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特許7154131円錐雌ねじを備えた工具ホルダ及び平行雄ねじを備えた交換可能な切削ヘッドを有する回転切削工具並びに前記工具ホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-06
(45)【発行日】2022-10-17
(54)【発明の名称】円錐雌ねじを備えた工具ホルダ及び平行雄ねじを備えた交換可能な切削ヘッドを有する回転切削工具並びに前記工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20221007BHJP
   B23C 5/22 20060101ALI20221007BHJP
   B23C 5/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
B23C5/10 D
B23C5/22
B23C5/00 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018540098
(86)(22)【出願日】2017-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 IL2017050259
(87)【国際公開番号】W WO2017163231
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-01-14
(31)【優先権主張番号】15/075,782
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ガイ,ハノック
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-024491(JP,A)
【文献】特公昭58-021157(JP,B2)
【文献】特開平09-152069(JP,A)
【文献】特公平06-048075(JP,B2)
【文献】特公平06-086916(JP,B2)
【文献】実開昭62-052387(JP,U)
【文献】米国特許第6485220(US,B2)
【文献】特表2003-532844(JP,A)
【文献】特開2007-290120(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0304923(US,A1)
【文献】米国特許第7611311(US,B2)
【文献】米国特許第7713004(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0273233(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0314379(US,A1)
【文献】国際公開第91/016565(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/005443(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00-29/34
B23B 31/00-33/00
B23B 51/00-51/14
B23C 1/00-9/00
B25F 1/00-5/02
F16L 13/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(L)を有しかつ前方向(D)から後方向(D)に延在する回転切削工具(20)であって、
ホルダ長手方向軸(C)を有する工具ホルダ(24)であって、ホルダ前方面(70)から後方に延在する雌ねじ(72)を有する雌型結合部材(68)を含み、前記ホルダ前方面(70)が、前記ホルダ長手方向軸(C)に対して横方向に延在する、工具ホルダ(24)と、
ヘッド長手方向軸(A)を有する交換可能な切削ヘッド(22)であって、
切削部(26)を形成する前方部分と、
取付部(28)を形成する後方部分であって、前記取付部(28)が、雄ねじ(42)を有しかつヘッド基面(40)から後方に突出する雄型結合部材(38)を含み、前記ヘッド基面(40)が、前記ヘッド長手方向軸(A)に対して横方向に延在し、かつ前記切削部(26)と前記取付部(28)との間に境界を規定する、後方部分と、を含む交換可能な切削ヘッド(22)と、を備え、
前記雄型結合部材(38)の前記雄ねじ(42)が平行ねじであり、
前記雌型結合部材(68)の前記雌ねじ(72)が円錐ねじであり、
前記雄型結合部材(38)が前記雌型結合部材(68)の外側に位置し、前記雌ねじ(72)及び前記雄ねじ(42)が互いにねじ式に係合していない、解除位置と、
前記雄型結合部材(38)が前記雌型結合部材(68)内に取外し可能に保持され、前記雌ねじ(72)及び前記雄ねじ(42)が互いにねじ式に係合している、ロック位置と、の間で調整可能であり、
