(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】基礎構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/12 20060101AFI20221007BHJP
E02D 31/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D31/00 Z
(21)【出願番号】P 2018146218
(22)【出願日】2018-08-02
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】脇田 直弥
(72)【発明者】
【氏名】林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】小西 克尚
(72)【発明者】
【氏名】出路 丈時
(72)【発明者】
【氏名】上村 隆之
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-220842(JP,A)
【文献】特開2011-017246(JP,A)
【文献】特開2004-156241(JP,A)
【文献】特開2017-053134(JP,A)
【文献】特開平07-150583(JP,A)
【文献】特開2005-068951(JP,A)
【文献】特開2001-355246(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104563149(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/12
E02D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌中に埋設され、かつ内部に杭鉄筋が配置されたコンクリート製の杭と、
少なくとも一部が前記土壌中に埋設された鋼製の基礎部と、
少なくとも一部が前記杭と前記基礎部との間に配置された第1絶縁部材と、
鋼製のキャップであって、前記第1絶縁部材と前記杭との間に設けられ、かつ、前記杭の上端部を覆う前記キャップと、
を備える基礎構造。
【請求項2】
前記基礎部は、
柱と、
前記柱に接合された梁と、
を備え、
前記第1絶縁部材は、前記柱と前記梁との接合部を囲うコンクリート製のフーチングであ
り、
前記フーチングの底面には、凹部が形成され、
前記キャップは、前記凹部内に配置される請求項1に記載の基礎構造。
【請求項3】
前記フーチング内にはフーチング鉄筋が配置され、
前記
キャップと前記フーチング鉄筋とを離間した状態に保持する保持部材を備える請求項2に記載の基礎構造。
【請求項4】
前記保持部材は、上下方向に延びる棒状に形成される請求項3に記載の基礎構造。
【請求項5】
土壌中に埋設され、かつ内部に杭鉄筋が配置されたコンクリート製の杭と、
少なくとも一部が前記土壌中に埋設された鋼製の基礎部と、
少なくとも一部が前記杭と前記基礎部との間に配置された第1絶縁部材と、
前記土壌中に前記基礎部から離間するように埋設され、自身と前記基礎部とが導線の端部にそれぞれ接続されることで前記基礎部と導通された犠牲鋼材と、
を備える基礎構造。
【請求項6】
土壌中に埋設され、かつ内部に杭鉄筋が配置されたコンクリート製の杭と、
少なくとも一部が前記土壌中に埋設された鋼製の基礎部と、
少なくとも一部が前記杭と前記基礎部との間に配置された第1絶縁部材と、
を備
え、
前記基礎部は、
柱と、
前記柱に接合された梁と、
を備え、
前記第1絶縁部材は、コンクリート製のフーチングであり、
前記柱と前記梁との接合部は、前記フーチングから露出している基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すような基礎構造が知られている。この基礎構造は、土壌中に埋設された杭と、杭の杭頭上に配置されたコンクリート基礎と、を備えている。
特許文献1の基礎構造が、土壌中に埋設された鋼製の基礎梁(梁)を有する基礎部を備える場合がある。
【0003】
この場合の基礎構造では、一般的な土壌でのミクロセル腐食だけではなく、コンクリート土壌マクロセル腐食(以下、CSマクロセル腐食と言う)が生じる。この基礎構造では、杭中に配置された杭鉄筋と基礎部とが導通されるため、これらの間に電位差が生じる。そして、基礎部がアノードとなって基礎部でアノード反応が生じ、杭鉄筋がカソードとなって杭鉄筋でカソード反応が生じる。
