(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】基準電圧回路及びパワーオンリセット回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/22 20060101AFI20221007BHJP
G05F 3/24 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H03K17/22 B
H03K17/22 E
G05F3/24 B
(21)【出願番号】P 2018199727
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 考太郎
(72)【発明者】
【氏名】シン スクウィンダー
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-179561(JP,A)
【文献】特開2011-90665(JP,A)
【文献】特開平8-335122(JP,A)
【文献】特開平1-171318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F3/16-3/30
H03K17/22-17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレインが電源電圧に接続され、ゲートが接地されたディプレッション型の第1MOSトランジスタと、
一端が前記第1MOSトランジスタのソースに接続され、他端が第1基準電圧を出力する第1出力端子に接続された第1電圧降下回路と、
ドレインが前記第1出力端子に接続され、ゲート及びソースが接地されたディプレッション型の第2MOSトランジスタと
を備えることを特徴とする基準電圧回路。
【請求項2】
前記第1電圧降下回路が、
ドレイン及びゲートが前記第1MOSトランジスタのソースに接続され、ソースが前記第1出力端子に接続されたディプレッション型の第3MOSトランジスタである
ことを特徴とする請求項1に記載の基準電圧回路。
【請求項3】
ドレインが電源電圧に接続され、ゲートが前記第1出力端子に接続されたディプレッション型の第4MOSトランジスタと、
一端が前記第4MOSトランジスタのソースに接続され、他端が第2基準電圧を出力する第2出力端子に接続された第2電圧降下回路と、
ドレインが前記第2出力端子に接続され、ゲート及びソースが接地されたディプレッション型の第5MOSトランジスタと
をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基準電圧回路。
【請求項4】
前記第2電圧降下回路が、
ドレイン及びゲートが前記第4MOSトランジスタのソースに接続され、ソースが前記第2出力端子に接続されたディプレッション型の第6MOSトランジスタである
ことを特徴とする請求項3に記載の基準電圧回路。
【請求項5】
請求項1または請求項3に記載の基準電圧回路と、
前記基準電圧回路が出力する前記第1基準電圧と前記電源電圧との比較によりリセット信号を出力するリセット信号出力回路と
を備えるパワーオンリセット回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧を生成する基準電圧回路及びパワーオンリセット回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体集積回路内では基準電圧回路が多用されており、その特性は、半導体集積回路の性能を決める上で重要な要素となっている。
図3は、従来の基準電圧回路110を用いたパワーオンリセット回路100の構成である。基準電圧回路110の出力する基準電圧により、基準電圧回路110の後段のリセット信号出力回路120がリセット信号の出力が制御される。
基準電圧回路110は、ディプレッション型のNチャネルMOSトランジスタ(以下、DNMOS)111と、エンハンスメント型のNチャネルMOSトランジスタ(以下、ENMOS)112とから構成されている。
【0003】
電源電圧VDDが電源端子101に対して投入された後、この電源電圧VDDの電圧が上昇する過渡状態おいて、電源電圧VDDが予め設定された所定の電圧であるリセット解除の電圧よりも低い場合に、リセット信号出力回路120が出力端子103に接続された他の回路(不図示)をリセット状態とする信号レベルのリセット信号を出力する。
