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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】スクイズボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20221007BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/02 111
B65D77/06 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018105388
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019209990
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】武内 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】本田 孝行
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 慎太郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-104346(JP,A)
【文献】特開2016-060526(JP,A)
【文献】登録実用新案第3061042(JP,U)
【文献】特開2012-062062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0205341(US,A1)
【文献】特開2002-225842(JP,A)
【文献】特開2008-162666(JP,A)
【文献】特開平11-115940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル軸方向から見た平面視形状が、一対の短辺部分および一対の長辺部分を有する扁平形状とされ、かつ弾性変形可能に形成された胴部を有するスクイズボトルであって、
前記胴部における一対の前記短辺部分に、ボトル軸方向に沿う縦断面視で凹曲線状を呈する補強凹部が各別に形成され、
前記胴部に、全周にわたって連続して延び、かつ前記縦断面視で凹曲線状を呈する周溝がボトル軸方向に間隔をあけて複数形成され、
前記補強凹部は、前記短辺部分において、ボトル軸方向で互いに隣り合う周溝同士の間に位置する部分に配設され
前記補強凹部は、前記周溝にボトル軸方向に近接しており、
前記短辺部分において、前記補強凹部におけるボトル軸O方向の両端縁と前記周溝との間に位置する各境界部分は、前記縦断面視で突曲線状を呈し、前記補強凹部および前記周溝に段差なく滑らかに連なり、
前記縦断面視で、前記周溝の曲率半径は、前記補強凹部の曲率半径より小さく、かつ前記境界部分の曲率半径より大きくなっているスクイズボトル。
【請求項2】
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装されるとともに、弾性変形可能に形成された前記胴部を有する外容器を備える請求項1に記載のスクイズボトル。
【請求項3】
前記補強凹部は、ボトル軸に直交する横断面視で凹曲線状を呈する請求項1または2に記載のスクイズボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、ボトル軸方向から見た平面視形状が、一対の短辺部分および一対の長辺部分を有する扁平形状とされたボトルが知られている。扁平形状のボトルは、胴部における一対の長辺部分を、互いが対向する短軸方向に押込むことで、胴部内の内容物が口部内を通して吐出されるスクイズボトルとして使用することができる。