アノードから土壌を通してカソードに腐食電流が流れ、アノードである基礎部にCSマクロセル腐食が生じる。このとき、基礎部の電位が貴側に移行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように構成された基礎構造では、CSマクロセル腐食を抑制するのに、対象となる構成の数が多いため、施工費用が高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、CSマクロセル腐食を抑制しながら、施工費用を抑えた基礎構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の一態様に係る基礎構造は、土壌中に埋設され、かつ内部に杭鉄筋が配置されたコンクリート製の杭と、少なくとも一部が前記土壌中に埋設された鋼製の基礎部と、少なくとも一部が前記杭と前記基礎部との間に配置された第1絶縁部材と、鋼製のキャップであって、前記第1絶縁部材と前記杭との間に設けられ、かつ、前記杭の上端部を覆う前記キャップと、を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、第1絶縁部材により、杭と基礎部とが電気的に絶縁されている。このため、杭に流れる電流と、基礎部に流れる電流とは互いに影響せず、杭と基礎部との間でCSマクロセル腐食が生じることはない。また、杭と基礎部との間でCSマクロセル腐食が生じることはないため、杭又は基礎部に腐食対策を行う施工費用が抑制される。
従って、この基礎構造では、CSマクロセル腐食を抑制しながら、施工費用を抑えることができる。
【0009】
(2)また、上記(1)に係る基礎構造において、前記基礎部は、柱と、前記柱に接合された梁と、を備え、前記第1絶縁部材は、前記柱と前記梁との接合部を囲うコンクリート製のフーチングであり、前記フーチングの底面には、凹部が形成され、前記キャップは、前記凹部内に配置されてもよい。
この発明によれば、杭により柱と梁との接合部を下方から支持しやすくすることができる。
【0010】
(3)また、上記(2)に係る基礎構造において、前記フーチング内にはフーチング鉄筋が配置され、前記キャップと前記フーチング鉄筋とを離間した状態に保持する保持部材を備えてもよい。
この発明によれば、保持部材により、キャップとフーチング鉄筋とを離間した状態に確実に保持することができる。
【0011】
(4)また、上記(3)に係る基礎構造において、前記保持部材は、上下方向に延びる棒状に形成されてもよい。
【0012】
(5)本発明の他の一態様に係る基礎構造は、土壌中に埋設され、かつ内部に杭鉄筋が配置されたコンクリート製の杭と、少なくとも一部が前記土壌中に埋設された鋼製の基礎部と、少なくとも一部が前記杭と前記基礎部との間に配置された第1絶縁部材と、前記土壌中に前記基礎部から離間するように埋設され、自身と前記基礎部とが導線の端部にそれぞれ接続されることで前記基礎部と導通された犠牲鋼材と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、第1絶縁部材により、杭と基礎部とが電気的に絶縁されている。このため、杭に流れる電流と、基礎部に流れる電流とは互いに影響せず、杭と基礎部との間でCSマクロセル腐食が生じることはない。また、杭と基礎部との間でCSマクロセル腐食が生じることはないため、杭又は基礎部に腐食対策を行う施工費用が抑制される。
従って、この基礎構造では、CSマクロセル腐食を抑制しながら、施工費用を抑えることができる。
また、犠牲鋼材が基礎部と導通されているため、基礎部だけでなく、犠牲鋼材も腐食電流のアノードとして機能させることができる。これにより、アノード反応が生じる面積を増加させて、アノードにおける腐食電流密度を小さくすることができる。その結果、基礎部におけるCSマクロセル腐食を効果的に抑制することができる。
【0013】
(6)本発明の他の一態様に係る基礎構造は、土壌中に埋設され、かつ内部に杭鉄筋が配置されたコンクリート製の杭と、少なくとも一部が前記土壌中に埋設された鋼製の基礎部と、少なくとも一部が前記杭と前記基礎部との間に配置された第1絶縁部材と、を備え、前記基礎部は、柱と、前記柱に接合された梁と、を備え、前記第1絶縁部材は、コンクリート製のフーチングであり、前記柱と前記梁との接合部は、前記フーチングから露出していることを特徴としている。
この発明によれば、第1絶縁部材により、杭と基礎部とが電気的に絶縁されている。このため、杭に流れる電流と、基礎部に流れる電流とは互いに影響せず、杭と基礎部との間でCSマクロセル腐食が生じることはない。また、杭と基礎部との間でCSマクロセル腐食が生じることはないため、杭又は基礎部に腐食対策を行う施工費用が抑制される。
従って、この基礎構造では、CSマクロセル腐食を抑制しながら、施工費用を抑えることができる。
また、杭により柱と梁との接合部を下方から支持しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の基礎構造によれば、CSマクロセル腐食を抑制しながら、施工費用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の基礎構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態の変形例における基礎構造を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る基礎構造の一実施形態を、
図1から
図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の基礎構造1は、杭11と、基礎部16と、フーチング(第1絶縁部材)26と、保持部材31と、床スラブ41と、犠牲鋼材46と、を備えている。