前記雌ねじ(72)が、雌ねじ軸(D)を中心にらせん状に延在し、かつ前方内側フランク面(76)及び後方内側フランク面(78)と、それらの間に延在する内側上面(80)と、を含む、雌ねじ山(74)を含み、
前記前方内側フランク面(76)及び前記後方内側フランク面(78)が、概して、反対の軸方向(D、D)に面し、内側底面(84)を含むらせん状雌ねじ溝(82)の境界を定め、
前記雄ねじ(42)が、雄ねじ軸(B)を中心にらせん状に延在し、かつ前方外側フランク面(46)及び後方外側フランク面(48)と、それらの間に延在する外側上面(50)と、を含む、雄ねじ山(44)を含み、
前記前方外側フランク面(46)及び前記後方外側フランク面(48)が、概して、反対の軸方向(D、D)に面し、外側底面(54)を含むらせん状雄ねじ溝(52)の境界を定め、
前記前方外側フランク面(46)及び前記前方内側フランク面(76)が前記前方向(D )に面し、
前記後方外側フランク面(48)及び前記後方内側フランク面(78)が前記後方向(D )に面し、
前記ロック位置において、
前記前方内側フランク面(76)が、前記後方外側フランク面(48)から間隔を空けて配置され、
前記内側上面(80)が、前記外側底面(54)から間隔を空けて配置され、
前記内側底面(84)が、前記外側上面(50)から間隔を空けて配置され、
前記後方内側フランク面(78)が前記前方外側フランク面(46)と当接し、
前記前方内側フランク面(76)が、前記後方外側フランク面(48)から間隔を空けて配置され、
前記内側上面(80)が、前記外側底面(54)から間隔を空けて配置され、
前記内側底面(84)が、前記外側上面(50)から間隔を空けて配置され、
前記雄ねじ(42)と前記雌ねじ(72)との間の摩擦係合が、前記雄ねじ(42)の最前方の巻きから前記雄ねじ(42)の最後方の巻きに向かう方向において増大する、
回転切削工具(20)。
【請求項2】
前記解除位置において、
前記雌ねじ山(74)及び前記雌ねじ溝(82)のうちの少なくとも一方が、円錐角(γ)を有するそれぞれの円錐体(K)の周囲に延在し、
前記円錐角(γ)が、0.02°≦γ≦1.6°の範囲である、請求項1に記載の回転切削工具(20)。
【請求項3】
前記円錐角(γ)が厳密に0.8°に等しい、請求項2に記載の回転切削工具(20)。
【請求項4】
前記雌ねじ溝(82)のみがそれぞれの円錐体(K)の周囲に延在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の回転切削工具(20)。
【請求項5】
前記雌ねじ山(74)が円柱体(Y)の周囲に延在する、請求項4に記載の回転切削工具(20)。
【請求項6】
前記雌ねじ軸(D)を含む軸方向平面における断面において、
前記内側上面(80)が、前記雌ねじ軸(D)に対して平行でありかつ互いに同一線上にある複数の雌ねじ山頂部(88)を形成し、
前記内側底面(84)が、前記雌ねじ軸(D)に対して平行でありかつ前記後方向(D)において前記雌ねじ軸(D)からの距離が低減するパターンに従う、複数の雌ねじ谷底(90)を形成する、請求項2~5のいずれか1項に記載の回転切削工具(20)。
【請求項7】
前記前方内側フランク面(76)及び前記後方内側フランク面(78)が、前記雌ねじ山(74)が前記後方向(D)において前記雌ねじ軸(D)を中心にらせん状に延在するに従い低減する距離だけ前記雌ねじ軸(D)からずれている、請求項2~6のいずれか1項に記載の回転切削工具(20)。
【請求項8】
前記雄ねじ軸(B)を含む軸方向平面における断面図において、
前記外側上面(50)が、前記雄ねじ軸(B)に対して平行でありかつ互いに同一線上にある複数の雄ねじ山頂部(56)を形成し、
前記外側底面(54)が、前記雄ねじ軸(B)に対して平行でありかつ互いに同一線上にある複数の雄ねじ谷底(58)を形成する、請求項2~7のいずれか1項に記載の回転切削工具(20)。
【請求項9】
前記ヘッド長手方向軸(A)を含む軸方向平面における断面図において、前記雄ねじ(42)が、台形である雄ねじ形状(60)を規定する、請求項1~のいずれか1項に記載の回転切削工具(20)。
【請求項10】
前記ホルダ長手方向軸(C)を含む軸方向平面における断面図において、前記雌ねじ(72)が、台形である雌ねじ形状(86)を規定する、請求項1~のいずれか1項に記載の回転切削工具(20)。
【請求項11】
前方向(D)から後方向(D)に延在するホルダ長手方向軸(C)を有し、ホルダ前方面(70)から後方に延在する雌ねじ(72)を有する雌型結合部材(68)を含み、前記ホルダ前方面(70)が、前記ホルダ長手方向軸(C)に対して横方向に延在する、工具ホルダ(24)であって、
