ部材10よりも奥側の部分には、磁気ヘッド7と本体フレーム4との干渉を防止するための開口部が形成されている。この場合の磁気ヘッド7は可動部材であり、第2フレーム15に形成される開口部は第2開口部である。
【0067】
上述した形態では、カードリーダ1は、手動式のカードリーダであるが、本発明が適用されるカードリーダは、カード2の搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。この場合には、たとえば、カード2を搬送する駆動ローラおよびパッドローラがシャッタ部材10よりも奥側に配置されるとともに、カード移動路3に臨むように配置されている。駆動ローラおよびパッドローラは、カード2を搬送するときに回転する。
【0068】
また、この場合には、カード移動路3の上側面および下側面のいずれか一方の、シャッタ部材10より奥側の部分に、駆動ローラと本体フレーム4との干渉を防止するための開口部が形成され、カード移動路3の上側面および下側面のいずれか他方の、シャッタ部材10より奥側の部分に、パッドローラと本体フレーム4との干渉を防止するための開口部が形成されている。この場合の駆動ローラおよびパッドローラは可動部材であり、カード移動路3の上側面および下側面に形成される開口部は第2開口部である。
【0069】
上述した形態において、開口部31の前後方向の最大幅W1は、開口部配置部10cの前後方向の幅W2の1.3倍未満であっても良いし、2倍を超えていても良い。また、上述した形態において、第1フレーム14と第2フレーム15とが一体で形成されていても良い。たとえば、第1フレーム14と第2フレーム15とが一体成形されていても良い。また、第1フレーム14と第3フレーム16とが一体で形成されていても良いし、第2フレーム15と第3フレーム16とが一体で形成されていても良い。
【0070】
上述した形態において、カードリーダ1の左側面が下側を向くようにカードリーダ1が設置されていても良い。この場合には、開口部35を利用して塵埃等の異物をカード移動路3から排出することが可能になる。また、上述した形態において、カード2は、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 カードリーダ
2 カード
3 カード移動路
4 本体フレーム
6 IC接点ブロック(可動部材)
10 シャッタ部材
10A 閉鎖位置
10B 開放位置
10c 開口部配置部
14 第1フレーム(第2ガイド部)
15 第2フレーム(ガイド部)
15c 傾斜面
16 第3フレーム(シャッタ保持部)
21 支持部材(可動部材)
31 開口部(第1開口部)
32、33 開口部(第2開口部)
35 開口部(第3開口部)
40 静電容量センサ
W1 カードの移動方向における第1開口部の最大幅
W2 カードの移動方向における開口部配置部の幅
X カードの移動方向
X1 奥側
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6