このようなスクイズボトルでは、一般に、小さい押圧力で内容物を吐出させることが可能なスクイズ性と、この押圧力を解除したときに、短時間で復元可能な復元性と、を両立させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3124620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば環境などに対する配慮からスクイズボトルを軽量化し、その肉厚が薄くなるように形成すると、スクイズ性は向上するものの復元性が低下する。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、薄肉にしても復元性を確保することができるスクイズボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明のスクイズボトルは、ボトル軸方向から見た平面視形状が、一対の短辺部分および一対の長辺部分を有する扁平形状とされ、かつ弾性変形可能に形成された胴部を有するスクイズボトルであって、前記胴部における一対の前記短辺部分に、ボトル軸方向に沿う縦断面視で凹曲線状を呈する補強凹部が各別に形成され、前記胴部に、全周にわたって連続して延び、かつ前記縦断面視で凹曲線状を呈する周溝がボトル軸方向に間隔をあけて複数形成され、前記補強凹部は、前記短辺部分において、ボトル軸方向で互いに隣り合う周溝同士の間に位置する部分に配設され、前記補強凹部は、前記周溝にボトル軸方向に近接しており、前記短辺部分において、前記補強凹部におけるボトル軸O方向の両端縁と前記周溝との間に位置する各境界部分は、前記縦断面視で突曲線状を呈し、前記補強凹部および前記周溝に段差なく滑らかに連なり、前記縦断面視で、前記周溝の曲率半径は、前記補強凹部の曲率半径より小さく、かつ前記境界部分の曲率半径より大きくなっている。
【0007】
本発明によれば、胴部における一対の短辺部分に補強凹部が各別に形成されているので、胴部の長辺部分において、補強凹部とボトル軸方向の位置が同等の部分(以下、押圧部という)を、短軸方向に押込んだときの力が、周方向に分散するのを抑制することが可能になり、胴部を薄肉に形成しても、前記押圧部の剛性が過度に低くなるのを抑えて、復元性を確保することができる。
しかも、補強凹部が、ボトル軸方向に沿う縦断面視で凹曲線状を呈するので、胴部に補強凹部を形成したことで、応力集中箇所が生ずるのを抑制することができる。
【0009】
補強凹部が、短辺部分において、ボトル軸方向で互いに隣り合う周溝同士の間に位置する部分に配設されているので、前記押圧部を、短軸方向に押込んだときの力が、周方向に分散することだけでなくボトル軸方向に分散することも抑制することが可能になり、前記押圧部の復元性を確実に確保することができる。
また、補強凹部が、短辺部分において、ボトル軸方向で互いに隣り合う周溝同士の間に位置する部分に配設されていることから、短辺部分におけるこの部分の剛性を高めることが可能になり、例えば胴部における一対の長辺部分が互いに近接若しくは当接する程度まで、胴部の前記押圧部を短軸方向に押込んでも、胴部の短辺部分のうち、前記押圧部とボトル軸方向の位置が同等の部分が、長軸方向の外側に向けて屈曲して塑性変形するのを防ぐことができる。
【0010】
また、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装されるとともに、弾性変形可能に形成された前記胴部を有する外容器を備えてもよい。
【0011】
この場合、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が内装されるとともに、弾性変形可能に形成された前記胴部を有する外容器を備えるので、外容器の胴部を薄肉に形成しても、その復元性を確保することができる。したがって、内容物の吐出後に、外容器の胴部に対する押圧を解除したときに、外容器の胴部を確実に復元変形させることが可能になり、外容器と内容器との間に外気が安定して導入されることで、内容器を減容変形した状態に維持することができる。
【0012】
また、前記補強凹部は、ボトル軸に直交する横断面視で凹曲線状を呈してもよい。
【0013】
この場合、補強凹部が、ボトル軸に直交する横断面視で凹曲線状を呈するので、胴部に補強凹部を形成したことで、応力集中箇所が生ずるのを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、薄肉にしても復元性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る一実施形態として示したスクイズボトルの上面図である。
図2図1に示すスクイズボトルの、短軸方向から見た側面図である。
図3図1に示すスクイズボトルの、長軸方向から見た側面図である。
図4図2および図3に示すスクイズボトルのIV-IV線矢視断面図である。
図5】本発明に係る変形例として示したスクイズボトルの、短軸方向から見た側面図である。
