IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ストッパ及び防振ユニット 図1
  • 特許-ストッパ及び防振ユニット 図2
  • 特許-ストッパ及び防振ユニット 図3
  • 特許-ストッパ及び防振ユニット 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ストッパ及び防振ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/387 20060101AFI20221007BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20221007BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20221007BHJP
   B60K 5/12 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
F16F1/387 A
F16F7/00 F
F16F15/08 K
B60K5/12 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018162432
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020034126
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 喜之
(72)【発明者】
【氏名】大庭 達哉
(72)【発明者】
【氏名】芝原 遼
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-265179(JP,A)
【文献】中国実用新案第203543629(CN,U)
【文献】実開平04-123818(JP,U)
【文献】特開2009-058056(JP,A)
【文献】特開2010-281410(JP,A)
【文献】実開昭62-032241(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
B60K 1/00- 6/12
7/00- 8/00
16/00
F16F 1/00- 7/14
15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーユニット側または車体側の一方に固定される第1ブラケットと、前記パワーユニット側または前記車体側の他方に固定される第2ブラケットと、前記第1ブラケットが軸方向端部に固定される軸状の内側部材と、前記内側部材の外周面と前記第2ブラケットの筒部の内周面側とを連結するゴム状弾性体から構成される防振基体と、を備える防振ユニットに取り付けられると共に、前記第1ブラケットと前記筒部とが前記筒部の軸方向に対向する部分の間に配置される緩衝部を備えてゴム状弾性体から構成される板状のストッパであって、
前記緩衝部は、厚肉部と、
前記厚肉部の板厚方向の少なくとも1面から突出する複数の突出部と、
前記厚肉部よりも薄い薄肉部と、を備え
前記緩衝部の縁と前記薄肉部との間に前記厚肉部の一部が設けられることを特徴とするストッパ。
【請求項2】
前記薄肉部の全周に連続して前記厚肉部の一部が設けられることを特徴とする請求項記載のストッパ。
【請求項3】
パワーユニット側に固定される第1ブラケットと、
前記第1ブラケットの一部と軸方向に対向する筒部と、前記筒部車体側に固定して前記車体側に接する固定面と、を有する第2ブラケットと、
前記筒部の内周側に配置されて前記第1ブラケットが軸方向端部に固定される軸状の内側部材と、
前記内側部材の外周面と前記筒部の内周面側とを連結するゴム状弾性体から構成される防振基体と、
ゴム状弾性体から構成される板状のストッパと、を備え、
前記ストッパは、前記第1ブラケットと前記筒部とが前記軸方向に対向する部分の間に配置される緩衝部を備え、
前記緩衝部は、厚肉部と、
前記厚肉部よりも薄い薄肉部と、
前記第1ブラケットに面する第1面と、
前記第1面の裏側であって前記筒部に面する第2面と、を備え、
前記軸方向から見て、前記第1ブラケットと前記筒部とが重なる部分のうち、前記内側部材に関して前記固定面の対称位置に最も近い部位に、前記薄肉部の少なくとも一部が設けられ
前記薄肉部は、前記第1面において前記厚肉部に対して凹み、前記第2面において前記厚肉部と同一平面状に連なって形成されていることを特徴とする防振ユニット。
【請求項4】
パワーユニット側または車体側の一方に固定される第1ブラケットと、
前記第1ブラケットの一部と軸方向に対向する筒部と、前記筒部を前記パワーユニット側または前記車体側の他方に固定して前記他方に接する固定面と、を有する第2ブラケットと、
前記筒部の内周側に配置されて前記第1ブラケットが軸方向端部に固定される軸状の内側部材と、
前記内側部材の外周面と前記筒部の内周面側とを連結するゴム状弾性体から構成される防振基体と、
ゴム状弾性体から構成される板状のストッパと、を備え、
前記ストッパは、前記第1ブラケットと前記筒部とが前記軸方向に対向する部分の間に配置される緩衝部を備え、
前記緩衝部は、厚肉部と、
前記厚肉部よりも薄い薄肉部と、
前記厚肉部の板厚方向の少なくとも1面から突出する複数の突出部と、を備え、