また、電源端子101の電源電圧が所定の電圧に到達した時点において、リセット信号出力回路120が他の回路のリセット解除を行なう信号レベルに遷移させたリセット信号を出力する。
【0004】
このため、基準電圧回路110は、電源電圧VDDがリセット解除の電圧まで上昇する過程において、他の回路が異常な動作となる電圧レベルの電源電圧VDDでリセット解除が行なわれないように、基準電圧を出力する必要がある。
すなわち、基準電圧回路110には、電源電圧VDDが上記リセット解除の電圧となった際に、このリセット解除の電圧に対応した所定の基準電圧を次段のリセット信号出力回路120に供給することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1による基準電圧回路110においては、プロセスバラツキなどにより、DNMOS111及びENMOS112の閾値電圧が変動し、設計において予め設定された電源電圧に対応して基準電圧が出力されない場合がある。
設計における所定の電圧より高い電源電圧において、リセット解除を行なわせる基準電圧が出力される場合、他の回路が異常な動作を行なわない電圧に電源電圧が到達しているが、他の回路の起動が遅延する虞がある。
一方、設計における所定の電圧より低い電源電圧において、リセット解除を行なわせる基準電圧が出力される場合、他の回路が異常な動作を行なわない電圧に電源電圧が到達していないため、この他の回路が異常な動作を行なう虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プロセスバラツキなどで回路を構成するトランジスタの閾値電圧がロット(あるいはウェハ)間で変動しても、この閾値電圧の変動による影響を低減して、電源投入後において電源電圧VDDが上昇する過渡状態において、予め設定した基準電圧を異なるロット間で安定して出力することが可能な基準電圧回路及びパワーオンリセット回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基準電圧回路は、ドレインが電源電圧に接続され、ゲートが接地されたディプレッション型の第1MOSトランジスタと、一端が前記第1MOSトランジスタのソースに接続され、他端が第1基準電圧を出力する第1出力端子に接続された第1電圧降下回路と、ドレインが前記第1出力端子に接続され、ゲート及びソースが接地されたディプレッション型の第2MOSトランジスタとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、プロセスバラツキなどで回路を構成するトランジスタの閾値電圧がロット(あるいはウェハ)間で変動しても、この閾値電圧の変動による影響を低減して、電源投入後において電源電圧VDDが上昇する過渡状態において、予め設定した基準電圧を異なるロット間で安定して出力することが可能な基準電圧回路及びパワーオンリセット回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態による基準電圧回路の構成例を示す回路図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による基準電圧回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】従来の基準電圧回路を用いたパワーオンリセット回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による基準電圧回路の構成例を示す回路図である。基準電圧回路1(第1基準電圧回路)は、DNMOS11(第1MOSトランジスタ)、12(第2MOSトランジスタ)及び13(第3MOSトランジスタ)の各々を備えている。DNMOS11、12及び13の各々は、ディプレッション型のNチャネルMOSトランジスタである。
【0012】
DNMOS11は、ドレインDが電源(VDD)端子101へ接続され、ゲートGが接地(VSS)端子102に接続されている。
DNMOS13は、ドレインD及びゲートGがDNMOS11のソースSに接続され、ソースSが出力端子151(第1出力端子)に接続されている。
DNMOS12は、ドレインDが出力端子151に接続され、ゲートG及びソースSが接地端子102に接続されている。このDNMOS12は、ドレイン電流ID1を定電流とする定電流源として動作する。
【0013】
また、DNMOS11、DNMOS12及びDNMOS13の各々は、バックゲートBGが接地端子102に接続されている。