前記雌型結合部材(68)の前記雌ねじ(72)が円錐ねじであり、
前記雌ねじ(72)が、雌ねじ軸(D)を中心にらせん状に延在し、かつ前方内側フランク面(76)及び後方内側フランク面(78)と、それらの間に延在する内側上面(80)と、を含む、雌ねじ山(74)を含み、
前記前方内側フランク面(76)及び前記後方内側フランク面(78)が、概して反対の軸方向(D、D)に面し、内側底面(84)を含むらせん状雌ねじ溝(82)の境界を定め、
前記雌ねじ溝(82)のみが、円錐角(γ)を有するそれぞれの円錐体(K)の周囲に延在し、
前記円錐角(γ)が0.02°≦γ≦1.6°の範囲である、工具ホルダ(24)。
【請求項12】
前記円錐角(γ)が厳密に0.8°に等しい、請求項11に記載の工具ホルダ(24)。
【請求項13】
前記雌ねじ山(74)が円柱体(Y)の周囲に延在する、請求項11又は12に記載の工具ホルダ(24)。
【請求項14】
前記雌ねじ軸(D)を含む軸方向平面における断面において、
前記内側上面(80)が、前記雌ねじ軸(D)に対して平行でありかつ互いに同一線上にある複数の雌ねじ山頂部(88)を形成し、
前記内側底面(84)が、前記雌ねじ軸(D)に対して平行でありかつ前記後方向(D)において前記雌ねじ軸(D)からの距離が低減するパターンに従う、複数の雌ねじ谷底(90)を形成する、請求項1113のいずれか1項に記載の工具ホルダ(24)。
【請求項15】
前記ホルダ長手方向軸(C)を含む軸方向平面における断面図において、前記雌ねじ(72)が、台形である雌ねじ形状(86)を規定する、請求項1114のいずれか1項に記載の工具ホルダ(24)。
【請求項16】
前記前方内側フランク面(76)及び前記後方内側フランク面(78)が、前記雌ねじ山(74)が前記後方向(D)において前記雌ねじ軸(D)を中心にらせん状に延在するに従い低減する距離だけ前記雌ねじ軸(D)からずれている、請求項1115のいずれか1項に記載の工具ホルダ(24)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、雄型結合部材を有する交換可能な切削ヘッドが、ねじ式結合機構によって工具ホルダの雌型結合部材内に取外し可能に保持されるタイプの、回転切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
回転切削工具に、工具ホルダ内に交換可能な切削ヘッドを固定して保持するためのねじ式結合機構、すなわち「工具継手」を設けることができる。
【0003】
交換可能な切削ヘッドは、雄型結合部材を含むことができ、工具ホルダは雌型結合部材を含むことができる。雄型結合部材は雄ねじを含むことができる。雌型結合部材は、雄結合部材の雄ねじに対応する雌ねじを含むことができる。
【0004】
いくつかのこうした回転切削工具では、雌ねじ及び雄ねじはともに平行ねじである。こうした回転切削工具の一例は例えば米国特許第6,485,220号に開示されている。
【0005】
他のこうした回転切削工具では、雌ねじ及び雄ねじはともにテーパねじである。こうした回転切削工具の例は例えば米国特許第7,611,311号及び同第7,713,004号に開示されている。
【発明の概要】
【0006】
本出願の主題の第1態様によれば、長手方向軸を有しかつ前方向から後方向に延在する回転切削工具であって、
ホルダ長手方向軸を有する工具ホルダであって、ホルダ前方面から後方に延在する雌ねじを有する雌型結合部材を含み、ホルダ前方面が、ホルダ長手方向軸に対して横方向に延在する、工具ホルダと、
ヘッド長手方向軸を有する交換可能な切削ヘッドであって、
切削部を形成する前方部分と、
取付部を形成する後方部分であって、取付部が、雄ねじを有しかつヘッド基面から後方に突出する雄型結合部材を含み、ヘッド基面が、ヘッド長手方向軸に対して横方向に延在し、かつ切削部と取付部との間に境界を規定する、後方部分と、を含む交換可能な切削ヘッドと、を備え、
雄型結合部材の雄ねじが平行ねじであり、
雌型結合部材の雌ねじが円錐ねじであり、
回転切削工具が、
雄型結合部材が雌型結合部材の外側に位置し、雌ねじ及び雄ねじが互いにねじ式に係合していない、解除位置と、
雄型結合部材が雌型結合部材内に取外し可能に保持され、雌ねじ及び雄ねじが互いにねじ式に係合している、ロック位置と、の間で調整可能である、回転切削工具が提供される。
【0007】
本出願の主題の別の態様によれば、前方向から後方向に延在するホルダ長手方向軸を有し、ホルダ前方面から後方に延在する雌ねじを有する雌型結合部材を含み、ホルダ前方面が、ホルダ長手方向軸に対して横方向に延在する、工具ホルダであって、
雌型結合部材の雌ねじが円錐ねじであり、
雌ねじが、雌ねじ軸を中心にらせん状に延在し、かつ前方内側フランク面及び後方内側フランク面と、それらの間に延在する内側上面と、を備える、雌ねじ山を含み、