前記軸方向から見て、前記第1ブラケットと前記筒部とが重なる部分のうち、前記内側部材に関して前記固定面の対称位置に最も近い部位に、前記薄肉部の少なくとも一部が設けられることを特徴とする防振ユニット。
【請求項5】
前記軸方向から見て、前記対称位置で前記第1ブラケットと前記筒部とが重なり、その重なる部分に前記薄肉部の少なくとも一部が設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の防振ユニット。
【請求項6】
前記厚肉部は、前記緩衝部のうち前記薄肉部よりも前記対称位置から離れた部分に亘って設けられることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の防振ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストッパ及び防振ユニットに関し、特にブラケットの耐久性を向上できるストッパ及び防振ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジン等のパワーユニット側と車体側とを連結しつつ振動伝達を抑制する防振ユニットが知られている。この防振ユニットとして特許文献1には、軸状の内側部材と筒状の外側部材とをゴム状弾性体から構成される防振基体で連結した防振装置と、内側部材の軸方向端部が固定される第1ブラケットと、外側部材の外周面を囲んで外側部材に固定される筒部を有する第2ブラケットと、ゴム状弾性体から構成されるストッパと、を備え、パワーユニットに第1ブラケットが固定され、車体側に第2ブラケットの固定面が固定されるものが開示されている。第1ブラケットや第2ブラケットへの荷重の入力により第1ブラケットに対して筒部が軸方向へ相対移動したときに、第1ブラケットと筒部との衝突を緩衝するため、それらの間にストッパの緩衝部が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-170628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術ではストッパによる緩衝時、例えば固定面側を中心に第1ブラケットが回転するように、筒部に対して内側部材がこじり方向に相対変位すると、筒部の軸方向から見て、内側部材に関して固定面の対称位置に近い程、第1ブラケットから筒部へ向かう力のモーメントが大きくなる。そうすると、この大きな力のモーメントに起因する局所的に大きな衝撃が緩衝部を介して第1ブラケットと筒部とに加わって、第1ブラケットや第2ブラケットの耐久性が低下するという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ブラケットの耐久性を向上できるストッパ及び防振ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のストッパは、パワーユニット側または車体側の一方に固定される第1ブラケットと、前記パワーユニット側または前記車体側の他方に固定される第2ブラケットと、前記第1ブラケットが軸方向端部に固定される軸状の内側部材と、前記内側部材の外周面と前記第2ブラケットの筒部の内周面側とを連結するゴム状弾性体から構成される防振基体と、を備える防振ユニットに取り付けられると共に、前記第1ブラケットと前記筒部とが前記筒部の軸方向に対向する部分の間に配置される緩衝部を備えてゴム状弾性体から構成される板状のものであって、前記緩衝部は、厚肉部と、前記厚肉部の板厚方向の少なくとも1面から突出する複数の突出部と、前記厚肉部よりも薄い薄肉部と、を備え、前記緩衝部の縁と前記薄肉部との間に前記厚肉部の一部が設けられる
【0007】
また、本発明の防振ユニットは、パワーユニット側に固定される第1ブラケットと、前記第1ブラケットの一部と軸方向に対向する筒部と、前記筒部を前記車体側に固定して前記車体側に接する固定面と、を有する第2ブラケットと、前記筒部の内周側に配置されて前記第1ブラケットが軸方向端部に固定される軸状の内側部材と、前記内側部材の外周面と前記筒部の内周面側とを連結するゴム状弾性体から構成される防振基体と、ゴム状弾性体から構成される板状のストッパと、を備え、前記ストッパは、前記第1ブラケットと前記筒部とが前記軸方向に対向する部分の間に配置される緩衝部を備え、前記緩衝部は、厚肉部と、前記厚肉部よりも薄い薄肉部と、前記第1ブラケットに面する第1面と、前記第1面の裏側であって前記筒部に面する第2面と、を備え、前記軸方向から見て、前記第1ブラケットと前記筒部とが重なる部分のうち、前記内側部材に関して前記固定面の対称位置に最も近い部位に、前記薄肉部の少なくとも一部が設けられ、前記薄肉部は、前記第1面において前記厚肉部に対して凹み、前記第2面において前記厚肉部と同一平面状に連なって形成されている