図6図5に示すスクイズボトルのVI-VI線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
スクイズボトル1は、例えばブロー成形により有底筒状に形成され、図3に示されるように、外容器11の内面に内容器12が剥離可能に積層された積層剥離型容器(デラミボトル)とされている。
内容器12は、内部に内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴い減容変形する。内容器12は、外容器11に内装される。なお、内容物としては、例えばケチャップ、中濃ソース、味噌、およびドレッシングなどが挙げられ、23℃での粘度が1000mPa・s~10000mPa・s程度の比較的粘度の高いものが挙げられる。粘度は、B型粘度計(回転粘度計)を用い、JIS K7117-1に準拠する方法で求めることができる。
外容器11はスクイズ変形(弾性変形)可能とされ、外容器11のスクイズ変形に伴って内容器12はしぼみ変形する。
【0017】
内容器12および外容器11の材質は合成樹脂材料とされ、内容器12が外容器11に対して独立して減容可能な組み合わせであれば互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、およびEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)などが挙げられる。これらの合成樹脂材料の中から、外容器11と内容器12とは剥離可能となる組み合わせで形成される。
【0018】
スクイズボトル1は、例えば、押出成形などによって二重(内外)に組み合わされた積層パリソンを形成し、この積層パリソンをブロー成形することで形成される(押出ブロー成形)。
なお、スクイズボトル1は、積層剥離型容器に限らず、内容物の減少に伴い減容変形する内容器12が外容器11の内側に収容されてなる他の2重容器に適宜変更してもよいし、外容器11のみからなる単層構造であってもよく、また、射出成形により形成したプリフォームを二軸延伸ブロー成形して形成してもよい。
【0019】
スクイズボトル1は、口部13、肩部15、胴部16および底部14を備える。口部13、肩部15、胴部16および底部14は、この順に共通軸と同軸に配設されている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿うスクイズボトル1の口部13側を上側、スクイズボトル1の底部14側を下側という。また、ボトル軸O方向から見て、ボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
スクイズボトル1の口部13は、内容器12の口部12aと外容器11の口部11aとが積層されることで構成され、スクイズボトル1の肩部15は、内容器12の肩部12bと外容器11の肩部11bとが積層されることで構成され、スクイズボトル1の胴部16は、内容器12の胴部12cと外容器11の胴部11cとが積層されることで構成される。
以下の説明において、特に断りのない限り、内容器12および外容器11の双方が同様の形態となっているものとする。
【0021】
スクイズボトル1の口部13は、肩部15の上端部から上方に向けて延びるとともに、肩部15よりも縮径した円筒状に形成されている。
内容器12の口部12aの上端部は、全周にわたって、径方向の外側に向けて折り返され、この折り返し部分が外容器11の口部11aの上端開口縁に配置されている。
外容器11の口部11aの外周面に、図示しないキャップが着脱可能に螺着される雄ねじ部が形成されている。外容器11の口部11aに、外容器11と内容器12との間に、外気を吸入する吸気孔17が形成されている。
なお、吸気孔17の形成位置は、外容器11の口部11aに限定されるものではなく、例えば外容器11のうち、口部11a以外の胴部11c若しくは底部などであってもよい。
【0022】
肩部15は、上側から下側に向かうに従い漸次、拡径している。
胴部16は、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。外容器11の胴部11cは、弾性変形可能に形成されている。
底部14は、外周縁部に位置する環状の接地部と、接地部の内周縁部に連設されるとともに容器内側に底上げされた陥没凹部と、を備える。陥没凹部の内面に、外容器11の一部が内容器12の一部を挟み込んで保持した保持リブ14aが形成されている。保持リブ14aは、陥没凹部の内面から下方に向けて突出し、後述する長軸O2方向に延びている。