前方内側フランク面及び後方内側フランク面が、概して反対の軸方向に面し、内側底面を含むらせん状雌ねじ溝の境界を定め、
雌ねじ山及び雌ねじ溝のうちの少なくとも一方が、円錐角を有するそれぞれの円錐体の周囲に延在し、
円錐角が0.02°≦γ≦1.6°の範囲である、工具ホルダが提供される。
【0008】
本出願の主題のさらに別の態様によれば、長手方向軸を有しかつ前方向から後方向に延在する回転切削工具であって、
ヘッド長手方向軸を有する交換可能な切削ヘッドであって、
切削部を形成する前方部分と、
取付部を形成する後方部分であって、取付部が、雄ねじを有しかつヘッド基面から後方に突出する雄型結合部材を含み、ヘッド基面が、ヘッド長手方向軸に対して横方向に延在し、かつ切削部と取付部との間に境界を規定する、後方部分と、を含む交換可能な切削ヘッドを備え、
雄型結合部材の雄ねじが平行ねじであり、
回転切削工具が、
雄型結合部材が雌型結合部材の外側に位置し、雌ねじ及び雄ねじが互いにねじ式に係合していない、解除位置と、
雄型結合部材が雌型結合部材内に取外し可能に保持され、雌ねじ及び雄ねじが互いにねじ式に係合している、ロック位置と、の間で調整可能である、回転切削工具が提供される。
【0009】
上述したことは概要であること、及び、以下に記載する特徴は、本出願の主題に対して任意の組合せで適用可能であり得ること、例えば、以下の特徴のうちの任意のものが回転切削工具及び/又は工具ホルダに適用可能であり得ることが理解される。
【0010】
雌ねじは、雌ねじ軸を中心にらせん状に延在し、かつ前方内側フランク面及び後方内側フランク面と、それらの間に延在する内側上面と、を含む、雌ねじ山を含み、前方内側フランク面及び後方内側フランク面は、概して、反対の軸方向に面し、内側底面を含むらせん状雌ねじ溝の境界を定め、
解除位置において、
雌ねじ山及び雌ねじ溝のうちの少なくとも一方は、円錐角を有するそれぞれの円錐体の周囲に延在し、
円錐角は、0.02°≦γ≦1.6°の範囲であり得る。
【0011】
円錐角は、厳密に0.8°に等しくすることができる。
【0012】
雌ねじ溝のみがそれぞれの円錐体の周囲に延在することができる。
【0013】
雌ねじ軸を含む軸方向平面における断面図において、内側上面は、雌ねじ軸に対して平行でありかつ互いに同一線上にあり得る複数の雌ねじ山頂部を形成し、内側底面は、雌ねじ軸に対して平行でありかつ後方向において雌ねじ軸からの距離が低減するパターンに従う、複数の雌ねじ谷底を形成する。
【0014】
前方内側フランク面及び後方内側フランク面は、雌ねじ山が後方向において雌ねじ軸を中心にらせん状に延在するに従い低減することができる距離だけ雌ねじ軸からずれている。
【0015】
雄ねじは、雄ねじ軸を中心にらせん状に延在し、かつ前方外側フランク面及び後方外側フランク面とそれらの間に延在する外側上面とを含む、雄ねじ山を含み、前方外側フランク面及び後方外側フランク面は、概して、反対の軸方向に面し、外側底面を含むらせん状雄ねじ溝の境界を定め、
前方外側フランク面及び前方内側フランク面は前方向に面し、後方外側フランク面及び後方内側フランク面は後方向に面し、ロック位置では、
後方内側フランク面は前方外側フランク面と当接することができる。
【0016】
ロック位置において、前方内側フランク面は、後方外側フランク面から間隔を空けて配置され得る。内側上面は、外側底面から間隔を空けて配置され得る。内側底面は、外側上面から間隔を空けて配置され得る。
【0017】
雄ねじ軸を含む軸方向平面における断面図において、外側上面は、雄ねじ軸に対して平行でありかつ互いに同一線上にあり得る複数の雄ねじ山頂部を形成し、外側底面は、雄ねじ軸に対して平行でありかつ互いに同一線上にある複数の雄ねじ谷底を形成する。
【0018】
ヘッド長手方向軸を含む軸方向平面における断面図において、雄ねじは、台形であり得る雄ねじ形状を規定する。
【0019】
ホルダ長手方向軸を含む軸方向平面における断面図において、雌ねじは、台形であり得る雌ねじ形状を規定する。
【0020】
雄ねじは、雄ねじ軸を中心にらせん状に延在し、かつ前方外側フランク面及び後方外側フランク面とそれらの間に延在する外側上面とを含む、雄ねじ山を含み、
前方外側フランク面及び後方外側フランク面は、概して、反対の軸方向に面し、外側底面を含むらせん状雄ねじ溝の境界を定め、
前方外側フランク面及び前方内側フランク面は前方向に面し、
後方外側フランク面及び後方内側フランク面は後方向に面し、
ロック位置では、
後方内側フランク面は前方外側フランク面と当接することができ、
前方内側フランク面は、後方外側フランク面から間隔を空けて配置することができ、
内側上面は、外側底面から間隔を空けて配置することができ、
内側底面は、外側上面から間隔を空けて配置することができ、