また、本発明の防振ユニットは、パワーユニット側または車体側の一方に固定される第1ブラケットと、前記第1ブラケットの一部と軸方向に対向する筒部と、前記筒部を前記パワーユニット側または前記車体側の他方に固定して前記他方に接する固定面と、を有する第2ブラケットと、前記筒部の内周側に配置されて前記第1ブラケットが軸方向端部に固定される軸状の内側部材と、前記内側部材の外周面と前記筒部の内周面側とを連結するゴム状弾性体から構成される防振基体と、ゴム状弾性体から構成される板状のストッパと、を備え、前記ストッパは、前記第1ブラケットと前記筒部とが前記軸方向に対向する部分の間に配置される緩衝部を備え、前記緩衝部は、厚肉部と、前記厚肉部よりも薄い薄肉部と、前記厚肉部の板厚方向の少なくとも1面から突出する複数の突出部と、を備え、前記軸方向から見て、前記第1ブラケットと前記筒部とが重なる部分のうち、前記内側部材に関して前記固定面の対称位置に最も近い部位に、前記薄肉部の少なくとも一部が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のストッパによれば、複数の突出部が突出する厚肉部よりも薄い薄肉部が緩衝部に設けられる。そのため、第1ブラケットと第2ブラケットの筒部との間に緩衝部が挟まれる荷重が入力されても、第1ブラケットと筒部との間に薄肉部が挟まれ難いので、薄肉部の両側の第1ブラケット及び筒部に衝撃を加え難くできる。第1ブラケットと筒部との間に加わる衝撃が大きくなり易い部分に薄肉部を設けることで、局所的に大きな衝撃を薄肉部によって生じ難くできる。その結果、第1ブラケットや第2ブラケットの耐久性を向上できる。
【0009】
衝部の縁と薄肉部との間に厚肉部の一部が設けられる。これにより、金型を用いたストッパの成形時、緩衝部の縁や薄肉部に当たる部位にゴム状弾性体を充填し易くできるので、ストッパの成形性を向上できる。
【0010】
請求項記載のストッパによれば、薄肉部の全周に連続して厚肉部の一部が設けられる。これにより、金型を用いたストッパの成形時、薄肉部に当たる部位にゴム状弾性体をより充填し易くできるので、請求項の効果に加え、ストッパの成形性をより向上できる。
【0011】
請求項記載の防振ユニットによれば、第1ブラケットと筒部との間に緩衝部が挟まれる荷重が入力されるとき、固定面側を中心に第1ブラケットが回転するように、筒部に対して内側部材がこじり方向に相対変位することがある。この場合、筒部の軸方向から見て、第1ブラケットと筒部とが重なる部分のうち、内側部材に関して固定面の対称位置に最も近い部位に、第1ブラケットから筒部へ向かって最も大きな力のモーメントが加わる。この大きな力のモーメントが加わる部位に、厚肉部よりも薄い薄肉部の少なくとも一部が設けられるので、局所的に大きな力のモーメントに伴う衝撃を第1ブラケット及び筒部に薄肉部を介して加え難くできる。その結果、第1ブラケットや第2ブラケットの耐久性を向上できる。
パワーユニット側に第1ブラケットが固定され、車体側に第2ブラケットの固定面が固定される。緩衝部の第1面が第1ブラケットに面し、第1面の裏側である緩衝部の第2面が筒部に面する。第1面において厚肉部に対して薄肉部が凹み、第2面において厚肉部と薄肉部とが同一平面状に連なって薄肉部が形成されている。これにより、第1ブラケットと筒部との間に緩衝部が挟まれるとき、第1ブラケットに薄肉部を接触し難くでき、第1ブラケットを介してパワーユニットの振動を薄肉部へ伝達し難くできる。その結果、薄肉部の耐久性を確保できる。
請求項4記載の防振ユニットによれば、第1ブラケットと筒部との間に緩衝部が挟まれる荷重が入力されるとき、固定面側を中心に第1ブラケットが回転するように、筒部に対して内側部材がこじり方向に相対変位することがある。この場合、筒部の軸方向から見て、第1ブラケットと筒部とが重なる部分のうち、内側部材に関して固定面の対称位置に最も近い部位に、第1ブラケットから筒部へ向かって最も大きな力のモーメントが加わる。この大きな力のモーメントが加わる部位に、厚肉部よりも薄い薄肉部の少なくとも一部が設けられるので、局所的に大きな力のモーメントに伴う衝撃を第1ブラケット及び筒部に薄肉部を介して加え難くできる。その結果、第1ブラケットや第2ブラケットの耐久性を向上できる。
緩衝部は、厚肉部の板厚方向の少なくとも1面から突出する複数の突出部を備える。荷重の入力によって第1ブラケットと筒部との間に緩衝部が挟まれるときは、まず突出部が圧縮変形し、複数の突出部の間の厚肉部が圧縮変形した後、入力荷重が大きければそれらに薄肉部が挟まれる。そのため、第1ブラケット及び筒部に薄肉部を介して衝撃をより加え難くできるので、第1ブラケットや第2ブラケットの耐久性をより一層向上できる。
【0012】
請求項5記載の防振ユニットによれば、筒部の軸方向から見て、内側部材に関して固定面の対称位置で第1ブラケットと筒部とが重なる。この重なる部分では、固定面側を中心に第1ブラケットが回転するような相対変位時に、第1ブラケットから筒部へ向かう力のモーメントが最大になる。しかし、その重なる部分に薄肉部が設けられるので、最大の力のモーメントに伴う衝撃を第1ブラケット及び筒部に薄肉部を介して加え難くできる。その結果、請求項3又は4の効果に加え、第1ブラケットや第2ブラケットの耐久性をより向上できる。
【0013】
請求項6記載の防振ユニットによれば、緩衝部のうち薄肉部よりも対称位置から離れた部分に亘って厚肉部が設けられる。局所的に力のモーメントが大きくなる位置から離れた部分(力のモーメントが比較的小さい部分)では、比較的厚い厚肉部によって第1ブラケットと筒部との間の衝突を十分に緩衝できる。これにより、第1ブラケットと筒部との間に薄肉部が挟まれ難くなるので、第1ブラケット及び筒部に薄肉部を介して衝撃をより加え難くできる。よって、請求項3から5のいずれかの効果に加え、第1ブラケットや第2ブラケットの耐久性を更に向上できる。
【0014】
【0015】
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態における防振ユニットの斜視図である。
図2】防振ユニットの右側面図である。