杭11は、コンクリート製であって、例えば筒状に形成されている。杭11の内部には、杭鉄筋12が複数配置されている。複数の杭鉄筋12は、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。杭11は、上下方向Zに沿って延びるように土壌D中に埋設されている。より詳しく説明すると、杭11は、地表D1に形成された穴D2の底面から上端部が突出するように、土壌D中に埋設されている。穴D2は、土壌Dを地表D1から掘削することにより形成されている。
【0017】
杭11の上端部は、キャップ13により覆われている。キャップ13は、鋼板等により、下方が開口する有頂筒状に形成されている。より詳しく説明すると、キャップ13の天壁部は、厚さ方向が上下方向Zとなる板状に形成されている。キャップ13の周壁部は、天壁部の外縁部から下方に向かって延びている。周壁部の内径及び外径は、下方に向かうに従い漸次、それぞれ大きくなる。
【0018】
基礎部16は、柱17と、梁18と、を備えている。
柱17は、鋼製であって、例えば角筒状に形成されている。柱17は、杭11よりも上方から上下方向Zに沿って延びている。柱17の下端部には、第1ダイヤフラム20、第2ダイヤフラム21、及びシアプレート22がそれぞれ固定されている。第1ダイヤフラム20は、柱17の下端に固定されている。第2ダイヤフラム21は、柱17の下端部のうち第1ダイヤフラム20が固定された部分よりも上方の部分に固定されている。シアプレート22は、柱17の側面のうち、上下方向Zにおいて第1ダイヤフラム20と第2ダイヤフラム21との間の部分に固定されている。
【0019】
梁18は、鋼製であって、例えばH形鋼により形成されている。梁18は、水平面に沿って延び、ウェブ18aの厚さ方向が水平面に沿うように配置されている。梁18の端部は、柱17に接合されている。より具体的に説明すると、梁18のウェブ18aは、シアプレート22に高力ボルト23等により固定されている。梁18の下フランジ18b、上フランジ18cは、柱17の第1ダイヤフラム20、第2ダイヤフラム21に溶接等によりそれぞれ固定されている。
本実施形態では、柱17に複数の梁18が接合されているが、柱17に接合される梁18の数は限定されない。
梁18の下端部は、土壌D中に埋設されている。
【0020】
土壌Dに形成された穴D2の底面には、砕石部32、捨てコンクリート33が、下方から上方に向かってこの順で設けられている。フーチング26は、捨てコンクリート33上に配置されている。
【0021】
図1及び
図2に示すように、フーチング26は、コンクリート製であって、内部にフーチング鉄筋27,28がそれぞれ複数配置されている。フーチング26は、電気的な絶縁性を備えている。
図1に示すように、フーチング26の底面には、円筒状の凹部26aが形成されている。凹部26aの内径は、下方に向かうに従い漸次大きくなる。凹部26a内には、キャップ13が配置されている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、第1フーチング鉄筋27は、水平面に沿う第1方向Xに延びるように配置されている。第1フーチング鉄筋27における第1方向Xの各端部は、上方に向かって折り曲げられている。すなわち、第1フーチング鉄筋27は、第1方向Xに沿って延びる直状部27aと、直状部27aの端部から上方に向かって延びる折曲げ部27bと、を備えている。複数の第1フーチング鉄筋27は、水平面に沿い、かつ第1方向Xに直交する第2方向Yに互いに間隔を空けて配置されている。
第2フーチング鉄筋28は、第1フーチング鉄筋27と同様に構成され、第2方向Yに沿って延びている。複数の第2フーチング鉄筋28は、第1方向Xに互いに間隔を空けて配置されている。
【0023】
第1フーチング鉄筋27の直状部27aと第2フーチング鉄筋28とは、番線(鉄線)等により互いに接合されている。
図1に示すように、第1フーチング鉄筋27の直状部27a及び第2フーチング鉄筋28は、杭11と基礎部16との間に配置されている。
フーチング26は、杭11と基礎部16との間に配置されていて、柱17と梁18とのパネルゾーン(接合部)16aを囲っている。
なお、フーチング26である第1絶縁部材は、柱17と梁18とのパネルゾーン16aを囲っていなくても、杭11と基礎部16との間に配置されていればよい。
【0024】
保持部材31は、捨てコンクリート33上に立設されている。保持部材31は、例えば、樹脂や鋼板等で、上方に向かって延びる棒状に形成されている。保持部材31の上端部は、キャップ13よりも上方まで延びている。保持部材31の上端部は、フーチング鉄筋27,28に接合されている。保持部材31は、杭11とフーチング鉄筋27,28とを離間した状態に保持している。
フーチング26には、ケミカルアンカー35が埋設されている。ケミカルアンカー35は、基礎部16の第1ダイヤフラム20に形成された貫通孔内に配置されている。ケミカルアンカー35は、フーチング26に対して基礎部16を位置決めするためのものである。
【0025】