胴部16と、肩部15および底部14と、がボトル軸O方向に段差なく連なっている。
【0023】
肩部15、胴部16、および底部14それぞれのボトル軸O方向から見た平面視形状は、図1および図4に示されるように、一対の短辺部分21および一対の長辺部分22を有する扁平形状を呈する。すなわち、肩部15、胴部16、および底部14は、ボトル軸O上で互いに交差する短軸O1および長軸O2を有する横断面扁平形状を呈する。
以下、ボトル軸O方向から見て、一対の長辺部分22が互いに対向する方向を短軸O1方向といい、一対の短辺部分21が互いに対向する方向を長軸O2方向という。
【0024】
ボトル軸O方向から見て、胴部16の短辺部分21の曲率半径R1は、胴部16の長辺部分22の曲率半径R2より小さい。胴部16は、ボトル軸O方向から見て楕円形状を呈する。胴部16の短辺部分21の周方向の長さは、胴部16の長辺部分22の周方向の長さより短い。
胴部16の長軸O2方向の大きさは、胴部16の短軸O1方向の大きさの1.1倍以上1.8倍以下、好ましくは1.1倍以上1.4倍以下となっている。図示の例では、胴部16の長軸O2方向の大きさは、胴部16の短軸O1方向の大きさの約1.23倍となっている。胴部16の長軸O2方向の大きさが、胴部16の短軸O1方向の大きさの1.8倍を超えると、胴部16における一対の長辺部分22を短軸O1方向に押込んだときに、胴部16の短辺部分21が、長軸O2方向の外側に向けて屈曲して塑性変形しやすくなるおそれがある。
【0025】
そして、本実施形態では、図2から図4に示されるように、胴部16における一対の短辺部分21に、ボトル軸O方向に沿う縦断面視で凹曲線状を呈する補強凹部25が各別に形成されている。
補強凹部25のボトル軸O方向の大きさは、胴部16の全長の0.10倍以上0.75倍以下となっている。図示の例では、補強凹部25のボトル軸O方向の大きさは、胴部16の全長の約0.17倍となっている。補強凹部25のボトル軸O方向の中央部は、胴部16のボトル軸O方向の中央部より上方に位置している。補強凹部25の上端縁は、胴部16の上端縁より下方に位置している。図示の例では、補強凹部25の上端縁は、胴部16の上端縁から下方に向けて、胴部16の全長の約0.24倍離れて位置している。
【0026】
補強凹部25の、長軸O2方向から見た短軸O1方向の大きさは、胴部16の短軸O1方向の大きさの0.20倍以上となっている。図示の例では、補強凹部25の、長軸O2方向から見た短軸O1方向の大きさは、胴部16の短軸O1方向の大きさの約0.4倍となっている。補強凹部25は、胴部16の短辺部分21に限って配設され、胴部16の長辺部分22には位置していない。補強凹部25の短軸O1方向の中央部は、胴部16の短辺部分21における短軸O1方向の中央部に位置している。
補強凹部25は、長軸O2方向から見て円形状を呈する。なお、補強凹部25の長軸O2方向から見た形状は、例えば楕円形状、若しくは矩形状などであってもよい。補強凹部25は、ボトル軸Oに直交する横断面視で、短軸O1方向に真直ぐ延びていて、胴部16を短軸O1方向から見たときに視認可能となっている。
【0027】
ここで、胴部16に、全周にわたって連続して延びる周溝23がボトル軸O方向に間隔をあけて複数形成されている。
複数の周溝23は、ボトル軸O方向に同等の間隔をあけて胴部16に配置されている。ボトル軸O方向で互いに隣り合う周溝23同士の間隔は、補強凹部25のボトル軸O方向の大きさの1倍より大きく、例えば2倍未満となっている。周溝23の幅は、補強凹部25のボトル軸O方向の大きさより小さく、例えば半分未満となっている。周溝23は、ボトル軸O方向に沿う縦断面視で凹曲線状を呈する。
【0028】
そして、補強凹部25は、胴部16の短辺部分21において、ボトル軸O方向で互いに隣り合う周溝23同士の間に位置する部分に配設されている。
図示の例では、胴部16の短辺部分21において、ボトル軸O方向で互いに隣り合う周溝23同士の間に位置する帯状部分が、複数備えられており、これらの帯状部分のうち、最も上方に位置する帯状部分に、補強凹部25が配設されている。なお、複数の帯状部分の全てに、補強凹部25を各別に配設してもよい。補強凹部25をボトル軸O方向に挟む上下一対の周溝23同士の間隔は、胴部16においてこれらの周溝23同士の間に位置する部分に、押込む指を、その指の幅方向の全域にわたって当接させることが可能な大きさとなっている。例えば、押込む指としては、親指1本、または中指および薬指2本などが挙げられる。