図3】防振ユニットの左側面図である。
図4】(a)は図2及び図3のIVa-IV線における防振ユニットの断面図であり、(b)は荷重入力時の防振ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図4(a)を参照して、一実施形態における防振ユニット1について説明する。図1は一実施形態における防振ユニット1の斜視図である。図4(a)は図2及び図3のIVa-IV線における防振ユニット1の断面図である。なお、図4(a)及び図4(b)では第1ブラケット10のうち切断部端面のみを図示している。各図面の矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F、矢印Bは、それぞれ防振ユニット1の上方向、下方向、左方向、右方向、前方向、後方向を示している。なお、この防振ユニット1の上下方向や左右方向、前後方向は、防振ユニット1が搭載される車両の上下方向、左右方向、前後方向と必ずしも一致しない。
【0018】
図1に示すように、防振ユニット1は、エンジン等のパワーユニット(図示せず)と車体(図示せず)とを連結しつつ振動伝達を抑制するエンジンマウントである。防振ユニット1は、パワーユニット側に固定される第1ブラケット10と、車体側に固定される第2ブラケット20と、第1ブラケット10と第2ブラケット20とを連結する防振装置30と、第1ブラケット10と第2ブラケット20との間に配置されるストッパ40,50と、を備える。
【0019】
第1ブラケット10は、防振装置30を挟む略U字状のアルミニウム合金製の部材である。第1ブラケット10は、内壁面13,14が互いに向かい合う左右一対の側部11,12と、一対の側部11,12の前方側を連結する連結部15とを備える。第1ブラケット10には、複数のボルト孔16が貫通形成されている。このボルト孔16にボルト(図示せず)を通して第1ブラケット10がパワーユニット側に締結固定される。
【0020】
第1ブラケット10の形状やボルト孔16の位置は、パワーユニットの形状や重心位置などに応じて設定される。本実施形態では、連結部15に3つのボルト孔16が設けられ、側部11から右側(連結部15とは反対側)に張り出した部位に1つのボルト孔16が設けられている。また、側部11の内壁面13の形状と、側部12の内壁面14の形状とが異なる。
【0021】
第2ブラケット20は、アルミニウム合金製の部材である。第2ブラケット20は、略円筒状の筒部21と、筒部21の周方向の一部に配置される固定部22とを備える。筒部21は、内壁面13,14の間に配置される。筒部21は、内壁面13側の軸方向の端面23と、内壁面14側の軸方向の端面24とで形状が異なる。特に、内壁面13と軸方向に対向する部分(上側)の端面23の形状と、内壁面14と軸方向に対向する部分(上側)の端面24の形状とが異なる。
【0022】
固定部22は、筒部21の下部に配置されると共に、下端から左右方向にそれぞれ張り出して設けられる。その張り出した両端部には、ボルト孔25が上下方向に貫通形成される。このボルト孔25にボルトを通して固定部22が車体側に締結固定される。このとき、車体側に接する面が固定面22aである。
【0023】
図1及び図4(a)に示すように、防振装置30は円筒状のブッシュである。防振装置30は、円筒状の内側部材31と、内側部材31の外周側に距離を隔てて同軸状に配置される円筒状の外側部材32と、内側部材31の外周面と外側部材32の内周面とを連結するゴム状弾性体から構成される防振基体33とを備える。
【0024】
内側部材31は、鉄鋼材料やアルミニウム合金等の剛性材料から構成される部材である。第1ブラケット10の側部11,12で内側部材31を軸方向に挟んだ状態で、内側部材31の内周側および第1ブラケット10の貫通孔18にボルト2を挿入し、ボルト2にナット4を締結することで、内側部材31の軸方向端部が側部11,12にそれぞれ固定される。なお、ボルト2及びナット4を用いて第1ブラケット10に内側部材31を締結固定する場合に限らず、リベット等の軸状部材を用いて第1ブラケット10に内側部材31を取り付けても良い。
【0025】
外側部材32は、鉄鋼材料やアルミニウム合金等の剛性材料から構成される円筒状の部材である。外側部材32の軸方向(左右方向)寸法は、内側部材31の軸方向寸法よりも小さい。外側部材32は、第2ブラケット20の筒部21に圧入され、外周面が筒部21の内周面に固定される。外側部材32の軸方向寸法は、筒部21の軸方向寸法よりも小さい。そのため、筒部21に外側部材32を固定した状態で、外側部材32の軸方向の端面34,35は、筒部21の端面23,24よりも軸方向の内側に位置する。
【0026】
次に図2及び図3を参照してストッパ40,50について説明する。図2は防振ユニット1の右側面図である。図3は防振ユニット1の左側面図である。なお図2は、第1ブラケット10の図示を省略しつつ、第1ブラケット10の内壁面13の外形線が二点鎖線で示されている。図は、第1ブラケット10の図示を省略しつつ、第1ブラケット10の内壁面14の外形線が二点鎖線で示されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、ストッパ40,50は、ゴム状弾性体から構成される板状の部材である。ストッパ40は、第1ブラケット10の内壁面13と第2ブラケット20の端面23との間に配置される。ストッパ50は、第1ブラケット10の内壁面14と第2ブラケット20の端面24との間に配置される。