雄ねじと雌ねじとの間の摩擦係合が、雄ねじの最前方の巻きから雄ねじの最後方の巻きに向かう方向において増大することができる。
【0021】
本出願がよりよく理解されるために、かつ本出願を実際にいかに実施することができるかを示すために、ここで、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】回転切削工具の斜視縦断面図である。
図2図1に示す回転切削工具の組立分解斜視縦断面図である。
図3図1及び図2に示す交換可能な切削ヘッドの側面図である。
図4図3の詳細である。
図5図1及び図2に示す工具ホルダの斜視図である。
図6図5に示す雌型結合部材の縦断面図である。
図7】回転切削工具がロック位置にあるときの、図1に示す回転切削工具の縦断面図の詳細である。
図8】平行雌ねじの雌ねじ形状と平行雄ねじの雄ねじ形状とが上に重ね合わされている、円錐雌ねじの雌ねじ形状の概略図である。
図9】回転切削工具が組み立てられ作動しているときの、平行雌ねじ及び円錐雌ねじとそれぞれねじ式に係合している平行雄ねじに対する接触力分布を示す4つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示を簡単かつ明確にするために、図に示す要素は必ずしも正確な縮尺で描かれていないことが理解されよう。例えば、明確にするために、要素のうちのいくつかの寸法は、他の要素に対して誇張されている場合があり、又は、1つの機能ブロックもしくは要素にいくつかの物理的な構成要素が含められている場合がある。適切であると考えられる場合、対応する要素又は類似する要素を示すために、図の間で参照数字が繰り返される場合がある。
【0024】
以下の説明では、本出願の主題のさまざまな態様について記載する。例示の目的で、具体的な構成及び詳細を、本出願の主題が完全に理解されるように十分詳細に示す。しかしながら、当業者であれば、本明細書に提示する具体的な構成及び詳細なしに本出願の主題を実施することができることも明らかとなろう。
【0025】
最初に、本出願の主題の実施形態による、フライス作業、具体的には高速正面フライス加工に使用されるタイプの回転切削工具20を示す、図1及び図2に留意されたい。回転切削工具20は、工具長手方向軸Lを有し、それを中心に工具は回転方向Rに回転する。
【0026】
回転切削工具20は、交換可能な切削ヘッド22を含み、交換可能な切削ヘッド22はヘッド長手方向軸Aを有し、それを中心に、交換可能な切削ヘッド22は回転方向Rに回転する。ヘッド長手方向軸Aは、前方向Dから後方向Dに延在している。交換可能な切削ヘッド22は、典型的には、超硬合金から作製することができる。
【0027】
回転切削工具20はまた、ホルダ長手方向軸Cを有する工具ホルダ24も含む。工具ホルダ24は、典型的には、鋼から作製することができる。ねじ式結合機構を用いて、交換可能な切削ヘッド22を工具ホルダ24内に取外し可能に保持することができる。こうしたねじ式結合機構は、例えば、リーマ仕上げ又はドリル加工等、上述したもの以外のタイプの回転切削作業に対して有利である可能性がある。
【0028】
明細書及び特許請求の範囲を通して「前方」及び「後方」という用語の使用は、図1に示すように、組み立てられた回転切削工具20の工具ホルダ24に対する交換可能な切削ヘッド22の相対的な位置を指すことが理解されるべきである。「前方」及び「後方」という用語はまた、図3及び図4においてそれぞれ左及び右に向かうヘッド長手方向軸Aの方向においても、また、図5及び図6においてそれぞれ左及び右に向かうホルダ長手方向軸Cの方向においても適用することができる。
【0029】
ここで、図3及び図4を参照されたい。交換可能な切削ヘッド22は、切削部26を形成する前方部分と、取付部28を形成する後方部分とを有する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、交換可能な切削ヘッド22は、単体の統合された一体型の構造から形成することができる。これは、交換可能な切削ヘッド22が脱着式の切削インサート(図示せず)を有していないという点で有利である。
【0030】
図3を参照すると、切削部26は、少なくとも1つの外周切刃30を含む。図面に示すこの非限定的な例では、厳密には2つの外周切刃があり得る。各外周切刃30は、外周逃げ面32と外周すくい面34との交差部に形成されている。ともに回転方向Rに関して、外周逃げ面32は、外周切刃30の回転方向後方に配置され、外周すくい面34は、外周切刃30の回転方向前方に配置される。外周切刃30の向きにより、金属切削作業を行うことができる。