DNMOS11、DNMOS12及びDNMOS13の各々は、すでに述べたように、プロセスのバラツキにより、閾値電圧Vthが変動するが、この変動がそれぞれにおいて連動している。
【0014】
以下の説明において、閾値電圧Vthとしては、設計値の閾値電圧Vth_typに比較して高い閾値電圧を閾値電圧Vth_Hとし、閾値電圧Vth_typに比較して比較して低い閾値電圧を閾値電圧Vth_Lとする。
また、DNMOS12は、閾値電圧Vthが高くなるに従い、ドレイン電流IDも増加し、一方、閾値電圧Vthが低くなるに従い、ドレイン電流IDも低下する。
【0015】
基準電圧Vref1(第1基準電圧)は、出力端子151から出力される電圧であり、接続点P1の電圧VT1から、DNMOS12のドレイン電流ID1と、DNMOS13の抵抗値R1とによる電圧降下ID1・R1を減算した電圧となる。したがって、基準電圧Vref1は、以下の(1)式で表される。
Vref1=VT1-ID1・R1 …(1)
となる。
ここで、接続点P1の電圧VT1は、電源電圧VDDがDNMOS11の閾値電圧Vthの絶対値を超える電圧であれば、DNMOS11の閾値電圧Vthの絶対値の電圧となる。
【0016】
例えば、閾値電圧Vthが閾値電圧Vth_Hとなった場合、電圧VT1が上昇するが、ドレイン電流ID1も閾値電圧Vthの上昇に連動して増加する。
このため、(1)式から判るように、閾値電圧Vthの増加した電圧が、ドレイン電流の増加による電圧降下の増加分によりキャンセルされ、基準電圧Vref1の変化が抑制される。
一方、閾値電圧Vthが閾値電圧Vth_Lとなった場合、電圧VT1が下降するが、ドレイン電流ID1も閾値電圧Vthの下降に連動して減少する。
このため、(1)式から判るように、閾値電圧VThの低下した電圧が、ドレイン電流の減少による電圧降下の減少分によりキャンセルされ、閾値電圧Vthが増加した場合と同様に、基準電圧Vref1の変化が抑制される。
【0017】
ここで、DNMOS13は、閾値電圧Vthが増加するに従い、抵抗値R1が低下し、閾値電圧Vthが低下するに従い、抵抗値R1が増加する。
このため、DNMOS13は、閾値電圧Vthの変動による、基準電圧Vref1の変動量のキャンセルの効果を低減する。
しかしながら、閾値電圧Vth_Hにおけるドレイン電流ID1_H及び閾値電圧Vth_Lにおけるドレイン電流ID1_Lの比率α(=ID1_H/ID1_L)と、抵抗値R1_H及び抵抗値R1_Lとの比率β(=R1_H/R1_L)とは、α・β>1となる。
【0018】
このため、本実施形態における基準電圧回路1は、閾値電圧Vthの増加に対して、基準電圧Vref1の上昇を抑制し、一方、閾値電圧Vthの低下に対して、基準電圧Vref1の下降を抑制して、閾値電圧Vthの変動に対しても、電源電圧VDDに対応して同様の基準電圧Vref1を出力することができる。
すなわち、本実施形態によれば、プロセスのバラツキによるロット間による閾値電圧Vthの変動において、基準電圧回路1におけるDNMOS11の閾値電圧Vthの増加に連動して、ドレイン電流ID1が増加するDNMOS12により、基準電圧Vref1に対する変動の影響を低減(キャンセル)することが可能であるため、安定した電圧レベルで基準電圧Vref1を出力することが可能である。
【0019】
また、DNMOS11、12及び13の各々の閾値電圧Vth(すなわち、閾値電圧Vth_L、Vth_typ、Vth_H)の温度による変動に対しても、ドレイン電流ID1及び抵抗値R1の各々の変動も連動して、同様の変動の特性を有する。
このため、本実施形態における基準電圧回路1は、温度の変動に対しても、ドレイン電流ID1及び抵抗値R1の各々の変動をキャンセルして、安定した電圧レベルの基準電圧Vref1を出力することができる。
【0020】
また、本実施形態においては、DNMOS13のドレインとゲートとを接続する構成としたが、ゲートを接地したり、ゲートに所定の定電圧を印加する構成としても良い。
上述した本実施形態においては、電圧降下回路(第1電圧降下回路)としてDNMOS13を用いたが、α・β>1が満足されれば、閾値電圧Vthの変動量に比較して、基準電圧Vref1の変動量を抑制することができる。
【0021】
このため、α・β>1が満足される構成であれば、どのような構成の電圧降下回路を用いても良い。
例えば、DNMOS13に換える電圧降下回路として、多結晶シリコン、アモルファスシリコンまたは拡散層などで形成した純抵抗を用いても良い。