【0028】
ストッパ40,50は、板厚方向(左右方向)に貫通する取付孔42,52が中央に設けられた環状の取付部41,51と、取付部41,51に連なる緩衝部43,53とを備える。取付部41,51の取付孔42,52に内側部材31を嵌めることで、ストッパ40,50が内側部材31に取り付けられる。
【0029】
緩衝部43,53は、環状の取付部41,51の周縁の一部に連なって、径方向である伸長方向Aへ延びて設けられる板状の部位である。緩衝部43は、内壁面13と端面23とが軸方向に対向する部分の間に配置される。緩衝部43の板厚方向の両面のうち第1面43a(図4参照)が内壁面13に面し、第2面43b(図4参照)が端面23に面する。
【0030】
緩衝部53は、内壁面14と端面24とが軸方向に対向する部分の間に配置される。緩衝部53の板厚方向の両面のうち第1面53a(図4参照)が内壁面14に面し、第2面53b(図4参照)が端面24に面する。
【0031】
緩衝部43,53は、板状の厚肉部44,54と、厚肉部44,54の第1面43a,53a及び第2面43b,53bからそれぞれ突出する複数の突出部45,55と、厚肉部44,54よりも薄い膜状の薄肉部46,56とを備える。
【0032】
突出部45,55は、伸長方向Aへ向かって直線状に配置される部位であり、その全長に亘って連続する。突出部45,55は、厚肉部44,54の第1面43a,53a及び第2面43b,53bから略三角形状に突出する。突出部45,55は、第1面43a,53aと第2面43b,53bとで互い違いに配置される。
【0033】
薄肉部46,56は、厚さ1mm程度の膜状の部位である。薄肉部46,56は、第1面43a,53aにおいて厚肉部44,54に対して凹み、第2面43b,53bにおいて厚肉部44,54と同一平面状に連なって形成されている。
【0034】
緩衝部43,53の縁と薄肉部46,56との間には、厚肉部44,54の一部であるリブ47,57が設けられる。このリブ47,57を含む厚肉部44,54の一部が薄肉部46,56の全周に連続して設けられている。これにより、金型(図示せず)を用いてストッパ40,50を形成するとき、緩衝部43,53の縁(リブ47,57)や、厚さ1mm程度の薄肉部46,56に当たる部位にゴム状弾性体を充填し易くできる。また、厚さ1mm程度の薄肉部46,56が下方へ倒れることをリブ47,57によって防止できる。
【0035】
薄肉部46は、板厚方向(筒部21の軸方向)に対面する第2ブラケット20の端面23の外形形状に沿って形成されている。薄肉部46は、端面23よりも径方向内側に位置する内縁46aと、端面23よりも径方向外側に位置する外縁46bとを備える。外縁46bの長さは、内縁46aの長さの約2倍である。
【0036】
薄肉部56は、板厚方向に対面する第2ブラケット20の端面24の外形形状に沿って形成されている。薄肉部56は、端面24よりも径方向内側に位置する内縁56aと、端面24よりも径方向外側に位置する外縁56bとを備える。外縁56bの長さは、内縁56aの長さの約3倍である。
【0037】
薄肉部46は、板厚方向視において(筒部21の軸方向から見て)、内壁面13と端面23とが重なる(対向する)部分のうち、内側部材31に関して固定面22aの対称位置S1に最も近い部位に少なくとも一部が設けられる。また、薄肉部56は、板厚方向視において、内壁面14と端面24とが重なる部分のうち、内側部材31に関して固定面22aの対称位置S2に最も近い部位に少なくとも一部が設けられる。
【0038】
なお、本明細書における対称位置S1,S2とは、板厚方向視において、固定面22aの中央である締結点22bと、内側部材31の軸心Cと、を通る直線に平行に固定面22aを移動させたときの固定面22aの両端縁の軌跡22c,22dと、端面23,24の内周縁23a,24a及び外周縁23b,24bと、で囲まれた範囲を示す。
【0039】
さらに、板厚方向視において、内壁面13と端面23とが重なる部分のうち、軸心Cに関して締結点22bの対称線分S3に最も近い部位に薄肉部46の少なくとも一部が設けられる。また、板厚方向視において、内壁面14と端面24とが重なる部分のうち、軸心Cに関して締結点22bの対称線分S4に最も近い部位に薄肉部56の少なくとも一部が設けられる。この対称線分S3,S4とは、板厚方向視において、軸心Cと締結点22bとを通る直線のうち、端面23,24の内周縁23a,24aと外周縁23b,24bとの間の線分である。
【0040】
なお、対称位置S1,S2や対称線分S3,S4に最も近い部位とは、板厚方向視において、対称位置S1,S2や対称線分S3,S4で内壁面13,14と端面23,24とが重なっている場合、その重なっている部位を含む。本実施形態では、板厚方向視において、対称位置S1,S2及び対称線分S3,S4で内壁面13,14と端面23,24とが重なっている。そして、その対称位置S1,S2及び対称線分S3,S4が重なる位置に薄肉部46,56の少なくとも一部が設けられる。
【0041】
厚肉部44,54は、緩衝部43,53のうち薄肉部46,56よりも対称線分S3,S4(対称位置S1,S2)から離れた部分に亘って設けられる。なお、厚肉部44,54の一部が対称線分S3,S4や対称位置S1,S2に含まれていても良い。
【0042】