床スラブ41は、コンクリート製であって、厚さ方向が上下方向Zとなる板状に形成されている。床スラブ41の内部には、スラブ鉄筋42が配置されている。スラブ鉄筋42は、水平面に沿って延びている。床スラブ41は、土壌D上であって、梁18上に配置されている。
【0026】
犠牲鋼材46は、土壌D中に埋設されている。犠牲鋼材46は、鋼製であり、基礎部16と同一の材料(金属材料)により形成されている。犠牲鋼材46は、導線47により基礎部16の梁18と接続されることにより、基礎部16と導通されている。
土壌D中に埋設された基礎部16の電位と、土壌D中に埋設された犠牲鋼材46の電位と、は互いに同等である。
【0027】
以上説明したように、本実施形態の基礎構造1によれば、フーチング26により、杭11と基礎部16とが電気的に絶縁されている。このため、杭11に流れる電流と、基礎部16に流れる電流とは互いに影響せず、杭11と基礎部16との間でCSマクロセル腐食が生じることはない。また、杭11と基礎部16との間でCSマクロセル腐食が生じることはないため、杭11と基礎部16に腐食対策を行う施工費用が抑制される。
従って、この基礎構造1では、CSマクロセル腐食を抑制しながら、施工費用を抑えることができる。
【0028】
第1絶縁部材がフーチング26であるため、杭11により柱17と梁18とのパネルゾーン16aを下方から支持しやすくすることができる。
基礎構造1が、保持部材31を備えている。このため、杭11とフーチング鉄筋27,28とを離間した状態に確実に保持することができる。
基礎構造1が、犠牲鋼材46を備えている。犠牲鋼材46が基礎部16と導通されているため、基礎部16だけでなく、犠牲鋼材46も腐食電流のアノードとして機能させることができる。これにより、アノード反応が生じる面積を増加させて、アノードにおける腐食電流密度を小さくすることができる。その結果、基礎部16におけるCSマクロセル腐食を効果的に抑制することができる。
杭11が基礎部16とは電気的に絶縁されているため、犠牲鋼材46の消耗が少なくなり、経済的に電気防食法を行うことができる。
【0029】
フーチング26が、基礎部16のパネルゾーン16aを囲うように配置されている。パネルゾーン16aよりも下方にフーチングが配置されている場合には、地表D1から深い位置にフーチングを配置する必要がある。このため、本実施形態の基礎構造1では、土壌Dを掘削する掘削量を少なくすることができる。
【0030】
なお、
図3に示す基礎構造2のように、基礎構造1の犠牲鋼材46に代えて、第2絶縁部材51及び電流供給部52を備えてもよい。
第2絶縁部材51は、床スラブ41(スラブ鉄筋42)と土壌Dとの間に配置されている。第2絶縁部材51は、アスファルト等により形成されている。
なお、第2絶縁部材51は、ポリエチレンシート、絶縁ゴムシート等の絶縁性の高い有機材料で形成されてもよい。第2絶縁部材51と土壌Dとの間に、割栗石を配置してもよい。
【0031】
電流供給部52は、犠牲陽極である。電流供給部52は、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、及び亜鉛合金等により形成されている。電流供給部52は、基礎部16に防食電流を供給する。電流供給部52は、土壌D中に埋設されて、導線47により基礎部16の梁18と導通されている。土壌D中の電流供給部52の電位は、土壌D中の基礎部16の電位よりも低い。
【0032】
この変形例の基礎構造2によれば、スラブ鉄筋42と土壌Dとの間に配置された第2絶縁部材51を備えている。スラブ鉄筋42と基礎部16との間の土壌D及び第2絶縁部材51を介して流れる電流を抑制すること等ができる。これにより、基礎部16におけるCSマクロセル腐食を抑制することができる。
【0033】
基礎構造2は、電流供給部52を備えている。電流供給部52が基礎部16に防食電流を供給するため、貴側に移行していた土壌D中の基礎部16の電位を、防食電流によって、例えばCSマクロセル腐食が発生しない場合の基礎部16の自然電位まで卑化させること等ができる。このように、基礎部16のCSマクロセル腐食を電気防食法によって抑制することができる。
なお、基礎構造2は、第2絶縁部材51及び電流供給部52の一方を備えなくてもよい。
【0034】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、第1絶縁部材が、フーチング26であるとした。しかし、第1絶縁部材はフーチング26に限定されず、ポリエチレンシート、絶縁ゴムシート等でもよい。
基礎部16は柱17及び梁18を備えるとしたが、基礎部は柱17及び梁18の少なくとも一方を備えていればよい。
基礎構造1は、キャップ13、保持部材31、床スラブ41、犠牲鋼材46を備えなくてもよい。基礎構造2についても、同様である。
【符号の説明】
【0035】
1,2 基礎構造
11 杭
12 杭鉄筋
16 基礎部
17 柱
18 梁
26 フーチング(第1絶縁部材)
27 第1フーチング鉄筋(フーチング鉄筋)
28 第2フーチング鉄筋(フーチング鉄筋)
31 保持部材
41 床スラブ
42 スラブ鉄筋
46 犠牲鋼材
51 第2絶縁部材
52 電流供給部
D 土壌