また、電圧降下回路として、DNMOS13に換えて、エンハンスメント型のNチャネルMOSのゲートに所定の電圧を印加して、ON(オン)抵抗とした構成を用いても良い。
【0022】
また、
図1に示す出力端子151から供給される基準電圧Vref1を、
図3のリセット信号出力回路120に供給することにより、本実施形態のパワーオンリセット回路を構成することができる。
リセット信号出力回路120は、PMOS121、コンデンサ122及び波形整形回路123を備えている。PMOS121は、エンハンスメント型のPチャネルMOSトランジスタである。基準電圧Vref1がPMO121のゲートに印加されている。ここで、基準電圧回路1は、電源電圧VDDがDNMOS11の閾値電圧Vthを超えた後に、リセット信号出力回路120に対して、上記基準電圧Vref1を供給する。
【0023】
そして、電源電圧VDDが所定の電圧に上昇し、電源電圧VDDと基準電圧Verf1との電圧差(VDD-Vref1)がPMOS121の閾値電圧の絶対値を超えた場合、PMOS121がオフ状態からオン状態に遷移し、ドレイン電流をコンデンサ122に供給する。
これにより、PMOS121に流れるドレイン電流によりコンデンサ122が充電され、波形整形回路123に入力される電圧が、予め設定されたリセット解除を行なう電圧を超えた場合、リセット信号をリセット状態から、このリセット状態を解除する電圧レベルに遷移させる。
【0024】
上述した構成により、本実施形態のパワーオンリセット回路は、プロセスのバラツキによるDNMOS11、12及び13の閾値電圧Vthの変動及び温度変動の各々の影響が抑制された基準電圧Vref1が基準電圧回路1から供給される。このため、パワーオンリセット回路は、供給される基準電圧Vref1により、ロット(あるいはウェハ)間におけるプロセスのバラツキ、周囲環境の温度によらず、電源電圧VDDが設計値である所定の電圧になるまで、リセット状態を継続し、所定の電圧となった際にリセット状態を解除するリセット信号を出力端子103から供給することができる。
【0025】
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態による基準電圧回路の構成例を示す回路図である。
図2において、第2の実施形態による基準電圧回路2は、第1の実施形態の基準電圧回路1と、基準電圧回路1A(第2基準電圧回路)とを備えている。
基準電圧回路1Aは、DNMOS11A(第4MOSトランジスタ)、12A(第5MOSトランジスタ)及び13A(第6MOSトランジスタ)の各々を備えている。DNMOS11A、12A及び13Aの各々は、基準電圧回路1のDNMOS11、12、13それぞれと同様に、ディプレッション型のNチャネルMOSトランジスタである。
【0026】
DNMOS11Aは、ドレインDが電源端子101へ接続され、ゲートGが基準電圧回路1の出力端子151に接続されている。
DNMOS13Aは、ドレインD及びゲートGがDNMOS11AのソースSに接続され、ソースSが出力端子152(第2出力端子)に接続されている。
DNMOS12Aは、ドレインDが出力端子152に接続され、ゲートG及びソースSが接地端子102に接続されている。このDNMOS12Aは、ドレイン電流ID2を定電流とする定電流源として動作する。
また、DNMOS11A、DNMOS12A及びDNMOS13Aの各々は、バックゲートBGが接地端子102に接続されている。
【0027】
以下の説明において、第1の実施形態と同様に、閾値電圧Vthとしては、設計値の閾値電圧Vth_typに比較して高い閾値電圧を閾値電圧Vth_Hとし、閾値電圧Vth_typに比較して比較して低い閾値電圧を閾値電圧Vth_Lとする。また、DNMOS12及びDNMOS12Aは、閾値電圧Vthが高くなるとドレイン電流ID1、ID2が増加し、閾値電圧Vthが低くなるとドレイン電流ID1、ID2が減少する。
基準電圧Vref2(第2基準電圧)は、出力端子152から出力される電圧であり、接続点P2の電圧VT2から、DNMOS12Aのドレイン電流ID2と、DNMOS13Aの抵抗値R2とによる電圧降下ID2・R2を減算した電圧となる。
【0028】
したがって、基準電圧Vref2は、以下の(2)式で表される。
Vref2=VT2-ID2・R2 …(2)
となる。