ここで、内壁面13,14の形状および端面23,24の形状は、第1ブラケット10に固定されるパワーユニットの形状や重心位置、パワーユニット側への第1ブラケット10の固定の仕方などに応じて設定される。詳しくは、車体に固定された第2ブラケット20に対して第1ブラケット10が筒部21の軸方向に相対移動したときに、内壁面13,14から端面23,24へ加わろうとする衝撃の大きさや衝撃の加わり方に応じて、内壁面13,14の形状および端面23,24の形状が設定される。
【0043】
内壁面13を有する側部11から右側に張り出した部位にボルト孔16があるため、内壁面13から端面23への荷重の加わり方と、内壁面14から端面24への荷重の加わり方とが異なる。そのため、内壁面13と内壁面14とで形状が異なり、端面23と端面24とで形状が異なっている。
【0044】
詳しくは、板厚方向視において、内壁面13と端面23とが重なる部分と比べて、固定部22に近い側まで内壁面14と端面24とが重なるように、内壁面14の一部が固定部22側へ延びて形成されている。また、板厚方向視において、端面23と内壁面13とが重なる部分のうち、周方向の中央側がA方向に広がるように、端面24に対して端面23がA方向に張り出している。
【0045】
突出部45が設けられる厚肉部44の形状は、内壁面13及び端面23の形状や、内壁面13から端面23への荷重の加わり方に応じて設定される。また、突出部55が設けられる厚肉部54の形状は、内壁面14及び端面24の形状や、内壁面14から端面24への荷重の加わり方に応じて設定される。特に、板厚方向視において、内壁面13と端面23との間に挟まれる部分の突出部45の面積と、内壁面14と端面24との間に挟まれる部分の突出部55の面積とが略同じになるように設定されている。
【0046】
薄肉部46,56は、このような厚肉部44,54や突出部45,55を設けるための条件を満たしつつ、板厚方向視において内壁面13,14と端面23,24との間に厚肉部44,54が配置されない箇所に設けられる。そのため、薄肉部46と薄肉部56との形状が異なる。
【0047】
次に、図2及び図3に加え、図4(a)及び図4(b)を参照して、防振ユニット1に荷重が入力されたときの挙動について説明する。図4(a)は荷重が入力されていないときの防振ユニット1の断面図である。図4(b)は荷重入力時の防振ユニット1の断面図である。
【0048】
図4(a)に示す荷重が入力されていない状態から、第2ブラケット20に対して第1ブラケット10が左右方向(筒部21の軸方向)に相対移動するような荷重が入力された場合について説明する。以下、このような荷重を入力荷重と称して説明する。
【0049】
図4(b)に示すように、入力荷重が大きいと、ストッパ40,50の緩衝部43,53が端面23,24に接触して、緩衝部43,53と端面23,24とが相互に荷重を受ける。入力荷重が更に大きいと、内壁面13,14が緩衝部43,53に接触し、内壁面13,14と端面23,24との間に緩衝部43,53が挟まれ、緩衝部43,53を介して内壁面13,14と端面23,24とが相互に荷重を受ける。
【0050】
車体側に固定される固定面22aが筒部21の周方向の一部に位置し、筒部21の内周側に位置する内側部材31へ第1ブラケット10から荷重が入力される。そのため、右方向の入力荷重によって、締結点22b(固定面22a側)を中心に第1ブラケット10が回転するような移動方向Mへ、筒部21に対して内側部材31がこじり方向に相対変位する。左方向の入力荷重によっても同様に、締結点22b中心に第1ブラケット10が回転するように、筒部21に対して内側部材31がこじり方向に相対変位する。なお、図4(a)及び図4(b)のような固定面22aに垂直な断面では、筒部21の軸方向の中心点を通って固定面22aに垂直な垂線と、固定面22aとの交点が締結点22bである。
【0051】
このように、こじり方向に相対変位すると、図2及び図3に示すように、筒部21の軸方向から見て、第1ブラケット10の内壁面13,14と筒部21の端面23,24とが重なる部分のうち、内側部材31の軸心Cに関して締結点22bの対称線分S3,S4に近い程、内壁面13,14から端面23,24へ向かう力のモーメントが大きくなる。ここで、内壁面13,14と端面23,24との間に緩衝部43,53が挟まれて、局所的に大きな力のモーメントに起因する局所的に大きな衝撃が緩衝部43,53に加わると、緩衝部43,53の耐久性が低下し易くなる。
【0052】
また、局所的に大きな衝撃が緩衝部43,53を介して第1ブラケット10や第2ブラケット20に加わると、第1ブラケット10や第2ブラケット20の耐久性が低下し易くなる。特に、第1ブラケット10や第2ブラケット20が比較的柔らかいアルミニウム合金製なので、局所的に大きな衝撃によって第1ブラケット10や第2ブラケット20の耐久性が低下し易い。さらに、第1ブラケット10側から筒部21に衝撃が加わると、固定面22aに対して筒部21が軸方向に倒れるような応力が生じるため、第2ブラケット20の耐久性が特に低下し易い。
【0053】
緩衝部43,53には、相互に比較して厚い厚肉部44,54と、薄い薄肉部46,56とが設けられている。そのため、入力荷重によって内壁面13,14と端面23,24との間に緩衝部43,53が挟まれるとき、その間に薄肉部46,56を挟み難くできる。そのため、薄肉部46,56の左右両側の第1ブラケット10及び筒部21に衝撃を加え難くできる。