【0029】
補強凹部25をボトル軸O方向に挟む上下一対の周溝23と、補強凹部25と、の間のボトル軸O方向の各間隔は、互いに同等になっている。補強凹部25は、周溝23にボトル軸O方向に近接しており、胴部16の短辺部分21において、補強凹部25におけるボトル軸O方向の両端縁と周溝23との間に位置する各境界部分24は、前記縦断面視で突曲線状を呈し、補強凹部25および周溝23に段差なく滑らかに連なっている。
【0030】
これにより、胴部16の短辺部分21において、補強凹部25をボトル軸O方向に挟む上下一対の周溝23、および補強凹部25を含む部分は、前記縦断面視で、周溝23としての径方向の内側に向けて窪む曲線と、前記境界部分24としての径方向の外側に向けて突の曲線と、補強凹部25としての径方向の内側に向けて窪む曲線と、前記境界部分24としての径方向の外側に向けて突の曲線と、周溝23としての径方向の内側に向けて窪む曲線と、が上方から下方に向けてこの順に連ねられた波形状を呈する。
補強凹部25の深さは、周溝23の深さより深い。前記縦断面視で、周溝23の曲率半径は、補強凹部25の曲率半径より小さく、かつ前記境界部分24の曲率半径より大きい。
【0031】
図示の例では、ボトル軸O方向から見て、胴部16の外周面における短辺部分21の曲率半径R1は約25mmとされ、胴部16の外周面における長辺部分22の曲率半径R2は約46mmとなっている。胴部16の外周面における長軸O2方向の大きさは約68mmとされ、胴部16の外周面における短軸O1方向の大きさは約55mmとなっている。胴部16のボトル軸O方向の大きさは、約126mmとなっている。スクイズボトル1の重量は約33gとなっている。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によるスクイズボトル1によれば、胴部16における一対の短辺部分21に補強凹部25が各別に形成されているので、胴部16の長辺部分22において、補強凹部25とボトル軸O方向の位置が同等の部分(以下、押圧部という)を、短軸O1方向に押込んだときの力が、周方向に分散するのを抑制することが可能になり、胴部16を薄肉に形成しても、前記押圧部の剛性が過度に低くなるのを抑えて、復元性を確保することができる。
しかも、補強凹部25が、ボトル軸O方向に沿う縦断面視で凹曲線状を呈するので、胴部16に補強凹部25を形成したことで、応力集中箇所が生ずるのを抑制することができる。
【0033】
また、補強凹部25が、胴部16の短辺部分21において、ボトル軸O方向で互いに隣り合う周溝23同士の間に位置する部分に配設されているので、前記押圧部を、短軸O1方向に押込んだときの力が、周方向に分散することだけでなくボトル軸O方向に分散することも抑制することが可能になり、前記押圧部の復元性を確実に確保することができる。
【0034】
また、補強凹部25が、短辺部分21において、ボトル軸O方向で互いに隣り合う周溝23同士の間に位置する部分に配設されていることから、短辺部分21におけるこの部分の剛性を高めることが可能になり、例えば胴部16における一対の長辺部分22が互いに近接若しくは当接する程度まで、胴部16の前記押圧部を短軸O1方向に押込んでも、胴部16の短辺部分21のうち、前記押圧部とボトル軸O方向の位置が同等の部分が、長軸O2方向の外側に向けて屈曲して塑性変形するのを防ぐことができる。
【0035】
また、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器12が内装されるとともに、弾性変形可能に形成された胴部11cを有する外容器11を備えるので、外容器11の胴部11cを薄肉に形成しても、その復元性を確保することができる。したがって、内容物の吐出後に、外容器11の胴部11cに対する押圧を解除したときに、外容器11の胴部11cを確実に復元変形させることが可能になり、外容器11と内容器12との間に外気が安定して導入されることで、内容器12を減容変形した状態に維持することができる。
【0036】
次に、以上説明した作用効果についての検証試験について説明する。
【0037】
実施例として、図1から図4で示したスクイズボトル1を採用し、比較例として、スクイズボトル1において補強凹部25を有しない構成を採用した。