【0031】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、切削部26は、切削作業中に生成される切屑(図示せず)を排出する少なくとも1つの溝36を含むことができる。各外周切刃30に、1つの溝36が関連付けられている。交換可能な切削ヘッド22は、切削部26の端面37に1つ又は複数の底刃30bを含むことができる。図面に示すこの非限定的な例では、交換可能な切削ヘッド22は、厳密には2つの底刃30bを含むことができる。2つの底刃30bの各々が、関連する側刃30aを有することができる。
【0032】
ここで図3及び図4を参照すると、取付部28は、ヘッド基面40から後方に突出する雄型結合部材38を含む。ヘッド基面40は、ヘッド長手方向軸Aに対して横方向に延在し、切削部26と取付部28との間に境界を規定する。すなわち、切削部26は、ヘッド基面40の前方に形成され、取付部28は、ヘッド基面40の後方に形成されている。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、雄型結合部材38は剛性であり得る。ヘッド基面40は、ヘッド長手方向軸Aに対して垂直であり得る。後述するように、ヘッド基面40は、回転切削工具20がロック位置にあるとき、工具ホルダ24の対応する面に当接するように意図されている。
【0033】
雄型結合部材38は雄ねじ42を含む。図4を参照すると、雄ねじ42は、雄ねじ軸Bを中心にらせん状に延在する雄ねじ山44を含む。雄ねじ軸Bは、ヘッド長手方向軸Aと一致する。従って、雄ねじ部42と交換可能な切削ヘッド22とは、同軸である。雄ねじ山44は、前方外側フランク面46及び後方外側フランク面48とそれらの間に延在する外側上面50とを含む。前方外側フランク面46及び後方外側フランク面48は、反対の軸方向D、Dに面し、前方外側フランク面46は前方向Dに面し、後方外側フランク面48は後方向Dに面している。前方外側フランク面46及び後方外側フランク面48は、雄ねじ溝52の境界を定める。雄ねじ溝52は、雄ねじ軸Bを中心にらせん状に延在し、外側底面54を含む。
【0034】
軸方向平面(すなわち、雄ねじ軸Bを含む平面)における断面図では、外側上面50は複数の雄ねじ山頂部56を形成し、外側底面54は複数の雄ねじ谷底58を形成する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、複数の雄ねじ山頂部56は、雄ねじ軸Bと平行であり、互いに同一線上にあり得る。複数の雄ねじ谷底58は、雄ねじ軸Bと平行であり、互いに同一線上にあり得る。
【0035】
雄ねじ軸Bを含む軸方向平面における断面図では、前方外側フランク面46及び後方外側フランク面48を、雄ねじ軸Bに対して垂直な半径方向平面に対して外側フランク角αだけ傾斜させることができる。好ましくは、外側フランク角αは約17°であり得る。雄ねじ42は、台形であり得る雄ねじ形状60を規定する。外側上面50及び外側底面54は、前方外側フランク面46及び後方外側フランク面48にそれぞれ滑らかに遷移して、半径を規定することができる。別法として、雄ねじ形状60は三角形であり得る。
【0036】
外側上面50及び外側底面54は、縁部を形成することができる。それぞれ、複数の雄ねじ山頂部56は雄ねじ42の外径を規定し、複数の雄ねじ谷底58は雄ねじ42の谷の径を規定する。外径から谷の径を引いて2で割った値は、雄ねじ42の雄ねじ高さHに等しい。雄ねじ高さHは一定であり得る。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、雄ねじ42はおよそ3つの巻きを有することができる。
【0037】
雄ねじ42は平行ねじである。本明細書及び特許請求の範囲を通して「平行ねじ」という用語は、ねじ山が円柱体の周囲に延在し、従って、ねじ山頂部がねじ軸から等距離であるねじに関することが理解されるべきである。同様に、本明細書及び特許請求の範囲を通して「テーパねじ」という用語は、ねじ山が円錐体の周囲に延在し、表面が後方向においてねじ軸に向かって半径方向内側にテーパ状であり、従って、ねじ山頂部が後方向においてねじ軸からの距離が低減する、ねじに関することが理解されるべきである。
【0038】
図3及び図4に示すように、雄型結合部材38は、前方支持部62を含む。前方支持部50は、雄ねじ42の前方側に位置している。前方支持部62は、後方向Dにおいてヘッド長手方向軸Aに向かって半径方向内側にテーパ状である前方ヘッド当接面64を含む。すなわち、前方ヘッド当接面64は、半径方向外側に面する円錐形状を有する。後述するように、前方ヘッド当接面64は、回転切削工具20がロック位置にあるとき、工具ホルダ24の対応する面と当接するように意図されていることに留意されたい。
【0039】
本明細書及び特許請求の範囲を通して「半径方向内側/内側に」及び「半径方向外側/外側に」という用語の使用は、図3及び図4並びに図6において、ヘッド長手方向軸A及び/又はホルダ長手方向軸Cに関して垂直方向における、それぞれの軸に向かう相対位置及び離れる相対位置を指すことが理解されるべきである。