【0054】
さらに、厚肉部44,54の第1面43a,53a及び第2面43b,53bからそれぞれ突出部45,55が突出している。そのため、内壁面13,14と端面23,24との間に緩衝部43,53が挟まれるとき、まず突出部45,55が圧縮変形し、複数の突出部45,55が設けられていない部分の厚肉部44,54が圧縮変形した後、入力荷重が大きければ、薄肉部46,56が内壁面13,14と端面23,24とに挟まれる。そのため、薄肉部46,56を介して第1ブラケット10及び筒部21に衝撃をより加え難くできる。
【0055】
筒部21の軸方向から見て、内壁面13,14と端面23,24とが重なる部分のうち、内側部材31に関して固定面22aの対称位置S1,S2に最も近い部位(力のモーメントが大きくなり易い部位)に、このような薄肉部46,56の少なくとも一部が設けられている。その結果、局所的に大きな力のモーメントに伴う衝撃を第1ブラケット10や筒部21に薄肉部46,56を介して加え難くできる。その結果、第1ブラケット10や第2ブラケット20、緩衝部43,53の耐久性を向上できる。
【0056】
特に、力のモーメントがより大きくなる、軸心Cに関して締結点22bの対称線分S3,S4に最も近い部位に、薄肉部46,56の少なくとも一部が設けられている。その結果、より大きな力のモーメントに伴う衝撃を第1ブラケット10や筒部21に薄肉部46,56を介して加え難くできる。
【0057】
さらに、筒部21の軸方向から見て、内壁面13,14と端面23,24とが重なる位置が、力のモーメントが最大となる対称線分S3,S4を含んでいる。この対称線分S3,S4が重なる位置に薄肉部46,56の少なくとも一部が設けられるので、最大の力のモーメントに伴う衝撃を第1ブラケット10や筒部21に薄肉部46,56を介して加え難くできる。その結果、第1ブラケット10や第2ブラケット20、緩衝部43,53の耐久性をより向上できる。
【0058】
内壁面13,14から端面23,24へ向かう力のモーメントは、薄肉部46,56が間に挟まれる部分において、筒部21の径方向外側へ向かう程大きくなる。薄肉部46,56の外縁46b,56bの長さが内縁46a,56aの長さよりも大きいので、内縁46a,56aよりも外縁46b,56b側(径方向外側)で、薄肉部46,56を介して内壁面13,14及び端面23,24に衝撃を加え難くできる。これにより、力のモーメントが大きくなる部分の衝撃が加わり難くなるので、第1ブラケット10や第2ブラケット20、緩衝部43,53の耐久性をより向上できる。
【0059】
なお、内縁46a,56aの長さに対する外縁46b,56bの長さの倍率が大きい程、内縁46a,56aよりも外縁46b,56b側で衝撃を加わり難くできる。薄肉部46の外縁46bが内縁46aの約2倍であるのに対し、薄肉部56の外縁56bが内縁56aの約3倍である。これにより、薄肉部46を有するストッパ40よりも、薄肉部56を有するストッパ50の方が、大きい力のモーメントに起因した衝撃を加え難くできる。
【0060】
薄肉部46,56が板厚方向に対面する第2ブラケット20の端面23,24の外形形状に沿って形成されている。そのため、内壁面13,14と端面23,24との間に薄肉部46,56をより挟み難くできる。
【0061】
また、薄肉部46,56が板厚方向に対面する端面23,24の外形形状に沿って形成されているので、薄肉部46,56が端面23,24に接触するとき、端面23,24から薄肉部46,56の略全体に荷重を入力できる。一方、板厚方向視において、薄肉部46,56のうち内側部材31の周方向の一部のみが内壁面13,14と重なっているので、薄肉部46,56が内壁面13,14に接触するとき、内壁面13,14から薄肉部46,56の一部に荷重が入力される。これにより、薄肉部46,56の耐久性が低下するおそれがある。
【0062】
しかし、本実施形態では、第1面43a,53aにおいて厚肉部44,54に対して凹み、第2面43b,53bにおいて厚肉部44,54と同一平面状に連なって薄肉部46,56が形成されている。これにより、内壁面13,14を薄肉部46,56に接触させ難くできるので、それらの接触に起因した薄肉部46,56の耐久性の低下を抑制できる。さらに、リブ47,57によって薄肉部46,56に内壁面13,14をより接触させ難くできるので、それらの接触に起因した薄肉部46,56の耐久性の低下をより抑制できる。
【0063】
また、パワーユニット側が固定されている第1ブラケット10の内壁面13,14を薄肉部46,56に接触させ難くすることで、第1ブラケット10を介してパワーユニットの振動を薄肉部46,56へ伝達し難くできる。そのため、薄肉部46,56の耐久性を確保できる。
【0064】
厚肉部44,54は、緩衝部43,53のうち薄肉部46,56よりも対称線分S3,S4から離れた部分に亘って設けられる。これにより、力のモーメントが比較的小さい部分で、比較的厚い厚肉部44,54によって内壁面13,14と端面23,24との衝突を十分に緩衝できる。そのため、内壁面13,14と端面23,24との間に薄肉部46,56がより挟まれ難くなるので、薄肉部46,56を介して内壁面13,14及び端面23,24に、大きな力のモーメントに起因する衝撃を加え難くできる。