ここで、接続点P2の電圧VT2は、電源電圧VDDがDNMOS11Aの閾値電圧Vthの絶対値を超える電圧であれば、ゲートに対して基準電圧Vref1が印加されるため、DNMOS11Aの閾値電圧Vthの絶対値に対して基準電圧Vref1を加算した電圧(Vth+Vref1)となる。
【0029】
第1の実施形態で説明した基準電圧回路1と同様に、閾値電圧Vthが閾値電圧Vth_Hとなった場合、電圧VT2が上昇するが、ドレイン電流ID2も閾値電圧Vthの上昇に連動して増加する。
このため、(2)式から判るように、閾値電圧Vthの増加した電圧が、ドレイン電流の増加による電圧降下の増加分によりキャンセルされ、基準電圧Vref2の変化が抑制される。
一方、閾値電圧Vthが閾値電圧Vth_Lとなった場合、電圧VT2が下降するが、ドレイン電流ID2も閾値電圧Vthの下降に連動して減少する。
このため、閾値電圧Vthの低下した電圧が、ドレイン電流の減少による電圧降下の減少分によりキャンセルされ、閾値電圧Vthが増加した場合と同様に、基準電圧Vref2の変化が抑制される。
【0030】
また、DNMOS13Aは、DNMOS13と同様に、閾値電圧Vthが増加するに従い、抵抗値R2が低下し、閾値電圧Vthが低下するに従い、抵抗値R2が増加する。
このため、DNMOS13Aは、閾値電圧Vthの変動による、基準電圧Vref2の変動量のキャンセルの効果を低減する。
しかしながら、閾値電圧Vth_Hにおけるドレイン電流ID2_H及び閾値電圧Vth_Lにおけるとのドレイン電流ID2_Lの比率αA(=ID2_H/ID2_L)と、抵抗値R2_H及び抵抗値R2_Lとの比率βA(=R2_H/R2_L)とは、αA・βA>1となる。
【0031】
これにより、
図2に示す基準電圧回路1Aの回路構成が、DNMOS11A、12A及び13Aの閾値電圧Vthの変動量に比較して、基準電圧Vref2の変動量を抑制する方向に機能することが判る。
したがって、本実施形態における基準電圧回路1Aは、第1の実施形態と同様に、閾値電圧Vthの増加に対して、基準電圧Vref2の上昇を抑制し、一方、閾値電圧Vthの低下に対して、基準電圧Vref2の下降を抑制して、閾値電圧Vthの変動に対して、電源電圧VDDに対応して同様の基準電圧Vref2を出力することができる。
すなわち、本実施形態の基準電圧回路2は、基準電圧回路1及1Aの各々において、閾値電圧Vthのプロセスのバラツキ及び温度による変動がキャンセルされるため、基準電圧Vref1及び基準電圧Vref2の各々を、安定した電圧レベルで出力することができる。
【0032】
上述した構成により、本実施形態の基準電圧回路1Aは、DNMOS11Aのゲートに基準電圧Vref1が印加されているため、基準電圧Vref1に比較して高い基準電圧Vref2を出力することができる。
したがって、本実施形態の基準電圧回路2は、基準電圧回路1の一段構成に比較し、基準電圧回路1と基準電圧回路1Aとを連結した二段構成とすることにより、基準電圧Vref1より高い基準電圧Vref2を使用する用途に対応させることができる。
例えば、電源電圧VDDがより高い所定の電圧に到達するまで、リセット状態を維持する必要があるデバイスに対して、リセット信号を供給したい場合には第1の実施形態の基準電圧回路1では実現が困難である。この場合、基準電圧Vrefを十分にパワーオンリセットの効果が得らる程度に高くする必要があるため、基準電圧回路1の一段構成ではなく、基準電圧回路1と基準電圧回路1Aとを連結した二段構成を用いて実現することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、電圧降下回路(第2電圧降下回路)であるDNMOS13Aのドレインとゲートとを接続する構成としたが、DNMOS13と同様に、ゲートを接地したり、ゲートに所定の定電圧を印加する構成としても良い。
上述した本実施形態においては、電圧降下回路としてDNMOS13Aを用いたが、αA・βA>1が満足されれば、閾値電圧Vthの変動量に比較して、基準電圧Vref2の変動量を抑制することができる。
このため、αA・βA>1が満足される構成であれば、第1の実施形態のDNMOS13Aと同様に、どのような構成の電圧降下回路を用いても良い。
【0034】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1,1A,2…基準電圧回路
11,11A,12,12A,13,13A…DNMOS
101…電源端子
102…接地端子
120…リセット信号出力回路
151,152…出力端子