【0040】
ここで図5及び図6を参照すると、工具ホルダ24は、前方向Dから後方向Dに延在するホルダ長手方向軸Cを有する。工具ホルダ24は、ホルダ前方面70から後方に延在する雌型結合部材68を含む。ホルダ前方面70は、ホルダ長手方向軸Cに対して横方向に延在する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、ホルダ前方面70は、ホルダ長手方向軸Cに対して垂直であり得る。
【0041】
雌型結合部材68は、雌ねじ72を含む。雌ねじ軸Dを含む雌型結合部材68の縦断面図(すなわち、図6)に示すように、雌ねじ72は、雌ねじ軸Dを中心にらせん状に延在する雌ねじ山74を含む。雌ねじ軸Dは、ホルダ長手方向軸Cと一致する。従って、雌ねじ部72は、工具ホルダ24と同軸である。雌ねじ山74は、前方内側フランク面76及び後方内側フランク面78とそれらの間に延在する内側上面80とを含む。前方内側フランク面76及び後方内側フランク面78は、反対の軸方向D、Dに面し、前方内側フランク面76は前方向Dに面し、後方内側フランク面78は後方向Dに面している。前方内側フランク面76及び後方内側フランク面78は、雌ねじ溝82の境界を定める。
【0042】
雌ねじ溝82は、雌ねじ軸Dを中心にらせん状に延在し、内側底面84を含む。軸方向平面(すなわち、雌ねじ軸Dを含む平面)における断面図では、内側上面80は複数の雌ねじ山頂部88を形成し、内側底面84は複数の雌ねじ谷底90を形成する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、複数の雌ねじ山頂部88は、雌ねじ軸Dに対して平行であり、互いに同一線上にあり得る。複数の雌ねじ谷底90は、雌ねじ軸Dに対して平行であり、後方向Dにおいて雌ねじ軸Dからの距離が低減するパターンに従い得る。
【0043】
雌ねじ軸(D)を含む軸方向平面における断面図では、前方内側フランク面76及び後方内側フランク面78を、雌ねじ軸Dに対して垂直な半径方向平面に対して内側フランク角βだけ傾斜させることができる。好ましくは、内側フランク角βは約17°であり得る。雌ねじ72は、台形であり得る雌ねじ形状86を規定する。ここで図8を参照すると、台形の側面は長さが等しくない可能性がある。内側上面80及び内側底面84は、それぞれ前方内側フランク面76及び後方内側フランク面78に滑らかに遷移して、半径を規定することができる。別法として、雌ねじ形状86は三角形であり得る。
【0044】
内側上面80及び内側底面84は縁部を形成することができる。それぞれ、複数の雌ねじ山頂部88は雌ねじ72の谷の径を規定し、複数の雌ねじ谷底90は雌ねじ72の外径を規定する。外径から谷の径を引いて2で割った値は、雌ねじ72の雌ねじ高さHに等しい。雌ねじ高さHは、一定である場合もあれば、雌ねじ山74及び雌ねじ溝82のいずれがそれぞれの円錐体Kの周囲に延在するかに応じて、後方向Dに増大するか又は低減する場合もある。図面に示すこの非限定的な例では、雌ねじ高さHは後方向に低減する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、雌ねじ72はおよそ3つの巻きを有することができる。雌ねじ72は円錐ねじである。本明細書及び特許請求の範囲を通して「円錐ねじ」という用語は、ねじ山及びねじ溝のうちの少なくとも一方がそれぞれの円錐体の周囲に延在し、表面が後方向においてねじ軸に向かって半径方向内側にテーパ状であり、従って、ねじ山頂部及びねじ谷底のうちの少なくとも一方が、後方向においてねじ軸からの距離が低減する、ねじに関することが理解されるべきである。こうした円錐ねじは、内側旋削インサートにより円筒状鋼棒の中空前方端部をねじ切ることによって形成することができる。鋼棒は、軸方向に回転しかつ移動して雌ねじを形成する際、「静止した」切削インサートから離れるように半径方向にも移動し、それにより、ねじは円錐形状を有する。円錐体及びねじは同軸である。図8に示すこの非限定的な例では、円錐体は、内側底面84が後方内側フランク面78内に遷移する箇所によって規定される。
【0045】
本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、雌ねじ山74及び雌ねじ溝82のうちの少なくとも一方は、円錐角γを有するそれぞれの円錐体Kの周囲に延在することができる。円錐角γは、0.02°≦γ≦1.6°の範囲であり得る。有利には、円錐角γは厳密に0.8°に等しい場合がある。雌ねじ溝82のみが、それぞれの円錐体Kの周囲に延在することができる。さらに、雌ねじ山74は、円柱体Yの周囲に延在することができる。本明細書を通して「円錐角」という用語の使用は、縦断面における、円錐体のテーパ面によって形成された角度を指すことがさらに理解されるべきである。「縦断面」という用語は、長手方向軸を含む平面における断面を指すことに留意されたい。こうした縦断面により、軸方向平面は長手方向軸を含むことになる。