【0065】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、第1ブラケット10、第2ブラケット20、防振装置30、ストッパ40,50の各部形状や各部寸法、素材は一例であり、種々の形状や寸法、素材を採用することは当然である。
【0066】
例えば、内側部材31を円柱状等の軸状に形成することは可能である。また、第1ブラケット10を車体側に固定して、第2ブラケット20をパワーユニット側に固定しても良い。複数の突出部45,55の形状や配置などを変更しても良く、突出部45,55を省略しても良い。
【0067】
防振装置30の外側部材32を省略して、筒部21の内周面と内側部材31の外周面とを防振基体33によって連結しても良い。また、外側部材32の端面34,35が筒部21の端面23,24と同一面上に位置するようにしても良い。この場合、第1ブラケット10の内壁面13,14と端面34,35とが対向する部分にも緩衝部43,53を設け、その対向する部分の対称線分S3,S4に最も近い部位に薄肉部46,56を設けることが好ましい。
【0068】
上記形態では、ストッパ40,50の取付部41,51の取付孔42,52を内側部材31に嵌める場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ストッパ40,50の緩衝部43,53が内壁面13,14と端面23,24との間に配置されれば、ストッパ40,50の取付方法は限定されない。例えば、取付部41,51を省略し、緩衝部43,53の縁を筒部21の外周側で繋げてストッパを形成し、そのストッパを筒部21に被せても良い。
【0069】
上記形態では、板厚方向視において、内側部材31の軸心Cに関して締結点22bの対称線分S3,S4で内壁面13,14と端面23,24とが重なり、その重なる部分(対称線分S3,S4)に薄肉部46,56の少なくとも一部が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。板厚方向視において、内側部材31に関して固定面22aの対称位置S1,S2である所定の範囲で、内壁面13,14と端面23,24とを重ね、その重なる部分に薄肉部46,56の少なくとも一部を設けても良い。
【0070】
また、対称線分S3,S4や対称位置S1,S2で内壁面13,14と端面23,24とが重なる場合に限らない。この場合には、内壁面13,14と端面23,24とが重なる部分のうち対称線分S3,S4や対称位置S1,S2に最も近い部位に薄肉部46,56の少なくとも一部が設けられれば良い。これにより、内壁面13,14から端面23,24へ向かう力のモーメントが最も大きくなる部分の衝撃を、薄肉部46,56を介して内壁面13,14及び端面23,24に加え難くできる。
【0071】
また、大きな力のモーメントに伴う衝撃が加わる部分に薄肉部46,56を設ける場合に限らない。例えば、パワーユニットの重心位置やパワーユニットへの第1ブラケット10の固定位置などに応じて、内壁面13,14から端面23,24へ大きな衝撃が加わり易い部分に薄肉部46,56を設けても良い。
【0072】
上記一実施形態では、第1面43a,53aにおいて厚肉部44,54に対して薄肉部46,56が凹み、第2面43b,53bにおいて厚肉部44,54と薄肉部46,56とが同一平面状に連なる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1面43a,53aにおいて厚肉部44,54と薄肉部46,56とが同一平面状に連なり、第2面43b,53bにおいて厚肉部44,54に対して薄肉部46,56が凹むように、薄肉部46,56を形成しても良い。この場合には、筒部21に対して内側部材31がこじり方向に相対変位するとき、内側部材31に固定されたストッパ40,50の薄肉部46,56が筒部21の端面23,24に接触し難くなる。これにより、端面23,24との接触に起因した薄肉部46,56の耐久性の低下を抑制できる。また、第1面43a,53a及び第2面43b,53bの両面において、厚肉部44,54に対して薄肉部46,56を凹ませても良い。
【0073】
上記一実施形態では、筒部21の周方向の1箇所に固定面22aがある場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。筒部21の周方向の複数個所に固定面を設けても良い。軸心Cに関して複数の固定面の各締結点22bの対称線分S3,S4が重なる位置にそれぞれ薄肉部46,56を設けても良い。また、筒部21の半周以内の複数個所に固定面を設ける場合には、その複数の固定面を1つの固定面とみなし、周方向に最も離れた2つの端縁の中央を締結点22bとしても良い。
【0074】
上記一実施形態では、リブ47,57を含む厚肉部44,54の一部が薄肉部46,56の全周に連続して設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。薄肉部46,56の成形性や強度が十分に確保できれば、リブ47,57を薄肉部46,56の周囲に断続的に設けても良く、リブ47,57を省略しても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 防振ユニット
10 第1ブラケット
20 第2ブラケット
21 筒部
22a 固定面
31 内側部材
33 防振基体
40,50 ストッパ
43,53 緩衝部
44,54 厚肉部
45,55 突出部
46,56 薄肉部
S1,S2 対称位置
図1
図2
図3
図4