そして、直径が5mmの突曲面を有する鉄製の押圧体を2つ用いて、一対の長辺部分22、および一対の短辺部分21を各別に径方向に挟み込んだ状態で、2つの押圧体のうちのいずれか一方を他方に所定量(以下、押込み量という)近付けたときに生じた反力(以下、胴部剛性という)を測定した。
押込み量は、5mm、10mm、15mmとした。2つの押圧体のうちのいずれか一方を他方に近付ける速度は、分速13mmとした。長辺部分22を押込む場合、その長軸O2方向の中央部で、かつ補強凹部25の中央部とボトル軸O方向の位置が同等の部分を押込み、短辺部分21を押込む場合、その短軸O1方向の中央部を押込んだ。実施例の短辺部分21を押込む場合、補強凹部25を押込んだ。
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例は比較例と比べて、胴部剛性が、胴部16における長辺部分22、および短辺部分21を問わず約30%高くなることが確認された。
【0040】
次に、スクイズボトルに、粘度が約9000mPa・sの内容物を400g充填し、かつ口部に吐出キャップを装着した状態で、胴部16の長辺部分22において、その長軸O2方向の中央部で、かつ補強凹部25の中央部とボトル軸O方向の位置が同等の部分を、2つの前記押圧体で短軸O1方向に挟み込んだ状態で、これらの前記押圧体のうちのいずれか一方を他方に15mm近付けることと、この押込みの解除と、を残量が210gになるまで複数回繰り返した。押込みを解除するたびに、胴部16の復元変形が完了するまでの時間を測定した。
その結果、実施例では、平均1.5秒(0.8秒~2.1秒)であったのに対し、比較例では、平均4.0秒(2.3秒~5.6秒)かかったことが確認された。
【0041】
以上の2つの試験により、実施例のスクイズボトル1では、胴部剛性が向上し、かつ復元変形が完了するまでの時間が短縮したことが確認され、胴部16の短辺部分21に補強凹部25を形成することで、復元性を確保できることが示された。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0043】
例えば前記実施形態では、補強凹部25として、ボトル軸Oに直交する横断面視で、短軸O1方向に真直ぐ延びる構成を示したが、図5および図6に示されるように、ボトル軸Oに直交する横断面視で凹曲線状を呈する補強凹部35を採用してもよい。図示の例では、胴部16における補強凹部35の開口周縁部は、その全周にわたって径方向の外側に向けて突の曲面状に形成されている。
この場合、補強凹部35が、ボトル軸Oに直交する横断面視で凹曲線状を呈するので、胴部16に補強凹部35を形成したことで、応力集中箇所が生ずるのを確実に抑制することができる。
【0044】
前記実施形態では、前記境界部分24として、前記縦断面視で突曲線状を呈する構成を示したが、ボトル軸O方向に真直ぐ延びる構成を採用してもよい。
前記実施形態では、胴部16として、ボトル軸O方向から見て楕円形状を呈する構成を示したが、これに限らず例えば、短辺部分21と長辺部分22とを接続し、かつボトル軸O方向から見て、曲率半径が短辺部分21および長辺部分22それぞれの曲率半径R1、R2より小さい突曲線状を呈する角部を有する構成、または、ボトル軸O方向から見て、短辺部分21および長辺部分22が直線状に延びるとともに、滑らかに連結された構成などを採用してもよい。
また、胴部16に周溝23を形成しなくてもよい。
また、周溝23は、補強凹部25、35により周方向に分断されてもよい。補強凹部25、35は、胴部16に複数の周溝23に跨って配置されてもよい。
また、胴部16の長辺部分22に、使用者が内容物を吐出するに際し押込む箇所を特定可能な表示部を設け、この表示部、および補強凹部25、35それぞれのボトル軸O方向の位置を互いに同等にしてもよい。
また、補強凹部25、35を長軸O2方向に押込んで内容物を吐出させてもよい。
【0045】
スクイズボトル1、2を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 スクイズボトル
11 外容器
12 内容器
21 短辺部分
22 長辺部分
16 胴部
23 周溝
25、35 補強凹部
O ボトル軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6