【0046】
図5及び図6に示すように、雌型結合部材68は、前方支持部92を含む。前方支持部80は、雌ねじ72の前方側に位置する。前方支持部92は、後方向Dにおいてホルダ長手方向軸Cに向かって半径方向内側にテーパ状である前方ホルダ当接面94を含む。すなわち、前方ホルダ当接面94は、半径方向内側に面する円錐形状を有する。
【0047】
回転切削工具20のアセンブリは、例えば、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第6,485,220B2号から既知である。回転切削工具20は、解除位置とロック(又は組立)位置との間で調整可能であることに留意されたい。
【0048】
解除位置では、雄型結合部材38は雌型結合部材68の外側に位置する。
【0049】
ロック位置では、雄型結合部材38は、雌型結合部材68内で取外し可能に保持される。また、雄ねじ42及び雌ねじ72は、ねじ式に互いに係合する。ここで図7を参照すると、前方ヘッド当接面64は、前方ホルダ当接面94に当接する。本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、後方に面するヘッド基面40は、前方に面するホルダ前方面70と当接することができる。後方内側フランク面78は、前方外側フランク面46と当接することができる。前方内側フランク面76は、後方外側フランク面48から間隔を空けて配置することができる。内側上面80は、外側底面54から間隔を空けて配置することができる。内側底面84は、外側上面50から間隔を空けて配置することができる。
【0050】
ここで、円錐雌ねじ72の雌ねじ形状86の概略図を示す図8に留意されたい。破線を用いて、互いにねじ式に係合する、平行雌ねじの想像上の雌ねじ形状96と平行雄ねじの想像上の雄ねじ形状98とが、その上に重ね合わされている。雌ねじ形状86を形成する雌ねじ72の円錐角γは、雌ねじ形状86、96を互いに関して明確に示すために誇張されており、従って、距離は真の値を表さないことに留意されたい。
【0051】
雌ねじ形状86の各巻きは、雌ねじ72が円錐形であることにより、雌ねじ72が後方向Dにおいてねじ軸を中心にらせん状に延在するに従って低減する距離だけ、ねじ軸Dからずれている。従って、雌ねじ形状86の各ねじ山部分は、想像上の雌ねじ形状96の対応するねじ山部分を越えて延在し(又は言い換えれば、そうしたねじ山部分「の上に張り出す」部分を有し)、それにより、各後方内側フランク面78は、それぞれの想像上の後方内側フランク面100からフランク距離Eだけ距離が空けられる。さらに、フランク距離Eは、後方向Dにおいて大きさが増大する。すなわち、フランク距離Eは、連続したねじの巻きに対して後方向Dにおいて大きさが増大する。同様に、雌ねじ形状86の各ねじ山部分は、想像上の雄ねじ形状98の対応するねじ山部分を部分的に覆う(すなわち、それにオーバーラップする)ように延在し、それにより、各後方内側フランク面78は、それぞれの想像上の前方外側フランク面102から同じフランク距離Eだけ間隔が空けられる。従って、明確に、組み立てられた(すなわち、ねじ式に係合した)とき、雄ねじ42と雌ねじ72との間の摩擦係合は、雄ねじ42の最前方の巻きから最後方の巻きに向かう方向において増大する。
【0052】
ここで、図9を参照されたい。図9は、回転切削工具が組み立てられて作動しているとき、平行雌ねじ及び円錐雌ねじそれぞれとねじ式に係合する平行雄ねじに対してかけられる接触力分布を示す4つのグラフを示す。矢印の長さは、接触力の大きさを表す。回転切削工具20が組み立てられて作動しているとき、円錐雌ねじとねじ式に結合された平行雄ねじに対する接触力の分布(右側の2つの図)は、平行雌ねじとねじ式に係合した平行雌ねじ(左側の2つの図)と比較して、後方向Dにさらに位置していることが分かる。特に、円錐雌ねじを有する回転切削工具20が組み立てられたとき、平行雄ねじの前方領域A1にはほとんど接触力がないことが分かる。さらに、前記回転切削工具20が作動しているとき、平行雄ねじの後方領域A2に接触力がある。上述したねじ式係合により、回転切削工具20は、横方向切削力に対する安定性が向上した。
【0053】
本出願の主題についてある程度詳細に記載したが、以下請求項に記載するような本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、さまざまな改変及び変更を行うことができることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9